II 公共交通空白地有償運送について 1 公共交通空白地有償運送の概要 公共交通空白地有償運送とは バスやタクシーなどの公共交通機関によっては住民に対する移動手段が確保できないと認められる場合において NPO 法人などの非営利団体が 営利とは認められない範囲の運送の対価によって 自家用自動車を使用して運送する運行形態です 公共交通空白地有償運送の主な登録要件は次のとおりです 項目 必要性 ( 導入が認められる場合 ) 運行主体 対象地域 運送の対象 運送の対価 運送の区域 要件 行政機関 交通事業者 住民などで構成される運営協議会において バスやタクシーなどの公共交通機関によっては住民に対する十分な輸送サービスが確保されていないと認められ その必要性について合意が得られていることが必要 NPO 法人 医療法人 社会福祉法人 認可地縁団体など法人格のある非営利団体 自治会 町内会などの権利能力なき社団で 代表者が定められているもの 過疎地域自立促進特別措置法に基づく過疎地域その他の交通が著しく不便な地域であって タクシーなどの公共交通機関によっては住民に対する十分な輸送サービスが確保できないと認められる地域 地域住民又は地域内において日常生活に必要な用務を反復継続して行う者であって 実施主体が作成する旅客の名簿に記載された者 地域の交通が著しく不便であることその他交通手段を確保することが必要な事情があることを市町村長が認めた場合には 旅客の名簿に記載されていない地域外からの来訪者なども運送できる 実費の範囲内であり 営利と認められない範囲内 具体的には 当該地域のタクシーの運賃の概ね 1/2 を目安とする 運送の対価以外の対価 ( 迎車料金 待機料金など ) は 実費の範囲内とする 運営協議会において協議が調った市町村を区域とし 運送の発地又は着地のいずれかが区域内にあること ( 運営協議会での合意により市町村の一部の区域に限定することも可能 ) 15
運転者 項目 使用車両及び権原 損害賠償措置 運行管理の責任者の選任 整備管理の責任者の選任 安全運転管理者の選任 要件 第二種運転免許を受けている者 第一種運転免許を受けており 国土交通大臣が認定する講習を修了している者 運行主体が使用権原 ( 使用できる権利 ) を有するもの 車両は原則として貨物自動車を除く 対人 8,000 万円以上 対物 200 万円以上の任意保険又は共済に加入しており 公共交通空白地有償運送中も補償対象となっていること 道路運送法に基づき 選任が必要 車両数が 5 台以上 ( 乗車定員 11 人以上の場合は 1 台以上 ) の場合は 資格を有する者の選任が必要 道路運送車両法に基づき 選任が必要 車両の種類及び数により資格を有する者の選任が必要 道路交通法に基づき 車両数が 5 台以上の場合は 選任が必要 16
2 公共交通空白地有償運送による運送の流れ 公共交通空白地有償運送による運送の流れは 概ね次のとおりです 1 運 行 当 日 ま で の 準 備 2 3 4 運 行 当 日 5 6 利住 用民 登の 録 利 運用 行の の申 予し 約込 み 住民 利用者 運行主体 住民は 運行主体 に対して事前の 利用登録を行い 運行主体は 住民からの利用登録を受 け付け 登録を受けた住民 利用者 の自宅の所在地を地図上で確認すると ともに 必要に応じて 経路や道幅 坂道の勾配などを現地で確認し 利用者は 電話な どにより期限ま でに利用の申し 込みを運行主体 へ行い 運行主体は 利用者の申し込みを受け 付け 車両や運転者を確保し 利用者 に対して申し込みを受け付けた旨 必 要に応じて 運行経路や時刻など を 伝達し なお 定時定路線で運行する場合 利 用者への伝達は不要です 決時運 定刻行 な経 ど路 のや 利用の申し込みに基づき 運行当日の経路や時刻などを決定し 車迎利 両え用 にに者 乗行を せき る 運行管理の責任者は 運転者の乗務前点呼を行い 整備管理の責任者は 車両の点検を行い 乗車場所まで利用者を迎えに行き 必要に応じて介助を行 い 車両に乗せ 車目利 両的用 か地者 らまを 降で ろ運 すび 運転者は 利用者を目的地まで運送し 必要に応じて介助 を行い 車両から降ろし 復路も利用がある場合は 迎えに行く時刻や場所を確認し 作運 成行 記 報録 告の 運転者は 運行が終了したら 利用者数や時間 走行距離 などを記録し 当日の運行記録を運行管理の担当者に報告 提出し 運行 管理の責任者は 運転者の終了点呼を行い 利用者から収受した運送の対価の精算を行い 次回の運行のために 車両の点検や清掃 給油などを行い 17
