176 理学療法科学第 21 巻 2 号 I. はじめに立位姿勢制御に関しては, 支持基底面と運動方略の関係や外乱に対する姿勢反応, 視覚, 体性感覚, 前庭機能との関連などで多く報告されている 1) 座位は多くの動作に関わっており, 神経学的障害を持つ症例においては座位バランスと立位バランスとの関

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176 理学療法科学第 21 巻 2 号 I. はじめに立位姿勢制御に関しては, 支持基底面と運動方略の関係や外乱に対する姿勢反応, 視覚, 体性感覚, 前庭機能との関連などで多く報告されている 1) 座位は多くの動作に関わっており, 神経学的障害を持つ症例においては座位バランスと立位バランスとの関連を想定し, 座位姿勢のアライメント矯正や重心移動課題を通して座位バランスの向上を図ることによって立位, 歩行に発展させることを理学療法の目標にする場合が多い その中でも側方重心移動動作は側方リーチ動作, トイレ動作などで日常的に頻繁に用いられる動作である したがって, 側方重心移動時の頭部 体幹の姿勢反応の出現様式を分析し, 座位の安定性が障害されている症例に対して側方重心移動動作を獲得させるためにはどのような刺激 外乱が有効であるかを検討することが重要である 座位においての側方重心移動の研究は, 健常者では傾斜刺激に対する躯幹傾斜反応 2) や重心動揺の変化 3) などの報告がなされている 冨田らは端座位での側方重心移動の健常者の動作パターンとして傾けた方向と逆の上部体幹の回旋 ( 逆回旋 ), つまり右側への側方重心移動では上部体幹の左回旋が生じる ( 図 1) と報告している 4) 若年者と高齢者の姿勢制御を比較すると安静立位での自発性動揺の差はわずかであるが, 外乱動揺時の運動方略に違いがあることが指摘されている 5) すなわち筋力低下, 体性感覚, 視覚, 前庭系の機能低下など加齢による変化に適応するために若年者とは異なった運動方略を利用するためであるとされる 5) このことから高齢者における姿勢反応の運動方略を若年者と比較し, 明らかにすることは, 加齢変化を背景とする神経学的障害を有する症例へのバランス機能改善のアプローチのために重要である 座位における姿勢反応には外乱に対して頭部 体幹を鉛直に保持する様態と身体を傾斜させた状態から随意的 に姿勢をコントロールする様態の二つが考えられる これまでの研究では水平な座面での側方重心移動や座面の傾斜に対する姿勢制御の研究が主であった Perennouらは不安定板上の座位でのpusher 現象例の姿勢反応を分析しており, 身体の行動垂直の特性に注目している 6) 行動垂直とは不安定板上で動的に座面の水平と身体の鉛直を保持する様態であり, これまでの安定した座面での端座位で静的に身体を鉛直に保持する様態とは異なっている そのため, 水平な座面上や他動的に傾斜する座面上での運動では測定できない高度なバランス反応や主観的な身体軸の偏倚の測定が可能である 健常者においても身体の行動垂直に着目して姿勢反応を分析することが必要であり, 従来から行われている座面傾斜に対する姿勢反応の分析と組み合わせて評価することは有用である また, 健常者および片麻痺患者における体幹逆回旋の出現様態については冨田らが報告しているが, 加齢における変化に関しては報告されていない 神経学的障害を有する症例の中には加齢変化を背景としている症例も多いことから, 加齢における変化を明らかにすることは中枢神経疾患を有する患者の治療のためにも有用であると考える 本研究の目的は健常若年者と健常高齢者で頭部 体幹の姿勢反応の運動方略と体幹逆回旋の出現様式に着目し, 加齢による出現様式の違いを座面傾斜と不安定板上での反応で比較, 検討することである II. 対象対象は下肢, 体幹に障害のない健常若年者 10 名 ( 男性 5 名, 女性 5 名, 平均年齢 21.6±0.8 歳, 平均身長 162.9±8.7 cm, 平均体重 54.8±7.7 kg) および健常高齢者 10 名 ( 男性 3 名, 女性 7 名, 平均年齢 69.4±6.7 歳, 平均身長 151.3±6.9 cm, 平均体重 47.7±8.4 kg) とした なお, 被験者は全員右利きであった すべての被験者に研究の趣旨を説明し, 書面にて同意を得た III. 方 法 図 1 体幹の逆回旋 1. 測定課題被験者は開眼でティルトテーブルに横向きに大腿長の遠位 25% を座面端より出して腰掛け, 両上肢を胸部で組んで足底非接地の状態で二つの課題を施行した 課題 1: ティルトテーブルを一定速度で7 度傾斜させた 実験で用いたティルトテーブルの角速度は2 /secであった 被験者には傾斜に対して身体を鉛直に保持するよう指示した 課題 2: バランスボードの中央で被験者に座位をとらせ,

