日医工 MPI 行政情報 http://www.nichiiko.co.jp/stu-ge/ 後発医薬品への変更ルール (2016 年版 ) 株式会社日医工医業経営研究所 ( 日医工 MPI) ( 公社 ) 日本医業経営コンサルタント協会認定登録番号第 6345 号寺坂裕美 資料 No.20160517-431 変更調剤ルールそのものについての改定はありませんが ルール等の変遷 (P4) に 2016 年度改定の内容を盛り込みました また 一般名処方時の図説スライドを追加 (P12) しました
目次 後発医薬品への変更調剤ルールは この 10 年間で大きく変動した 矢継ぎ早にルールが追加 変更されたため 個々のルールが混同されているケースが散見される 本資料では 後発医薬品の使用促進が具体的に盛り込まれた 2002 年まで遡り 現行のルールを整理し解説する なお本資料では 疑義照会なく変更して調剤することを 変更調剤 とする 2013 年 2 月作成の資料では 代替調剤 としていたが 厚労省発出の通知などでは 変更調剤 と記載されているため 本資料から変更 原則 ( 薬剤師法 ) 後発医薬品使用促進策および変更調剤ルールの変遷 変更調剤ルール 疑義解釈 処方箋受付時のフローチャート 2
原則 ( 薬剤師法 ) 原則 薬剤師は処方箋の記載通りに調剤しなければならず 変更して調剤する場合は疑義照会をして 処方医から同意を得なければ変更できない 薬剤師法第 23 条の 2 薬剤師は 処方せんに記載された医薬品につき その処方せんを交付した医師 歯科医師又は獣医師の同意を得た場合を除くほか これを変更して調剤してはならない 原則処方箋通りに調剤 変更する場合処方医に疑義照会 同意が得られれば処方の変更 調剤済み処方箋 調剤録に記録 例外として後発医薬品への変更であれば 疑義照会なく変更調剤が可能 P22 参照 後発医薬品以外への変更は原則を適用 一部条件付 3
後発医薬品変更調剤ルール等の変遷 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 ( 年度 ) 2016 処方箋様式 処方箋記載医薬品の変更 GE 変更調剤同一剤形 規格 GE 変更調剤別剤形 規格 診療報酬 ( 外来 ) ( 医科 ) ( 調剤 ) 疑義照会により変更可 ( 処方変更 ) 2006 年から GE 変更調剤が認められた 後発医薬品処方加算 2002 年から診療報酬に GE 使用促進策が盛り込まれた 後発医薬品調剤加算 医薬品品質情報提供料 変更可欄変更不可欄 ( 一括型 ) 変更不可欄移動 ( 個別チェック型 ) 変更調剤可 (GE 銘柄処方 別銘柄 GE も可 ) 薬剤料の条件無し 後発医薬品情報提供料 変更調剤可 薬剤料の条件あり 後発医薬品調剤体制加算 一般名処方加算 (1 品目以上 ) GE 銘柄処方変更不可時に理由記載 1( 全ての品目 ) 2(1 品目 ) 外来後発医薬品使用体制加算 入院医療でも後発医薬品使用体制加算 (2010~) DPC 対象病院の後発医薬品指数の導入 (2014~) などがある 処方せんベース 数量ベース ( 旧指標 ) 基準変更 ( 旧指標 ) 計算方法変更 ( 新指標 ) 基準変更 ( 新指標 ) 4
後発医薬品変更調剤 ( 同一剤形 同一規格 ) 2006 年の療担規則改定で 処方箋様式が変更 (GE 変更可署名欄の追加 ) 処方医が後発医薬品への変更を認めた場合 署名欄にサイン又は記名押印 サイン ( 記名押印 ) のある処方箋を受け取った調剤薬局では疑義照会することなく処方箋に記載された医薬品を後発医薬品へ変更 ( 変更調剤 ) ができるようになった 処方箋様式 (2006 年当時 ) 当時 (2006 年度 ) は同一剤形 同一規格の後発医薬品への変更のみ認められた ( 剤形違い 規格違いの変更調剤が認められたのは 2010 年度から ) 後発医薬品への変更について 後発医薬品への変更可 保険医署名 2008 年には後発医薬品への変更を認めない場合にサインをする方式に変更 2012 年には個々の医薬品に変更不可の印をつけ さらにサインもする個別チェック型に変更 ( 現行の書式 ) 署名又は 記名押印 5
