第2次「健康くるめ21」計画

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標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

計画改訂の趣旨 社会構造が大きく変化し 少子高齢化が進む中 生活環境の改善や医療の進歩などにより 平均寿命が延びている一方で 肥満や糖尿病などの生活習慣病が増加しており 健康づくりや疾病予防の重要性はますます高まっています 子どもから高齢者まで すべての県民が 健やかな生活をおくるために ヘルスプロ

第4章:施策と目標 2:生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底(3)糖尿病(4)COPD

調書のの見方 新規 新規事業の実施 現行どおり 事業をする 充実 事業の充実 強化を図る 改善 事業の見直し 改善を図る 縮小 事業規模を縮小する 廃止 事業を廃止する 2

健康くるめ21概要

1 基本健康診査基本健康診査は 青年期 壮年期から受診者自身が自分の健康に関心を持ち 健康づくりに取り組むきっかけとなることを目的に実施しています 心臓病や脳卒中等の生活習慣病を予防するために糖尿病 高血圧 高脂血症 高尿酸血症 内臓脂肪症候群などの基礎疾患の早期発見 生活習慣改善指導 受診指導を実

特定健診の受診率は毎年上昇しており 平成 28 年度は県平均よりも 7% 高い状況 となっていますが 国が示す目標値 60% を達成するには更なる工夫や PR が必要とな っています 長与町国保の医療費は平成 25 年度から上昇していましたが 平成 28 年度は前年度より約 3 億円減少し 1 人当

平成13年度税制改正(租税特別措置)要望事項(新設・拡充・延長)

第 2 章気仙沼市の健康を取り巻く状況 - 4 -

山梨県生活習慣病実態調査の状況 1 調査目的平成 20 年 4 月に施行される医療制度改革において生活習慣病対策が一つの大きな柱となっている このため 糖尿病等生活習慣病の有病者 予備群の減少を図るために健康増進計画を見直し メタボリックシンドロームの概念を導入した 糖尿病等生活習慣病の有病者や予備

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Microsoft PowerPoint - 2.医療費プロファイル 平成25年度(長野県・・

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はじめに第1章基本方針第2章岐阜市の現状第3章第4章第二次ぎふ市民健康基本計画の評価今後の取り組み第5章効果的な推進体制第6章参考資料7 第 3 章岐阜市の現状 1 岐阜市の人口統計 (1) 人口の推移 本市の人口は 昭和 60 年以降 減少傾向にあったものの 平成 18 年柳津町との合併により 一

ただ太っているだけではメタボリックシンドロームとは呼びません 脂肪細胞はアディポネクチンなどの善玉因子と TNF-αや IL-6 などという悪玉因子を分泌します 内臓肥満になる と 内臓の脂肪細胞から悪玉因子がたくさんでてきてしまい インスリン抵抗性につながり高血糖をもたらします さらに脂質異常症

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-3- Ⅰ 市町村国保の状況 1 特定健康診査受診者の状況 平成 23 年度は 市町村国保 (41 保険者 )98,439 人の特定健康診査データの集計を行った 市町村国保の診者数は男性 女性ともに 歳の割合が多く 次いで 歳 歳の順となっている 男性 女性 総数

特定健康診査等実施計画 ( 第 3 期 ) ベルシステム 24 健康保険組合 平成 30 年 3 月 1 日 ( 最終更新日 : 平成 30 年 7 月 27 日 )

PowerPoint プレゼンテーション

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特定健康診査等実施計画 東京スター銀行健康保険組合 平成 25 年 4 月

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■● 糖尿病

第 3 節心筋梗塞等の心血管疾患 , % % % %

特定健康診査等実施計画 ( 第 2 期 ) ベルシステム 24 健康保険組合 平成 25 年 3 月 1 日

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(7)健診データの受領方法

資料 6 広島市健康福祉局保健部保健医療課 元気じゃ健診 ( 特定健診 ) の受診に関する地域包括支援センターから地域住民への呼びかけについて 1. 趣旨 広島市は 全国平均に比べて 平均寿命は長いが 健康寿命は短くなっている また 広島市国民健康保険の 1 人当たり医療費は 政令市の中で最も高くな

