モーニングセミナー 市中肺炎診療について 高松赤十字病院 六車博昭
肺炎とは? 肺炎とは肺実質の急性の感染性の炎症 多くは発熱 咳 痰 呼吸困難 胸痛などの症状を呈する
死因別にみた死亡率の年次推移 悪性新生物 脳血管疾患 心疾患 肺炎 不慮の事故自殺 肝疾患結核
肺炎は老人の友 誤嚥は肺炎の母
肺炎の分類 ( 発症の場所による分類 ) 市中肺炎 (Community-aquired pneumonia:cap) 院内肺炎 (Hospital-aquired pneumonia:hap) 医療 介護関連肺炎 (nursing and healthcare-associated pneumonia:nhcap)
肺炎の分類 ( 発症の場所による分類 ) 市中肺炎 (Community-aquired pneumonia:cap) 院内肺炎 (Hospital-aquired pneumonia:hap) 医療 介護関連肺炎 (nursing and healthcare-associated pneumonia:nhcap)
市中肺炎 (Community-acquired pneumonia;cap)
肺炎診断のためのフローチャート 症状 所見 ( 発熱, 咳, 痰, 胸痛, 呼吸困難など ) 胸部画像所見 : 浸潤影 ( 単純 X 線,CT) 肺炎 ( 臨床診断 ) 一般臨床検査 (WBC, CRP, 赤沈など ) 原因微生物の検索 ( 菌の検出, 血清検査など )
重症度は?
重症度分類 :A-DROP A(Age): 男性 70 歳以上 女性 75 歳以上 D(Dehydration): BUN 21mg/dl または脱水あり R(Respiration): SpO2 90% 以下 O(Orientation): 意識障害 P(Blood Pressure): 収縮期血圧 90mmHg 以下 0 項目 : 軽症 外来治療 1-2 項目 : 中等症 外来または入院治療 3 項目 : 重症 入院治療 4-5 項目 : 超重症 ICU 入院 ただしショックがあれば 1 項目でも超重症
原因微生物と検査法
市中肺炎における原因菌の頻度 肺炎球菌マイコプラズマクラミドフィラ ( クラミジア ) インフルエンザ菌黄色ブドウ球菌レジオネラモラクセラ カタラーリスオウム病クレブシエラ Streptococcus milleri group 嫌気性菌緑膿菌ウイルス 12.3~38.7% 5.2~27.4% 3.4~25.0% 4~18.5% 1.4 ~7.1% 0.6 ~4% 1.0 ~6.5% 0.3 ~2.2% 1.2 ~2.0% 1.1 ~1.8% 1.1 ~5.5% 0.4 ~2.0% 1.4~16.4% 非定型肺炎
尿中肺炎球菌抗原 微生物検査 インフルエンザ迅速検査 ( 流行時 ) 尿中レジオネラ抗原 ( 必要に応じて ) 外来 喀痰検査 ( 塗沫 培養検査 ); 一般細菌 抗酸菌検査抗生剤投与前がよい 喀出痰の培養結果は 必ずしも原因菌を意味するものではない ( 喀痰採取時に口腔内の常在菌や気道の定着菌が混入するため ) 血液培養可能であれば 2 セット以上 入院時 血清検査マイコプラズマ抗体 クラミジア抗体 βd グルカン ( 真菌検査 ) など
Geckler 分類 唾液には口腔内の上皮細胞 ( 扁平上皮細胞 ) が多く含まれている 肺炎の部位には好中球 ( 白血球の一部 ) が多く含まれている 扁平上皮細胞が多いと口腔内汚染が多く 検査には不適と判断する Geckler4 群 5 群が検査に適した検体
どうして血液培養は 2 セット必要なの? 1. 起炎菌の検出率が向上する 2. コンタミネーションと起炎菌の判断が ( ある程度 ) 容易となる
血液培養セット数と起因菌の検出率
血液量は血液培養の検出感度を最大化するための最大の重要な要素である
採血至適なタイミングは? 血液培養の採血は悪寒や発熱が認められたらできるだけ早く行う 発熱後時間が経てば経つほど微生物の検出率が低下する