変更調剤に関する疑義解釈 平成 18 年 3 月 31 日厚生労働省事務連絡 疑義解釈資料の送付について ( その 3) ( 問 144) 特定の後発医薬品の銘柄を処方し 処方せんに 後発医薬品への変更可 の欄に署名等を行った場合でも 患者の求めがあった場合などについては 保険薬局において 患者が他の後発品を選択することは可能か ( 答 ) 差し支えない なお その場合であっても 実際に調剤した医薬品に関する情報について保険薬局から情報提供がなされることが必要 当時は同一剤形 同一規格の後発医薬品への変更調剤のみ認められている 疑義解釈では 後発医薬品から後発医薬品への変更を認めており 薬剤料の違いについては記載されていない 薬剤料が高くなる場合でも患者の同意があれば 変更調剤可能 平成 20 年 2 月 13 日中医協総会資料 2008 年度からはサインのない処 平成 20 年度診療報酬改定における主要改定項目について ( 案 ) P145~ 方箋が 変更可処方箋 となった 2 後発医薬品の薬局での銘柄変更調剤 (2) 後発医薬品の銘柄を指定した処方が多いことによる薬局の負担軽減を図るため 変更不可 欄に署名等がない処方せんに記載された後発医薬品 ( 処方医が変更不可とした後発医薬品を除く ) については それを受け付けた薬局の薬剤師が 患者に対して説明し その同意を得ることを前提に 処方医に改めて確認することなく 別銘柄の後発医薬品を調剤できることとする 2008 年診療報酬改定資料に改めて明記された ここでも薬剤料の違いなどの条件は記載されていない 6
後発医薬品変更調剤 ( 剤形違い 規格違い ) 2010 年度診療報酬改定において 剤形違い及び規格 ( 含量 ) 違いの後発医薬品への変更調剤が条件付きで認められた ( 剤形違いは内服薬のみ 規格違いは内服薬 外用薬 ) この時に付与された条件が 変更調剤後の薬剤料が変更前と同額又はそれ以下 平成 22 年 3 月 5 日保医発 0305 第 12 号 処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について 一般名処方からの変更について追記 平成 24 年 3 月 5 日保医発 0305 第 12 号 処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について 剤形違い 規格 ( 含量 ) 違いの後発医薬品への変更調剤についての取扱いが記載されている 同一剤形 規格の後発医薬品への変更調剤は従来通り ( フィードバックについては 2010 年から合議による方法 頻度で可となった ) 平成 24 年通知冒頭 7
8 処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について 処方せんに記載された医薬品 ( 以下 処方薬 という ) については 処方せんに銘柄名の記載がなされた場合 ( 以下 銘柄名処方 という ) には 一定の要件の下において 保険薬局において処方医に事前に確認することなく含量違い又は類似する別剤形の後発医薬品に変更して調剤すること ( 以下 変更調剤 という ) を認めることとされ 処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について ( 平成 22 年 3 月 5 日保医発 0305 第 12 号 ) によりその取扱い ( 以下 従来からの取扱い という ) を周知してきたところである 一方で 一般的名称に剤形及び含量を付加した形で処方せんに記載がなされた場合 ( 以下 一般名処方 という ) には 従来より 保険薬局において処方医に事前に確認することなく一般的名称が同一である成分を含有する医薬品を用いて調剤を行ってきたところである 今般 後発医薬品の使用促進の一環として 処方せんの様式が変更されること及び一般名処方を推進することとされたことを踏まえ 変更調剤の具体的な方法を下記のとおりとするので その取扱いに遺漏のないよう保険医療機関 保険薬局 審査支払機関等に対し 周知徹底を図られたい なお 処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について ( 平成 22 年 3 月 5 日保医発 0305 第 12 号 ) は 平成 24 年 3 月 31 日限り廃止する 記第 1 銘柄名処方に係る処方薬の保険薬局における調剤の方法について 1 処方薬 ( 銘柄名処方に係るものに限る ) の 変更不可 欄に 又は が記載されていない場合処方薬に代えて 後発医薬品 ( 含量規格が異なるもの又は類似する別剤形のものを含む ) を調剤することができる ただし 処方薬の近傍に 含量規格変更不可 又は 剤形変更不可 の記載等がある場合には 患者に対して説明し同意を得ることを条件に 従来からの取扱いどおり その指示に従い調剤することができる 2 処方薬 ( 銘柄名処方に係るものに限る ) の 変更不可 欄に 又は の記載があり かつ 保険医署名 欄に処方医の署名又は記名 押印がある場合処方薬を後発医薬品 ( 含量規格が異なるもの及び類似する別剤形のものを含む ) には変更で きない 第 2 一般名処方に係る処方薬の保険薬局における調剤の方法について 平成 24 年 3 月 5 日保医発 0305 第 12 号 疑義照会で処方変更が認められれば変更可 処方薬と一般的名称が同一である成分を含有する医薬品 ( 含量規格が異なる後発医薬品又は類似する別剤形の後発医薬品を含む ) を調剤することができる ただし 処方薬の近傍に 含量規格変更不可 又は 剤形変更不可 の記載等がある場合には 患者に対して説明し同意を得ることを条件に 従来からの取扱いどおり その指示に従い調剤することができる
9 処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について 平成 24 年 3 月 5 日保医発 0305 第 12 号 第 3 変更調剤を行う際の留意点について 1 一般名処方とは 単に医師が先発医薬品か後発医薬品かといった個別の銘柄にこだわらずに処方を行っているものであること 2 先発医薬品から後発医薬品への変更調剤が可能な処方せん又は一般名処方に係る処方せんを受け付けた保険薬局の保険薬剤師は 1 も踏まえつつ 患者に対して後発医薬品に関する説明を適切に行うとともに 後発医薬品を調剤するよう努めなければならないものであること 3 処方薬から後発医薬品 ( 含量規格が異なるものを含む ) への変更調剤 ( 類似する別剤形の後発医薬品への変更調剤を除く ) は 処方薬と同一の剤形の後発医薬品が対象となるものであること 4 含量規格が異なる後発医薬品又は類似する別剤形の後発医薬品への変更調剤は 変更調剤後の薬剤料が変更前のものと比較して同額以下であるものに限り 対象となるものであること また 含量規格が異なる後発医薬品又は類似する別剤形の後発医薬品への変更調剤は 規格又は剤形の違いにより効能 効果や用法 用量が異なる場合には対象外とするものであること 5 類似する別剤形の医薬品とは 内服薬であって 次の各号に掲げる分類の範囲内の他の医薬品をいうものであること ア錠剤 ( 普通錠 ) 錠剤 ( 口腔内崩壊錠 ) カプセル剤 丸剤イ散剤 顆粒剤 細粒剤 末剤 ドライシロップ剤 ( 内服用固形剤として調剤する場合に限る ) ウ液剤 シロップ剤 ドライシロップ剤 ( 内服用液剤として調剤する場合に限る ) 6 後発医薬品への変更調剤を行うに当たり 保険薬局の保険薬剤師は 当該保険薬局において当該後発医薬品を選択した基準 ( 例えば 当該後発医薬品に係る薬価 製造販売業者における製造 供給 情報提供に係る体制及び品質に関する情報開示の状況等 ) を患者に対して説明すること 7 保険薬局において 銘柄名処方に係る処方薬について後発医薬品 ( 含量規格が異なるもの及び類似する別剤形のものを含む ) への変更調剤を行ったとき又は一般名処方に係る処方薬について調剤を行ったときは 調剤した薬剤の銘柄 ( 含量規格が異なる後発医薬品を調剤した場合にあっては含量規格を 類似する別剤形の後発医薬品を調剤した場合にあっては剤形を含む ) 等について 当該調剤に係る処方せんを発行した保険医療機関に情報提供すること ただし 当該保険医療機関との間で 調剤した薬剤の銘柄等に係る情報提供の要否 方法 頻度等に関してあらかじめ合意が得られている場合は 当該合意に基づいた方法等により情報提供を行うことで差し支えない 第 4 その他処方せんにおける変更調剤に関する記載方法については 診療報酬請求書等の記載要領等について ( 昭和 51 年 8 月 7 日保険発第 82 号 ) 別紙 2 の第 5 処方せんの記載上の注意事項 によるものであること
