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第 5 章 N

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科目等 No. 主な項目チェック摘要 H27 在外財産に対する相続税額の控除を確認した 011 か H27 日本国籍を有しない相続人等の取得した国外 012 財産について確認したか H27 相続時精算課税選択届出書の有無を確認した 013 か H27 財産を取得した者のうち2 割加算の対象とな 01

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いう (7) 側方路線角地及び三 四方路線地において 側方の間口が接する路線をいう (8) 背面路線正背路線地及び三 四方路線地において 背面の間口が接する路線をいう (9) 分割線画地の形状 利用状況により画地を部分に分割する線をいう (10) 奥行逓減割合画地の価格が奥行により逓減する割合をいう

1. 固定資産税 都市計画税について 固定資産税は 毎年 1 月 1 日 ( 賦課期日 といいます ) 現在に土地 家屋 償却資産 ( こ れらを総称して 固定資産 といいます ) を所有している人が その固定資産の所在する 市町村に納める税金です 都市計画税は 下水道 街路 公園などの都市計画事業

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2. 制度の概要 この制度は 非上場株式等の相続税 贈与税の納税猶予制度 とは異なり 自社株式に相当する出資持分の承継の取り扱いではなく 医療法人の出資者等が出資持分を放棄した場合に係る税負担を最終的に免除することにより 持分なし医療法人 に移行を促進する制度です 具体的には 持分なし医療法人 への

102 第 4 章 農業 農地の承継時の特例 資価格は 国税庁 HPの路線価ページから確認できます なお 平成 30 年度税制改正において 対象となる農地の範囲等が改正されました 詳細は 後記 6を参照してください 3 適用要件 (1) 被相続人この特例の対象となる被相続人は 次のいずれかに該当する

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給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

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(2) 家屋の評価減 また 建物を購入すること自体が現金を持っているよりも相続税額としては有利に働きます というのも アパート マンション ( 貸家 ) の評価は以下の算式から導き出されるためです 貸家 = 固定資産税評価額 (1- 借家権割合 賃貸割合 ) 建築費総額に比べて固定資産税評価額は低く

養子縁組制度の利用 1. 制度の概要養子には 民法上 普通養子と特別養子の 2 種類があります 養子の相続税法上の取り扱いは 以下の通りです 1 累進課税される相続税率の緩和 (3 億円超は 50%) 2 相続人の数が増えるため基礎控除枠が増加 (1,000 万円 法定相続人 ) 3 死亡保険金 死

Transcription:

財産評価基本通達による不動産の評価について 1. はじめに平成 27 年 1 月 1 日以降の相続等から適用される相続税法の改正により 相続税を支払う人の数が増加し 今まで相続税を考えなくてよかった方も対象になると言われています 相続にあたっては通常被相続人 ( 亡くなられた方 ) のすべての資産及び負債の額を確定し それに応じて相続税額が決定されます そこで 今回の豆知識では 相続における資産のうち不動産についてどのような評価により資産額が決定されるかについての基本的な内容をまとめます 2. 財産評価基本通達による不動産評価の概要相続税法では 申告納税方式がとられているため 不動産の価格 ( 時価 ) については納税者が立証することになっています この場合 立証の困難性 公平性 費用性等の観点から 国税庁が発官した財産評価基本通達に基づき相続税 贈与税の不動産評価を行うことになっています 不動産といっても 土地 ( 宅地 農地 山林等 ) 建物 その他不動産上の権利など様々なものがありますが 今回の豆知識では 宅地の評価を中心に 建物の評価についても記載します 財産評価基本通達による宅地の評価は 路線価方式 と 倍率方式 の2つの評価方式があります これらの方式は選択できるものではなく 地域毎に評価方式が決まります 国税庁のホームページに掲載されている 財産評価基準書路線価図 評価倍率表 の路線価図及び倍率表のサンプルを次頁に示します なお 路線価とは 道路 (= 路線 ) ごとに国税局長が決定した土地の 単価 のことをいい 千円単位の表示になっています 路線価図は道路毎に数字とアルファベットで土地の価格及び借地権割合が示されています 例えば 本路線価図の真ん中あたりの太線で囲った箇所の路線には 75F と記載されています この場合 当該路線沿いの標準的な宅地の単価は 75,000 円 / m2 借地権割合は 40% ということを意味します 尚 路線価図に示されている土地の価格は国土交通省が毎年 1 月 1 日時点の土地価格を公表する 地価公示標準地価格 の概ね 0.8 倍の価格になっています 次に 倍率表は左側に町名及び適用地域名が記載され 右側に借地権割合及び各地目別の固定資産税評価額に乗ずる倍率等が示されています 倍率表の宅地の欄に 路線 と記載されている地域では 道路に路線価が付されているため 路線価方式 による評価を行うことになります 一方 倍率表の宅地の欄に 1.1 などの数値が記載されている地域は 倍率方式 による評価を行うことになります

