中間とりまとめ素案(公的賃貸住宅のあり方について)

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図表 糖尿病の患者の状況等 宮城県全国出典 メタボリックシンドローム該当者 予備群割合糖尿病の総患者数 ( 人口比 ) 29.3% 26.2% 62,000 人 3,166,000 人 (2.7%) (2.5%) 特定健康診査 特定保健指導の実施状況に関するデータ ( 平成 27(2

糖尿病型と判定する 血糖値が糖尿病型でかつ HbA1c が 6.5% 以上で糖尿病型であれば 糖尿病と診断できる 血糖値が糖尿病型でかつ糖尿病の典型的症状があるか確実な糖尿病網膜症が確認された場合も 糖尿病と診断できる 血糖値は糖尿病型であるが HbA1c6.5% 未満で上記の症状や確実な網膜症がな

< 糖尿病療養指導体制の整備状況 > 療養指導士のいる医療機関の割合は増加しつつある 図 1 療養指導士のいる医療機関の割合の変化 平成 20 年度 8.9% 平成 28 年度 11.1% 本糖尿病療養指導士を配置しているところは 33 医療機関 (11.1%) で 平成 20 年に実施した同調査

第4章:施策と目標 2:生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底(3)糖尿病(4)COPD

資料 4 現行の保健医療計画と 疾病 事業及び在宅医療に係る医療体制について に示された糖尿病医療体制構築に係る指針 現行の保健医療計画 第 1 糖尿病医療の概況糖尿病は インスリンの働きが悪いことによって 血液中にブドウ糖があふれた状態が永く続いた結果 全身に様々な悪影響が生じる疾患であり その原

第 3 節心筋梗塞等の心血管疾患 , % % % %

県計画

岡山県糖尿病性腎症 重症化予防プログラム 平成 30 年 3 月 岡山県医師会岡山県糖尿病対策推進会議岡山県糖尿病医療連携体制検討会議岡山県糖尿病対策専門会議岡山県 CKD CVD 対策専門会議岡山県国民健康保険団体連合会岡山県

練馬区国保における糖尿病重症化 予防事業について 平成 29 年 3 月 6 日練馬区区民部国保年金課 1 東京都糖尿病医療連携協議会配布資料

第 4 章安全で質の高い医療の確保第 1 節疾病別の医療連携体制 表 平成 20 年度 特定健診 ( 市町村国保 ) における内臓脂肪症候群予備群者 内 臓脂肪症候群該当者の割合 (%) [ 県保健医療福祉課 表

小松市医師会糖尿病連携推進協議会の取り組み 受診につなげる取り組み 1) 特定健診後 小松市からの受診勧奨 2) 地区別健康懇談会 等 3) 一般社団法人小松能美薬剤師会が主導した 薬局での血糖測定のモデル事業 合併症発症予防の取り組み 4) 診療所における栄養指導 運動指導の強化ー小松市の試みー

複製 転載禁止 The Japan Diabetes Society, 2016 糖尿病診療ガイドライン 2016 CQ ステートメント 推奨グレード一覧 1. 糖尿病診断の指針 CQ なし 2. 糖尿病治療の目標と指針 CQ なし 3. 食事療法 CQ3-2 食事療法の実践にあたっての管理栄養士に

国民健康保険制度改革の施行に向けて

第3章「疾病の発症予防及び重症化予防 1がん」

わが国における糖尿病と合併症発症の病態と実態糖尿病では 高血糖状態が慢性的に継続するため 細小血管が障害され 腎臓 網膜 神経などの臓器に障害が起こります 糖尿病性の腎症 網膜症 神経障害の3つを 糖尿病の三大合併症といいます 糖尿病腎症は進行すると腎不全に至り 透析を余儀なくされますが 糖尿病腎症

また リハビリテーションの種類別では 理学療法はいずれの医療圏でも 60% 以上が実施したが 作業療法 言語療法は実施状況に医療圏による差があった 病型別では 脳梗塞の合計(59.9%) 脳内出血 (51.7%) が3 日以内にリハビリテーションを開始した (6) 発症時の合併症や生活習慣 高血圧を

日本の糖尿病患者数は増え続けています (%) 糖 尿 25 病 倍 890 万人 患者数増加率 万人 690 万人 1620 万人 880 万人 2050 万人 1100 万人 糖尿病の 可能性が 否定できない人 680 万人 740 万人

