不動産基準が適用される 不動産 不動産 ( 含む共有 区分所有 ) 合同運用の不動産ファンド 個別勘定の不動産ファンド プロパティ ユニット トラスト 私募 REIT 不動産運用 ( 管理 ) 会社 (REOC) の私募証券 株式に類似する負債 ( 例えば利益参加型モーゲージローン ) 投資家へのリ

Similar documents
本資料は GIPS Executive Committee が採択した GIPS ガイダンス ステートメント : 不動産 (GIPS Guidance Statement on Real Estate 全文( 英語 ) の日本語訳である 翻訳は 日本における GIPS カントリー スポンサーである公

プライベート・エクイティ投資への基準適用

本日の内容 リターン計算上の必須事項と実務への適用 時間加重収益率と外部キャッシュフロー時間加重収益率の計算方法フィーの取扱いシステム構築 運営上の課題 リスク指標の計算 ( ちらばり 標準偏差 ) ベンチマーク リターンの計算 その他 1

GIPS 不 動 産 基 準 改 訂 のポイント クローズドエンド ファンドに 対 する 基 準 の 追 加 現 基 準 の 不 動 産 コンポジット 全 般 に 対 するフレームに 加 えて クローズドエンド ファンド についての 基 準 を 追 加 クローズドエンド ファンドの 定 義 は 用

<4D F736F F F696E74202D20288ED AE8E598FD88C9489BB8BA689EF8E9197BF2E707074>

( 資産の部 ) ( 負債の部 ) Ⅰ 特定資産の部 1. 流動負債 366,211,036 1 年内返済予定 1. 流動資産 580,621,275 特定社債 302,000,000 信託預金 580,621,275 事業未払金 2,363, 固定資産 6,029,788,716 未払

ARES Japan Property Index(AJPI) Summary Sheet AJPI Flash 速報値時点 2019/03/31 当期確定値 ( 直近確定値 ) 時点 2018/09/30 前期確定値時点 2018/06/30 データ更新日 ARES Property Index(

ARES Japan Fund Index(AJFI) Summary Sheet AJFI Snapshot 速報値時点 2018/06/30 当期確定値 ( 直近確定値 ) 時点 2017/12/31 前期確定値時点 2017/09/30 AJPI(ARES Japan Property Ind

意見募集のための質問事項 :GIPS 2020 公開草案 質問 1 ( 公開草案 1.A.10) limited distribution pooled fund および broad distribution pooled fund という用語が使用されている 前者は 通常 1 対 1 での資料提示

『学校法人会計の目的と企業会計との違い』

営業活動によるキャッシュ フロー の区分には 税引前当期純利益 減価償却費などの非資金損益項目 有価証券売却損益などの投資活動や財務活動の区分に含まれる損益項目 営業活動に係る資産 負債の増減 利息および配当金の受取額等が表示されます この中で 小計欄 ( 1) の上と下で性質が異なる取引が表示され

インプライド・キャップレートの算出方法

本日の内容 GIPS 基準における公正価値の考え方 (GIPS 評価原則 ) と実務上の留意点および課題 GIPS 2010 年改訂版におけるポートフォリオ評価 ポートフォリオ評価に関する重要な変更 GIPS 評価原則 について 公正価値 と 検証 GIPS 基準と既存の評価方法との差異分析 GIP

ガイダンス ステートメント : コンポジットの定義 採択日 : 2010 年 9 月 28 日 発効日 :2011 年 1 月 1 日 遡及適用 : 無し 翻訳 : 公益社団法人日本証券アナリスト協会

本資料は GIPS Execuve Commee が採択した GIPS の ガイダンス ステートメント: 計算方法 (Gudance Saemen on Calculaon Mehodology 全文( 英語 ) の日本語訳である 翻訳は 日本における GIPS カントリー スポンサーである公益社団

ガイダンス ステートメント : 会社の定義 採択日 : 2010 年 9 月 28 日 発効日 :2011 年 1 月 1 日 遡及適用 : 無し 翻訳 : 公益社団法人日本証券アナリスト協会 1

はじめに 計算方法に関するガイダンス ステートメント 重大なキャッシュフローの取扱いに関するガイダンス ステートメント 検証に関するガイダンス ステートメント Q&A

