平成30年3月決算における税務上の留意事項

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平成30年3月期決算の留意事項(税務)

役員給与の見直し(10月施行分)のポイント

今般の改正により 一定の要件を満たす RSU PS による役員給与について 損金算入が可能となります (RSU は事前確定届出給与 PS は業績連動給与 ) 株式交付信託は交付規程の内容により損金算入の可否を判断する必要があると考えられます 図表 1 平成 29 年度税制改正後の役員給与における株式

平成29年3月決算における税務上の留意事項

企業中小企(2) 所得拡大促進税制の見直し ( 案 ) 大大企業については 前年度比 以上の賃上げを行う企業に支援を重点化した上で 給与支給総額の前年度からの増加額への支援を拡充します ( 現行制度とあわせて 1) 中小企業については 現行制度を維持しつつ 前年度比 以上の賃上げを行う企業について

平成23年度税制改正の主要項目

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目 次 問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 1 問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 3 問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 5 問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 6

平成20年2月

「図解 外形標準課税」(仮称)基本構想

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

税効果会計シリーズ(3)_法定実効税率

1 繰越控除適用事業年度の申告書提出の時点で判定して 連続して 提出していることが要件である その時点で提出されていない事業年度があれば事後的に提出しても要件は満たさない 2 確定申告書を提出 とは白色申告でも可 4. 欠損金の繰越控除期間に誤りはないか青色欠損金の繰越期間は 最近でも図表 1 のよ

税額控除限度額の計算この制度による税額控除限度額は 次の算式により計算します ( 措法 42 の 112) 税額控除限度額 = 特定機械装置等の取得価額 税額控除割合 ( 当期の法人税額の 20% 相当額を限度 ) 上記算式の税額控除割合は 次に掲げる区分に応じ それぞれ次の割合となります 特定機械

目次 改正の趣旨 1 改正の概要 1 申請に当たっての留意点 3 具体的な事例に基づく記載例 事例 1 定時株主総会の招集時期を特定の月とする場合 4 事例 2 定時株主総会の招集時期を議決権の基準日から3 月以内とする場合 6 略 語 法 所得税法等の一部を改正する等の法律 ( 平成 29 年法律

労働基準法が改正されます

要件① 雇用者給与等・・・・ (ざっくり) 平成24年度の給与総額と比べて、平成25年以降毎年、一定割合以上給与総額が増えていること。 <雇用者給与等支給額とは> <一定割合とは>

3. 改正の内容 法人税における収益認識等について 収益認識時の価額及び収益の認識時期について法令上明確化される 返品調整引当金制度及び延払基準 ( 長期割賦販売等 ) が廃止となる 内容改正前改正後 収益認識時の価額をそれぞれ以下とする ( 資産の販売若しくは譲渡時の価額 ) 原則として資産の引渡

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

法人税 faq

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下では特別償却と対比するため 特別控除については 特に断らない限り特定の機械や設備等の資産を取得した場合を前提として説明することとします 特別控除 内容 個別の制度例 特定の機械や設備等の資産を取得して事業の用に供したときや 特定の費用を支出したときなどに 取得価額や支出した費用の額等 一定割合 の

所内研修議事録

(2) 青色申告書を提出する中小企業者等 ( 平成 3 年 4 月 日以後開始する事業年度については 適用除外事業者 ( 注 4) を除く ) が 平成 30 年 4 月 日から平成 33 年 3 月 3 日までの間に開始する各事業年度において 国内雇用者に対して給与等を支給する場合に継続雇用者給与

2. 中小企業のための主な優遇制度 注 : 各項目に付記している番号は 関連する参考資料です 番号に対応する資料名などは 5~6 ページに掲載していますのでご参照ください [1] 中小法人等 に適用される主な優遇制度 紙面の都合により ここでは制度の種類と それに関連する参考資料の番号を紹介していま

法人税における役員特有の取扱いには 主に次のようなものがあります この取扱いは みなし役 員も対象となります 項目 役員給与 損金算入制限 過大役員給与 特有の取扱い 定期同額給与 ( 注 1) や事前確定届出給与 ( 注 2) など一定のもの以外は損金不算入 実質基準 ( 職務内容 収益状況など

5 配偶者控除等 配偶者控除 配偶者特別控除 扶養控除及び勤労学生控除の合計所得金額の要件 について 一律 10 万円ずつ引き上げられます 6 青色申告特別控除正規の簿記の原則により記帳している者に係る控除額が 55 万円に引き下げられ 正規の簿記の原則により記帳し かつ e5tax 等により確定申