Microsoft Word - 44-第4編頭紙.doc


07佐渡

都道府県単位での肝炎対策を推進するための計画を策定するなど 地域の実情に応じた肝炎対策を推進することが明記された さらに 近年の状況等を踏まえ 平成 28 年 6 月に基本指針の改正を行い 肝炎対策の全体的な施策目標を設定すること等が追記された 都は 肝炎をめぐる都内の状況や基本指針の改正を踏まえ

1. 趣旨 目的 香川県糖尿病性腎症等重症化予防プログラム 香川県医師会香川県糖尿病対策推進会議香川県国民健康保険団体連合会香川県 本県では 糖尿病患者の人口割合が全国上位にあり 糖尿病対策が喫緊 の課題となっている 糖尿病は放置すると網膜症や腎症 歯周病などの合 併症を引き起こし 患者の QOL

Microsoft Word - 1 糖尿病とは.doc

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1. まとめ 1 糖尿病の現状と課題 予備群を含め 2000 万人を超える生活習慣病 糖尿病 医療体制の整備に匹敵する治療の鍵は 患者の行動変容 である そのために必要なのが (1) 予防から合併症予防まで切れ目のない対策 (2) エビデンスに基づくチーム医療 ( 3) データを活用して様々なステー

はじめに徳島県における糖尿病対策は深刻な課題である そのため メディカルスタッフが糖尿病患者の健康と QOL の向上をはかるために 糖尿病とその療養指導に関する正しい知識を得ることは必須である 徳島大学病院と県立中央病院で形成する医療の拠点 ( 総合メディカルゾーン ) は 県民医療の発展 と 地域

リハビリテーションを受けること 以下 リハビリ 理想 病院でも自宅でも 自分が納得できる 期間や時間のリハビリを受けたい 現実: 現実: リ ビリが受けられる期間や時間は制度で リハビリが受けられる期間や時間は制度で 決 決められています いつ どこで どのように いつ どこで どのように リハビリ

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第2期データヘルス計画について

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特定健康診査等実施計画 ( 第二期 ) 三重交通健康保険組合 平成 25 年 7 月

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

スライド 1

対象疾患名及び ICD-10 コード等 対象疾患名 ( 診療行為 ) ICD-10 等 1 糖尿病 2 脳血管障害 3 虚血性心疾患 4 動脈閉塞 5 高血圧症 6 高尿酸血症 7 高脂血症 8 肝機能障害 9 高血圧性腎臓障害 10 人工透析 E11~E14 I61 I639 I64 I209 I

2 保険者協議会からの意見 ( 医療法第 30 条の 4 第 14 項の規定に基づく意見聴取 ) (1) 照会日平成 28 年 3 月 3 日 ( 同日開催の保険者協議会において説明も実施 ) (2) 期限平成 28 年 3 月 30 日 (3) 意見数 25 件 ( 総論 3 件 各論 22 件

News Release 報道関係各位 2015 年 6 月 22 日 アストラゼネカ株式会社 40 代 ~70 代の経口薬のみで治療中の 2 型糖尿病患者さんと 2 型糖尿病治療に従事する医師の意識調査結果 経口薬のみで治療中の 2 型糖尿病患者さんは目標血糖値が達成できていなくても 6 割が治療

(目的)

メディフィットプラスパンフ_通販用_ ai

2 月 22 日市町村自治会館 平成 28 年熊本県保険者協議会第 4 回保健事業部会 KUMAKOKU REPORT(2 月 ) 各医療保険者から 13 人の出席のもと開催した はじめに 向山照美部会長 ( 美里町 ) が平成 28 年度の取り組みを振り返って実施状況を一つずつ確認した

表 糖尿病が強く疑われる者 ( 年齢調整後 ) の割合推移 (%) 糖尿病が強く疑われる者 ( 糖尿病有病者 ( 成

特定健康診査等実施計画

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第三期 特定健康診査等実施計画 ウシオ電機健康保険組合 平成 30 年 4 月

平成 28 年 10 月 17 日 平成 28 年度の認定看護師教育基準カリキュラムから排尿自立指導料の所定の研修として認めら れることとなりました 平成 28 年度研修生から 排泄自立指導料 算定要件 施設基準を満たすことができます 下部尿路機能障害を有する患者に対して 病棟でのケアや多職種チーム


