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平成24年度厚生労働省委託事業「陸上貨物運送事業における荷役災害防止対策推進事業《

過去 10 年間の業種別労働災害発生状況 ( 大垣労働基準監督署管内 ) 令和元年 4 月末現在年別 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 対前年比全産業 % (6

足場関係審議会説明資料(当日配布セット版)

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2 安全衛生教育の実施等 () 6 派遣労働者を雇い入れたときに雇入れ時の安全衛生教育を行 はい いいえ っています () 7 派遣労働者の派遣先事業場を変更するなど 作業内容を変更 はい いいえ したときは 当該派遣労働者に対し 作業内容変更時の安全 衛生教育を行っています ()() 8 6 及び

新築工事 建方施工計画書 平成 年 月 施工者株式会社 建設 現場代理人

荷役作業安全ガイドラインのあらまし ~ 陸運事業者と荷主等のみなさまが連携した荷役災害の防止 ~ 陸上貨物運送事業労働災害防止協会厚生労働省では 陸運業の労働災害の状況を踏まえ その荷役作業における労働災害を減少させるため 陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン ( 平成 25 年

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安全衛生管理規程作成例

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高圧洗浄作業の安全衛生管理指針

1 トラック 荷台等からの墜落 転落による 死亡災害 1.1% 陸上貨物運送事業における労働災害の中で最も多かったのが トラック 荷台等からの墜落 転落 です このパターンの災害を分析すると 67% が 保護帽未着用 でした そのうちの多くが 高さがm 未満 の地点からの転落であり もし保護帽を着用

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1 不安定な荷の上はできるだけ移動しないようにしましょう 一旦荷台から降りて地面を移動しましょう 2 荷や荷台の上ではできるだけ作業を行わず 可能な限り地上から又は地上での作業とするようにしましょう ( ラベル貼り等荷の積み卸し以外の作業は 荷又は荷台上で行わないようにしましょう ) 3 荷や荷台の

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安全衛生規程

労働災害は、様々な事業や業種で行われる作業に伴って発生しているが、その一つに荷役作業に伴う労働災害がある

昇降機の状況等 ( 第二面 ) 1. 昇降機に係る確認済証交付年月日等 イ. 確認済証交付年月日 昭和 平成年月日第号 ロ. 確認済証交付者 建築主事 指定確認検査機関 ( ) ハ. 検査済証交付年月日 昭和 平成年月日第号 ニ. 検査済証交付者 建築主事 指定確認検査機関 ( ) 2. 検査日等

かかり木の処理の作業における労働災害防止のためのガイドライン 第 1 目的等 1 目的 本ガイドラインは 近年の人工林における間伐作業の増加等を背景に かかり木の処理の作業における死亡災害が増加する傾向にあること等を踏まえ 労働安全衛生関係法令と相まって かかり木の処理に係る事前の実地調査の実施 新

1 労働安全衛生法は 労働基準法と相まって 職場における労働者の安全と健康 を確保するとともに 快適な職場環境の形成を促進することを目的としている 2 事業者は 作業主任者を選任すべき作業を同一の場所で行う場合において 当 該作業に係る作業主任者を 2 人以上選任したときは それぞれの作業主任者の職

乗務員に対する指導監督 1. 国土交通大臣が告示で定めるとことにより ( 貨物自動車運送事業者が事 業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の方針 ( 平成 付け 国土交通省告示第 1366 号 ) 運転者に対し事業用自動車の運行の安全を確 保するために必要な運転の技術及び法令に基


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第 1 はじめに 1 ガイドライン策定の目的安全で安心なまちづくりを進める上で 近年 防犯カメラの設置は広く有用であると認められており 市内においても防犯カメラの設置が進んでいます しかし その一方で 知らないうちに自分の姿が撮影され 目的外に利用されること等に不安を感じる市民の方もいます そこで

(2) 事業者は 安全衛生方針に基づき 交通労働災害防止に関する事項を含む安全衛生目標を設定し 当該目標において一定期間に達成すべき到達点を明らかにするとともに 労働者に周知すること (3) 事業者は 安全衛生目標を達成するため 一定の期間を限り 次に掲げる交通労働災害防止に関する事項を含む安全衛生

別添 1 安全衛生教育に関する自主点検 集計結果 ( グラフ ) ( 自主点検実施期間 : 平成 28 年 11 月 18 日 ~ 平成 28 年 12 月 16 日 ) 1. 自主点検の回答状況 ( 調査対象 150 事業場, うち 回答あり 73 事業場 ) 自主点検の回答状況 回答あり の事業

