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レタス 1. 育苗管理 1) 育苗 (1) 品種及び育苗資材準備 1 品種は レイヤード ( タキイ ) を使用する 草勢が旺盛な 1~3 月どりの品種である 2 種子は 本圃 10a 当たり 8,000 粒のコーティング種子を準備する 3セル成型トレイ (144 穴 ) は 本圃 10a 当たり 56 枚準備する 4 育苗培土は 有機 JAS 適合の排水性 保水性が良好な培土 ( 例 : 有機園芸培土 ) 等を使用し 10a 当たり 240 L 程度準備する (2) 育苗床 1 育苗床は 雨よけハウス内での育苗が望ましい 2 育苗面積は 本圃 10a 当たり 20 m2程度必要 3 伏せ床は かん水時に土の跳ね上がりによる病害発生を予防するため 床面にビニールを敷く (3) 播種 1 播種時期は 11 月上旬とする 2 培土は セル成型トレイに上面すり切りまで詰める 3 鎮圧板などで 5 mm 程度の深さの播種穴をあける 4コーティング種子を1 穴に1 粒ずつ播種し 種子が見える程度に薄く覆土する レタスは発芽に光条件が必要 ( 明発芽種子 ) なので 厚く覆土しない 播種直後のトレイの状況 寒冷紗被覆後潅水した状況 39

(4) 育苗管理 ( 成果情報 1 参照 ) 1 播種後 セル成型トレイの下に直管等を敷いて 床面から 3 cm 程度浮かせた床やベンチに並べる 床に直接置くと 排水不良や根鉢形成不良などになるので注意する 2 播種時期は 夏場のように高温にはならないので発芽不良は少ないが 一斉発芽をさせて 苗の生育を揃えるために寒冷紗を被覆する ( 発芽適温 :15~20 ) 3 播種後 寒冷紗の被覆が終わったら 底穴から水滴が出るまで十分にかん水する 特に最初のかん水時点では 培土が乾燥しているので 2 回に分けてかん水するとよい 4 寒冷紗は 5 割程度発芽 ( 播種 4~5 日後程度 ) したら除去し 日焼け防止のため軽くかん水する 5かん水は午前中までに 1 日 1 回十分に行う 夕方のかん水は徒長し病害を助長するので行わない 6 温度管理は 日中 20 以上にならないよう心がける 最低気温は 15 を目安に温度管理を行う 7 追肥は 苗の充実を図るため播種 20 日後と 30 日後に 100% 魚由来液肥を窒素成分で 1 トレイ当たり各 250mg( シープロテイン N:6% の 120 倍を 500 ml) かん注する 地床での直管パイプ上での育苗状況 ベンチでの育苗状況 (5) 育苗日数と苗姿 1 育苗日数は 40 日程度を目安にする 2 目標とする苗姿は 草丈 6~7 cm 葉数 4~5 枚で根鉢がしっかり巻いた苗とする 播種 40 日後の苗の状況 草丈 6~7cm 葉数 4~5 枚の苗 40

2. 本圃管理 1) 定植準備 (1) 排水対策 1 弾丸暗渠は 30~40 cm の深さで行い 排水対策を徹底する 2レタスは湿害に弱いため排水対策が十分でないと 外葉形成期や球肥大盛期に根群の機能が低下し 小玉傾向や病害抵抗性を弱め 品質低下や腐敗が多くなる (2) 堆肥 元肥の施用 表水稲後作圃場の施肥例 ( 成果情報 1 参照 ) 資材名 10a 当たり施用量 備考 完熟牛糞堆肥 2000 kg 全面全層 セルカ 100 kg 有機石灰肥料 全面全層 ( 量は ph に応じて加減 ) 発酵鶏糞 200 kg N 1.9% P 2 O 5 4.6% K 2 O 4.1% 全面全層 グリーンアニマル725 240 kg 肉骨粉 なたね油かす等配合 全面全層 N 7.0% P 2 O 5 2.0% K 2 O 5.0% 注 )10a 当たり施肥量は N 19.6 kg P 2 O 5 14.0 kg K 2 O 20.2 kg( 発酵鶏糞 N 肥効率 70%) (3) うね立て マルチング 1うね幅は 150 cm で適切な土壌水分時 (20~30% 程度 手で土を握りしめて土塊が少し崩れる程 度 ) に施肥 耕起し うね立てを行う 2マルチは 冬期の地温確保及び雑草対策のため黒マルチを使用する 株間 30 cm 条間 30 cm 3 条千鳥 穴径 4 cm の穴あきタイプを使用する 3マルチの被覆時期は 定植約 1 週間前には実施する 2) 定植 1 定植は マルチの穴に移植ゴテなどでプラグ苗が入る程度の穴を掘り 乾燥防止のため培土が見えなくなるまで苗の地際に土をかぶせてしっかりと鎮圧する 2 定植時の鎮圧が不足すると 冬期の乾燥で生育不良となるので注意する 3 定植後 1 週間程度乾燥が続く場合は 露地用かん水チューブでかん水し 活着を促進させる 定植当日にトンネルを被覆した状況定植当日の苗の状況 41