高齢者における座面側方傾斜時の姿勢反応分析 177 バランスボードを他動的に7 度傾斜させた状態から座面が水平になるように随意的に姿勢をコントロールさせた いずれの課題も開始肢位では両目の高さにある前方の壁面の視標を注視させた それぞれの課題は左側を下に傾斜する方向 ( 左傾斜 ) から左右右左の順序で合計 4 回施行した 2. 測定方法ジャイロセンサを被験者の胸骨柄に床面と垂直になるよう設置して, サンプリング周波数 60 Hzで8 秒間測定した後にA/D 変換し, 角速度を算出した 得られた角速度はパソコン上で積分処理し, 胸部における測定開始時からの三次元の相対的な角度変化を算出した 画像解析のための撮影は4 m 後方で110 cmの高さに設置したデジタルビデオカメラによって行った 被験者には頭部 ( 外後頭隆起 ) 両肩峰 脊柱( 第 7 頚椎 第 7 胸椎 第 4 腰椎棘突起 ) 両上後腸骨棘に合計 8つの反射マーカーを貼付し, 撮影した画像をパソコンに取り込み, 動作分析ソフト (DKH 社製 Frame-DIAS II) を用いて二次元座標を算出した 画像解析における角度定義は図 2に示した 頚部の角度は頚椎レベルでの側屈を示し, 体幹の角度は胸腰椎レベルでの側屈を示している また, 肩峰の角度は水平面に対する体幹全体での立ち直り, あるいは傾斜を示している 骨盤の角度は水平面に対する骨盤傾斜を示している 骨盤 - 脊柱の角度は骨盤に対する腰椎レベルでの脊柱の側屈を示している 画像解析は背面から見た各部位の二次元での角度を測定するために使用し, ジャイロセンサは空間に対する上部体幹全体の三次元での角度を測定するために使用した 画像解析は時計回りの角度変化を正の方向とし, ジャイロセンサは屈曲, 右側屈, 右回旋を正の方向として算出した 図 2 角度定義 ( 背部より見た図 ) 解析方法は, まずそれぞれの課題で座面を水平にした状態で安静座位での8 秒間の身体の各部位の角度変化を記録した 解析は8 秒間の角度の最大値と最小値の間で差を算出し, 時系列を考慮して安静時の角度変化として定義した これは安静座位で動き得る身体の各部位の角度変化を示している 次に課題時の角度変化を課題開始 2 秒前から8 秒間記録した 解析は課題開始前の各部位の角度の平均と課題中の角度の最大値との差を課題中の角度変化として定義した 課題時は左右の傾斜でそれぞれ2 回の角度変化の平均値を算出し, 左右の角度変化とした 3. 統計解析安静時と課題中の角度変化の比較についてはWilcoxon の符号付順位検定を用いて解析を行った また, 健常若年者と健常高齢者で課題中の角度変化の比較については Mann-WhitneyのU 検定を用いて解析を行った 統計処理には解析ソフトSPSS 12.0Jを使用し, 統計学的有意水準はそれぞれ危険率 5% 未満とした IV. 結果表 1,2は安静時および座面傾斜時の角度の比較を示している また, 課題 1では座面が水平から傾斜していく反応に対して, 課題 2は傾斜した状態から戻す反応のため, 角度変化としては逆となっている 1. 課題 1( ティルトテーブル ) 安静時からの変化を見ると, 健常若年者群では骨盤, 骨盤 - 脊柱は両傾斜方向で有意な角度変化を認めた (p<0.05) それに対して, 健常高齢者群では骨盤 - 脊柱が両傾斜方向で安静時からの有意な角度変化を認め, 骨盤の有意な角度変化を認めたのは右傾斜のみであった 上部体幹は健常若年者群では左傾斜でのみ有意な伸展および逆回旋を認めた (p<0.05) 健常高齢者群ではいずれの方向にも角度変化は少なかった 健常若年者群と健常高齢者群の角度を比較すると, 骨盤 - 脊柱の角度は右傾斜において健常若年者群で左側屈 6.9±1.7, 健常高齢者群で左側屈 3.4±3.2 で, 健常高齢者群の角度変化が有意に少なかった (p<0.05) 骨盤の角度に関しては健常高齢者群に小さい傾向があるものの, 個人差も大きく有意差は認められなかった また, 上部体幹の角度は右傾斜で側屈方向の反応が有意に異なっており, 左傾斜では屈曲 - 伸展方向の反応が有意に異なっていた (p<0.05)

