品川区地域防災計画 概要版(平成29年修正)

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職員の運営能力の強化 避難所担当職員研修の実施 全庁対象の避難所担当職員研修(5 回開催で約 400 名参加 ) 区毎の避難所担当職員研修 男女共同参画の視点に立った避難所づくり 共助による災害時要援護者支援の取り組みについて説明 各区災害対策本部との連絡 避難所内の課題解決の調整など 地域団体等へ

資料1 受援計画策定ガイドラインの構成イメージ

4 被災生活の環境整備主な修正概要 避難所毎に運営マニュアルを作成し 避難所の良好な生活環境を確保するための運営基準等を明確にしておく 避難所運営マニュアルの作成 訓練等を通じて 住民の避難所の運営管理に必要な知識の普及に努める 県 DMAT( 災害時派遣医療チーム ) の活動終了以降の医療提供体制

島原市地域防災計画

☆配布資料_熊本地震検証

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3 歯科医療 ( 救護 ) 対策 管内の歯科医療機関の所在地等のリスト整理 緊急連絡網整備 管内の災害拠点病院 救護病院等の緊急時連絡先の確認 歯科関連医薬品の整備 ( 含そう剤等 ) 自治会 住民への情報伝達方法の確認 病院及び歯科診療所での災害準備の周知広報 - 2 -

大阪市防災 減災条例 目次第 1 章総則 ( 第 1 条 - 第 3 条 ) 第 2 章本市の責務 ( 第 4 条 - 第 7 条 ) 第 3 章市民の責務 ( 第 8 条 ) 第 4 章事業者の責務 ( 第 9 条 ) 第 5 章災害予防 応急対策 ( 第 10 条 - 第 25 条 ) 第 6

みやこ町地域防災計画

第3回検討会_質の向上WG検討状況報告

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第 1 章実施計画の適用について 1. 実施計画の位置づけ (1) この 南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画 に基づく宮崎県実施計画 ( 以下 実施計画 という ) は 南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法 ( 平成 14 年法律第 92 号 以下 特措法 と

H19年度

新規文書1

はじめに 道では 北海道行政基本条例 に基づき 道政の基本的な方向を総合的に示す計画として 新 北海道総合計画 を策定し 政策展開の基本方向の一つとして 安心で心豊かな北海道ライフスタイル を掲げ 安全 安心な生活の確保 に向け 防災 減災の体制づくり を進めています 保健福祉部では 特に 子ども

アンケート調査の概要 目的東南海 南海地震発生時の業務継続について 四国内の各市町村における取り組み状況や課題等を把握し 今後の地域防災力の強化に資することを目的としてアンケート調査を実施 実施時期平成 21 年 11 月 回答数 徳島県 24 市町村 香川県 17 市町 愛媛県 20 市町 高知県

(溶け込み)大阪事務所BCP【実施要領】

PowerPoint プレゼンテーション

平成18年度標準調査票

資料 3-1 男女共同参画の視点からの 防災対応について 東日本大震災への男女共同参画の視点を踏まえた被災者支援 平成 23 年 7 月 20 日 内閣府男女共同参画局

目次 はじめに P3 1 災害 緊急の範囲 P3 2 時間と場所を考慮した対応の必要性 P3 3 時間ごとの対応 P4 4 場所ごとの対応 P5 5 デジタルサイネージの提供コンテンツ P6 6 緊急時を意識したデジタルサイネージシステム P6 7 情報の切替 復帰の条件 P7 8 緊急運用体制 P

介護保険制度改正の全体図 2 総合事業のあり方の検討における基本的な考え方本市における総合事業のあり方を検討するに当たりましては 現在 予防給付として介護保険サービスを受けている対象者の状況や 本市におけるボランティア NPO 等の社会資源の状況などを踏まえるとともに 以下の事項に留意しながら検討を

東京事務所版 BCP 実施要領目次応急頁 < 第 1グループ> 直ちに実施する業務 1 事務所における死傷者の救護や搬送 応急救護を行う一時的な救護スペースの設置 運営 備蓄の設置 医療機関への搬送 1 2 事務所に緊急避難してきた県民や旅行者等への対応 避難 一次避難スペースの運営 指定避難所への

