平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

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平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

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(2) 掛金の算定ア組合員が負担すべき掛金は 支給された基本給及び諸手当などを合算した額から決定される標準報酬月額を標準として算定されます 標準報酬月額は以下の5つのタイミングにより決定 改定されます 種類対象者対象となる報酬決定 改定の時期申出法令 資格取得時決定 新たに組合員の資格を取得した者

育児休業や 介護休業をする方を 経済的に支援します 育児休業給付の支給 介護休業給付の支給 育児休業等期間中の社会保険料 ( 健康保険 厚生年金保険 ) の免除 育児休業等終了後の社会保険料 ( 健康保険 厚生年金保険 ) の特例 3 歳未満の子を養育する期間についての年金額計算の特例 ( 厚生年金

PowerPoint プレゼンテーション

3 育児 介護 112

題名

資料1 短時間労働者への私学共済の適用拡大について

第 1 章育児休業 第 1 条 ( 対象者 ) 生後 1 年未満 ( 第 5 条による育児休業の場合は 1 歳 6 ヶ月 ) の子と同居し養育する従業員であって 休業後も引き続き勤務する意思のある者は 育児のための休業をすることができる ただし 日々雇用者 期間雇用者 ( 申出時点において雇用期間が

社会保障 税一体改革大綱(平成24 年2月17 日閣議決定)社会保障 税一体改革における年金制度改革と残された課題 < 一体改革で成立した法律 > 年金機能強化法 ( 平成 24 年 8 月 10 日成立 ) 基礎年金国庫負担 2 分の1の恒久化 : 平成 26 年 4 月 ~ 受給資格期間の短縮

例 3 男性医師 1 歳 配偶者産前休暇産後休暇復帰 復帰 今までは 配偶者がを取得している場合 を取得できませんでしたが 取得できるようになりました 職員は 当該子が 3 歳に達する日まで 病院助手等は 当該子が 1 歳 6か月に達する日までを取得することができます 職場復帰後の特に大変な時期に協

4-1 育児関連 育児休業の対象者 ( 第 5 条 第 6 条第 1 項 ) 育児休業は 男女労働者とも事業主に申し出ることにより取得することができます 対象となる労働者から育児休業の申し出があったときには 事業主は これを拒むことはできません ただし 日々雇用される労働者 は対象から除外されます

香川県後期高齢者医療広域連合職員の勤務時間、休暇等に関する

改正要綱 第 1 国家公務員の育児休業等に関する法律に関する事項 育児休業等に係る職員が養育する子の範囲の拡大 1 職員が民法の規定による特別養子縁組の成立に係る監護を現に行う者 児童福祉法の規定により里親である職員に委託されている児童であって当該職員が養子縁組によって養親となることを希望しているも

(3) 障害共済年金 退職老齢年金給付 給料との調整ア障害共済年金との支給の調整傷病手当金は 同一の傷病について障害共済年金の支給を受けることができるときは 支給されません ただし その支給を受けることができる障害共済年金の額 ( 当該障害共済年金と同一の給付事由に基づき国民年金法による障害基礎年金

ただし 日雇従業員 期間契約従業員 ( 法に定める一定の範囲の期間契約従業員を除く ) 労使協定で除外された次のいずれかに該当する従業員についてはこの限りではない (2) 週の所定労働日数が2 日以下の従業員 (3) 申出の日から93 日以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員 2 要介護状態に

目 次 第 1 条 目的及び内容 1 第 2 条 育児休業 2 第 3 条 パパ ママ育休プラス 2 第 4 条 1 歳 6 か月までの育児休業 2 第 5 条 育児休業の申出の手続等 3 第 6 条 パパ休暇の特例 3 第 7 条 介護休業 3 第 8 条 介護休業の申出の手続等 4 第 9 条

申出が遅れた場合は 会社は育児 介護休業法に基づき 休業開始日の指定ができる 第 2 条 ( 介護休業 ) 1 要介護状態にある対象家族を介護する従業員 ( 日雇従業員を除く ) 及び法定要件を全て満たした有期契約従業員は 申出により 介護を必要とする家族 1 人につき のべ 93 日間までの範囲で

必要とする家族 1 人につき のべ 93 日間までの範囲内で 3 回を上限として介護休業をすることができる ただし 有期契約従業員にあっては 申出時点において 次のいずれにも該当する者に限り 介護休業をすることができる 一入社 1 年以上であること二介護休業開始予定日から 93 日を経過する日から