非定型肺炎 非定型肺炎とは マイコプラズマやクラミドフィラ ( クラミジア ) などの 主として非細菌性微生物によって引き起こされる肺炎であり 乾性咳嗽が強く ペニシリン セフェム カルバペネム系抗生剤が無効という臨床上の特徴を持つ 非定型肺炎と細菌性肺炎を鑑別する必要がある 非定型肺炎と細菌性肺炎の合併もしばしばみられる
細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別 1 年齢 60 歳未満 2 基礎疾患がない あるいは軽微 3 頑固な咳がある 4 胸部聴診上所見が乏しい 5 痰がない あるいは迅速診断で原因菌らしきものがない 6 末梢血白血球が 10000/ul 未満 1~5の項目の5 項目中 3 項目以上陽性 非定型肺炎疑い 2 項目以下陽性 細菌性肺炎疑い この場合の非定型肺炎の感度は77.9%, 特異度は93.0% 1~6の項目の6 項目中 4 項目以上陽性 非定型肺炎疑い 3 項目以下陽性 細菌性肺炎疑い この場合の非定型肺炎の感度は83.9%, 特異度は87.0%
成人市中肺炎初期治療の基本フローチャート 外来治療外来治療外来サワシリンクラリスユナシンジスロマックオーグメンチン肺炎球菌尿中抗原 ( クラビット ) ( 必要によりインフルエンザ抗原 レジオネラ尿中抗原検査 ) 入院ピシリバクタパセトクール セフトリアキソン 原因菌不明 入院ミノサイクリンジスロマック 外来入院治療サワシリン ( 高用量 ) ( クラビット ) 肺炎球菌尿中抗原レジオネラ尿中抗原喀痰検査 入院ピシリバクタセフトリアキソン カルベニン 原因菌推定 ICU 治療 肺炎球菌尿中抗原レジオネラ尿中抗原喀痰検査 血液培養など メロペン + シプロフロキサン 細菌性肺炎疑い 非定型肺炎疑い 肺炎球菌性肺炎 その他の細菌性肺炎 ICU 治療肺炎 外来治療アモキシシリン Β ラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン 入院ペニシリン系注射薬セフェム系注射薬 外来マクロライド系テトラサイクリン系 ( レスピラトリーキノロン ) 入院ミノサイクリン注射薬マクロライド系注射薬 外来アモキシシリン ( 高用量 ) ( レスピラトリーキノロン ) 入院ペニシリン系注射薬 ( 高用量 ) セフェム系カルバペネム系 それぞれ特異的な抗菌薬を選択 カルバペネム系 + ニューキノロン ( シプロキサンなど ) またはミノマイシン
市中肺炎治療のまとめ 1 細菌性肺炎では, 高用量ペニシリン系薬を中心とした治療を行う (AII). 高齢者や肺に基礎疾患を有する患者の場合は, レスピラトリーキノロンの使用を積極的に考慮してよい (BII). 非定型性肺炎では, マクロライド系薬やテトラサイクリン系薬を第一選択とする. レスピラトリーキノロンは代替薬として温存すべきであるが (BII), 地域の状況によっては使用する (CIII).
市中肺炎治療のまとめ 2 細菌性肺炎か非定型性肺炎かが明らかでない場合は, 高用量ペニシリン系薬 + マクロライド系薬またはテトラサイクリン系薬の併用治療を第一とする (BII). レスピラトリーキノロンは, 代替薬として温存すべきである (BII). ICU 入室などより重症と考えられる場合は, 高用量ペニシリン系薬をはじめとする広域の β ラクタム系薬にマクロライド系薬もしくはニューキノロン系薬を治療開始当初から積極的に併用すべきである (AII).
肺炎の臨床経過 入院時 3 日目頃 1 診断臨床症状レントゲン (+CT) 採血喀痰検査尿中抗原 3 評価臨床所見 + 画像 + 採血改善あり改善なし 抗生剤変更を考える 2 治療抗生物質 ( 酸素 ) ( 補液 ) 肺炎と診断が確定すれば 抗生剤はできるだけ早く投与する (4 時間以内に投与 )
経過は良好なのか? CRP= 必ずしも重症度ではない 参考にはするが ベットサイドにおける肺炎の改善の指標 a. 解熱 b. 呼吸数の低下 c. 意識状態の改善 d. 痰量の低下 e. 酸素化の改善 (SpO2 ) 等等がある CRPが でも 改善している状態を見逃さない 逆に データは一見良くなっても 臨床経過が悪化している場合は要注意!!