目 次 ページ はじめに 1 地区防災計画制度について 1 防災計画の全体像 地区防災計画制度の全体イメージ 2 地区防災計画とは 2 3 本冊子 手引き の活用方法 2 手引きの構成 手引きの活用イメージ 地区防災計画 作成の手引き 1 制度の背景 3 (1) 作成の目的 (2) 自助 共助の重要

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Microsoft Word - 目次

大津市避難所運営マニュアル

奈良県ライフライン 情報共有発信マニュアル 第 3.3 版 平成 24 年 7 月 奈良県ライフライン防災対策連絡会

国の法令改正等の反映近年行われた国の法令改正や防災基本計画の修正内容を反映しました 市町村が 指定緊急避難場所及び指定避難所の指定を進めることを追加 市町村が 被災者の被害状況 配慮事項等を一元的に集約した被災者台帳を作成し 総合的かつ効果的な支援の実施に努めることを追加 首都直下地震対策特別措置法

( 県の責務 ) 第三条県は 地震防災に関する総合的な施策を策定し 及びこれを実施する責務を有する 2 県は 市町村 自主防災組織その他防災関係機関等と連携して 地震防災対策を推進しなければならない 3 県は 地震に関する調査及び研究を行い その成果を県民 事業者及び市町村に公表するとともに 地震防

2 被害量と対策効果 < 死者 負傷者 > 過去の地震を考慮した最大クラス あらゆる可能性を考慮した最大クラス 対策前 対策後 対策前 対策後 死者数約 1,400 人約 100 人約 6,700 人約 1,500 人 重傷者数約 600 人約 400 人約 3,000 人約 1,400 人 軽傷者


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新規文書1

国土技術政策総合研究所 研究資料

【堀内分担研究添付資料2】医療機関(災害拠点病院以外)における災害対応のためのBCP作成指針

事業継続計画(BCP)作成用調査ワークシート

H25 港南区区民意識調査

防災業務計画 株式会社ローソン

2011 年 12 月 15 日発行 東日本大震災リスク レポート ( 第 5 号 ) 次の大地震 大津波への対応 : 防災計画の見直しと企業に求められる対応 発行 : 三菱商事インシュアランス株式会社リスクコンサルティング室 はじめに 1 本年 3 月 11 日 ( 金 ) の東日本大震災の発生か

1 首都直下地震対策の具体的な推進 ( 提案要求先内閣官房 内閣府 国土交通省 ) ( 都所管局総務局 政策企画局 ) (1) 首都直下地震等の災害から住民の生命と財産を守るとともに 首都機能への打撃を最小限にとどめるため 財政上の措置を実 施するなど 首都直下地震対策を具体的に推進すること (2)

PowerPoint プレゼンテーション


チェック式自己評価組織マネジメント分析シート カテゴリー 1 リーダーシップと意思決定 サブカテゴリー 1 事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている 事業所が目指していること ( 理念 ビジョン 基本方針など ) を明示している 事業所が目指していること ( 理念 基本方針

第 5 部 南海トラフ地震防災対策推進計画

2ハンドブックの規格等サイズページ数規格用紙色数製本方法その他印刷 2,000 部程度部数納期送付方法及び送付先 A5 版 基礎対策編:40 ページ程度 個別対策編 1 備蓄対策編 :20 ページ程度 2 要配慮者対策編 :20 ページ程度 3 避難生活編 :20 ページ程度 4 事業所対策編 :2

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要配慮者支援班の業務 1 配慮が必要な人の情報把握 (1) 情報把握 総務班名簿係と連携し 避難所利用者 ( 避難所以外の場所に滞在する人を含む ) のうち 配慮が必要な人を グループごとに把握する 避難支援のための個別計画がある場合は 内容を確認する (2) 聞き取り 避難所利用者でつくるグループ

[平常時及び災害時におけるそれぞれの役割]災害時におけるペットの救護対策ガイドライン

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2 地震 津波対策の充実 強化 (1) 南海トラフ地震や首都直下地震の被害想定を踏まえ 地震防災上緊急に整備すべき施設整備 津波防災地域づくりに関する法律 の実効性確保 高台移転及び地籍調査の推進など事前防災や減災に資するハード ソフトの対策を地方公共団体が重点的に進めるための財政上の支援措置を講じ

本編表紙&目次.