背景及び趣旨我が国は国民皆保険のもと世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成してきた しかし 急速な少子高齢化や国民の意識変化などにより大きな環境変化に直面しており 医療制度を持続可能なものにするために その構造改革が急務となっている このような状況に対応するため 高齢者の医療の確保に関する法律に

第三期 特定健康診査等実施計画 ウシオ電機健康保険組合 平成 30 年 4 月

大阪府医師国民健康保険組合 特定健康診査等実施第 2 期計画 ( 平成 25 年 7 月 1 日 ) 1. 計画策定の背景昭和 36 年の国民皆保険の成立により わが国の平均寿命は飛躍的に伸び 今や世界一の長寿国となった しかし 世界に冠たるこの国民皆保険制度は 平均寿命の伸びによる高齢化の急激な進

はじめに

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第 1 章 ヘルスプランぎふ 21 の基本的な考え方 1 計画策定の趣旨 ヘルスプランぎふ 21 は 岐阜県健康増進計画として平成 14 年 3 月に策定し その後平成 20 年度には 国が策定した 健康日本 21 と連動しながら メタボリックシンドロームに着目した生活習慣病の一次予防に重点をおいた

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特定健康診査等実施計画 ( 第二期 ) 三重交通健康保険組合 平成 25 年 7 月

第3章「疾病の発症予防及び重症化予防 1がん」

3 対象者への案内の方法 当該年度の特定保健指導対象者全員 ( 基準では非該当だが 医療保険者の判断で特定保健指導対象となる方 も含む ) に対して 参加案内を郵送して 結果説明会を実施するとともに 特定保健指導における初回時面接を行います また 初回時面接未参加者に対しても 再度 特定保健指導の参

Ⅰ 目標達成

第 1 章計画の概要 1 策定の趣旨 ⑴ 札幌市におけるがんの実態 がんは昭和 51 年から死因の第一位 ( 死亡者数 5,783 人 全死亡者数の 32.7%) 75 歳未満がん年齢調整死亡率 は 86.8 と全国の 79.0 と比べ約 1 割高い 75 歳未満年齢調整死亡率 : 年齢構成の異なる


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3 成人保健

子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱

死亡率 我が国における疾病構造 生活習慣病は死亡割合の約 6 割を占めている 我が国の疾病構造は感染症から生活習慣病へと変化 死因別死亡割合 ( 平成 24 年 ) 生活習

肥満者の多くが複数の危険因子を持っている 肥満のみ約 20% いずれか 1 疾患有病約 47% 肥満のみ 糖尿病 いずれか 2 疾患有病約 28% 3 疾患すべて有病約 5% 高脂血症 高血圧症 厚生労働省保健指導における学習教材集 (H14 糖尿病実態調査の再集計 ) より

第 11 章 保健衛生 600 人 図 11-1 乳幼児健康診査実施状況 幼児一般検診 1 歳 6ヶ月検診 3 歳児検診 平成 20 年度平成 21 年度平成 22 年度平成 23 年度平成 24 年度平成 25 年度平成 26 年度平成 27 年度 14

健康ながさき21 (中間見直し版)



< 糖尿病療養指導体制の整備状況 > 療養指導士のいる医療機関の割合は増加しつつある 図 1 療養指導士のいる医療機関の割合の変化 平成 20 年度 8.9% 平成 28 年度 11.1% 本糖尿病療養指導士を配置しているところは 33 医療機関 (11.1%) で 平成 20 年に実施した同調査

要因 2 全国的に 死亡原因の 6 割が生活習慣病であり 大阪市においては 特に死亡者数の最 も多い悪性新生物 ( がん ) の死亡率が高くなっている なお 心疾患および脳血管疾患 については 全国との差が年々縮まり 現在はほぼ同じ水準となっている 国 大阪府 大阪市の死亡率 H22 年 人口 10

愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

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特定健康診査等実施計画

平成 29 年 3 月改定 特定健康診査等実施計画 ( 第 2 期 ) 協和発酵キリン健康保険組合 平成 29 年 3 月


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第三期特定健康診査等実施計画 ニチアス健康保険組合 最終更新日 : 平成 30 年 02 月 20 日

1 疾患別医療費札幌市国保の総医療費に占める入院医療費では 悪性新生物が 21.2% 循環器疾患が 18.6% となっており 循環器疾患では 虚血性心疾患が 4.5% 脳梗塞が 2.8% を占めています 外来医療費では 糖尿病が 7.8% 高血圧症が 6.6% 脂質異常症が 4.3% となっています

(6/5 19:00修正)資料3 標準的な健診・保健指導プログラム改定のポイント (2) (2)

特定健康診査等実施計画書 ( 第 3 期 ) JXTG グループ健康保険組合 平成 20 年 4 月 1 日制定平成 22 年 4 月 1 日改訂平成 25 年 4 月 1 日改正平成 30 年 4 月 1 日改正 - 1 -

2017 年 3 月臨時増刊号 [No.165] 平成 28 年のトピックス 1 新たに報告された HIV 感染者 AIDS 患者を合わせた数は 464 件で 前年から 29 件増加した HIV 感染者は前年から 3 件 AIDS 患者は前年から 26 件増加した ( 図 -1) 2 HIV 感染者

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- 目 次 - Ⅰ 第 2 期健康くるめ 21 について 1 計画策定の背景 1 2 計画の概要 1~2 (1) 計画の期間について 1 (2) 計画の目標について 1 (3) 計画の体系について 2 Ⅱ 中間評価について 1 中間評価の目的 3 2 中間評価の実施方法 3 (1) 評価区分について

保険加入者を対象に メタボリックシンドロームに着目した特定健康診査 特定保健指導などを実施していますが 40 歳代 50 歳代の特定健康診査受診率は男女ともに低い状況にあります ( 図 Ⅲ 参照 ) メタボリックシンドロームを起因とする生活習慣病は 自覚症状のないまま進行するため 放置さ

練馬区国保における糖尿病重症化 予防事業について 平成 29 年 3 月 6 日練馬区区民部国保年金課 1 東京都糖尿病医療連携協議会配布資料

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平成 27 年 10 月 6 日第 2 回健康増進 予防サービス プラットフォーム資料 協会けんぽ広島支部の取り組み ~ ヘルスケア通信簿について ~ 平成 27 年 10 月全国健康保険協会広島支部 協会けんぽ 支部長向井一誠

●子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案

市原市国民健康保険 データヘルス計画書

背景及び趣旨 我が国は国民皆保険のもと世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成してきた しかし 急速な少子高齢化や国民の意識変化などにより大きな環境変化に直面しており 医療制度を持続可能なものにするために その構造改革が急務となっている このような状況に対応するため 高齢者の医療の確保に関する法律

都道府県単位での肝炎対策を推進するための計画を策定するなど 地域の実情に応じた肝炎対策を推進することが明記された さらに 近年の状況等を踏まえ 平成 28 年 6 月に基本指針の改正を行い 肝炎対策の全体的な施策目標を設定すること等が追記された 都は 肝炎をめぐる都内の状況や基本指針の改正を踏まえ

宗像市国保医療課 御中

通知(写入)

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1 保健事業実施計画策定の背景 北海道の後期高齢者医療は 被保険者数が増加し 医療費についても増大している 全国的にも少子高齢化の進展 社会保障費の増大が見込まれる このような現状から 一層 被保険者の健康増進に資する保健事業の実施が重要となっており 国においても 保健事業実施計画 ( データヘルス

