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バンカーシート 利用マニュアル 2017年版(第一版)

圃場試験場所 : 県農業研究センター 作物残留試験 ( C-N ) 圃場試験明細書 1/6 圃場試験明細書 1. 分析対象物質 およびその代謝物 2. 被験物質 (1) 名称 液剤 (2) 有効成分名および含有率 :10% (3) ロット番号 ABC 試験作物名オクラ品種名アーリーファ

2 ブドウの病害虫

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本剤の使用に当たっては 使用量 使用時期 使用方法を誤らないように注意し 特に初めて使用する場合には病害虫防除所等関係機関の指導を受けることをおすすめします 安全使用上の注意事項 本剤は眼に対して刺激性があるので眼に入らないよう注意してください 眼に入った場合には直ちに水洗し 眼科医の手当を受けてく

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本年 10 月 11 日 ~11 月 10 日の間に登録登録されたされた新農薬 ( 適用拡大を含む は 次の通りですりです 下線部が適用拡大適用拡大になりましたになりました 登録日 薬剤名 10/24 テルスタ - フロアブル 登録内容 ( 適用拡大を含む のあらまし 対象作物内容 もも 対象害虫の

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月中旬以降の天候によって塊茎腐敗による被害が増加する事例も多い 平成 28 年度は疫病の発生面積率は19.9% と例年に比べてやや少なかったものの 塊茎腐敗の発生面積率は 14.8% と例年に比べてやや多かったとされる ( 平成 現在 北海道病害虫防除所調べ ) かつては 疫病には

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殺虫剤メタアルデヒド粒剤スクミノン 有効成分 : メタアルデヒド 10.0% 農林水産省登録第 号性状 : 淡褐色粒状毒性 : 普通物 ( 毒劇物に該当しないものを指していう通称 ) 有効年限 :3 年包装 :2kg 8 スクミノン はサンケイ化学 の登録商標です 特長 主に食毒で作用し

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農薬登録事項変更登録申請書

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殺虫数(頭(2) 京田辺市におけるフェロモントラップへの誘殺虫数 (7 月第 6 半旬 ~8 月第 5 半旬の合計値 ) は81.0 頭で 平年の22.4 頭を上回っている (+)( 図 1) また 本年度からフェロモントラップを設置した亀岡市および京丹後市でも 8 月第 4 半旬から誘殺数が急増し

高品質米の生産のために

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白紋羽病の病徴 果樹の地上部にこんな症状が出ていたら要注意 春先の発芽が遅れ 花芽分化が多く 開花時期が早まる 徒長枝の本数が少ない または伸長が悪い 梅雨明け後期に 葉が萎れたようになる 秋期に葉の黄化や 落葉が早くなる 果実の肥大が悪く 熟期が早まる 徒長枝の伸長が悪い 菌 糸 束 秋期の葉の早

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ハクサイ黄化病のヘソディム

ジベレリン協和液剤 ( 第 6006 号 ) 2/ 年 6 月 13 日付け 25 不知火 はるみ 3 回以内 水腐れ軽減 0.5 ~1ppm 500L/10a 着色終期但し 収穫 7 日前まで 果実 ぽんかん 水腐れ軽減 0.5ppm 500L/10a 着色始期 ~4 分

農業指導情報 第 1 号能代市農業総合指導センター環境産業部農業振興課 発行平成 26 年 4 月 25 日二ツ井地域局環境産業課 確かな農産物で もうかる 農業!! 農家の皆さんを支援します!! 農家支援チームにご相談ください! 今年度 農業技術センター内に農家支援

図 2 水稲栽培における除草剤処理体系 追肥による充実不足 白粒対策 ~ 生育後半まで肥切れさせない肥培管理 ~ 図 3 追肥作業は 水稲生育中 後期の葉色を維持し 籾数及び収量の確保と玄米品質の維持に重要な技術です しかし 高齢化や水田の大区画化に伴い 作業負担が大きくなり 追肥作業が困難になりつ

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1. 取組の背景射水市大門地域は 10a 区画の未整備な湿田が多く 営農上の大きな障害となっていた 昭和 62 年に下条地区で県内初の大区画圃場整備が実施されたのを皮切りに 順次圃場整備が進んでいる 大区画圃場整備事業が現在の 経営体育成基盤整備事業 になってからは 農地集積に加えて法人化等の担い手

