乳幼児は生まれて運動が出来るように成ると いち早く這って移動する事を覚える ( 俗に ハイハイ とも ) 乳幼児の場合 手足を使うという点では四足歩行に似るが 後足の末端ではなく中間である膝をつける点で 動物一般の四足歩行とは大きく異なる 匍匐 ( ほふく ) を乳幼児がいち早く覚える理由 重心が低く地面との接触面積が広いため 安定性が良く 転倒し難いため
側弯症の概念と分類 脊柱が前額面において弯曲している状態を 脊柱側弯症 (scoliosis) という 脊柱側湾症は機能性側弯症と構築性側弯症に大別できる 脊柱側湾症のほとんどが 構築性の思春期特発性側弯症である 分類は SRS(scoliosis research society) 分類が用いられる
小脳の主要な機能は知覚と運動機能の統合であり 平衡 筋緊張 随意筋運動の調節などを司る 小脳が損傷 運動や平衡感覚に異常をきたし 精密な運動ができなくなったり酒に酔っているようなふらふらとした歩行となることがある 精神緊張や運動により悪化することが多い 日常生活では横臥安静で十分な休養をとる事 心理負担を極力軽減するなどが良いとされる 無理なストレッチ 首周辺の筋肉の鍛錬は症状の悪化に繋がるという指摘もある 原因は解明されていないが 大脳の運動姿勢プログラムの異常によると推定されている 過労 心理的ストレス 無理のある姿勢の継続などがきっかけとなる事も多いとされる
SRS による側弯症の分類 1. 特発性側弯症 idiopathic conditions 乳幼児期特発性側弯症 (0~4 歳未満 )infantile 学童期特発性側壁症 (4~10 歳未満 )juvenile 思春期特発性側壁症 (10 歳以上 )adolescent 2. 神経筋性側攣症 neuromuscular disorders a) 神経原性側弯症 neuropathic b) 筋原性側弯症 myopathic 3. 先天性側弯症 congenital disorders 4. 神経線維腫 neurofibromatosis 5. 中胚葉性障害 mesenchymal disorders 6. 外傷性 traumatic disorders 7. 軟部拘縮 soft tissue contractures 8. 骨軟骨異形成症 osteochondrodystrophies 9. 少年期円背 Schuermann s disease 9. 少年期円背 Schuermann sdisease 10. 感染 infection 11. 腫瘍 tumor 12. リウマチ疾患 rheumatoid disease 13. 代謝性骨疾患 metabolic disorders 14. 腰仙椎関節異常 condition s related to lumbosacralarea 15. 胸郭原性 thoracogenic conditions 16. ヒステリー hysteria 17. 機能性 functional disorders a) 姿勢性 posturai b) 下肢長差 secondary to short leg c) その他 other d) 疼痛性 other painmemo ( 奈良勲編 : 理学療法のとらえかた, 文光堂,49, 表 6-1,2001 より )
非構築性側弯症 ( 機能性側弯症 ) と 構築性側弯症 座位で前屈したさいに側弯が消失する場合は非構築性の側弯 ( 機能的側弯症 ) であり 疼痛からの逃避姿勢や脚長差や姿勢 炎症によるもの 椎間板ヘルニア 股関節拘縮などが考えられる 消失しない場合は 構築性の側弯 ( 一般的に呼ばれる脊椎側弯症 固定性側弯症 ) 特発性 先天性 神経疾患 遺伝性病変 外傷 膿瘍 手術などで 側弯症の分類については特発性 79%, 先天性 10%, 神経原性 2%, 神経線維腫症 2%,Marfan 症候群 1% といわれ, 思春期特発性側弯症では女性が男性の約 7 倍の発生頻度を示す. 標準整形外科
構築性側攣症は, 椎体が凸側に後方要素が凹側に回旋し, 椎体そのものが楔状化変形する. 胸椎部側弯では, 椎体の回旋に伴って肋骨の変形 ( 肋骨隆起,rib hump) をきたす この胸郭変形は美容的問題だけでなく, 胸腔を狭く変形させ高度変形例では肺機能障害をきたす Forward bending test
必要な評価 側弯症の評価は,X 線を中心とした画像評価と, 臨床的評価に分 けられる. X 線における読影事項は, 椎骨異常肋骨の変形や奇形, 骨盤傾 斜の有無腸骨骨端核, 脊柱カーブのパターン, 弯曲の測定である. X 線の測定には, 側弯度 (Cobb 角 ), 後弯度 前弯度 (Cobb 角 )1 両旋度 (Nash and Moe 法 ), 骨成長度 (Risser sign) が用いら れる. 臨床的評価には, 問診と姿勢の観察, 各種計側 心肺機能 平衡 機能電気生理学的検査 生化学的検査などが含まれる