はじめに 会社の経営には 様々な判断が必要です そのなかには 税金に関連することも多いでしょう 間違った判断をしてしまった結果 受けられるはずの特例が受けられなかった 本来より多額の税金を支払うことになってしまった という事態になり 場合によっては 会社の経営に大きな影響を及ぼすこともあります また

6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

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事前確定届出給与に関する届出書

収益事業開始届出 ( 法人税法第 150 条第 1 項 第 2 項 第 3 項 ) 1 収益事業の概要を記載した書類 2 収益事業開始の日又は国内源泉所得のうち収益事業から生ずるものを有することとなった時における収益事業についての貸借対照表 3 定款 寄附行為 規則若しくは規約又はこれらに準ずるもの

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試験研究費 9,, 7,, Check7 14,, 14,, Check8 7,, 2,, 14,, 6,, 6,, 税務弘報

平成20年度の税制改正により、地域間の税源偏在を是正するため、消費税を含む税体系の抜本的な改革が行われるまでの間の暫定的措置として、法人事業税の一部を分離し、地方法人特別税及び地方法人特別譲与税が創設されました

障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

HPのトップページ更新原稿

上場株式等の配当等に対する課税

1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

. 減価償却の仕組みを理解する 60 定率法 定額法など減価償却の方法を理解しましょう. 有価証券の整理をする 68 有価証券一覧表に 購入売却のつど その取引内容を記載していくと 決算業務の際に便利です. 受取配当金を集計する 78 有価証券の整理後 受取配当金と源泉所得税を集計し 申告書作成の準

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第一法基通改正7

改正 ( 事業年度の中途において中小企業者等に該当しなくなった場合等の適用 ) 42 の 6-1 法人が各事業年度の中途において措置法第 42 条の6 第 1 項に規定する中小企業者等 ( 以下 中小企業者等 という ) に該当しないこととなった場合においても その該当しないこととなった日前に取得又

改正前改正案速報 5. 改正の内容 (1) 研究開発税制の見直し ( 大企業の場合 ) 総額型 上乗せ措置 税額控除額 = 試験研究費の総額 税額控除率 (6%14%: 試験研究費の増減割合に応じて ) 控除上限額 法人税額 25% 高水準型 税額控除額 = 試験研究費の額のうち平均売上金額 10%

2. 改正の趣旨 背景 (1) 問題となっていたケース < 親族図 > 前提条件 1. 父 母 ( 死亡 ) 父の財産 :50 億円 ( すべて現金 ) 財産は 父 子 孫の順に相続する ( 各相続時の法定相続人は 1 名 ) 2. 子 子の妻 ( 死亡 ) 父及び子の相続における相次相続控除は考慮

第68回税理士試験 消費税法 模範解答(理論)

Japan Tax Newsletter

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注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

平成27年3月決算における税務上の留意事項

2. 改正の趣旨 背景給与所得控除 公的年金等控除から基礎控除へ 10 万円シフトすることにより 配偶者控除等の所得控除について 控除対象となる配偶者や扶養親族の適用範囲に影響を及ぼさないようにするため 各種所得控除の基準となる配偶者や扶養親族の合計所得金額が調整される 具体的には 配偶者控除 配偶

[2] 財務上の影響 自己株式を 取得 した場合には 通常の有価証券の Ⅰ. 株主資本 ように資産に計上することはせず 株主との間の資本取 1. 資本金 引と考え その取得原価をもって純資産の部の株主資本 2. 資本剰余金 (1) 資本準備金 から控除します そのため 貸借対照表上の表示は金額 (2

事業承継税制の概要 事業承継税制は である受贈者 相続人等が 円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において その非上場株式等に係る贈与税 相続税について 一定の要件のもと その納税を猶予し の死亡等により 納税が猶予されている贈与税 相続税の納付が免除される

平成 31 年度 税制改正の概要 平成 30 年 12 月 復興庁

適用時期 法人の平成 26 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度分の法人税について適用されます 改正措法附則案 使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例 ( 法人が支出した使途秘匿金の額に 40% の割合を乗じて計算した金額をその納付すべき法人

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

CONTENTS 第 1 章法人税における純資産の部の取扱い Q1-1 法人税における純資産の部の区分... 2 Q1-2 純資産の部の区分 ( 法人税と会計の違い )... 4 Q1-3 別表調整... 7 Q1-4 資本金等の額についての政令の規定 Q1-5 利益積立金額についての政