特定健康診査等実施計画 ( 第二期 : 平成 25 年度 ~ 平成 29 年度 ) リクルート健康保険組合 平成 25 年 4 月 1

はじめに がんは昭和 56 年から札幌市民の死因の第 1 位であり およそ3 人に1 人ががんにより亡くなっています また 国の推計によると 生涯のうちに2 人に1 人ががんにかかるとされており 依然としてがんは市民の生命と健康にとって重大な問題です 札幌市はこれまで がん対策として札幌市健康づくり

Microsoft PowerPoint - 資料3 がん検診の現状

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特定健康診査等実施計画 ( 第 3 期 ) 三菱製紙健康保険組合 平成 30 年 4 月

平成20年度税制改正(地方税)要望事項

特定健康診査等実施計画

第2章 第2期健康やまだ21プランの評価

特定健康診査等実施計画 第二期 ( 平成 25 年度 ~ 平成 29 年度 ) 第一版 三菱鉛筆健康保険組合 平成 25 年 5 月

調査の概要 本調査は 788 組合を対象に平成 24 年度の特定健診の 問診回答 (22 項目 ) の状況について前年度の比較から調査したものです 対象データの概要 ( 全体 ) 年度 被保険区分 加入者 ( 人 ) 健診対象者数 ( 人 ) 健診受診者数 ( 人 ) 健診受診率 (%) 評価対象者

はじめに 本県では全国を上回るペースで少子高齢化が進む中 ふるさと秋田の活力の維持と向上を図っていくため 全ての県民が生涯にわたって心豊かに生活できる 健康長寿あきた を実現することが重要です そのため生涯を通じた健康づくりのための施策について その方向性等を明らかにすることを目的として 平成 25

わが国における糖尿病と合併症発症の病態と実態糖尿病では 高血糖状態が慢性的に継続するため 細小血管が障害され 腎臓 網膜 神経などの臓器に障害が起こります 糖尿病性の腎症 網膜症 神経障害の3つを 糖尿病の三大合併症といいます 糖尿病腎症は進行すると腎不全に至り 透析を余儀なくされますが 糖尿病腎症

会計 10 一般会計所管課健康推進課款 4 衛生費事業名インフルエンザ予防接種費項 1 保健衛生費目 2 予防費補助単独の別単独 前年度 要求段階 財政課長内示 総務部長 市長査定 最終調整 予算計上 増減 1 当初要求 2 追加要求等 3 4( 増減額 ) 5( 増減額 ) 6=

背景及び趣旨 我が国は国民皆保険のもと世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成してきた し かし 急速な少子高齢化や国民の意識変化などにより大きな環境変化に直面しており 医 療制度を持続可能なものにするために その構造改革が急務となっている このような状況に対応するため 高齢者の医療の確保に関する

特定健康診査等実施計画 豊田合成健康保険組合 平成 30 年 3 月

特定健康診査等 ( 平成 30 年度 平成 35 年度 ) 背景 現状 基本的な考え方 No.1 No.2 No.3 No.4 No.5 No.6 事業所数が多く その健康課題も多岐にわたるため対策実施に当たっては事業所の協力が欠かせない 被保険者の特定健診受診率は 95% 前後であり 事業主健診は