3) トンネル温度管理 (1) トンネル被覆は 定植後すぐに行い 慣行栽培と同様な温度管理をする (2) トンネル : 支柱 : 直径 11 mm 長さ 2.4 m 10a 当たり約 600 本被覆資材 : 農ポリ ( クリンテート UFO 等 ) 幅 200 cm 厚さ 0.05 mm または 紫外線除去フィルム ( 菌核病の発病抑制やアブラムシの飛来抑制に効果がある ) (3) さらに 厳寒期の不織布 ( パオパオ 90 等 ) のべたがけは 凍霜害を軽減し 生育適温 (15~ 20 ) を確保できるため生育を促進する 1 定植直後 ~10 日間程度農ポリ目標温度 :18~20 両すそ換気を行い 活着を促進する 両すその換気幅は 20 cm 程度 2 外葉形成期 ~ 結球開始初期 不織布のべたがけ状況 不織布 目標温度 :20~25 外葉形成期は両すそを閉めて葉の展開を促す 高温時は北西風の当たらない東側を 30 cm 程度片換気する 外葉形成初期(12 月下旬 ) に厳寒期の保温のため 不織布 ( パオパオ 90 等 ) をレタスの上からべたがけする 3 結球開始期 農ポリ 不織布 目標温度 :15~20 東側 30~40 cm 程度の片すそ換気を基本に高温の場合は両すその換気 (20 cm 程度 ) を行う べたがけの不織布は2 月中旬に除去する 4 結球完了期 目標温度 :10~15 両すその換気 30 cm 程度を基本に換気を行う 換気が不十分でトンネル内が高温になると 不結球になりやすいので注意する 42

結球開始期の状況 結球完了期の状況 4) 病害虫対策技術 (1) 腐敗病の防除として銅剤を 1 回目は 活着後 ( 定植約 2 週間後 ) に株元を中心に散布し 2 回目は 結球開始初期に散布する 防除の際は 展着剤として パラフィン剤 ( アビオンE 500 倍 ) を加用する (2) アブラムシ類の発生が見られた場合は 発生初期に脂肪酸グリセリド剤 ( サンクリスタル乳剤 300 倍 ) 等を散布する アブラムシの発生は 苗で持ち込む場合もあるため 苗の段階で発生が認められた場合は直ちに防除を行い 本圃に持ち込まないように注意する さらに 有翅虫の飛来予防として トンネル被覆資材を紫外線除去フィルムにすると飛来が抑制される (3) 生育時に病害などで黄化した株などは早めに除去する 5) 収穫 出荷調整 (1) 収穫時期 1 収穫期の判定 (8 分結球で収穫 ) ア収穫期が近づいてくると 外葉が外側に湾曲するようになり 玉が露出してくる 外葉の湾曲した部分と玉の高さがほぼ平行になった頃が収穫適期 (8 分結球 ) であるので 適期となった株から選別収穫する イ具体的な判定方法は ア ) 玉を上から押すとやや固くなっている イ ) 玉の表面の色が若干淡くなりかけている ウ ) 玉を縦に切ると断面にやや隙間がある 等である 2 春先でトンネル内が高温になってくる季節であり レタスの品質低下が早いため収穫期間は 2 週間程度を目安に行う 収穫の遅れは 病害球 ( 腐敗病 ) や裂球などの品質低下を招くので 適期収穫に努める (2) 出荷 1 鉄製の包丁は切り口が酸化して変色しやすいので ステンレス製の包丁を使って収穫する 2 外葉は 3 枚程度残した状態で収穫する 3 切り口は食塩水 ( 水 1 L に食塩 100 g) を浸した布で拭くと 切り口が褐変しにくい 4 防曇ラップに包んで出荷する 43

3. 有機栽培と慣行栽培との栽培技術比較 管理区分有機栽培慣行栽培 品種慣行栽培と同様 育苗培土 有機 JAS 適合の培土 ( 有機園芸培土等 ) 慣行培土 ( 与作等 ) 苗床での肥料 ( 追肥 ) 有機質肥料 化学肥料 ( シープロテイン等 ) 育苗での防除 なしまたは 防除 ( 病害虫発生時散布 ) 化学合成農薬による定期的な防除 育苗温度管理 慣行栽培と同様 本圃での肥料有機質肥料化学肥料 うね立て マルチング慣行栽培と同様 定植慣行栽培と同様 本圃防除 銅剤等による防除害虫発生時散布 化学合成農薬による定期的な防除 本圃温度管理慣行栽培と同様 収穫慣行栽培と同様 44