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

(0830時点)PR版

過納金とは 納付納入の時にはそれに対応する租税債務が存在していたが 結果的に不適法な納付納入となった場合における地方公共団体の徴収金のことであり 1 納付納入の時には一応適法であったものが その申告 更生 決定又は賦課決定が誤って過大にされていたため 後になって減額更正 減額の賦課決定又は賦課決定の

租税特別措置法 ( 昭和三十二年法律第二十六号 ) 第十条の二 第四十二条の五 第六十八条の十 租税特別措置法 ( 昭和三十二年法律第二十六号 ) ( 高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除 ) 第十条の二青色申告書を提出する個人が 平成三十年四月一日 ( 第二号及

給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

Q1 法人事業税の負担変動の軽減措置とは どのような制度ですか? A. 平成 27 年度税制改正により導入された 外形標準課税の拡大 ( 所得割の税率引き下げ及び付加価値割 資本割の税率引き上げ ) によって生じる税負担の変動の影響を緩和する措置で 付加価値額が一定以下の法人を対象に税負担の増加につ

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

て 次に掲げる要件が定められているものに限る 以下この条において 特定新株予約権等 という ) を当該契約に従つて行使することにより当該特定新株予約権等に係る株式の取得をした場合には 当該株式の取得に係る経済的利益については 所得税を課さない ただし 当該取締役等又は権利承継相続人 ( 以下この項及

[Q1] 復興特別所得税の源泉徴収はいつから行う必要があるのですか 平成 25 年 1 月 1 日から平成 49 年 12 月 31 日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際 復興特別所得税を併せて源泉徴収しなければなりません ( 復興財源確保法第 28 条 ) [Q2] 誰が復興特別所

(1) 改正の内容 内容 現行制度 特例制度 納税猶予対象株式 納税猶予税額 発行済議決権株式総数の 3 分の 2 に達するまでの株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係る贈与税の全額 相続の場合 : 納税猶予対象株式に係る相続税の 80% 取得した全ての株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税制度の改正

【表紙】

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iii. 源泉徴収選択口座への受入れ源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

新・NPO法人申請マニュアル.pwd

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

9 試験研究費の額に係る法人税額の特別控除額 2 10 還付法人税額等の控除額 3 11 退職年金等積立金に係る法人税額 4 12 課税標準となる法人税額又は個別帰属法人税額及びその法人税割額 の5の欄 ) リース特別控除取戻税額( 別表 1(2) の5の欄又は別表 1(3)

【問】適格現物分配に係る会計処理と税務処理の相違

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平成19年度税制改正.xls

2 引き続き居住の用に供している場合 とされる場合本人が 転勤などのやむを得ない事情により 配偶者 扶養親族その他一定の親族と日常の起居を共にしないこととなった場合において その家屋等をこれらの親族が引き続きその居住の用に供しており やむを得ない事情が解消した後は 本人が共にその家屋に居住することに

経 [2] 証券投資信託の償還 解約等の取扱い 平成 20 年度税制改正によって 株式投資信託等の終了 一部の解約等により交付を受ける金銭の額 ( 公募株式投資信託等は全額 公募株式投資信託等以外は一定の金額 ) は 譲渡所得等に係る収入金額とみなすこととされてきました これが平成 25 年度税制改

e. 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度 ( ジュニア NISA) 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度に基づき 証券会社等の金融商品取引業者等に開設した未成年者口座において設定した非課税管理勘定に管理されている上場株式等 ( 平成 28 年 4 月 1 日から平成 35 年 12

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間の初日以後 3 年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間 6 高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例事業者 ( 免税事業者を除く ) が簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に国内における高額特定資産の課税仕入れ又は高額特定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取り ( 以下 高

Ⅲ.( 見直し ) 基礎控除基礎控除について 次の見直しを行う 1 控除額を一律 10 万円引き上げる 2 合計所得金額が 2,400 万円を超える個人についてはその合計所得金額に応じて控除額が逓減し 合計所得金額が 2,500 万円を超える個人については基礎控除の適用はできないこととする 上記の見

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資料8-2 平成29年度文部科学関係税制改正事項

2017年度税制改正 年度税制改正

平成 26 年 5 月に 顧客との契約から生じる収益 (IASB においては IFRS 第 15 号 ( 平成 30 年 1 月 1 日 以後開始事業年度から適用 ) FASB においては Topic606( 平成 29 年 12 月 15 日後開始事業年度から適 用 )) を公表しました これらの