の対象外となります ( 年金には, 厚生年金部分と年金払い退職給付部分があり, この 場合, 厚生年金部分のみに養育特例が適用されます ) 2

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2016年 弾丸メールセミナー № 36回 雇用保険法 育児休業給付金

深夜勤務の制限 5 妊産婦の時間外 休日 妊娠中の女性が 母体または胎児の健康保持のため 深夜勤務や時間外勤務等の制限を所属長に請求できます 病院助手専攻医臨床研修医 6 妊娠中の休息 妊娠中の女性は 勤務時間規程に規定する 職務に専念する義務の免除 を利用して 母体または胎児の健康保持のため 勤務

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( イ ) 従業員の配偶者であって育児休業の対象となる子の親であり 1 歳 6か月以降育児に当たる予定であった者が死亡 負傷 疾病等の事情により子を養育することが困難になった場合 6 育児休業をすることを希望する従業員は 原則として 育児休業を開始しようとする日の1か月前 (4 及び5に基づく1 歳

標準例6

妊娠 出産に関する制度 妊産婦である女性職員 妊娠中の女性職員及び産後 1 年を経過しない女性職員を言います 妊娠がわかったら 勤務免除 妊娠に伴う通勤緩和 妊娠中の女性職員が通勤に利用する交通機関の混雑の程度が母体又は胎児の健康保持に影響があると認められ 所定の勤務時間の始め又は終わりにおいて 勤

支給開始日以前に カ月の標準報酬月額がある場合 06 年 月 日まで 06 年 4 月 日以降 休んだ日の標準報酬月額 0 日 / 支給開始日以前の継続した カ月間の各月の標準報酬月額の平均額 0 日 / ( 例 ) 支給開始日以前の継続した カ月間に 標準報酬月額が 6 万円の月が カ月 0 万円

育児休業及び育児短時間勤務に関する規則

Q&A Q 育児休業から復帰した場合 いつの時点の標準報酬月額が適用されますか? また 育児休業等終了時改定との関係を教えてください A 子の出生日が属する月の前月が基準月となり その時点の標準報酬月額が適用されます 育児休業終了後 4 か月目に育児休業等終了時改定 ( 2) によって標準報酬月額が

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目次 目次 目次 子育て支援制度と利用可能期間 妊産婦の時間外労働制限等 特別休暇 育児休業等...5 (1) 育児休業...5 (2) 育児部分休業 育児短時間勤務...6 (3) 所定外労働の制限 時間外労働の制限 深夜業務の制限 早出遅出

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Microsoft Word - 22育児・介護休業等規程



第 50 号 2016 年 10 月 4 日 企業年金業務室 短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大及び厚生年金の標準報酬月額の下限拡大に伴う厚生年金基金への影響について 平成 28 年 9 月 30 日付で厚生労働省年金局から発出された通知 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能

2. 出産手当金の支給を受ける産前 産後休暇期間中 職員は給料が支給されますが 病院助手等は無給です その間の生活を支え るために 病院助手 専攻医および研修歯科医は より 出産手当金 が支給され 臨床研修 医は 共済組合より 出産手当金 が支給されます 申請から約 1~2 か月後に指定の口座に出産

育児 介護休業規程 第 1 章 目的 第 1 条 ( 目的 ) 本規程は社員の育児 介護休業 育児 介護のための時間外労働および深夜業の制限並びに育児 介護短 時間勤務等に関する取り扱いについて定めるものである 第 2 章 育児休業制度 第 2 条 ( 育児休業の対象者 ) 1. 育児のために休業す

Microsoft PowerPoint - 7.【資料3】国民健康保険料(税)の賦課(課税)限度額について

平成16年年金制度改正における年金財政のフレームワーク

休暇

東北大学における出産・育児支援制度

4-1 育児関連 休業期間を有給にするか 無給にするかは 就業規則等の定めに従います また 雇用保険に加入している労働者には 国から給付金が支給されます (P106 参照 ) 産前産後休業期間中及び育児休業期間中は 労働者 使用者とも申請により社会保険料が免除になります 育児休業の対象者 ( 第 5

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被用者年金一元化法

PowerPoint プレゼンテーション

平成 31 年 4 月 1 日から平成 34 年 3 月 31 日まで 63 歳平成 34 年 4 月 1 日から平成 37 年 3 月 31 日まで 64 歳 4 定年について 労働者の性別を理由として差別的取扱いをしてはなりません ( 均等法第 6 条 ) ( 退職 ) 第 48 条前条に定める