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平成 30 年 3 月 5 日発行 第 343 号 一般社団法人 長野県植物防疫協会 380-0837 長 野 市 大 字 南 長 野 字 幅 下 667-6 長野県土木センター内 電 話 026-235-3510 F A X 026-235-3583 新しく普及に移す 見込みの農業技術 農業技術課 副主任専門技術員 目 次 新しく普及に移す見込みの農業技術 1 話題の病害虫 ブドウ黒とう病 4 話題の病害虫 モモうどんこ病 5 話題の病害虫 クビアカツヤカミキリ 6 近藤賢一 話題の病害虫 畑わさびの病害虫 ナトビハムシ 墨入病 7 平成29年度第2回普及技術検討会 2月28日開催 で 植物防疫に関して20課題の技術が普及に移され る予定となった 普及技術 試行技術が各1課題 技術情報 農薬情報が各9課題 本稿では 普及 技術 試行技術 技術情報の要約と 農薬情報につ いては技術の概略を紹介する 詳細は長野県公式 ホームページ http://www.pref.nagano.lg.jp/nogi/ sangyo/nogyo/gijutsu/fukyugijutsutop.html あるい は農業関係試験場公式ホームページ https://www. agries-nagano.jp/ に掲載されるので確認していた だきたい 1 普及技術 キャベツ はくさいの黒斑細菌病に対する無機銅 剤と微生物農薬マスタピース水和剤による効果的な 防除体系 要約 キャベツ黒斑細菌病およびハクサイ黒斑細 菌病の防除にマスタピース水和剤の1,000倍液を散 布する マスタピース水和剤は 無機銅剤との体系 防除に用いるとより効果的に黒斑細菌病を防除でき る 2 試行技術 カーネーションのハダニ類防除にUV-B照射が有 効である 要 約 UV-B電 球 形 蛍 光 灯 パ ナ ソ ニ ッ ク 製 SPWD24UB1PB を用いたUV-B照射は カーネー ションのハダニ類防除に有効である カーネーショ ンの草丈や節数がやや減少し 出蕾および開花時期 が若干早まるが 葉焼け等の生理障害は発生せず 切り花品質に重要な影響は認められない 3 技術情報 水稲 あきたこまち のいもち病 葉いもち に 対する感受性の高まる葉色の目安 要約 水稲 あきたこまち のいもち病 葉いも ち に対する感受性はカラースケール値で4.5前後 葉緑素計SPAD値では40前後を境に高まる傾向が見 話題の農薬 畦畔管理に利用できるダイロン ザクサ液剤 8 話題の農薬 ゾーベニックエニケード 9 植防短信 10 地域情報 11 協会だより 12 られる あきたこまち は コシヒカリ より いもち病 葉いもち の感受性が高まる葉色が濃い 長野県におけるリンゴ黒星病に対するDMI剤の防 除効果 要約 リンゴ黒星病防除に使用されている主な DMI剤の防除効果は現時点 平成29年 で低下して おらず 従来と同様の高い効果が得られている DMI剤の一つであるフェナリモルに対しては感受性 低下の兆候が認められるため 感受性低下が進行し ないよう DMI剤の使用を年2回以内とする 総降水量 降雨強度が殺菌剤の防除効果に及ぼす 影響 要約 総降水量 降雨強度の増加に伴い 殺菌剤 の防除効果が低下する 気象変動によって集中豪雨 の出現頻度が高まった場合 農薬の防除効果が不安 定になることが危惧される 草生管理がりんご樹におけるナミハダニの発生に 及ぼす影響 要約 全面草生管理にすると りんご樹のナミハ ダニの密度が抑制される傾向がある ももに発生するアザミウマ類の種および果実上で の発生時期 要約 もも園内で飛翔するアザミウマおよび新梢 果実に寄生するアザミウマは多種存在するが 果実 に寄生する種はミカンキイロアザミウマが主体であ る 果実上でのミカンキイロアザミウマは 無袋栽 培では成虫が着色始期頃から果実へ寄生し 収穫期 にかけて幼虫が増加する 有袋栽培では除袋後に成 虫の寄生が認められる 輪作によるレタスすそ枯病の発病軽減 要約 秋作におけるレタスすそ枯病は 春作にレ タスを連作すると発生も増加し ニンジン マリー 1