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経営者が最低限知っておきたい! 役員給与の税務 Ⅱ

平成16年10月1日発行

第11 源泉徴収票及び支払調書の提出

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11 市町村民税の申告書 空欄は 次のように記載します (1) 法人税の中間申告書に係る申告の場合は 中問 (2) 法人税の確定申告書 ( 退職年金等積立金に係るものを除きます ) 又は連結確定申告書に係る申告の場合は 確定 (3) (1) 又は (2) に係る修正申告の場合は 修正中間 又は 修正

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内に 耐火建築物以外の建物についてはその購入の日以前 20 年以内に建築されたものであること 地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるものに適合する一定の中古住宅 を 平成 17 年 4 月 1 日以降に取得した場合には 築年数に関係なく適用が受けられます (56ページ 一

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税務 平成 30 年 3 月決算における税務上の留意事項 デロイトトーマツ税理士法人税理士 すずききよひろ鈴木ᅠ清博 1. はじめに平成 29 年度税制改正では 我が国経済の好循環を確 かなものとするために コーポレートガバナンスを強化することにより 中長期的な企業価値の向上に資する投資など 攻めの経営 を促進することに重きを置いたものとなった 平成 29 年度税制改正に関する 所得税法等の一部を改正する等の法律 は 平成 29 年 3 月 31 日に公布され 平成 29 年 4 月 1 日に施行された 本稿では平成 29 年度税制改正のうち 法人の平成 30 年 3 月決算に影響を与える主な事項を中心に その留意事項を解説する なお 平成 30 年度税制改正についても一部コメントを加えているが 当該税制改正案については 現時点 ( 平成 30 年 2 月現在 ) で 法案は成立していないことにご留意頂きたい 2. 平成 29 年度税制改正 ( 法人税 ) (1) 法人税率 実効税率平成 28 年度税制改正により法人税率が段階的に引き 下げられ また 平成 28 年 11 月 28 日に公布 施行された改正法案 ( 以下 平成 28 年 11 月改正法案 ) により 消費税の税率変更等が平成 31 年 10 月 1 日へ延期されたことに伴い 法人住民税法人税割 地方法人税の税率改正 地方法人特別税の廃止とそれに伴う法人事業税への復元の実施時期が 平成 31 年 10 月 1 日以後に開始する事業年度に延長された これについて平成 29 年度税制改正において特段の見直しは行われていない この結果 3 月決算法人の今後の法人実効税率は下表のとおりとなった なお 中小法人 公益法人等 協同組合等については いわゆる軽減税率 (19% 等 ) が適用されるが この軽減税率についても平成 29 年度税制改正において特段の見直しは行われていない しかし 租税特別措置法において措置されている軽減税率の特例 (19% 15%) は 平成 27 年度税制改正においてその適用期限が平成 29 年 3 月 31 日までに開始する各事業年度までとされていたが 平成 29 年度税制改正により その適用期限が平成 31 年 3 月 31 日までに開始する各事業年度までとされ 適用期限が2 年間延長されることとなった ( 措法 42 の3の21 ) 標準税率適用かつ外形標準課税法人 (3 月決算法人 ) の場合 平成 30 年 3 月期 平成 31 年 3 月期及び平成 32 年 3 月期 平成 33 年 3 月期 1 法人税 23.4% 23.2% 23.2% 2 地方法人税 23.4% 4.4%=1.03% 23.2% 4.4%=1.02% 23.2% 10.3%=2.39% 3 住民税 23.4% 12.9%=3.02% 23.2% 12.9%=2.99% 23.2% 7.0%=1.62% 4 事業税 (*) 0.7%+0.7% 414.2%= 3.6% 0.7%+0.7% 414.2%= 3.6% 3.6% 5 表面税率 (1+2+3+4) 6 実効税率 (5 (1+4)) 31.05% 30.81% 30.81% 29.97% 29.74% 29.74% (*) 外形標準課税対象外法人の年 800 万円超所得分の標準税率 平成 31 年 9 月 30 日以前開始事業年度までは地方法人特別税を含む また 外形標準課税の付加価値割及び資本割を含まない 次表においても同じ テクニカルセンター会計情報 Vol. 500 / 2018. 4 2018. For information, contact Deloitte Touche Tohmatsu LLC. 37