抗生剤が効かないとき 微生物以外の要因による肺炎様陰影 1 心不全 肺水腫 2 肺癌 3 びまん性肺疾患薬剤性肺炎 間質性肺炎 器質化肺炎など 病原微生物による肺炎 1 細菌以外の微生物による肺炎マイコプラズマ クラミドフィラ レジオネラ 結核 真菌 ニューモシスチス肺炎 ( カリニ肺炎 ) など 2 細菌による肺炎耐性菌 薬剤投与量 投与回数の問題 薬剤の移行性の問題誤嚥の反復など
成人市中肺炎初期治療の基本フローチャート 外来治療 入院治療 ICU 治療 肺炎球菌尿中抗原 ( 必要によりインフルエンザ抗原 レジオネラ尿中抗原検査 ) 肺炎球菌尿中抗原レジオネラ尿中抗原喀痰検査 肺炎球菌尿中抗原レジオネラ尿中抗原喀痰検査 血液培養など 原因菌不明 原因菌推定 細菌性肺炎疑い 非定型肺炎疑い 肺炎球菌性肺炎 その他の細菌性肺炎 ICU 治療肺炎 外来治療アモキシシリン Β ラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン 入院ペニシリン系注射薬セフェム系注射薬 外来マクロライド系テトラサイクリン系 ( レスピラトリーキノロン ) 入院ミノサイクリン注射薬マクロライド系注射薬 外来アモキシシリン ( 高用量 ) ( レスピラトリーキノロン ) 入院ペニシリン系注射薬 ( 高用量 ) セフェム系カルバペネム系 それぞれ特異的な抗菌薬を選択 カルバペネム系 + ニューキノロン ( シプロキサンなど ) またはミノマイシン
レスピラトリーキノロン系薬 マイコプラズマやクラミドフィラ ( クラミジア ) などの非定型病原体に加えて細菌性肺炎の起因菌として最も高頻度である肺炎球菌にも有効なニューキノロン系薬
当院で使用可能な注射用ニューキノロン系薬 シプロフロキサシン (CPFX) レスピラトリーキノロンではない パシル (PZFX) 500mg 2 回 / 日では肺炎球菌性肺炎には適応なし 1000mg 2 回 / 日で肺炎球菌性肺炎には適応 クラビット (LVFX) レスピラトリーキノロン適応症は呼吸器感染症 慢性呼吸器病変の二次感染 腸チフス パラチフス 炭疽 ブルセラ症 ペスト 野兎病 Q 熱
主な内服ニューキノロン系薬の特徴 ( 以下はすべてレスピラトリーキノロン ) クラビット (LVFX) 有効性 安全性とも高いオールラウンド型のニューキノロン系薬 ジェニナック (GRNX) 呼吸器感染症や耳鼻咽喉科感染症の主要起因菌に対して優れた抗菌力を示す ( 呼吸器系 耳鼻科系の感染症しか適応症がない ) グレースビット (STFX) 最も新しいレスピラトリーキノロン系薬である 嫌気性菌を含めて抗菌活性は強い 軟便 下痢が多い アベロックス (MFLX) 抗菌活性は強い QT 延長に注意 呼吸器系組織への移行性がよい 胆汁排泄型で腎機能で用量調節が不要
カルバペネム系抗生剤 嫌気性菌 大部分のグラム陽性球菌 ( 腸球菌 メチシリン耐性ブドウ球菌以外 ) グラム陰性桿菌 ( マルトフィリア菌 一部のセパシア菌を除く ) に有効であり 強力で広域スペクトラムを有している
カルバペネム系は万能ではない クラミドフィラ マイコプラズマ レジオネラ MRSA S. maltophilia S. epidermidis ( 表皮ブドウ球菌 ) C. diffile E. faecium ( 腸球菌 ) 真菌 結核など
カルバペネム系抗生剤 イミペネム シラスタチン (IPM/CS) 催けいれん性が比較的強く, 髄膜炎の適応がない 極量 2g/ 日 グラム陽性球菌を中心に グラム陰性菌を中心に 中間 カルベニン (PAPM/BP) グラム陽性球菌に対しては特に強い抗菌活性を持っているが 緑膿菌に対する抗菌活性は他のカルバペネム系に比べ弱い 他のカルバペネム系抗生剤との交叉耐性の問題もあり 緑膿菌感染が疑われる場合は使用しない 極量は 2g/ 日 メロペン (MEPM) 重症感染症では極量 3g/ 日まで使用可能 ( 化膿性髄膜炎は 6g/ 日まで ) 肺炎球菌には他のカルバペネム系よりも若干効果が落ちる? フィニバックス (DRPM) 1 回投与量 (0.25~0.5g) が少ないため ( 添付文書では通常 1 回 0.25g 重症難治性の場合 0.5g) MIC の高い細菌には投与量を増加させることが必要 極量 3g/ 日 オメガシン (BIPM) 1 回投与量 (0.3g) が少ないため MIC の高い細菌には投与量を増加させることが必要 極量 1.2g/ 日