事業者名称 ( 事業者番号 ): 地域密着型特別養護老人ホームきいと ( ) 提供サービス名 : 地域密着型介護老人福祉施設 TEL 評価年月日 :H30 年 3 月 7 日 評価結果整理表 共通項目 Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織 1 理念 基本方針

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周南市版地域ケア会議 運用マニュアル 1 地域ケア会議の定義 地域ケア会議は 地域包括支援センターまたは市町村が主催し 設置 運営する 行政職員をはじめ 地域の関係者から構成される会議体 と定義されています 地域ケア会議の構成員は 会議の目的に応じ 行政職員 センター職員 介護支援専門員 介護サービ

新たな津波浸水想定を踏まえた見直しの概要 資料 1-2 H23 の想定 対象断層県設置の有識者検討会設置の有識者検討会の検討の検討結果を踏まえた 4 断層 ( 日本海東縁部 能登半島東方沖 能登半島北方沖 石川県西方海東縁部 能登半島東方沖 能登半島北方沖 石川県西方沖 ) 想定の手法土木学会の手法

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二戸市地域防災計画 ( 震災編 ) の一部修正の新旧対照表現行改正案 目次 ( 震災編 ) 目次 ( 震災編 ) 第 1 章総則 第 1 章総則 第 1 節 計画の目的 351 第 2 節 計画の性格 352 第 2 節の2 災害時における個人情報の取り扱い 352 第 3 節 防災関係機関の責務及

~BCP から BCM へ ~ 静岡県事業継続計画モデルプラン ( 第 3 版 ) の概要 静岡県経済産業部

緊急緊急消防援助隊について消防援助隊の概要 目的 地震等の大規模 特殊災害発生時における人命救助活動等を効果的かつ迅速に実施する消防の援助体制を国として確保 創設の経緯等 阪神 淡路大震災での教訓を踏まえ 平成 7 年に創設 平成 15 年 6 月消防組織法の改正により法制化 平成 16 年 4 月

<ハード対策の実態 > また ハード対策についてみると 防災設備として必要性が高いとされている非常用電源 電話不通時の代替通信機能 燃料備蓄が整備されている 道の駅 は 宮城など3 県内 57 駅のうち それぞれ45.6%(26 駅 ) 22.8%(13 駅 ) 17.5%(10 駅 ) といずれも

H19年度

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避難所講演資料

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別添 中防災第 1 1 号 平成 29 年 5 月 31 日 各指定行政機関の長各指定公共機関の代表殿 中央防災会議会長 ( 内閣総理大臣 ) 安倍晋三 梅雨期及び台風期における防災態勢の強化について 貴殿におかれては 日頃から各般の施策を通じて災害対策の推進に御尽力をいただいているところであるが

~ 二次的な被害を防止する ~ 第 6 節 1 図 御嶽山における降灰後の土石流に関するシミュレーション計算結果 平成 26 年 9 月の御嶽山噴火後 土砂災害防止法に基づく緊急調査が国土交通省により実施され 降灰後の土石流に関するシミュレーション結果が公表された これにより関係市町村は

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資料 2-3 超大規模防火対象物等における自衛消防活動に係る訓練の充実強化方策 ( 案 ) 平成 30 年 10 月 31 日 事務局

Microsoft Word - 03.【参考】新旧対照表(中防災).docx

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序章 計画改定の背景 足立区では 昭和 57 年 3 月に 大地震による火災から区民の生命と財産を守る た め 足立区防災まちづくり基本計画 を策定し この計画に基づき各種事業を展開し てきました その後 平成 7 年 1 月 17 日に発生した阪神 淡路大震災では 密集市街地に被害が 集中し 改め

