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Transcription:

MRI を用いたハイパーサーミアを実現するための微小共振回路の設計試作 Fabrication of resonant circuit for hyperthermia using MRI 1051010( 登録番号 ) 研究代表者 ( 助成受領者 ) 横浜国立大学 助教授竹村泰司 研究の目的 コイルの設計や共振周波数を決定するコイル コ人工心臓に代表されるように 電気回路や電子ンデンサの素子パラメータの最適化により 本申回路を伴う人工物を体内に装着するといった治療請課題の研究期間内に RF 磁界で 10 以上の発熱行為は 生活 健康を維持するための技術としてをする 1mm 以下の共振回路を実現することを目指重要なものである がん治療における外科療法 している 放射線療法 抗がん剤療法では傷跡や副作用などマイクロ波領域の電磁波を利用する誘電式 誘患者の負担が甚大であり 人間に安全でやさしい導式ハイパーサーミアが臨床レベルで確立されて新しい治療法の開発が急務である 本申請では先いるが 局所加温が不可能なために正常細胞への端エレクトロニクスを適応した新しいがん治療技ダメージがあり 皮膚の火傷も大きな問題である 術を実現することを研究目的とする 具体的には磁性体を用いるインプラント式局所加温が提案さ外部磁界により発熱する微小共振回路を体内に装れているが 外部磁界に対する発熱効率は低く 着し その熱によりがん細胞を選択的に死滅させ十分な加温を得るには強い磁界が必要などの欠点る温熱治療 ( ハイパーサーミア ) に着目する 副を有する 本申請は外部磁界を高効率で発熱に変作用もなく 治療効果を確認しながら繰り返し治換するための共振回路を設計試作する基礎研究と療が行えることなどが利点である 位置づけられ 具体的には コイル 及びコンデ微小なコイルとコンデンサから構成される共振ンサの素子最適化や カプセル装着を含めた試作 回路 ( 図 1) を体内に入れるインプラント ( 挿入 MRI 装置内での加熱実験などを研究の骨子とした 具 ) として用いて 外部磁界により発熱させるこインプラントの加温には外部から電磁波を投入とを提案している このインプラントはカテーテする必要がある インプラントの発熱効率が高けル ( 医療用の細管 ) を通して 腫瘍の近傍まで輸れば 投入エネルギーは抑制できる 共振回路で送される ( 腫瘍は血流のあるところにできやすい ) は極微な磁界でも十分な加温が得られる そのたそのために共振回路のサイズは 1mm 径以下にするめに MRI 診断において発生する微弱 RF 磁界の利用ことを目標としている が可能である 即ち MRI により周辺温度や治療効また 後述のような利点を生かすために 診断果を確認しながら 繰り返し治療が実現される 装置として普及している MRI( 磁気共鳴画像診断 MRI は診断装置として病院に広く普及しており 装置 ) の微弱高周波 (RF) 磁界を利用するが 微新規の設備導入が不要である経済効果も甚大であ弱な磁界においても がん細胞殺傷に十分な発熱る MRI の RF 磁界は地磁気 (~ T: マイクロテスを確保することが第二の目標である コイル径をラ ) 程度の微弱信号であり 人体への電磁波影響小さくすると誘導起電力も減少してしまうために を考慮した規制が存在する 素子設計最適化に加 1

え その規制範囲以下で RF 磁界の波形パターン形は MRI シーケンスにおいて発生される RF 磁界 ( シーケンス ) を工夫するなどの課題により 加 (RF パルス ) のシンク波形である このように連温技術を確立することは重要である 続波と比較すると duty 比が小さいことが理解される 研究の内容 成果 地磁気程度の小さい磁界を如何に発熱に変換すコイルとコンデンサから構成される共振回路がるかが鍵となる 共振周波数はで決定されるが 周波数 100~300kHz の外部交流磁界に対して大きコイル L とコンデンサ C の組み合わせは自由であな発熱効果を示すことを既に確認している このる 高周波等価回路解析を行った結果 実際に発ときのコイル径は 12mm 発熱は 10 以上であった 熱をするのはコイルの残留抵抗が支配的であるこ コイルに発生する誘導起電力はコイルの鎖交磁束と磁界周波数に比例するために 磁界周波数を増加させれば その分コイルの直径を小さく設定できる この予測に基づき MRI( 静磁場 1.5T 装置 ) の RF 磁界 (63.8MHz) において約 6 の温度上昇を検証したことから MRI と共振回路の組み合わせによるハイパーサーミア治療技術の提案に至った MRI では人体の断層像を得るために 傾斜静磁場が印加されており そのプロトン周波数に対応させた RF 磁界を発生させる そのために RF 磁界の周波数は一定ではなく 0.2MHz 程度の分散を有する また duty 比の低いシンク波であることに加え 人体への影響を考慮した SAR 値 ( 比吸収率 ) の規制があるために MRI の RF 磁界の強度は T オーダーに抑制されている 図 2は臨床診断用 MRI( 通常の一般病院にて患者診断に使用されている装置にて実験した ) に設置した共振回路の温度上昇を測定した結果例である (IEEE Transactions on Magnetics, Vol. 41, Issue 10, pp.3673-3675, 2005. からの引用 ) ここでは通常の診断シーケンスを用いており 共振回路に印加される磁界強度や duty 比を増加させるなどの措置はとっていない それにも関わらず 即ち人体への影響がないような環境においても 共振回路の発熱が確認された 同図に挿入した波 とがわかった 残留抵抗を最小にし かつ誘導起電力を確保するためのコイル形状 ( 直径 長さ 巻数 巻線径 ) の設計を行った 現在 使用している高周波発生電源は周波数 100kHz までのものである MRI 装置での発熱実験に先立ち 共振回路の発熱特性を ( 病院に行かなくても ) 実験室にて測定することが可能であれば 設計試作のサイクルが短くなり 回路の最適化が効率よく実施できる そのために MRI 周波数の 63.8MHz を帯域に含む高周波電源を助成金により購入した これにより連続波ではあるものの MRI の RF 磁界と同一の周波数に対して 実験室において共振回路の特性評価 最適化が可能となった 小型化の向けての回路パラメータの最適設計として 本研究では大きく分けて 2 つの項目についての実験を行った 1 つはコイルに線径の異なる銅線を使用した共振回路についてであり もう 1 つはコイル L とコンデンサ C の組み合わせを変えた共振回路についてである コイルの線径の違いによる共振回路の特性を調べるために コイルは線径が 0.3mm 0.16mm 0.07mm の銅線を使用して共振回路を作製した コイルはインピーダンス アナライザを用いて L = 0.97mH となるように調整した 外部磁界を印加した際にコイルに誘起される起電力を一定にするた 2