側弯の診かた 標準整形外科引用 岡西哲夫 : 骨 関節系理学療法クイックリファレンス,218-219, 文光堂 2008 正中線からもっとも偏位の強い椎骨を頂椎と判断する 20 以上でミルウォーキー装具
視診 ( A ) 腰椎の前湾の増強は, 特に女性では異常所見ではない 脊椎すべり症 ( B ) では LS と仙椎の棘突起突出を伴う 胸椎後弯の増強や股関節の屈曲変形により二次的にくることもある 常に股関節も検査しておく 視診後方から, ( A ) カフェ オレ斑 cafeau - lait spot に注意 神経線維腫症との合併側弯症を考える ( B ) 脂肪腫や発毛を伴った母斑があれば, 二分脊椎を示唆する ( C ) 手術瘢痕からは開胸術後の胸郭性側弯症の可能性あり もしくは脊柱の手術の既往がわかる
視診前屈して側弯が残っていれば, 側弯症は固定性であり < 構造性側弯症 > もし肋骨隆起が存在すれば確実である その程度にも注目する 隆起の角度を測定する角度計もある 脊髄空洞症の鑑別で宙吊り型痛覚解離 < 対称的な痛覚温覚障害 > 腹皮反射消失 ( 表在腹壁反射 )< 錐体路障害の重要な徴候 > 下肢腱反射亢進
特発性側弯症には, 強い進行を示すもの わずかな進行性を示すもの, 進行性を示さないものがある. 女性で初診時の弯曲が大きく成長能が残されている場合や, ダブルカーブ, 胸椎の生理的後弯が減少している例は進行性が高いという報告も多い いる 側弯症は鑑別すべき疾患も多く予後も多様なため, 慎重に治療方針が決定されるべきである. 生理的範囲である軽症例をやみくもに治療対象とするのは問題だが, 早期発見と早期治療が大切である Cobb 角 10~20 の軽症例では生活指導と運動療法が主となり, ホームプログラムの設定と指導, 進行性の有無を判断するために 3 か月ごとの経過観察と 6 か月ごとの Ⅹ 線所見のチェックを行う Cobb 角 20~40 の中等度側弯例で成長能が残されている場合, 治療は装具療法と理学療法が中心となる 弯曲が大きいものは成長終了後もさらに進行増悪するとされ Cobb 角 50 以上の重症例では原則的に手術療法が適応とされている
治療技術のポイント 変形矯正の運動とは, 脊柱側方屈曲と脊柱の回旋を矯正する運動 積極的な体幹の筋力増強運動からなる非対称的な運動である 矯正運動を行うためには弯曲部位に正確にアプローチする必要があり, 適切な治療的介入が必要である 側弯症患者の体幹筋力は低下しており, 特に腹筋が著しい 代償運動を避け, 腰椎の屈曲を伴った腹筋強化法を指導する必要がある.
A 可動域の維持と拡大 側弯症の三次元変形は骨性要素からなるが, 変形が完成するまでは柔軟性が残されている. 変形が構築性になるに伴い弯曲部脊柱の凸側への側屈凹側への回旋可動城が減少する そのため変形と逆方向すなわち凸側への側屈 凹側への回旋の可動城を拡大し, それを保持する筋力を強化することが進行予防につながる また矢状面の生理的攣曲の崩れを伴うことが多く, これらのカーブに対しても, 柔軟性を引き出すことが重要である 矯正運動を行うためには, 弯曲脊柱の分節レベルでの運動を引き出す必要があり, 適切な治療的介入が必要である 目的とするカーブをよく理解して介入しなければ, この運動が弯曲 ( 特に代慣性力 - ブ ) を悪化させることがある.
Metha のサイドシフト法 自然立位より骨盤と両肩を水平に保ったままで自家筋力によって体幹を側弯カーブの凹側へシフトさせ 数秒間維持させる この際上肢は体幹をシフトさせる方向と逆に挙上させるとバランスがとりやすく容易である 座位でも可能
* 肩の挙上はバランスを意識するため
胸椎右凸の場合
腰椎左凸の場合
Metha のペルビックヒッチ法 下位腰椎傾斜を有する症例に対する自己矯正運動である 腰椎カーブの凸側の骨盤を挙上する この姿勢を維持するように腰背筋 殿筋に力をいれたまま骨盤をゆっくり下げる これにより骨盤と腰椎の動きを分離させる方法
腰椎カーブの凸側の骨盤を挙上する 挙上を位で腰椎の矯正を確保したら骨盤のみを引き下げる
Klapp s creeping exercise 匍匐運動 側弯凸側を中心にした四つんばいでの円運動であり矯正姿勢と筋力強化を同時に行うことを目的とした運動療法である
シングルカーブ ダブルカーブ
右凸側シングルカーブの場合
匍匐の角度 Diese Seite existiert nicht : 胸椎
評価 施術前 施術後
ホームエクササイズ 胸椎右凸の場合
生活指導のポイント 側弯症の保存療法では進行予防が最大の目的となる 機能的側弯例では的確な評価のもと 長時間の不良姿勢の抑制や体幹の柔軟性を高める体操や姿勢保持の為の体幹筋群を強化することにより改善する場合がある 特発性側弯症の場合は長期にわたる 自覚症状が乏しく 治療に対する動機が得られにくい 発生時期が学童期 ~ 思春期の為 十分に信頼関係を確立し ドロップアウトに注意する また定期的な測定や矯正装具が必要な場合があるため 医家との連携が必要