178 理学療法科学第 21 巻 2 号 表 1 健常若年者における安静時と傾斜時の振幅角度の比較 課題 1( ティルトテーブル ) 課題 2( バランスボード ) 安静時 左傾斜 右傾斜 安静時 左傾斜 右傾斜 ビデオ解析 頚部 0.0 ± 1.8 1.2 ± 1.9 1.2 ± 1.1 0.3 ± 2.2 0.5 ± 3.0 1.4 ± 1.3 体幹 0.0 ± 1.3 0.3 ± 2.6 1.2 ± 2.4 0.6 ± 1.5 2.1 ± 3.7 2.2 ± 2.4 * 肩峰 0.1 ± 0.5 0.6 ± 1.6 0.0 ± 1.4 0.0 ± 0.8 1.1 ± 2.2 1.1 ± 2.0 骨盤 0.3 ± 1.0 5.2 ± 0.8 * 5.8 ± 1.2 * 0.2 ± 1.1 6.0 ± 1.1 * 5.7 ± 2.3 * 骨盤 - 脊柱 0.2 ± 1.1 6.9 ± 1.8 * 6.9 ± 1.7 * 0.2 ± 1.3 8.3 ± 2.6 * 7.9 ± 3.2 * ジャイロセンサ 屈曲 - 伸展 0.1 ± 2.0 2.0 ± 1.8 * 0.3 ± 2.0 0.4 ± 2.0 1.1 ± 2.4 0.8 ± 1.9 側屈 0.4 ± 1.1 0.3 ± 1.9 0.5 ± 2.2 0.1 ± 1.1 2.2 ± 2.4 * 2.2 ± 2.0 * 回旋 1.0 ± 1.2 2.3 ± 1.1 * 2.2 ± 1.2 0.1 ± 1.5 3.0 ± 3.7 * 2.2 ± 2.3 * * : 安静時 vs 傾斜時 (p<0.05) 単位 :degree 表 2 健常高齢者における安静時と傾斜時の振幅角度の比較 課題 1( ティルトテーブル ) 課題 2( バランスボード ) 安静時 左傾斜 右傾斜 安静時 左傾斜 右傾斜 ビデオ解析 頸部 0.7 ± 1.7 0.8 ± 1.9 1.2 ± 1.5 * 0.1 ± 1.7 1.4 ± 2.2 0.3 ± 2.7 体幹 0.1 ± 1.6 0.2 ± 4.3 0.6 ± 3.1 0.6 ± 1.1 1.6 ± 3.0 * 2.2 ± 2.0 肩峰 0.4 ± 0.7 2.3 ± 3.5 0.3 ± 4.3 0.2 ± 0.7 0.7 ± 3.0 1.4 ± 3.1 骨盤 0.3 ± 0.8 2.2 ± 4.0 3.5 ± 3.2 * 0.3 ± 0.9 4.3 ± 2.2 * 4.9 ± 3.4 * 骨盤 - 脊柱 0.0 ± 1.2 4.8 ± 2.7 * 3.4 ± 3.2 * 0.4 ± 1.3 2.3 ± 3.9 2.8 ± 4.3 * ジャイロセンサ 屈曲 - 伸展 0.2 ± 1.5 0.3 ± 2.0 1.3 ± 3.1 0.2 ± 1.2 0.7 ± 1.2 0.5 ± 2.2 側屈 0.1 ± 0.8 0.2 ± 2.6 1.8 ± 2.8 0.1 ± 0.7 0.1 ± 3.6 1.0 ± 3.8 回旋 0.0 ± 1.1 0.3 ± 2.6 1.0 ± 2.9 0.1 ± 0.9 0.1 ± 2.6 0.4 ± 2.8 * : 安静時 vs 傾斜時 (p<0.05) : 健常若年者 vs 健常若年者 (p<0.05) 単位 :degree 2. 課題 2( バランスボード ) 安静時からの変化を見ると, 健常若年者群では課題 1と同様に骨盤, 骨盤 - 脊柱は両傾斜方向で有意な角度変化を認めた (p<0.05) 健常高齢者群では骨盤は両傾斜方向で有意な角度変化を認めたが, 体幹と骨盤 - 脊柱はそれぞれ片側への傾斜でのみ有意な角度変化を認めた (p<0.05) 健常若年者群の上部体幹は左傾斜でバランスボードを傾斜から水平に戻す方向と逆方向の側屈, 回旋 ( 逆回旋 ) を両傾斜方向で認めた 健常高齢者群では課題 1と同様にいずれの方向にも角度変化は少なく, 有意な側屈, 逆回旋は認めなかった 健常若年者群と健常高齢者群の角度を比較すると, 骨盤 - 脊柱の角度は両傾斜方向で健常高齢者群の角度変化が有意に少なかった (p<0.05) 骨盤に関しては課題 1と同様に健常高齢者群が小さい傾向があるものの, 個人差も大きく有意差は認められなかった 上部体幹は左傾斜 で, 健常若年者群が左回旋 3.0±3.7, 健常高齢者群が右回旋 0.1±2.6 で有意差を認めた (p<0.05) しかし, 右傾斜においては側屈方向で健常若年者群が右側屈 2.2± 2.0, 健常高齢者群が左側屈 1.0±3.8 と有意差を認めたものの, 回旋は個人差も大きく有意差を認めなかった V. 