[7] ファスト クーリングとフル金型クーリング解析 はじめに 鹿取事務所鹿取貞夫 クーリング システムはフロー 凝固プロセスにそのまま影響する ストレスと変形に関わる カスティング品質 生産サイクル 収率 金型ライフの全てに関与する 一旦 金型に対するクーリング システム設計が確定すると その後の変更には多大のコストがかかる 在来の CAE で クーリング システムの評価を行っても モデルを修正するのは容易でない 設計変更と再三のシミュレーションに要する労力と 時間の長さが設計者の大きな負担になる Cast-Designer は モデリングと平行して 冷却の評価を実行できる Cast-Designer は他のソフトには無い 新しいコンセプトをクーリング システム設計にもたらす ファスト クーリングとクーリング システムのフル パラメトリック設計である Cast-Designer は 4 つの方法を段階的に実施して時間と労力を大幅に節減する : 1. ファスト クーリング 2. Geo-Designer を併用する 3. シンプル金型モデルまたはフル金型モデルの冷却効果解析 4. サイクル解析後の詳細解析 クーリング チャネルの図形設計 Cast-Designer は クーリング チャネルを設計できるほか 外部 CAD からインポートすることもできる CAD に戻ることなく自身の CAD 機能を使っての設計および修正も可能である ラインを描いてのドラフト設計もできる その端末を選択して 断面直径をアサインすればよい ( 図 1 と図 2) 位置変更 追加 削除が可能である
図 1. チャネルをプレビュー ( 左 : ライン プレビュー右 :3D プレビュー 図 2. フィーチャ ラインと生成されたクーリング チャネル クーリング チャネル カルキュレータ クーリング チャネルの直径と合計長さをガイドするカルキュレータがある パーツの体積 アロイのタイプ 金型サイズ 生産性 チャネルの直径 メディアの流速 熱の影響を考慮して 直径と合計長さを検討するユーティリティ-である ( 図 3) 図 3. クーリング チャンル カルキュレータ
ファスト クーリング法 設計者は製品を最小の不良率 最大の生産性 ベスト品の品質を確かにしなければならない そのためクーリング チャネルの効果を確かめつつ パーツと金型設計の変更を繰返えすプロセスが避けられない しかし クーリング システムの効果確認に必要な条件を設計初期段階で得ることは難しい その時点では チャネル形状 配置 金型図形 ゲート システムなどの CAD データがすべて完成しているわけではないからである Cast-Designer はその問題を回避できる 図 4. メッシングインポートされたカスティング CAD 図形およびインポートまたは作成されたクーリング チャネルに 2D メッシングを実行する 2~3 分でメッシングが終了する ( 図 4.) メッシュ サイズを小さくする必要はない 小さいメッシュ サイズが精度を向上することはなく 表示メモリを無駄にする この後 CPI にスイッチし ファスト クーリングを実行する ファスト クーリングのコンタ画像結果を 2-3 分で得ることができる この機能は他のソフトには無い Cast-Designer に特有の機能である ファスト クーリングはパーツ フィーチャ チャネル数と配置 熱影響を考慮する 最終結果はカスティン図 5. ファスト クーリング解析結果グ パーツとクーリング チャネルの間の熱影響のレベルを凡例で示す ( 図 5.) ユーザーは冷却不足エリアに対し 水管の位置変更 追加などの対策を施す パラメタを変更して再チェックする場合 再メッシングは追加の水管に対してするだけでよい 奨 : Geo-Designer を併用する GEO-Designer(Cast-Designer の DFM システム ) の併用を推奨する MDI とは Mas Distribution Index で カスティング パーツの体積分布を記述する ユーザーが定義するメッシュ サイズにもとづき 三次元厚さのマップをカラー コンタで表示する 操作に必要なのは数分である 高い値は良好なクーリングを 低い値はクーリング不足を意味する ( 図 6) 図 6. EMDI 結果 ( パーツのみ表示 )