路線価図

3. 路線価方式による宅地の評価路線価方式による宅地の評価は 基本的に次の手順で行います 1 評価する宅地の前面道路の路線価を確認します ( 複数の道路と接する宅地は原則 最も価格が高い道路を前面道路とします ) 2 1の前面道路側を間口とした場合の奥行による価格の補正を行います 地区区分毎の標準的な宅地と比べ 奥行が長くても短くても評価額は下がります 3 角地 二方路 三方路等の場合は 側方路線影響加算や二方路線影響加算等により 複数の道路に接することによる効用の増加を評価に反映します 4 間口が狭小な宅地 ( 間口狭小 ) 及び間口に対し奥行が長い宅地 ( 奥行長大 ) の補正 ( 減価 ) を行います 地区区分毎の標準的な宅地と比べ 間口が小さい場合 また間口に対する奥行の割合が大きい場合は 評価額が下がります 5 宅地の形状が不整形である場合 ( 不整形地 ) の補正を行う 宅地の形状が不整形な場合は その程度に応じて評価額が下がります 6 その他特殊な場合として 道路に接していない宅地の場合 ( 無道路地 ) がけ地等を有する宅地の場合 容積率が異なる2つ以上の地域にわたる宅地の場合 私道を含む宅地の場合などの補正を行う 上記手順について 以下基本的な土地 3ケースとやや特殊な土地 3ケースの具体例を示します 基本的な3ケース ケース1:1 路線に面する奥行が短い宅地の場合ケース2: 角地 (2 路線 ) に面する整形な宅地の場合ケース3:1 路線に面する不整形な宅地の場合 やや特殊な3ケース ケース4: 正面路線価に2つの路線価がついている宅地の場合ケース5: 橋によってのみ道路に接している宅地の場合ケース6: 自用部分と借地部分が混在する宅地の場合

ケース1 ケース2 ケース3 普通商業 併用住宅地区高度商業地区普通住宅地区 300C 30m (300 m2 ) 2000B 37m (370 m2 ) (150 m2 ) 180D 30m 1200B 1 路線価 300,000 円 / m2 2 奥行価格補正率: 奥行 で普通商業 併用住宅地区の場合 0.99 300,000 円 / m2 0.99=297,000 円 / m2 4 間口狭小補正率 : 間口 30mで普通商業 併用住宅地区の場合 1.00) 4 奥行長大補正率: 奥行率は 30m=0.33 であり 普通商業 併用住宅地区の場合 1.00 297,000 円 / m2 面積 300 m2=89,100,000 円 1 正面路線価 :2,000,000 円 / m2 1 側方路線価 :1,200,000 円 / m2 2 正面路線の奥行価格補正率: 奥行 で高度商業地区の場合 0.98 2,000,000 円 / m2 0.98=1,960,000 円 / m2 2 側方路線の奥行価格補正率: 奥行 37mで高度商業地区の場合 1.00 3 側方路線影響加算率: 角地の高度商業地区の場合 0.10 1,960,000 円 / m2 +1,200,000 円 / m2 0.10 =2,080,000 円 / m2 4 正面路線に関する間口狭小 奥行長大補正率は 1.00 1 路線価 :180,000 円 / m2 2 奥行価格補正率 : 奥行 5m で普通住宅地区の場合 0.92 ( 不整形地の奥行 =150 m2 30m=5m<) 180,000 円 / m2 0.92=165,600 円 / m2 4 間口狭小補正率 : 間口 30m で普通住宅地区の場合 1.00 5 不整形地補正率かげ地割合 : 想定整形地は四角形 (30m = 300 m2 ) になり かげ地割合は 150 m2 300 m2 =50% になる 地積区分 : 面積が 150 m2で普通住宅地区の場合 A 従って 不整形地補正率は かげ地割合 50% 以上の普通住宅地区 A より 0.79 165,600 円 / m2 0.79=130,824 円 / m2 130,824 円 / m2 150 m2 =19,623,600 円 2,080,000 円 / m2 面積 370 m2 =769,600,000 円 上表内の補正率等の根拠については添付 財産評価基本通達付表 を参照下さい

