トラック運送業における 原価計算シート 利用要領 公益社団法人全日本トラック協会
目次 1. 原価計算シートの目的... 1 2. 対象となる利用者... 1 3. 原価計算シートの構成... 1 4. 原価計算シートの利用方法... 1 (1) 車両別の原価計算シート... 1 (2) 取引先別の原価計算シート... 4 (3) 運行ルート別の原価計算シート... 5 5. 原価計算シートの活用方法... 6
1. 原価計算シートの目的この原価計算シートは 会員事業者の皆さんが原価計算の取組を支援することを目的に提供します 各事業者の運送形態 契約形態 輸送品の特性 経営特性等を踏まえ 経営実態等に合った原価計算シートを作成し 活用していくことが望まれます 効率的に原価計算を実施し 効果的に原価計算結果を活用している事業者 ( 車両台数 50 両未満 ) を調査したところ 自社独自の原価計算シートを作成しているケースが非常に多くを占めることが把握されています こうした背景を踏まえ ここで提供する素材となる原価計算シート ( エクセルファイル ) を修正して 自社の経営特性に即した原価計算シートを作成していくことを前提に 原価計算シートの素材を提供します 2. 対象となる利用者原価計算シートの利用対象者は 主に全日本トラック協会と地方トラック協会共催の 原価意識向上のための基礎セミナー の受講経験がある方で 現在原価計算を十分に実施していない事業者の皆様を想定しています 会員事業者の皆様がこの原価計算シートを参考に 自由に修正し活用することを主眼としているため 原価計算ソフトとしての完成度は十分でない部分もございます また 自社の経営実態に即した計算システムを作成することが負担と感じる事業者の皆様には 市販の原価計算ソフトの利用をお薦めいたします 3. 原価計算シートの構成この原価計算シートは 下記の3つの原価計算シートにより構成されています 1 車両別の原価計算シート車両ごとに原価計算を行う計算シートです 2 取引先別の原価計算シート荷主 元請等の取引先ごとに原価計算を行うシートです 3 運行ルート別の原価計算シート A 地点からB 地点など 運行ルートごとに原価計算を行うシートです 4. 原価計算シートの利用方法 (1) 車両別の原価計算シート車両別の原価計算は 取引先別 運送ルート別の原価計算を行う前段階に実施する必要があります エクセルシートの 条件シート に必要なデータを入力してください 条件となる基礎データの入力が完了すると 車両別原価計算 ( 出力シート ) に計算結果が出力されます 条件シートへの入力では 50 両分のデータまで入力でき 車両データ 運行三費データ 保険料データなど 経理関係書類等から入力してください 条件シートの入力 1
の際には 入力上の留意点 データ特性 次月データ作成の留意点を参考に数字を入力してください なお この計算シートにおける一般管理費 施設費等の配賦計算 人件費の配賦計算等はエクセルシートの計算式をご確認ください こちらに記載している計算式は一例ですので 実態に合わせて変更してください 運送原価計算の条件設定シート 次月データ作成 車両データ入力上の留意点データ特性の留意点 車両ナンバー 例 ) 品川 100 あ1111 前月データをコピー 車両購入価格 ( 円 ) 車両購入時の税抜価格 車両個別データ 全額 前月データをコピー 付属備品等の費用 ( 円 ) ドラレコ デジタコ ETC 等の設備費用 車両個別データ 全額 前月データをコピー 使用後の売却予定額 ( 円 ) 0 か 見込額 車両個別データ 将来の見込額 前月データをコピー 実際に利用する期間 ( 月 ) 使用予定期間を月数で入力例 )5 年なら5 年 12ヵ月 =60ヵ月ですので 60と入力してください 車両個別データ 利用予定期間 前月データをコピー 運行三費データ燃料単価 (1l 当たりの金額 : 円 ) 燃料単価は 1ヵ月の平均調達単価 ( 購入価格 ) 事業全体の平均値 昨月の実績額 毎月入力 燃費 (km/l) 車両別の平均燃費で 過去 1 年の平均値 車両個別データ 平均額 前月データをコピー オイル単価 ( 円 ) オイルの1リットル当たりの単価 事業全体の平均値 平均額 前月データをコピー 1 回当たりのオイル量 (l) オイル交換の際の必要なオイル量 車両個別データ 平均オイル量 前月データをコピー オイルの交換走行距離 (km) オイルを交換する目安となる走行距離 車両個別データ 平均交換距離 前月データをコピー タイヤ チューブ 1 本当たり費用 ( 円 ) 1 本当たりの平均費用 車両個別データ 平均タイヤチューフ 費 前月データをコピー タイヤ本数 ( 本 ) 必要なタイヤの本数 車両個別データ 車両に必要な本数 前月データをコピー