第 739 号平成 23 年 8 月 1 日新潟県は個を伸ばす教育を推進しています (1) 8 月号 第 739 号平成 23 年 8 月 1 日発行編集人 発行人新潟県教育委員会 < 今月号の記事 > 1: 教職員のメンタルヘルスについて P1~5 教職員のメンタルヘルスについて 福利課 近年 教職員を取り巻く環境が大きく変化 1 する中 心の健康問題を抱える教職員数は 全国的に増加傾向にあります 新潟県においても 1 年前と比較すると約 1.4 倍となっています 本号では 県内の公立学校教職員の休職者 2 等の状況をお知らせするとともに 円滑な職場復帰のための制度の活用について紹介しますので 所属における心の健康づくりの参考としてください 1 心の健康問題 : 本号では 厚生労働省統計調査資料による 疾病分類表 (ICD-1 国際疾病分類準拠 ) の 精神及び行動の障害 による不調をいう 以下 同じ 2 休職者等 : 本号では 休職者及び長期病気休暇者 (1か月を超える者) をいう 以下 同じ 1 休職者等の状況新潟県公立学校教職員の平成 22 年度の休職者等は466 人 ( 対前年度比 1 人増 ) となっており そのうち心の健康問題による者は211 人 ( 対前年度比 1 人増 ) でした 休職者等の全体に占める割合は 平成 19 年度をピークに減少傾向にありますが 平成 22 年度は45.3% となり 依然として高い割合となっています ( 図 1) また 文部科学省のまとめでは教職員全体に占める心の健康問題による休職者 ( 長期病気休暇者は含まない ) の割合は 全国的に増加しています 新潟県においても増加傾向に ありますが 全国と比較すると 平成 2 年度を除き全国平均を下回っており 近年ではほぼ横ばいとなっています ( 図 2) 図 1 1 ( 人 ) 75 5 25 県内の公立学校教職員の休職者等の状況 図 2 全国と新潟県の心の健康問題による休職者の割合 (%) % 442.27.29.22 休職等 ( 人 ) うち 精神及び行動の障害 ( 人 ) 休職者等に占める 精神及び行動の障害 の割合 (%) 35.4% 33.4% 32.4% 413 143 138 458 新潟県 全国.35.26.26 5.6% 49.4% 45.5% 45.2% 45.3% 41.1% 42.2% 416 162 171.39.32 465 196.45 51.44 453 228 229 5 247 465 466 21 211 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H2 H21 H22.66.6.55.51.59.51.51.52 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H2 H21 6% (%) 教育委員会月報 12 月号 ( 平成 22 年文部科学省発行 ) による 本務教員を対象としている 5% 4% 3% 2% 1% %
(2) 深めよう絆県民運動第 739 号平成 23 年 8 月 1 日 2 校種別の状況心の健康問題による休職者等の校種別状況をみると 平成 21 年度に全ての校種で減少しましたが 平成 22 年度には中学校では減少したものの その他の校種では増加に転じています ( 図 3) 図 3 ( 人 ) 3 25 2 15 1 5 心の健康問題による年度別校種別の状況 228 229 27 29 42 45 55 247 62 78 14 93 85 82 89 3 復帰等の状況平成 22 年度において 心の健康問題による休職者等のうち 同年度内に職場に復帰した教職員は129 人でした 内訳は長期病気休暇からの復帰 74 人 休職からの復職 55 人であり 全体では61.1% の職員が職場に復帰しています ( 表 1) 表 1 平成 22 年度心の健康問題による復帰の状況 58 44 種別休職者等の人数職場復帰者の人数 長期病気休暇者 14 人 74 人 (71.2%) 休職者 17 人 55 人 (51.4%) 