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. はじめに 自己組織化リソグラフィ (DSAL) における ブロックコポリマー (BCP) レイヤーにおいて ゲル状欠陥の低減が一つの課題である [] 従来の化学増幅型レジスト (CAR) においては 粗大分子量のポリマー分子と 難溶解性官能基の偏りによる難溶解性ポリマー成分の凝集がmicrobridge のようなゲル状欠陥の要因と考えられている DSAL においては ポリマーの分子量自体がCARに比べ大きいことから 溶解度の低い粗大分子量ポリマー分子がゲル状欠陥の要因となることが懸念される ポリスチレン-ポリメチルメタクリレートブロックコポリマー (PS-b- [2] [3] PMMA) 溶液のろ過に関して 通液性とゲル除去性能を評価した結果 通液性としては現行世代のリソグラフィ欠陥低減用の微細さをもつフィルターを通液しても ポリマー成分の減少及び分子量分布の変化はなく ポリマー溶液に悪影響がないことが確認された また ゲル除去性能としては ろ過精度として表される物理的な孔の細かさのみでなく 適切なろ材の材質を選定することに顕著な効果あることがわかった また BCPの特徴として 合成時に金属触媒が使用されるが レジストとして使用するためには 金属を除去する必要がある この点に関し イオン交換フィルターや精密ろ過膜を使用し ろ過試験を行った結果 イオン交換のみでなく 精密ろ過膜においても除去されることがわかった [3] 今回 我々はこの現象に着目し 接液時間依存性により 吸着の有無を検討した また さらにメタルを低減させるため 異種ろ過膜の組み合わせろ過を行った さらに BCP 溶液中の金属の存在形態の解明についても検討した 2. 実験. 試験液ラメラ型自己組織化においてハーフピッチ20nm に相当する [4] Mw=35000-b-37000のPS-b-PMMA BCPを.5% の濃度 で電子工業用プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート (PGMEA) に溶解させ ろ過精度 μmのポリテトラフルオロエチレン (PTFE) 膜でプレろ過をした このBCP 溶液をろ過試験液 ( 原液 ) とした 2. 試験フィルター試験フィルターは 膜 / ろ過精度 nm 高密度ポリエチレン膜 (HDPE)/ ろ過精度 2nm 及びイオン交換フィルター ( 全てポール製 ) を47mm 径のディスクに打ち抜き使用した 3. トラックエッチメンブレン it4ip 製親水性ポリイミドトラックエッチメンブレン ( 孔径 =30nm 厚み =2μm 孔密度 6 9 /cm 2 ) をゲル状異物の量を評価するために使用した 事前に PGMEAを通液し 流量特性の近いものを選定し 使用した 4. 接液時間依存性の検討試験液と試験フィルター膜との接液時間は式 () により算出した Filter area Thickness Contact time = Flow rate 吸着効率は 試験液とろ過膜との接液時間に依存する 様々な種類の膜を使用し ろ過によるメタル除去メカニズムを理解するため 接液時間に対するメタル除去効率を評価した 図 に示す定圧ろ過試験スタンドを用い 試験液をそれぞれのろ過膜に通液した 接液時間と直接関係する流量は 次圧及びフィルター 2 次側のニードルバルブを使って 調整した 3 PALL NEWS vol.22 October 205

Compressed air Pressure regulator nm nm nm BCP solution Reservoir 2 nm Test 3 Needle valve Sampling bottle 図 2: 多段ろ過試験条件 nm 図 : 加圧ろ過試験装置 Electric balance 6. イオン交換フィルターによるゲル除去 [3] 既報において メタル吸着能が期待されていなかった無極性のHDPE 2nm 膜でのろ過を行い 一定のメタル除去性能が見られた この結果に基づくと メタルの一部はゲル状あるいはパーティクル状になっていて HDPE 2nm 膜のふるい性能により除去されたことが推定される 各試験フィルターに対する接液時間を表 に示す 表 : 接液時間依存性試験の条件 試験フィルター HDPE 2 nm nm 5. 多段ろ過 Contact time (sec.) 2.7.6 0.93 0.58 26 4 7.3 3.5 25 4.4 接液時間依存性試験に加え 多段ろ過試験も行った 図 2 に試験に用いたろ過ステップを示す 図 のろ過試験スタンドをそれぞれのろ過ステップに使用した 各ろ過ステップにおいて少量のろ液をICP-MS 分析 (Agilent 7700s) に使用し 残りのろ液を次のろ過ステップに使用した このことを別の面から検証するために メタル吸着能のあるイオン交換フィルターによるゲル除去性能を評価した 図 に示すろ過試験装置を使用し BCP 溶液の原液とイオン交換フィルターろ液をトラックエッチメンブレンに80kPaの 次圧で通液した この方法を用いると トラックエッチメンブレンの流量の低下により試験液中のゲルあるいはパーティクルの量を示すことができる その後 トラックエッチメンブレンを目詰まらせたゲルあるいはパーティクルを走査型電子顕微鏡 (SEM 日立 S-4700) を用いて観察した SEM 用試料作製の際 トラックエッチメンブレン乾燥時に溶液中の BCP 自体が析出しないよう BCP 溶液通液後にPGMEA 20mLでフラッシングした. BCP 溶液中のメタル濃度 図 3に.5% PS-b-PMMA/PGMEA 溶液中のメタル濃度を示す Alとの濃度が顕著に高い これらのメタルはポリマーの合成に由来すると推定される [5] Concentration (ppb) 350 300 250 200 50 0 50 294 0 48 3. 