3 月どりレタスの有機栽培暦 月旬主な管理管理のポイント施肥 栽植様式例 苗床準備 雨よけハウスでのトレイ育苗で 本圃 10a 当たり 20m 2 程度必要 10 品種は レイヤード 等を用い コーティング種子 8000 粒準備 セル成型トレイ (144 穴 ) は本圃 10a 当たり 56 枚準備 11 上中 育苗培土は 有機 JAS 適合で排水が良いものを240 L 準備する 播種 育苗 播種時期は11 月 1~5 日 育苗期間は約 40 日程度 種子が見える程度に薄く覆土する レタスは発芽に光が必要 播種後寒冷紗を被覆し 十分に灌水し発芽を揃える 寒冷紗は約 5 割発芽したら除去し灌水する 苗追肥その後は毎日午前中にかん水する 温度管理は 15~20 に努める 育苗 < 育苗培土 > 有機園芸培土 など < 追肥例 > シープロテイン (N6%) トレイ当たり窒素 250mgを播種 20,30 日後の2 回灌水 1 回当たりの施用量 ( トレイ56 枚当たり ) シープロテイン233gを水 28Lに溶かし (120 倍 ) トレイ当たり 500mL 灌水 下 追肥は 播種 20 後と 30 日後に魚由来液肥を施肥する 苗追肥 苗の目標草姿は 草丈 6~7cm 本葉 4~5 枚 上 本圃管理 本圃管理 施肥 畦立て ( 作畦 黒マルチ被覆 ) 排水対策を徹底する( 弾丸暗渠など ) 本圃管理 < 土づくり資材例 > 牛糞堆肥 2 t/10a 有機石灰 ( セルカ粉 ) 100kg/10a 12 中 酸性土は早めに石灰を施用しpHを矯正しておく( 適 ph:6.0~6.5) 定植 定植 トンネル被覆 品種に応じ適期に定植を行う < 元肥例 > 発酵鶏糞 200 kg/10a グリーンアニマル 725 240 kg/10a レイヤード 12 月 10~15 日 下 病害虫防除 乾燥する場合は 定植後にかん水し 活着を促す トンネル温度管理 上 保温 凍霜害防止 生育促進のため 定植後トンネル被覆を行う 1 中下 12 月下旬 ~2 月中旬は生育適温 (15~20 ) を保つため 不織布をべたがけする トンネル被覆の管理( トンネル内最高温度の目安 ) 被覆直後 : 両裾換気 (18~20 ) 外葉生育時 : 高温時のみ換気 (20~25 ) 病害虫防除結球開始期 : 片裾換気 (15~20 ) 結球完了期 : 両裾換気 (10~15 ) 不織布べたがけ< 本圃栽植様式 > 畦幅 150 cm 株間 30 cm 条間 30 cm 3 条千鳥植え 黒マルチ 上 病害虫防除 2 中 腐敗病対策として定植 7~10 日後 ( 活着後 ) と結球開始前 (1 月下旬頃 ) に ドイツボルドー A 500 倍 ( 展着剤アビオン E500 倍 ) の散布を行う アブラムシ類の発生が見られた場合は 発生初期にサンクリスタル乳剤 下 300 倍を散布する 上 収穫 収穫 3 中 収穫期間は 2 週間程度であるので適期収穫を心がける 品質を維持するためトンネル内が高温(15 ) にならないように 温度管理する 下 45