日本基準基礎講座 資本会計

Microsoft Word 資産運用委託契約の一部変更_100910final_clean.DOC


2. 基準差調整表 当行は 日本基準に準拠した財務諸表に加えて IFRS 財務諸表を参考情報として開示しております 日本基準と IFRS では重要な会計方針が異なることから 以下のとおり当行の資産 負債及び資本に対する調整表並びに当期利益の調整表を記載しております (1) 資産 負債及び資本に対する

平成30年公認会計士試験

無断複写 転用 転記を禁じます 国際財務報告基準 (IFRS) 連結財務諸表シリーズ シリーズ <5>IAS 第 31 号 ジョイント ベンチャーに対する持分 ( 平成 22 年 7 月 31 日現在 ) 1. ジョイント ベンチャーの対する持分 ( 総論 ) 本シリーズでは ジョイント ベンチャー

ニュースリリース「不動産投資に関する調査 2017年-調査結果-」

あいおいニッセイ同和損保の現状2013

highlight.xls

GIPS 基準 2020 年版公開草案 意見募集 CFA 協会は グローバル投資パフォーマンス基準 (GIPS ) を所管する組織として GIPS Executive Committee (EC) を設立した GIPS Technical Committee (TC) は GIPS 基準のテクニカル

スライド 1

<4D F736F F D C CC92E88B FC92F994C5816A814093FA967B8CEA96F32E646F63>

GIIPS セミナーシリーズ第 15 回 2014 年 12 月 22 日開催 GIPS 不動産基準の準拠状況と課題 あらた監査法人ディレクター公認会計士藪谷峰あらた監査法人マネージャー木幡仁 目次 1. はじめに 2. GIPS 準拠の浸透状況 3. 準拠と検証のインセンティブ 4. 基準適用への

財剎諸表 (1).xlsx


CONTENTS Nomura Fund August / September vol

<4D F736F F D B E FA967B8CEA96F32E646F63>

Microsoft Word - 公益法人会計の仕訳

PowerPoint プレゼンテーション

回答作成様式

<4D F736F F D E918E59895E977089EF8ED082CC B C5E94F18FE38FEA DD97A787552E646F63>

平成 29 年度連結計算書類 計算書類 ( 平成 29 年 4 月 1 日から平成 30 年 3 月 31 日まで ) 連結計算書類 連結財政状態計算書 53 連結損益計算書 54 連結包括利益計算書 ( ご参考 ) 55 連結持分変動計算書 56 計算書類 貸借対照表 57 損益計算書 58 株主

( )

Tokio Marine Asset Management

<4D F736F F D2081A F838D815B836F838B8F5A94CC81408C768E5A8F9197DE8B7982D1958D91AE96BE8DD78F F

2017 年度第 1 四半期業績の概要 年 8 月 9 日 日本生命保険相互会社

第4期電子公告(東京)

Microsoft Word 【公表】HP_T-BS・PL-H30年度

2019年4月期の運用状況および分配予想の修正、2019年10月期の運用状況および分配予想のお知らせ

RGB color schemes

IFRS基礎講座 IAS第21号 外貨換算

純プラチナ上場信託(現物国内保管型)

営業報告書

Tokyo_Newsletter Template_A4

野村アセットマネジメント株式会社 平成30年3月期 個別財務諸表の概要 (PDF)

2017 年 12 月期第 2 四半期決算 ( 平成 29 年 12 月期第 2 四半期決算 ) 補足説明資料 FACT SHEETS 2017 年 8 月 7 日 目次 2017 年 12 月期 ( 平成 29 年 12 月期 ) 第 2 四半期決算

6. データ集 2) 国内金融事業 1 日本保証 主要残高 貸借対照表 日本基準に基づく単体数値 ( 連結調整前 ) で作成しています ( 単位 : 百万円 ) 2015/ / / / / / /03 (a) 現金及び預金 1,

<4D F736F F D F4390B3817A4D42418C6F896390ED97AA8D758B60985E814091E63289F AE8E9197BF E646F63>

長期金利の上昇と商業用不動産価格の関連性

untitled

連結貸借対照表 ( 単位 : 百万円 ) 当連結会計年度 ( 平成 29 年 3 月 31 日 ) 資産の部 流動資産 現金及び預金 7,156 受取手形及び売掛金 11,478 商品及び製品 49,208 仕掛品 590 原材料及び貯蔵品 1,329 繰延税金資産 4,270 その他 8,476