ケース 4 ケース 5 ケース 6 普通商業 併用住宅地区 普通住宅地区 普通商業 併用住宅地区 道路 川 5m (1 筆の宅地 : 間口 30m =300 m2 ) 300C 20m 330C 5m 橋 20m 250C (300 m2 ) 150D (300 m2 ) 15m 15m 15m ( 自用地 ) ( 貸宅地 ) 1 路線価 :300,000 円 / m2と 330,000 円 / m2 使用する路線価 ( 間口距離により加重平均 ): (300,000 円 / m2 +330,000 円 / m2 20m) (10 m+20m)=320,000 円 / m2 2 奥行価格補正率 : 奥行 で普通商業 併用住宅地区の場合 0.99 320,000 円 / m2 0.99=316,800 円 / m2 4 間口狭小補正率 : 間口 30mで普通商業 併用住宅地区の場合 1.00 4 奥行長大補正率 : 奥行率は 30m=0.33 であり 普通商業 併用住宅地区の場合 1.00 316,800 円 / m2 300 m2=95,040,000 円 1 正面路線価 :150,000 円 / m2 2 奥行価格補正率 : 奥行 25m で普通住宅地区の場合 0.99 150,000 円 / m2 0.99=148,500 円 / m2 4 間口狭小補正率 : 間口 5m で普通住宅地区の場合 0.94 4 奥行長大補正率 : 奥行距離 間口距離 =25m 5m =5 で普通住宅地区の場合 0.92 5 不整形地補正率 : かげ地割合 :(15m 25m-300 m2 ) (15m 25m)=20% 地積区分 : 面積が 300 m2で普通住宅地区の場合 A 補正率 : 普通住宅地区でかげ地割合 20% 地積区分 A の場合 0.94 (1) 補正率 0.94 間口狭小補正率 0.94 0.88 (2) 奥行長大補正率 0.92 間口狭小補正率 0.94 0.86 (3) (1)>(2) より不整形補正率 0.86 148,500 円 / m2 0.86=127,710 円 / m2 自用地部分 ( 自 ) と貸宅地部分 ( 貸 ) を分けて評価する 1 路線価 :250,000 円 / m2 借地権割合 :70% 2 奥行価格補正率 : 奥行 で普通商業 併用住宅地区の場合 0.99 ( 自 )250,000 円 / m2 0.99=247,500 円 / m2 4 間口狭小補正率 : 間口 15m で普通商業 併用住宅地区の場合 1.00 4 奥行長大補正率 : 奥行率は 15m=0.66 であり 普通商業 併用住宅地区の場合 1.00 ( 自 )247,500 円 / m2 150 m2 =37,125,000 円 ( 貸 ) 自用地価格 37,125,000 円 (1- 借地権割合 70%)=11,137,500 円 対象土地の価格 =37,125,000 円 +11,137,500 円 =48,262,500 円 127,710 円 / m2 300 m2 =38,313,000 円 上表内の補正率等の根拠については添付 財産評価基本通達付表 を参照下さい

以上 路線価による宅地評価の具体例 6 ケースを紹介させて頂きましたが 宅地の条件に より計算方法が異なりますので 条件が複雑な不動産の評価は専門家に相談されることを お勧めします 4. 倍率方式による宅地の評価倍率方式による宅地の評価は 前記の倍率表に記載されている 固定資産税評価額に乗ずる倍率 を用いて評価を行います この場合の宅地の評価は 文字通り評価する宅地の固定資産税評価額に倍率表から読み取った当該地域の倍率を乗じて 対象宅地の評価額を求めます 5. 建物の評価建物の評価は 原則 1 棟の家屋毎に評価を行います 評価の方法は 固定資産税評価額に財産評価基本通達の別表に示される倍率 (1.0 倍 ) を乗じて求めます つまり原則 固定資産税評価額が相続税評価における建物価格になります 6. マンション ( 区分所有建物及びその敷地 ) の評価マンションの評価についても 戸建住宅等と同じく土地と建物を別々に評価します 土地については マンションの敷地全体の価格を路線価方式または倍率方式により求め その敷地全体の価格に当該マンション所有者の共有持分の割合を乗じた金額を評価額とします 建物 ( 専有部分 ) については 戸建住宅と同様に固定資産税評価額に倍率 (1.0 倍 ) を乗じて求めた価格を評価額とします 7. まとめ今回の豆知識では 財産評価基本通達に基づく宅地及び建物の評価の基本的な内容をまとめました 土地及び建物などの不動産は非常に個別性が強いため 様々な条件により評価方法が異なります 本豆知識の内容からわかるように相続税の不動産評価において 路線価の付されている地域における宅地の評価は 財産評価基本通達に基づき比較的簡易に評価できるようになっているものの 個別の条件毎に評価する必要があるため 条件によっては簡単に求められないケースもあります また 財産評価基本通達は 課税の公平性 簡便性等の制約下における評価方式となっており 時には個別の不動産によっては適正な価格 ( 時価 ) より高い評価がなされることも安い評価がなされることもあります 従いまして 相続時の不動産評価については 財産評価基本通達に基づく評価が原則ですが 財産評価基本通達において困難な場合は 相続税法第 22 条による価額 の1つとして鑑定評価による時価が採用される場合があります

不動産は非常に個別性が強い資産であることから相続税評価においても 不動産鑑定士に よる鑑定評価が活用できる場合がありますので お気軽にご相談下さい 相続税法第 22 条による価額とは 相続 遺贈又は贈与により取得した財産の価額は 当該財産の取得の時における時価による と定めたもので 時価の 1 つとして鑑定評価による価格が認められています < 参考文献 > 国税庁財産評価基本通達 https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka/01.htm 国税庁タックスアンサー https://www.nta.go.jp/taxanswer/hyoka/zaisan3.htm 路線価による土地評価の実務 / 公認会計士 税理士小野山匠海 税理士長井庸子共著不動産鑑定評価から見た税務申告の落とし穴 / 不動産鑑定士津村孝著不動産の鑑定評価と税務評価 / 日税不動産鑑定士会編著

財産評価基本通達付表