先発医薬品 後発医薬品変更調剤 ( 内服薬の場合 ) ア錠剤 ( 普通錠 ) 錠剤 ( 口腔内崩壊錠 ) カプセル剤 丸剤 イ散剤 顆粒剤 細粒剤 末剤 ドライシロップ剤 ( 内服用固形剤として調剤する場合に限る ) ウ液剤 シロップ剤 ドライシロップ剤 ( 内服用液剤として調剤する場合に限る ) 同一グループ内での剤形変更が認められている 必ず疑義照会 ( 処方変更 ) が必要 1 別銘柄 ( 一物二名称 ) 同一規格同一剤形 処方箋記載医薬品 ( 先発医薬品 ) ゼリー剤については明記されておらず 変更の際には疑義照会 ( 処方変更 ) が必要と思われる GE 別規格 6 2 錠 10( ブランド名 ) 379.3 円 錠 5 2 154.2 円 2=308.4 円 同一銘柄別規格 3 同一銘柄別剤形 錠 10( ブランド名 ) 387.9 円 4 GE 同一規格同一剤形 GE 別剤形 5 錠 5mg B 社 2 52.3 円 2=104.6 円 効能効果 用法用量が異なる場合は対象外 10 薬剤料が同額以下であっても必ず疑義照会 ( 処方変更 ) が必要 OD 錠 10 387.9 円 錠 10mg A 社 204.8 円 カプセル 10mg C 社 162.7 円
後発医薬品 後発医薬品変更調剤 ( 内服薬の場合 ) ア錠剤 ( 普通錠 ) 錠剤 ( 口腔内崩壊錠 ) カプセル剤 丸剤 イ散剤 顆粒剤 細粒剤 末剤 ドライシロップ剤 ( 内服用固形剤として調剤する場合に限る ) ウ液剤 シロップ剤 ドライシロップ剤 ( 内服用液剤として調剤する場合に限る ) 1 別銘柄別規格 処方箋記載医薬品 (GE) 同一グループ内での剤形変更が認められている ゼリー剤については明記されておらず 変更の際には疑義照会 ( 処方変更 ) が必要と思われる 3 錠 5mg B 社 2 52.3 円 2=104.6 円 変更する場合は疑義照会 ( 処方変更 ) が必要 変更前より薬剤料が高いので変更調剤不可 ( 剤形違いも同様 ) 1 同一銘柄別規格 2 錠 10mg A 社 148.9 円 別銘柄別剤形 別銘柄同一剤形同一規格 2 錠 10mg D 社 163.8 円 変更前より薬剤料が高額でも患者の同意により変更調剤可 11 錠 5mg A 社 2 83.4 円 2=166.8 円 カプセル 10mg C 社 132.7 円 内服液 0.1% E 社 10.0 円 10mL=100.0 円 グループが違うので 薬剤料が低くても疑義照会 ( 処方変更 ) が必要
一般名処方による調剤 ( 内服薬の場合 ) ア錠剤 ( 普通錠 ) 錠剤 ( 口腔内崩壊錠 ) カプセル剤 丸剤 イ散剤 顆粒剤 細粒剤 末剤 ドライシロップ剤 ( 内服用固形剤として調剤する場合に限る ) ウ液剤 シロップ剤 ドライシロップ剤 ( 内服用液剤として調剤する場合に限る ) 1 GE 以外 GE 同一規格同一剤形 一般名処方医薬品 ( 錠 10mg) GE 別規格 同一グループ内での剤形変更が認められている ゼリー剤については明記されておらず 変更の際には疑義照会 ( 処方変更 ) が必要と思われる 6 錠 10:387.9 円 錠 10mg A 社 204.8 円 2 錠 5 2 154.2 円 2=308.4 円 GE 以外別規格 3 GE 以外別剤形 ( 対象先発品 ) 錠 10 387.9 円 GE 別剤形 4 錠 5mg D 社 2 52.3 円 2=104.6 円 対象となる先発品が一物二銘柄の場合はいずれの薬剤料と比較しても良いが 患者が該当する先発品を既に使用している場合は 当該医薬品の薬剤料と比較する 5 疑義照会 ( 処方変更 ) が必要 薬剤料が同額以下であっても必ず疑義照会 ( 処方変更 ) が必要 12 OD 錠 10 387.9 円 カプセル10mg B 社 162.7 円 OD 錠 10mg C 社 400.3 円