平成 27 年 10 月 6 日第 2 回健康増進 予防サービス プラットフォーム資料 協会けんぽ広島支部の取り組み ~ ヘルスケア通信簿について ~ 平成 27 年 10 月全国健康保険協会広島支部 協会けんぽ 支部長向井一誠

心疾患患による死亡亡数等 平成 28 年において 全国国で約 20 万人が心疾疾患を原因として死亡しており 死死亡数全体の 15.2% を占占め 死亡順順位の第 2 位であります このうち本県の死亡死亡数は 1,324 人となっています 本県県の死亡率 ( 人口 10 万対 ) は 概概ね全国より高

【最終版】医療経営学会議配付資料 pptx

目次 1. 目的 2 2. 人工透析患者の年齢等の分析 3 性別 被保険者 被扶養者 3. 人工透析患者の傷病等の分析 8 腎臓病 併存傷病 平成 23 年度新規導入患者 4. 人工透析 健診結果 医療費の地域分析 13 二次医療圏別 1

特定健康診査等実施計画 第二期 ( 平成 25 年度 ~ 平成 29 年度 ) 第一版 三菱鉛筆健康保険組合 平成 25 年 5 月

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個人情報保護・情報管理・情報システム 平成22年度新採用職員合同オリエンテーション 平成22年4月2日(金) 14:40~15:50

京都府がん対策推進条例をここに公布する 平成 23 年 3 月 18 日 京都府知事山田啓二 京都府条例第 7 号 京都府がん対策推進条例 目次 第 1 章 総則 ( 第 1 条 - 第 6 条 ) 第 2 章 がん対策に関する施策 ( 第 7 条 - 第 15 条 ) 第 3 章 がん対策の推進

第2次「健康くるめ21」計画

愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

市原市国民健康保険 データヘルス計画書

Ⅰ 目標達成

第 2 章計画の推進及び進行管理 1 計画の推進 県 市町村及び県民が 関係機関等と相互に連携を図りながら 県民の歯 口腔の健康づくりを推進します 県における推進 (1) 全県的な推進 県全域の課題を踏まえた基本的施策や方向性を示すとともに 取組の成果について継続的な評価を行い 県民の生涯を通じた歯

背景及び趣旨我が国は国民皆保険のもと世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成してきた しかし 急速な少子高齢化や国民の意識変化などにより大きな環境変化に直面しており 医療制度を持続可能なものにするために その構造改革が急務となっている このような状況に対応するため 高齢者の医療の確保に関する法律に

<4D F736F F F696E74202D208E9197BF315F817582C782B182C582E0826C C B4C985E82C98AD682B782E98DEC8BC EF92868AD495F18D902E B8CDD8AB B83685D>

1 保健事業実施計画策定の背景 北海道の後期高齢者医療は 被保険者数が増加し 医療費についても増大している 全国的にも少子高齢化の進展 社会保障費の増大が見込まれる このような現状から 一層 被保険者の健康増進に資する保健事業の実施が重要となっており 国においても 保健事業実施計画 ( データヘルス

福井県糖尿病性腎症重症化予防プログラム福井県医師会福井県糖尿病対策推進会議福井県 1 趣旨 目的本プログラムは福井県医師会 福井県糖尿病対策推進会議および福井県の三者で策定し 県内の医療保険者 ( 以下 保険者 という ) が医療機関と連携して糖尿病性腎症等の重症化予防の対策が容易となるよう基本的な

インスリンが十分に働かない ってどういうこと 糖尿病になると インスリンが十分に働かなくなり 血糖をうまく細胞に取り込めなくなります それには 2つの仕組みがあります ( 図2 インスリンが十分に働かない ) ①インスリン分泌不足 ②インスリン抵抗性 インスリン 鍵 が不足していて 糖が細胞の イン

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

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(この実施計画は「高齢者の医療の確保に関する法律」第19条の規定に基づき作成し、

透析看護の基本知識項目チェック確認確認終了 腎不全の病態と治療方法腎不全腎臓の構造と働き急性腎不全と慢性腎不全の病態腎不全の原疾患の病態慢性腎不全の病期と治療方法血液透析の特色腹膜透析の特色腎不全の特色 透析療法の仕組み血液透析の原理ダイアライザーの種類 適応 選択透析液供給装置の機能透析液の組成抗