計 211 人 129 人 (61.1%) ( ) 内は 休職者等に占める職場復帰者の割合 一方 平成 22 年度の休職者等 211 人のうち 全体の3 分の1 以上の72 人 (34.1%) は 平成 17 年度から平成 21 年度の5か年間に 同様 3 の疾患で休職等を取得した経験があります 3 休職等 : 本号では 休職及び長期病気休暇 (1か月を超える) をいう 以下 同じ 35 49 特別支援高等学校中学校小学校 21 211 28 35 42 43 H18 H19 H2 H21 H22 メンタルヘルス対策上 休職等を繰り返すことなく 円滑な職場復帰をすることは大きな課題となっています ここでは 職場復帰のための各学校での対応ポイントを紹介します 1 現状の把握と見直し所属長は 職場復帰しようとする教職員 ( 以下 当事者 という ) や職場の状況をよく理解し 何が起きていたのかを把握する必要があります 勤務の状況 職場の人間関係 仕事上や家庭での悩みなど メンタル不調になったきっかけや背景について当事者や同僚から話を聞き 現状を把握し その結果によっては 職場環境の改善を図る必要があります 2 復帰の意思の確認と受入準備 (1) 当事者の復帰に対する意思の確認大切なことは 当事者の復帰への意思 です 所属長は 当事者に復帰する意思があるかどうか確認します 当事者の中には 仕事に戻りたいという焦りや周囲に迷惑をかけたくない思いなどから無理に復帰しようとする場合や 仕事や職場への不安とストレスから復帰にためらいをもつ場合などがあります 当事者は 職場復帰が可能な状態かを見極めてもらえるように 主治医とよく話し合うことが必要です 復帰の意思が確認でき 主治医から復帰可能の診断書が出ると 次の段階として具体的に職場復帰の準備が必要となります (2) 職場の受入準備職場は 当事者を迎えられる状態にあるのか確認します 上記 1で把握した職場環境 特に人間関係に配慮します 所属長は 復帰の前に当事者と面談し 職場復帰の意思の確認 主治医の診断 職場環境や人間関係などをよく話し合います 必要なときは 産業保健スタッフ ( 精神科
第 739 号平成 23 年 8 月 1 日新潟県は個を伸ばす教育を推進しています (3) 医 臨床心理士 保健師など ) 等の助言も受けます 3 復帰に当たっての不安解消 (1) 本音を聞く ( 信頼関係の構築 ) 所属長は 当事者の本音を引き出し 信頼関係の構築に努めます 所属長は 当事者にとって信頼できる相手となるように 共感的な態度で話を聞き 話しやすい雰囲気となるよう心がけながら 例えば以下のような内容について傾聴します 不調になる前にどのように仕事をしていたか そのときどんな気持ちだったか 仕事の量や質はどうだったか 責任感をどれくらい感じていたか 上司や同僚 児童生徒等との関係はどうだったか 家族関係はどうか など (2) 職場復帰上の問題を話し合う所属長は 当事者が抱いている職場復帰上の不安を聞き 解消に向け話し合います 職場復帰に当たり 例えば以下のような内容を前もって確認しておくことで 職場復帰後の勤務状況のイメージを明確にします どのくらい仕事ができるか 自分の思っていることを表現できるか どんな仕事を任せられるのか 復帰後の仕事内容にプライドが傷つかないか 周りの雰囲気や評価をどう思うか その評価に耐えられるか など 過 今後の方針などを事前に説明し 職場の不安をおさめる必要があります 職場の同僚たちの理解を得て 当事者を温かく迎え入れることができる職場の雰囲気づくりに努めることが大切です (4) 復帰の条件 就労上の制限の確認所属長は 当事者やその主治医とよく話し合いを行い 復帰に当たっての勤務への配慮や医学的に注意が必要なことなどの確認をしておきます 例えば 職場復帰できる状態の目安 業務内容で注意が必要なこと 薬の服用や症状などを確認します (5) 復帰支援担当者の明確化所属長は 当事者の復帰後に同じ学年や部署となる同僚の中から 当事者のサポートをする人を決めておき 相談しやすい環境に配慮します 新潟県教育委員会では 