結果と考察 3 6.6 6.4.6.4.4 2 28 Mg Na Fe Ca Zn K Mn Cu Ni Cr Fb 図 3:.5% PS-b-PMMA/PGMEA 溶液中のメタル濃度 4 PALL NEWS vol.22 October 205

2. 接液時間依存性 BCP 中のメタルとしては Alと の量が支配的だったので これらの金属に着目した 図 4のa b cは各種フィルターによるal との除去率の接液時間依存性である 図 4aに示したHDPE 製 2nm 膜の結果において Alと は一定の割合で除去されたが 接液時間依存性は見られなかった このことは この膜において メタル除去は吸着によるものではないことを示している 図 4bに示すように 製 nm 膜は3 種の膜の中で最もAlと を低減することができた nm や2nm といったろ過精度は ふるい除去性能を示す金ナノ粒子チャレンジ試験における粒子捕捉性能に基づいており Nylon6,6 製 nm 膜のふるい除去性能はHDPE 製 2nm 膜よりも低い Nylon6,6 製 nm 膜でAlと の除去率が高かったことはふるい以外のメカニズムが働いたことを示していると考えられ ふるい以外の除去メカニズムとしては 吸着が働いたと考えられる また わずかに見られる接液時間依存性も吸着が寄与していることを示唆していると言える 図 4cはイオン交換フィルターの結果であり メタル除去率に明らかな接液時間依存性が見られる 吸着速度式をフィッティングさせたところ Al, 共に非常に高い決定係数 (R 2 >0.99999) が得られ このことは メタルが吸着により除去されたことを示している また 反応次数がほぼであったが これはメタルが 吸着剤 ( イオン交換基 )> 吸着質 ( メタル ) となる擬 次反応であることを示していると言える -C / C0 a HDPE 2 nm.0 HDPE 2 nm HDPE 2 nm 0.5.0.5 2.0 2.5 3.0 b nm.0 -C / C0 c.0 R 2 >0.99999 >0.99999 C0 48 294 n.2 0.9 k 3 7 CE 8.7 27 0 5 5 20 25 30 図 4: 各ろ過膜による Al 及び 除去率の接液時間依存性.5% PS-b-PMMA/PGMEA C= ろ液のメタル濃度 (ppb), C0= 原液のメタル濃度 (ppb), -C/C0= 除去率, イオン交換フィルターにおいて 実線は吸着速度式をフィッティングさせた結果である (-dc/dt=k(c-ce) n ) ここで t= 接液時間, k= 吸着速度係数, CE= 平衡濃度, n= 反応次数 3. 多段ろ過 図 4における 段ろ過試験では どの膜においても接液時間に対する除去率の頭打ちが見られた 最も除去率の高かった Nylon6,6 製 nm 膜において 最も接液時間の長い点 (=26 sec.) のAl 及び の除去率はともに 0.98(=98%) であり 2 次側では一桁 ppbのメタルが検出されていた さらにこれらのメタルを低減する手段として 多段ろ過を検討した 図 5aはNylon6,6 製 nm 膜による繰り返しろ過の結果である 段目のろ過において 98% 以上の除去率が得られたが 2 段目と3 段目のろ過では 除去率は顕著ではなかった この結果は 図 4bにおける接液時間の延長と 図 5aに示す多段ろ過は Nylon6,6 製 nm 膜によるBCP 溶液のメタル除去において本質的に同じであることを示している 図 5bは Nylon6,6 製 nm 膜の後にイオン交換フィルター (IEX) に通液させた結果である この 2 段ろ過の効果は顕著であり Al, ともに ppb 未満に低減された 図 5cは 図 5bで行った2 段ろ過における膜の順序を逆にしたものである この方法においても メタル濃度は顕著に低減された これら2 段ろ過における膜の順序は 結果に影響しないと言える このような 2 段ろ過における膜の順序を決める上では 吸着容量が鍵となると考えられる というのは 今回のような例では 段目のフィルターには 2 段目のフィルターの 0 倍程度のメタルの量が捕捉されるためである この点については今後の検討課題である -C / C0 nm nm 0 5 5 20 25 30 段ろ過では 接液時間に対する除去率の頭打ちが見られたが 性能の異なる膜を組み合わせた多段ろ過では さらなるメタル低減が確認された この結果より 単独の膜では除去できないメタルの形態が PS-b-PMMA BCP 溶液に存在すると考えられる また Nylon6,6 製 nm 膜で除去できず その後段のイオン交換フィルターで除去できたメタルがあったことは イオン性のメタルが存在することを示していると言える 5 PALL NEWS vol.22 October 205