健康な生活を送るために(高校生用)第2章 喫煙、飲酒と健康 その2

スライド 1

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第 4 章 健康づくりに向けた取り組みと目標 12

1 第 4 章健康づくりに向けた取り組みと目標 ここでは 前章で示した 4 つの基本方針に沿って より具体的に 現状と課題 基本的な考え方 評価指標 主な取り組み 市民の取り組み として整理しています 主な取り組み では 主に行政が実施主体となって取り組んでいくことについて提示し 市民の取り組み は 市民の皆さんに日常生活の中で取り組んでいただきたいことを示しています また 評価指標 として 取り組みの成果を評価するための目標値を定め 可能な限り客観的に評価できるようにしています 1 生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底 (1) 糖尿病 循環器疾患の予防糖尿病は 脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めるとともに 重症化すると失明するなどの重い合併症を発症したり 人工透析が必要になるなどの負担を伴います 今後 さらなる高齢化の進展に伴って 糖尿病有病者数の増加ペースは加速することが予想されています また 循環器疾患は 主に 脳血管疾患 と 心疾患 ( 心臓病 ) で がん と並んで主要な死因となっています 近年では医学の進歩などで死亡率は減少傾向にありますが 後遺症などにより長期の療養が必要となる場合もあります 糖尿病や循環器疾患の危険因子としては 喫煙 過度な飲酒などの生活習慣や 高血圧 高脂質等があり 健診等で指摘されても生活を見直さないまま 気づいた時には重症化していることがあります また近年 妊娠期に糖尿病や循環器疾患等にかかると 妊婦本人の健康だけでなく 早産や子どもの将来の健康に影響があることが分かっています 糖尿病の死亡率 ( 年齢調整死亡率 ) は 男性において 平成 19 年から増加しており 平成 22 年では 国の 2 倍近くになっています 循環器疾患のひとつである脳血管疾患の死亡率は 減少傾向にはありますが 虚血性心疾患や糖尿病に比べて高い状況です 資料編 1 生活習慣病の予防に不可欠な特定健診の受診率は 約 3 割と低い状況です また 特定保健指導の実施率は 国や県に比べかなり低くなっています 生活習慣病のリスクの高いメタボリックシンドロームについて 該当者は減少傾向にありますが 予備群は増加傾向にあります 資料編 2 血糖の状況を示す値 (HbA1c ) が 保健指導の該当者は 平成 22 年度 平成 23 年度と 45% 程度で推移しています 資料編 3 新規透析導入患者のうち 糖尿病による割合が 増加傾向にあります 資料編 4 健診の結果 治療が必要であるにもかかわらず放置し 治療を行なっていない人が一定みられます 資料編 5 年齢調整死亡率 : 高齢になるほど死亡率が高くなるため 一定の基準人口 ( 年齢構成 ) にあてはめて 年齢構成の差を 原因とする死亡率の差を解消したうえで算出した死亡率をいいます HbA1c: ヘモグロビン エー ワン シー と読み その値は 赤血球中のヘモグロビンのうち 糖と結合しているものの割合を示します 普段の血糖値が高い人は HbA1c の値が高くなり 普段の血糖値が低い人は HbA1c の値も低くなります 正常値は NGSP 値 5.5 以下 13

糖尿病の年齢調整死亡率 (10 万人当たり指数 ) 14 12 10 8 6 4 2 0 久留米市男性 久留米市女性 全国男性 全国女性 11.5 10.3 8.3 9.0 7.3 7.2 7.1 6.7 6.7 3.9 7.2 5.1 7.2 3.7 4.7 3.8 3.7 3.3 3.8 3.4 3.6 3.6 3.3 2.7 平成 17 年 平成 18 年 平成 19 年 平成 20 年 平成 21 年 平成 22 年 出典 : 人口動態統計 脳血管疾患の年齢調整死亡率 (10 万人当たり指数 ) 70 60 50 40 30 20 10 0 61.9 57.8 55.4 53.8 50.4 44.0 42.7 36.1 35.8 久留米市男性久留米市女性全国男性全国女性 53.6 50.3 41.3 49.5 45.3 33.4 31.6 30.8 28.7 26.9 28.7 28.4 30.3 28.1 25.5 平成 17 年平成 18 年平成 19 年平成 20 年平成 21 年平成 22 年出典 : 人口動態統計 国民健康保険特定健診及び特定保健指導状況 平成 20 年度平成 21 年度平成 22 年度平成 23 年度 特定健康診査受診率 特定保健指導実施率 ( 終了者の割合 ) 久留米市 30.1% 31.1% 30.5% 32.3% 福岡県 23.8% 25.3% 26.5% 27.9% 全 国 30.9% 31.4% 32.0% 久留米市 0.8% 6.2% 11.1% 9.1% 福岡県 26.4% 38.5% 36.1% 34.9% 全 国 14.1% 19.5% 19.3% 出典 : 特定健康診査等の実施状況に関する結果報告 14

