(Microsoft Word

Similar documents
Microsoft Word - 209J4009.doc

(Microsoft Word \227F\210\344\226\203\227R\216q\227v\216|9\214\216\221\262.doc)

論文題目 大学生のお金に対する信念が家計管理と社会参加に果たす役割 氏名 渡辺伸子 論文概要本論文では, お金に対する態度の中でも認知的な面での個人差を お金に対する信念 と呼び, お金に対する信念が家計管理および社会参加の領域でどのような役割を果たしているか明らかにすることを目指した つまり, お


Microsoft Word 今村三千代(論文要旨).docx

論文内容の要旨

関西大学人間活動理論研究センター Technical Reports No.7 2 キャリア教育の効果と意義に関する研究 - 中学校における効果測定の試み - 関西大学人間活動理論研究センター 川﨑 友嗣 Center for Human Activity Theory, Kansai Univer

修士論文 ( 要旨 ) 2017 年 1 月 攻撃行動に対する表出形態を考慮した心理的ストレッサーと攻撃性の関連 指導小関俊祐先生 心理学研究科臨床心理学専攻 215J4010 立花美紀

(Microsoft Word - \222\206\220\354\221\361\227v\216|)

生の 0.39% となっており 255 人に1 人が不登校児童であることが示されている ( 文部科学省,2015) また 不登校やいじめなどの問題が深刻化する中で その予防的対応に関するニーズは非常に高くなっている これらの学校不適応の問題の背景には 家庭 個人 学校 友人関係など様々な要因が想定さ

広島国際大学教職教室教育論叢 第 9 号 2017 年 12 月 キャリア発達を促す総合的な学習の時間の実践的な研究 広島県廿日市市立野坂中学校濱保和治 広島国際大学心理科学部教職教室岡田大爾 要旨 : 平成 23 年の中央教育審議会答申では, 社会に出る際に最低限必要なことや将来を考える際の土台と

件法 (1: 中学卒業 ~5: 大学院卒業 ) で 収入については 父親 母親それぞれについて 12 件法 (0: わからない 収入なし~ 11:1200 万以上 ) でたずねた 本稿では 3 時点目の両親の収入を分析に用いた 表出語彙種類数幼児期の言語的発達の状態を測定するために 3 時点目でマッ

(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

のことを踏まえると 自己効力の分析に関しては 独立変数として学年差だけでなく性差についても考慮に入れて分析を行う必要があるといえよう なお この他 本研究では 進路意識の発達を捉えるための手がかりとして 進路課題自信尺度 と将来の 進路への決定度 や 仕事の考慮度 についての回答 学校で学習する教科

名古屋文理大学紀要高校生の時間的展望と自己評価の関連第 11 号 (2011) - 全体的自己価値, 具体的側面の自己評価, 具体的側面の重要度の観点から - 高校生の時間的展望と自己評価の関連 - 全体的自己価値, 具体的側面の自己評価, 具体的側面の重要度の観点から - The Relation

小学生の英語学習に関する調査

<4D F736F F D E93785F8A7789C895CA5F8A778F438E9E8AD481458D7393AE814588D3977E5F8C8B89CA322E646F6378>

回答結果については 回答校 36 校の過去 3 年間の卒業生に占める大学 短大進学者率 現役 浪人含む 及び就職希望者率の平均値をもとに 進学校 中堅校 就職多数校 それぞれ 12 校ずつに分類し 全体の結果とともにまとめた ここでは 生徒対象質問紙のうち 授業外の学習時間 に関連する回答結果のみ掲

Microsoft Word - 210J4061.docx

単元構造図の簡素化とその活用 ~ 九州体育 保健体育ネットワーク研究会 2016 ファイナル in 福岡 ~ 佐賀県伊万里市立伊万里中学校教頭福井宏和 1 はじめに伊万里市立伊万里中学校は, 平成 20 年度から平成 22 年度までの3 年間, 文部科学省 国立教育政策研究所 学力の把握に関する研究