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別紙 荷役 5 大災害防止対策チェックリスト ( 陸運事業者用 ) チェック欄記入方法 : 実施している : 一部実施している : 実施していない -: 該当なし チェック改善方針等 災害の種類 チェック項目 ( ( 問題点とそれに対する改善方針 実施時期等を具体的に明記してくださ の記入 ) い

乗務記録(運転日報)

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SHS (2007 年版 ) 管理レベル S2 TBM-KY の進め 作業届 ( 作業指示 KY 報告 ) による TBM-KY 制度 ( 危険予知を組み込んだツール ボックス ミーティング ) オフィスキャロット編 発行日 平成 25 年 4 月 1 日

5) 輸送の安全に関する教育及び研修に関する具体的な計画を策定し これを適確に実施する こと ( 輸送の安全に関する目標 ) 第 5 条前条に掲げる方針に基づき 目標を策定する ( 輸送の安全に関する計画 ) 第 6 条前条に掲げる目標を達成し 輸送の安全に関する重点施策に応じて 輸送の安全を確 保

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第 1 ガイドライン策定の目的及び対象 1 ガイドライン策定の目的美濃加茂市では犯罪のない安全で安心できる住みよい地域社会を実現するため 平成 21 年 10 月に 美濃加茂市防犯活動推進条例 を施行するとともに 同条例に基づく防犯計画を策定し 市民 事業者及び市が一体となって 犯罪のないまちづくり

特定個人情報の取扱いの対応について

2. リスクアセスメントの実施 (1) リスクアセスメントとは何か リスクアセスメントとは 職場の潜在的な危険性 有害性を見つけ出し これを除去 低減して 労働災害を未然に防ぐための手法です リスクアセスメントでは まず 作業における危険性または有害性を特定します 次に 洗い出した危険性 有害性の作

2. 死亡災害の撲滅を目指した対策の推進 林業における伐木等作業の安全対策参照第 13 次労働災害防止計画 (2018~2022 年度 ) 1) 林業における伐木等作業の安全対策と関係団体との連携と取組み 伐木等作業における安全対策のあり方に関する検討会の議論の結果を踏まえ 安全対策の充実強化を図る

小水力発電に係る電気事業法の規制について

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警告ラベル貼付位置 警告ラベルが見えにくくなったときや 破損したときは 新しいラベルを指定場所に貼りかえてください 新しいラベルは ( ) 内の番号で注文してください けが ( 部品番号 X ) 3. 各部の名称キャスターストッパーセット (CSS-DGW400MP) < 右側スト

別紙 1 事故データベースへ登録する事故報告書の提出対象事故について 事故の定義は以下のとおりとする 事故の分類 事故の定義 労働災害 ( 工事作業が起因して 工事関係者が死傷した事故 ) もらい事故 ( 第三者の行為が起因して 工事関係者が死傷した事故 ) 死傷公衆災害 ( 工事作業が起因して 当

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資料 7-1 特殊車両の通行に関する指導取締要領の一部改正について 国土交通省関東地方整備局道路部交通対策課 1 (1) 特殊車両通行許可制度 2

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建設業フィンガー チェック 10 ~ 建設業労働災害撲滅運動 フィンガー チェック の対象 項目例 ~ 下記の 10 の対象のうち 該当する場合は フィンガー チェック項目例を参考にフィンガー チェック ヨシ により安全指差確認を行いましょう なお 本運動では 該当があれば必ず行うフィンガー チェッ

建設労務安全 2013.2月号

(傍線部分は改正部分)改正後改正前目次目次第一編(略)第一編(略)第二編安全基準第二編安全基準第一章~第七章(略)第一章~第七章(略)第八章伐木作業等における危険の防止(第四百七十七条 第第八章伐木作業等における危険の防止五百十七条)第一節伐木 造材等(第四百七十七条 第四百八十四条)第二節木馬運材

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ください 5 画像の保存 取扱い防犯カメラの画像が外部に漏れることのないよう 一定のルールに基づき慎重な管理を行ってください (1) 取扱担当者の指定防犯カメラの設置者は 必要と認める場合は 防犯カメラ モニター 録画装置等の操作を行う取扱担当者を指定してください この場合 管理責任者及び取扱担当者