考察傾斜反応は傾斜面に対して重心の位置を制御するために用いられる反応である 傾斜反応の誘発因子には, 傾斜角と角速度があるとされる 2) 本研究のティルトテーブルにおける反応は傾斜反応に該当すると考えられた ティルトテーブル条件に対してバランスボード条件は開始肢位においては骨盤が傾斜して傾斜反応が出現した状態であるが, そこから骨盤を水平に戻す動作であるため, 随意的要素が大きいといえる また, 不安定な状態で座

高齢者における座面側方傾斜時の姿勢反応分析 179 面を水平に保持し, 身体を鉛直に保つためには視覚性, 迷路性, 身体に対する頭部の立ち直り反応が必要であり, ティルトテーブルと比較するとより多くの感覚刺激を同時に処理する必要がある そのことからティルトテーブルと比較すると難易度の高いバランス課題といえる 今回, 健常若年者においてはバランスボードで両傾斜方向に逆回旋が出現したが, 健常高齢者においては全体としてはいずれの場合も有意な角度変化とはならなかった 健常高齢者では健常若年者と比べて個人差が大きく, 逆回旋が有意に小さいとはいえなかった 健常若年者に関してはより難易度の高いバランス課題を要求された場合に逆回旋が出現することが示唆される 高齢者においては二つの課題で姿勢反応の運動方略は変化せず, 逆回旋も出現しなかった 通常, 立位での外乱刺激に対する運動方略が支持基底面の特性によって異なるように, 課題の難易度によっても姿勢反応のパターンを変容させることが可能である しかし, 今回健常高齢者群の場合は二つの課題での姿勢反応パターンは同様で, 変化する課題に対する運動適応が行えなかったことが示唆される 加齢における姿勢制御の変化としてWolfsonらは若年者と高齢者で安静立位時の自発性動揺の大きさを比較し, 有意差がないということを報告している 7) しかし, 高齢者での立位の外乱時の姿勢応答を若年者と比較すると, 姿勢反応の出現様式が異なるといわれている 8) このように高齢者と若年者の姿勢反応を比較すると, 安静時よりも外乱動揺時の姿勢反応に違いがあるといわれている 9) また, 中枢神経系の加齢による変化としては高齢者の中には, 外乱動揺時に遠位筋より早く近位筋が活性化され, 筋応答の組織化が崩壊しているものもあるとされ, このような筋応答は中枢神経に障害がある患者にも見られているとされる 5) 今回の対象者は明らかな障害を認めないが, 潜在的に機能低下が存在することは否定できない 今回の研究においては健常高齢者群では変化する課題に対する適応が一部障害されており, 加齢による姿勢反応への影響とも考えられ, 中枢神経の影響の可能性も示唆された 健常若年者群と健常高齢者群で各部位の角度を比較すると, ティルトテーブルの左傾斜時を除いては骨盤 - 脊柱で健常高齢者群の角度変化が有意に小さかった 側方への最大リーチ課題を行った報告 10) や側方への最大重心移動を行なった報告 11) でも同様に若年者と比較して高齢者では骨盤傾斜が少ないという報告がある 高齢者では筋骨格系において加齢の影響が特に出現しやすく, 等尺性筋力と姿勢保持能力は密接な関連があるとされている 12) 側方重心移動課題では脊柱起立筋や腹斜筋の大きな筋活 動が必要であるが, 高齢者の場合, 十分な筋力が発揮できない状態であると推察される 骨格系においては関節可動域が減少し, 脊柱の柔軟性が低下する 9) その結果, 下部胸椎, 腰椎レベルでの側屈を反映する骨盤 - 脊柱の角度が小さくなったものと考えられる 吉本は, 健常若年者に対して端座位で前後 左右への座面傾斜を行い, 座面傾斜が中枢神経系の障害に対する治療に応用できる可能性を示唆している 2) また,Perennou らはpusher 現象例を対象にして, 不安定板を使用して座面を傾斜した状態から水平に戻るまでの姿勢反応と最終肢位について報告している 6) 