プライベート・エクイティ投資への基準適用

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本日の内容 リターン計算上の必須事項と実務への適用 プライベート エクイティ基準の適用 適用対象期間は 2006 年 1 月 1 日以降 開始来内部収益率の適用 公正価値の考え方 コンポジットの構築 リターン計算 ベンチマークの取扱いと課題 その他 2

リターン計算上の必須事項と実務への適用プライベート エクイティ基準 プライベート エクイティ基準 ( 第 1 章第 7 節 ) は 第 Ⅰ 章第 0 節 ~ 第 5 節を 補完 するもの プライベート エクイティ基準は 2005 年に GIPS 基準に導入された 2006 年 1 月 1 日以降を期末とする期間のプライベート エクイティのパフォーマンスを含む場合には GIPS 基準 2005 年版のプライベート エクイティの必須基準をすべて満たすことが必須 プライマリー ファンドおよびファンド オブ ファンズを含む 存続期間および出資約束金額が確定しているプライベート エクイティ ビークルに適用 セカンダリー ファンドにも適用 プライベート エクイティでも オープンエンド型ファンドおよびエバーグリーン ファンドは GIPS 第 Ⅰ 章第 0 節から第 5 節に従う クローズドエンド型不動産ファンドは 第 Ⅰ 章第 6 節に従う 3

リターン計算上の必須事項と実務への適用プライベート エクイティ基準 計算方法 ( 必須基準 ) (7.A.3) 会社は 年率換算した開始来内部収益率 (SINCE INCEPTION INTERNAL RATE OF RETURN, SI IRR) を計算しなければならない (7.A.4)2011 年 1 月 1 日以降を期末とする期間については SI IRR は 日次キャッシュフローを使用して計算しなければならない 株式の分配は キャッシュフローとして含めなければならず かつ 分配時点の評価を用いなければならない (7.A.5) リターンはすべて 当該期間にかかる実際の取引費用を控除して計算しなければならない (7.A.6) フィー控除後リターンは 実際の運用報酬 ( 成功報酬を含む ) 控除後で計算しなければならない (7.A.7) ファンド オブ ファンズについては リターンはすべて 成功報酬を含む 投資先のパートナーシップおよび / またはファンドのフィーおよび費用のすべてを控除して計算しなければならない 4

リターン計算上の必須事項と実務への適用適用対象期間 2010 年版の適用対象期間 プライベート エクイティ コンポジットが 2011 年 1 月 1 日以降を期末とする期間のパフォーマンスを含む場合 必須基準のすべてに準拠 勧奨基準にも従うべき 5

リターン計算上の必須事項と実務への適用開始来内部収益率の適用 入力データ ( 必須基準 ) (7.A.1)2011 年 1 月 1 日以降を期末とする期間については プライベート エクイティ投資は 第 Ⅱ 章における公正価値の定義および GIPS 評価原則に従って評価しなければならない (7.A.2) プライベート エクイティは 少なくとも年次ベースで評価しなければならない 入力データ ( 勧奨基準 ) (7.B.1) プライベート エクイティ投資は 四半期ごとに評価すべきである 6

コンポジットの構築 コンポジットの構築 ( 必須基準 ) (7.A.8) コンポジットの定義は コンポジットの存続期間を通じて一貫していなければならない (7.A.9) プライマリー ファンドは 組成年および投資マンデート 投資目的 または投資戦略により定義された少なくとも1つのコンポジットに組み入れなければならない (7.A.10) ファンド オブ ファンズは ファンド オブ ファンズの組成年および / または投資マンデート 投資目的 または投資戦略により定義された少なくとも1つのコンポジットに組み入れなければならない 7

公正価値の考え方 公正価値の定義 ( 第 Ⅱ 章 A.) 十分な知識と思慮に基づいて行動する自発的な当事者間で行われる独立した立場 (arm s length) での現在の取引において ある投資対象が交換されるであろう価格 同一の投資対象について測定日における活発な市場での客観的かつ観察可能な調整前の公表価格 (quoted market price) が入手可能である場合には それを使用して評価を決定しなければならない 同一の投資対象について測定日における活発な市場での客観的かつ観察可能な調整前の公表価格が入手できない場合には 会社による時価 (MARKET VALUE) の最良推計値で評価しなければならない 公正価値には 経過利子を含めなければならない 評価方法 評価方法の開示 ( 直近期間 ) 評価方針 評価方法の重要な変更の開示 業界の評価ガイドラインに従っている場合の評価方法の開示 8