後発医薬品変更調剤 ( 外用薬の場合 ) 外用薬の後発医薬品への変更調剤の場合 剤形を変えることは認められていない 規格違いの場合は外用薬でも変更調剤可能 ( 変更調剤前の薬剤料を超えないこと ) 外用薬には内服薬のような剤形違いの変更ルールはない クリーム ゲル パップ テープ 外用薬の剤形を変更する場合は疑義照会が必要 処方欄 ( 変更可処方箋 ) クリーム 1%( 先発品 ) 20g 6 本 20g 6=120g 20g 20g 20g 20g 20g 20g 20g 30g 30g 4=120g 総量が同じであれば 1 本当たりの量が異なっても変更調剤可能 ( 先発品 ) クリーム 1% 1 本 20g 薬価 20.3 円 /g > (GE) クリーム 1% A 社 1 本 30g 薬価 10.3 円 /g 30g 30g 30g 30g 13
変更調剤まとめ : 処方箋記載医薬品 : 調剤可 変更調剤可 : 疑義照会必要 : 条件付変更調剤可 ( 変更前の薬剤料を超えないこと ) 別規格 : 内服薬及び外用薬別剤形 : 内服薬で規定されたグループ内での変更に限る 調剤 先発品 後発医薬品 処方箋記載 同一銘柄同一剤形同一規格 別銘柄同一剤形同一規格 別剤形別規格 同一銘柄同一剤形同一規格 別銘柄同一剤形同一規格 別剤形別規格 銘 ( 柄変処更方可 ) 先発品 後発医薬品 一般名処方 14 一般名処方の場合は記載された成分 剤形 規格の先発医薬品の薬剤料と比較
変更調剤に関する疑義解釈 平成 20 年 3 月 31 日日本医師会 平成 20 年度診療報酬改定 Q&A ( その 2) Q7. 先発医薬品と後発医薬品で適応症が異なる医薬品が存在するが 薬局において先発医薬品の適応症がない後発医薬品が投与されることも想定されるが 医療機関としてはどのように対応すればよいのか A7. 平成 19 年 10 月 15 日に示された厚生労働省 後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム で安定供給 品質確保 情報提供等の取組が示され 先発医薬品と後発医薬品の効能 効果等を一致させる対応がなされているが 再審査期間中 特許期間中等の理由によりどうしても後発医薬品が効能を取得できないものが現時点で17 成分存在しており これらのリストは医薬工業協議会のHPにも掲載されている JGA しかし 薬局では 処方せんに記載された情報しか知り得ないことから 患者の疾患名まで正確に把握することは困難である そのため 先発医薬品を 後発医薬品が有しない効能に対する使用目的で処方する場合には 当該薬剤の銘柄名の近傍に 変更不可 と記載するなどの方法により 他の銘柄の医薬品への変更を禁ずるよう指示が必要となる また 処方せんの指示に基づき 先発医薬品から後発医薬品へ変更された場合や別銘柄の後発医薬品へ変更された場合には 薬局から医療機関に対し 実際に調剤した後発医薬品の銘柄名などに関する情報が提供されることから 保険適用上の問題があれば直ちに指摘することが可能である 一方 日本薬剤師会としても 会員に対し 先発医薬品等と効能 効果等に違いがある後発医薬品リスト ( 前述 ) について周知を図っているほか 処方せんに 変更不可 の指示がなかったとしても 調剤にあたり疑義が生じた場合は処方医に対して照会するよう指導している したがって 薬局から処方内容に関する疑義照会を受けた場合には 適切に対応されるようお願いしたい また 前述のアクションプログラムの中で 地域レベルで使用されている後発医薬品リストの医療関係者間での共有の推進を日本薬剤師会に要請する と示されていることを受け 日本薬剤師会では 都道府県薬剤師会に対して 地域毎の後発医薬品の備蓄リストを作成するためのデータ提供を予定している 15 GE に適応がない場合は処方箋に指示 ( 変更不可指定など ) が必要とされているが 指示のない場合でも薬局は GE 変更調剤に疑義が生じた場合は疑義照会が必要