今回のバランスボードを使用した課題では健常若年者は体幹の逆回旋が出現し, 骨盤 - 脊柱においては両傾斜方向で健常高齢者群の角度との間に有意な差を認めた このことから中枢神経疾患の症例に対して座位での姿勢反応を評価する際には, これまで行われていた座面傾斜に対する反応の評価に加えて, バランスボードのような不安定板上での反応の評価も有用であると考えられる 以上より高齢者においては, 課題の変化に対する適応が十分とはいえないことが明らかとなった このことは明らかな神経学的, 整形外科的疾患がない高齢者においても体性感覚系, 筋骨格系, 中枢神経系の加齢による変化が起こっていることを示唆している このことからも転倒予防などの高齢者の身体機能改善の観点からもバランス機能への座位 立位での外乱などを取り入れたアプローチや筋応答の組織化へのアプローチの必要性が示唆される 引用文献 1) Shumway-Cook A, Woollacott M: モーターコントロール. 田中繁, 高橋明 ( 監訳 ), 医歯薬出版, 東京,2004, pp173-203. 2) 吉元洋一 : 健常者における躯幹傾斜反応の測定 電動式バランスボードを用いて. 理学療法学,1986, 14(4): 305-310. 3) 須藤彰一, 小林賢, 市川雅彦 他 : 側方傾斜座位姿勢がもたらす健常者の重心動揺の変化について. 運動 物理療法, 1999, 10(2): 172-175. 4) 冨田昌夫, 佐藤房郎, 宇野潤 他 : 片麻痺の体幹機能.PT ジャーナル,1991, 25(2): 88-94. 5) Shumway-Cook A, Woollacott M: モーターコントロール, 田中繁, 高橋明 ( 監訳 ), 医歯薬出版, 東京,2004, pp235-263. 6) Perennou DA, Amblard B, Laassel EM, et al.: Understanding the pusher behavior of some stroke patients with spatial deficits: a pilot study. Arch Phys Med Rehabil, 2002, 83: 570-575. 7) Wolfson L, Whipple R, Derby CA, et al.: A dynamic posturography study of balance in healthy elderly. Neurology, 1992, 42: 2069-2075. 8) Horak F, Shupert C, Mirka A: Components of postural dyscontrol

180 理学療法科学第 21 巻 2 号 in the elderly: a review. Neurobiol Aging, 1989, 10: 727-738. 9) Forssberg H, Hirschfeld H: Postual adjustments in sitting humans following external perturbations: muscle activity and kinematics. Exp Brain Res, 1994, 97: 515-527. 10) Campbell FM, Ashburn AM, Pickering RM, et al.: Head and pelvic movements during a dynamic reaching task in sitting: implications for physical therapists. Arch Phys Med Rehabil, 2001, 82: 1655-1660. 11) 田中則子, 小柳磨毅, 淵岡聡 他 : 高齢者における坐位動作の運動解析. 大阪府立看護大学医療技術短期大学部紀要, 1999, 5: 31-38. 12) Iverson BD, Gossman MR, Shaddeau SA, et al.: Balance performance, force production, and activity levels in noninstitutionalized men 60 to 90 years of age. Phys Ther, 1990, 70: 348-55.