評価原則 B 評価の必須事項 1. 2011 年 1 月 1 日以降の運用事項については ポートフォリオは 第 Ⅱ 章における公正価値の定義および GIPS 評価原則に従って評価しなければならない ( 基準 1.A.2) 2. 会社は 同一の投資対象について測定日における活発な市場での客観的かつ観察可能な調整前の公表価格 (quoted market price) が入手可能である場合には それを使用して投資対象を評価しなければならない 3. 会社は パフォーマンスの計算と提示に関して適用される すべての法律および規制を遵守しなければならない ( 基準 0.A.2) したがって 会社は評価に関して適用される法律および規制を遵守しなければならない 4. 準拠提示資料が GIPS 基準の必須事項に抵触する法律および / または規制に従っているときは 会社はその旨 および当該法律および / または規制が GIPS 基準と異なる内容を開示しなければならない ( 基準 4.A.22) 法律および / または規制と GIPS 評価原則の間における差異もこれに含まれる 9

評価原則 B 評価の必須事項 5. 会社は GIPS 基準に準拠し かつ準拠を維持するために使用される 会社の方針および手続を 顧客資産の実在と所有権を確認するための施策を含めて 文書化しなければならず かつその方針および手続を一貫して適用しなければならない ( 基準 0.A.5) したがって 会社は その評価の方針 手続 方法 および階層 (hierarchy) について その変更事項も含めて文書化しなければならず それらを一貫して適用しなければならない 6. 会社は ポートフォリオ評価 パフォーマンス計算 および準拠提示資料の作成に関する方針が請求に応じて提供可能であることを開示しなければならない ( 基準 4.A.12) 7. 2011 年 1 月 1 日以降の運用実績については 会社は 主観的で観察不可能なインプットを使用して評価したポートフォリオの投資対象がコンポジットにおいて重要であるときは ポートフォリオの投資対象の評価において ( 第 Ⅱ 章の GIPS 評価原則に記述されている ) 主観的で観察不可能なインプットを使用している旨を開示しなければならない ( 基準 4.A.27) 8. 2011 年 1 月 1 日以降の運用実績については 会社は コンポジットの評価階層 (valuation hierarchy) が第 Ⅱ 章の GIPS 評価原則で勧奨される階層と大きく (materially) 異なるときは その旨を開示しなければならない ( 基準 4.A.28) 10

プライベート エクイティの評価に関する追加的な必須事項 選択された評価方法は 投資対象の性質 事実および状況に基づき 当該投資対象に最も適合したものでなければならない 会社は 直近期間について プライベート エクイティ投資の評価のために使用した評価方法を開示しなければならない ( 基準 7.A.13) 2011 年 1 月 1 日以降を期末とする期間について 会社は 評価方針および / または評価方法の重要な変更を開示しなければならない ( 基準 7.A.14) 会社は GIPS 評価原則に加えて業界のガイドラインに従っている場合は どのガイドラインを適用したか開示しなければならない ( 基準 7.A.15) 11

評価原則 C 評価の勧奨基準 1. 評価階層 (valuation hierarchy): 会社は コンポジットごとに ポートフォリオの投資対象の公正価値を決定する方針および手続に以下の階層を取り入れるべきである a. 同一の投資対象について測定日における活発な市場での客観的かつ観察可能な調整前の公表価格 (quoted market price) が入手可能である場合には それを使用して投資対象を評価しなければならない 入手できない場合は 投資対象は以下を使用して評価すべきである b. 活発な市場での類似の投資対象に関する客観的かつ観察可能な調整前の公表価格 (quoted market price) これが入手できない場合または適切でない場合は 投資対象は以下を使用して評価すべきである c. 活発でない市場 ( 投資対象の取引がほとんどなく 価格が最新のものではなく もしくは気配値が時点および / またはマーケット メーカーによって大きく変動するような市場 ) における 同一または類似の投資対象の公表価格 (quoted price) これが入手できない場合または適切でない場合は 投資対象は以下に基づいて評価すべきである d. 投資対象について 公表価格 (quoted price) 以外の 観察可能な市場に基づくインプット これが入手できない場合または適切でない場合は 投資対象は以下に基づいて評価すべきである 12