タイヤ交換頻度 (km) タイヤ交換する目安となる走行距離 車両個別データ 平均交換距離 前月データをコピー 車検整備費用 ( 円 ) 車検のための平均的な整備費用 ( 見込 ) 車両個別データ 前回の実績額 前月データをコピー 車検有効期間 ( 月数 ) 車検の有効期間 車両個別データ 実際の期間 前月データをコピー 一般修理費用 ( 円 ) 車検整備費以外の一般修理費用 車両個別データ 前回の実績額 前月データをコピー 標準走行距離 (km) 上記の修理費を要する標準的な走行距離 車両個別データ 実際の期間 前月データをコピー 保険料データ自賠責保険料 ( 円 ) 自賠責保険料の支払額 車両個別データ 実際の支払額 前月データをコピー 支払期間 ( 加入月数 ) 上記の有効期間 車両個別データ 保険期間の月数 前月データをコピー 任意保険料 ( 円 ) 任意保険料の支払額 車両個別データ 実際の支払額 前月データをコピー 支払期間 ( 加入月数 ) 上記の有効期間 車両個別データ 保険期間の月数 前月データをコピー その他運送業総合保険等 ( 円 ) その他保険料の支払額 車両個別データ 実際の支払額 前月データをコピー 支払期間 ( 加入月数 ) 上記の有効期間 車両個別データ 保険期間の月数 前月データをコピー 運転者人件費データ支払給与 賞与 手当 法定福利費等 ( 平均年額 : 円 ) 運輸事業における1 年間 1 人当たりのドライバー人件費の平均額 平均値 1 人当たり1 年分 前月データをコピー 退職引当金 ( 平均年額 : 円 ) 運輸事業における1 年間 1 人当たりのドライバー人件費の平均額 平均値 1 人当たり1 年分 前月データをコピー 残業時間 ( 時間 ) 残業時間を時間単位で入力 車両個別データ 昨月の実績時間 毎月入力 平均時間外手当の単価 ( 円 ) ドライバーの残業手当に係る平均単価 車両個別データ 平均残業単価 前月データをコピー 一般管理費データ 一般管理費 ( 平均年額 : 円 ) 施設費 ( 平均年額 : 円 ) 施設に関わる租税公課 ( 平均年額 : 円 ) 過去 1 年から3 年程度の実運送事業の一般管理費の平均値平均額 1 年 事業全体の平均額 前月データをコピー 過去 1 年から3 年程度の実運送事業の施設費の平均平均値額 1 年 事業全体の平均額 前月データをコピー 過去 1 年から3 年程度の実運送事業の施設の租税公平均値課の平均額 1 年 事業全体の平均額 前月データをコピー 庸車分を除外してください 金融費用データ 借入金利 ( 円 ) 昨年 1 年間の平均支払利息額を入力 車両個別データ 1 年分の利息額 前月データをコピー 融資手数料 ( 円 ) 融資を受けた際に支払った手数料を入力 車両個別データ 全額 前月データをコピー 租税公課データ自動車取得税 ( 取得時 )( 円 ) 取得時の自動車取得税 車両個別データ 実際の支払額 前月データをコピー 自動車税 (1 年間 )( 円 ) 自動車税 車両個別データ 実際の支払額 前月データをコピー 自動車重量税 (1 年間 )( 円 ) 自動車重量税 車両個別データ 実際の支払額 前月データをコピー その他費用データ高速道路利用料金 ( 円 ) 前月利用した高速道路料金 車両個別データ 昨月の実績 毎月入力 フェリー利用料金 ( 円 ) 前月利用したフェリー利用料金 車両個別データ 昨月の実績 毎月入力 事故処理費用 ( 円 ) 過去数年間の1 年当たりの平均値を採用 事業全体の平均値 1 年当たりの平均額 前月データをコピー その他費用 ( 円 ) 上記費用以外に要した費用 車両個別データ 昨月の実績 毎月入力 1 ヵ月実績データ 運賃 ( 月額 ) 1か月間の売上高 ( 運賃 ) 車両個別データ 昨月の実績 毎月入力 会社全体の運賃 ( 月額 ) 運輸事業のうち 実運送の全体の運賃額 ( 傭車分を除外する ) 車両個別データ 昨月の実績 毎月入力 平均稼働時間 ( 時間 ) 実運送の車両の平均稼働時間 事業全体の平均値 1ヵ月当たり平均時間 前月データをコピー 稼働時間 ( 時間 ) 1か月間の稼働時間 車両個別データ 昨月の実績 毎月入力 走行距離 (km) 1か月間の走行距離 車両個別データ 昨月の実績 毎月入力 2