成果情報 1 水稲 + レタス作付け体系における 3 月どりレタスの有機栽培 [ 目的 ] 3 月どりレタスの有機栽培は 苗の生育が良好な有機 JAS 適合培土が明らかでないことや有機質肥料での栽培実績が乏しいこと等から県内ではほとんど作付けされていない そこで 3 月どりレタスの有機栽培方法を開発する [ 成果の内容 ] 1. 有機 JAS に適合した有機園芸培土 (K 社製 ) は 慣行培土よりも苗重が重く 根鉢形成が良好であり優れている ( 表 1) 2. 育苗時の追肥は 播種 20 日後および 30 日後の 2 回 有機液肥 (N6% 魚エキス液肥 :N500mg/ トレイ ) を追肥することで 草丈が高く 葉長が大きく 生育が促進される ( 表 2) 3. 本圃での施肥量を慣行と同等の N20kg/10a とした有機質肥料区の収量は 慣行肥料区と同等であり 県の目標収量である 3t/10a を達成できる ( 表 3) [ 具体的なデータ ] 表 1 育苗培土の違いによる苗質比較草丈葉数 葉長 最大葉葉幅 2010.12.14 調査苗重 ( 生体重 ) 根鉢形成 (cm) ( 枚 ) (cm) (cm) (g/ 株 ) 有機園芸培土区 5.4 a 4.5 a 4.9 a 3.1 a 32.1 a 2.4 a 良 有機の土区 2.3 b 3.2 b 2.1 b 1.1 b 25.5 a 0.6 b 不良 慣行培土区 3.5 ab 4.4 a 3.4 ab 2.2 ab 30.1 a 1.7 ab やや不良 ~ 良 注 1) ミノルタ社製 SPAD502により測定 2)Tukey 法の多重検定により異なる文字間では5% 水準で有意差あり [ 成果の活用面 留意点 ] 1. 品種は レイヤード ( タキイ ) を使用し セル成形トレイ (144 穴 ) を利用し 雨よけハウス内で育苗した 栽培は黒マルチ トンネル栽培とした 2. 有機質肥料は肉骨粉 菜種油粕 フェザーミール 肉粕を原料とする窒素成分量 7% の資材 鶏糞は発酵鶏糞で粉状の N 約 2% を用いた また 完熟牛糞堆肥 (N 約 2%)2t/10a 有機石灰 100kg/10a を施用した圃場で得られた成果である 3. レタス後作の水稲は無肥料とし トビイロウンカ対策で 6 月 25 日以降の遅い時期に移植する 葉色 1) 表 2 追肥の回数が苗質に及ぼす影響 2010.12.14 調査 草丈 葉数 最大葉 苗重 葉長 葉幅 葉色 1) (cm) ( 枚 ) (cm) (cm) (g/ 株 ) 1 追肥 1 回区 5.8 4.6 5.8 3.0 33.7 2.7 2 追肥 2 回区 6.4 4.8 6.3 3.4 32.8 2.5 3 追肥なし区 5.4 4.5 4.9 3.1 32.1 2.4 注 1) ミノルタ社製 SPAD502により測定 2) 育苗培土は有機園芸培土を使用 3) 追肥は1 回区は播種 20 日後 2 回区は播種 20および30 日後に魚エキス液肥 (N6%) を1トレイ 当たり500cc/ 回かん注 表 3 有機質肥料の違いが収量に及ぼす影響 試験年 試験区 商品収量 (kg/10a) 対比 2009 年 有機質肥料 (243kg)+ 鶏糞区 (200kg) 3,331 107 慣行肥料 + 鶏糞区 (200kg) 3,107 100 有機質肥料区 (280kg/10a) 4,416 a 118 鶏糞区 (1,508kg/10a) 2,918 bc 78 2010 年 有機質肥料 (243kg)+ 鶏糞区 (200kg) 4,100 ab 109 慣行肥料 + 鶏糞区 (200kg) 3,755 ab 100 無肥料区 2,490 c 66 注 1) 鶏糞のN 肥効率は70% で計算し N 施用量は20kg/10a 2) 有機質肥料は肉骨粉 菜種油粕 フェザーミール 肉粕が原料で 窒素成分量は7% 3)Tukey 法の多重検定により異なる文字間では5% 水準で有意差あり 4) 県の目標収量は3t/10a 46

成果情報 2 有機二毛作体系におけるレタスの経営評価 [ 目的 ] 有機二毛作栽培技術の体系化のため 有機農業実践農家の圃場において水稲後作露地野菜 ( レタス ) の経営的評価を行う [ 内容 ] 1. 実証圃の収益性は 県慣行栽培と比較して単収 ( 出荷量 ) は 125% 販売単価は 100% で 粗収益は 112% となった ( 表 1) 2. 労働経費が高めだったものの雇用を極力抑えたため生産費全体は低く 農業所得は 2.8 倍程度と試算された 3. 単収は昨年より増えたもののトンネルによる高温障害などで出荷率は 9 割程度だった 4. 労働時間は手作業中心のため慣行の 1.9 倍だった [ 具体的なデータ ] 表 1 有機水稲跡野菜 ( レタス ) の実証圃における 10a 当たり経営試算 ( 平成 25 年度 ) 県慣行栽培は 生産費は JA さがの H21~22 年度調査を参考に試算 成果の活用面 留意点 1) 佐賀市平坦部の水稲 + 麦経営の農家を対象としたものである 2) 栽培管理は 有機農業栽培マニュアル ( 平成 24 年佐賀県発行 ) 及び 有機農業実践の手引き ( 平成 25 年農研機構中央農業総合研究センター発行 ) に基づき行った 3) 品種はレイヤードを用いた 4) 収支は聞取りを元に試算し 県慣行と比較した 5) 県慣行栽培の生産費は レタスでは JA さがの H21~22 年度調査を用いた 47