特定健康診査等実施計画 東京スター銀行健康保険組合 平成 25 年 4 月

5 疾病対策別等医療連携体制の充実(脳卒中)

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一般会計負担の考え方

1 基本健康診査基本健康診査は 青年期 壮年期から受診者自身が自分の健康に関心を持ち 健康づくりに取り組むきっかけとなることを目的に実施しています 心臓病や脳卒中等の生活習慣病を予防するために糖尿病 高血圧 高脂血症 高尿酸血症 内臓脂肪症候群などの基礎疾患の早期発見 生活習慣改善指導 受診指導を実

地域医療構想の概要 1 地域医療構想の位置づけ 平成 25 年 3 月に 医療法に基づき 本県の疾病対策及び医療提供体制の基本方針である第 6 期岐阜県保健医療計画を策定した 平成 27 年 4 月に施行された改正医療法に基づき 保健医療計画の一部として 将来 (2025 年 ) あるべき医療提供体

背景及び趣旨 我が国は国民皆保険のもと世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成してきた しかし 急速な少子高齢化や国民の意識変化などにより大きな環境変化に直面しており 医療制度を持続可能なものにするために その構造改革が急務となっている このような状況に対応するため 高齢者の医療の確保に関する法律

(7)健診データの受領方法

死亡率 我が国における疾病構造 生活習慣病は死亡割合の約 6 割を占めている 我が国の疾病構造は感染症から生活習慣病へと変化 死因別死亡割合 ( 平成 24 年 ) 生活習

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医療事故防止対策に関するワーキング・グループにおいて、下記の点につき協議検討する

正誤表 正誤箇所 誤 正 医科 - 基本診療料 -35/47 注 3 診療に係る費用 ( 注 2 及び注 4に規定する加算 注 3 診療に係る費用 ( 注 2 及び注 4に規定する加算 注の見直し 当該患者に対して行った第 2 章第 1 部医学管理等の 当該患者に対して行った第 2 章第 1 部医学

<4D F736F F D C AB90748FC78F648FC789BB975C D834F E646F6378>

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佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

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第三期特定健康診査等実施計画 ニチアス健康保険組合 最終更新日 : 平成 30 年 02 月 20 日

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3 スライディングスケール法とアルゴリズム法 ( 皮下注射 ) 3-1. はじめに 入院患者の血糖コントロール手順 ( 図 3 1) 入院患者の血糖コントロール手順 DST ラウンドへの依頼 : 各病棟にある AsamaDST ラウンドマニュアルを参照 入院時に高血糖を示す患者に対して 従来はスライ

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平成26年患者調査 新旧対照表(案)

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<4D F736F F F696E74202D208E9197BF C B68A888F4B8AB CE8DF48E9197BF88C42E707074>

7 対 1 10 対 1 入院基本料の対応について 2(ⅲ) 7 対 1 10 対 1 入院基本料の課題 将来の入院医療ニーズは 人口構造の変化に伴う疾病構成の変化等により より高い医療資源の投入が必要となる医療ニーズは横ばいから減少 中程度の医療資源の投入が必要となる医療ニーズは増加から横ばいにな

Transcription:

第 4 節糖尿病 1. 糖尿病について (1) 疾病の特性 糖尿病は 血糖値を下げるホルモンであるインスリンの不足または作用不足により 血糖値が上昇する慢性疾患で 主に 原因がよくわかっておらず若年者に多い1 型糖尿病と 食生活や運動 身体活動等の生活習慣が関係する2 型糖尿病があります インスリンの作用不足等により高血糖が起こると 口渇 多飲 多尿 体重減少等の症状が 見られます しかし 糖尿病の発症早期には 自覚症状がないことが多く 特定健診等を受 診することによる早期発見が大切になります 糖尿病が十分にコントロールされないと その持続により合併症を発症します 糖尿病合併 症には 著しい高血糖によって起こる急性合併症と 長年にわたる慢性の高血糖の結果起こ る糖尿病網膜症 糖尿病腎症 糖尿病神経障害 歯周病等の慢性合併症があります 糖尿病の予防 2 型糖尿病を予防するには 肥満の解消 食生活の改善と運動 身体活動の習慣化 歯周病 の予防が大切です また 重症化予防の観点から定期的な健康診断の受診が重要です 糖尿病の医療 1 型糖尿病の場合は直ちにインスリン治療を行うことが多いですが 糖尿病の大半を占める 2 型糖尿病の発症には生活習慣が大きく関与しているため 一部の重症例を除いてまず初めに 生活習慣改善の徹底を行います 2 型糖尿病では 食事療法や運動療法で血糖のコントロールが不十分である場合には 経口 血糖降下剤またはインスリン製剤による薬物療法が行われます 糖尿病網膜症 糖尿病腎症 糖尿病神経障害 歯周病等の合併症の早期発見や治療を行うた めには 糖尿病専門医 眼科 腎臓内科 神経内科 歯科等関係専門医等が連携し 継続的 な治療を行うことが必要です - 155 -

