ゾーン 3 の推進状況について 1 ゾーン3 の概要 P 1 2 ゾーン3 の経緯 P 2 3 整備状況 P 5 4 整備効果 P 7 5 効果的な整備事例 P11 6 今後の取組 P14 平成 29 年 12 月 7 日警察庁交通局
1 ゾーン 3 の概要 生活道路における歩行者等の安全な通行を確保することを目的として 区域 ( ゾーン ) を定めて最高速度 3km/hの速度規制を実施するとともに その他の安全対策 ( 選択的対策 ) を必要に応じて組み合わせ ゾーン内における速度の抑制や抜け道として通行する車両の抑制等を図る生活道路対策 ( 平成 23 年 9 月開始 ) 平成 25 年 12 月 交通事故抑止に資する取締り 速度規制等の在り方に関する提言 においても 生活道路について 運転者が分かりやすい面的な低速度規制を更に推進していくべき とされた 1
2-1 ゾーン 3 の経緯 1 平成 22 年 ( ゾーン 3 の開始前年 ) までの 1 年間において 車道幅員 5.5m 以上の道路における交通事故発 生は 29.2% 減少 ( 死亡 重傷事故は 39.3% 減少 ) したのに対し 車道幅員 5.5m 未満の道路においては 8.% の減少 ( 同 25.7% の減少 ) にとどまっていた 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1, 197,293 733,679 車道幅員別交通事故発生の推移 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H2 H21 H22 519,799 (29.2% 減 ) 181,481 (8.% 減 ) 車道幅員 5.5m 未満 車道幅員 5.5m 以上 車道幅員別死亡 重傷事故発生の推移 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1, 19,122 62,928 14,216 (25.7% 減 ) H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H2 H21 H22 38,218 (39.3% 減 ) 車道幅員 5.5m 未満死亡事故車道幅員 5.5m 未満重傷事故車道幅員 5.5m 以上死亡事故車道幅員 5.5m 以上重傷事故 2
2-2 ゾーン 3 の経緯 2 平成 22 年 ( ゾーン 3 の開始前年 ) における状態別の交通事故死傷者数をみると 車道幅員 5.5m 未満の 道路における歩行者 自転車乗用中の死傷者が占める割合は 車道幅員 5.5m 以上の道路の約 1.7 倍であった 幅員別 状態別交通事故死傷者数 ( 平成 22 年 ) 5.5m 以上 自動車 66.7% 438,876 自動二輪 5.7% 37,759 原付 6.9% 45,481 自転車 13.9% 91,24 歩行者 6.8% 44,643 約 1.7 倍 5.5m 未満 自動車 48.9% 14,592 自動二輪 5.% 1,591 原付 1.1% 21,628 自転車 27.2% 58,13 歩行者 8.8% 18,98 % 1% 2% 3% 4% 5% 6% 7% 8% 9% 1% 3
2-3 ゾーン 3 の経緯 3 平成 8 年よりコミュニティ ゾーンを推進 日常生活圏や小学校区等 地区としてまとまりのある 概ね 25ha~ 5ha の範囲において 交通規制 ( 最高速度 3km/h の区域規制 通行禁止規制等 ) 道路整備 ( ハンプ 狭さく 歩道等の整備 ) を組み合わせた対策を推進 課題 ゾーンの面積基準が広く ゾーンの設定が困難 全国的な普及に至らなかった 必須とされた道路整備に係る予算措置が困難 ( 多いときで年間約 4 か所整備 ) 平成 18 年 9 月 埼玉県川口市の幅員約 6m の市道上において 園児等 21 人が死傷する交通事故が発生 平成 19 年 2 月 当該事故現場周辺において 3km/h の区域規制を実施 ( 従来は規制速度設定なし ) ゾーン3 の設定 調査研究の歩行者等の通行が優先され 通過交通が可能な限り抑制されるべき地区を結果を踏まえ 面積にかかわりなくより柔軟に ゾーン3 として設定平成 23 年より ゾーン3 必須の対策 を推進 最高速度 3km/hの区域規制 場所に応じて行う選択的対策 住民の意見と財政的制約も踏まえつつ 道路管理者と連携し 次のうち可能なものを順次実施 ゾーン入口にシンボルマーク入り看板や専用の路面表示の設置 整備目標 一方通行規制や大型通行禁止規制等の交通規制の実施平成 28 年度末までに全国で ハンプや狭さく等の物理的デバイスの設置 3,37 か所において整備 路側帯の設置 拡幅と車道中央線の抹消 4