東京都超過税率適用かつ外形標準課税法人 (3 月決算法人 ) の場合 平成 30 年 3 月期 平成 31 年 3 月期及び平成 32 年 3 月期 平成 33 年 3 月期 1 法人税 23.4% 23.2% 23.2% 2 地方法人税 23.4% 4.4%=1.03% 23.2% 4.4%=1.02% 23.2% 10.3%=2.39% 3 住民税 23.4% 16.3%=3.81% 23.2% 16.3%=3.78% 23.2% 10.4%=2.41% 4 事業税 (*) 0.88%+0.7% 414.2%= 3.78% 0.88%+0.7% 414.2%= 3.78% 3.78% 5 表面税率 (1+2+3+4) 6 実効税率 (5 (1+4)) 32.02% 31.78% 31.78% 30.86% 30.62% 30.62% (2) 研究開発税制の見直し 1 試験研究費の定義の見直しこれまでは研究開発税制の支援対象は 製造業による モノ作り に係る研究開発費とされていた しかし 平成 29 年度税制改正により この支援対象にビッグデータ等を活用した第 4 次産業革命型の サービス の開発に係る研究開発費が追加された ( 措法 42の48 一 ) 2 試験研究費の増加額に係る税額控除制度 ( 以下 増加型の税額控除制度 ) の廃止後述の控除税率の見直しに伴い 増加型の税額控除制度は 適用期限である平成 29 年 3 月 31 日の到来をもって廃止された 3 平均売上金額の10% 相当額を超える試験研究費の額に係る税額控除制度 ( 以下 高水準型の税額控除制度 ) の期限延長高水準型の税額控除制度は 平成 26 年度税制改正において その適用期限が平成 29 年 3 月 31 日までに開始 する各事業年度とされていたが 平成 29 年度税制改正 により その適用期限が平成 31 年 3 月 31 日までに開始 する各事業年度までとされ 適用期限が 2 年間延長され ることとなった ( 措法 42 の 47) これに伴い 従来は 増加型の税額控除制度と高水準型の税額控除制度との選 択適用が認められていたが 平成 30 年 3 月決算において は 高水準型の税額控除制度のみの適用となることに留 意を要する 4 控除率 控除上限の見直し 平成 29 年度税制改正により 試験研究費に係る税額 控除限度額は 下表のとおりとなった ( 措法 42 の 4 平 29 改正法附則 61) なお デフレ脱却と経済再生に向け 生産性向上のた めの設備投資と持続的な賃上げを強力に後押しする観点 から 平成 30 年度税制改正案において研究開発税制の 適用要件に関する改正が盛り込まれている 研究開発税 制について 今後の動向に留意を要する 平成 30 年 3 月期決算における研究開発税制の控除率 控除上限 対象法人要件税額控除割合控除上限 総額型 青色申告法人 中小企業者等 増減試験研究費割合 >5% 増減試験研究費割合 5% 増減試験研究費割合 >5% 9%+( 増減試験研究費割合 -5% ) 0.3 (14% を超える場合には 14% とする ) 9% -( 5%- 増減試験研究費割合 ) 0.1 (6% 未満である場合には 6% とする ) 12%+( 増減試験研究費割合 -5% ) 0.3 (17% を超える場合には 17% とする ) 増減試験研究費割合 5% 12% 25%(*) 25%(*) 35% 25%(*) オープンイノ ベーション型 青色申告法人特別試験研究費の額がある場合 20% 又は 30% 5% 高水準型青色申告法人試験研究費の額 > 平均売上金額 10% ( 試験研究費割合 -10% ) 0.2 10% (*) 平成 30 年 3 月期決算において 試験研究費割合が 10% を超える場合には 上表の 25% は 25%+( 試験研究費割合 -10%) 2 (35% を超える場合には 35%) とする 38 テクニカルセンター会計情報 Vol. 500 / 2018. 4 2018. For information, contact Deloitte Touche Tohmatsu LLC.