変更調剤に関する疑義解釈 平成 20 年 3 月 28 日日本薬剤師会 平成 20 年度調剤報酬改定等に関する Q&A( その 2) ( 調剤 ) Q4. 後発医薬品への変更が可能な処方せんにおいて 先発医薬品と後発医薬品で効能 効果などに違いがある医薬品が含まれていた場合は どのように取り扱うべきか A. 処方せんに記載されている先発医薬品を後発医薬品に変更して調剤することに差し支えがある場合は 処方医により 処方せんの処方欄 ( 当該医薬品の近傍 ) もしくは備考欄に変更不可の旨が記載されることになっているが 後発医薬品への変更が可能な処方せんであっても 処方せんに記載されている先発医薬品の用法 用量または併用薬などから後発医薬品が有しない効能 効果に係る使用が推測されるなど 後発医薬品への変更にあたり疑義が生じた場合には 処方医に対して照会する必要がある なお 先発医薬品等と効能 効果等に違いがある後発医薬品リスト ( 再審査期間中 特許期間中 審査期間中等の理由により 後発医薬品が効能を取得できないもの ) については 医薬工業協議会のホームページにも掲載されているので参考にされたい JGA 16
変更調剤に関する疑義解釈 平成 22 年 3 月 19 日日本薬剤師会 平成 22 年度調剤報酬改定に関する Q&A Q. 処方せんに記載された医薬品を 1 含量規格が異なる後発医薬品または 2 類似する別剤形の後発医薬品 - に変更調剤する場合 患者に対して説明し同意を得ることを条件 に 変更調剤後の薬剤料が変更前のものと比較して同額以下であるものに限り 認められているが 比較にあたっては薬価 ( 円 ) でなく 薬剤料 ( 点 ) によるものと理解してよいか A. そのとおり 平成 22 年 3 月 19 日日本薬剤師会 平成 22 年度調剤報酬改定に関する Q&A Q. 処方せんに記載された医薬品を含量規格が異なる後発医薬品に変更して調剤する場合 患者の同意が得られ かつ 薬剤料が同額以下であれば可能だが たとえば 1 錠 10mg が処方されているケースで 1 錠 20mg を半錠化したものに変更することも可能か A. 差し支えない 平成 22 年 3 月 19 日日本薬剤師会 平成 22 年度調剤報酬改定に関する Q&A Q. 処方せんに記載された医薬品を後発医薬品に変更する場合 患者の同意が得られており かつ 薬剤料が同額以下であれば 1 含量規格が異なる後発医薬品または 2 類似する別剤形の後発医薬品に変更調剤することは可能だが 1 と 2 はどちらか一方しか認められないのか それとも 1 と 2 をともに満たすケースも認められると理解してよいのか A.1 および 2 をともに満たすケースについても 変更調剤が認められる 条件を満たしていれば変更可 17 カプセル 5mg 2 OD 錠 10mg 1
変更調剤に関する疑義解釈 平成 22 年 3 月 19 日日本薬剤師会 平成 22 年度調剤報酬改定に関する Q&A Q. 一般名で記載された処方せんについては 処方医への確認なしに 1 含量規格が異なる後発医薬品または 2 類似する別剤形の後発医薬品 - に変更調剤することが可能か A. 差し支えない 平成 22 年 4 月 30 日厚生労働省事務連絡 疑義解釈資料の送付について ( その 3) ( 調剤 ) ( 問 1) 類似する別剤形の後発医薬品への変更調剤に関して 変更調剤後の薬剤料が変更前のものと比較して同額以下であり かつ 患者の同意が得られた場合 以下の例についても 処方医に事前に確認することなく変更調剤することが可能と考えてよいか ( 注 : の上側が処方せんの記載内容 下側が調剤する内容を示す ) 先発医薬品 (10mg 錠剤 ) 1 錠 ( 錠剤を粉砕すること との指示あり )1 日 1 回朝食後 後発医薬品 ( 散剤 ) 10mg 1 日 1 回朝食後 ( 答 ) 差し支えない 錠剤と散剤はグループが違うので 通常であれば変更対象外だが 粉砕の指示がある場合は錠剤から散剤への変更調剤が認められる 18