 

PowerPoint プレゼンテーション

積立 NISA の創設 1. 改正のポイント (1) 趣旨 背景 1 家計の安定的な資産形成を支援する観点から 少額の積立 分散投資を促進するための 積立 NISA が創設される (2) 内容 1 積立 NISA は 20 歳以上の居住者等が金融機関に開設した非課税口座内に 積立 NISA 専用の累


Microsoft Word - GS ラップフィー_SMA 日本語訳.doc

上場有価証券等書面

Microsoft PowerPoint - 賃貸フェアー2008in大阪(配布用).ppsx

本日のご説明内容 1. GPIFにおけるオルタナティブ投資 及びその手法についての考え方 2. 今回の公募内容 3. 運用機関への役割期待 4. 今後のスケジュール 5. Q&A 2

Microsoft Word - # VIX短期先物指数 1305半期_決算短信.doc

株式会社神奈川銀行

インベスコ オフィス ジェイリート投資法人 (3298) 平成 30 年 1 月 29 日付 投資口分割 規約の一部変更及び平成 30 年 4 月期 ( 第 8 期 ) の 1 口当たり分配金の予想の修正に関するお知らせ 補足資料 インベスコ グローバル リアルエステート アジアパシフィック インク

<4D F736F F D F816992F990B C B835E92F990B3816A E31328C8E8AFA208C888E5A925A904D816B93F

1 1. 課税の非対称性 問題 1 年をまたぐ同一の金融商品 ( 区分 ) 内の譲渡損益を通算できない問題 問題 2 同一商品で 異なる所得区分から損失を控除できない問題 問題 3 異なる金融商品間 および他の所得間で損失を控除できない問題

Ⅰ 平成 24 年度高鍋町財務書類の公表について 平成 18 年 6 月に成立した 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律 を契機に 地方の資産 債務改革の一環として 新地方公会計制度の整備 が位置づけられました これにより 新地方公会計制度研究会報告書 で示された 基準モデル

計算書類等

野村アセットマネジメント株式会社 2019年3月期 個別財務諸表の概要 (PDF)

085 貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準 新株予約権 少数株主持分を株主資本に計上しない理由重要度 新株予約権を株主資本に計上しない理由 非支配株主持分を株主資本に計上しない理由 Keyword 株主とは異なる新株予約権者 返済義務 新株予約権は 返済義務のある負債ではない したがって

IFRS基礎講座 IAS第12号 法人所得税

日本版スクーク ( イスラム債 ) に係る税制措置 Q&A 金融庁

<4D F736F F D2095BD90AC E AD48C888E5A8A E646F63>

第 47 期末貸借対照表 2019 年 3 月 31 日現在 ( 単位 : 千円 ) 資 産 の 部 負 債 の 部 科 目 金 額 科 目 金 額 流 動 資 産 9,306,841 流 動 負 債 2,136,829 現 金 及 び 預 金 8,614,645 未 払 金 808,785 立 替

【11】ゼロからわかる『債券・金利』_1704.indd

UIプロジェクトX

<4D F736F F F696E74202D2091E682588AFA91E C888E5A90E096BE8E9197BF5F E B93C782DD8EE682E890EA97705D>

4. 計数計画の策定 - (2/18) 解答 貸借対照表 ( 一部科目集約 ) ( 単位 : 千円 ) 実績 -1 計画 0 年目 計画 1 年目 計画 2 年目 計画 3 年目 計画 4 年目 計画 5 年目 H24/9 H25/9 H26/9 H27/9 H28/9 H29/9 H30/9 現金

PowerPoint プレゼンテーション

財務諸表に対する注記 1. 継続事業の前提に関する注記 継続事業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況はない 2. 重要な会計方針 (1) 有価証券の評価基準及び評価方法 満期保有目的の債券 償却原価法 ( 定額法 ) によっている なお 取得差額が少額であり重要性が乏しい銘柄については 償却原価


スライド 1

第一の変額年金フェアウェイ災害 3 割加算型変額年金保険運用状況一覧 特別勘定の運用状況一覧 (2018 年 12 月 ) ライフサイクル30 型 組入 :DIAMライフサイクル ファンドVA1( 安定型 ) 騰落率基準価額 ライ