健診は 自分でできる健康管理の最も有効な手段であることから 健診受診率の向上に努めます 健診の結果 何らかの異常があった人には 個別に保健指導を実施するとともに 治療が必要 な人や治療中断者等に対しては 医療機関等と連携して治療につなげるなど重症化予防に取り 組んでいきます 健康教育 相談を通じて 啓発 指導を行ないながら生活習慣病の予防に努めます 次世代の子どもたちの 将来の生活習慣病のリスクを低減できるよう 妊娠期からの啓発や個 別指導などに取り組んでいきます 子どもたちが基本的な生活習慣を身につけられるよう 生活習慣病の知識の普及等を含め 学 校や保護者などと連携しながら取り組んでいきます 評価指標 No 目標現状値目標値 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 脳血管疾患 虚血性心疾患の年齢調整 死亡率の減少 (10 万人当たり指数 ) 糖尿病の年齢調整死亡率の減少 (10 万人当たり指数 ) 特定健診 特定保健指導の実施率の 向上 (40~74 歳 ) 生活習慣病予防健診の受診率の向上 (35~39 歳 ) メタボリックシンドロームの該当者 予備群 の減少 糖尿病有病者の割合の抑制 (HbA1c が NGSP 値 6.5 以上の者の割合 ) 糖尿病治療継続者の割合の増加 (HbA1c が NGSP 値 6.5 以上の者のうち治療中と回答した者の割合 ) 糖尿病腎症による年間新規透析導入患 者数の減少 血糖コントロール指標におけるコントロール 不良者の減少 (HbA1c が NGSP 値 8.4 以 上の者の割合の減少 ) 高血圧の改善 (140/90mmHg 以上の者の割合 ) 脂質異常の減少 ( LDL コレステロール 160mg/dl 以上の者の割合 ) [ 脳血管疾患 ] 男性 45.3 女性 25.5 [ 虚血性心疾患 ] 男性 25.3 女性 8.4 ( 平成 22 年 ) 男性 11.5 女性 2.7 ( 平成 22 年 ) 健診受診率 :32.3% 特定保健指導実施率 : 9.1% 15 3.9% 28.9% 9.1% 51.6% 42 人 1.1% 24.3% 男性 9.7% 女性 14.1% [ 脳血管疾患 ] 男性 38.0 女性 23.0 [ 虚血性心疾患 ] 男性 21.0 女性 7.0 減少傾向 健診受診率 :60.0% 特定保健指導実施率 : 60.0% ( 平成 29 年度 ) 10.0% 減少 ( 平成 29 年度 ) 現状維持 75.0% 減少 減少 15.0% 男性 7.0% 女性 10.0%