1 ガイドライン策定の目的防犯カメラについては テレビや新聞で報道されているように 犯罪の解決や犯罪の抑止につながることなど その効果は社会的に認められており さまざまな施設に防犯カメラが設置されております しかし その効果が認知される一方で 防犯カメラにより個人のプライバシーなどの人権が侵害される

平成26年度中小規模事業場安全衛生サポート事業(累計):1ページ

平成24年度調査報告書

建築工事安全施工技術指針

1 策定の目的 この手引書は 茅ヶ崎市地域防犯カメラ ( 以下 地域防犯カメラ という ) の設置及び運用について配慮すべき事項を定めることにより 地域防犯カメラの有用性とプライバシー保護等との調和を図り 地域防犯カメラを適切かつ効果的に活用し 茅ヶ崎市の安心して安全に暮らせるまちづくりを推進するこ

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文書管理番号

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雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項 第 1 趣旨 この留意事項は 雇用管理分野における労働安全衛生法 ( 昭和 47 年法律第 57 号 以下 安衛法 という ) 等に基づき実施した健康診断の結果等の健康情報の取扱いについて 個人情報の保護に関する法律についての

5 改正条文の書式

目 次 第 1 はじめに 2 1 ガイドライン策定の目的 2 2 ガイドラインの対象となる防犯カメラ 2 3 防犯カメラで撮影された個人の画像の性格 2 第 2 防犯カメラの設置及び運用に当たって配慮すべき事項 3 1 設置目的の設定と目的外利用の禁止 3 2 設置場所 撮影範囲 照明設備 3 3

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大型建設機械の輸送に係る規制について

用いるかは 任意に選択することができる 法的積載荷重を下回る場合は 安全サイドの処置を講ずるものであり 上回る概数を用いて 定員等で表示する場合は それに対応した強度を有していれば支障がないためである 定員は法定積載量又は定格積載量を65 kgで乗じた数値の小数点以下の端数を切り捨てた数値とする 例


整理ページ番号 1 P.1 他 2 P.1-P.2 ご意見全般について 法律 政令 省令等について 公布年や公布番号等がカッコ書きされているものもあれば記載のないものもあるので いずれかに統一することが望ましいです 例 :P b) P 注 1.1 注 1) b) 2) 中間貯

Q5. 工事担任者資格が必要な工事とは どのようなものですか A5. 利用者が電気通信サービスを利用するための端末設備等の接続に係る工事であり 具体的には 事業用ネットワークへの接続及びこれに伴う調整並びに屋内配線工事など端末設備等の接続により通信が可能となる一切の工事です この工事には 事業用ネッ

全建労発第 号平成 28 年 3 月 4 日 各都道府県建設業協会 専務理事 事務局長 殿 一般社団法人全国建設業協会専務理事伊藤淳 ( 公印省略 ) 派遣労働者に対する安全衛生教育の実施等安全衛生の確保について 時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます さて このたび 厚生労働省労働基

橋梁等土木工事における安全衛生対策等について 高めよう一人ひとりの安全意識 安全講話会平成 26 年 2 月 5 日 ( 水 ) 宮古労働基準監督署南 1 みんなの力でゼロ災害 災害等が起こらないよう 安全 を意識しながら作業を行って下さい はじめに 安全はすべてに優先する 企業が生産を継続して 社

警告ラベル貼付位置警告ラベルが見えにくくなったときや 破損したときは 新しいラベルを指定場所に貼りかえてください 新しいラベルは ( ) 内の番号で注文してください. 各部の名称 キャスターストッパーセット (CSS-DGT00MC) けが ( 部品番号 X ) < 車輪プレート付

個人情報の保護に関する規程(案)

(2) 情報資産の重要度に応じた適正な保護と有効活用を行うこと (3) 顧客情報資産に関して 当法人の情報資産と同等の適正な管理を行うこと (4) 個人情報保護に関する関係法令 各省庁のガイドライン及び当法人の関連規程を遵守すると共に これらに違反した場合には厳正に対処すること ( 個人情報保護 )

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建設業における総合的労働災害防止対策の基本的考え方 建設業の特徴は重層下請構造の下 所属の異なる労働者が同一場所で作業する形態であり 短期間に作業内容が変化するという事業の性質から 工事現場における元方事業者による統括管理の実施 関係請負人を含めた自主的な安全衛生活動の推進を基本に 工事現場を管理す

佐賀労働局 最終更新日 : 平成 30 年 9 月 30 日 企業 事業場名称 所在地 公表日 違反法条 事案概要 その他参考事項 ( 株 ) 大生物流佐賀県伊万里市 H 労働基準法第 32 条 川内産業 ( 株 ) 佐賀県伊万里市 H 労働基準関係法令違反に係る公表

