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凍結防止剤散布オペレータの注視点挙動について - 情報提供方法による注視点の変化 - 徳永ロベルト *1 佐藤賢治 *1 高橋尚人 *1 1. はじめに道路管理の効率化が昨今の重要な課題とされる中 道路管理者による冬期の凍結防止剤散布については 路面の 凍結が発生しやすい区間を対象とし 路面状況に応じて散布を実施 1) している その際 現地での凍結防止剤散布は熟練オペレータ ( 以下 オペ ) が行っているが 近年の少子高齢化による新たな人材の確保と育成が困難な状況 2) にある そのため 今後このような人材難が更に進めば 作業経験のないオペが作業を行うことが想定され 作業の確実性と安全性の低下が懸念される 寒地土木研究所では オペの熟練度に左右されず 安全で確実な凍結防止剤散布作業を可能とする支援技術の確立を目指している そのため オペの熟練度および路面状態の情報提供の有無 種別 ( 情報なし 音声のみ 画像のみ 音声 + 画像 ) が路面状態の認知距離等にもたらす影響を被験者実験で調べた 3) その結果 情報提供は熟練度に関係なくオペの認知距離 主観的メンタルワークロード等の改善に寄与することが分かった 本報では 同実験で計測したオペの注視点データを用いて 凍結防止剤散布作業におけるオペの熟練度および情報の有無 種別による注視点の特性および今後の展望について述べる 2. 調査方法 2.1 実施日程 場所被験者実験は 平成 28 年 2 月 1~3 日 (3 日間 ) の夜間 (18:00 ~23:00) において 寒地土木研究所が所有する苫小牧寒地試験道路で行った 実験期間中 周辺の天候は終日冬日で概ね晴れだった 当該試験道路は 延長 2,700m の長円形周回路で アスファルト舗装された直線部 2 区間 ( 片側 2 車線区間 1,200m 片側 1 車線 1,200m) および半径 50mの曲線部 2 区間によって構成されている 各車線の幅員は 3.5m であり 直線部は2% の横断勾配を有する なお 当該試験道路の周回路には街路灯等の人工照明はない 2.2 注視点計測に用いた装置凍結防止剤散布作業時における被験者の注視点計測には 写真 1に示すアイトラッキング装置 4) を用いた 当該装置は 高画質ビデオ画像 (1,920 1,080 ピクセル ) および被験者の注視点を 30Hz で計測記録する 写真 1 アイトラッキング装置写真 2 実験に用いた試験車両 2.3 実験車両本実験には 試験車両に 2トントラックを用いた ( 写真 2) なお 当該車両は実験補助員が運転した 助手席に搭乗した被験者の行動を計測するため 凍結防止剤散布制御装置を模した液晶タッチパネル ( 以下 操作パネル ) を車内ダッシュボード前 ( 助手席右前方 ) に設置し 電源ボタン 散布量設定ボタンおよび散布 ON OFF ボタンを画面上に表示して被験者がこれらを画面タッチで簡単に操作できるようにした ( 写真 3および図 1) なお 散布操作パネルに表示された各ボタンの操作は GNSS を搭載する記録装置に10Hz で記録収集した 2.4 車載情報端末被験者に前方の路面状態等の情報を提供するため 車載情報端末 (7インチタブレット ) を助手席左前方に設置し 実験コース内に敷設した湿潤 凍結路面区間の起点の約 200m *1 国立研究開発法人土木研究所寒地土木研究所寒地道路研究グループ寒地交通チーム

散布作業歴なし ) および熟練オペ7 名 ( 平均年齢 57.8 歳 平均散布作業歴 7.1 年 ) の計 12 名から注視点データを取得することができた なお 全ての被験者は男性で自動車運転免許保有者 ( 視力 0.7 以上 ) であった 写真 3 試験車両の助手席付近に設置した各機器 2.6 実験コースと走行方法本実験は 前述の苫小牧寒地試験道路周回路 2,700m 全区間を実験コースとして使用し 試験車両は実験コースの KP0.3 付近を起終点に反時計周りで周回路を約 40km/h で走行した ( 図 3) 図 1 操作パネル上の表示ボタン図 2 