1 1 A 1 受精は卵子と精子が合体し, 細胞質と核が融合する現象です 排卵された卵子は腹腔内 に放出されますが, 速やかに卵管采に取り上げられ, 卵管上皮の線毛運動に従って卵管膨 大部に至ります 精子は自らの運動で子宮を通過して卵管膨大部にたどり着き, ここで受 精します とう射精された精子の数は 2 億個を超えますが, 卵管膨大部に至るまでにそのほとんどが淘た汰され, そこにたどり着くのは数十個です なお, 射出直後の精子にはただ前進するだけ の能力しかなく, このままでは受精できません しかし, 女性生殖器内に滞在中 ( 数時間 以上は必要です ) に先体細胞膜の糖蛋白が剝がれることによって一挙に受精能を獲得 ( 三 次元的な運動をするようになります ) します 射出された精子は子宮内で数日間は生存していますが, 実際に受精能を維持できるのは せいぜい 1 2 日です 他方, 放出された卵子の生存期間はわずか数時間です 2 acrosome reaction( 図 1-1) 精子が卵子周囲の透明帯 ( 卵子と顆粒膜細胞の間の層 ) に接触すると, その先体が変化して穿孔しますが, これを先体反応と呼びます 透明帯への接着には放線冠 ( 数層の顆粒膜細胞 ) をくぐり抜ける三次元的な運動が必要なので, 受精能を獲得した精子のみが先体反応を起こすことができます 透明帯を貫通した精子は, 卵子の細胞膜と接着し, 速やかに融合します 卵子にとってはこれが大きな刺激となって, 第 2 減数分裂が再開します この第 2 減数分裂は速やかに完了し, 第 2 次極体を放出して,23 本の染色体で DNA 量が n の雌性前核ができあがります 他方, 精子の核は核蛋白であるヒストンがプロタミンに置換されることよって凝縮されていましたが, ここでプロタミンをヒストンに戻して元の姿になり, 雄性前核となります ( 以前から精子の染色体は23 本,DNA 量は n です ) 雌雄の前核は受精後 12 時間程度は存続し, その間にそれぞれが DNA 量を 2 倍に増やします そして, 両者は接近し, 相互の核膜を失って完全に融合するとともに細胞分裂を起こして2 細胞期に入ります これで受精は完了しますが, ここまで至るのに約 30 時間を要します 64 第 2 章産科領域
1 射精直後の精子に受精能はないが, 女性生殖器内で先体細胞 膜の糖蛋白が剝がれると受精能を得る 精子が卵子周囲の透明帯に接触すると, その先体が変化して 穿孔する ( 先体反応 ) 3 ( 図 1-2) 受精卵は輸送されている最中にも, どんどんと分裂を繰り返します この時期には受精卵は大きくならないので, 分裂する度に個々の細胞は小さくなります そのために, この現象を卵割, 個々の細胞を割球と呼びます そして, 割球が 16 個まで増えると, まるで桑の実のように見えるところから, 桑実胚と呼ばれます つまり, 受精卵は桑実胚になってから子宮腔内に登場することになります 発生 ( 受精後 )4 5 日経つと, 桑実胚には液体が進入して内部に胚盤胞腔を形成し, 受精卵自体は胚盤胞と呼ばれるようになります この胚盤胞を構成する細胞は, 透明帯を裏打ちするように薄く配列する栄養膜 ( 外細胞塊 ) と, その内側に形成される内細胞塊の胚結節に分かれます 栄養膜からは胎盤が, 胚結節からは胎児ができあがります 第 2 章 産科領域 65
18 4 2 4 implantation( 図 1-3) a 着床は妊卵が子宮内膜に沈下して埋没する現象で, 発生 6 7 日目に生じ, このときには妊卵は胚盤胞になっています 妊卵は最も表層の緻密層にすっぽりとはまり込み, 進入口は再生した内膜組織によって覆われ, 外側からは見えなくなります これで着床が完了しますが, ここまで至るには着床開始から数えて 4 5 日間 ( 受精後 11 12 日間 ) を要します b 着床に際しては, 子宮内膜は分泌期になって待機しています ( 豊富なグリコーゲンを蓄 えています ) 分泌期に移行するにはエストロゲンとプロゲステロンの作用が不可欠です が, これは妊娠黄体からどんどんと供給されます c 着床が進行中の発生 8 日ころから, 胚結節を覆う栄養膜は次第に多層化し, 草木のよう に根付いて, 原始絨毛膜と呼ばれます そして, 着床が完了する発生 12 日ころなると, 原 始絨毛膜は 2 種類の細胞に分化します 1 つは内膜を構成する単核細胞で, 細胞性栄養膜細胞 (L ラングハンス anghans 細胞 ) と呼ばれます もう 1 つは細胞性栄養膜細胞が融合して生じた多核 66 第 2 章産科領域