(2) 医療機関に求められる役割 第 6 章 5 疾病 4 事業の医療体制第 4 節糖尿病 糖尿病の初期治療 糖尿病の評価に必要な検査 診断及び専門的指導が可能であること 糖尿病の専門治療 ( 血糖コントロール不可例の治療 ) 各専門職種のチームによる食事療法 運動療法 薬物療法等を組み合わせた教育入院等の治 療及び食事療法や運動療法を実施するための設備があること 糖尿病の合併症治療 糖尿病の急性合併症 ( 糖尿病昏睡等 ) の治療が可能であること 糖尿病の慢性合併症 ( 糖尿病網膜症 糖尿病腎症 糖尿病神経障害等 ) について それぞれ専門的な検査 治療が実施可能であること 地域と連携する機能 糖尿病の予防 重症化予防を行う市町村及び保険者 薬局等の社会資源と情報共有や協力体 制を構築する等連携していること (3) 糖尿病の医療体制 ( イメージ ) 糖尿病に関する医療は 発症前から 初期治療 専門治療 急性増悪時治療 安定期治療 慢性合併症治療 在宅医療と 症状に応じて各医療機関等が連携しながら行っています - 156 -

2. 糖尿病医療の現状と課題 第 6 章 5 疾病 4 事業の医療体制第 4 節糖尿病 大阪府における糖尿病の入院受療率は減少傾向にありますが 全国平均を上回っています 糖尿病治療を行う医療機関は充実していますが 糖尿病治療が本来必要であるにも関わらず 未治療の患者がいることから 重症化予防の観点も含め 今後も引き続き 医療体制のあり方について検討していく必要があります (1) 糖尿病の患者数等 大阪府における糖尿病の入院の推計患者数 受療率は増加傾向にはありませんが 外来の患 者数 受療率は増加傾向にあり 平成 26 年の外来患者数は 16,600 人 外来受療率は人口 10 万対 188 となっています 図表 6-4-1 糖尿病の患者数 ( 外来 ) 図表 6-4-2 糖尿病の患者数 ( 入院 ) 出典厚生労働省 患者調査 糖尿病未治療者の割合 府内では 特定健診受診者における糖尿病の疑いがある者の割合は 男性 女性ともに横ば い傾向であり 平成 27 年度には男性 11.6% 女性 6.1% となっています 特定健診受診者における糖尿病の疑いがある者のうち 未治療である者の割合をみると 40 歳代では 糖尿病の疑いがある者の半数以上に上ります - 157 -

図表 6-4-3 糖尿病の疑いがある者の割合 図表 6-4-4 糖尿病の疑いがある者のうち 未治療者の割合 ( 平成 26 年度 ) 出典大阪がん循環器病予防センター 調査報告書 ( 特定健診結果分析 )( 大阪府国保 ) 出典大阪がん循環器病予防センター 調査報告書 ( 特定健診 レセプト分析 ) ( 大阪府国保及び協会けんぽ大阪支部 ) 新規人工透析導入患者数 大阪府における平成 27 年の新規人工透析導入患者は 約 2,719 人であり そのうち 糖 尿病腎症が原疾患である患者は 1,162 人となっています 図表 6-4-5 新規人工透析導入患者 出典日本透析医学会 わが国の慢性透析療法の現況 (2) 糖尿病の医療提供体制 糖尿病治療を行う病院 府内において 糖尿病の治療を行う病院は 395 施設あり うち インスリン療法可能な病院が 373 施設あります また 合併症治療については 網膜光凝固術可能な病院が 117 施設 血液透析が可能な病院が 168 施設あります - 158 -