財務諸表に対する注記 1. 継続事業の前提に関する注記 継続事業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況はない 2. 重要な会計方針 (1) 有価証券の評価基準及び評価方法 満期保有目的の債券 償却原価法 ( 定額法 ) によっている なお 取得差額が少額であり重要性が乏しい銘柄については 償却原価

J リートとは? J リートは 投資家から集めた資金を複数の賃貸不動産に投資し その賃貸収入や不動産売却収入から得た利益を投資家に分配する金融商品です 投資をする方から見ると J リートへの投資は 不動産を投資対象とする会社型の投資信託 ( 不動産投資法人 ) に投資する仕組みであり J リートを介

<4D F736F F F696E74202D2091E682588AFA91E C888E5A90E096BE8E9197BF5F E B93C782DD8EE682E890EA97705D>

2018 年度第 3 四半期業績の概要 年 2 月 1 4 日 日本生命保険相互会社 Nippon Life Insurance Company

2019 年 8 月 22 日 各位 インフラファンド発行者名 東京インフラ エネルギー投資法人 代表者名 執行役員 杉本啓二 ( コード番号 9285) 管理会社名 東京インフラアセットマネジメント株式会社 代表者名 代表取締役社長 永森利彦 問合せ先 取締役管理本部長 真山秀睦 (TEL: 03

投資信託のとは 投資信託のは 当期に獲得した収益等を決算日に投資家に還元する仕組みで す ただし 過去に獲得した収益を積み立てたもの等からも支払うことができます 投資信託でが支払われるイメージ 投 資信 託のは 投 資信 託 投資信託のとは P3 の純資産の中から支払われます はどのように支払われる


Microsoft Word - NOMURA原油インデックス_ルールブック_確定版_ _3_.docx

1

( 注 2) 優先交渉権の詳細については 後記 4. 取得予定資産の内容 (1) 投資対象である匿名組合出資持分の内容 優先交渉権の概要 をご参照ください 2. 取得の概要 (1) 取得資産 : 不動産を実質的な運用資産 ( 注 1) とする匿名組合出資持分 (2) 資産名称 : ロジファンド スリ

第 2 号に規定する存続厚生年金基金 同項第 3 号に規定する外国の年金基金 13 外国法人 14 投資性金融資産 1 億円以上であると見込まれる個人で 有価証券又はデリバティブ取引の経験が1 年を経過している者 15 投資性金融資産 1 億円以上の法人及び業務執行組合員等 ( 金商業等府令第 23

日本基準基礎講座 有形固定資産

Transcription:

公益社団法人日本証券アナリスト協会主催 GIPS セミナー ~ シリーズ第 12 回 ~ GIPS ガイダンス ステートメント : 不動産 の解説及び不動産ワーキンググループの課題 2013 年 9 月 25 日 株式会社 KPMG FAS パートナー GIPS 不動産ワーキンググループ委員加藤淳哉

不動産基準が適用される 不動産 不動産 ( 含む共有 区分所有 ) 合同運用の不動産ファンド 個別勘定の不動産ファンド プロパティ ユニット トラスト 私募 REIT 不動産運用 ( 管理 ) 会社 (REOC) の私募証券 株式に類似する負債 ( 例えば利益参加型モーゲージローン ) 投資家へのリターンの一部が 原資産としての不動産のパフォーマンスに関連づけられている不動産の非上場 ( 私募 ) 持分 1

不動産基準が適用されない 不動産 J-REIT( 公募の REIT) MBS 及び CMBS( 不動産担保証券 ) 商業用および居住用不動産ローンを含む私募型デット投資であって 期待リターンが契約金利のみに連動し 原資産となる不動産の経済的なパフォーマンスには関連しないもの 2

投資の一任 GIPS 基準では 実在し フィーの支払いを伴う投資が一任されている全てのポートフォリオは 少なくとも一つのコンポジットに含めなければならない 投資一任は会社が意図した戦略を実行する能力である 投資の一任の有無は実態に応じて判断 判断のポイント 投資調査 投資対象の選定 取得 売却 投資ストラクチャリング 資金調達 資本的支出 リーシング 物件管理予算作成 リーマンショック後の不動産私募ファンドの投資一任性について Guidance Statement on the Applicability of the GIPS Standards to Pension Funds, Endowments, Foundations and Other Similar Entities について 3