1細胞で, 合胞体栄養膜細胞と呼ばれます 67 1112 受精卵は桑実胚 ( 発生 3 日 ) になって子宮腔内に登場 ( 発生 4 日 ) 桑実胚は胚盤胞となり, 栄養膜と胚結節に二分される 着床は, 胚盤胞期の受精卵が子宮内膜に埋没する現象 5 妊娠維持には, エストロゲン, プロゲステロン, ヒト絨毛性ゴナドトロピン (hcg), ヒト胎盤ラクトーゲン (hpl) といったホルモンが不可欠です 上述したように, エストロゲンとプロゲステロンは妊娠初期には妊娠黄体で産生されますが, やがて胎盤に引き継がれます また,hCG は合胞体栄養膜細胞 ( やがて胎盤の絨毛になります ) で,hPL は絨毛外栄養膜細胞で産生されます 6 ( 表 1-1) a WHO によれば, 最終正常月経第 1 日 ( 開始日 ) を起算点とし, すべて 満 で計算します つまり, 最終正常月経第 1 日は妊娠 0 日, 妊娠 0 日から妊娠 6 日までの 7 日間は妊娠 0 週 ( ただし, 妊娠 0 週という表現は一般的ではなく, この期間は日数を用います ), 妊娠 7 日から13 日までの 7 日間は妊娠 1 週となります ほとんどの妊娠は,280±15 日で出産に至ります したがって, 正常妊娠持続期間を 280 第 2 章 産科領域 67
4 4 A delivery 1 胎児およびその付属物を母体外に排出し, 妊娠を終了させる現象 が分娩です つまり, 母体からみた現象が分娩で, 胎児からみた現象が出産ということになります ところで, 分娩 ( 出産 ) という概念は胎児の生死を問いません そこで, 児がバイタルサインを示す場合を出生, 示さない場合を死産と呼びます ただし, わが国の法令は死産を 妊娠第 4 月 (12 週 ) 以降の死児の出産 と定義して届出義務を課している関係で, 妊娠 4 月未満の死児の出産に対しては適切な用語がありません 2 分娩は経過によって自然分娩と人工分娩に, 胎児の数によって単胎分娩と多胎分娩に, 異常の有無によって正常分娩と異常分娩に, 時期によって流産, 早産, 正期産, 過期産にそれぞれ分類されます 以下では, 時期による分類 ( 表 4-1) について説明します 平均的な妊娠期間は 280 日 (40 週 )±15 日で, 少々前に幅を広げて37 週以降 42 週未満 (259 293 日 ) を正期産と定義します そして, これを過ぎれば (42 週を過ぎれば ) 過期産となります 他方, これよりも短い場合には, 胎児が子宮外で生存可能か否かでさらに二分されます つまり,22 週未満の分娩であれば流産,22 週以降 37 週未満の分娩であれば早産と呼ばれます 表 4-1 流産 早産 正期産 過期産および死産の概念 妊娠月数 2 3 4 5 6 7 8 9 10 妊娠週数 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 正期産は 37 週以降 42 週未満 ( 早いと早産, 遅いと過期産 ) 120 第 2 章産科領域