2. 防災拠点の代替施設の指定防災拠点施設が被災し使用不能となれば 災害対策本部等が設置できず 活動体制全体に遅れが生じ 迅速な災害対応を指揮することが困難となるとともに 災害対応以外の業務 ( 通常業務 ) を行うことも困難となるため 代替施設での対応が必要となります そのため 防災拠点施設におい

4 災害時における他機関 他施設との協定の締結状況災害時に他機関 他施設との協定を結んでいる施設は 97 施設で 1 か所と締結している施設が多くありました 締結先は 地元自治会 町内会 病院 近隣施設 社会福祉施設 物流会社 福祉ネットワーク 市町村等でした 図 2 災害時における他機関 他施設と

- 総目次 - - 本編 - 第 1 章総則 第 2 章 災害予防計画 第 3 章 風水害応急対策計画 第 4 章 震災応急対策計画 第 5 章 大規模事故等応急対策計画 第 6 章 災害復旧復興計画 - 資料編 -

ii 8. 河川法と漁港法との調整に関する協定 ( 抄 ) 運輸省港湾局と農林省水産庁生産部とに関連ある港湾災害復旧事業の処理について 76 第 2 漁港関係災害関連事業 Ⅰ 補助金交付要綱 1. 漁港関係災害関連事業等補助金交付要綱 77 Ⅱ 災害関連漁業集落環境施設復旧事業 1. 災

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静岡県動物愛護管理推進計画(2014)案の概要

【東日本大震災発生から7年】「災害への備えに関する調査」結果 ~あなたのご家庭の備えを点検しませんか~_損保ジャパン日本興亜

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目 次 1 はじめに P1 2 調査研究の経過 P1 3 受援体制の整備に係る調査 P1 4 視察や意見交換等を通して見えてきた課題 P4 5 提言 P4 6 終わりに P5

Taro-07_学校体育・健康教育(学

Ⅰ 地域防災計画とは 1 計画の目的 松前町地域防災計画 は 災害対策基本法に基づき 松前町の防災対策を定めたものです 今後 この計画に定めた内容を推進することによって 住民の生命 身体及び財産を災害から守ることを目的とします 2 計画の構成と内容 松前町地域防災計画 は 災害の種類を 風水害 (

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5 安全 減災措置 建物建物は地震対策はなされていますか? 耐震補強 耐震 制震 免震設備状況 ( リスト ) 耐震 安全性診断 ( 発災前 ) 耐震 安全性診断を受けていますか? 施行証明書 実施状況 ( リスト ) 応急危険度判定 ( 発災後 ) 転倒 転落の防止措置 6 本部への被害状況の報告

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本ガイドラインは 家庭動物等 * のうち主に犬及び猫などのペットを飼養する被災者を対象として 当該被災者による避難生活中のペットの適正飼養を支援する観点からた 自治体等がにおける動物救護対策を立案する際に活用されることを想定している なお 本ガイドラインで示す実施項目は 飼い主及び動物救護活動従事者

期的に最小限に止める地震として位置付けました b) 家庭内備蓄として最低 3 日 推奨 1 週間分が推奨されたことを踏まえ 具体的な品目や点検 入れ替え方法などを含めた普及策を講じることを明記しました また 市の備蓄については 被害規模の大きい東京湾北部地震の想定避難者数を考慮して確保することを明記

第8章 災害復旧計画

浸水深 自宅の状況による避難基準 河川沿いの家屋平屋建て 2 階建て以上 浸水深 3m 以上 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難 浸水深 50 cm ~3m 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難上階に垂直避難 浸水深 50 cm未満 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難 自宅に待

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愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

地震被害予測システムにより建物被災度を予測 また 携帯電話と地図を利用した 被害情報集約システム では GPS 機能と地理情報システムとの連係により 現在位置周辺にある同社施工済物件を検索し 物件や周辺の被害状況を文字 静止画 動画を添付して報告することができる これら被害情報を地理情報システムに集

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一太郎 10/9/8 文書

大規模災害時における 難病患者の行動支援マニュアル

避難所開設手順・運営のポイント

Transcription:

品川区地域防災計画 平成 29 年度修正 概要版 ~ しながわの防災力の高度化 のために ~ 品川区防災会議

はじめに 品川区の防災力の高度化を図る 東日本大震災を契機として 区では防災対策を最重点施策と位置づけ 平成 24 年度に地域防災計画の大幅な修正を行っています また 平成 24 年度の修正以降も 災害対策基本法や水防法をはじめとした関係法令の改正 都市基盤の整備状況 地域の防災対策の取組みの実情に応じて 小規模な修正を行ってきました また 平成 25 年 6 月の災害対策基本法等の一部を改正する法律が施行されたことを受け 災害時の被害を軽減させるべく災害対策における基本理念の明確化や防災に関する取組み 防災体制のさらなる充実が求められることとなりました これを受け 平成 26 年 4 月 1 日に 品川区災害対策基本条例 を施行し 一人ひとりが自らの安全を守るという自助 地域や身近にいる人同士が互いに助け合うという共助 そして 行政が自助および共助を支援し 区民の安全を確保するという公助に基づき それぞれが役割を果たし 総力を結集して しながわの防災力の高度化 を図ることとしました さらに 東日本大震災以降も 平成 28 年の熊本地震や平成 29 年の九州北部豪雨など 全国各地で激甚な災害が頻発し これらの災害においては 自治体間の広域避難体制による 公助 の重要性や 平常時から災害時にかけての 自助 共助 の役割の重要性が鮮明となりました この地域防災計画は 災害対策基本条例の基本理念である 自助 共助 公助 の考え方に基づく防災体制や災害対策について 現時点における最新の知見をもとに作成したものです 1

1. 品川区地域防災計画とは (1) 計画の目的 品川区地域防災計画とは 災害時における区及び防災関係機関の事務や業務を包含する 包括的かつ総合的な計画です その目的は 区および防災関係機関等がその有する全機能を有効に発揮して 区の地域における震災および津波 風水害 火山災害等に係る災害の予防 応急 復旧対策および復興に係る一連の対策を定め 総合的かつ計画的に実施することにより 区の地域ならびに区民の生命 身体および財産を災害から保護することにあります 災害に備える ( 予防対策 ) 命を守る生きのびる ( 応急 復旧対策 ) 生活再建へとつなぐ ( 復興対策 ) 2

(2) 計画の位置づけ 災害対策基本法に基づき 国や都の防災関連計画等との整合を図り 作成する計画です 防災関連計画 マニュアル 国 災害対策基本法 区が実施すべき対策に係わる関連法制度 防災基本計画 水防法 土砂災害防止法 活動火山対策特別措置法等 都 整合 整合 品川区災害対策基本条例 品川区 東京都地域防災計画 整合 品川区地域防災計画 第 1 編総則編 防災機関の業務大綱 区民と地域の防災力向上 防災対応指針の策定及び被害想定の見直しを踏まえ 平成 26 年に計画本文を修正 第 2 編震災編 安全なまちづくり 情報通信 備蓄 輸送対策 避難者対策 帰宅困難者対策 津波対策 区民生活の再建等 第 3 編風水害編 予防 応急 復旧対策 都政の BCP ( 事業継続計画 ) 第 4 編その他編 富士山噴火降灰対策 大規模事故対策 第 5 編災害復興編 震災復興計画 都市復興 生活復興 協働による復興まちづくり 品川区事業継続計画 地震編 品川区震災復興マニュアル 3

川区地域防災計画第 5 編災害復興編品(3) 計画の構成 計画全般に係る内容を 総則編 として取りまとめ 災害毎に 震災編 風水害編 その他編 災害復興編 を設けました 震災編 においては 各部毎に 予防対策 応急 復旧対策 を設けて整理を行いました また 新たな編として 富士山噴火降灰対策や大規模事故対策をその他編として追加しました 第 1 編総則編 第 1 部 第 2 部 第 3 部 総則 防災機関の業務大綱 区民と地域の防災力向上 第 2 編震災編 第 3 編風水害編 第 4 編その他編 第 1 部第 2 部第 3 部第 4 部第 5 部第 6 部第 7 部第 8 部第 9 部第 10 部第 11 部第 12 部第 13 部第 1 部第 2 部第 3 部第 1 部第 2 部 総則安全なまちづくり安全な交通ネットワークおよびライフライン災害対応体制情報通信備蓄 輸送対策避難者対策帰宅困難者対策受援体制医療救護等対策津波対策放射性物質対策区民生活の再建総則風水害予防対策風水害応急 復旧対策富士山噴火降灰対策大規模事故対策 4