( 第 343 号 ) ゴールド等を輪作すると発生が軽減される 輪作作物によっても発病軽減効果に差がある 施設栽培カラーピーマンにおける高輝度 LED 防除器 ( レピガードシャイン ) の設置によるオオタバコガの被害軽減効果 ( 要約 ) 栽培施設カラーピーマンにおいて 高輝度 LED 防除器 ( レピガードシャイン ) を全ての頂芽部が 2 ルクス以上になるよう設置 (100 m2当たり 3~ 4 灯 ) し オオタバコガ成虫発生期の日没前から日の出後まで点灯すると オオタバコガ幼虫による被害を軽減できる 不織布を用いたレタスの被覆栽培によるチョウ目害虫の被害軽減効果 ( 要約 ) レタス定植直後から収穫 2 週間前まで 春作レタスでは不織布のべたがけ ( じかがけ ) 被覆 夏秋作レタスでは支柱を用いた浮きがけ被覆を行うことで チョウ目害虫による被害を軽減できる 露地ぶどう棚の上部に約 2.5m 間隔で黒色極細ステンレスワイヤ ( カラスハイレマ線 ) を格子状に張ることでカラスの被害が防止できる ( 要約 ) 露地ぶどう棚の上部の枝や葉に触れない高さにグラスファイバー製のポール ( 管径 10.5 mm ) を使用し 約 2.5 m 間隔で格子状に黒色極細ステンレスワイヤ ( 線径 0.3 mm ) を張ることでカラスの被害が防止できる 4 農薬情報 殺菌剤関係 イネいもち病 ( 穂いもち ) 防除にトルプロカルブ粒剤が有効である現在 イネいもち病に対する防除は苗箱施薬剤処理を基本とし 多発時には本田で追加防除を行うこととしている 今回 本田での追加防除薬剤として 新規有効成分トルプロカルブを含む水面施薬剤の効果を検討し 有効性が認められたことから農薬情報とした いもち病 ( 穂いもち ) を対象として トルプロカルブ粒剤を出穂 15 日前頃に10aあたり3kg 散布する 葉いもちの上位葉への進展抑制効果もある 注 作用機構を示すFRACコードは 16.3 1) トルプロカルブ粒剤には サンブラス粒剤とゴウケツ粒剤がある 耐性菌の出現を回避するため 種子生産ほ場での使用は控える またトルプロカルブを含む薬剤の使用は年 1 回とし 体系防除を行う場合は作用機作の異なる薬剤を用いる 本剤の処理は 湛水状態( 水深 3~5cm ) で均一に散布し 散布後は少なくとも4~5 日は湛水状態を保ち 田面を露出させない また散布後 7 日間は落水およびかけ流しをしない イネ紋枯病防除にフラメトピル含有箱粒剤 チフルザミド含有箱粒剤が有効である 近年 県内ではイネ紋枯病の発生が増加しており 減収や品質低下の一因となっていると考えられる 従来 本病の防除は本田処理剤が中心であり 散布労力がかかることが課題であった 近年 紋枯病を対象とした苗箱施薬剤が開発されており 2 種薬剤の効果を検討し 有効性が認められたことから農薬情報とした フラメトピル含有箱粒剤またはチフルザミド含有箱粒剤を移植当日に箱あたり 50g 散布する 作用機構を示す FRAC コードは フラメトピル チフルザミドとも 7 育苗箱の上から均一に散布し 葉に付着した薬剤を払い落とし 軽く散水して田植機にかける フラメトピルまたはチフルザミドを含有し 紋枯病に登録があり移植当日処理が可能な薬剤としてそれぞれ複数の商品がある イネ苗立枯病 ( ピシウム菌 ) 防除にナエファインフロアブル ナエファイン粉剤が有効である本県では 育苗期が低温の時期にあたる場合が多く 低温によって発生が助長される苗立枯病 ( ピシウム菌 ) が重要病害になっている 本病の基幹防除薬剤であるタチガレエース液剤 粉剤の有効成分であるメタラキシル M に対する薬剤耐性菌が県下で確認され 防除効果が低下する事例がみられている そこで新規有効成分薬剤の効果を検討し 有効性が認められたことから農薬情報とした ナエファインフロアブルの 2,000 倍液を箱あたり 1L 播種時に潅注する または ナエファイン粉剤を箱あたり 8g 播種前に育苗箱土壌に混和する 作用機構を示す FRAC コードは U17 イネ苗立枯病は 糸状菌が関与する育苗期の苗立ち枯れ症状の総称である 県内ではピシウム菌による緑化期以降の急性萎凋症状が主に問題になっている ピシウム菌による苗立枯病は 本葉 1~2 葉期に発生しやすく 7 以下の低温に遭遇すると発生が助長される アスパラガス茎枯病防除にムッシュボルドー DF が有効であるアスパラガス茎枯病は露地アスパラガス栽培における重要病害である 本病の防除では 保護殺菌剤を主体に種々の作用機構の薬剤によりローテーションで防除を行うことが基本となっている 保護殺菌剤である銅水和剤の一つムッシュボルドー DF について防除効果を検討し 有効性が認められたことから農薬情報とした ムッシュボルドー DF の 500 倍液を散布する 作用機構を示す FRAC コードは M1 連用すると薬害を生じる恐れがある 薬害軽減のためクレフノン 200 倍を加用する 水産動植物 ( 魚類 ) に対する影響あり注 2) 2

