Microsoft Word - 【原稿】提言書概要版

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計画改訂の趣旨 社会構造が大きく変化し 少子高齢化が進む中 生活環境の改善や医療の進歩などにより 平均寿命が延びている一方で 肥満や糖尿病などの生活習慣病が増加しており 健康づくりや疾病予防の重要性はますます高まっています 子どもから高齢者まで すべての県民が 健やかな生活をおくるために ヘルスプロ

3 成人保健

第 1 章 ヘルスプランぎふ 21 の基本的な考え方 1 計画策定の趣旨 ヘルスプランぎふ 21 は 岐阜県健康増進計画として平成 14 年 3 月に策定し その後平成 20 年度には 国が策定した 健康日本 21 と連動しながら メタボリックシンドロームに着目した生活習慣病の一次予防に重点をおいた

第1章評価にあたって

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Microsoft PowerPoint 資料1~4.pptx

Microsoft PowerPoint - 2.医療費プロファイル 平成25年度(長野県・・

現状分析による課題抽出のためのワークシート ( 高血圧 糖尿病 脂質異常症 ) 高血圧糖尿病脂質異常症 要介護認定を受けた被保険者の医療費の状況 ( 資料 :KDB システム 12 月末抽出分 ) 有病状況では糖尿病等の基礎疾患が約 6 割となっている 中分類別医療費 1 人当たり医療費が県と比較し

スライド 1

第 3 節心筋梗塞等の心血管疾患 , % % % %

特定健診の受診率は毎年上昇しており 平成 28 年度は県平均よりも 7% 高い状況 となっていますが 国が示す目標値 60% を達成するには更なる工夫や PR が必要とな っています 長与町国保の医療費は平成 25 年度から上昇していましたが 平成 28 年度は前年度より約 3 億円減少し 1 人当

1 保健事業実施計画策定の背景 北海道の後期高齢者医療は 被保険者数が増加し 医療費についても増大している 全国的にも少子高齢化の進展 社会保障費の増大が見込まれる このような現状から 一層 被保険者の健康増進に資する保健事業の実施が重要となっており 国においても 保健事業実施計画 ( データヘルス

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会


平成 27 年 10 月 6 日第 2 回健康増進 予防サービス プラットフォーム資料 協会けんぽ広島支部の取り組み ~ ヘルスケア通信簿について ~ 平成 27 年 10 月全国健康保険協会広島支部 協会けんぽ 支部長向井一誠


調書のの見方 新規 新規事業の実施 現行どおり 事業をする 充実 事業の充実 強化を図る 改善 事業の見直し 改善を図る 縮小 事業規模を縮小する 廃止 事業を廃止する 2

第 2 章気仙沼市の健康を取り巻く状況 - 4 -

生活福祉研レポートの雛形

山梨県生活習慣病実態調査の状況 1 調査目的平成 20 年 4 月に施行される医療制度改革において生活習慣病対策が一つの大きな柱となっている このため 糖尿病等生活習慣病の有病者 予備群の減少を図るために健康増進計画を見直し メタボリックシンドロームの概念を導入した 糖尿病等生活習慣病の有病者や予備

はじめに第1章基本方針第2章岐阜市の現状第3章第4章第二次ぎふ市民健康基本計画の評価今後の取り組み第5章効果的な推進体制第6章参考資料7 第 3 章岐阜市の現状 1 岐阜市の人口統計 (1) 人口の推移 本市の人口は 昭和 60 年以降 減少傾向にあったものの 平成 18 年柳津町との合併により 一

目次 1. 趣旨 2. 計画の期間 3. 兵庫県の特徴 (1) 人口 後期高齢者数について (2) 平均寿命について (3) 医療 健診 介護 ( 有病状況 ) について 4. 目標 5. 実施事業 < 参考 > 別添資料 KDB の分析帳票等について