4 B 分娩という現象を構成するのは, 娩出力, 産道, 娩出物で, これを分娩の 3 要素と呼びます この 3 要素は分娩の経過 ( 分娩の難易 ) に大きな影響を与えます 1 expulsive force 産道の抵抗に打ち勝って胎児を押し出そうとする力で, その主体は陣痛と腹圧です また, 子宮円索や骨盤底筋肉群の収縮力も補助的に娩出力を助けます alabor pains 周期的かつ反復して起こる子宮体筋の収縮で, 子宮頸神経叢の支配を受けて不随意的に生じます この収縮は子宮壁内の知覚神経を圧迫するとともに, 子宮周囲の腹膜を牽引し, さらには子宮下部を拡張させるので疼痛を伴います 陣痛は収縮と休止を交互に反復するという特性があり, 収縮を陣痛発作, 休止を陣痛間欠, 収縮 + 発作を陣痛周期と呼びます そして, 発作が開始して次第に収縮力が強くなる増進期, 収縮がピークに達する極期, 間欠期に向かって次第に収縮力が弱くなる減退期に分かれます このなかで娩出力が最も強いのは増進期です 収縮に際しては胎児は強い圧力によって押しつぶされ, 酸素欠乏状態に陥りますが, 間欠期になると一息つくことができます また, 母体にとっても, 間欠期に子宮が疲労から回復すれば, 次の増進期に向けて強い娩出力を発揮できるというメリットがあります このような収縮と休止の反復という現象自体は最後まで続きますが, 分娩が進行するにつれて, 収縮の時間帯は長く, 休止の時間帯は短くなります もちろん, 陣痛の強さも増し ( 子宮内圧も増加し ) ていきます 縦軸に子宮内圧, 横軸に時間をとる と, 図 4-1 のような陣痛曲線 ( 子宮収縮 曲線 ) が描かれます なお, 子宮内圧 の測定には, 胎児先進部の奥にカテー テルを挿入して直接測定する内測法と 子宮収縮の程度 ( 腹壁の形状の変化 ) から推定する外測法があります 前者 の方が正確ですが, 測定方法が煩雑なので, 臨床では後者が頻用されます 第 2 章 産科領域 121
4( 後者は胎児心拍数陣痛図の一部として描かれる ) ブラクストン ヒックス ( 図 4-2) 妊娠中の子宮は収縮性が増し, ちょっとした外力にも反応するようになります これを Braxton-Hicks 徴候と呼びます この収縮は弱く不規則で, 分娩とは直接関係しませんが, 多少とも胎位の維持や頸管の成熟に役立つので, 妊娠陣痛とも呼ばれます ( 図 4-2) 妊娠末期になると, 周期や持続時間が不規則な子宮収縮を生じ, 徐々に強くなって分娩陣痛がいよいよ開始するかの印象を受けます ただし, いつのまにか消失し, 期待外れ に終わります しかし, 分娩の準備としての意義があるため, 偽陣痛とも呼ばれます なお, 経験的に分娩陣痛は前陣痛の 3 日後くらいに始まります ( 図 4-2) 分娩開始から分娩終了までの間に生じる陣痛で, 第 1 期 第 3 期に分けられます 第 1 期 陣痛は開口期陣痛とも呼ばれ, 子宮口を開大させるとともに, 胎位を維持する役割を担います 第 2 期陣痛は娩出期陣痛とも呼ばれ, まさに胎児を押し出す原動力です 第 3 期陣痛は後産期陣痛とも呼ばれ, 胎盤を娩出させます 臨床的に陣痛の周期が10 分以内 ( 頻度が1 時間に 6 回以上 ) になった時点を分娩の開始と決めていますが, これはこの程度の陣痛まで至ればほとんどすべての妊婦が分娩に至るという統計データに基づいています ( 図 4-2) 産褥期に生じる陣痛で, これによって子宮復古が促進されます 122 第 2 章産科領域
4 強すぎる陣痛を過強陣痛, 弱すぎる陣痛を微弱陣痛と呼びますが, 前者は胎児および母体に負担となり, 後者は娩出力不足となるので, 適度でなければなりません この陣痛の強弱を正確に測定できるのは内測法しかありませんが, 前述のように臨床ではもっぱら外測法を行っているため, 陣痛周期が短く, 持続時間が長いものを過強陣痛, 陣痛周期が長く, 持続時間が短いものを微弱陣痛として扱っています ( 両者に該当しないものが適度な陣痛 ) 陣痛 分娩陣痛は前陣痛の 3 日後くらいに始まる 過強陣痛は, 子宮収縮が強く, 発作持続時間は長く周期が短い 微弱陣痛は過強陣痛の逆 babdominal pressure 腹圧は腹壁筋や横隔膜の収縮によってもたらされる腹腔内圧で, これが上昇して子宮体部に波及し, 胎児の娩出を助けます これらの筋は横紋筋であり, 腹圧上昇は本来は随意運動です