< F C18D E93788EF38D7590B B CC8F578C76834F E786C73>

研究成果報告書

< F2D92F18F6F FBC88E48CAB93F E08A74957B838F>

厚生労働省(職業能力開発行政)におけるキャリア教育の捉え方と関連する取組について

Water Sunshine

資料1 団体ヒアリング資料(ベネッセ教育総合研究所)

P pdf, page Preflight ( P indd )

( 続紙 1) 京都大学博士 ( 教育学 ) 氏名小山内秀和 論文題目 物語世界への没入体験 - 測定ツールの開発と読解における役割 - ( 論文内容の要旨 ) 本論文は, 読者が物語世界に没入する体験を明らかにする測定ツールを開発し, 読解における役割を実証的に解明した認知心理学的研究である 8

(4) 在日米国人心理学者による逆翻訳 (5) 在米米国人心理学者による内容の検査と確認 (6) 予備調査 本調査の対象東京都 千葉県の小児科クリニック 市役所 子育て支援事業に来所した 12~35 か月 30 日齢の健康な乳幼児とその養育者 537 組を対象とした 本調査の内容本調査の質問紙には

( 別刷 ) 中年期女性のジェネラティヴィティと達成動機 相良順子伊藤裕子 生涯学習研究 聖徳大学生涯学習研究所紀要 第 16 号別冊 2018 年 3 月

Exploring the Art of Vocabulary Learning Strategies: A Closer Look at Japanese EFL University Students A Dissertation Submitted t

問題解決プロジェクト 若者はなぜグンマーを出ていくのか? ~ 高校生 3 年生からみる群馬県の未来調査 ~ 橋本万梨奈 大澤善康 茂木寛和 後藤悦子

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

大学生の消費者市民力を育成するパーソナルファイナンス教育の可能性 橋長真紀子 本研究は 理論研究編では パーソナルファイナンス教育 (PF 教育 ) および 消費者市民教育 の概念規定を 日本 米国 英国 北欧の先行研究から比較検討し 2 つの教育の関係性を明らかにした上で コンピテンシー と PF

10_高崎・武石_Vol15-1.indd

3-1. 新学習指導要領実施後の変化 新学習指導要領の実施により で言語活動が増加 新学習指導要領の実施によるでの教育活動の変化についてたずねた 新学習指導要領で提唱されている活動の中でも 増えた ( かなり増えた + 少し増えた ) との回答が最も多かったのは 言語活動 の 64.8% であった

.A...ren

Microsoft PowerPoint ⑤静岡発表 [互換モード]

ブック 1.indb

4.2 リスクリテラシーの修得 と受容との関 ( ) リスクリテラシーと 当該の科学技術に対する基礎知識と共に 科学技術のリスクやベネフィット あるいは受容の判断を適切に行う上で基本的に必要な思考方法を獲得している程度のこと GMOのリスクリテラシーは GMOの技術に関する基礎知識およびGMOのリス

発達研究第 25 巻 問題と目的 一般に, 授業の中でよく手を挙げるなどの授業に積極的に参加している児童は授業への動機づけが高いと考えられている ( 江村 大久保,2011) したがって, 教師は授業に積極的に参加している児童の行動を児童の関心 意欲の現われと考えるのである 授業場面における児童の積

の中でも特に外向性は日常言語能力と相関するという 回とも同じ留学生と交流できるよう配慮した 内1 傾向について多くの研究に支持されているが 日本で 名は前述の通り 1回目の交流と同国籍 同性 同世 の英語教育を研究したBusch 198 は 当時の日本 代の留学生 表1に2回の国際交流学習の内容を示

p.1~2◇◇Ⅰ調査の概要、Ⅱ公表について、Ⅲ_1教科に対する調査の結果_0821_2改訂


第 2 節キャリア コンサルティングの理解 (4) キャリア コンサルタントの能力 Ⅰ キャリア コンサルティングの社会的意義に対する理解 1 社会 経済的動向とキャリア形成支援の必要性の認識 2 キャリア コンサルティングの役割の理解 3 キャリア コンサルティングを担う者の活動範囲と義務 ( 活