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保育所に入所できないことを事由とする育児休業手当金の延長要件の見直し(地方公務員の「パパ・ママ育休プラス」の場合)(あっせん)

H29.10・育児休業や介護休業をすることができる有期契約労働者について

H28.10・育児休業や介護休業をすることができる有期契約労働者について

( 注 1) 被保険者の標準報酬月額は 健康保険では第 1 級 58,000 円から第 50 級 1,39 0,000 円までの等級に区分され 実際に支給される報酬月額をこの等級のいずれかに当てはめて決定される そして 傷病手当金の支給額は 平成 27 年度以前は 休業した日における標準報酬月額の

実技試験 ( 個人資産相談業務 ) 次の設例に基づいて 下記の各問 ( 問 1 ~ 問 3 ) に答えなさい 設例 Aさん (33 歳 ) および妻 Bさん (29 歳 ) は 民間企業に勤める会社員である 平成 29 年 3 月に第 1 子を出産予定の妻 Bさんは 産前産後休業および育児休業を取得

育児・介護休業規程

別紙 1 妊娠 出産 育児休業 介護休業等に関するハラスメントとなり得る具体的言動例 1. 制度等の利用への嫌がらせ型 教職員が産休や育児業 介護休業等の制度の利用を請求したり 制度を利用したことに関して 上 司が解雇等の不利益な取扱いを示唆したり 上司 同僚が 繰り返し又は継続的に嫌がらせ等を行い

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に該当する者に支給されるものに限る ) 移転費及び 3の求職活動支援費の支給対象とすることとされた ( 第 56 条の3 第 1 項第 2 号及び同条第 2 項関係 ) 3 高年齢被保険者 ( 教育訓練を開始した日が高年齢被保険者でなくなった日から1 年以内にある者を含む ) について 教育訓練給付

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育児休業をすることができる有期契約労働者の範囲 申出の時点で 次の12の両方を満たす方です 同一の事業主に引き続き 1 年以上雇用されていること 子が1 歳 6か月に達する日までに 労働契約 ( 更新される場合には 更新後の契約 ) の期間が満了することが明らかでないこと ご注意 :1 歳以降の育児

【全文】就業規則(今井保育園H29.1.1)

第 11 条育児休業を終了して復帰する教職員の年次有給休暇については 理事長が別に定める ( 育児短時間勤務 ) 第 12 条小学校就学の始期に達するまでの子と同居し 当該子を養育する教職員が申し出た場合には 当該子がその始期に達するまで 当該教職員の所定勤務時間を 6 時間とすること ( 以下 育

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第 8 条年俸制適用職員の特殊勤務手当は, 給与規程第 18 条の規定に準じて支給する ( 超過勤務手当 ) 第 9 条年俸制適用職員の超過勤務手当は, 給与規程第 21 条の規定に準じて支給する ( 休日給 ) 第 10 条年俸制適用職員の休日給は, 給与規程第 22 条の規定に準じて支給する (

第 4 条育児短時間勤務をしている職員の産業医手当の額は 給与規程第 12 条に定める手当の月額に育児短時間換算率を乗じて得た額 (50 円未満の端数がある場合はこれを切り捨て 50 円以上 100 円未満の端数がある場合はこれを 100 円に切り上げる ) とする ( 扶養手当 ) 第 5 条育児

改正労働基準法

育児休業や介護休業をする方を 経済的に支援します

老齢年金の繰下げ支給に係る支給開始時期の見直し 70 歳に達した後に繰下げ支給の申出を行った場合に 年金額は 70 歳の時点で申出を行った場合と変わらないにもかかわらず 申し出のあった月の翌月以降の年金しか支払われない扱いとしていることについて 繰下げの申出を行うまでの期間の給付も行うこととする (

厚生局受付番号 : 中国四国 ( 受 ) 第 号 厚生局事案番号 : 中国四国 ( 厚 ) 第 号 第 1 結論請求者のA 事業所における平成 27 年 7 月 10 日の標準賞与額を6 万 5,000 円に訂正することが必要である 平成 27 年 7 月 10 日の