めに コイル径は 12mm 一定とし 形状も同じとした またコンデンサには可変コンデンサを使用し 共振周波数 63.87MHz の共振回路とした ここで設計共振周波数の 63.87MHz は 実際の治療に用いられている 1.5T の臨床診断用 MRI の RF 周波数である コイル L とコンデンサ C の組み合わせの違いによる共振回路の特性を調べるために コンデンサには C = 10pF 3pF 2pF 1pF 0.5pF のコンデンサを用いた コイルは線径が 0.16mm の銅線を使用し 上記と同様の理由からコイル径 (12mm) や形状は一定とした 共振周波数 63.87MHz の共振回路とした 本研究では ハイパーサーミア用共振回路インプラントの小型化のために 線径の異なる銅線を用いた共振回路及び LC 値の組み合わせを変えた共振回路について 温度上昇の周波数特性と回路の Q 値についての実験を行った 作製した共振回路の並列インピーダンスをインピーダンス アナライザを用いて測定した また共振回路の抵抗値や 共振回路に用いたコイルやコンデンサのインダクタンス コンダクタンスなどの各回路パラメータの測定はすべてインピーダンス アナライザを用いて測定を行なった 共振回路の温度特性を測定するための励磁装置として高周波信号を発生できる任意信号発生器 ( 発振器 ) を用いて 所望の連続波交流磁界を供給した 共振回路はウレタン質媒体により簡易的に断熱し 印加磁界が共振回路のコイルに鎖交するような向きで励磁コイル内に挿入した この状態で実効値 3.4 T 一定の連続波交流磁界を供給し 10 分間温度の測定を行った この実効値 0.034Oe という磁界強度は MRI の RF 磁界と同等 の大きさである 温度測定には光ファイバ温度計を用いており 温度計のプローブ先端を共振回路のコイル部分に設置することで温度を計測した 磁界印加時間に対する各共振回路の温度上昇を測定したところ 印加磁界周波数が設定共振周波数である 63.87MHz 近傍 最大の温度上昇が得られた 共振周波数から離れるにつれて温度上昇は小さくなり どの周波数においても磁界印加時間の増加に伴い温度上昇の度合い ( 時間変化率 ) が鈍くなった また磁界を印加し回路の温度が上昇すると 回路パラメータが変動して共振周波数がシフトしていることも明らかとなった このことを利用すれば 温度上昇の最大値を制御することが可能であり がん組織を 42.5 以上 44 以下で加温する上で有用であると言える 得られた温度上昇の実験結果から 温度上昇と発生電力が比例すると仮定し 発生電力の理論式 ( 等価回路における実効電力の計算 ) に各パラメータを代入してフィッティングを行った その結果 回路の残留抵抗の値は 5~30Ω 程度に設定したときに 実際の温度上昇と最も良い一致が見られた これらの実験や LC パラメータの組み合わせを変化させた実験から 以下のような知見を得た 同一の LC 値を利用した場合においては 回路の残留抵抗の小さい方が消費電力 即ち発熱が大きいことが理論式から予測されるが この線径依存を検証することができた 異なる LC 値を用いた場合には 残留抵抗とや Q 値は相反する関係にあるために L と C の組み合わせにおいて最適な組み合わせがあること またそのために Q 値が大きい回路において必ずしも大きな温度上昇がみられるとは限らない というこ 3

との確認ができた 以上のことから ハイパーサーミア用共振回路インプラントの小型化のための 回路パラメータの最適化の基本的な要素を確立できたと考える 今後の研究の方向 課題 今後の展望としては 実際に小型化した共振回路を作製し 温度特性や回路の Q 値などの測定を行った後 MRI での励磁実験やマウスなどでの動物実験を通じて ハイパーサーミア用インプラントとして実用可能であるかの検証を行うことが挙げられる 成果の発表 論文等 現在 以下の国内学会 国際学会に投稿を予定しており 準備中である ( 1 ) 平成 18 年 8 月 : IEEE International Conference of the Engineering in Medicine and Biology Society ( アメリカ電気電子学会主催のバイオ 医用工学の国際会議 ) (2) 平成 18 年 9 月 : 日本応用磁気学会第 30 回学術講演会 (3) 平成 18 年 9 月 : 日本ハイパーサーミア学会第 23 回大会 4

(a) B ext (b) v L L r s C C 図 1 共振回路 (a) と交流磁界印加時の等価回路 (b) 5

Temperature Rise ( C) 25 20 15 10 5 0 100 s 0 2 4 6 8 10 Time (min) 図 2 臨床診断用 MRI で励磁した共振回路の温度特性 ( 挿入図は実測した MRI の RF パルスのシンク波形 ) 6