Ⅰ 評価の基本的な考え方 1 学力のとらえ方 学力については 知識や技能だけでなく 自ら学ぶ意欲や思考力 判断力 表現力などの資質や能力などを含めて基礎 基本ととらえ その基礎 基本の確実な定着を前提に 自ら学び 自ら考える力などの 生きる力 がはぐくまれているかどうかを含めて学力ととらえる必要があ

<4D F736F F D F4B875488C097A790E690B C78AAE90AC838C837C815B FC92E889FC92E894C5>

PowerPoint プレゼンテーション

地域包括支援センターにおける運営形態による労働職場ストレス度等の調査 2015年6月

3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

図表 2-1から 最も多い回答は 子どもが望む職業についてほしい (9%) であり 以下 職業に役立つ何らかの資格を取ってほしい (82.7%) 安定した職業についてほしい (82.3%) と続いていることが分かる これらの結果から 親が自分の子どもの職業に望むこととして 最も一般的な感じ方は何より

様式 3 論文内容の要旨 氏名 ( 神﨑光子 ) 論文題名 周産期における家族機能が母親の抑うつ 育児自己効力感 育児関連のストレス反応に及ぼす影響 論文内容の要旨 緒言 女性にとって周産期は 妊娠 分娩 産褥各期の身体的変化だけでなく 心理的 社会的にも変化が著しいため うつ病を中心とした気分障害

4 身体活動量カロリズム内に記憶されているデータを表計算ソフトに入力し, 身体活動量の分析を行った 身体活動量の測定結果から, 連続した 7 日間の平均, 学校に通っている平日平均, 学校が休みである土日平均について, 総エネルギー消費量, 活動エネルギー量, 歩数, エクササイズ量から分析を行った

研究成果報告書

Microsoft Word 年度末卒業時アンケート結果.doc

(2) あなたは選挙権年齢が 18 歳以上 に引き下げられたことに 賛成ですか 反対ですか 年齢ごとにバラツキはあるものの概ね 4 割超の人は好意的に受け止めている ここでも 18 歳の選択率が最も高く 5 割を超えている (52.4%) ただ 全体の 1/3 は わからない と答えている 選択肢や

1. 交際や結婚について 4 人に3 人は 恋人がいる または 恋人はいないが 欲しいと思っている と回答している 図表 1 恋人が欲しいと思わない理由は 自分の趣味に力を入れたい 恋愛が面倒 勉強や就職活動に力を入れたい の順に多い 図表 2 結婚について肯定的な考え方 ( 結婚はするべきだ 結婚

フトを用いて 質問項目間の相関関係に着目し 分析することにした 2 研究目的 全国学力 学習状況調査結果の分析を通して 本県の児童生徒の国語及び算数 数学の学習 に対する関心 意欲の傾向を考察する 3 研究方法平成 25 年度全国学力 学習状況調査の児童生徒質問紙のうち 国語及び算数 数学の学習に対

広報おおぐちテンプレート

平成 24 年度職場体験 インターンシップ実施状況等調査 ( 平成 25 年 3 月現在 ) 国立教育政策研究所生徒指導 進路指導研究センター Ⅰ 公立中学校における職場体験の実施状況等調査 ( 集計結果 ) ( ) は 23 年度の数値 1 職場体験の実施状況について ( 平成 24 年度調査時点

教育 学びのイノベーション事業 ( 平成 23~25 年度 ) 総務省と連携し 一人一台の情報端末や電子黒板 無線 LAN 等が整備された環境の下で 教科指導や特別支援教育において ICT を効果的に活用して 子供たちが主体的に学習する 新たな学び を創造する実証研究を実施 小学校 (10 校 )