2. 計画修正 ( 平成 29 年度 ) のポイント 方向性 1 対策を 進める 東日本大震災の検証結果や 熊本地震での新たな教訓を計画に活かす 災害対策基本法をはじめ 関連法等の改正を踏まえた防災計画の総点検を行う 方向性 2 新たな視点を 加える 国や東京都の動向との整合を図り 網羅性を確保する 社会環境の変化 これに伴う災害リスクの増大を見据え 大規模事故災害 火山災害等を新たな災害種別として加える 方向性 3 区民 防災関係機関 職員にとって より使いやすい資料構成に 見直す 施策別の対応時系列など 閲覧性 一覧性に配慮した目次構成とする 対策の進捗 震災対策風水害対策 これまでの災害の教訓 関連法等の改正 社会環境の変化 2 新たな視点を 加える 1 既存の対策を 進める 対象災害 国や都の動向 火山災害大規模事故災害 3 より使いやすい資料に構成を 見直す 5

3. 品川区地域防災計画 平成 29 年度修正 について 方向性 1. 対策を 進める 第 1. 多様化する避難に対する基本的な考え方の見直し 熊本地震にて顕在化した多様化する避難に対し 対応の基本的な考え方を示しました (1) 全ての被災者の避難生活を支援 を明記 避難所で提供する生活支援の主な内容は次のとおりとし 提供する対象はすべての被災者とする [ 震災編第 7 部 ] 項目安全 生活基盤の提供保健 医療等の支援情報支援 内容 安全な施設での受入れ 非常食 飲料水 毛布 生活必需品等の提供 一時的な生活の場の提供 傷病の治療 健康相談 心のケア等の保健医療サービスの提供 トイレ 風呂 ごみ処理 防疫対策等 衛生的な生活環境の維持 災害情報 安否確認等の提供 生活支援相談 復興支援情報等の提供 (2) 指定避難所 ( 避難所 二次避難所 福祉避難所 ) の位置づけや役割に関する区民の理解が進むよう 避難所の呼称を変更するとともに 避難生活を送る場所は 原則 区民避難所と明記 避難所の呼称を区民避難所へ変更した [ 全編 ] 避難生活 [ 震災編第 7 部 ] 1 自宅で生活が不可能と判断した場合は 指定された区民避難所へ避難する 2 区民避難所に入れなかった場合 補完避難所へ避難する 区民避難所の環境では 避難生活が難しい場合 二次避難所もしくは福祉避難所への移動を希望する (3) 区民避難所以外 ( 自宅で避難生活を送る被災者含む ) に避難する被災者の把握 避難所以外で生活する避難者は 最寄りの区民避難所へ避難先や避難環境等を連絡することとし 届出が必要なことについて 平常時から普及 啓発を行う [ 震災編第 7 部 ] 6