- 159 - 図表 6-4-6 糖尿病治療の実施病院数 ( 平成 29 年 6 月 30 日現在 ) 図表 6-4-7 糖尿病治療の実施病院数 ( 平成 29 年 6 月 30 日現在 ) 図表 6-4-8 糖尿病関連在宅指導管理の実施病院数 ( 平成 29 年 6 月 30 日現在 ) 豊能 33 33 12 17 9 10 6 8 16 3 2 35 5 2 三島 30 26 8 12 6 12 8 10 15 2 1 32 6 5 北河内 50 47 16 20 8 22 15 14 22 7 1 52 10 4 中河内 32 32 17 22 4 10 6 4 16 4 1 29 4 1 南河内 29 29 14 17 4 7 4 9 11 1 1 29 4 0 堺市 34 33 8 16 9 8 5 5 18 8 0 38 4 2 泉州 48 46 21 20 3 14 7 11 16 6 1 49 9 4 大阪市 139 127 25 33 13 34 32 34 54 10 10 149 19 9 大阪府 395 373 121 157 56 117 83 95 168 41 17 413 61 27 在宅自己注射指導管理在宅自己腹膜潅流指導管理在宅血液透析指導管理指導治療糖尿病に関する大血管症スクリーニング生体腎移植糖尿病の治療を行う病院数二次医療圏インスリン療法 G L P 1 受容体作動薬注射糖尿病に関する注射薬の外来での導入網膜光凝固術硝子体手術腹膜透析血液透析夜間透析

糖尿病重症化予防( 患者教育 ) を行う病院 府内において 糖尿病重症化予防 ( 患者教育 ) を行う病院は 371 施設となっており 入院での運動療法室での運動療法を行っている病院は 89 施設 入院での管理栄養士による食事療法を行っている病院は 207 施設あります 図表 6-4-9 糖尿病重症化予防 ( 患者教育 ) の実施病院数 ( 平成 29 年 6 月 30 日現在 ) 二次医療圏 食事療法 運動療法 自己血糖測定 ( 診療報酬を算定している ) 運動療法室での運動療法 ( 入院 ) 管理栄養士による食事療法 ( 入院 ) 運動療法室での運動療法 ( 外来 ) 管理栄養士による食事療法 ( 外来 ) 豊能 33 11 19 4 21 三島 30 10 18 9 19 北河内 42 12 28 9 28 中河内 33 9 30 10 30 南河内 26 8 21 6 21 堺市 31 12 19 11 19 泉州 44 11 28 11 30 大阪市 132 16 44 11 48 大阪府 371 89 207 71 216 図表 6-4-10 糖尿病重症化予防 ( 患者教育 ) の実施病院数 ( 平成 29 年 6 月 30 日現在 ) 図表 6-4-11 人口 10 万人対の糖尿病治療の実施病院 ( 平成 29 年 6 月 30 日現在 ) 図表 6-4-12 人口 10 万人対の食事療法 運動療法 自己血糖測定の実施病院 ( 平成 29 年 6 月 30 日現在 ) 人口 10 万人対 算出に用いた人口は 大阪府総務部 大阪府の推計人口 ( 平成 26 年 10 月 1 日現在 ) - 160 -

- 161 - 糖尿病治療を行う一般診療所 府内において 糖尿病の治療を行う一般診療所は 2,309 施設あり うち インスリン療法可能な一般診療所が 1,788 施設あります また 合併症については 網膜光凝固術可能な一般診療所が 330 施設 血液透析可能な一般診療所が 165 施設あります 糖尿病重症化予防 ( 患者教育 ) を行う一般診療所 豊能 235 183 40 50 12 32 4 5 12 5 150 4 1 三島 153 112 18 30 4 27 5 5 11 6 103 6 5 北河内 260 193 34 40 9 45 5 6 26 14 158 8 2 中河内 200 158 36 36 9 28 7 3 16 10 132 5 2 南河内 144 109 20 21 5 22 2 2 12 4 94 1 0 堺市 210 168 29 36 6 25 4 6 13 6 149 9 5 泉州 220 176 35 38 5 29 6 4 11 3 146 1 1 大阪市 887 689 122 141 29 122 24 17 64 43 594 31 10 大阪府 2,309 1,788 334 392 79 330 57 48 165 91 1,526 65 26 治療在宅血液透析指導管理腹膜透析血液透析夜間透析在宅自己注射指導管理在宅自己腹膜潅流指導管理二次医療圏糖尿病の治療を行う病院数指導インスリン療法 G L P 1 受容体作動薬注射糖尿病に関する注射薬の外来での導入糖尿病に関する大血管症スクリーニング網膜光凝固術硝子体手術図表 6-4-13 糖尿病治療の実施一般診療所数 ( 平成 29 年 6 月 30 日現在 ) 図表 6-4-14 糖尿病治療の実施一般診療所数 ( 平成 29 年 6 月 30 日現在 ) 図表 6-4-15 糖尿病関連在宅指導管理の実施一般診療所数 ( 平成 29 年 6 月 30 日現在 )