評価原則評価の勧奨基準 e. 測定日に市場が活発でない場合における 投資対象の主観的で観察不可能なインプット 観察不可能なインプットは 観察可能なインプットおよび価格が入手できない場合またはそれらが適切ではない場合に限り 公正価値の測定に使用されるべきである 観察不可能なインプットは 市場参加者が当該投資対象のプライシングに使用するであろう仮定についての会社独自の仮定を反映しており その状況下で入手可能な最良の情報に基づいて設定されるべきである 会社は 評価方針および / または評価方法の重要な変更を開示すべきである ( 基準 4.B.1) 会社は ポートフォリオの投資対象の評価に使用した主要な仮定条件を開示すべきである ( 基準 4.B.4) 2011 年 1 月 1 日より以前の運用実績についても 会社は 主観的で観察不可能なインプットを使用して評価したポートフォリオの投資対象がコンポジットにおいて重要であるときは ポートフォリオの投資対象の評価において ( 第 Ⅱ 章の GIPS 評価原則に記述されている ) 主観的で観察不可能なインプットを使用している旨を開示すべきである 評価情報は 適格な独立した第三者から取得すべきである ( 基準 1.B.2) 13

プライベート エクイティの評価に関する追加的な勧奨事項 会社は 各年度末現在における パフォーマンス報告で使用した評価と財務報告で使用した評価との間の重要な差異について説明し 開示すべきである ( 基準 7.B.3) 2011 年 1 月 1 日より以前の期間についても 会社は 評価方針および / または評価方法の重要な変更を開示すべきである ( 基準 7.B.4) 以下の留意事項を評価プロセスに取り入れるべきである a. 各方法で使用したデータの品質および信頼性 b. 企業データまたは取引データの比較可能性 c. 企業の発展段階 d. 企業に特有の追加的留意事項 14

コンポジットの構築 少なくとも 1 つのコンポジットに組み入れなければならない コンポジットの定義 組成年 ( ファンド設立時 最初のコール時等 ) 投資マンデート 投資目的 投資戦略 地域 ステージ 投資手法等 コンポジットの定義は 存続期間中一貫していること 投資目的 投資戦略が変わらないこと ファンド組成時の判断基準に基づくパフォーマンス評価 クローズドエンド型ファンドであり コンポジットの定義が変わらないことは重要 15

リターン計算 キャッシュフローは 日次が必須 プライベート エクイティ投資は 出資も分配も分割して行われることが一般的 月次と日次では パフォーマンス評価が大きく異なる ( 出資を月初 分配を月末にした月次と 日次でのキャッシュフローは殆ど1か月違う ) 株式分配は キャッシュフローに含める 分配時での時価でキャッシュフローがあったとみなす 実際の取引費用を控除 実際の運用報酬 ( 成功報酬を含む ) 控除 海外ファンドでは 成功報酬を GP への分配としているケースが多い 16

ベンチマークの取扱いと課題 ディスクロージャー ( 開示 )( 必須基準 ) (7.A.16) 会社は 使用したベンチマーク計算方法を開示しなければならない 会社は コンポジットのパブリック マーケット エクイバレントをベンチマークとして提示する場合は パブリック マーケット エクイバレント計算のために使用したインデックスを開示しなければならない 提示および報告 ( 必須基準 ) (7.A.24) 会社は 各年度末までのベンチマークの SI IRR を提示しなければならない ベンチマークは 次を満たしていなければならない a. コンポジットの投資マンデート 投資目的 または投資戦略を反映していること b. コンポジット提示期間と同じ期間について提示されていること c. コンポジットと同じ組成年であること (7.A.25) ファンド オブ ファンズ コンポジットが投資マンデート 投資目的 または投資戦略によってのみ定義されており かつ原資産である投資対象についてベンチマークが提示される場合には ベンチマークは 原資産である投資対象と同じ組成年および投資マンデート 投資目的 または投資戦略を有するものでなければならない 17

ベンチマークの取扱いと課題 ベンチマークが存在しない (4.A.29) 会社は コンポジットに適切なベンチマークが存在しないと判断した場合は ベンチマークが提示されない理由を開示しなければならない プライベート エクイティ投資に求められているのは ベンチマークとの比較なのか? 絶対リターンの達成への期待 18

その他 ファンド オブ ファンズでの直接投資の扱い プライマリー ファンドでのファンド投資の扱い 2006 年 1 月 1 日以前を期末とする期間の扱い 19