平成 30 年 3 月 5 日発行 ( 第 343 号 ) ハクサイ白さび病防除にシグナム WDG が有効である本県の夏秋期のハクサイ栽培において 白さび病の発生が問題になっている 防除薬剤を拡充するためシグナム WDG の効果を検討し 有効性が認められたことから農薬情報とした シグナム WDG の 1,500 倍液を散布する 本剤は混合剤であり 作用機構を示す FRAC コードは ピラクロストロビンが 11 ボスカリドが 7 発病前からの予防的散布を徹底する 薬剤耐性菌の出現を回避するため 連用は避け 異なる作用機作の薬剤をローテーションで使用する 水産動植物 ( 魚類 甲殻類 藻類 ) 蚕に対する影響あり ハクサイベと病防除にピシロックフロアブルが有効であるハクサイべと病は 本県の初夏 ~ 夏季におけるハクサイ生産の生産阻害要因になっている 防除薬剤を拡充するため 新規有効成分剤であるピシロックフロアブルの効果を検討し 有効性が認められたことから農薬情報とした ピシロックフロアブルの 1,000 倍液を散布する 作用機構を示す FRAC コードは U17 はくさいの黄芯系品種では本病にかかりやすいものがある 耕種的対策として品種選定も重要である 発病前からの予防的散布を徹底する 薬剤耐性菌の出現を回避するため 連用は避け 異なる作用機構の薬剤をローテーションで使用する ブロッコリー黒腐病防除にオリゼメート顆粒水和剤が有効であるブロッコリー黒腐病は外葉形成期に発生し 出荷部位の花雷にも発病するため 重要病害となっている 本病は細菌性病害であり 防除薬剤の拡充が求められている 抵抗性誘導剤であるオリゼメート顆粒水和剤の効果を検討し 有効性が認められたことから農薬情報とした オリゼメート顆粒水和剤の 100 倍液を定植時にセルトレイ 1 枚あたり 0.5L の割合で潅注処理する 作用機構を示す IRAC コードは P02 本剤の有効成分は直接的な殺菌作用を示さない 本剤は 植物体の病害抵抗性を誘導する作用機構を持つ 有効成分を培土に十分吸収させるため 薬剤処理直前および直後の潅水は避ける 水産動植物 ( 魚類 甲殻類 藻類 ) 蚕に対する影響あり レタスまたは非結球レタスのべと病防除にピシロックフロアブルまたはレーバスフロアブルが有効である 近年 県内の主要レタス産地においてべと病の発生が増加傾向にあり問題になっている 非結球レタスにおいては登録薬剤が少なく また 本病は薬剤耐性菌の出現リスクが高いことから 作用機構の異なる薬剤が求められている ピシロックフロアブルおよびレーバスフロアブルの効果を検討し 有効性が認められたことから農薬情報とした レタスまたは非結球レタスのべと病防除にピシロックフロアブルの 1,000 倍液またはレーバスフロアブルの 2,000 倍液を散布する 作用機構を示す IRAC コードは ピシロックが U17 レーバスが 40 レタスべと病に対して 品種の感受性差異が認められている ( 平成 26 年度第 2 回 平成 28 年度第 2 回技術情報 ) 耕種的防除法として品種選定も重要である 発病前からの予防的散布を徹底する 薬剤耐性菌の出現を回避するため 連用は避け 異なる作用機構の薬剤をローテーションで使用する 殺虫剤関係 キャベツのアブラムシ類防除にトランスフォームフロアブルが有効であるキャベツ栽培においてアブラムシ類は 出荷物への異物 ( 虫体 ) 混入 すす病の発生の原因となるため重要害虫となっている また 薬剤抵抗性の発達が問題になることから 効果が高く 従来剤とは作用機構の異なる薬剤の拡充が求められている 新規有効成分剤であるトランスフォームフロアブルの効果を検討し 有効性が認められたことから農薬情報とした トランスフォームフロアブルの 2,000 倍液を散布する 作用機構を示す FRAC コードは 4 本剤の効果は即効的であり アブラムシ類は速やかに死亡する 蚕 ミツバチに対する影響あり 注 1) 本文中の FRAC コード IRAC コードとは FRAC( 殺菌剤耐性菌対策委員会 ) または IRAC ( 殺虫剤抵抗性対策委員会 ) が定める殺菌剤または殺虫剤の作用機構による分類である 殺菌剤 殺虫剤それぞれの中での同じコードは 同じ作用機構を示す 詳しくは長野県病害虫 雑草防除基準または農薬工業会のウェブサイトを参照する 注 2) 紙面の都合上 薬剤の蚕 水産動植物 ミツバチ等に対する注意事項は省略して記載した 使用にあたっては農薬ラベル等を十分確認すること 3

