1 韓国交通事情ソウルの地下鉄 バス 鉄道について現地で見聞したことをまとめてみた 1. 地下鉄 (1) 券売機券売機の横に路線図 ( 図 1) が掲示されて図 1 地下鉄路線図いる 駅名はハングル及びローマ字で表示され 駅番号が付いている 路線別に色分けされ 路線番号が記されている 料金は表示されていない ( 地球の歩き方 韓国 07~08 の社員では駅番号の代わりに料金が表示されている ) 券売機の初期画面には韓国語以外に英語 日本語 中国語のボタンがある ( 図 2) したがって日本語ボタンを選べば切符を買うのはそれほど難しくない 日本語ボタンにタッチすると 日本語の初期画面に切り替わる ボタンは 左から 1 回用交通カード 目的地選図 2 地下鉄券売機の画面択 優待用 交通カードチャージ である 目的地ボタンを押し 路線番号を押すと その路線の全駅名が表示される 駅名は 券売機によってカタカナ表記の場合と漢字表記の場合がある カタカナ表記はアイウエオ順でないので 一つ一つ読んでいかなければならない 漢字表記の場合もどういう順序で並んでいるのか不明であるが 日本人にとっては目的の駅を見付けやすい 駅名は一つの画面で表示しきれない場合 画面を切り換える図 3 地下鉄の切符ボタンを押すようになっている 駅名にタッチすると 切符の枚数を指示する画面になる 枚数を指示すると料金が表示される お金を入れると切符 ( 図 3) が出てくる お金は紙幣を入れればお釣りが出てくるので問題ないが 小銭を入れようとしてモタモタしていると メイン画面に戻ってしまう 路線図に料金表示がないので あらかじめお金を用意しておけないのが欠点である 日本では JR 私鉄 地下鉄
2 のいずれについても券売機の上方の路線図に料金図 4 Tmoney が表示されている 切符の料金には保証金 500( 約 50) が追加される 到着駅の改札口を出ると払い戻し機があり そこに切符を挿入すると返金される 切符は 1 回用カード以外にプリチャージ式の地下鉄 電鉄 バス共通の T money というカード ( 図 4) があり これは各駅の改札口付近の案内所で購入する ここでは地下鉄の全路線図ももらえる この T money は 全国のどの都市でも使える ただし 日本のスイカのように鉄道には使えない なお韓国には私鉄はない (2) 改札口改札機は 挿入式ではなくタッチ式になっていて ( 図 5) 切図 5 改札機符をタッチすればゲートが開く T money の場合 タッチすれば 現在のチャージ残額が表示される 降車駅の改札口でも同じように残額が表示されるので 必要に応じて追加のチャージを行う (3) ホームの駅名表示プラットホームの円柱に駅名と駅番号とが大きく表示されている ( 図 6) 駅名は ハングル ローマ字 漢字及びカタカナで表記されている ホームはたいていアイランド式 ( ホームの両側に線路がある ) になっている ホームの乗降口のガラスの安全ドアの上方に駅名 前の駅名 次の駅名及び進行方向の矢印が表示されている ( 図 7) 列車が近付くと警報音がなる 大阪の地下鉄のように次の列車が今どこにいるかという表示はない (4) ホームの線路側の仕切りホームと線路側とはガラスの壁で完全に仕切られているので 図 6 ホームの駅名表示 図 7 乗降口上方の表示
3 乗客が誤って線路上に落ちることはない 筆者は中国の広州 南京及び蘇州で地下鉄に乗車した経験があるが すべて韓国と同じようにホームと線路側とはガラスの壁で完全に仕切られている 大阪の地下鉄では ガラスの壁はもちろんのこと 安全柵さえない駅がほとんどである これは地下鉄の建設時期がまったく異なるからである ちなみに 大阪市営地下鉄は 1933 年に梅田 心斎橋間が最初に開業した (5) 車内の駅名アナウンスふつう韓国語と英語が使われる ソウル駅のような図 8 車内の電光表示板大きな駅ではこれに日本語が加わる 大阪の地下鉄は日本語のみのアナウンスで しかもコマーシャルが入る コマーシャルをやめて 英語のアナウンスもするべきだと思う (6) 車内の電光表示板電光表示板が 乗降ドアの上に設けられている車両 ( 図 8) と車両の長さ方向中央の天井下に横方向に設けられている車両とがある 後者であれば乗客が車内のどの位置にいても見ることができる 駅名表示はハングルとローマ字が繰り返し切り替わる 漢字表示も駅番号の表示もない 券売機の横の路線図やホームの駅名表示板に駅番号が表記されているのに車内に駅番号が表示されないのはなぜだろうか? もともと乗客の利便性を考えて駅番号が制定されたのに 駅番号が活用されていないのは残念である また 乗り換え案内 ( 何号線乗り換え ) の表示もなく 韓国語のアナウンスのみである 2. 鉄道ソウル駅地下鉄ソウル駅で降りて エスカレータで地上へ上がる さらにエスカレータ又は階段で 2 階へ上がる 階段には キャリアカート専用スロープが設けられている ( 図 9) 2 階には広大なフロアがある ここには切符売り場の窓口 自動券売機 案内所 待合いベンチ レストラン 喫茶店 売店等がある 切 図 9 キャリアカート専用スロープ付き階段 図 10 旅客運賃案内 符売り場の上方に旅客運賃案内が電光表示されている ( 図 10) この案内は京釜線用で 一番左は