博士論文 考え続ける義務感と反復思考の役割に注目した 診断横断的なメタ認知モデルの構築 ( 要約 ) 平成 30 年 3 月 広島大学大学院総合科学研究科 向井秀文

多変量解析 ~ 重回帰分析 ~ 2006 年 4 月 21 日 ( 金 ) 南慶典

Microsoft PowerPoint - 表紙

学生による授業評価のCS分析

教員の専門性向上第 3 章 教員の専門性向上 第1 研修の充実 2 人材の有効活用 3 採用前からの人材養成 3章43

IPSJ SIG Technical Report Vol.2014-CE-123 No /2/8 Bebras 1,a) Bebras,,, Evaluation and Possibility of the Questions for Bebras Contest Abs

回数テーマ学習内容学びのポイント 2 過去に行われた自閉症児の教育 2 感覚統合法によるアプローチ 認知発達を重視したアプローチ 感覚統合法における指導段階について学ぶ 自閉症児に対する感覚統合法の実際を学ぶ 感覚統合法の問題点について学ぶ 言語 認知障害説について学ぶ 自閉症児における認知障害につ

調査結果の概要

第 1 章総則第 1 教育課程編成の一般方針 1( 前略 ) 学校の教育活動を進めるに当たっては 各学校において 児童に生きる力をはぐくむことを目指し 創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で 基礎的 基本的な知識及び技能を確実に習得させ これらを活用して課題を解決するために必要な思考力 判

平成20年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果(概要)

中カテゴリー 77 小カテゴリーが抽出された この6 大カテゴリーを 地域包括支援センター保健師のコンピテンシーの構成概念とした Ⅲ. 地域包括支援センター保健師のコンピテンシーリストの開発 ( 研究 2) 1. 研究目的研究 1の構成概念をもとに 地域包括支援センター保健師のコンピテンシーリストを

Ⅲ 調査対象および回答数 調査対象 学校数 有効回答数児童生徒保護者 (4~6 年 ) 12 校 1, 校 1, 校 1,621 1,238 合計 41 校 3,917 ( 有効回答率 96.3%) 3,098 ( 有効回答率 77.7%) Ⅳ 調査の実施時期

研究報告用MS-Wordテンプレートファイル

The Journal of the Japan Academy of Nursing Administration and Policies Vol 12, No 1, pp 49 59, 2008 資料 看護師におけるメンタリングとキャリア結果の関連 Relationship between M

機能分類や左室駆出率, 脳性ナトリウム利尿ペプチド (Brain Natriuretic peptide, BNP) などの心不全重症度とは独立した死亡や入院の予測因子であることが多くの研究で示されているものの, このような関連が示されなかったものもある. これらは, 抑うつと心不全重症度との密接な

Microsoft PowerPoint - 中学校学習評価.pptx

今年度は 創立 125 周年 です 平成 29 年度 12 月号杉並区立杉並第三小学校 杉並区高円寺南 TEL FAX 杉三小の子

①H28公表資料p.1~2

(3) 生活習慣を改善するために

この章のポイント 高校での指導の実態からみる高校教育の課題 Benesse 教育研究開発センター研究員 岡部悟志 解説の時間 が中心の高校での授業中学校から高校にかけて生徒が様々なとまどいを感じていることは第 1 章で確認した通りだが その背景には中学校と高校とで大きく異なる指導の実態がありそうだ

タイトル

表紙.indd

123

2 教科に関する調査の結果 (1) 平均正答率 % 小学校 中学校 4 年生 5 年生 6 年生 1 年生 2 年生 3 年生 国語算数 数学英語 狭山市 埼玉県 狭山市 61.4

現課程の高校生の実態

2 教科に関する調査の結果 ( 各教科での % ) (1) 小学校 国語 4 年生 5 年生 6 年生 狭山市埼玉県狭山市埼玉県狭山市埼玉県 平領均域正等答別率 話すこと 聞くこと 書くこと