Concentration / ppb Concentration / ppb Concentration / ppb 00 0 0. a E-3 Influent 2 3 N66 nm repetition of filtration 00 0 0. b E-3 IEX Filter Influent N66 nm IEX Filter 00 0 0. E-3 c < < Influent IEX Filter N66 nm 表 2: 多段ろ過後による.5% PS-b-PMMA/PGMEA 溶液中のメタル低減結果 単位 :ppb, QL: 定量下限 *: 実験エラー QL Influent N66 3 times IEX N66- IEX- N66 0 48 85 03 05 Na 07 6.6 0.53 5 30 Mg 08 3 85 94 74 Al 294 2.3 < QL < QL K 3.4 0.34 9 Ca 8.6 0 9 < QL Cr 4 < QL < QL < QL Mn 2 4 0.3 Fe 0. 6.4 * < QL Ni 0.37 0.3 Cu 3 < QL < QL < QL Zn 0..4 7 < QL Pb 4 3 6 5 4 4. イオン交換フィルターによるゲル除去 図 6に試験液の清浄度を評価するために実施した トラックエッチメンブレンろ過における目詰まりを示す イオン交換フィルターろ液に対する トラックエッチメンブレンの流速の低下は原液に対するものと比較して有意に小さいと言える これは ゲルあるいはパーティクルがイオン交換フィルターにより除去されたことを示している 図 5:.5% PS-b-PMMA/PGMEA 溶液に対する多段ろ過試験結果 N66 膜の接液時間は全て 7.3sec. イオン交換フィルターは全て 25sec. b 及び c において 最終的な Al 濃度は共に <ppb であったが 便宜上 ppb に示した 多段ろ過におけるメタル3 元素の結果を表 2に示す Nylon6,6 製 nm 膜とイオン交換フィルターの組み合わせにおいて どちらが前段でもの除去率は99.99% 以上であり Alの除去率は 99.9% 以上であった Alと 以外のメタルも 多段ろ過によりよく低減された Throughput (g) 50 45 40 35 30 25 20 5 5 CT=25 sec. Influent 0 0 5000 000 5000 20000 25000 30000 Time (sec) 図 6: イオン交換フィルターの原液及びろ液に対するトラックエッチメンブレンろ過におけるろ過時間に対するろ過量.5% PS-b-PMMA/PGMEA 溶液 流速の低下が試験液の清浄度を示す 6 PALL NEWS vol.22 October 205

イオン交換フィルターのふるい性能は PS-b-PMMA/PGMEA 溶液のプレろ過に用いたμm PTFE 膜よりも低い それゆえ イオン交換フィルターにチャレンジした原液中のゲルやパーティクルは イオン交換フィルターによるふるい除去は期待できない これにより イオン交換フィルターによるゲルやパーティクルの除去はイオン交換反応を含む吸着によるものと考えられる また イオン交換フィルターはメタルに対する強い親和性を持つことからも メタルがゲルやパーティクル状となっていたことが推察される 図 7は イオン交換フィルターろ過試験の原液及びろ液を通液したトラックエッチメンブレンの SEM 画像である 原液を通液したトラックエッチメンブレン上に 粗大なゲルあるいはパーティクルが見られる これらの画像からもイオン交換フィルターはイオンのみでなく ある程度の大きさを持つ粒子状の異物を除去したと言える a 4. 結論 PS-b-PMMA/PGMEA 溶液を用いたフィルターの接液時間依存性試験結果より メタル除去メカニズムが次のように推定された HDPE 製 2nm : ふるい除去 Nylon6,6 製 nm : ふるい及び吸着除去イオン交換フィルター : 吸着除去多段ろ過試験の結果から Nylon6,6 製 nm 膜とイオン交換フィルターは それぞれの膜単体では除去できない形態のメタルを相互補完的に除去していることが示された また このような多段ろ過により は99.99% 以上 Al は99.9% 以上といった除去率が達成された BCP 溶液中のメタルの形態として パーティクルあるいはゲル状のものが存在することが 以前の実験において ふるい性能が高いHDPE 製 2nmフィルターでメタルが除去された結果より推定されていたが 今回 吸着性能が高いイオン交換フィルターによるゲル除去結果が得られたことにより確認された 今回 合成由来と考えられるメタルの低減プロセスを確立したことは DSALを用いた半導体製造の実現に寄与するものと考えられる b [] [2] [3] 図 7:BCP 溶液を通液したトラックエッチメンブレンの SEM 画像 a: 原液 b: イオン交換フィルターろ液それぞれ 50g をトラックエッチメンブレンに通液.5% PS-b-PMMA/PGMEA 溶液 トラックエッチメンブレンの孔径は 30nm [4] [5] TEL.03-690-5700 7 PALL NEWS vol.22 October 205