第2期データヘルス計画について

第 1 章計画策定にあたって 1 計画策定の背景と趣旨 ( 注近年 特定健康診査 ) ( 注 ) ( 以下 特定健診 という ) の実施や診療報酬明細書等 ( 以 下 レセプト という ) の電子化の進展等により 保険者 ( 注 ) が健康や医療に関する情 報を活用して被保険者 ( 注 ) の健康課

愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

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第3章「疾病の発症予防及び重症化予防 1がん」

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■● 糖尿病

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Microsoft Word - (セット案とれ)【閣議後会見用】取組ペーパー

第2次「健康くるめ21」計画

目 次 1 平成 29 年愛知県生命表について 1 2 主な年齢の平均余命 2 3 寿命中位数等生命表上の生存状況 5 4 死因分析 5 (1) 死因別死亡確率 5 (2) 特定死因を除去した場合の平均余命の延び 7 平成 29 年愛知県生命表 9

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4 年齢階級別の死因山形県の平成 28 年の死因順位は 20 歳から 34 歳までの各階級において自殺が1 位となっているほか 64 歳までの各階級においても死因順位の上位にあり おおむね全国と同様の傾向が見られます < 表 7> 年齢階級別の死因順位 死亡者数 ( 山形県 ) 年齢階級 総死亡者数

第 2 章計画の推進及び進行管理 1 計画の推進 県 市町村及び県民が 関係機関等と相互に連携を図りながら 県民の歯 口腔の健康づくりを推進します 県における推進 (1) 全県的な推進 県全域の課題を踏まえた基本的施策や方向性を示すとともに 取組の成果について継続的な評価を行い 県民の生涯を通じた歯

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~ 第 1 章計画策定にあたって ~ 1. データヘルス計画策定の背景及び位置付けこれからの高齢者の大幅な増加が見込まれる中で 高齢者ができる限り長く自立した日常生活を送ることができるよう 被保険者の健康の保持増進の取組みを支援することが重要です また 特定健康診査の実施やレセプト等の電子化の進展

和歌山県地域がん登録事業報告書

平成13年度税制改正(租税特別措置)要望事項(新設・拡充・延長)

7 対 1 10 対 1 入院基本料の対応について 2(ⅲ) 7 対 1 10 対 1 入院基本料の課題 将来の入院医療ニーズは 人口構造の変化に伴う疾病構成の変化等により より高い医療資源の投入が必要となる医療ニーズは横ばいから減少 中程度の医療資源の投入が必要となる医療ニーズは増加から横ばいにな

はじめに 本県では全国を上回るペースで少子高齢化が進む中 ふるさと秋田の活力の維持と向上を図っていくため 全ての県民が生涯にわたって心豊かに生活できる 健康長寿あきた を実現することが重要です そのため生涯を通じた健康づくりのための施策について その方向性等を明らかにすることを目的として 平成 25

歯科中間報告(案)概要

Microsoft PowerPoint - 資料1_ひょうごの健康状況(健康寿命修正済)

死亡率 我が国における疾病構造 生活習慣病は死亡割合の約 6 割を占めている 我が国の疾病構造は感染症から生活習慣病へと変化 死因別死亡割合 ( 平成 24 年 ) 生活習

また リハビリテーションの種類別では 理学療法はいずれの医療圏でも 60% 以上が実施したが 作業療法 言語療法は実施状況に医療圏による差があった 病型別では 脳梗塞の合計(59.9%) 脳内出血 (51.7%) が3 日以内にリハビリテーションを開始した (6) 発症時の合併症や生活習慣 高血圧を

4 月 17 日 4 医療制度 2( 医療計画 ) GIO: 医療計画 地域連携 へき地医療について理解する SBO: 1. 医療計画について説明できる 2. 医療圏と基準病床数について説明できる 3. 在宅医療と地域連携について説明できる 4. 救急医療体制について説明できる 5. へき地医療につ