3-1 整備状況 1 平成 28 年度末までに全国 3,15 か所で整備し 平成 23 年通達で示した整備目標 ( 全国 3,37 か所 ) を達成 なお 平成 29 年度整備計画箇所数は全国約 3 か所 3,5 3, ゾーン 3 の整備状況 ( 各年度末時点累計 ) 3,15 2,5 2,49 箇所数 2, 1,5 1,111 1,827 1, 5 57 455 23 年度 24 年度 25 年度 26 年度 27 年度 28 年度 5
3-2 整備状況 2 平成 28 年度末までに整備された ゾーン 3 における選択的対策の実施状況を見ると 路面表示 ( ゾーン 3 ) の実施箇所数が最も多く 一方で物理的デバイスの実施箇所数は少ない ゾーン 3 (3,15 か所 ) での選択的対策実施箇所数実施率対策事例 ゾーン入口の明確化対策 2,679 86.3% シンボルマーク入り看板 583 18.8% シンボルマーク入り看板 路面表示 ( ゾーン 3 ) 路面表示 ( ゾーン 3 以外 ) 入口カラー化 路面表示 ( ゾーン 3 ) 2,66 83.9% 路面表示 ( ゾーン 3 以外 ) 214 6.9% 入口カラー化 41 12.9% 物理的デバイスの設置 129 4.2% ハンプ 37 1.2% ハンプ 狭さくスラロームクランク 狭さく 69 2.2% スラローム クランク 32 1.% 大型通行禁止等 一時停止 横断歩道 交通規制の実施 32 1.3% 大型通行禁止等 77 2.5% 一時停止 174 5.6% 横断歩道 157 5.1% 路側帯の設置 拡幅及び中央線の抹消 路側帯の設置 拡幅及び中央線の抹消 65 2.9% 6
4-1 整備効果 1 平成 27 年度末までに全国で整備した ゾーン3 (2,49か所) において の1 年間との1 年間における交通事故発生を比較したところ 交通事故発生及び対歩行者 自転車事故 ( 内数 ) はいずれも減少 ( それぞれ23.5% 減 18.6% 減 ) した ゾーン3 の整備前後における交通事故発生の比較( 平成 27 年度末までに整備した2,49か所 ) 交通事故発生 うち死亡 重傷事故発生 6, 5, 4, 5,414 23.5% 減 4,144 22 年 ~28 年のは平均 1.4%/2 年の減 4 3 373 26.8% 減 273 22 年 ~28 年の全死亡 重傷事故は平均 9.1%/2 年の減 3, 2, 1, 2,587 18.6% 減 2,17 22 年 ~28 年の対歩行者 自転車事故は平均 11.6%/2 年の減 2 1 18 11 38.9% 減 22 年 ~28 年の全死亡事故は平均 7.1%/2 年の減 死亡 重傷 うち死亡 注 対歩行者 自転車事故 とは 自動車が第 1 当事者又は第 2 当事者であったときに相手当事者が歩行者又は自転車であった事故をいう 7
4-2 整備効果 2 シンボルマーク入り看板 449 か所 路面表示 ( ゾーン 3 ) 2,76 か所 1, 8 831 2.6% 減 66 5, 4, 4,335 24.2% 減 3,286 6 4 39 21.5% 減 36 3, 2, 1,967 18.5% 減 1,63 2 1, 入口カラー化 347 か所 路面表示 ( ゾーン 3 以外 ) 168 か所 1,4 1,2 1, 8 6 4 2 1,26 531 27.2% 減 17.9% 減 917 436 5 4 3 2 1 378 163 18.3% 減 11.7% 減 39 144 ( 注 ) 上記対策の箇所数については 他のゾーン入口の明確化対策を合わせて行っている箇所も含む 8
4-3 整備効果 3 ハンプ 29 か所 狭さく 58 か所 6 5 4 48 18.8% 減 39 2 15 165 21.2% 減 13 3 2 1 21 17 19.% 減 35.6% 減 1 5 73 47 15 スラローム クランク 31 か所 スラローム 路側帯の設置 拡幅及び中央線の抹消 527 か所 12 9 6 3 18 24.1% 減 7.9% 減 82 38 35 クランク 1,8 1,5 1,2 9 6 3 1,534 735 24.4% 減 2.7% 減 1,16 583 ( 注 ) 上記対策の箇所数については 他の物理的デバイスの設置等を合わせて行っている箇所も含む 9