上記の要件をすべて満たさないカメラ ( 例えば 録画装置を備えていないカメラ ) であっても 不特定多数の人を撮影している場合は プライバシーを侵害するおそれがあります このガイドラインの趣旨を踏まえ プライバシーの保護に配慮するとともに設置目的に沿った適切な運用を行うことが必要です 第 2 防犯カ

はじめに 近年の建設現場は機械化が進み これに伴って安全装置や警報装置が急速に 普及してきました 移動式クレーン仕様の油圧ショベルの安全装置や ユニッ ク車のアウトリガー ブーム未格納警報装置 シールド坑内の動力車移動位置 検出装置や有害ガス濃度測定器などです しかしながら 足場の組立てや 土止め支

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効果 労働者が保有する職業能力の評価を行うことにより 労働者の仕事に対するモチベーションを向上させることができます 労働者の職業能力を把握することにより 労働者の処遇などを検討する際の参考にすることができます 労働者は 評価シート ( 様式 4) を 今後のキャリア プランを検討する際の参考にするこ

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労働災害発生状況

安全管理規程

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PowerPoint プレゼンテーション

個人情報保護規定

1 はじめに 本市では 平成 17 年に 鹿児島市安心安全まちづくり条例 を定め 地域の安全は地域で守る を基本理念に 市と市民 事業者等が連携 協働し 安心して安全に暮らせるまちづくりを進めてきました これまでに防犯パトロール隊や青色防犯パトロール車による防犯活動をはじめ 安心安全ネットワーク会議

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14個人情報の取扱いに関する規程

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第 2 章陸運業 倉庫業の安全管理のポイント ここがポイント 陸運業 倉庫業では フォークリフトに関係する災害防止と 重量物の人力取扱い クレーン はい作業などに関係する災害防止が重要です 1 陸運業 倉庫業では 荷役作業関係災害の防止 がポイント 陸運業 倉庫業で働く派遣労働者の労働災害を防止するには まず陸運業 倉庫業ではどのような災害の発生が多く それに対しどのような対策が行われているかを理解することが重要です 表 - で 陸運業 倉庫業の派遣労働者の死傷災害の分析結果をみると 荷役作業に関連した作業中での災害が大半を占めている状況にあります 特に フォークリフト作業 倉庫 配送センター 工場内倉庫等での入出庫等の作業 及び トラック荷台への積込み 積卸し作業 での災害が多く発生しています これらは陸運業 倉庫業に共通するものであるので 以下共通したものとして フォークリフト作業の安全管理のポイント と フォークリフト作業以外の安全管理のポイント に分けて 必要な対策を紹介します 2 フォークリフト作業の安全管理のポイント 荷役作業では フォークリフトなどの車両系荷役運搬機械を用いての作業が通常であり このような作業に対する安全管理が必要です フォークリフト作業の安全管理のポイントについて理解し 必要な対策をしましょう 労働災害は機械設備の欠陥など物の 不安全な状態 ( 物の面 ) とヒューマンエラーなど人の 不安全な行動 ( 人の面 ) とが重なったときに 発生するとされています 労働災害を防止していくうえでは これらに対する管理が重要です 特にフォークリフトなどの車両系荷役運搬機械を用いた作業に対しては 安衛則において事業者が実施しなければならない事項が定められており その理解を深め 法令を遵守することが基本となります --