原因微生物の推定の参考となる情報
インフルエンザシーズンインフルエンザ罹患時の肺炎はインフルエンザそのものによるウイルス性肺炎と二次性の細菌性肺炎の鑑別が必要 細菌感染を疑う場合は 肺炎球菌 インフルエンザ菌 黄色ブドウ球菌などを考慮する 温泉 スパ 循環式浴槽入浴歴レジオネラ肺炎を疑う 尿中抗原は簡便であるが すべてのレジオネラを検出できるわけではない 高齢者 脳血管障害 胃 食道手術 口腔病変の患者誤嚥の存在を疑い 嫌気性細菌にも有効な抗生剤を選択する
慢性気管支炎 気管支拡張症インフルエンザ菌や緑膿菌を想定する 罹患期間が長い患者では緑膿菌の頻度が高くなる 家畜や妊娠している猫などとの接触 Q 熱を鑑別診断にいれる 免疫抑制療法を受けている患者 ( ステロイドや抗 TNF-α 抗体などの投与を受けている患者 ) 結核 ニューモシスチス イロベチ ( カリニ ) サイトメガロウイルス感染症を鑑別診断に入れる 白血球減少状態の患者細菌性では緑膿菌 真菌ではアスペルギルス肺炎を鑑別に入れる
肺炎の画像パターン i) 非区域性分布の肺胞性肺炎 ii) 気管支肺炎 iii) 画像パターンとしての間質性肺炎 ( 病理所見が必ずしも合致しない )
非区域性分布の肺胞性肺炎 ( 大葉性肺炎 ) 肺炎の分類 気管支肺炎 間質性肺炎 肺の一葉全てが炎症を起こしているために レントゲン写真上は肺の一葉全体の浸潤影となる 肺野に病巣が散在している 肺全体がびまん性に冒されてレントゲン上はスリガラス様となる
i) 非区域性分布の肺胞性肺炎 非区域性分布の肺胞性肺炎は 浸潤影が区域の境を越えて進展するという特徴を有している 均等な浸潤影を示し 病変の及んでいない周囲との境界は比較的明瞭である このパターンを示す起炎菌は肺炎球菌によることが最も多く クレブシェラやレジオネラによる肺炎もこのパターンの画像所見を呈する 肺炎以外の疾患では COP も非区域性分布を呈する
i) 非区域性分布の肺胞性肺炎 これらの起炎菌による肺炎では 浸出液が短期間に大量に産生される 浸出液の量が増えるとともに 浮腫液は肺胞孔 (Kohn 孔または Lambert 管 ) を介して周囲へと広がっていく 炎症による浸出液が多い際には 肺葉は拡張し 葉間を圧排する (bulging fissure sign)
ii) 気管支肺炎 気管支周囲 あるいは細気管支周囲の局所的な滲出 ( 区域性分布 ) から 1 つ または複数の区域にまたがるもの 両側性のものまで様々である 気管支肺炎においては しばしば気道にも炎症が及ぶため 侵された区域 または肺葉の容積は減少する 気管支肺炎は黄色ブドウ球菌 インフルエンザ菌 モラキセラ カタラーリス および緑膿菌によることが多い
iii) 画像パターンとしての間質性肺炎 ( 病理所見が必ずしも合致しない ) 胸部単純写真でのスリガラス陰影と 胸部 CT でのスリガラス陰影は全く意味の異なることにも留意すべきである スリガラス陰影を見た際に その肺炎が間質性肺炎であるとの解釈は多くは誤っており むしろ細気管支肺炎 あるいは気管支肺炎などを見ていることが多い
iii) 画像パターンとしての間質性肺炎 ( 病理所見が必ずしも合致しない ) マイコプラズマ肺炎の病変の場は 線毛を有する気道の上皮であり 胸部 CT では 血管 気管支周囲に沿って浸潤影が広がっていく 細気管支の炎症を反映して肺の容積が減少する
症例 ;77 歳 男性主訴 ; 咳 痰 食欲不振現病歴 ; 約 10 日前から咳 膿性痰が出現 3 日前より食欲不振も出現したため 当院を受診した 現症 : 体温 ;37.1 血圧 118/60 意識清明 SpO2 92% ( 室内空気 ) 胸部聴診 ; 右肺呼吸音減弱 湿性ラ音 検査所見 WBC 14000, CRP 18.4, UN 22.8, Cre 0.6 尿中肺炎球菌抗原 ; 陽性 尿中レジオネラ抗原 ; 陰性 抗マイコプラズマ抗体 ;40 倍未満 喀痰 ; 一般細菌 ;S. pneumoniae
初診時胸部レントゲン CT
入院時 退院時 ABPC/SBT 3g 3 回 ユナシン ; 常用量 ;3g 2 回 重症例 ;12g/ 日まで使用可