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健康くるめ21概要

第三期特定健康診査等実施計画 ニチアス健康保険組合 最終更新日 : 平成 30 年 02 月 20 日

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心疾患患による死亡亡数等 平成 28 年において 全国国で約 20 万人が心疾疾患を原因として死亡しており 死死亡数全体の 15.2% を占占め 死亡順順位の第 2 位であります このうち本県の死亡死亡数は 1,324 人となっています 本県県の死亡率 ( 人口 10 万対 ) は 概概ね全国より高

1 基本健康診査基本健康診査は 青年期 壮年期から受診者自身が自分の健康に関心を持ち 健康づくりに取り組むきっかけとなることを目的に実施しています 心臓病や脳卒中等の生活習慣病を予防するために糖尿病 高血圧 高脂血症 高尿酸血症 内臓脂肪症候群などの基礎疾患の早期発見 生活習慣改善指導 受診指導を実

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1 疾患別医療費札幌市国保の総医療費に占める入院医療費では 悪性新生物が 21.2% 循環器疾患が 18.6% となっており 循環器疾患では 虚血性心疾患が 4.5% 脳梗塞が 2.8% を占めています 外来医療費では 糖尿病が 7.8% 高血圧症が 6.6% 脂質異常症が 4.3% となっています

JAしまね[01-36].indd


平成 21 年循環器疾患登録の年集計について 喫煙習慣の割合は 男性で約 4 割 女性で約 1 割である 週 1~2 回以上の運動習慣のある割合は1 割程度と 男女共に運動習慣のある者の割合が低い 平成 21 年における循環器疾患登録者数 ( 循環器疾患にかかった人のうち届出のあった人 ) について

Microsoft Word - 特定健康診査等実施計画2期(YNK).docx

要因 2 全国的に 死亡原因の 6 割が生活習慣病であり 大阪市においては 特に死亡者数の最 も多い悪性新生物 ( がん ) の死亡率が高くなっている なお 心疾患および脳血管疾患 については 全国との差が年々縮まり 現在はほぼ同じ水準となっている 国 大阪府 大阪市の死亡率 H22 年 人口 10

各種健診等の連携についての考え方 一現行制度における各種健診等の連携. 基本健診において生活機能評価を同時実施 () 現在 老人保健法において 65 歳以上の対象者については 生活機能評価を基本健診において同時に実施するよう求めている 同時実施は 本人の利便性 受診率の向上 検査重複の回避に資する

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市原市国民健康保険 データヘルス計画書

-3- Ⅰ 市町村国保の状況 1 特定健康診査受診者の状況 平成 23 年度は 市町村国保 (41 保険者 )98,439 人の特定健康診査データの集計を行った 市町村国保の診者数は男性 女性ともに 歳の割合が多く 次いで 歳 歳の順となっている 男性 女性 総数

PowerPoint プレゼンテーション

2 第 1 期データヘルス計画 ( 平成 27 年度 ~ 平成 29 年度 ) の要点 ⑴ 加入者の状況被保険者は 男性が約 85% と多く 年齢構成は 40 歳代 50 歳代が多い 被扶養者は 子供を除くと女性が多い ⑵ データに基づく健康課題 1 生活習慣病及び生活習慣病関連疾患が医療費に占める

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標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

平成20年度税制改正(地方税)要望事項

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第 1 節人口の推移 1 総人口と世帯数の推移 平成 25 年 1 月 1 日現在 人口は 580,852 人 世帯数は 259,048 で平成 5 年から 人口 世帯数ともに増加傾向にあります 出典 : 各年 1 月 1 日現在総人口 2 段階別人口の推移と将来推計平成 17 年から 25 年まで

平成17年

用語等の説明 1 生命表とは生命表とは ある人口集団の死亡状況が今後変化しないと仮定したときに 各年齢の者 が死亡する確率や平均してあと何年生きられるかという期待値などを死亡率や平均余命 などの指標 ( 生命関数 ) によって表したものである これらの関数は 男女別に各年齢の死亡件数と人口を基にして