(3) 所得拡大促進税制の拡大高い賃上げを行う企業への支援強化をするため 平成 29 年度税制改正により 所得拡大促進税制の適用要件の見直し及び税額控除額の拡大が行われた の適用要件及び税額控除額は 以下のとおりである なお デフレ脱却と経済再生に向け 生産性向上のための設備投資と持続的な賃上げを強力に後押しする観点から 平成 30 年度税制改正案において所得拡大促進税制の改組に関する内容が盛り込まれている 所得拡大促進税制について 今後の動向に留意を要する 所得拡大促進税制 ( 中小企業者等以外の場合 ) 対象法人適用要件控除額 控除 限度額 次のすべての要件を満たす必要がある 1 雇用者給与等支給増加額 10% 中小企業 者等以外 の法人 雇用者給与等支給増加額 1 5% 基準雇用者給与等支給額 2 雇用者給与等支給額 比較雇用者給与等支給額 平均給与等支給額 - 比較平均給与等支給額 3 2% 比較平均給与等支給額 2 次のいずれか小さい方の金額 2% 雇用者給与等支給増加額 雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額 3 1+2 10% 所得拡大促進税制 ( 中小企業者等の場合 ) 対象法人適用要件控除額 控除 限度額 次のすべての要件を満たす必要がある 雇用者給与等支給増加額 1 3% 基準雇用者給与等支給額 雇用者給与等支給増加額 10% 2 雇用者給与等支給額 比較雇用者給与等支給額 中小企業 3 平均給与等支給額 > 比較平均給与等支給額 者等 上記の要件のすべてを満たし かつ 下記の要件も満た す場合 1 雇用者給与等支給増加額 10% 2 次のいずれか小さい方の金額 12% 雇用者給与等支給増加額 20% 平均給与等支給額 - 比較平均給与等支給額 4 2% 比較平均給与等支給額 雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額 3 1+2 (4) 役員給与等の見直し 1 利益連動給与 ( : 業績連動給与 ) の見直し従来の 利益連動給与 が 平成 29 年度税制改正に より 業績連動給与 にその名称が改正された なお 具体的な改正内容は以下のとおりである テクニカルセンター会計情報 Vol. 500 / 2018. 4 2018. For information, contact Deloitte Touche Tohmatsu LLC. 39

業績連動給与の改正内容 支給額の算定指標の見直し 損金経理要件の見直し 改正前 その事業年度の利益の状況を示す指標 その支給額につき 損金経理をしていること 支給額の算定指標は 次のものとされた ( 法法 34 1 三イ ) (1) 職務執行期間開始日以後に終了する事業年度の利益の状況を示す指標 (2) 職務執行期間開始日の属する事業年度開始の日以後の所定の期間又は職務執行期間開始日以後の所定の日における株式の市場価格の状況を示す指標 (3) 職務執行期間開始日以後に終了する事業年度の売上高の状況を示す指標 ( 利益の状況を示す指標又は株式の市場価格の状況を示す指標と同時に用いられるもの ) その支給額につき 損金経理をしていること ( 業績連動給与の見込み額として損金経理により引当金勘定に繰り入れた金額を取り崩す方法により経理していることを含む )( 法令 6917 二 ) 株式又は新株予約権による給与の追加 その支給額の算定方法が その事業年度の利益連動指標を基礎とした客観的なもので 確定額を限度としたもの 損金算入できる業績連動給与の範囲に 次のものが追加された ( 法法 341 三 ) 交付される株式若しくは新株予約権の数又は交付される新株予約権のうち無償で取得され 若しくは消滅する数の算定方法が業績連動指標を基礎とした客観的なもので 確定した数を限度としたもの 対象法人の追加 同族会社に該当しない内国法人 業績連動給与の損金算入の規定の対象法人は 次の法人とされた ( 法法 34 三 ) 同族会社に該当しない内国法人 法人のうち 同族会社にあっては 同族会社以外の法人との間に当該法人による完全支配関係があるもの なお この改正は 上記のうち新株予約権に係る部分以外は 平成 29 年 4 月 1 日以後にその支給に係る決議 ( その決議が行われない場合には その支給 ) をする給与について適用され 上記のうち新株予約権に係る部分及び退職給与で業績連動給与に該当するものに係る部分は 平成 29 年 10 月 1 日以後にその支給に係る決議 ( その決議が行われない場合には その支給 ) をする給与について適用されるため 適用時期に留意を要する 2 事前確定届出給与の見直し平成 29 年度税制改正により 事前確定届出給与の範囲に 所定の時期に確定した数の株式又は新株予約権を交付する旨の定めに基づいて支給する給与が追加された ( 法法 341 二 ) その結果 事前確定届出給与の範囲は 下表のとおりとなった 事前確定届出給与 ( 法法 341 二 ) Ⅰ Ⅱ Ⅲ 確定した額の金銭による給与 確定した数の株式による給与 確定した数の新株予約権による給与 確定した金銭債権に係る特定譲渡制限付株式よる給与 確定した金銭債権に係る特定新株予約権による給与 (*1) 株式を交付する場合には その株式が市場価格のある株式又は市場価格のある株式と交換される株式で 役務の提供を受ける内国法人又は関係法人が発行したもの ( 以下 適格株式 という ) に限る ( 法法 341 二ロ ) (*2) 新株予約権を交付する場合には その行使により市場価格のある株式が交付される新株予約権で 役務の提供を受ける内国法人又は関係法人が発行したもの ( 以下 適格新株予約権 という ) に限る ( 法法 341 二ハ ) (*3) 内国法人の役員の職務につき 確定した額に相当する適格株式又は適格新株予約権を交付する旨の定めに基づいて支給する給与は 確定した額の金銭を交付する定めに基づいて支給する給与に該当するものとする ( 法令 698 ) 40 テクニカルセンター会計情報 Vol. 500 / 2018. 4 2018. For information, contact Deloitte Touche Tohmatsu LLC.