2016年 弾丸メールセミナー № 33 雇用保険法 高年齢再就職給付金

Ⅱ 産前産後休業終了時改定の新設 ( 国共法第 条第 11 項及び第 1 項 ) 1. 改定の対象産前産後休業を終了した組合員が 当該休業を終了した日に当該休業に係る子を養育する場合において 共済組合に申出をしたときは 標準報酬の改定を行います ( 平成 6 年 月 1 日以後に終了した産前産後休業

第1章  目的

独立行政法人総合病院国保旭中央病院職員の育児

業所で 一般の労働者が従事するものと同一であると認められる業務に起因するものを除き ) 健康保険の給付対象外である この場合 特別加入していない限り労災保険の対象外でもあるため 全額自己負担となる 健康保険法第 53 条の 2 4 保険給付 (1) 給付の種類医療給付としては 療養の給付 ( 家族療

目 次 Ⅰ 子育てのサポート 1 妊娠前 妊娠中のサポート 1 生理休暇 2 不妊治療の受診 3 妊娠障害 ( つわり ) 休暇 4 健康診査及び保健指導に係る休暇 5 危険有害業務の就業制限 6 深夜勤務及び時間外勤務の制限 7 通勤緩和措置 8 職員の休息等 2 出産前後のサポート 1 産前 産

規定例 ( 育児 介護休業制度 ) 株式会社 と 労働組合は 育児 介護休業制度に関し 次 のとおり協定する ( 対象者 ) 育児休業の対象者は 生後満 歳に達しない子を養育するすべての従業員とする 2 介護休業の対象者は 介護を必要とする家族を持つすべての従業員とする 介護の対象となる家族の範囲は

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目次 問 1 労使合意による適用拡大とはどのようなものか 問 2 労使合意に必要となる働いている方々の 2 分の 1 以上の同意とは具体的にどのようなものか 問 3 事業主の合意は必要か 問 4 短時間労働者が 1 名でも社会保険の加入を希望した場合 合意に向けての労使の協議は必ず行う必要があるのか

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める手当の月額に育児短時間換算率を乗じて得た額 (50 円未満の端数がある場合はこれを切り捨て 50 円以上 100 円未満の端数がある場合はこれを 100 円に切り上げる ) とする ( 初任給調整手当 ) 第 5 条育児短時間勤務をしている教職員の初任給調整手当の額は 給与規程第 13 条第 3

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就業規則への記載はもうお済みですか

短期給付の掛金率の改定について

Microsoft Word - 例規集(A4判).docx

第 9 回社会保障審議会年金部会平成 2 0 年 6 月 1 9 日 資料 1-4 現行制度の仕組み 趣旨 国民年金保険料の免除制度について 現行制度においては 保険料を納付することが経済的に困難な被保険者のために 被保険者からの申請に基づいて 社会保険庁長官が承認したときに保険料の納付義務を免除す

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2. 出産手当金の支給を受ける産前 産後休暇期間中 職員は給料が支給されますが 病院助手等は無給です その間の生活を支え るために 病院助手 専攻医および研修歯科医は より 出産手当金 が支給され 臨床研修 医は 共済組合より 出産手当金 が支給されます 申請から約 1~2 か月後に指定の口座に出産

社会保障に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案《概要》

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今回の改正によってこの規定が廃止され 労使協定の基準を設けることで対象者を選別することができなくなり 希望者全員を再雇用しなければならなくなりました ただし 今回の改正には 一定の期間の経過措置が設けられております つまり 平成 25 年 4 月 1 日以降であっても直ちに希望者全員を 歳まで再雇用

第2号議案 平成12年度事業計画と収支予算について

平成16年度  算定基礎届について

目次 目次 目次 子育て支援制度と利用可能期間 妊産婦の時間外労働制限等 特別休暇 育児休業等...5 (1) 育児休業...5 (2) 育児部分休業 育児短時間勤務...6 (3) 所定外労働の制限 時間外労働の制限 深夜業務の制限 早出遅出

2. 改正の趣旨 背景税制面では 配偶者のパート収入が103 万円を超えても世帯の手取りが逆転しないよう控除額を段階的に減少させる 配偶者特別控除 の導入により 103 万円の壁 は解消されている 他方 企業の配偶者手当の支給基準の援用や心理的な壁として 103 万円の壁 が作用し パート収入を10

労災年金のスライド

社団法人今治地方国立公園協会

0 表紙

育児 介護休業規程 第 1 章 目的 第 1 条 ( 目的 ) 本規程は 従業員の育児 介護休業 子の看護休暇 介護休暇 育児のための所定外労働の免除 育児 介護のための時間外労働および深夜業の制限並びに育児 介護短時間勤務等に関する取扱いについて定めるものである 第 2 章 育児休業制度 第 2