変更調剤に関する疑義解釈 一般名処方 剤形違い 規格違いの先発医薬品への変更について 平成 24 年 4 月 20 日厚生労働省事務連絡 疑義解釈資料の送付について ( その 2) ( 調剤 ) ( 問 1) 後発医薬品への変更調剤において 処方医から含量規格や剤形に関する変更不可の指示がなく かつ 変更調剤後の薬剤料が変更前と同額以下である場合に限り 含量規格が異なる後発医薬品または類似する別剤形の後発医薬品に変更できるが 一般名で記載された処方せんにより 先発医薬品を調剤する場合にも 含量規格や剤形の変更は可能か ( 答 ) 含量規格が異なる医薬品または類似する別剤形の医薬品への変更については 後発医薬品へ変更調剤する場合に限り認められる 変更調剤は 後発医薬品の使用促進のための一環として導入されている措置であることから 一般名処方に基づき 先発医薬品を調剤する場合は対象とされていない 一物二名称の先発品がある成分に対して一般名処方が行われた時の薬剤料比較について 平成 24 年 4 月 20 日厚生労働省事務連絡 疑義解釈資料の送付について ( その 2) ( 調剤 ) ( 問 2) 処方せんに含量規格や剤形に関する変更不可の指示がなく 変更調剤後の薬剤料が変更前と同額以下であれば 含量規格が異なる後発医薬品又は類似する別剤形の後発医薬品 に変更できるが 一般名処方に基づいて後発医薬品を調剤する際に 該当する先発医薬品が複数存在し それぞれ薬価が異なる場合には 変更前の薬剤料についてどのように考えるべきか ( 答 ) 一般名で記載された先発医薬品に該当していれば いずれの先発医薬品の薬剤料と比較するものであっても差し支えない ただし 患者が当該一般名に該当する先発医薬品を既に使用している場合は 当該医薬品の薬剤料と比較すること 19
変更調剤後のフィードバックについて 第 3 変更調剤を行う際の留意点について平成 24 年 3 月 5 日保医発 0305 第 12 号 1 ~6( 略 ) 7 保険薬局において 銘柄名処方に係る処方薬について後発医薬品 ( 含量規格が異なるもの及び類似する別剤形のものを含む ) への変更調剤を行ったとき又は一般名処方に係る処方薬について調剤を行ったときは 調剤した薬剤の銘柄 ( 含量規格が異なる後発医薬品を調剤した場合にあっては含量規格を 類似する別剤形の後発医薬品を調剤した場合にあっては剤形を含む ) 等について 当該調剤に係る処方せんを発行した保険医療機関に情報提供すること ただし 当該保険医療機関との間で 調剤した薬剤の銘柄等に係る情報提供の要否 方法 頻度等に関してあらかじめ合意が得られている場合は 当該合意に基づいた方法等により情報提供を行うことで差し支えない ジェネリックに変更できますが 変更されますか? 薬局 合意 フィードバック必要なし 取り決めを行った保険医療機関 ジェネリックに変更してもフィードバックはいらないよ 20 お願いします フィードバック必要 取り決めをしていない保険医療機関
変更調剤後のフィードバック等に関する疑義解釈 ( 処方元 ) 平成 18 年 3 月 28 日厚生労働省事務連絡 疑義解釈資料の送付について ( その 2) ( 問 5) 実際に薬剤変更が行われた場合 処方医の属する医療機関はカルテの薬剤名の記載を変更する必要があるのか ( 答 ) 保険薬局から薬剤を変更した旨報告があるため その内容を適切に診療録に反映することが望ましい 平成 24 年 4 月 20 日厚生労働省事務連絡 疑義解釈資料の送付について ( その 2) ( 問 42) 処方せん料注 6 に規定する薬剤の一般的名称を記載する処方せんを交付した場合の加算を算定する場合には 診療録に一般的名称で処方内容を記載する必要があるのか ( 答 ) 必ずしも診療録に一般的名称で処方内容を記載する必要はなく 一般的名称で処方が行われたことの何らかの記録が残ればよい 平成 24 年 4 月 20 日厚生労働省事務連絡 疑義解釈資料の送付について ( その 2) ( 問 43) カルテには できるだけ詳しい情報を記載しておくことが望ましいとは思うが 一般名を記載した処方せんを発行した場合に 実際に調剤された薬剤の銘柄等について保険薬局から情報提供があった際に 薬剤の銘柄等を改めてカルテに記載しなければならないのか ( 答 ) 改めてカルテに記載する必要はない 発行した処方せんの内容がカルテに記載されていればよい 平成 24 年 4 月 20 日厚生労働省事務連絡 疑義解釈資料の送付について ( その 2) ( 問 44) 一般名を記載した処方せんを発行した場合に カルテにはどのような記載が必要か ( 答 ) 医療機関内で一般名又は一般名が把握可能な製品名のいずれかが記載されていればよい 21 銘柄処方からの変更調剤で フィードバックを受けた場合はカルテへの反映が望ましいとされている ( 平成 18 年 3 月 28 日問 5 より ) 一般名処方からのフィードバックについてはカルテへの記載は必要ないとされている