症例 ;20 歳 女性主訴 ; 発熱 咳 痰現病歴 ;H23 年 6/7 頃から 38 台の発熱 咳 白色痰が出現 6/9 に当院受診 セフゾン処方されたが 症状改善しなかった 6/12 当院救急外来を受診 肺炎の診断で入院となった 食欲不振あり 現症 : 体温 ;39 血圧 126/70 意識清明 SpO2 95% ( 室内空気 ) 胸部聴診 ; ラ音なし 左背部呼吸音減弱 検査所見 WBC 6600, CRP 16.4, UN 6.8, Cre 0.7 尿中肺炎球菌抗原 ; 陰性 尿中レジオネラ抗原 ; 陰性 抗マイコプラズマ抗体 ;40 倍未満喀痰 ; 一般細菌 ; 常在菌 抗酸菌 ;G-0 号 結核 PCR; 陰性
入院時胸部レントゲン CT
細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別 1 年齢 60 歳未満 2 基礎疾患がない あるいは軽微 3 頑固な咳がある 4 胸部聴診上所見が乏しい 5 痰がない あるいは迅速診断で原因菌らしきものがない 6 末梢血白血球が 10000/ul 未満 1~6 項目 すべて満たす
治療前 MINO PZFX 治療後 マイコプラズマ抗体 ;40 倍未満 1280 倍
症例 ;80 歳 男性主訴 ; 咳 痰現病歴 ;H26 年 2/10 頃から咳 白色痰が出現するようになり 2/15 に近医を受診 胸部異常陰影を認めたため 2/19 当科を紹介された 食欲低下なし現症 : 体温 ;37.1 血圧 130/70 意識清明 SpO2 95% ( 室内空気 ) 胸部聴診 ; 右肺に湿性ラ音 検査所見 WBC 6700, CRP 4.26, UN 11.3, Cre 0.9 尿中肺炎球菌抗原 ; 陰性 尿中レジオネラ抗原 ; 陰性 抗マイコプラズマ抗体 ;40 倍未満 C. pneumoniae IgM 0.46 喀痰 ; 一般細菌 ; 常在菌 抗酸菌 ;G-0 号 結核 PCR; 陰性
初診時胸部レントゲン CT
入院時 LVFX CTRX+AZM MEPM 入院 10 日後
入院 10 日後 入院 24 日後 器質化肺炎 (COP;cryptogenic organizing pneumonia) を疑い PSL 35mg/ 日投与
PK/PD の理論 薬物動態 (PK) と薬力学 (PD) を組み合わせて 薬剤の有効性や安全性を評価する考えかたである 抗菌薬の臨床効果が最大限得られるように 最適な用法 用量を設定するための指標になる
PK/PD パラメーター
抗菌効果 濃度依存性殺菌作用と長い持続効果 (PAE) 時間依存性殺菌作用と短い持続効果 (PAE) 時間依存性殺菌作用と長い持続効果 (PAE) PK-PD パラメータと抗菌薬 PK/PD パラメーター Cmax/MIC %T>MIC AUC/MIC 抗菌薬 キノロン系薬アミノグリコシド系薬 カルバペネム系セフェム系薬モノバクタム系薬ペニシリン系薬 アジスロマイシンクラリスロマイシンテトラサイクリンバンコマイシン 投与回数を減らし 1 回投与量を増やす 1 回投与量を増やすより 1 日量を分割し 投与回数を増やす 1 日投与量を増やす PAE;post antibiotic effect; 抗菌薬が最近に接触した後に血中濃度が MIC 以下あるいは消失しても持続してみられる細菌の増殖抑制効果をいう
メロペンの投与量 投与回数の違いによる TAM% の変化メロペン 1g 2 回 vs 0.5g 4 回
抗生剤には 大きく 2 種類ある 投与回数が多いほうが望ましい ペニシリン系 セフェム系 カルバペネム系など 投与回数は 1 回でよいが 投与量を多くして最大血中濃度を高いほうが望ましい キノロン系 アミドグリコシド系など
治療薬物モニタリング Therapeutic drug monitoring (TDM) TDM は薬剤の有効性を確保し 副作用の発現を避けることを目的に行う 注射用バンコマイシン (VCM) テイコプラニン (TEIC) アミノグリコシド系薬ボリコナゾール (VRCZ)
例 ; アルベカシンの PK-PD 臨床効果臨床効果と Cmax/MIC 8 が相関し 目標 Cmax 9-20 μg/ml とされている 専門家は Cpeak ;15-20 μg/ml を推奨している 有害事象腎関連副作用の発現率はトラフ濃度と関係している腎機能障害の観点からトラフ値は 2 μg/ml 未満とする
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