コンポジットの構築 (1/2) 会社は 投資マンデート 目的 もしくは戦略により定義されたコンポジット単位によるパフォーマンスを開示することが必須である 不動産クローズドエンド ファンドのコンポジットは 組成年毎に投資マンデート 目的 もしくは戦略により定義され コンポジットの投資期間を通じて同じ定義を適用しなければならない 不動産クローズドエンドファンドの特徴 流動性がない ( 出資持ち分の購入 売却が自由にできない ) 投資期間に期限がある 同じ投資戦略のファンド間で利益相反が発生する可能性がある 組成年 (vintage year) でコンポジットを形成 1コンポジットにつき1ファンドとなることが多い ( 同じ組成年に同じ戦略の別のファンドを組成することはあまりない ) 利回りはSI-IRR(Since Inception Internal Rate of Return) で計算 4

その他の留意事項 コンポジットの構築 (2/2) コンポジット ( ポートフォリオ ) を構成する物件のパフォーマンス情報の開示 所有形態及びファイナンスのストラクチャーの影響を加味した 投資レベル のパフォーマンスではないため GIPS のコンポジット構築の原則と合致しない 物件レベルのパフォーマンスはあくまで補足説明資料 物件タイプごとのパフォーマンス情報 ( 例 : 総合型ファンドからオフィスのパフォーマンスのみを抽出 ) の開示 GIPS のコンポジット構築の原則と合致しない ( 補足説明資料 ) 但し カーブアウト ( 注 ) として提示することも場合により可能 ( 固有の投資戦略の下で運用されており CF 管理が区分され 独立したポートフォリオを構成している場合 ) 5

ポートフォリオのコンポジットへの組入 (1/2) 時間加重収益率 (time-weighted rates of return) を計算する際には Partial period もしくは Stub period の問題 すなわち コンポジットの計算期間の途中でポートフォリオがコンポジットに新たに組み入れられるか除外された場合の対応がある 新しいポートフォリオのコンポジットへの組み入れ 組み入れのタイミングは ポートフォリオの組成日 ( 投資家の資金 (External Cash Flow) が実際に投資された日 ) コンポジットの計算期間の途中で新しいポートフォリオがコンポジットに組み入れられると その計算期間中につき 新しく組み入れられたポートフォリオのパフォーマンス期間はそのコンポジットのパフォーマンス期間よりも短くなる コンポジットのパフォーマンス計算期間 新しいポートフォリオとコンポジットの計算期間が一致 N 期 N+1 期 N+2 期 新しいポートフォリオの組み入れ 新しいポートフォリオのパフォーマンス計算期間がコンポジットのパフォーマンス計算期間より短くなる (Stub period) 6

ポートフォリオのコンポジットへの組入 (2/2) ポートフォリオのコンポジットからの除外 ポートフォリオに組み込まれている不動産の売却が始まり 当該ポートフォリオがコンポジットの投資戦略を反映しなくなった場合 当該ポートフォリオはコンポジットから除外されるべき ポートフォリオが コンポジットの計算期間の途中でコンポジットから除外された場合 当該期中のポートフォリオのパフォーマンスはコンポジットの計算に含めない 除外されたポートフォリオがコンポジットのパフォーマンス計算に組み入れられる最終計算期間 除外されたポートフォリオがコンポジットのパフォーマンス計算に組み入れられない期間 (Stub period) ポートフォリオの除外 N 期 N+1 期 N+2 期 7

フィーと費用 (1/4) フィー控除前 (Gross-of-fees return) 及びフィー控除後リターン (Net-of-fees return) は 全ての物件レベルの費用控除後でなければならない フィー控除前およびフィー控除後リターンは 優先株の配当を含むデットサービス控除後でなければならない フィー控除前およびフィー控除後リターンの違いには 会社が投資運用 / 顧問サービスの提供に対して課す投資運用報酬のみを反映すべきである ここでいうフィーとはインベストメント マネジメント フィーのこと 会社が投資運用 / 顧問サービスの提供に対して課す投資運用報酬 インベストメント マネジメント フィー ベース フィー パフォーマンス フィー その他のフィー 8