5 教5-1 教員の勤務時間と意識表 5 1 ( 平均時間 経年比較 教員年齢別 ) 中学校教員 調査年 25 歳以下 26 ~ 30 歳 31 ~ 40 歳 41 ~ 50 歳 51 ~ 60 歳 7:22 7:25 7:31 7:30 7:33 7:16 7:15 7:23 7:27 7:25


ンバーは問題を解決し継続的な努力を通じて活動を改善できるという集団の効力感に関する感覚が存在する ことを示唆していると述べ 個人レベルにおける自己効力感と活動結果の関係は 集団レベルにおいても適用できるとし 教師同士の協働的関係を通して教師集団の力量を向上させることについて報告している また 近年学

No_05_A4.ai

< 受験生トレンド > 受験生に必須のアイテム 受験生の半数以上が勉強に SNS を活用 3 人に 1 人以上が活用している Twitter が第 1 位に 目的は モチベーションを上げたい 記録に残したい 共有して安心したい が上位に 勉強専門アカウントについては約 5 割が興味 約 2 割が活用

報道関係各位 2012 年 1 月 25 日 株式会社ベネッセコーポレーション 代表取締役社長福島保 高校受験調査 ~ 高校 1 年生は自らの高校受験をどのように振り返っているのか ~ 高校受験を通じて やればできると自信がついた 71% 一方で もっと勉強しておけばよかった 65% 株式会社ベネッ

Microsoft Word - 12_田中知恵.doc

学で手探りの状況にあると考えられる また 学生調査等を活用した分析枠組みに関する研究も少しずつ増えてきてはいるものの まだ十分であるとは言えない そこで 本研究では 新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育 大学教育 大学入学者選抜の一体的改革 ( 中央教育審議会 2014) で示さ

領域別正答率 Zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz んんんんんんんんんんんんん 小学校 中学校ともに 国語 A B 算数( 数学 )A B のほとんどの領域において 奈良県 全国を上回っています 小学校国語 書く B において 奈良県 全国を大きく上回っています しかし 質問紙調査では 自分

力の重要な三つの要素が明確に示された その中の一つが学習意欲である 知識 技能と活用力が 学力の向上の両輪とするならば 学習意欲はそれを走らせる原動力であると考えられる ( 図 1) 図 1 意欲が具体的に表れる学習行動 自ら課題を見付け 自ら考え 時には周りの人たちと話合いながら 知識基盤社会 の

基礎的 はんよう汎用的能力は 分野や職種にかかわらず 社会的 職業的自立に向け て必要な基盤となる能力であると考える 例えば 企業が新規学卒者に期待する力は 就職の段階で 即戦力 といえる状態にまで学校教育を通じて育成することを求めているわけではなく 一般的には コミュニケーション能力 熱意 意欲

Microsoft Word - manuscript_kiire_summary.docx

Transcription:

中学生におけるにおける勤労観勤労観と進路選択進路選択に対するする自己効力自己効力とのとの関連 職場体験職場体験 を中心中心に The Relationship between Working Consciousness and Career Decision-Making Self-Efficacy in Junior High School Students Focus on Work Experience 児童学研究科児童学専攻 1000-080613 小長井明美 Ⅰ. 問題近年 若者の早期離職 フリーター ニートの増加が社会問題とされている そのような様々な社会問題が浮かび上がり 若者の勤労観 職業観の未成熟さ 社会人としての基礎知識の不十分さが指摘される 今日 若者の生きる目的を育成することを急務とし 高校生 大学生のインターンシップの実施 中学生の職場体験 小学生の職場見学の実施 早期キャリア教育の重要性を訴えることとなった 近年 中学生のキャリア教育について様々な見解が明らかになってきているが 中学生を対象とした職業観 ( 勤労観 ) の形成に関する研究は少ない ( 鎌田 横井 1999) とある 勤労観 職業観職業観の定義定義 職業や勤労についての知識 理解及びそれらが人生で果たす意義や役割についての個々人の認識であり 職業 勤労に対する見方 考え方 態度等を内容とする価値観である ( 国立教育政策研究所 2002) としている 職場体験の定義文部科学省 (2004) は 職場体験とは 生徒が事業所などの職場で働くことを通じて 職業や仕事の実際について体験したり 働く人々と接したりする学習活動である と定義づけされている 進路選択に対するする自己効力自己効力の定義浦上昌則 (1995a) は 進路選択に対する自己効力の概念を 進路を選択決定する過程で必要な行動に対する遂行可能感を指す と定義している Ⅱ. 目的安達 平尾 (1999) は 中学生の職場体験等は生徒の 勤労観の育成に繋がる手段の一つ と示唆しているが 児美川 (2007) は 職場体験さえすれば キャリア教育をやったことになるわけでもない と指摘している 自己効力の観点からは 浦上 (1994a) が 効力感は 特定の性役割と特定の関連があると断定できず どのような領域の役割も それを身に付け遂行できる とした しかし 松井 奈良井 (2001) は 中学 1 年生 2 年生では 女子が男子よりも進路選択自己効力が高い ことを明らかにした 以上のことから 職場体験に 1

おける勤労観と進路選択に対する自己効力が 中学生のキャリア教育に重要であるとわかるが 職場体験を実際に行う中学生は 職場体験で何を学び 何が変化したのであろうか 本研究では職場体験に着目し 勤労観と進路選択に対する自己効力の観点から その変化と関連について検討する また 勤労観と進路選択に対する自己効力のそれぞれが 男女の性差があるのかも検討し 今後の中学生に対するキャリア教育について考察を試みる Ⅲ. 方法 < 予備調査 1> 中学生版勤労観尺度の質問項目質問項目を収集収集するする 目的 : 職場体験に関する中学生版勤労観尺度の質問項目を収集する 対象 : 公立中学生 3 年生 36 名 ( 男子 15 名 女子 21 名 ) 調査時期 :2009 年 6 月内容 : 教示を あなたの職業体験を通して新しく気がついたこと 発見したこと 今までと変わったことは何ですか? とし 項目を収集する 手続き : 授業時間等を利用し 一斉に回答してもらい その場で回収する 結果 : 123 項目収集し KJ 法による分類を行い 最終的に 38 項目となった < 予備調査 2> 中学生版勤労観尺度を作成作成し 信頼性信頼性と妥当性妥当性を検討検討するする 目的 : 中学生版勤労観尺度を作成し 信頼性と妥当性を検討する 対象 : 公立中学生 2 年生 190 名 ( 男子 90 名 女子 88 名 不明 12 名 )( 予備調査 1と重複しない生徒 ) 調査時期 :2009 年 7 月 ~9 月調査項目 : 予備調査 1で収集した項目 38 項目手続き : 授業時間等を利用し 一斉に回答してもらい その場で回収する 結果と考察 : 38 項目を主因子法 プロマックス回転による探索的因子分析を行い 第 1 因子 労働に必要な条件に対する気づき 第 2 因子 労働の仕組みに対する気づき 第 3 因子 労働への期待 の 3 因子の名で命名 計 26 項目が勤労観項目とした 信頼性は 3 因子ごとの尺度で高いα が示された ( 第 1 因子 α=.919, 第 2 因子 α=.894, 第 3 因子 α=.744) 妥当性は 小林 (2000) の中学生用社会体験学習効果測定尺度 18 項目 第 1 因子 勤労観 第 2 因子 社会的協調 第 3 因子 家族のきずな の 3 因子からなっており 妥当性があると言える < 本調査 > 1. 中学生におけるにおける勤労観勤労観およびおよび 進路選択進路選択に対するする自己効力自己効力の検討 2