車載情報端末による路面状態の情報提供例手前から情報提供を開始するアプリケーションをインストールした ( 図 2) 当該アプリケーションには 予め設定した実験コースのレイアウトに従って路面状態の測位等を組み込み コース内において前方の凍結 湿潤路面の存在を各情報提供方法の何れかで被験者に伝えた 2.5 被験者被験者として参加した建設作業員 19 名の内 裸眼又はコンタクトレンズを装着した未熟オペ5 名 ( 平均年齢 39.0 歳 全員 図 3 実験コース概略と凍結 湿潤路面のレイアウト例実験コースの路面状態は 乾燥路面を主とした 実験コース内には 100m の湿潤路面および凍結路面を各 2 区間 ( 計 4 区間 ) 敷設し 被験者はこれらの区間において散布作業を行った なお 湿潤路面 凍結路面の配置は 毎日無作為に変更した 情報端末による路面状態の情報提供は 上記 4 区間中 3 区間で行われ 各々の区間において異なる情報提供方法を採用した 残りの 1 区間は 情報無しとした また 同 4 区間における情報無しおよび 3つの情報提供方法の配置についても毎日無作為に変更した 被験者には 実験コース内走行時に前方の路面状態を常に観察し 前方の凍結または湿潤路面を認知次第 速やかに散布操作パネルの電源ボタンを押し 散布量を設定するよう指示した この時の凍結防止剤散布量設定は 湿潤路面で 20g/m 2 および凍結路面で 30g/m 2 とした なお 路面状態の判断が的中か否かの判定は 路面状態に応じて正しい散布量でセットされていれば的中とした 次いで 湿潤 凍結路面区間の起点 終点で散布 ON OFF ボタンを操作するものとした なお 上記課題遂行において車載情報端末から前方の路面状態等に関する情報提供があった場合は これを参考にして良いこととした 2.7 実験手順被験者は 被験者待合室にて実験担当者から配布された質問用紙に氏名 運転歴 年間走行距離 散布オペ経験の有無 ( 有の場合は年数 ) 等を記入した後 本実験の目的 実験内容 実験手順 個人情報保護に関する事項および安全確保に

関するに留意点について文章および口頭で説明を受け 実験協力承諾書用紙に同意の署名をした また 本実験では熟練度による差を明確にするために 熟練オペは試験実施前に予め用意した周回路のビデオ画像を数回観て走行経路等を覚えた 次に 被験者にアイトラッキング装置の装着と散布装置の操作方法等を確認した後 実験コースの起点から終点に向けて前節の課題を遂行しながら周回路を一周した 走行終了後 被験者は被験者待合室に戻り 本実験で課せられた課題に対して自身が感じた感想等を質問用紙に記入した 3. 注視点データの抽出と実験結果実験コース走行中 ( 散布作業中 ) におけるオペの注視点を調べるため 湿潤または凍結路面区間の Kp1 の約 200m 手前からKp2 付近における散布終了までの区間を分析対象とし 注視点データを抽出した ( 図 4) また 上記分析対象区間の起点から散布制御装置の電源ボタン操作までを 認知区間 ( 以下 区間 1) 電源ボタン操作および散布量設定操作から散布開始ボタン操作までを 判断区間 ( 以下 区間 2) および散布開始ボタン操作から散布終了ボタン操作までを 操作区間 ( 以下 区間 3) として 3つの区間に分けた 更に 助手席から見た前景を 道路 背景 散布制御装置 および 情報端末 の 3つの注視エリアに分け 熟練度別および情報有無 種別によるオペの区間 1 区間 2および区間 3 において各エリアを注視した割合を求め 散布作業における熟練度および情報有無 種別によるオペの認知 判断 操作時それぞれの注視点の特性を調べた 図 5 は 情報提供時 ( 音声 + 画像 ) における被験者の注視 点データを前景に重ねて表示した一例である この例から 被験者が道路 & 背景に注意を払う他 情報端末および散布制 御装置を注視していることが分かる 3.1 認知区間 ( 区間 1) 表 1 および図 6 は 区間 1 における熟練度別および情報有 無 種別による注視エリアの注視率を示す 区間 1 における情報無しの結果では 両者ともに 3 エリアの 中で道路 背景の注視率が最も高く 未熟オペが 