(4) 区民避難所での要配慮者 ( 高齢者 障害者 乳幼児 妊産婦 外国人等 ) の受け入れに配慮や女性の視点を反映 要配慮者や女性の視点に配慮した運営 [ 震災編第 7 部 ] 1 区民避難所で 要配慮者を受け入れるにあたっては それぞれの特性を踏まえた対応が求められることから 平常時より要配慮者の特性の理解啓発に努める 2 各避難所連絡会議等で区民避難所となる学校の一部を要配慮者用に指定するなど要配慮者が避難所生活者となることを想定し 発災時に対応できるような体制づくりを進める 3 要配慮者が 避難所において避難生活を送るうえで必要な食糧品 生活必需品や簡易トイレ マット 毛布 大人用おむつ等の備蓄をするとともに 物資の調達体制を確立する 4 区民避難所の運営において 管理責任者に女性を配置するなど女性の参画を推進するとともに 男女のニーズの違いや性自認の多様性等に配慮する 特に 女性専用の物干し場 更衣室 授乳室の設置や生理用品 女性用下着の女性による配布 区民避難所における安全性とプライバシーの確保など 女性や子育て家庭 要配慮者等 多様なニーズに配慮した区民避難所の運営に努める (5) 避難者が同行する愛玩動物の受け入れルールの具体化 動物飼育対策 [ 震災編第 7 部 ] 1 災害時における動物飼育は避難所連絡会議等において 避難所単位で受入れ方針を検討することとする 区は 愛玩動物 ( ペット ) の避難場所が不足する場合に 近隣避難所との調整役を担う 2 災害時には 飼い主とともに同行避難してくる愛玩動物 ( ペット ) に対して 区民避難所における避難者の間でのトラブルの防止を図るため 避難所連絡会議などで区民避難所への同行の可否や 同行の可能な所定の区民避難所について愛玩動物 ( ペット ) の避難エリアを定めるといった区民避難所における適正な飼育方法について対応策を検討していく 3 避難所連絡会議は 区民避難所へ愛玩動物 ( ペット ) と同行避難を希望する避難者の把握に努める (6) 各避難所における運営マニュアルの具体化の促進 施設単位での避難所開設 運営マニュアルをすべての区民避難所にて完備することを目指す [ 震災編第 7 部 ] (7) 避難行動要支援者を自宅から二次避難所 福祉避難所へ直接移送することも想定 指定している区民避難所における生活が明らかに困難で緊急の搬送措置を要する要配慮者等は 予め 二次避難所 福祉避難所等を指定し 直接自宅から 二次避難所 福祉避難所等の環境が整った施設へ収容することも想定し 移送 収容体制の整備を図っていく [ 震災編第 7 部 ] 7

第 2. 物資支援の考え方の周知 避難生活者等への物資支援について基本的な考え方を示しました (1) 物資は 様々な事情により期待通りに供給されない場合も想定されることを周知 様々な事情により期待通りに供給されない場合も想定されることを区民に対し周知する [ 総則編 ] (2) 備蓄を最低 3 日分 努めて 1 週間程度備蓄することの必要性について周知 個人 家庭の備蓄について 最低 3 日分 努めて 1 週間分を全ての区民が行っていくよう訓練等を通じて周知していく [ 震災編第 6 部 ] (3) 食糧および生活用品等の確保において 要配慮者や女性等 多様な視点を念頭に内容を充実 区は 避難所のほか 自宅での避難生活を選択する区民も念頭に 食糧および生活用品を確保する 品目は 特に要配慮者や女性等 多様な視点を念頭に 内容の充実 見直しを図る [ 震災編第 6 部 ] 第 3. 円滑な災害対応に向けた災害対策本部の再編 災害対策本部の組織 運営体制を平常時業務との関連性に留意し見直しました (1) 平常時業務とのかい離を減らすために 部の見直し 追加等により組織を再編 (2) 特に業務量の多い部署に対して 専門で対応に当たる部署の新設 (3) 担当部署を設け受援体制の強化 (4) 震災復興を迅速に推進するため 区震災復興本部と区災害対策本部との緊密な連携を明確化 第 4. 防災関連計画や各所管の対策を進める 災害時業務マニュアルや各所管の対策を反映しました (1) 前回修正 ( 平成 24 年度 ) 以降の区の取組みを反映 (2) 災害対策基本法令の改正 上位計画となる国 都の最新の防災関連計画等と整合 8