この改正は 新株予約権に係る部分 特定譲渡制限付株式に係る部分以外の部分は 平成 29 年 4 月 1 日以後にその支給に係る決議 ( その決議が行われない場合には その支給 ) をする給与について適用され 上記のうち新株予約権に係る部分 特定譲渡制限付株式に係る部分は 平成 29 年 10 月 1 日以後にその支給に係る決議 ( その決議が行われない場合には その支給 ) をする給与について適用されるため 適用時期に留意を要する 3 定期同額給与の見直し定期同額給与とは その支給時期が1 月以下の一定の期間ごとである給与で その事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものとされていた しかし 平成 29 年度税制改正により その各支給時期における支給額から源泉税等の額を控除した金額が同額であれば その給与は定期同額給与とみなすこととなった ( 法法 341 一 法令 692 ) なお この改正は 平成 29 年 4 月 1 日以後にその支給に係る決議 ( その決議が行われない場合には その支給 ) をする給与について適用されるため 適用時期に留意を要する 4 確定申告書の提出期限の延長の特例の改正に伴う見直し役員給与等の損金算入要件である 定期同額給与の改定期限 事前確定給与の届出の期限 及び 業績連動給与の報酬委員会の決定等の手続きの期限 について 確定申告書の提出期限の延長の特例の改正 ( 下記 4.(1) 参照 ) に伴う見直しがされた その結果 の各種期限については 下表のとおりとなった なお 下表の各種期限については 確定申告書の提出期限の延長の特例の指定を受けている内国法人を前提としていることにご留意頂きたい 役員給与等の損金算入に関する各種期限の改正内容 定期同額給与 ( 臨時改定事由及び業績悪化事由を除く ) の改定期限 改正前 その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から 3 月を経過する日 その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から その指定に係る月数に 2 を加えた月数を経過する日 ( 法令 691 一イ ) 株主総会等の決議をした日 ( 同日が職務執行の開始の日後である場合には その職務執行の開始の日 ) から 1 月を経過する日 事前確定届出給与の届出の期限 業績連動給与の報酬委員会の決定等の手続きの期限 その 1 月を経過する日が その職務執行の開始の日の属する会計期間開始の日から 4 月を経過する日後である場合には その 4 月を経過する日 職務執行の期間の開始の日の属する会計期間開始の日から 3 月を経過する日 その 1 月を経過する日が その職務執行の開始の日の属する会計期間開始の日からその指定に係る月数に 3 を加えた月数を経過する日後である場合には その指定に係る月数に 3 を加えた月数を経過する日 ( 法令 694 一 ) 職務執行の期間の開始の日の属する会計期間開始の日から その指定に係る月数に 2 を加えた月数を経過する日 ( 法令 6913) (*) 上表の各種期限については 確定申告書の提出期限の延長の特例を受けている内国法人を前提としている 5 退職給与の見直し役員に対して支給する退職給与については 従来は退職給与として不相当に高額な部分の金額を除き その全額が損金の額に算入されていた しかし 平成 29 年度税制改正により 役員に対する退職給与のうち 業績連動給与に該当する給与で一定の要件に該当しないものは 損金不算入とされた ( 法法 341 ) なお この改正は 平成 29 年 10 月 1 日以後にその支給に係る決議 ( その決議が行われない場合には その支給 ) をする退職給与について適用されるため 適用時期に留意を要する 6 譲渡制限付株式を対価とする費用の帰属事業年度の特例の見直し特定譲渡制限付株式について 給与等課税額が生ずることが確定した日において役務提供を受けたものとすることとされた等の改正があった なお この改正は 平成 29 年 10 月 1 日以後にその支給に係る決議 ( その決議が行われない場合には その支給 ) をする給与について適用されるため 適用時期に留意を要する 7 新株予約権を対価とする費用の帰属事業年度の特例の見直し本特例の適用対象となる新株予約権の範囲が明確化された等の改正があった なお この改正は 平成 29 年 10 月 1 日以後にその支給に係る決議 ( その決議が行われ テクニカルセンター会計情報 Vol. 500 / 2018. 4 2018. For information, contact Deloitte Touche Tohmatsu LLC. 41