89.5%(σ =2.6%) および熟練オペが 81.7%(σ=23.4%) を示した 他 方 散布制御装置の注視率は 未熟オペが 7.3%(σ=2.1%) および熟練オペが 17.8%(σ=23.0%) 情報端末の注視率は 未熟オペが 3.2%(σ=1.1%) および熟練オペが 0.5%(σ =0.6%) を示した 音声のみの結果では 前述と同じく両者ともに 3 エリアの 中で道路 背景の注視率が最も高く 未熟オペが 76.6%(σ =22.7%) および熟練オペが 71.4%(σ=11.3%) を示したが 情報無しより減少した 反面 散布制御装置の注視率は未熟 オペが 16.9%(σ=17.2%) および熟練オペが 22.0%(σ =13.4%) 情報端末の注視率は未熟オペが 6.5%(σ=6.1%) および熟練オペが 6.6%(σ=5.6%) となり 両エリアの注視 率が増えたことを示した 表 1 熟練度別および情報有無 種別注視率 ( 区間 1) 被験者 未熟オペ (5 人 ) 熟練オペ (7 人 ) 認知区間 ( 区間 1) における注視率 情報有無 道路 背景 散布制御装置 情報端末 種別 情報無し 89.5 2.6 7.3 2.1 3.2 1.1 音声のみ 76.6 22.7 16.9 17.2 6.5 6.1 画像のみ 59.0 24.0 12.2 7.5 28.9 18.3 音声 + 画像 58.0 28.6 24.3 17.9 17.7 12.5 情報無し 81.7 23.4 17.8 23.0 0.5 0.6 音声のみ 71.4 11.3 22.0 13.4 6.6 5.6 画像のみ 49.7 24.7 24.3 19.6 26.0 9.6 音声 + 画像 52.4 24.2 31.5 23.2 16.0 2.2 図 4 注視点データの分析対象区間 ( 概略図 ) 図 5 前景エリア分けおよび注視点データのプロット例 図 6 熟練度別および情報有無 種別注視率 ( 区間 1)

他方 道路 背景の注視率は 未熟オペが 21.2%(σ=15.2%) および熟練オペが 34.6%(σ=27.0%) 情報端末の注視率は 未熟オペが 0.0%(σ=0.0%) および熟練オペが 1.0%(σ =1.7%) を示した 表 2 熟練度別および情報有無 種別注視率 ( 区間 2) 被験者 未熟オペ (5 人 ) 熟練オペ (7 人 ) 図 7 熟練度別および情報有無 種別注視率 ( 区間 2) 音声のみの結果では 前述同様両者ともに 3 エリアの中で 道路 背景の注視率が最も高く 未熟オペが 57.2%(σ =17.2%) および熟練オペが 53.8%(σ=24.0%) を示したが 情報無しより減少した 他方 道路 背景の注視率は未熟オ ペが 40.9%(σ=18.3%) および熟練オペが 44.8%(σ=23.5%) と両者ともに情報無しより増加した また 情報端末の注視 率も未熟オペが 2.0%(σ=2.2%) および熟練オペが 1.3%(σ =2.0%) となり ここでも両者の注視率が増加した 画像のみの結果では 前述と同じく両者ともに散布制御装 置の注視率が他のエリアより高いことを示し 未熟オペが 64.2%(σ=26.4%) および熟練オペが 52.3%(σ=19.0%) で あった 他方 道路 背景の注視率は 未熟オペが 32.5% (σ=22.8%) および熟練オペが 33.3%(σ=11.5%) となり 音声のみより減少した 情報端末の注視率は 未熟オペが 3.3%(σ=4.2%) および熟練オペが 14.3%(σ=14.9%) とな り 特に熟練オペの情報端末に対する注視率増加が顕著であ った 画像のみの結果では 両者ともに 3エリアの中で道路 背景の注視率が他のエリアより高いことを示したが 未熟オペが59.0%(σ=24.0%) および熟練オペが 49.7%(σ=24.7%) と音声のみより更に減少した 他方 散布制御装置の注視率は 未熟オペが12.2%(σ=7.5%) および熟練オペが24.3% (σ=19.6%) 情報端末の注視率は未熟オペが28.9%(σ =18.3%) および熟練オペが 26.0%(σ=9.6%) となり 