目的 : 中学生の勤労観および 進路選択に対する自己効力について性差の観点から検討する ( 職場体験前 事前群 ) 調査対象 : 公立中学生 2 年生 237 名 ( 男子 123 名 女子 104 名 不明 10 名 ) ( 内有効回答数男子 117 名 女子 102 名 計 219 名 ) 調査時期 :2009 年 9~11 月調査項目 : 中学生版 勤労観尺度として予備 2で作成した 26 項目 4 件法 まったくそのとおり ややそのとおり あまりそのとおりでない そのとおりでない 進路自己効力 : 進路自己効力尺度 ( 竹原市スタート ウィーク推進委員会,2006) 33 項目 4 件法 非常に自信がある 少しは自信がある あまり自信がない 自信がない 進路自己効力尺度 は 竹原市スタート ウィーク推進委員会 2006 が中学生版として 浦上 (1995) の 進路選択に対する自己効力尺度 と 冨安 (1997) の 進路決定自己効力尺度 を参考に作成した尺度である 手続き : 授業時間等を利用し 一斉に回答してもらい その場で回収する 結果 : 勤労観尺度の各因子の各下位尺度得点について t 検定を行った結果 第 1 因子 (t (217)=0.33,n.s) 第 2 因子 (t(217)=0.44,n.s) 第 3 因子 (t(217)=0.62,n.s) 3 因子すべてが男女の得点差は有意ではなかった 進路選択に対する自己効力感尺度の各因子の各下位尺度得点について t 検定を行った結果 第 1 因子 (t(217)=0.56,n.s) 第 2 因子 (t(217)=1.80,n.s) 第 3 因子 (t(217) =0.26,n.s) 第 4 因子 (t(217)=0.84,n.s) 4 因子すべてが男女の得点差は有意ではなかった 2. 中学生の勤労観勤労観と進路選択進路選択に対するする自己効力自己効力におけるにおける職場体験職場体験の事前事前 事後事後の変化変化と 性差の検討目的 : 勤労観と進路選択に対する自己効力に関する職場体験の事前 事後の変化と 事前 事後の性差の変化を検討する 調査対象 : 公立中学生 2 年生 237 名 ( 男子 123 名 女子 104 名 不明 10 名 ) ( 内有効回答数男子 117 名 女子 102 名 不明 8 名 計 227 名 ) 調査時期 :2009 年事前 9~11 月事後 11~12 月調査項目 : 中学生版 勤労観尺度として予備 2で作成した 26 項目 進路自己効力 : 進路自己効力尺度 ( 竹原市スタート ウィーク推進委員会,2006)33 項目 結果 : 勤労観の事前 事後の変化を検討するために 勤労観尺度の因子ごとに t 検定を 3