税目平成 30 年 3 月期法人事業ない場合には その支給 ) をする給与について適用されるため 適用時期に留意を要する 3. 平成 29 年度税制改正 ( 地方税 ) (1) 法人事業税平成 28 年度税制改正により 法人事業税の所得割の 税率 ( 地方法人特別税に相当する部分を含む ) を引き下げる一方 その財源の確保として外形標準課税の税率を引き上げることとされた この改正について 平成 29 年度税制改正において特段の見直しは実施されていない この結果 法人事業税の税率は 下表のとおりとなった 事業税率 0.5% 年 400 万円以下の所得税所適人年 400 万円超 800 万円以下の所得 0.5% 付加価値割 1.2% 軽減税率0.3% 年 800 万円超の所得 資本割 0.7% 軽減税率不適用法人 得割用法地方法人特別税 414.2% (2) 法人住民税法人税割の引下げ及び地方法人税の税率の引上げ 平成 28 年 11 月改正法案により 消費税の税率変更等 が平成 31 年 10 月 1 日へ延期されたことに伴い 法人住 民税法人税割 地方法人税の税率改正 地方法人特別税 の廃止とそれに伴う法人事業税への復元の実施時期が 平成 31 年 10 月 1 日以後に開始する事業年度に延長された この改正について 平成 29 年度税制改正において特段の見直しは実施されていない この結果 法人住民税法人税割及び地方法人税の税率は 下表のとおりとなった 法人住民税法人税割 平成 30 年 3 月期 ~ 平成 32 年 3 月期 平成 33 年 3 月期 標準税率制限税率標準税率制限税率 増減 道府県民税法人税割 3.2% 4.2% 1.0% 2.0% 2.2% 市町村民税法人税割 9.7% 12.1% 6.0% 8.4% 3.7% 法人住民税法人税割計 12.9% 16.3% 7.0% 10.4% 5.9% 地方法人税 4.4% 10.3% +5.9% 合計 17.3% 20.7% 17.3% 20.7% - 42 テクニカルセンター会計情報 Vol. 500 / 2018. 4 2018. For information, contact Deloitte Touche Tohmatsu LLC.

4. その他の改正のうち主なもの (1) 確定申告書の提出期限の延長の特例の見直し 近年 企業と投資家の対話の充実や そのための情報 提供等の観点を考慮し 株主総会関連の日程の適切な設 定を行うべきであるとする意見があり 上場企業等が株 主総会の開催日を柔軟に設定することができるよう要請されている これに伴い 平成 29 年度税制改正により 法人税の確定申告書の提出期限の特例について見直しがされた その結果 下表のとおりとなった なお この申請は 平成 29 年 4 月 1 日以後申請可能であることに留意を要する 確定申告書の提出期限の延長の特例の改正内容 改正前 原則その事業年度終了の日の翌日から 2 月以内 ( 法法 741) その事業年度以後の各事業年度終了の日の翌日から 2 月以内に その各事業年度の決算についての株主総会が招集されない常況にあると認められる場合 その各事業年度の確定申告書の提出期限を 1 月間延長 ( 法法 75 の 21) 提出期限の延長の特例 次のいずれの要件も満たす場合 ( 下記の場合を除く ) 1 その内国法人が会計監査人を置いている 2 定款等の定めにより その事業年度以後の各事業年度終了の日の翌日から 3 月以内に その各事業年度の決算についての株主総会が招集されない常況にあると認められる - その各事業年度の確定申告書の提出期限を 4 月を超えない範囲内において税務署長が指定する期間延長 ( 法法 75 の 21 一 ) 特別の事情があることにより その事業年度以後の各事業年度終了の日の翌日から 3 月以内に その各事業年度の決算についての株主総会が招集されない常況にあると認められる場合等 その各事業年度の確定申告書の提出期限を 税務署長が指定する期間延長 ( 法法 75 の 21 二 ) (2) 法人税の納税地の異動届出書等の提出先のワンストップ化 法人は 法人税の納税地に異動があった場合 ( 納税地 の指定による異動があった場合を除く ) には その異動 前及び異動後の納税地の所轄税務署長にその旨を届け出 なければならないとされていた しかし 平成 29 年度税制改正により 異動後の納税地の所轄税務署長への届出は不要とされた ( 法法 201 ) 以上 テクニカルセンター会計情報 Vol. 500 / 2018. 4 2018. For information, contact Deloitte Touche Tohmatsu LLC. 43