両者の情報端末に対する注視率が増える傾向を示した 音声 + 画像の結果では 両者ともに 3エリアの中で道路 背景の注視率が他のエリアより高いことを示し 未熟オペが 58.0%(σ=28.6%) および熟練オペが 52.4%(σ=24.2%) と画像のみと似た注視率であった 他方 散布制御装置の注視率は 未熟オペが24.3%(σ=17.9%) および熟練オペが 31.5%(σ=23.2%) 情報端末の注視率は未熟オペが 17.7% (σ=12.5%) および熟練オペが 16.0%(σ=2.2%) となり 画像のみと異なって両者の散布制御装置の注視率が増えた 熟練度 ( 被験者間 ) および情報有無 種別 ( 被験者内 ) による区間 1の注視率の有意差を調べるため 両側検定による分散分析 ( 以下 分散分析 ) を注視エリア毎に行った 道路 背景では 熟練度に有意差は認められなかったが 情報有無 種別では有意差 (F(3, 30)= 10.441, p < 0.01) が示された また Tukey の正確有意差 (HSD) 検定による情報有無 種別の多重比較 ( 以下 多重比較 ) でも 情報無し 画像間および情報無し 音声 + 画像間で有意差 (α=0.01) が認められた 次いで 散布制御装置では熟練度および情報有無 種別では有意差が認められず 多重比較においても情報有無 種別に有意差は認められなかった 最後に 情報端末では 熟練度に有意差は認められなかったが 情報有無 種別では有意差 (F(3, 30)= 25.460, p < 0.01) が示された また 多重比較でも情報無し対音声のみおよび画像のみ対音声 + 画像の組合せを除いて有意差 (α=0.01) が認められた 以上の結果から 区間 1では情報提供が未熟 熟練オペ両者の散布制御装置および情報端末の注視率を増加させ また 画像を含む情報提供方法は道路 背景の注視率を著しく減少させる半面情報端末の注視率を増加させることが分かった よって 画像を含む情報提供は路面状態の早期認知 主観的 MW 低減等に大きく寄与する一方 道路や車両周囲等を見る割合が減るため 将来的に運転手がオペレータを兼ねる作業形態の可能性を踏まえると 散布区間認知の際に安全性に課題があると考えられる 3.2 判断区間 ( 区間 2) 表 2および図 7は 区間 2における熟練度別および情報有無 種別による注視エリアの注視率を示す 区間 2における情報無しの結果では 両者ともに散布制御装置の注視率が 3エリアの中で最も高く 未熟オペが78.8% (σ=15.2%) および熟練オペが 64.5%(σ=27.5%) を示した 判断区間 ( 区間 2) における注視率 情報有無 道路 背景 散布制御装置 情報端末 種別 情報無し 21.2 15.2 78.8 15.2 0.0 0.0 音声のみ 40.9 18.3 57.2 17.2 2.0 2.2 画像のみ 32.5 22.8 64.2 26.4 3.3 4.2 音声 + 画像 40.9 27.7 51.6 33.3 7.6 7.7 情報無し 34.6 27.0 64.5 27.5 1.0 1.7 音声のみ 44.8 23.5 53.8 24.0 1.3 2.0 画像のみ 33.3 11.5 52.3 19.0 14.3 14.9 音声 + 画像 45.1 21.4 45.2 26.1 9.8 11.4 音声 + 画像の結果では 両者の散布制御装置の注視率が他

のエリアより高かったが 未熟オペが 51.6%(σ=33.3%) お よび熟練オペが 45.2%(σ=26.1%) と情報有無 種別の中で 最も低い注視率であった 他方 道路 背景の注視率は 未 熟オペが 40.9%(σ=27.7%) および熟練オペが 45.1%(σ =21.4%) と増加し 音声のみ又は音声 + 画像に注視率が 40% を超えた また 情報端末の注視率は 未熟オペが 7.6%(σ =7.7%) および熟練オペが 9.8%(σ=11.4%) であった 区間 2 の注視率の有意差を調べるため 前項と同様に分散 分析を注視エリア毎に行った 道路 背景では 熟練度およ 種別の多重比較でも有意差は示されなかった 次いで 散布 