(3) 管内外調査 2 管外調査 (10 月 ) 2 管外調査 ( 平成 24 年 10 月 16 日 ( 火 )~10 月 17 日 ( 水 )) 東京都教育委員会 於 : 東京都立練馬工業高等学校 ( 東京都練馬区 ) 都立高校改革について 目的 京都府教育委員会では 平成 15 年 3 月に策定した 府立高校改革推進計画 に基づき 新しく多様で柔軟な教育システムの構築 入学者選抜制度の改善など 府立高校改革に取り組んでいる 東京都教育委員会においては 生徒の多様化や少子化の進行による生徒数の減少を背景として平成 9 年度に策定した 都立高校改革推進計画 が 23 年度で終了したところであり 今回 同教育委員会における都立高校改革の成果について調査する 概要 都立高校改革推進計画 の主な取組と成果 都立高校の規模と配置の適正化として 平成 9 年度では 208 校あった全日制高等学校を 23 年度には 179 校まで統廃合したり 柔軟で多様な教育の展開として 中高一貫教育校やエンカレッジスクール チャレンジスクールなどの新しいタイプの学校を設置してきた エンカレッジスクールは これまで力を発揮できなかった生徒のやる気を育て 頑張りを励まし応援する学校で チャレンジスクールは 不登校経験を持つ生徒や中途退学者などを主に受け入れる三部制 ( 午前 午後 夜間 ) となっている 平成 15 年度には 入学者選抜から学区を廃止するとともに 管理職の補佐や教員の指導 育成などを行う主幹教諭を平成 19 年の学校教育法の改正に先立ち独自に配置する制度の導入などを実施してきた こうした改革の取組により 中途退学率が低下し 入試における受験倍率が回復するなどの成果を上げた 残された課題と今後の展開 未だ多くの中途退学者等が存在し その状況も学校により大きな差異が生じており 中途退学者のうち就学も就業もしていない者の割合の増加 若者の規範意識の低下や内向き志向など 課題も明らかになった これらの現状や課題に 平成 18 年 12 月の教育基本法の改正や 21 年 3 月の学習指導要領の改訂の趣旨も踏まえ 都教育委員会は 平成 24 年 2 月 真に自立した社会人を育成すること を目的に 新たな都立高校改革指針計画を策定した 東京都教育委員会としては 今後も 都民からこれまで以上に信頼される都立
2 管外調査 (10 月 ) (3) 管内外調査 高校の実現を目指していきたいとのことであった 主な質疑 学区制度廃止に関する検証について 学区制度廃止に伴う生徒への配慮について 都立高校の統廃合について 中途退学者のサポートについて 都立高校改革と中学校における進路指導について 高校再編と生徒への周知方法についてなど 都立練馬工業高等学校の概要について 目的 京都府教育委員会では 平成 27 年 4 月 京都フレックス学園構想 として 多様なニーズに対応できる柔軟な教育システムをもつ新しいタイプの高校を京都市内に開校する準備を進めている 東京都教育委員会による高校改革の具体例として エンカレッジスクール に指定されている5 校の中から 東京都立練馬工業高等学校を訪問し 同校の概要について調査する 概要 エンカレッジスクールについて 東京都教育委員会においては 都立高校改革推進計画 に基づき 多様なタイプの高校を設置してきた その中の一つである エンカレッジスクール は これまで力を発揮できなかった生徒のやる説明に先立ち 授業風景を視察した 気を育て 社会生活を送る上で必要な基礎的 ( 写真は ものづくり基礎 の授業 ) 基本的学力を身に付けることを目的とする学校である そこでの積極的な取組 教育実践は 生徒や保護者 地域の方々にも受け入れられ 評価を得ている 都立練馬工業高等学校について 都立練馬工業高等学校は 平成 17 年に専門高校として初の エンカレッジスクール に指定され 18 年 4 月から キャリア技術科 をスタートさせた 技術を身に付ける工業教育を通したキャリア教育や工業高校の施設 設備を活用した体験的科目の設定など 専門高校の特色を活かしたメリットは大きく ものづくりを中心とした体験的な学習を進展させるとともに 地元企業と連携した就業体験やキャリア教育等が期待されている 同校は ものづくりを通して 学び直し と 進路実現 ができる学校を目指しており 主な特徴としては 集中して学べる 30 分授業 (1 年生の国語 数学 英語 ) の実施 習熟度別や少人数による授業の実施 入学者選抜において 学力検査を行わず ものづくりの視点を取り入れた実技検査の実施 2 人担任制の採用 小テストなど日常の取組を評価する成績評価の導入 専門教育に連動したイ
(3) 管内外調査 2 管外調査 (10 月 ) ンターンシップなどを実施するキャリアガイダンスなどがある この他 同校は 社会貢献が重要との考えから 防犯ボランティア活動に取り組み 都内各地域で若い世代の防犯ボランティアとして活動する団体 ピーポーズ に平成 24 年 1 月に都立高校で初めて登録された 今後 同校としては 学ぶ習慣の定着 規範意識の涵養 希望就職先への確実な就職 という三つの使命を着実に達成することで 都立高校で唯一の工業科エンカレッジスクールの存在意義を証明していきたいとのことであった 主な質疑 エンカレッジスクールの入学者選抜方法について 入学者における過年度卒業者の割合について 生徒指導について 生徒の特別指導件数についてなど 厚木市立清水小学校 ( 神奈川県厚木市 ) セーフスクールへの取組について 目的 平成 24 年 4 月に発生した亀岡市立小学校の通学路において発生した交通事故などを踏まえ 喫緊の課題である安心 安全な教育環境づくりのため 厚木市立清水小学校のセーフスクールへの取組等について調査する 概要 清水小学校とISS 厚木市立清水小学校は 同市の安心 安全のまちづくりであるセーフコミュニティモデル地区としての活動を契機として 学校における体系的かつ効果的な安全の向上を推進し 平成 22 年 11 月 大阪教育大学附属池田小学校に次いで 国内で2 番目 また 市町村立の学校では初めて国際認証 インターナショナルセーフスクール (ISS) を取得した ISSは ケガ ( 体 心 ) やその原因となる事故 いじめ暴力を予防することにより 安全で健やかな学校づくりを進める活動で WHO ( 世界保健機関 ) が より安全な教育環境づくりを目指す学校に与える国際認証である 市議会議長からのあいさつの後 同校の取組の基盤となっているのが しみ校長先生から概要説明を受けた ずっ子すこやかネットワーク会議 で PTA 会長を中心に保護者や教職員 地域住民らで組織され 学校 家庭 地域が一体となった安心安全な学校づくりを進めている