3 公共交通空白地有償運送に必要な人 モノ その他 (1) 人 公共交通空白地有償運送を行うに当たり必要となる人やモノなどは 概ね次のとおりです 組織 利用者 運転者 運行管理の責任者 整備管理の責任者 NPO 法人 農業協同組合 消費生活協同組合 医療法人 社会福祉法人 商工会議所 商工会 認可地縁団体 自治会 町内会 青年団 観光関係の協議会などの権利能力なき社団 当該地域内の住民及びその親族など当該地域内に繰り返しの用事がある人及びその同伴者で 事前の利用登録をした人市町村長が認めた場合には 当該地域内に繰り返しの用事がない来訪者又は滞在者も対象 第二種運転免許を受けている者第一種運転免許を受けており 国土交通大臣が認定する講習を修了している者 道路運送法に基づき 選任が必要車両数が 5 台以上 ( 乗車定員 11 人以上の場合は 1 台以上 ) の場合は 資格を有する者の選任が必要 道路運送車両法に基づき 選任が必要車両の種類及び数により資格を有する者の選任が必要 安全運転管理者道路交通法に基づき 車両数が 5 台以上の場合は 選任が必要 運転者と管理者の要件について 運転者の要件について 運転者の要件としては 第二種免許の取得は必須ではありません 第一種免許しか保有していない人でも 国の認定した講習を受講すれば 運転者となることが可能です 認定講習には 市町村運営有償運送等運転者講習 福祉有償運送運転者講習 セダン等運転者講習の 3 種類があり このうち 公共交通空白地有償運送の運転者が対象となるのは市町村運営有償運送等運転者講習になり市町村運営有償運送等運転者の認定講習を岡山県内で実施している団体は 平成 28 年 2 月 19 日現在で次のとおりです 真庭自動車学校電話 :0867-42-6161 株式会社稲荷自動車教習所電話 :086-287-2551 NPO 法人移動ネットおかやま電話 :0867-94-2143 なお その他の団体については 国土交通省ホームページに掲載されている大臣認定講習実施機関一覧をご覧ください (URL:http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk3_000012.html) 管理者の要件について 選任が必要な管理者として 運行管理の責任者は道路運送法 安全運転管理者は道路交通法 整備管理の責任者は道路運送車両法においてそれぞれ規定されていそのうち 運行管理の責任者については その役割に安全運転管理者の役割が含まれるため 両者を兼務することも可能です なお 運行管理の責任者の詳しい要件については 57 ページを参照してください 18
(2) モノ 車両備品事務所駐車場 運行主体が使用権原を持つもの 運転者による持ち込みも可能であるが 運送の実施中は使用権原及び運送に伴う責任が運行主体にあることを定めた契約書か使用承諾書が必要 電話で受け付けをする場合は電話回線 運行管理に当たってのパソコンや印刷機 現金を扱うための金庫など 登録に当たり必要であるが 特に要件はない 登録に当たり必要であるが 特に要件はない 車両について 車両の確保については さまざまな方法があり運行主体に使用の権原があればよいため 自ら保有する車両のほか 市町村等から貸与を受けた車両を使用することも可能です また 運転者の持ち込みによる車両を使用することもできますが 自動車保険 ( 任意 保険 ) の加入や更新時の費用負担 事故発生時の扱いなどを具体的に定めておく必要が あり 他の事例で見られる方法は次のとおりです 1 運行主体が保有する車両を使用する 足守地区生活バス ( 岡山市 ) 北木島過疎地有償運送 ( 笠岡市 ) など 2 市町村などから貸与を受ける 高知県梼原町など 3 運転者の持ち込みによる 阿波過疎地有償運送 ( 津山市 ) など 19
(3) その他 運送の対価 基本的に 実費の範囲内 営利と認められない範囲内とする 運送以外に 迎車料金や待機料金などを実費の範囲内で設定することが可能 運行区域必要性を認められた市町村の範囲内 ( 一部の区域とすることも可能 ) 手続き 運営協議会の設置が必要 運送の対価について 実費の範囲内 営利と認められない範囲内 について運送の対価は 基本的に 実費の範囲内 営利と認められない範囲内 とされており 時間制 距離制 時間 距離併用制いずれかのタクシーの運賃の概ね 1/2 を目安とされてい持続的な運行確保のためには 安易に安い金額に設定しないことが必要です 迎車料金や待機料金などの設定公共交通空白地有償運送は 集落の中心部から遠く離れた地域まで送迎が必要な場合がありまた 利用者が一度の利用で複数の用事を済ませたい場合 目的地での待機を求められる場合がありこうした場合などにおいて 別途 運送以外の部分の対価を設定することが可能です 20