ただし, 分娩第 2 期後半に入ると, 陣痛発作につられて反射的に腹圧は上昇し, 妊婦は自ら腹圧をコントロールできなくなります ( 不随意的になる ) これを共圧陣痛と呼び, 分娩ラストスパートに貢献します ただし, 腹圧上昇を欠く全身麻酔時にも分娩できることから, 娩出力としての意義は陣痛に劣ります 2 birth canal 産道は胎児および付属物の通り道で, 外側の骨産道と内側の軟産道に分けられます abony birth canal ( 図 4-3) 大骨盤は, 後方は仙骨と尾骨, 側方と前方は寛骨 ( 腸骨, 坐骨, 恥骨の融合体 ) によって作られます 他方, 小骨盤は骨盤分界線によってくり抜かれますが, この線は後方の岬角に始まり, 腸骨の弓状線と恥骨櫛を経て, 前方の恥骨結合上縁に終わります 骨産道はこの小骨盤で構成されます したがって, 産科で重要なのは小骨盤なので, 骨盤腔は原則として小骨盤を意味します 第 2 章 産科領域 123
42 a フリードマン ( 図 4-25) 縦軸に陣痛発作時の子宮頸管開大度 (cm) を, 横軸に時間をとってグラフを作成したも ので, 健常妊婦の大半が S 状曲線 (Friedman 曲線 ) を描きます この S 状曲線は, 頸管が最初はゆっくり, その後ある時点を境に一挙に開大することを 意味します その境い目となるのは開大が 3 4cm に達したときで, それまでを潜伏期 ( 緩徐期 ), それ以降を活動期と呼びます そして, 活動期は開大の勢いによって, さらに 加速期, 最大傾斜期 ( 極期 ), 減速期に分類されます この Friedman 曲線では, 遷延分娩や微弱陣痛などの分娩経過の異常が一目瞭然となり ます 詳細は p.200 を参照してください bcardiotocogram(ctg) 分娩時にはほとんどルーチンに行われる検査です p.103 で説明したように, 健常な胎児では基線細変動が認められ, 胎動などに際しては一過性頻脈が出現します また, 児頭が圧迫されれば早発一過性徐脈が出現しますが, 分娩時にはよくみられる所見です ( 経過観察だけで十分 ) cpartogram( 図 4-26) 分娩進行状況を一目でわかるように記載した図です このパルトグラムに記載する情報は施設によっても異なりますが, 一般には頸管開大度, 先進部の下降度, 先進部の回旋状況, 母体の状況 ( 血圧, 脈拍や実施した処置 ) などです 144 第 2 章産科領域
4図 4-26 は90 回国試午後問題 18 番に出題されたパルトグラムです 分娩監視 Friedman 子宮頸管開大曲線は S 状を描く 頸管開大は 3 4cm を境に一挙に進行 3 a( 図 4-27) 産婦は努責しにくく, 骨盤軸と胎児体重が逆方向となるため, 娩出力を効率的に取り込むことができず, 児頭の下降には時間を要します ただし, 肩甲難産に対する M マックロバーツ croberts 体位をとりやすい, 医学的処置が行いやすい, というメリットがあります 第 2 章 産科領域 145
4 b( 図 4-28) 陣痛が強く産婦がじっとしていられないときに好んで用いられる体位です 骨盤軸と胎 児重力が垂直になっているために努責しにくく, 産婦の表情が観察しにくい体位です た だし, 陣痛間欠が延長し,1 回の陣痛発作が長くなるので, 疲労している産婦や分娩をゆっくり進めたい産婦に有効です c( 図 4-29) 骨盤軸と胎児重力が一致しやすいので, 産婦も努責しやすく, 会陰裂傷を来しにくい体位です 妊娠子宮による腹部大動脈の圧迫が無いため, 子宮胎盤血流量の低下は起こりにくく ( 仰臥位低血圧症候群を来しにくく ), 胎児へのストレスを軽減することができます 146 第 2 章産科領域