府内において 糖尿病重症化予防 ( 患者教育 ) を行う一般診療所は 1,460 施設となってい ますが 運動療法室での運動療法や管理栄養士による食事療法については 施設設備の充実 や人材確保の観点から少なくなっています 図表 6-4-16 糖尿病重症化予防 ( 患者教育 ) の実施一般診療所数 ( 平成 29 年 6 月 30 日現在 ) 二次医療圏 食事療法 運動療法 自己血糖測定 ( 診療報酬を算定している ) 運動療法室での運動療法 ( 入院 ) 管理栄養士による食事療法 ( 入院 ) 運動療法室での運動療法 ( 外来 ) 管理栄養士による食事療法 ( 外来 ) 豊能 155 0 1 1 9 三島 93 0 1 0 4 北河内 160 0 1 4 11 中河内 121 0 1 4 11 南河内 87 0 0 1 3 堺市 137 0 1 2 10 泉州 139 0 0 1 6 大阪市 568 0 0 7 25 大阪府 1,460 0 5 20 79 図表 6-4-17 糖尿病重症化予防 ( 患者教育 ) の実施一般診療所数 ( 平成 29 年 6 月 30 日現在 ) 図表 6-4-18 人口 10 万人対の糖尿病治療の実施一般診療所 ( 平成 29 年 6 月 30 日現在 ) 図表 6-4-19 人口 10 万人対の食事療法 運動療法 自己血糖測定の実施一般診療所 ( 平成 29 年 6 月 30 日現在 ) 人口 10 万人対 算出に用いた人口は 大阪府総務部 大阪府の推計人口 ( 平成 26 年 10 月 1 日現在 ) - 162 -

医療連携室等 府内において 糖尿病治療を行う病院のうち 自院と他院 他施設との退院 転院調整等を 担う地域医療連携室を設置している病院は 361 施設 (91.4%) あります 府内において 糖尿病治療を行う病院のうち 地域医療連携に糖尿病連携手帳等の患者手帳 を活用している病院は 59 施設 (14.9%) と少なくなっています 図表 6-4-20 糖尿病治療を行う病院のうち地域医療連携室を設置している病院 ( 平成 29 年 6 月 30 日現在 ) 図表 6-4-21 糖尿病治療を行う病院のうち地域医療連携に糖尿病患者手帳等を活用している病院 ( 平成 29 年 6 月 30 日現在 ) (4) 患者の受療動向 (2015 年度国保 後期高齢者レセプト ) 糖尿病患者の大阪府と他都道府県との流出入を見ると 外来では流入患者数は 702,960 人 流出患者数は 402,958 人となり 流入超過となっています また 入院においても 流入患者数は 43,038 人 流出患者数は 25,716 人となり 流入超過となっています ( 出典厚生労働省 データブック Disk1 ) 外来患者の受療動向( 二次医療圏別 ) 二次医療圏において 圏域外への患者流出割合は 5% から 15% 程度となっており 圏域内の自己完結率は高くなっていますが 豊能 三島 北河内 中河内 堺市 泉州二次医療圏では 流出超過となっています - 163 -

図表 6-4-22 患者の受診先医療機関の所在地 ( 割合 ) 図表 6-4-23 圏域における外来患者の 流入 - 流出 ( 件数 ) 出典厚生労働省 データブック Disk1 入院患者の受療動向( 二次医療圏別 ) 二次医療圏において 圏域外への患者流出割合は 10% から 30% 程度となっており 圏域内の自己完結率は高くなっていますが 三島 北河内 中河内 泉州二次医療圏では 流出超過となっています 図表 6-4-24 患者の入院先医療機関の所在地 ( 割合 ) 図表 6-4-25 圏域における入院患者の 流入 - 流出 ( 件数 ) 出典厚生労働省 データブック Disk1-164 -