主な取り組み ( は第 2 期計画における新規 拡充の取り組み ) No 事業名事業概要 1 久留米市国民健康保険特定健診 生活習慣病予防健診と保健指導の実施 2 健診の受診率向上 3 4 医療機関未受診者への受診勧奨 生活習慣病の予備群に対する個別指導 5 健康教育の実施 6 7 妊娠 ( 胎児 ) 期からの生活習慣病予防に対する支援 子ども及び保護者への生活習慣病予防の啓発 特定健診及び市独自の生活習慣病予防健診を実施し 健診の結果 生活習慣の改善が必要な者に 医師や保健師等による保健指導を実施します 地区担当保健師による地域保健活動 ( 家庭や職域への訪問 地域での健康教育 健康相談等 ) の中で 積極的に受診勧奨を行ないます 市広報紙やホームページ 校区コミュニティ発行の広報紙やタウン誌等により 健診の必要性や重要性の啓発に努めます 医師会等の関係機関と連携しながら 受診しやすい環境づくりに努めます がんの集団検診と特定健診等を同時に実施するなど 利便性の向上を図ります 事業所等の職域に対して 健診や保健指導等の実態把握を行ない 受診率の向上に向けて 連携 協働した取り組み等の検討を進めていきます 健診の結果 治療が必要であるにもかかわらず 未受診者や治療中断者に対し 医療機関と連携して受診勧奨を行ないます 特定健診等の健診結果 ( 血糖 血圧 コレステロール等 ) に基づいて 生活習慣病予備群 ( 特定保健指導には当たらないが生活習慣病につながる可能性が高い人 ) に対し 市の保健師や栄養士等の専門職による個別指導の充実を図ります 生活習慣病の発症の仕組みや 合併症 あるいは治療法について正しい理解の啓発に努めるとともに 健診結果の読み方や相談できる機関の紹介など 自分で健康管理ができるよう 個別あるいは集団形式での健康教育を実施します 母子健康手帳交付時に 妊娠高血圧や妊娠糖尿病等が母体だけでなく 子どもの将来の健康状態に影響を及ぼすことを説明し その後 必要に応じて継続フォローしていきます 小中学校等の関係機関と連携しながら 生活習慣病に関する知識の普及 啓発を行ない 自分の健康は自分でつくる意識を高めるための健康教育を実施し 保護者への啓発も行ないます 市民の取り組み 毎年 定期的に健診を受診し 健診結果から自身の生活習慣を振り返り 積極的に保健指導を受けましょう 健診結果から 糖尿病や循環器疾患の治療が必要な場合は 直ちに医療機関を受診し 医師の指示に従い 治療しましょう 糖尿病や循環器疾患の予防のため 意識的に体を動かすとともに 栄養バランスのとれた食事や十分な休養を習慣化し たばこや過度な飲酒を控えましょう 16

(2) がんの予防 がんは 長年にわたり我が国の死因の第 1 位となっています がんは遺伝子が変異を起こすことにより発症するもので その原因は多岐にわたることから 予防が難しいと言われてきました しかし 近年では 生活習慣のなかに がんを発症させる 原因が潜んでいることが明らかになり 予防できることがわかってきました がん発症のリスクを高める要因としては 塩分の過剰摂取や野菜不足などの偏った食事 過 剰飲酒 喫煙 ( 受動喫煙含む ) などがあります また 一部のがんについては ウイルス等 の感染が発症のリスクを高める原因となってい ますが その検査方法やワクチン等の開発が進み 予防の選択肢が広がっています がんは早期に発見し治療することで 多くが完治しますが 初期の状態では自覚症状がない ことが多いことから 定期的な検診の受診が最も重要です がんに関連するウイルス 細菌 B 型肝炎ウイルス (HBV) C 型肝炎ウイルス (HCV) 肝がん ヒトパピローマウイルス (HPV) 子宮頸がん ヘリコバクター ピロリ菌 (HP) 胃がん 成人 T 細胞白血病ウイルス (HTLV-Ⅰ) 成人 T 細胞白血病 がんは本市の死因の第 1 位で 死亡率は国と同様に 減少傾向にはあるものの 毎年 900 人程度が亡くなっています 肝がんは 9 割以上が肝炎ウイルスによるものとされており 本市では がん全体の死亡の 15% を占め 国や県の死亡率と比べると極めて高い状況にあります 資料編 8 本市のがん検診受診率は 全体的に緩やかに伸びてきていますが 胃がん検診を除き2 割程度となっています 胃がん検診については 3% 台と非常に低い状況です がん検診において 精密検査が必要と判定されているにもかかわらず 受診していない人が 1 割から2 割程度います 資料編 9 がん検診を受けない理由として 自覚症状がない 必要なときはいつでも医療機関を受診できる 時間がない 面倒だった などが多く 検診の必要性や重要性が十分に浸透していない状況があります 資料編 10 17