方向性 2. 新たな視点を 加える 第 5. 受援体制 を追加 熊本地震の検証を受けて 受援体制の構築を対策の一つとして位置付けました (1) 熊本地震の教訓等踏まえ 新たに 受援体制 に関する部を地域防災計画に追加 (2) 他自治体 関係機関からの人員 物資等の支援を受け入れる体制について示す (3) 応援職員やボランティアの受け入れに係る実施手順や物資の調達 輸送に係る受け入れ体制について示す 第 6. 新たに その他編 を追加 新たな災害種別として 火山災害 大規模事故を追加しました (1) 火山対策として 首都圏に被害を与える可能性の高い富士山の噴火降灰対策を地域防災計画へ追加 (2) 大規模事故対策として 主に火災 危険物 事故 ( 航空機 鉄道 道路等 ) 対策を示す 第 7. 女性の力を生かした対策を追加 男女共同参画の視点を踏まえた対策を追加しました (1) 男女共同参画の視点を反映した避難所運営の具体例 ( 母子世帯 子どもに配慮したエリア設定 避難者の的確なニーズ把握等 ) や女性の参画について示す 上記の箇所以外にも全編にわたり 対策を示している 9

方向性 3. 区民 防災関係機関 職員にとって より使いやすい資料構 成に 見直す 第 8. 災害対応フローの追加 関係機関における災害対応時系列 ( タイムライン ) を位置付けました (1) 各部の応急 復旧対策の冒頭に 災害対応時系列 ( 応急復旧活動フロー ) を追加 第 9. 予防 応急を一連の流れで整理 対策別に予防 応急 復旧の時系列となる構成に見直しました ( 震災編 ) (1) 震災編の各部で 予防対策 応急 復旧対策 の見出しを設け 一連の流れで対策を把握できる目次構成に変更 第 10. 計画の共通事項として総則編を追加 災害種別に応じた総則を設けるほか 特定の災害によることなく共通的な事項を示した総則編を設けました (1) 震災編 風水害編等で共通している対策 内容を新設した 総則編 に集約 (2) 被害想定等 各編の個別の前提条件等は編の冒頭に 第 1 部総則 として示す 10

参考品川区の被害想定 首都直下地震による東京の被害想定 東日本大震災の発生後 東京都は 平成 18 年 5 月に公表した 首都直下地震によ る東京の被害想定 を全面的に見直し 東京都防災会議の地震部会において検討を 進め 平成 24 年 4 月に 首都直下地震等による東京の被害想定 を公表しています 想定地震の概要 種類東京湾北部地震 多摩直下地震 ( プレート境界多摩地震 ) 元禄型関東地震 立川断層帯地震 震源東京湾北部東京都多摩地域神奈川県西部東京都多摩地域 規 模 マグニチュード ( 以下 M と表記する )7.3 M8.2 M7.4 震源の深さ約 20km~35km 約 0km~30km 約 2km~20km 首都直下地震等による東京の被害想定 ( 平成 24 年 4 月 東京都防災会議 ) より東京湾北部を震源とする直下地震 ( マグニチュード 7.3) 11

品川区の被害想定の特徴 (1) 東京湾北部地震 1 震度分布 : 品川区内で初めて震度 7( 区内面積に占める0.9% の地域 ) の地域がでるとともに 震度 6 強 ( 区内面積に占める95.9% の地域 ) 2 死者数 : 東京湾北部地震で区内の死者 779 人 (M7.3 冬の夕方 18 時風速 8m/ 秒 ) 3 避難者数 : 品川区の避難所生活者は119,932 人に拡大した ( ゆれによる全壊棟数の増加と 出火数の増加 ライフラインの支障により避難者が拡大 ) 4 帰宅困難者数 : 都内の帰宅困難者は517 万人に拡大した (2) 元禄型関東地震 津波の高さ : 品川区内の最大津波高は立会川河口付近で満潮時に T.P.( 東京湾平均海 面 )2.61m と東京港内では最大となった 1 滞留者 帰宅困難者については東京都市圏外からの流入者は含まない 2 避難所生活者については避難者の 65% とする 3 各数値については小数点以下の四捨五入により 合計値は合わないことがある わが家の防災ハンドブック ( 平成 25 年 3 月 品川区 ) より首都直下地震の被害想定 ( 品川区における主な被害想定 ) 12

品川区地域防災計画 平成 29 年度修正 概要版 ~ しながわの防災力の高度化 のために ~ 防災課キャラクタージージョくん 品川区防災会議