条件シートに入力した結果 車両別の原価 が算出されます このとき 計算式のセル を確認して 自社に即した計算式に随時修正することができます 計算式は 各セルに入 力されていますので 随時変更してください なお 下記のデータは自動計算されます 車両別の運送原価計算データ 車両番号費目 (1) 減価償却費 1 (2) 金融費用車 (3) 自動車取得税両 (4) 自動車税費 (5) 自動車重量税車両費の合計 2 (1) 自賠責保険保 (2) 任意保険 ( 事故 車両 ) 険 (3) その他運送業総合保険等費保険費の合計 (1) 燃料費 3 (2) 油脂費 (3) 修車検整備費運繕費行一般修理費費 (4) タイヤチューブ費運行費の合計 4 (1) ドライバー人件費人 (2) 時間外手当件 (3) 退職金引当金費人件費の合計 5 事故処理費 6 (1) 施設費用施 (2) 租税公課設費施設費の合計 7 その他諸費 8 通行料 ( 高速道路利用料他 ) 9 一般管理費運送原価の合計 1 2 3 このシートは全て 自動計算されます このシートの全ての箇所は自動計算されます 1 ヵ月の運賃 損益月間走行距離稼働時間運賃の貢献度走行距離 1km 当たり変動費稼働 1 時間当たり固定費 取引先別の原価計算シート 運行ルート 別運送原価試算シートで利用 3
なお 車両費については 購入した場合のみ計算でき リース取引の場合には計算でき ません (2) 取引先別の原価計算シート取引先別の原価計算では 取引先名 車両番号 車両ごとの走行距離及び運賃を入力してください 1 台の車両を複数の取引先に対して 運送を提供している場合 走行距離 稼働時間をそれぞれ入力します 車両単位で 全体の走行距離と稼働時間に一致するように配分して入力してください なお 車両ごとの走行距離 稼働時間 運賃を入力することにより計算する仕組みにしています 荷主名 車両番号 1km 当たり変動費 荷主名と車両番号を入力します 取引先別の原価計算 車両別のデータ当該荷主との運送状況 ( 入力 ) 1 時間当たり固定費 車両別の運送原価計算シートの一番下にある数字を転記してください 走行距離稼働時間運賃運送原価収支 車両ごとの走行距離 稼働時間 運賃を入力します この箇所は自動計 算されます 合計 0 入力個所です それ以外のセルには入力をしないでください シートに保護をかけておりませんので 上記以外に入力をしますと 計算式が消去されてしまいます 走行距離は 荷主別に何キロ走行したかを入力してください 運賃は 車両別に荷主ごとの収受した運賃を入力してください 4
(3) 運行ルート別の原価計算シート運行ルート別の原価計算シートは 運行ルートごとの標準所要時間と標準走行時間を入力します ( 標準原価計算 ) このシートは 車両別の原価計算の変動費 固定費と関連付けしています 変動費 固定費の範囲は 車両別原価計算シートから反映していますが 各事業者の経営実態等により若干の差がありますので 十分に検討してください 運行ルート別運送原価試算シート ( 車単位 貸切の場合 ) 前提条件 最大積載量 t 必要事項を入力します ( 任意項目 ) 車両の形状 運行区間 ~ 標準所要時間標準走行距離 諸経費 3 高速道路利用料金フェリー利用料金その他費用 時間キロメートル円円円 算出するルートの標準的な所要時間を入力してください 算出するルートの標準的な走行距離を入力してください 必ず入力してください 入力してください 高速道路 フェリーに利用料金がある場合には 記入してください 単位当たり費用 走行距離 1km 当たり変動費 稼働 1 時間当たり固定費 円 円 車両別運送原価計算シートの一番下の行にある数字を転記してください 運行ルート別の運行原価 1 時間による運賃 2 走行距離による運賃運送原価 (1+2+3) 0 円 0 円 0 円 自動計算されます 必要な利益額 円 原価に上乗せする利益額を入力してください 適正な運賃水準 0 円 5
5. 原価計算シートの活用方法原価計算シートは 各事業者の運行特性 契約特性 経営特性等を踏まえ 事業者の皆様が原価計算シートを適宜修正して活用していただくことを前提に提供するものです したがって 市販ソフトのような完成度が高いソフトではありませんので ご留意ください 原価計算シートの計算式は 各セルを確認し 入力されているセルの計算式を確認してください 皆様の利用ニーズに応じて 原価計算シートを修正し 自社の経営特性に即した原価計算シートを作成してください トラック運送業における原価計算シート利用要領 平成 24 年 12 月初版平成 25 年 10 月改訂 原価計算シートに関するお問い合わせ窓口原価計算シートについてのお問い合わせ 利用方法等につきましては 以下の担当までお願い申し上げます 原価計算シート 利用要領に関する内容 計算式 入力データ等についてのご質問日本 PMIコンサルティング株式会社原価計算担当係まで電話 :03-3556-6180( 直通 ) ファックス :03-3556-6265 電子メール :m-kosaka@pmic.co.jp 原価計算シート 利用要領の趣旨についてのご質問公益社団法人全日本トラック協会経営改善事業部電話 :03-5323-7627 ファックス :03-5323-7230 6