求する診療報酬明細書の件数 ( 入院以外 ) は 糖尿病や高血圧 心疾患などの生活習 慣病が約 4 割を占めている 生活習慣病患者が増加することにより 医療費は年々増 大していくことが考えられる 図 2 戸田市の医療費の推移 ( ウ ) 健康寿命の延伸県は健康寿命を 65 歳に達した県民が自立した生

背景及び趣旨我が国は国民皆保険のもと世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成してきた しかし 急速な少子高齢化や国民の意識変化などにより大きな環境変化に直面しており 医療制度を持続可能なものにするために その構造改革が急務となっている このような状況に対応するため 高齢者の医療の確保に関する法律に

まえがき 平成 24 年福島県簡易生命表 は 平成 24 年の福島県日本人人口 ( 推計 ) と平成 22~25 年の人口動態統計 ( 確定数 ) を基にして 本県の死亡状況が今後変化しないと仮定したとき 各年齢の者が1 年以内に死亡する確率や平均的にみて今後何年生きられるかという期待値などを 死亡

国民健康保険制度改革の施行に向けて

目次 1. 基本事項... 1 (1) 計画策定の背景... 1 (2) データヘルス計画の位置づけ... 1 (3) 計画期間 北海道建設国民健康保険組合の特性把握... 2 (1) 被保険者の構成... 2 (2) 医療費の状況 これまでの取り組み... 6 (1

第三期 特定健康診査等実施計画 ウシオ電機健康保険組合 平成 30 年 4 月

第4章:施策と目標 2:生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底(3)糖尿病(4)COPD

平成 2 9 年名古屋市民の平均余命 平成 30 年 12 月 25 日 名古屋市健康福祉局

03-2_(0206修正済)第3編第2章

平成 27 年度版 [ 人口の状況 ] の現状 人口静態 ( 平成 27 年 ) 人口動態 ( 平成 26 年 ) 総数 男 女 総数 男 女 人口 89,42 44,85 44,552 出生数 歳以上人口 22,17 1,36 11,864 死亡数

Microsoft Word - 資料の表紙.doc

1) 疾患別死亡数 死亡率 ( 七尾市 ) 死亡数 ( 総数 ) 資料 : 衛生統計報 死亡率 ( 総数 ) 人口 10 万対

3 成人高齢保健等 -(1) 主要疾患別死亡推移 2 心疾患 全国 ( 上段 : 人 下段 : 人口 10 万対 ) 平成 24 年平成 25 年平成 26 年平成 27 年平成 28 年 198, , , , ,

11 平成 21 年度介護予防事業実施状況について 平成 22 年 7 月 大阪市健康福祉局健康づくり担当

PowerPoint プレゼンテーション

4 死亡数と死亡率の推移 4,9 4,8 4,7 4,6 4,5 実数率人口千対 4,522 4,536 4,52 4, ,4 4,3 4, 4, , 平成 18 年平成 19 年平成 年平成 21 年平成 22 年 18 年 1

特定健康診査等実施計画 ( 第二期 ) 三重交通健康保険組合 平成 25 年 7 月

特定健康診査等実施計画

脳血管疾患予防のための保健事業実施計画 データヘルス計画の目的は 脳血管疾患 虚血性心疾患等 糖尿病性腎症による新規透析患者を減らし 健康格差を縮小することにあります このうち 本市では脳血管疾患患者の入院医療費が 1 億 5,600 万円であり 生活習慣病全体の入院医療費の 33.1% と多くを占

特定健康診査等実施計画 東京スター銀行健康保険組合 平成 25 年 4 月

表紙裏 ( 空白 )

このような現状を踏まえると これからの介護予防は 機能回復訓練などの高齢者本人へのアプローチだけではなく 生活環境の調整や 地域の中に生きがい 役割を持って生活できるような居場所と出番づくりなど 高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチも含めた バランスのとれたアプローチが重要である このような効果的