2 管外調査 (10 月 ) (3) 管内外調査 具体的な取組 児童を不審者などから守るため 住宅や商店を緊急避難場所として指定し 通学路の安全確保を図る かけこみポイント については 小学校区で 1,000 箇所近くが指定され 老人会や交通安全指導員 PTAなどが登下校時の子どもの安全の見守り運動をする 愛の目運動 が実施されている 安全に自転車を運転できる力を高めることに力を入れており 全児童を対象に昼休みや放課後を利用して 自転車安全教室を実施したり 校内に模擬コースを設置し練習したりしている この取組の成果として 神奈川県警察主催の 交通安全こども自転車神奈川県大会 において 平成 23 24 年と2 位に入賞した 同校は 教育プランに しみずっ子の光り輝く安心 安全な学校 をキャッチフレーズとして掲げ 教師からの一方的な指導等だけではなく 児童の自発的な活動をサポートすることを通して子どもたちの安心安全への意識を高め 子どもたちの発想を生かして 子どもたち自らが安心安全な学校づくりの主役となるように取り組んでいる 子どもたちによる取組では 子どもたちのアイデアによる 清水小学校 ISS シンボルマーク を作成したり ISS 認証式で宣言した しみずっ子元気宣言 をより定着させるため 同宣言にメロディを付けて 行事等では全校で歌ったりしている 校内安全点検として 児童自らが学校内を見回り 自分たちの目線で学校内に潜む危険環境などを点検している ISSの認証は 3 年ごとに見直されるため 平成 25 年の再認証に向けて準備を進めている 同校としては 再認証に向け現在の取組を継続し 卒業生が進学している中学校や近隣の小 6 年生の児童がセーフスクールの学校へとISSのネットワーク化をして いろ取組について発表した後 全員でいろなところで同校のISSの取組を紹介して しみずっ子元気宣言 ~しみずっおり 今後も 自信を持ってISSの取組を広子のちかい~ を合唱めていきたいとのことであった 主な質疑 インターナショナルセーフスクールの取組といじめ問題について インターナショナルセーフスクールの認証取得における苦労点について しみずっ子すこやかネットワーク会議の取組について PTAの体制と取組における苦労点について セーフスクールの取組における京都府への助言についてなど
(3) 管内外調査 2 管外調査 (10 月 ) 特定非営利活動法人湘南 DV サポートセンター 於 : 藤沢市市民活動推進センター ( 神奈川県藤沢市 ) いじめ防止対策への取組について 目的 全国各地でいじめによる自殺事件などが発生している状況を踏まえ いじめ防止に取り組む特定非営利活動法人の活動について調査する 概要 特定非営利活動法人湘南 DVサポートセンターでは いじめ や デーティングバイオレンス ( 恋人たちの間で起こる暴力 ) など 若者たちの間で起こる暴力を未然に防ぐためのプログラムを開発し 学生に向けた暴力防止教育を行っている 中でも いじめ防止プログラム については いじめを未然に防止することを目的とし 暴力や理事長から調査事項について 説明いじめ防止について説明するだけでなく 青少年を受けた リーダーや子ども自身が主体的に自分たちの問題として取り組む内容になっている 同プログラムは 小学校や中学校の道徳や総合学習の授業時間 ( 全 5 時間 ) を使いながら進めるもので 生徒が自分自身や他者との人間関係について考え ワークショップを通して自尊感情を高めることを学び 暴力によらないコミュニケーション方法を身に付けられるように組み立てられている また プログラムの後半では加害者について考えることも 特徴の一つとなっている ワークショップに先立ち 生徒を対象に講演会を実施するが いじめは学校内だけの問題ではないため ここでは 教職員や保護者 地域の方々の参観が依頼されている プログラムの終了後は スクール バディ という生徒同士による支え合いのシステムに参加する人を募集し 応募者は8 時間の スクール バディ トレーニング という研修を受け 活動に参加するとのことであった スクール バディ は バディになった生徒が いじめを未然に防ぐための様々な企画をし 情報を発信して学校からいじめの傍観者をなくすための活動をする 同じ学校で回数を重ねていくと バディそのものが学校に根付いていき 抑止力になっていくことが期待される 平成 19 年 藤沢市立村岡中学校で初めて実施し 近隣の中学校に評判が広がった結果 同校を含め 藤沢市内 8 校 ( 中学校 7 小学校 1) でプログラムを実施し 神奈川県内では他に横浜市や川崎市 東京都や三重県でも実施実績を重ね 現在 約 20 校で同プログラムを実施している
2 管外調査 (10 月 ) (3) 管内外調査 主な質疑 いじめ防止プログラム におけるファシリテーターについて スクール バディ 活動の成果と課題について 子どもたちの自尊感情について いじめ防止プログラム のプログラム化の方法についてなど