第14章 国民年金 

Transcription:

第 5 回社会保障審議会年金部会平成 23 年 10 月 31 日資料 1 産休期間中の 保険料負担免除について

1 1. 出産の前後における支援策等の現状 (1) 厚生年金保険法における次世代育成支援 厚生年金保険法においては 次世代育成支援の観点から 育児休業を取得した被保険者に対して 1 育児休業等期間中の保険料免除 2 育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定の特例 33 歳未満の子の養育期間における従前標準報酬月額みなし措置が講じられている 具体的内容 1. 育児休業等期間中の保険料免除子が 3 歳に到達するまでの育児休業または育児休業の制度に準ずる措置に基づく休業 ( 以下 育児休業等 という ) の期間について 厚生年金保険料が免除される ( 厚生年金保険法第 81 条の 2) 2. 育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定の特例育児休業等を終了した被保険者が 3 歳未満の子を養育している場合には 育児休業等の終了日の翌日の属する月以後の 3 か月間の報酬の平均額を報酬月額として標準報酬月額を改定する ( 厚生年金保険法第 23 条の 2) 3. 3 歳未満の子の養育期間における従前標準報酬月額みなし措置 3 歳未満の子を養育する期間中の各月の標準報酬月額が 子の養育を開始した月の前月の標準報酬月額 ( 従前標準報酬月額 ) を下回る場合 従前標準報酬月額がその期間における標準報酬月額とみなされて 年金額が計算される ( 厚生年金保険法第 26 条 ) 趣旨 給付の財源 この仕組みは 次代を担う子どもを産み 育てやすい社会的な環境づくりに資するという次世代育成支援の観点から設けられたものである 他方で 被保険者が就労を継続し 労働の担い手となることを厚生年金グループ全体として積極的に評価するという側面もあり このため 保険料免除期間の年金給付の財源は グループ内で拠出された保険料によってすべて賄われている ( 税財源は投入されていない )

保険料額保険料額育児休業期間中の保険料免除に関する改正経過 平成 6 年改正 育児休業期間 ( 子が 1 歳に到達するまで ) 中の厚生年金保険料の本人負担分を免除 保険料免除期間は 保険給付の面では 保険料拠出を行った期間と同様に取り扱う 誕生 産後休暇 1 歳 3 歳 育児休業期間 就業 (3 歳未満の子を養育 ) 就業 (3 歳以上の子を養育 ) 保険料免除措置 ( 本人負担分のみ ) 事業主負担分は従前どおり徴収 育児により低下した標準報酬に基づく保険料額 平成 12 年改正 職場復帰 定時決定 育児休業期間中の厚生年金保険料を本人負担分だけでなく事業主負担分も免除 誕生 産後休暇 1 歳 3 歳 育児休業期間 就業 (3 歳未満の子を養育 ) 就業 (3 歳以上の子を養育 ) 保険料免除措置 ( 本人負担分 + 事業主負担分 ) 育児により低下した標準報酬に基づく保険料額 2 職場復帰 定時決定

保険料額保険料額平成 16 年改正 育児休業等期間のうち 子が 3 歳に到達するまでの期間について 保険料免除制度を拡充 3 歳未満の子を養育しながら就業を継続する者への給付算定上の配慮措置の創設 育児休業終了後に職場復帰する場合 誕生 産後休暇 1 歳育児休業等終了時改定 3 歳 育児休業期間就業 (3 歳未満の子を養育 ) 就業 (3 歳以上を養育 ) 保険料免除措置 ( 本人負担分 + 事業主負担分 ) 従前標準報酬月額みなし措置 育児により低下した標準報酬に基づく保険料額 育児休業 (1 歳まで )+ 育児休業に準ずる休業 (1 歳以降 3 歳まで ) を取得した後に職場復帰する場合 誕生 産後休暇 職場復帰 定時決定 1 歳育児休業等終了時改定 3 歳 育児休業期間育児休業に準ずる休業就業 (3 歳未満の子を養育 ) 就業 (3 歳以上を養育 ) 保険料免除措置 ( 本人負担分 + 事業主負担分 ) 延長 従前標準報酬月額みなし措置 育児により低下した標準報酬に基づく保険料額 職場復帰 定時決定 3 1 育児休業等を終了した被保険者が 3 歳未満の子を養育している場合には 育児休業等の終了日の翌日の属する月以後の 3 か月間の報酬の平均額を報酬月額として標準報酬月額を改定する (= 育児休業等終了時改定 ) 2 3 歳未満の子を養育する期間中の各月の標準報酬月額が 子の養育を開始した月の前月の標準報酬月額 ( 従前標準報酬月額 ) を下回る場合 従前標準報酬月額がその期間における標準報酬月額とみなされて年金額が計算される