資料 3 第 3 回次期札幌市健康づくり基本計画策定部会 現計画の評価と次期計画への関連について (1) 母子保健 1 思春期の心と身体の健康づくり 10 代の自殺率 ( 人口 10 万対 ) 指 標 現計画計画策定時の値 中間評価時の値 実績値 10~14 歳 ~19

Transcription:

健康わかやま推進提言書について ( 概要 ) 作成の趣旨 和歌山県では 県民の健康増進 維持を図ることを目的に 健康長寿日本一わかやま をめざして 県健康増進計画等を作成し 目標を定め各施策に取り組んでいます しかし 平均寿命は全国の低位にあり がんや心疾患などの死亡率も高い状況です 高齢化が全国に先んじて進行している本県において 健康長寿は重要な課題です そこで 健康わかやま推進提言委員会を設置し 死亡や特定健康診査 がん検診データ レセプトによる情報などの現状を分析し 課題を明確にしながら 専門的な見地から本県の健康増進を図るための提言をまとめました また 本県が健康長寿を実現するためには 特に県内市町村の健康状態の地域間格差をなくしていくことが重要です そのため 平均寿命や健康寿命 特定健診 がん検診受診率 死亡 要介護度などの健康指標を市町村別に現状分析し 全国や県内でどのような位置にあるのかをできるだけ明確化するため 市町村健康見える化シート を県内全市町村ごとに作成しました 今後 県はこの提言書を活用し 県 市町村 保険者 医師会等関係機関が現状と課題を共通認識し 対策を実施していくことが極めて重要であると認識し 計画 実施 評価 改善の PDCA サイクルを回しながら さらなる施策の充実に取り組んでいきます 主な内容項目 1 現状と課題 県の健康指標と課題 よくなってきた健康指標 2 対策の提言 3 県内市町村の取組事例 4 県内市町村 見える化 シート 健康わかやま推進提言委員会 委員構成氏名所属座長津下一代あいち健康の森健康科学総合センター長宮本恵宏国立研究開発法人国立循環器病研究センター予防健診部長横山徹爾国立保健医療科学院生涯健康研究部長竹下達也和歌山県立医科大学医学部公衆衛生学教室教授坂本茂夫和歌山県国民健康保険団体連合会事務局長東誠全国健康保険協会和歌山支部長 1

分析結果から見た和歌山県の主な健康指標の現状と課題 全体課題項目 平均寿命が全国で低位であり 特に女性がワースト3 位 健康寿命 ( 日常生活に制限のない期間の平均 ) は上昇傾向にあるが 全国における上位には程遠い 全国に比較して粗死亡率及び年齢調整死亡率が高い 男性の方が女性より早死が多い (75 歳以上の生存者が 女性より男性の方が少ない ) 平均寿命の延び ( 平成 22 年 - 平成 17 年 ) は男性では全国 4 位 健康寿命の延び ( 平成 25 年 - 平成 22 年 ) は全国の延びを上回っている 疾病課題項目 がん 悪性新生物( がん ) は死因の1 位である 性別では男性の粗死亡率及び年齢調整死亡率が高い 部位別では肺がん 大腸がんの粗死亡率が高い 心疾患 死因は がんに次いで多い 性別では男性の粗死亡率及び年齢調整死亡率が高い 急性心筋梗塞では 40 歳代から死亡が増加している 標準比死亡比 (SMR) では 特に虚血性心疾患 心筋梗塞が全国に比べて高い 虚血性心疾患のレセプト件数で見た受診率では 性別では女性より男性が高く 年代においては 45 歳から上昇している 脳血管疾患 脳梗塞のレセプト件数で見た受診率では 性別では女性より男性の方が高い 脳血管疾患の外来受療率は 全国に比べて高い 要介護認定率が全国ワースト 1 位 (H26) であり その主たる原因疾患として脳血管疾患が最も多い その他 高血圧は 30 歳代からレセプト件数で見た受診率が高い 腎不全のレセプトで見た受診率は全国より高い 脳血管疾患の粗死亡率及び年齢調整死亡率は全国より低く 減少してきている がん年齢調整死亡率死亡率は全国より高いが 減少してきている レセプトで見た受診率は 平成 27 年度の市町村国保と後期高齢者医療を合算した件数で算出しているため 今後推移を観察し分析する必要があります 特定健診 がん検診課題項目 特定健康診査 特定健康診査の受診率が低い 健診の結果 男性において 40 歳代の肥満 (BMI25 以上 ) 及び高血圧の者が多い 健診の結果 収縮期血圧 140mmHg 以上の者の占める割合が全国と比較して全ての年代で高い がん検診 がん検診の受診率は全国に比べ高いが 目標値 ( 市町村が実施する検診受診率 50%) に達していない 精密検査受診率についても全国に比べ低い また 目標値 (90%) に達していない 特定保健指導の実施率は全国より高く 上昇してきている がん検診受診率は 上昇してきている 今後 引き続き改善が必要 生活習慣課題項目 一日の歩数が少ない 野菜摂取量が少ない 20 歳代の女性の喫煙率は他の年代より高い 男性の3 合以上の多量飲酒者が増加している 喫煙率 ( 全体 ) は低下し 全国より低い 特に男性の喫煙率が低下した 今後 引き続き改善が必要 塩分摂取量は全国平均より少ない 2