75 歳未満のがんの年齢調整死亡率 (10 万人当たり指数 ) 久留米市男性久留米市女性全国男性全国女性 250 200 197.7 193.6 191.5 188.9 183.3 182.4 150 100 136.1 133.1 144.7 97.3 95.8 94.5 117.8 124.1 94.2 92.2 112.5 92.2 50 80.7 77.9 75.4 71.5 71.8 64.3 0 平成 17 年度平成 18 年度平成 19 年度平成 20 年度平成 21 年度平成 22 年度 出典 : 人口動態統計 各種がん検診 骨粗しょう症検診の受診率 出典 : 久留米市保健福祉事業概要 18

がんは早期発見 早期治療が重要であることから 自覚症状がなくても 毎年定期的にがん検診を受診することが重要です そのため がん検診の受診勧奨を図るとともに 受診しやすい環境づくりに努めます がん検診の結果 精密検査が必要となった場合には 必ず受診するように勧奨し がんの早期発見 早期治療に努めます ウイルス等によるがんの発症リスクの低減に向けて 肝炎ウイルス等のウイルス検査や子宮頸がん予防ワクチンの接種等を推進していきます がんが生活習慣病であることの理解を促進するため 健康教育や健康相談等のあらゆる機会を活用して がんに関する正しい知識の普及 啓発を図ります 評価指標 No 目標現状値目標値 1 75 歳未満のがんの年齢調整死亡率の減少 (10 万人当たり指数 ) 85.9 ( 平成 22 年 ) 74.0 2 がん検診等受診率の向上 3 がん検診精密検査受診率の向上 胃がん 3.9% 肺がん 18.2% 大腸がん 17.0% 子宮頸がん 18.2% 乳がん 20.7% 前立腺がん 17.2% 骨粗しょう症 16.0% 胃がん 89.8% 肺がん 92.1% 大腸がん 77.3% 子宮頸がん 87.0% 乳がん 93.8% 前立腺がん 72.1% 胃がん 10.0% 肺がん 30.0% 大腸がん 30.0% 子宮頸がん 40.0% 乳がん 40.0% 前立腺がん 30.0% 骨粗しょう症 30.0% 100.0% 19

主な取り組み ( は第 2 期計画における新規 拡充の取り組み ) No 事業名事業概要 1 各種がん検診等の実施 2 検診の受診率向上 がんの早期発見 早期治療につなげるため 胃がん 肺がん 大腸がん 子宮頸がん 乳がん 前立腺がんなどの各種がん検診等を実施します 医師会と連携して がん検診の精度管理に努めます 地区担当保健師による地域保健活動 ( 家庭や職域への訪問 地域での健康教育 健康相談等 ) の中で 積極的に受診勧奨を行ないます 市広報紙やホームページ 校区コミュニティ発行の広報紙やタウン誌等により 検診の必要性や重要性の啓発に努めます 医師会等の関係機関と連携しながら 受診しやすい環境づくりに努めます 一定の年齢に達した方に がん検診無料クーポン券や検診手帳等を配付するなど 受診への動機づけや意欲を喚起する取り組みの展開を図ります 3 精密検査の受診率向上 検診実施機関と連携しながら 対象者に対して 個別に精密検査の受診勧奨 ( 電話 訪問等 ) を行ないます 4 5 ウイルス等による発症リスクの把握 低減がん当事者の会などへの支援 ウイルス等によるがんの発症リスクの把握や低減を目的に 肝炎ウイルス検査 成人 T 細胞白血病ウイルス検査 ヒトパピローマウイルス検査 ヘリコバクター ピロリ菌検査等を推進します 子宮頸がん予防ワクチン接種の促進を図ります ピアカウンセリング等を実施しているがん当事者の会などへの支援を図ります 市民の取り組み がんの早期発見のために 定期的にがん検診を受診しましょう また 精密検査が必要となった場合には 必ず受けましょう ウイルス等によるがんの発症リスクの把握や低減を図るため 肝炎ウイルス検査や妊婦健診等を受けましょう また 子宮頸がん予防ワクチン接種の対象者の人は必ず受けましょう がんの予防のために 意識的に体を動かすとともに 栄養バランスのとれた食事や十分な休養を習慣化し たばこや過度な飲酒を控えましょう 20