4 d( 図 4-30) 娩出力に胎児重力の作用が加わるため, 陣痛が弱く児頭が下降しない産婦に有効です ただし, 腹圧をコントロールしにくく, 会陰裂傷を来しやすい体位です また, 分娩第 3 期 の出血も多くなります e そんきょ ( 図 4-31) 骨盤軸, 胎児重力, 娩出方向の 3 つが一致しやすいので, 産婦が努責しやすい体位で す また, 骨盤出口部が最大限に拡大できるため, 陣痛が弱く児頭が下降しない産婦に有 効です f( 図 4-32) 坐位と同様に, 娩出力に胎児重力の作用が加わるため, 努責しやすい体位で, 陣痛が弱 く児頭が下降しない産婦に有効です 第 2 章 産科領域 147
4 simple obesity 摂食によって得られたエネルギーが, 消費されたエネルギーを上回るために生じた肥満です 50% 以上が 6 歳未満に発症します 単純性肥満の約 80% は成人肥満に移行し, 生活習慣病の素地となります C Kaup 指数が,15 未満はやせ,19 以上は肥満 肥満度が, 幼児期に 15% 以上, 学童期に 20% 以上をそれぞれ肥満とする 1 grasp reflex 児の手掌に指先を押しつけると, 児がこれを握りしめるのが手掌把握反射 児の第 1 趾基部を指先で押すと, 全趾が屈曲するのが足底把握反射です 出生時からみられますが, 前者は生後 3 4 か月ころに消失し, 後者は生後 9 10 か月ころに消失します 2 tonic neck reflex 児を背臥位として, 頭を一方向へ向けると, 頭の向かう方向の上下肢は伸展し, 反対側の上下肢は屈曲する反射です 生後 1か月ころに出現し,6 か月ころに消失します 316 第 3 章新生児 思春期
4stepping reflex 3 4 モロー 児の両脇を手で支えて立位をとらせ, 足を床面に着けた状態で身体を前傾させると, 下 肢を交互に動かす反射です 出生直後からみられますが, 生後 1 か月で消失します 児を背臥位にして頭を約 30 持ち上げ, 支えるのを中断して頭部を落下させると, 児は腕 を外転 伸展して指を広げた後, 内転 屈曲させて抱きつくような反射を呈するものです 生後 4 か月ころにこの反射が消失すると, 首が座ります 片側のモロー反射が減弱してい る場合には, 骨盤位分娩などに起因する腕神経叢麻痺が疑われます 5 きゅうてつ sucking reflex 児の口唇を刺激すると, これに吸い付いて来る反射をいいます 出生時からみられる反 射で,2 3 か月で消失します ちなみに, 胎生後期 ( 妊娠 24 週ころ ) には, 胎児は自身 の指を吸う吸啜運動を行っています 第 3 章 新生児 思春期 317
4バンビンスキー 6 児の足底の外側部を, 踵部から足趾に向けて針やハンマーの柄などで擦り上げると, 母 趾は背屈し, 他の足趾は扇を広げたように開く現象です 出生時からみられ,2 歳ころに消 失します パラシュート 7 児を腹臥位の状態で抱きかかえて水平の状態にし, 急に頭部と肩を下方に傾けると, 児は首と両上肢を伸展して墜落を防ぐような姿勢をとるものです 生後 8 9か月ころに出現し, 生涯続く反射です 8 ランドー まず, 児を腹臥位の状態で抱きかかえて水平の状態にします この状態で児の頭部を後 屈させると, 脊柱と下肢が伸展し, 逆に頭部を前屈させると脊柱と下肢が屈曲するという 反射です 生後 6 か月ころに出現し,2 歳 6 か月ころには消失します 318 第 3 章新生児 思春期
4neck righting reflex 9 児を仰臥位とし, 頭を右 ( 左 ) に向けると, 身体も全体として右 ( 左 ) に旋回するという 反射です 出生直後からみられ, 生後 6 か月ころに消失します D 発達の特徴を以下表 4-3 に示します 表 4-3 小児の発達 12 23 あやすと笑う 34 首がすわる 56 音をまねる 母親がわかる, 人見知りを 78 おすわり, ハイハイ ものを持ち替える 喃語を発する する をする 910 つかまり立ち 母親の後を追う, バイバイの動作をする 1112 伝い歩き ものを指先で摘んで バイバイ, ママなど 簡単な命令が実行できる もつ 数語を話す 12 ひとり立ち 箱の中に積み木を入れる 第 3 章 新生児 思春期 319