4-4 整備効果 4 平成 28 年度末までに埼玉県警 京都府警で整備した ゾーン 3 のうちの 22 か所において 整備前後にお ける平均通過速度を比較したところ 2.9km/h 低下した また 物理的デバイスを設置した 13 か所においては 4.2km/h 低下した ゾーン 3 の整備前後における平均通過速度の比較 ( 平成 28 年度末までに埼玉県警 京都府警で整備した ゾーン 3 のうちの 22 か所 ) 4 3 全体 (22 か所 ) 34.9 2.9km/h 低下 32. 4. 3. 物理的デバイスの設置 (13 か所 ) 36. 4.2km/h 低下 31.8 km/h 2 km/h 2. 1 1. 整備前 整備後. 整備前 整備後 1
5-1 効果的な整備事例 1 福岡市博多区板付 麦野地区 ( 平成 23 年度整備 ) では 道路管理者と連携し イメージハンプを活用した路 面表示を設置するとともに 歩道の拡幅や路側帯のグリーンベルト化を実施することで 交通事故抑止効果及び 自動車の走行速度 通過交通量の抑制効果が認められた 1 1 市立板付小学校 2 2 国土地理院の電子地形図 25 を掲載 2 15 1 5 交通事故発生( 件 ) 19 84.2% 減 4 3 1% 減 5. 4. 3. 2. 1.. 平均通過速度(km/h) 通過交通量( 台 ) 37.2 4.2km/h 低下 5 421 約 4.5% 減 33. 4 42 3 2 1 整備前 整備後 整備前 整備後 ( 注 ) 平均通過速度については同一曜日 6 日間の 8:~9: の計測の平均値 通過交通量については同計測の合計値 (6 時間分 ) 11
5-2 効果的な整備事例 2 埼玉県八潮市緑町地区 ( 平成 24 年度整備 ) では 道路管理者と連携し ゾーン内に狭さくを設置すること で 交通事故の抑止効果及び自動車の走行速度 通過交通量の抑制効果が認められた 市立松之木小学校 市立八幡中学校 市立八幡小学校 狭さくの設置状況 2m 狭さくの設置 3.5m 3m 国土地理院の電子地形図 25 を掲載 6m 2 15 1 5 交通事故発生( 件 ) 16 31.3% 減 11 3 33.3% 増 4 5. 4. 3. 2. 1.. 平均通過速度(km/h) 通過交通量( 台 ) 4.3 6.5km/h 低下 25 29 約 5.3% 減 33.8 2 198 15 1 5 整備前 整備後 整備前 整備後 ( 注 ) 平均通過速度については平日 7:3~8:3 の計測の平均値 通過交通量については同計測の合計値 (1 時間分 ) 12
5-3 効果的な整備事例 3 愛媛県松山市東石井地区 ( 平成 28 年度整備 ) では 道路管理者と連携の上 国土交通省が保有する ETC2. データ等のプローブデータを活用し 通過車両の速度が高い箇所に ハンプを設置するなどの対策を実施 走行速度情報等から速度抑制対策箇所の検討 抽出区間におけるその前後の走行経路情報 比較的走行速度が高い 抽出区間 A= 経路が限定的 地元住民利用 B= 経路が広範囲 抜け道利用 参考 C 区域外道路 = 経路が広範囲 A B 速度凡例 ~1km/h 1~2km/h 2~3km/h 3~4km/h 4~5km/h 5~6km/h 6km/h 以上 A 出典 : 国土交通省資料 ETC2. H27.4~H28.3 B 出典 : 国土交通省資料 ETC2. H27.4~H28.3 C 出典 : 国土交通省資料 ETC2. H27.4~H28.3 事故凡例 C 出典 : 国土交通省資料 ETC2. H27.4~H28.3 自動車 自動車自動車 自転車自動車 歩行者自転車 自転車自転車 歩行者その他 凡例 車両の通行位置 東石井地区 凡例 車両の通行位置 凡例 車両の通行位置 ETC2. データ等のプローブデータの分析に基づき ゾーン 3 の整備 ハンプの設置箇所の選定 ハンプの設置 ゾーン 3 の整備 ハンプの設置 (B の対策 ) ゾーン 3 の整備 東山古墳公園 国土地理院の電子地形図 25 を掲載 13
6 今後の取組 ゾーン 3 については 最高速度 3km/h の区域規制のみを必須とし 場所に応じてゾーン入口の明確化な ど選択的対策を実施することとした結果 全国的に整備が進むとともに 一定の交通事故抑止効果及びゾーン内に おける自動車の通過速度の抑制効果が認められた ゾーン3 の更なる推進公共施設や病院 児童遊園など高齢者や子供が利用する施設等も含む区域等において 引き続き 各都道府県警察において ゾーン3 の新たな整備を推進する 継続的な効果検証と対策の見直し交通事故が増加した箇所など十分な効果が見られない整備箇所においては 事故の状況を分析した上で ゾーン3 であることを明示する法定外表示や物理的デバイスの設置等の実施を検討する 効果的な整備事例の共有対策の分析や今後の効果的な整備に資するため 各都道府県警察に対し効果的な整備事例を共有する 平成 29 年 7 月には ゾーン3 の好整備事例等を記載した 生活道路対策としてのゾーン3に関する取組事例集 を作成 14