フィーと費用 (2/4) インベストメント マネジメント フィー ベース フィー コミットされたキャピタルに基づき計算 投資されたキャピタルに基づき計算 AUM(Asset Under Management) に基き計算 パフォーマンス フィー クライアントと合意した一定のパフォーマンスを成果が上回った場合の成功報酬 ( 例 ) IRR がターゲットレートをクリア 売却価格が目標価格をクリア等 その他のフィー ( 場合により ) 取得 売却 開発および資金調達に関するフィー ( 仲介手数料とは相違 ) 9

フィーと費用 (3/4) インベストメント マネジメント フィー以外の費用 ( 物件固有のコスト以外 ) プロパティ マネジメント フィー 取引費用 プロパティマネジメント会社に対して物件管理運営に関して支払う手数料 物件レベルの費用科目として処理 物件の取引に伴い発生する取得 売却 資金調達 および開発に関するコスト 物件レベルの費用科目として処理 Investment level administrative costs 投資ビィークルの維持に伴い経常的に発生するコスト ( 会計士費用 弁護士費用 カストディ報酬等 ) フィー控除前及びフィー控除後リターンから控除する義務はない ( 処理の方法につき明示要 ) 10

フィーと費用 (4/4) インベストメント マネジメント フィー以外の費用 ( 物件固有のコスト以外 ) Organizational costs Offering costs 投資ビィークルの組成に伴い一時的に発生するコスト ( 弁護士報酬等 ) ファンドレイズに伴い一時的に発生するコスト ( プレースメント フィー 弁護士報酬 マーケティング費用等 ) 以下から処理の手法を選択 費用として扱い初年度に全額処理 キャピタライズさせ 5 年間で償却 クライアントに別途請求 11

GIPS 非準拠の SI-IRR パフォーマンス期間 会社はまずは GIPS 基準の必須事項を満たした 最低限 5 年間のパフォーマンス ( もしくは 会社が設立もしくはコンポジットが開始されてから 5 年に満たない場合には 会社の設立もしくはコンポジットの開始日以来の期間のパフォーマンス ) を開示しなければならない それに続く各年に関しては 会社はその後の年度のパフォーマンスを開示しなければならない 会社は 2006 年 1 月 1 日以降に終了する期間につき GIPS 非準拠の SI-IRR を提示してはならない 但し 会社は 2006 年 1 月 1 日より以前に終了する期間については GIPS 非準拠の SI-IRR を開示してもよいが この場合でも 2006 年 1 月 1 日以降に終了する期間に関しては GIPS 準拠パフォーマンスのみが開示されなければならない 2006 年 1 月 1 日より以前に終了する期間について GIPS 基準に準拠しない SI-IRR を開示する場合 会社はその非準拠の期間を開示しなければならない 12

投資リーターン算出の留意点 (1/2) 投資リターンを 3 ヶ月毎に計算する必要がある 投資リターン インカム リターン キャピタル リターン キャピタル リターンを算出するためには不動産価値の変動を計測する必要がある 同時に 不動産価値には客観性が必要がある 3 ヶ月毎に第三者による不動産の鑑定評価を取得する必要があるか No 13

投資リターン算出の留意点 (2 /2) 第三者による不動産鑑定評価の取得は年 1 回でよい 3ヶ月毎の不動産の評価は会社で実施可能 どの様に評価するのか開示が必要 評価手法に客観性が必要 第三者による不動産鑑定評価の取得コストを削減するために会社が算定した不動産価値を不動産鑑定士にレビューを依頼することで代用が可能か Yes 独立性を満たす必要があるレンジで示すことは不可 14

GIPS 不動産基準と ARES 私募不動産ファンドガイドライン (1/7) 主な類似点 投資家に開示する投資情報の標準化が目的 私募投資を対象にしており上場している REIT は対象外 デット性の出資証券は対象外 15

GIPS 不動産基準と ARES 私募不動産ファンドガイドライン (2/7) 主な相違点 開示対象者 開示内容 投資一任性の要件 GIPS 不動産ガイドライン 投資を検討する投資家 特定の投資戦略の投資実績 あり ARES 私募不動産ガイドライン 投資を検討する投資家及び既存の投資家 勧誘する投資商品の内容及び既存の投資家への投資実績報告 なし Firm Wide での適用 あり なし 16