P3 関連疑義解釈 変更調剤後の薬局の対応に関する疑義解釈 ( 調剤薬局 ) 平成 18 年 3 月 29 日日本薬剤師会 平成 18 年度調剤報酬改定等に係る Q&A( その 1) 問 3. 処方せんの 後発医薬品への変更可 との指示に基づき 保険薬局において後発医薬品へ変更して調剤した場合 保険薬剤師は 調剤した医薬品の銘柄を処方せんに記載する必要があるのか 答. 処方せんに記載する必要はないが 調剤録には 実際に調剤した医薬品の銘柄を記載しなければならない ただし 調剤済みの処方せんをもって調剤録として保存する場合には 実際に調剤した医薬品の銘柄を記載することになる 疑義照会 ( 処方変更 ) で変更した場合は処方箋への記載が必要 診療報酬請求書等の記載要領等について 等の一部改正について 平成 26 年 3 月 26 日保医発 0326 第 3 号第 5 処方せんの記載上の注意事項 1~8( 略 ) 9 その他 (1) ~(3)( 略 ) (4) その他次の事項を 備考 欄又は 処方 欄に記入すること ア処方せんを交付した医師又は歯科医師の同意を得て処方せんに記載された医薬品を変更して調剤した場合には その変更内容イ医師又は歯科医師に照会を行った場合は その回答の内容 22
処方箋を受けた薬局の対応例 ( フローチャート 1) 先発品銘柄指定処方箋 ( 変更可 ) 一般名処方箋 基本的に実線 ( ) だが 場合によっては破線 ( ) に進むこともある 希望する 患者に GE の希望を確認 希望しない GE の情報提供 GE 収載あり GE の薬価収載を確認 GE 収載なし GE 在庫あり ( 同一剤形 規格 ) GE 在庫あり ( 別剤形 別規格 ) GE 在庫なし GE が販売されていないことの説明 ( 先発品銘柄指定処方箋 ) 一物二名称の先発品を選択 処方銘柄と同額以下 (1 日薬剤料 ) 患者の同意 処方銘柄より高い (1 日薬剤料 ) 患者の同意 疑義照会 いずれかの対応 GE 調達 次回対応 疑義照会 23 GE を調剤 ( 同一剤形 同一規格 ) GE を調剤 ( 別剤形 別規格 ) 調達したGEを調剤 先発品を調剤 変更した薬剤 ( 先発品 ) を調剤 一般名処方で GE を調剤しなかった場合はレセプトに理由を記載 (4 つから選択 ) 剤形又は規格を変更する場合は変更前の薬剤料を超えないこと 剤形又は規格を変更する場合に効能効果 用法用量が異なる場合は変更対象外 変更可処方箋及び一般名処方箋であってもGEにない効能効果 用法用量での処方が推測される場合は GEの調剤に当たっては疑義照会が必要 一般名による処方箋で調剤した薬剤の銘柄名 又は先発品銘柄指定処方箋によりGEを調剤した場合は 処方医にフィードバックが必要( 有無も含め合議の方法で可 )
処方箋を受けた薬局の対応例 ( フローチャート 2) 後発医薬品銘柄指定処方箋 ( 変更可 ) GE 在庫あり GE 在庫なし 同一銘柄 剤形 規格の在庫あり 同一銘柄 別剤形 別規格の在庫あり 別銘柄の在庫あり 患者の意向を確認 処方銘柄と剤形 規格が異なる 処方銘柄と剤形 規格が同じ GE を希望 先発品を希望 処方銘柄と同額以下 (1 日薬剤料 ) 処方銘柄より高い (1 日薬剤料 ) いずれかの対応 GE 調達 次回対応 患者の同意 患者の同意 疑義照会 疑義照会 患者の同意 GE を調剤 ( 処方通り ) GE を調剤 ( 別剤形 別規格 ) GE を調剤 ( 別銘柄 同一剤形 同一規格 ) 調達した GE を調剤 先発品を調剤 24 剤形又は規格を変更する場合は変更前の薬剤料を超えないこと 剤形又は規格を変更する場合に効能効果 用法用量が異なる場合は変更対象外 処方箋に記載された医薬品以外を調剤した場合は処方元にフィードバックが必要( 有無を含め合議の方法で可 )