GEO-Designer の EMDI とファスト クーリング機能を一体にして 新しいクーリング影響解析結果を得ることができる ( 図 7) 方程式は次の通りである : クーリング影響結果 = ファスト クーリング ファクタ-K*EMDI EMDI ファクタ K はユーザーが定義できる 図 7. ファスト クーリング解析結果 表示コンタの凡例を 0.5 以下を表示するように調整すると 3D 厚さが大きく クーリングが不足する領域を見付けることができる その場合 チャネル場所を調整するか チャネルを追加するかして熱影響をバランスすることができる ( 図 8) 図 8. 赤の領域はクーリング不足 アドバンス クーリング シミュレーション クーリングの詳細シミュレーションにはアセンブリ オプション モジュールが必要である 知識ベース システムがガイドする 操作し易い モデルの設定が簡単 複数ソリューションを比較できる サイクリング解析結果からの詳細シミュレーション結果を図に示す ( 図 9) 凝固過程の温度液相スポット収縮ポロシティ 図 9. 詳細シミュレーション結果
手順は以下の通通りである カスティング コンポーネントとクーリング システムの CAD モデルに対して それぞれにメッシングを実施する カスティング クーリング経路ともに高速の六面面体ファスト メッシュが使使える ( 図 10. と図 11.) 金型形状にシンプル金型を使使う ( 図 12.) 実際のフルモデルがすでに存在在する場合でも シンプル金型による検証を推奨奨する これは計算時間を大きく節節減できる クーーリングは試行結果に基いて経路路を修正するのであるから 短い計計算サイクルで検証を繰り返すのが合理的である シンプル金型 カスティング チャャネルをファスト メッシュでメッシングする ( 図 13.) 熱伝達係数 (HTC) はデフォルト値でも有用な参考結果をえられる より正確な HTC は HTC ウィザードから簡単単に得られる 図 10. モデルを設定 図 11. カスティングとチャネルにファスト メッシュが使使える 図 12. シンプル金型型を作成 図 13. 金型ボックスと カスティングをメッシュ 検証の経過と結結果は図の通通りである ( 図 14.) クーーリング システム無 ( 図 15) のシミュレーションと有 ( 図 16) ) の間には明らかな差がある 明白なことは ポロシティの検証証にクーリングをを加えることはほとんど必須の条件件であるというう図 14. 事実である Cast-Designer はその工程を非常に少少ない手間と時間で遂行行することができる 温度経過 (A) 温温度経過 (B) 図 15. ( ポロシティ ) クーリング システム無し 図 16. ( ポロシティ ) クーリング システム有り
おわりに Cast-Designer はその優れた解析機能で パーツに対する解析が短時間で完了する その結果検出されたポロシティ ( 鋳巣あるいは気孔 ) の可能性を解消する必要がある 鋳巣解消の最も有力な手段がゲート システム設計とクーリングの改修である Cast-Designer はその両方の手段を提供する ゲート システム設計機能は Cast-Designer 標準フルセットを構成するシステムである クーリング システムの評価は 通常の CAE では多大の手数を要するフル金型解析が必要であるが Cast-Designer はフル金型解析に先立つ ファスト クーリング 機能 または Geo-Designer の活用によって 短時間にほとんどの問題を予見して解消することができる Cast-Designer の主要なコンセプトは設計初期段階での フロント解析 なのである カスティングとゲート システムの解析と修正を短時間で試行し 条件を変えつつ複数回実施し そこから正しい決定を選択する フル金型の精密なアドバンス解析に移行して 温度に関与するすべてのファクタを サイクリング解析 ( 別稿で解説 ) で得ることで 温度 充填 凝固のさらに精密な結果を得ることができる また ストレス ストレイン 変形の解析が可能である 迅速なメッシング法と計算能力によって 他の CAE の数倍の速さでフル金型システムに対する精密な解析結果を得ることができる しかし クーリングが及ぼす影響は重大である 設計の早期段階で正しい決定が得られれば 設計 試作の回数とリードタイムを大きく節減できる Cast-Designer のクーリング システム評価機能は 速さと段階的なアプローチによって 全てのユーザーのこの要求に応えることができる 鹿取事務所 : 222-0002 横浜市港北区師岡町 1062-3 メール :katori@imold.jp 開発元 ( 資料提供 ): C3P International Software Co., Ltd. USA, Hong Kong, Quanzhou