心の健康問題により長期療養中の教職員に対し 試し出勤の実施及び職場復帰支援プランの作成を制度化し 平成 23 年 2 月に運用を開始しました これは 職場復帰前の不安や緊張感を軽減し 職場復帰意欲を高めることにより円滑な職場復帰を図ることを目的としています ここでは 県立学校及び教育庁 ( 本庁 教育事務所 ) 県の教育機関の教職員を対象とした新潟県教育委員会の制度について紹介します 1 対象教職員心の健康問題により 1 休職の発令を受けている者 2 3か月以上にわたり病気休暇を取得し又は取得を予定している者 3 その他 所属長が支援を必要と認めた者 (3) 職場の同僚に対する気遣い 所属長は 所属の同僚らとの話し合いの機会をもち 当事者の復職に至る事情や経 としています
(4) 深めよう絆県民運動 第 739 号 平成 23 年 8 月 1 日 2 試し出勤の実施 < 第 3 段階 > (1) 試し出勤とは試し出勤は 本人の希望 ( 申出 ) に基づいて行います 心の健康問題により長期療養中の対象教職員が 職場復帰のためのリハビリテーションとして 所属長の支援を 児童 生徒とのふれあいに慣れる 毎日 3~6 時間 < 第 4 段階 > 職場復帰に向けて具体的な準備を行う 毎日 4 時間 ~ 正規の勤務時間 受けて あらかじめ計画された用務を行うことをいいます これは 長期間勤務から離れていることによる職場復帰に対する不安を軽減することを目的としています (2) 実施の要件次のすべてに該当する必要があります 試し出勤は勤務ではないので 児童生徒に対する授業や指導は実施しません また 児童生徒と交流する際は 所属長の指導下で行います 3 職場復帰支援プランの作成 1 規則的な日常生活を送ることができる程度に病状が安定していること 所属長は 対象教職員が職場に復帰するときは 円滑な職場復帰と業務の継続を支援す 2 職場復帰に意欲をもち 試し出勤の実施を希望していること るため 職場復帰支援プラン を作成します この作成と実施に当たっては 対象教職員 3 主治医が試し出勤が可能であると診断していること の同意を得るとともに 主治医からの助言を得るようにします この職場復帰支援プランは 職場に復帰す (3) 実施期間原則として4 週間以内です る対象教職員全員について作成する必要があります (4) 実施場所 在籍所属で行います (5) 実施用務試し出勤中に行う用務は 状態に応じて所属長が定めます 職場復帰に対する不安を軽減するため 対象教職員とよく相談して決定します (6) 試し出勤中の事故等への対応試し出勤に係る通勤途上及び用務の従事中の災害を補償するため 民間の傷害保険に加入します ( 公費負担 ) 試し出勤の実施及び職場復帰支援プランの作成については 制度化して間もないため 周知するとともに適切な運用に努めてまいります また 心の健康問題で休職等を取得した教職員が円滑な職場復帰ができるよう 今後も学校や関係課等との連携を図りながら 支援してまいります 参考資料 (7) 試し出勤の実施用務例 地方公務員安全衛生推進協会 H22 職場の衛生管理研修会 試し出勤は おおよそ次の4つの段階を踏 んで進んでいきます < 第 1 段階 > 職場の雰囲気に慣れる 週 2 日 2 時間程度 < 第 2 段階 > 職場 仕事の内容に慣れる 週 3 日 3~4 時間 PDF ファイルでご覧の方は 下線部 (HP アドレス ) をクリックすると 直接該当 HP へジャンプしますのでご活用ください 発行所新潟県教育庁総務課所在地 95-857 新潟市中央区新光町 4 番地 1 電話 25-28-5587 FAX 25-285-3766 E-mail ngt51@pref.niigata.lg.jp HP 版 URL http://www.pref.niigata.lg.jp/kyoikusomu/ ** 本紙に関するご意見がありましたら お寄せください ** < 無断転載を禁ず>
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