(5) 医療機関への移動時間 二次医療圏間の流出入はありますが 府内において 自宅等から糖尿病治療を実施する医療 機関までの移動時間は 多くの疾患において 概ね 30 分以内となっています 図表 6-4-26 医療機関への移動時間に関する人口カバー率 3. 糖尿病医療の施策の方向 目的 ( めざす方向 ) 糖尿病による新規人工透析患者数の減少 (1) 糖尿病の予防 糖尿病等の生活習慣病は 生活習慣病に共通する危険因子を取り除くことで 発症リスクを 抑えられることができ また 糖尿病は 必要な治療を継続して受けることで重篤な合併症 を予防できることから 第 3 次大阪府健康増進計画 ( 計画期間 :2018 年度から 2023 年 度 ) に基づき 多様な主体との連携によるライフステージに応じた発症予防や重症化予防に 取組みます 計画中間年 (2020 年度 ) までの取組 出典厚生労働省 データブック Disk2 tableau public 公開資料 (https://public.tableau.com/profile/kbishikawa#!/) 石川ベンジャミン光一 ( 国立がんセンター ) 作成 目標 第 3 次大阪府健康増進計画に基づくライフステージに応じた生活習慣病の予防の推進 地域の実情に応じた糖尿病の医療体制の構築 特定健診等のデータ及び医療保険データを収集し 疾病発生状況 健康課題等を分 析します 市町村や関係機関と連携し 府民の健康に対するインセンティブの仕組みづくりや ICT 等を活用して保険者が行う特定健診受診率 特定保健指導実施率の向上支援に 取組みます - 165 -

保険者や関係機関と連携し 府民の自主的な健康づくりや職場における健康づくりを促進します 保険者や関係機関と連携し 糖尿病患者に対する適切な受診勧奨や保健指導の実施等 重症化予防の取組を促進します 計画最終年 (2023 年度 ) までの取組 中間年までに実施した事業の結果を踏まえ 引き続き 生活習慣病予防のために事 業を実施します (2) 糖尿病の医療機能の分化 連携の推進 糖尿病の医療体制や医療連携の状況等を把握し 関係者間でめざすべき方向性の共有を図る ことにより 地域の医療機関の自主的な取組を促進します 計画中間年(2020 年度 ) までの取組 地域における糖尿病の医療体制( 医療機能 医療需要 受療動向等 ) について 医療機関情報システムや NDB DPC データの分析等を行い経年的な把握に努めます 二次医療圏ごとに設置している 大阪府保健医療協議会 において 上記で分析した結果に基づき 今後の地域の医療体制について協議し 関係者間でめざすべき方向性について認識を共有します 糖尿病の患者にかかる医療連携の状況を 地域で診療に携わる医療従事者間で共有する会議を開催し 地域の実情に応じて 糖尿病連携手帳の活用等による連携体制の充実を図ります 計画最終年 (2023 年度 ) までの取組 中間年までに実施した事業の結果を踏まえ 今後の地域の医療体制について引き続 き協議していきます - 166 -

施策 指標マップ 番号 番 A 個別施策 B 目標 ( 体制整備 医療サービス ) 号 番号 C 目的 ( 府民の状態 ) 予防 の医連分療携化機 能 1 第 3 次大阪府健康増進計画に基づく生活習慣病予防の取組 2 医療体制に関する協議の実施 1 2 第 3 次大阪府健康増進計画に基づく生活習慣病予防の推進 指標 第 3 次大阪府健康増進計画の目標値 地域の実情に応じた糖尿病の医療体制の構築 指標各二次医療圏で設定した取組 1 糖尿病による新規人工透析患者の減少 指標 糖尿病による新規人工透析導入患者数 目標値一覧 分類 B: 目標 C: 目的 指標 対象年齢 値 現状 出典 2020 年度 ( 中間年 ) 目標値 2023 年度 ( 最終年 ) B 第 3 次大阪府健康増進計画での目標値の達成 - 第 3 次大阪府健康増進計画で評価します B 各二次医療圏で設定した取組 - 各二次医療圏の保健医療協議会等で評価します C 糖尿病による新規人工透析導入患者数 - 1,162 人 ( 平成 27 年 ) 日本透析医学会 わが国の慢性透析療法の現況 - 1,000 人未満 第 9 章 二次医療圏における医療体制 参照 - 167 -