(1) 管理面からのポイントフォークリフトによる労働災害の防止を 管理面 から進めるためのポイントは次のとおりです 1 作業計画の作成 周知 ( 安衛則第 条の ) フォークリフトを用いた作業では次のことが必要です 作業場所の広さ及び地形 機械の種類及び能力 荷の種類及び形状に適合した作業計画を定めること 運行経路及び作業方法が示されたものであること 定めた作業計画に従い作業を行うこと 2 作業指揮者の選任 ( 安衛則第 条の ) フォークリフトを用いて作業を行うときは 作業指揮者を定め この作業計画に基づいて荷役作業等を行わなければなりません 3 就業制限 ( 安衛法第 条 同施行令 0 条第 号 ) フォークリフト運転技能講習を修了した者でなければ フォークリフトの運転の業務に就かせてはなりません ( 最大荷重 トン以上のフォークリフトの場合 ) 4 職場巡視の実施 ( 安衛則第 条 ) フォークリフト作業を行っている場所等について 作業者による不安全な行動がないかなど安全管理者は定期的に職場巡視を実施する必要があります 安全管理者が選任されていない事業場でも職場巡視をすることが望まれます (2) 物の面 人の面からのポイントフォークリフトによる労働災害の防止を 不安全状態 ( 物の面 ) と不安全行動 ( 人の面 ) から進めるためのポイントは次のとおりです フォークリフトそのものが構造規格に適合したものであることは当然です 1 点検 定期自主検査の実施 ( 安衛則第 条の 同 条の 同 条の ) フォークリフトについては 損傷や故障などから生ずる災害を防止するため 作業開始前点検 定期自主検査を実施する必要があります 定期自主検査は 月以内ごとに行う月次検査と 年以内ごとに行う年次検査があり 年次検査については 特定自主検査 として 一定の資格を有する自社の労働者又は外部の検査業者が行うこととなっています 2 接触防止措置の実施 ( 安衛則 条の ) フォークリフトや荷と接触する危険のある箇所への立ち入りを禁止しなければなりません このため 運行経路と歩道の分離 立ち入り禁止区域の設定 標識の設置などを行うことが必要です 3 安全教育の実施 ( 安衛法第 0 条の ) フォークリフト運転業務従事者に対して 定期的に安全教育を実施します 4 リスクアセスメント等の実施 ( 安衛法第 条の ) フォークリフトに関係する作業について その作業に潜む危険性を事前に把握し 危険性 --

の程度 ( リスク ) の低減を図る安全衛生管理手法である リスクアセスメント を実施するよう努める必要があります リスクアセスメントの詳細は ページを参照して下さい リスクアセスメント 危険予知活動 ヒヤリ ハット活動などの安全衛生活動は 労使が協力して推進することが重要です リスクアセスメント等は 安衛法では 危険性または有害性の調査等 と表現されています 3 フォークリフト作業以外での安全管理のポイント 荷役 運搬作業に着手する前に フォークリフト作業と同様に作業のムリ ムダ ムラを省き 現場から不安全な行動を排除していくことが必要です このため 作業計画をたて 計画の作業者への周知を図り 作業計画に基づいて作業を行うことが重要です 作業を指示する際には いつ どこで 何をするか 作業に必要な手順 作業上の急所 を押さえた的確な指示を行います また 安全で 効率的な作業を進める上で 安全作業手順書 をあらかじめ定めておき それに従った作業を進めることも重要です (1) 人力運搬作業のポイント機械による運搬作業が大半を占めているとはいえ いまだ人力による作業も見られ 人力作業中の災害が後を絶ちません 人力による作業は 簡単にできるので 安易に考えて不安全な動作に気がつかないで災害が起こることがあります また 無理な動作による作業が原因で腰痛等が発生することもあります このため 人力による荷の運搬作業では 次の点に留意することが必要です 1 何度も持ったり動かしたり 中継ぎを繰り返す等をしない 2 下から上 上から下への動きを少なく 小さくする 3 床上約 0cm 以下や胸より高い位置で取り扱わないこと 4 後ろ向きに移動しながらの作業をしない 5 長いものを振り回さない 6 危険物 有害物を取り扱う場合は これらに関する注意事項の順守を徹底する 7 荷物の重量を考え 自分の力にあまる荷物は 人以上で扱う 8 手で持っている時間をできるだけ少なくする 9 正しく向き ( 正対 ) 膝を軽く曲げ 腰を落とし 背筋を伸ばし しっかり持つこと - 10 -