(2) 労働基準法における産前産後休業 労働基準法第 65 条において 妊娠した女性労働者については母性保護上 産前産後期間は就業させないことが重要であるという観点から 使用者は産前 6 週間 産後 8 週間の女性を就業させてはならない旨が規定されている なお 多胎妊娠の場合には 妊娠した女性労働者自身のみならず 生まれてくる子にも配慮して 産前休業が長く設定されることとなっている ( 産前 14 週間 産後 8 週間 ) 産前の休業の取得については 妊娠した女性労働者本人からの請求が条件となっており 請求がなければ本条第 1 項による就業禁止には該当しない 他方で 産後 6 週間を経過しない女性については 使用者は労働者の請求の有無を問うことなく 就業させてはならない ( 参考 ) 労働基準法 ( 昭和 22 年法律第 49 号 )( 抄 ) ( 産前産後 ) 第 65 条使用者は 6 週間 ( 多胎妊娠の場合にあつては 14 週間 ) 以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては その者を就業させてはならない 2 使用者は 産後 8 週間を経過しない女性を就業させてはならない ただし 産後 6 週間を経過した女性が請求した場合において その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは 差し支えない 4 3 使用者は 妊娠中の女性が請求した場合においては 他の軽易な業務に転換させなければならない

事業所規模産前産後休業期間中の賃金支給の現状 産前 産後いずれの場合についても 休業期間中における給与については法律上定められておらず 各事業所の労働協約 就業規則等で定めるところによる 産前産後休業期間中の賃金を有給とする事業所の割合は 平成 19 年度で 28.1% となっており 約 7 割の事業所で 産前産後休業期間中の賃金は支給されていない 産前産後休業期間中の賃金支給ありの割合 ( 事業所規模別 ) 総数 500 人以上 100~499 人 30~99 人 28.1 28.1 24.7 22.0 26.4 26.3 34.2 33.4 5 5~29 人 28.6 28.5 0 5 10 15 20 25 30 35 40 平成 19 年度 平成 16 年度 (%) 平成 16 年度女性雇用管理基本調査平成 19 年度雇用均等基本調査

(3) 健康保険法における出産手当金 健康保険の被保険者に対しては 産前産後休業期間について出産手当金として 1 日につき標準報酬日額の 3 分の 2 に相当する金額が支給される ( 健康保険法 102 条 ) ただし 報酬との調整規定がある ( 同法 108 条 109 条 ) ( 参考 ) 健康保険法 ( 大正 11 年法律第 70 号 )( 抄 ) ( 出産手当金 ) 第 102 条被保険者が出産したときは 出産の日 ( 出産の日が出産の予定日後であるときは 出産の予定日 ) 以前 42 日 ( 多胎妊娠の場合においては 98 日 ) から出産の日後 56 日までの間において労務に服さなかった期間 出産手当金として 1 日につき 標準報酬日額の 3 分の 2 に相当する金額 ( その金額に 50 銭未満の端数があるときはこれを切り捨てるものとし 50 銭以上 1 円未満の端数があるときはこれを 1 円に切り上げるものとする ) を支給する ( 傷病手当金又は出産手当金と報酬等との調整 ) 第 108 条疾病にかかり 負傷し 又は出産した場合において報酬の全部又は一部を受けることができる者に対しては これを受けることができる期間は 傷病手当金又は出産手当金を支給しない ただし その受けることができる報酬の額が 傷病手当金又は出産手当金の額より少ないときは その差額を支給する 6 第 109 条前条第 1 項に規定する者が 疾病にかかり 負傷し 又は出産した場合において その受けることができるはずであった報酬の全部又は一部につき その全額を受けることができなかったときは傷病手当金又は出産手当金の全額 その一部を受けることができなかった場合においてその受けた額が傷病手当金又は出産手当金の額より少ないときはその額と傷病手当金又は出産手当金との差額を支給する ただし 同項ただし書の規定により傷病手当金又は出産手当金の一部を受けたときは その額を支給額から控除する