GIPS 不動産基準と ARES 私募不動産ファンドガイドライン (3/7) 主な相違点 ( 続き ) コンポジットの概念 トラックレコード期間 GIPS 不動産ガイドライン あり 5 年以上 ARES 私募不動産ガイドライン なし個別のファンド毎の情報開示 当期と比較されるべき同程度の営業日数の営業期間を 4 期程度以上 第三者鑑定評価の要件 あり なし 17

GIPS 不動産基準と ARES 私募不動産ファンドガイドライン (4/7) ARES 私募不動産ファンドガイドラインの概要 発行開示 (Placement)~ 商品概要書 第 1 章発行概要 1. ファンドの名称 2. 発行体の名称 3. 発行形態 4. ファンドの運用目的 5. AM 会社 FM 会社の名称等 6. 運用期間 7. 当初出資の発行概要 8. 資金使途 出所 : ARES 私募不動産ファンドガイドライン より抜粋 第 2 章ファンドの概要情報 1. 運用方針の概要 2. ストラクチャー概要 3. 運用調達計画の概要 4. 分配方針 5. 目標利回り 6. 主要な投資リスク等 7. 手数料等及び税金第 3 章組入不動産の概要第 4 章ファンドの詳細情報第 5 章出資契約 関連契約等の概要第 6 章投資上の留意事項 18

GIPS 不動産基準と ARES 私募不動産ファンドガイドライン (5/7) ARES 私募不動産ファンドガイドラインの概要 継続開示 (Reporting) 1. 運用状況等の推移 (1) 運用実績の推移 A. 営業成績の概況 ポートフォリオの不動産収支情報 B. 財産等の概況 借入金 出資等の表示 C. 収益率等の概況 インカム利回り キャピタル利回り 総合利回り D. 分配等の概況 利益分配金 出資の戻し等 E. 投資不動産の概況 物件数 稼働率等 (2) 運用概況当期の資産の運用経過 今後の運用方針等 出所 : ARES 私募不動産ファンドガイドライン より抜粋 19

GIPS 不動産基準と ARES 私募不動産ファンドガイドライン (6/7) ARES 私募不動産ファンドガイドラインの概要 継続開示 (Reporting)( 続き ) 2. 出資 分配等の状況 (1) 出資の異動 残高等の推移 (2) 出資のNAVの推移 ( 推奨 ) 投資不動産の評価損益を考慮した出資の額 ( 出資のNAV) の記載 (3) 収益率等の実績 推移インカム利回り キャピタル利回り 総合利回り等の収益率 ( 会計ベース ) について当期実績及び推移を記載 上記 (2) 出資のNAVの推移 ( 鑑定ベース等 ) を記載している場合 NAVを構成する評価損益の増減額をキャピタル損益に加減算した収益率等を追加表示することが推奨される 出所 : ARES 私募不動産ファンドガイドライン より抜粋 20

GIPS 不動産基準と ARES 私募不動産ファンドガイドライン (7/7) ARES 私募不動産ファンドガイドラインの概要 継続開示 (Reporting)( 続き ) 3. ファンドの収支概況 (1) 損益計算書 貸借対照表の概況 推移 (2) キャッシュフロー等の概況 推移 ( 推奨 ) (3) 借入金 社債等の状況 4. 投資不動産の状況 5. 管理 修繕 資本的支出等の概況 6. 投資不動産の売買の状況 7. AM 報酬及び利害関係人等との主な取引状況 出所 : ARES 私募不動産ファンドガイドライン より抜粋 21

GIPS 不動産基準の普及 ~ INREV のアンケート結果 (1/2) 出所 : An Analysis of the GIPS Standards in European Real Estate Performance Reporting, INREV Research & Market Information, June 2013 22

GIPS 不動産基準の普及 ~ INREV のアンケート結果 (2/2) 出所 : An Analysis of the GIPS Standards in European Real Estate Performance Reporting, INREV Research & Market Information, June 2013 23

講演内容及び資料に関する問い合わせ先 加藤淳哉 03-5218-6737 junya.kato@jp.kpmg.com 株式会社 KPMG FAS 東京都千代田区丸の内 1 8 1 24