行った結果 勤労観尺度 3 因子すべてに 事前より事後の方が有意に高い得点となった 第 1 因子 (t(226)=4.40,p<.01) 第 2 因子 (t(226)=5.08,p<.01) 第 3 因子 (t(226) =3.57,p<.01) また 勤労観尺度を2 要因の分散分析で事前 事後 性差を検討した結果 3 因子すべてが事前 事後と性別の交互作用は有意ではなく 3 因子すべてが事前 事後の主効果は 1% 水準で有意であった また 事前 事後の性別の主効果は 3 因子すべて有意ではなかった 進路決定に対する自己効力感尺度の因子ごとに t 検定を行った結果 進路決定に対する自己効力感尺度の 4 因子すべてに 事前よりも事後の方が有意に高い得点となった 第 1 因子 (t(226)=6.42,p<.01) 第 2 因子 (t(226)=6.97,p<.01) 第 3 因子 (t(226) =5.86,p<.01) 第 4 因子 (t(226)=6.84,p<.01) また 進路選択に対する自己効力を2 要因の分散分析で事前 事後 性差を検討した結果 4 因子すべてが事前 事後と性別の交互作用は有意ではなく 4 因子すべてが事前 事後の主効果は 1% 水準で有意であった 事前 事後の性別の主効果は 4 因子すべて有意ではなかった 3. 中学生版勤労観尺度と進路選択進路選択に対するする自己効力自己効力とのとの関連目的 : 中学生版勤労観尺度と進路選択に対する自己効力との関連について検討する 調査対象 調査時期調査時期 調査項目調査項目 手続手続きはきは本調査 2と同様同様のためのため省略省略するする 結果 : 事前 事後の性差が有意でなかった為 性別をわけずに 全体で分析検討を行った 進路決定に対する自己効力感 4つの下位尺度得点が勤労観 3 因子のどの因子に影響しているのかを検討するため 重回帰分析を行った 事前は 職業理解 が 労働の仕組みに対する気づき 標準偏回帰係数 (.22*) と 職業理 が 労働への期待 標準偏回帰係数 (.38**) が有意であった 事後では 職業理解から労働への期待に対する標準偏回帰係数 (.316*) が有意であった Ⅳ. 考察本研究で開発した尺度で 中学 2 年生の勤労観の構造を検討した結果 3 因子構造であることがみいだされた 第 1 因子は 労働に必要な条件に対する気づき 第 2 因子は 労働の仕組みに対する気づき 第 3 因子 労働への期待 と命名した 国立教育政策研究所 (2002) が 望ましい勤労観 職業観 について 一人一人が自分なりの職業観 勤労観を形成が大切であり 基本的な理解 認識 夢や希望を実現しようとする意欲的な態度など めざすことが求められる としているが 本研究でみいだされ 4

た勤労観の構造により 中学 2 年生の段階では 職場体験を体験することで労働に対する仕組みや社会の構造の基礎的な部分を理解し 夢や希望を実現しようとする意欲的な態度 を形成していると考えられる また新見 (2008) は 中学生は キャリア成熟度が高い者でも 将来の職業を決定する段階に達していないと考えられる と示唆している 本研究で開発された尺度でみる限り 中学 2 年生の職場体験は 労働に必要な条件に対する気づき 労働の仕組みに対する気づき 労働への期待 に関する労働観を有意に変化 発達させる体験であり 職場体験でのキャリア教育が効果のある内容であることを示している 以上の結果から 中学生における職場体験は 労働に必要な条件や 労働の仕組みに対しての気づき 将来の自分自身の労働に対する期待を高めることが明らかとなり 将来の職業を決定する段階ではないとする新見 (2008) の報告を支持するものであると考える 従って 中学生の職場体験の内容は必ずしも将来つきたい職業と一致させる必要はなく 労働への気づきや意欲との関連でみていくことが必要であると考える 中学 2 年生の発達段階で職場体験を行うことによって 進路選択に対する自己効力感が高まると同時に 労働に必要な条件に対する気づき 労働の仕組みに対する気づき 労働への期待 が得られている また 中学 2 年生の職場体験は 労働に必要な基本的姿勢を学ぶことができると考えられ キャリア教育において効果があると考えられる 今後の課題として キャリア教育は 学校の教員だけが担う責任ではなく 学校 家庭 地域の人々の協力なくしてはできないことであり 今後 学校 家庭 地域の粘り強い協力関係が求められ 連携をとっていかなければならないだろう また松本 (2008) は 高校生が職業に対して 社会的貢献 や 労働条件 よりも自分の 自立 や 生きがい を重視している という価値観の変化や 男子が地位条件志向が高く 女子が自己実現思考と生活安定志向がそれぞれ有意に高かった という労働へ志向性の性差を指摘しているが 勤労観も発達段階において変化していくことが推測される キャリア教育は長い時間的スパンで 職場体験などの実体験を通して実施されていくことが重要であり 中学校で育まれた勤労観を 高校のキャリア教育につなげていくことが重要である 5