施策の提言 市町村の取組が住民にどのくらい行き届いているかを把握する 虚血性心疾患の死亡が多い地域では 発症数の他 救急搬送 医療体制等により発症後に救命できたかを把握できるような仕組みづくりの検討する 健診受診により発見された要治療者が医療機関を受診しているかなどについてレセプトデータと突合できる仕組みづくりを行う 退職後は 被用者保険から国民健康保険に移ることから 切れ目なく健康づくりを一緒に取り組んでいく 県や市町村では部局横断的に情報共有を行う ( 例えば介護に至った原因疾患の把握などを行う ) 地域特性を十分把握し 対策を検討する 地域間格差のある健康指標について 課題を明確化し取り組む 今後も継続的に情報把握を行い 分析し さらに健康状態の [ 見える化 ] を行う 専門委員会から 今回の分析から本県の重点課題と考えられる疾病は がん 心筋梗塞 脳血管疾患 腎不全であり 地域性を考慮しながら 以下のポイントを参考に取り組むことが推奨されるとの意見をもらった 1) 生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底県市町村保険者 (1) 特定健康診査 がん検診受診率の向上 受診勧奨の強化 (2) 受診後の指導の充実 保健指導の充実 重症化予防への取り組み 検診後の精密検査受診に繋げる指導の充実 市町村の受診勧奨の支援 重症化予防等のシステムづくり 健診の評価と指導 がん検診の評価と指導 2) 社会生活を営むために必要な機能維持及び向上県市町村保険者 (1) 次世代の健康 食育の推進 未成年者の防煙 妊婦の禁煙の支援 親子で運動や歩く習慣づくりに取り組む (2) 高齢者の健康 介護予防教室の充実 住民が主体となって運営する体操を行う場の充実 自立支援型ケアマネジメントの推進 3) 健康を支え 守るための社会環境の整備県市町村保険者 健康ボランティアや自主グループの養成と育成 わかやま健康推進企業認定等を行い 事業所における健康づくりを推進 3