(4) 産休中 育休中の社会保険料等の取扱いの整理 支給調整あり支給調整あり妊娠中産前 産後休業中育児休業中復帰後 休業制度 労働基準法により休業 産前 6 週間 出産 ( 産後 6 週間は就業禁止 ) 産後 8 週間 育児 介護休業法により休業 本人の請求による 給与 無給 ( 一部企業では有給 ) 給与 無給 ( 一部企業では有給 ) 所得 給与 健康保険 出産手当金の支給 ( 標準報酬日額の 3 分の 2) 雇用保険 育児休業給付金の支給 ( 原則 1 年 ) 休業前賃金の 40%( 当面 50%) 給与 社会保険料 社会保険料 ( 社会保険料免除 ) 社会保険料 社会保険料 厚生年金 保険料負担 健康保険 保険料負担 厚生年金 保険料負担 健康保険 保険料負担 厚生年金 保険料全額免除 ( 労使 ) 健康保険 保険料全額免除 ( 労使 ) 厚生年金 保険料負担 ( 標準報酬改定の特例 ) 健康保険 保険料負担 ( 標準報酬改定の特例 ) 7

2. 社会保障 税一体改革成案における議論等 現行制度の改善事項として 次世代育成の観点から 厚生年金の被保険者について 育児休業期間に加えて産前 産後期間中も 同様に年金保険料は免除し 将来の年金給付には反映させる制度の対象とすることについて検討すること ( 育児期間中の者に係る配慮措置の拡充 ) を 社会保障改革に関する集中検討会議に厚生労働省案として提出 これを踏まえて 社会保障 税一体改革成案において 産休期間中の保険料負担免除 が盛り込まれ 工程については 2012 年以降速やかに法案提出 することとされた 8

3. 産前産後休業中の保険料負担免除の論点 基本的考え方 次世代育成支援の観点から 産前産後休業期間中の保険料負担免除措置を設けることについて どう考えるか 育児休業と異なり 産前産後休業は使用者の義務であるため 取得促進という意味は少ないが それでも産前産後休業期間中の保険料負担が軽減されることにより 次世代育成支援に資すると考えてよいか 年金財政や保険料負担者への影響をどう考えるか 産前産後休業中の保険料負担免除に必要な財源を 被保険者及び事業主全体で負担することについてどう考えるか 9

次世代育成支援の観点から 産前産後休業期間中の保険料負担免除措置を設けることについて どう考えるか 育児休業と異なり 産前産後休業は使用者の義務であるため 取得促進という意味は少ないが それでも産前産後休業期間中の保険料負担が軽減されることにより 次世代育成支援に資すると考えてよいか 次世代育成支援は政府全体の課題であり かつ 保険料負担を支える次世代育成という観点から 公的年金制度においても重要な課題である こうした社会情勢を踏まえて 育児休業期間中に加えて 産前産後休業期間中の厚生年金保険料を免除することで 年金制度による次世代育成支援を強めることとするか 産前産後休業については 育児休業と異なり 母性保護上の観点から使用者に義務づけられている規定である 特に 産後 6 週間を経過しない女性については 使用者は労働者の請求の有無を問うことなく 就業させてはならないこととしている 産休期間中の保険料を免除しても 育児休業のように産休の取得を促進する効果は少ないが その点をどう考えるか 他方で 産前産後休業期間中は 出産手当金が支給されるものの 約 7 割の企業において無給であり 所得が低下する現状を踏まえると 産休期間中の保険料負担の免除は 出産や育児に伴う所得逓減を緩和することも期待されるが この点をどう考えるか 10

年金財政や保険料負担者への影響をどう考えるか 産前産後休業中の保険料負担免除に必要な財源を 被保険者及び事業主全体で負担することについてどう考えるか 厚生年金について 育児休業期間中の免除措置に加え 産前 産後休業期間中も対象とする場合 一定の財源が必要となることをどう考えるか 現行の育児休業期間中の厚生年金保険料の免除措置には 次世代育成支援という観点のみならず 被保険者が就労を継続し 労働の担い手となることを厚生年金グループ全体として積極的に評価するという側面があるため 保険料免除期間の年金給付の財源は 厚生年金の被保険者及び事業主の保険料によって賄っているが 産前産後休業に対して保険料免除を行う場合も同様の取扱いと考えてよいか 11