制御装置では熟練度および情報有無 種別では有意差が認め られず 同じく多重比較においても情報有無 種別に有意差 は認められなかった 最後に 情報端末では熟練度に有意差 は認められなかったが 情報有無 種別では有意差 (F(3, 30)=4.221, p < 0.05) が認められた 他方 多重比較では情報 有無 種別間に有意差は認められなかった 以上の結果から 区間 2 は区間 1 と異なって未熟 熟練オペ ともに情報 有無種別に関係なく散布制御装置を注視する割 合が 3 エリアの中で最も高いことが分かった また 画像を 含む情報提供時に未熟 熟練オペともに情報端末の注視率が 増加した 他方 音声を含む情報提供は道路 背景の注視率 を増加させたが 何れも 5 割に至らなかった よって 区間 2 においても散布判断の際に道路や車両周囲の確認などの安全 性に課題があると考えられる 3.3 操作区間 ( 区間 3) 表 3 および図 8 は 区間 3 における熟練度別および情報有 無 種別による注視エリアの注視率を示す 区間 3 における情報無しの結果では 区間 1 と同様に両者と もに 3 エリアの中で道路 背景の注視率が最も高く 未熟オ ペが 67.5%(σ=7.6%) および熟練オペが 65.5%(σ=19.3%) を示したが 区間 1 ほど高くなかった 他方 散布制御装置 の注視率は 未熟オペが 30.3%(σ=7.3%) および熟練オペ が 34.0%(σ=19.5%) 情報端末の注視率は 未熟オペが 2.2%(σ=1.7%) および熟練オペが 0.5%(σ=0.5%) を示し 散布制御装置の注視率が区間 1 の時よりも高かった 表 3 熟練度別および情報有無 種別注視率 ( 区間 3) 被験者 未熟オペ (5 人 ) 熟練オペ (7 人 ) び情報有無 種別において有意差は認められず 情報有無 操作区間 ( 区間 3) における注視率 情報有無 道路 背景 散布制御装置 情報端末 種別 情報無し 67.5 7.6 30.3 7.3 2.2 1.7 音声のみ 78.8 3.8 19.7 4.3 1.5 2.2 画像のみ 74.5 4.7 18.4 3.1 7.1 5.9 音声 + 画像 69.9 7.7 17.4 3.7 12.6 7.1 情報無し 65.5 19.3 34.0 19.5 0.5 0.5 音声のみ 66.5 12.8 31.4 12.6 2.0 2.4 画像のみ 57.9 15.5 29.3 16.1 12.8 6.6 音声 + 画像 71.6 7.1 21.0 8.3 7.5 6.8 図 8 熟練度別および情報有無 種別注視率 ( 区間 3) 音声のみの結果では 前述と同じく両者ともに 3エリアの中で道路 背景の注視率が最も高く 未熟オペが 78.8%(σ =3.8%) および熟練オペが 66.5%(σ=12.8%) を示し 当該エリアにおける未熟オペの注視率が情報無しよりも増加した 他方 散布制御装置の注視率は 未熟オペが19.7%(σ =4.3%) および熟練オペが 31.4%(σ=12.6%) 情報端末の注視率は未熟オペが 1.5%(σ=2.2%) および熟練オペが 2.0% (σ=2.4%) であった 画像のみの結果では 両者ともに 3エリアの中で道路 背景の注視率が他のエリアより高いことを示したが 未熟オペが74.5%(σ=4.7%) および熟練オペが 57.9%(σ=15.5%) と音声のみより更に減少した 他方 散布制御装置の注視率は 未熟オペが18.4%(σ=3.1%) および熟練オペが29.3%(σ =16.1%) 情報端末の注視率は未熟オペが 7.1%(σ=5.9%) および熟練オペが 12.8%(σ=6.6%) となり 両者の情報端末に対する注視率が増える傾向を示した 音声 + 画像の結果は 同じく両者ともに 3エリアの中で道路 背景の注視率が他のエリアより高く 未熟オペが 69.9% (σ=7.7%) および熟練オペが 71.6%(σ=7.1%) であった なお 散布制御装置の注視率は 未熟オペが24.3%(σ =17.9%) および熟練オペが31.5%(σ=23.2%) 情報端末の注視率は未熟オペが17.7%(σ=12.5%) および熟練オペが 