4) 健康に関する生活習慣と社会環境の改善県市町村保険者 (1) 栄養 食生活 ( 野菜の摂取 減塩 ) 野菜の1 日摂取量 350g 以上摂取するように もう一皿運動 を推進 適正体重を維持できる食事量の普及 (2) 運動 地域のつながりを深めソーシャルキャピタルの醸成と活用を図るとともに個人が楽しみながら歩く習慣の定着を図る全県的な県民運動に取り組む 健康づくりに配慮した街づくりの推進 (3) 飲酒 適正飲酒についての啓発 (4) たばこ 受動喫煙防止対策の強化 未成年者の防煙 妊婦の禁煙の支援 知識の普及及び禁煙の啓発 (5) その他 こころの健康づくり 感染症予防 歯科口腔保健の向上対策 5) その他県市町村保険者 データの収集と変化の観察 今回のデータを元に保健所において管内市町村の分析を行い 保険者や医師会等関係機関とともに課題を共有し 対策の検討に繋げる 平成 29 年度は第三次県健康増進計画の中間見直しの参考資料とし対策の検討に繋げる 県内市町村の取組事例 今後 身近な市町村の取組を参考に自市町村に活かしていただくことを期待し 健康づくり優良市町村 がん検診受診率改善市町村 特定健康診査受診率の高い市町村及び県内で最も平均寿命 健康寿命 ( 平均自立期間 ) の長い市町村を紹介している 健康づくり優良市町村 ( 平成 28 年度 ) 日高川町 がん検診受診率改善市町村 橋本市 那智勝浦町 特定健診受診率の高い市町村 みなべ町 健康長寿市町村 古座川町 印南町 和歌山県では 県内の市町村で 健康増進計画を策定し 特定健康診査またはがん検診の受診率が高く 健康推進員数が多い市町村を健康づくり優良市町村として 顕彰する取組を平成 28 年度から行っています 4

県内市町村 健康見える化 シート ( サンプル ) 各市町村の平均寿命 健康寿命 特定健診 がん検診の状況 死亡状況 医療費 介護状況などの現状を全国 県内でどのような位置にあるのかを示した また 各値の有意差がわかるように表示した 市町村 健康見える化 シート出典等 基本情報 特定健診受診及び生活習慣の状況 がん検診 医療費 要介護の状況 死亡の状況 項目 年次 出典 備考 人口 平成 22 27 年 国勢調査 年齢 3 区分人口比 平成 22 27 年 国勢調査 産業別就業者数比 平成 22 年 国勢調査 出生数 平成 12 17 22 27 年 人口動態統計 医療機関数 平成 25 年 医療施設調査 特定健診受診率 ( 国保 ) 平成 25 26 特定健康診査 特定保健指平成 27 年度は 27 年度導法定報告速報値 特定健診受診率 ( 協会けんぽ ) 平成 26 年度 健康保険協会和歌山支部作成資料 特定健診質問票による生活習慣 (40~74 歳 ) 平成 27 年度 KDBデータ 年齢調整割合 特定健診有所見率 平成 27 年度 KDBデータ 検査値 ( メタボ 予備群レベル ) 平成 27 年度 KDBデータ 特定保健指導実施率 がん検診受診率 (69 歳以下 ) がん検診精密検査受診率 平成 26 年度 平成 24 25 26 年度 平成 25 年度 1 人当たり医療費平成 27 年度 医療費割合 平成 27 年度 特定健康診査 特定保健指導法定報告 地域保健 健康増進事業報告地域保健 健康増進事業報告医療費の地域差分析基礎データ ( 厚生労働省 ) 和歌山県国保連合会病類別疾病分類基礎データ 要介護認定率 平成 27 年度 KDBデータ 要介護認定原因疾病 平成 27 年 県健康推進課調 1 件当たり介護給付費 平成 27 年度 KDBデータ 平均寿命 平成 22 年 市町村別生命表 健康寿命 平成 25 年 県健康推進課 死亡割合 ( 全年齢 ) 0~64 歳の死因のうち多い疾患 平成 25 26 年 人口動態統計 SMR 平成 20~24 年 人口動態統計 終了者の割合平成 27 年度は速報値 5

以上 未満 6

7 健康わかやま推進提言書 ( 概要 ) 発行平成 29 年 3 月和歌山県福祉保健部健康局健康推進課