4 行き先 その右に KTX(Korean Train Express 日本の新幹線に相当する ) の特等室及び一般室の料金が黄色の文字で表示されている その右の緑の文字は ITX(Intercity Train Express)-セマウル号とセマウル号との料金である セマウル号にも特等室及び一般室がある セマウル号はいずれすべて ITX-セマウル号に置き換えられるとのことである さらにその右の黄色い文字はムグンファ ( 無窮花 ) 号の料金である これ以外にも発車時刻表がある 図 11 ホームへ降りる階段と KTX 鉄道には改札口がなく エスカレータ 階段 ( 図 11) 又はエレベータで 1 階のホームに自由に降りることができる したがって 自由に出入りして列車の写真撮影などができる鉄道ファンにとってはありがたいシステムである 日本の鉄道はすべて改札口があるので 入場券を買わないとホームに行けない ドイツの鉄道は改札口がなく 韓国と同じシステムである 改札口がない場合 車内で乗務員が検札することになる 日本の新幹線には改札口があり なおかつ車内で検札も行っている これはどうしてだろうか? このソウル駅には KTX( 新幹線 ) 特急列車及び普通列車用にホームが合計 14 本ある KTX は 両端が動力車で中間に客車がある 他の列車もすべて動力車式になっている 3. 電鉄ソウル駅から地下鉄 4 号線のヨイド ( 汝矣島 ) 行きに乗り クムジョン ( 衿井 ) で 1 号線に乗り換える ここからは電鉄になっており ホームの柱に掲げた駅名板に KORAIL( 韓国鉄道公社 ) と表示されている ( 図 12) 駅名はハングル ローマ字及び漢字で記されて図 13 天井吊りの駅名表示いる これには駅番号が表示されていない 途中のウィワン図 12 ホームの柱の駅名表示 ( 義王 ) 駅が鉄道博物館の最寄り駅で スウォン ( 水原 ) 駅からは水原華城や民俗村へ行ける スウォン駅のホームの天井から吊り下げられている表示板には ハングル ローマ字 漢字及びカタカナで駅名が記され 駅番号も表示されている 駅番号は 地下鉄では 3 桁の数字であったが 電鉄の駅番号はアルファベット 1 文字と 3 桁の数字で構成されている この表示板の右に記されている一つ前の駅の名称ファソの漢字は 华西 と簡体字になっている ( ウィワンは 簡体字では 义王 なのに実際には繁体字で 義王 と表記されている ) ホームと線路側との間に地下鉄のようなガラスの壁はなく 電車のドア位置以外のところに高さ 1 m 位 幅 2 m くらいのステンレスパイプ製の安全柵が設けられている
5 4. ソウル市内路線バス ソウル市内の路線バス ( 図 14 ) は他国の大都市の路線バスと同じように地下鉄とともに近隣への移動の便利な 図 14 ソウル市内路線バス 図 15 路線バスの行き先表示 手段になっている ただバスは 車両前面上部の行き先表 図 16 バス停留所の行き先表示板 示がハングルのみで また車体側面の経由する駅名表示 ( 図 15) もハングルのみであり またバスの停留所にある路 線図 ( 図 16) も基本的にハングル表記で 主要駅がハング ルとローマ字の併記になっているだけなのでハングルの読 めない外国人にとっては使い辛い交通機関である なお 今回ソウルではバスに乗る機会がなかったが スウォンで 乗った路線バスの車内の運転席背面の次の停車駅の表 示もハングルのみであった 5. 道路標識 ( ソウル ) 高速道路関係の案内標識は緑の背景に白地で ( 図 17) また一般道路関係の標識は 青の背景に 図 17 高速道路関係の案内標識 図 18 一般道路の標識 白地で ( 図 18 及び 19) 表記されている これらの色は世界共通である 高速道路関係の標識の地名等は ハングル及びローマ字で表記されているので 韓国で自ら車を運転して普通道路から高速道路に入るのは ローマ字さえ読めれば日本や欧米の道路と同じでさほど困難ではないであろう 図 18 に示す一般道路の標識には ハングルで バス専用 タクシー下車 模範タクシー 中型タクシー ソウル駅駐車場 と表示されている この標識は 外国人の運転者にはあまり関係のないことがらを表示しているので ハングルのみの表記になっているものと思われる ちなみに 模範タクシー とは 国の規定にパスした運転手のみが運転できる黒い車体のタクシーであり 一般タクシー ( 中型タクシー )
6 より料金が高めに設定されていて 比較的マナーがよく 料金をめぐるトラブルも少ないとのことである 図 19 は駐車場への案内標識である 駐車図 19 駐車場への案内標識場 という意味の英語表記はないが 四角に囲まれた大文字の P で 外国人にも駐車場の標識であることが分かる なお 上方にハングルとともに英語が記されている これは ソウル駅 ロッテアウトレット 及び ロッテマート を利用する人のための駐車場という意味で この標識であれば 外国人に何とか理解できると思われる (2017.5.29)