16.0%(σ=2.2%) となり 両者の散布制御装置および情報端末の注視率が情報無しの時と同様に 3 割前後を占めた 区間 3の注視率の有意差を調べるため 前項と同様に分散分析を注視エリア毎に行った 道路 背景では 熟練度および情報有無 種別間で有意差は認められず 同じく多重比較においても情報有無 種別に有意差は認められなかった 次いで 散布制御装置では熟練度に有意差は認められなかったが 情報有無 種別では有意差 (F(3, 30)= 2.982, p < 0.05) が示された 但し 情報有無 種別の多重比較では 情報有無 種別間に有意差は認められなかった 最後に 情報端末では熟練度に有意差は認められなかったが 情報有無 種別

では有意差 (F(3, 30)=13.041, p < 0.01) が示された また 多重比較においても 情報無し対音声のみおよび画像のみ対音声 + 画像の組合せを除いて有意差 (α=0.05) が認められた 以上の結果から 区間 3では未熟 熟練オペともに情報有無 種別に関係なく道路 背景を注視する割合が 3エリアの中で最も高く 次いで散布制御装置の注視率が高いことが分かった また 情報提供によって未熟 熟練オペともに散布制御装置の注視率が減少したが 特に画像を含む情報提供は情報端末の注視率を増加させ 道路 背景の注視率増加には殆ど寄与しないことが分かった よって 区間 3においても散布操作の際に道路や車両周囲の確認などの安全性に課題があると考えられる 4. まとめと今後の課題本研究では 試験道路で被験者実験を行い 情報の有無 種別によるオペの注視点の変化について調べた 以下に 当該実験から得た主な知見について述べる 区間 1 区間 3では 全般的に未熟 熟練オペともに道路 背景を注視する割合が 3つのエリアの中で最も高かった 他方 区間 2では 未熟 熟練オペともに散布制御装置の注視率が最も高くなり 道路 背景の注視率は5 割に至らなかった 情報有無 種別では 情報提供によって未熟 熟練オペともに道路 背景の注視率が減少し 散布制御装置や情報端末の注視率が顕著に増加する場合があった 特にこの現象は 区間 1において画像のみおよび音声 + 画像による情報提供時に著しかった 区間 2では 情報提供によって未熟 熟練オペともに道路 背景の注視率が概ね増加したが 散布制御装置の注視率を超えることはなかった 区間 3では 情報提供によって未熟 熟練オペともに散布制御装置の注視率が減少したが 特に画像を含む情報提供では情報端末の注視率を増加させ 道路 背景の注視率増加には殆ど寄与しなかった 以上のことから 凍結防止剤散布作業時における情報提供は オペの認知距離 主観的メンタルワークロード等の改善に寄与する 3) が 情報提供方法によっては道路 背景を注視する割合が著しく減少することが分かった すなわち 情報提供方法によっては散布作業時における車両周囲確認等が疎かになり 安全面に影響を及ぼすことが考えられる そのため 今後はこれまでの研究結果を踏まえながら安全で確実な凍結防止剤散布作業が可能な情報提供方法について引き続き検討するとともに 散布判断 操作インターフェース ( 音声操作機能, 自動散布機能等 ) の設計 構築についても取り組んで参りたい 参考文献 : 1) 国土交通省北海道開発局 : 平成 28 年度 今冬の除雪体制等について http://www.hkd.mlit.go.jp/zigyoka/z_doro/jyosetsu/pdf/jyosetsutaisei. pdf 平成 28 年 11 月 2) 国土交通省 : 冬期道路交通の確保のあり方に関する検討委員会提言 持続的な冬期道路交通確保をめざして ~ 連携と協働 ~ pp. 25-26 http://www.mlit.go.jp/common/000997537.pdf 平成 25 年 5 月 3) 徳永他 : 凍結防止剤散布オペレータの現地状況判断支援技術に関する研究 第 32 回寒地技術シンポジウム 平成 28 年 11 月 4) Tobii Pro: 目は口ほどに物を言う https://www.tobiipro.com/ja/ 平成 29 年 10 月