(2) クレーン 玉掛け作業のポイント派遣労働者をクレーンの運転やに従事させる場合は 次の資格が必要です 業務名必要な資格つりあげ荷重が トン以上 トン未満の移動式ク移動式クレーン運転士免許所持者又は小型移動式レーンの運転の業務クレーン運転技能講習修了者 ( 安衛法第 条 ) 制限荷重が トン以上の揚貨装置又はつり上げ荷玉掛け技能講習修了者 ( クレーン等安全規則 重が トン以上のクレーン 移動式クレーン若し条 ) などくはデリックの玉掛けの業務 ( 玉掛け作業 ) また クレーンや玉掛け作業を行うときのポイントは次のとおりです 1 クレーンの点検を実施すること 2 玉掛用具の点検を実施すること 3 有資格者による作業を進めること 4 合図を決定し 確実に実行すること 5 クレーンのつり上げ荷重とつり荷の重量が適合しているか確認すること 6 クレーンの操作 玉掛けを 正しい方法で行うこと (3) はい作業のポイント近年の荷役運搬作業では 取り扱う荷と使用する荷役運搬機械の多様化に伴い 様々な災害が発生しています これらの作業を安全に行うためには作業を指揮し 作業の状況を判断しながら 適切な指示を与える者が必要です 特に 倉庫等に積み重ねられた荷である はい について はい付け はいくずし等を行う作業は 墜落 転落災害 飛来 落下災害等の発生が多く 危険度の高い作業であるため 経験が豊富で 十分な技能と安全作業についての知識を有する はい作業主任者 を選任し その直接の指揮により作業を行うことが労働災害防止上不可欠です 次の場合には 事業主は 作業主任者を選任し その者にはい作業の指揮を行わせ 安衛則で定める職務を行わせることが必要です 高さが メートル以上のはい ( 倉庫 上屋又は土場又は土場に積み重ねられた荷 ( 小麦 大豆 鉱石等のばら物を除く ) の集団をいう ) のはい付け又ははいくずしの作業 ( 荷役機械の運転者のみによって行われるものを除く )( 安衛令第 条第 号 ) はい作業を安全に行うためには 定められた作業方法 作業手順どおり正しく能率的に行うことが必要であり はい作業主任者は その職務として作業の方法 順序を決定し作業者を直接指 - 11 -

揮 監督することが求められています 人力による荷の取り扱い方法については はい作業を開始する前 作業中及び作業終了時において 下記の事項に留意することが必要です 1 作業開始前に打ち合わせを行い 作業内容 作業方法などを作業者に周知する 2 作業に必要な器具及び用具など ( 作業台 歩み板 はしご 危険標識など ) を準備し 作業者の配置 ( 監視 誘導等も含め ) を適切に行う 3 はいの昇降には すべり止め装置のついた移動はしご等を使用する 4 はいの作業中においては 関係労働者以外の者を立ち入らせない 5 はいの崩壊又は荷の落下を防止するため はいをロープで縛り 網を張り くい止めを施し はい替えを行う等の措置をする 6 作業終了後は 作業に使用した器具及び用具などをそれぞれの保管場所に戻し はいの周辺及び床を整理 整頓し清掃する (4) テールゲートリフターを用いる作業のポイント近年 テールゲートリフターを装備した貨物自動車の急速な普及をみていますが これに伴って 昇降板からの荷の落下による災害や昇降板に手足を挟まれる等の災害が発生しています このため テールゲートリフターに関する作業では 次の点に留意することが必要です ( テールゲートリフターでロールボックスパレットを降ろす ) 1 テールゲート装備車は水平な場所に駐車して作業を行う ( 傾斜地での作業は禁止 ) 2 空車の場合 最初の荷物を昇降板に載せたとき荷台が傾斜するので 軽い荷から始める 3 昇降板で荷を昇降させるときは 昇降板のストッパーを使用する 4 作業者が昇降板に乗っての昇降は行わない 5 底面積が小さく重心の高い荷は ロープ ラッシングベルト等で昇降板に固定する 6 上昇中における作業者の危険を防止するため自動停止装置を装備する 7 ロールボックスパレット入りの荷を一人で扱う場合は 荷の重量を 00kg 未満とする 8 ロールボックスパレット入りの荷を昇降板で昇降させるときは パレットのキャスターストッパーをかける - 12 -

スウィング方式 バーチカル方式 (5) 保護帽の着用荷役作業では 貨物自動車荷台等からの墜落 転落や荷の飛来 落下等による危険を防ぐために 墜落時保護用の保護帽を着用するようにします 最大積載量が トン以上の貨物自動車での荷の積卸作業やはいの上での作業 ( 高さ メートル以上の箇所 ) では保護帽着用が義務づけられています - 13 -

( 参考 ) フォークリフトによる作業計画 ( 作成例 ) 平成 21 年 3 月 23 日 ( 月 ) 木箱のトラック積み込み作業 平成 21 年 4 月 1 日 ( 水 )8 時 00 分 ~ 平成 22 年 3 月 31 日 ( 水 )17 時 00 分 精密機械木箱トラック 1 台に 3 個 1 トン LO1-5523 2 トン なし 立入り禁止区域 作業指揮者以外立入り禁止 フォークリフトによるトラック積込み作業 フォークリフト運転者は作業手順書 NO4 の作業手順を適用すること - 14 -