( 第 343 号 ) 話題の病害虫 ブドウ黒とう病 長野県果樹試験場横澤志織 ブドウ黒とう病の発生は 主要品種の 巨峰 や ピオーネ で少ないため 長野県内では近年問題となっていなかった しかし近年栽培面積が急増している シャインマスカット や欧州系ブドウ品種は本病に弱く 昨年は 7 月上中旬に シャインマスカット 栽培圃場でブドウ黒とう病の発生が散見され 問題となった 昨年は梅雨期が冷涼多雨で これにより本病が感染好適となり発生を助長したと推察される 1 発生生態ブドウ黒とう病はカビの一種 Elsinoë ampelina によって引き起こされる病害である 果粒をはじめ ( 図 1 2) 穂柄 穂軸 葉 ( 図 3) 若い枝 ( 図 4) 巻ひげ ( 図 5) など 若い組織であればほとんどの部位に発病する 葉での病斑はつる割病と類似するが つる割病の病斑はやや小さく 条線状に隆起する一方 黒とう病の病斑は主脈や葉脈部に沿って発生することと 中心部に亀裂を生じて穴があくことで区別できる 病原菌は枝や巻きひげなどの病斑内で越冬しており 翌春に降雨があると病斑上に多量 図 1 果粒での初期の発病 図 3 葉での発病 図 4 若い枝での発病 の胞子を形成 飛散し 新梢や果房などに感染する 枝病斑は3 年以上伝染源として機能する 春季の多雨と 梅雨期の冷涼多雨によって多発しやすい 夏の高温乾燥期以降はぶどうの抵抗性が増加するため 新たな発病はみられなくなる 2 防除対策新植する際は無病図 5 巻きひげでの発病苗を定植する 伝染源となる枝病斑や巻ひげは見つけ次第必ずせん除する 重要防除時期は発芽前から開花直前で 発芽前の防除薬剤ではデランフロアブルの効果が高い 他県ではベンレート水和剤に対する薬剤耐性菌の発生が報告されているため 薬剤選択には注意が必要である また 展葉 2~3 枚頃にも薬剤散布を実施すると防除効果が高いことが報告されている 落花期以降は慣行防除で対応できるため 散布間隔があきすぎないように注意する 図 2 果粒での発病 注 : 記載されている農薬は平成 30 年 2 月 22 日現在の登録条件によるので 使用にあたってはその時点での登録内容を必ず確認して使用する 4

平成 30 年 3 月 5 日発行 ( 第 343 号 ) モモうどんこ病 長野県果樹試験場横澤志織 従来 日本国内のモモうどんこ病の病原菌としては 果実に白色病斑を生じる P. pannosa (Wallroth) de Bary と 葉に寄生する P. tridactyla (Wallroth) de Bary の 2 種が報告されていた しかし平成 28 年に 長野県内のもも産地で問題となっていたもも果実の褐色斑点症状 ( 通称 : 毛じ障害 ) が リンゴうどんこ病の病原菌でもある Podosphaera leucotricha (Ellis & Everhart) E.S. Salmon( 以下リンゴうどんこ病菌 ) によって引き起こされることが明らかとなり 平成 29 年に本菌がモモうどんこ病の病原として追加された これにより モモうどんこ病に既登録の薬剤が本症状に対しても使用可能となったことから 高い防除効果が認められた 2 剤を県防除基準に採用した 本稿では このリンゴうどんこ病菌によるモモうどんこ病の発生生態と防除対策について記載する 1 発生生態果実へは落花期 ~ 落花 20 日後頃に感染し それ以降の感染はみられない 約 2 週間の潜伏期間の後に発病し 初期感染では褐色で大型の病斑を生じるが ( 図 1) 後期感染では淡褐色の病斑となりあまり目立たない ( 図 2) 発病は落花 15 日後頃より認められ 落花 50 日後 ( 袋かけ時 ) 以降は新たな発病は少ない 収穫期には着色によってほとんど目立たなくなるものもある一方 毛じが脱落しサビ症状を呈するものもある ( 図 3) 本症状の発生には品種間差異があり なつっこ あかつき で特に発生が多く あぶくま なつき でも発病する 白鳳 川中島白桃 紅晩夏 だて白桃 白根白桃 ではほとんど発病しない 本症状はモモ病斑上に分生子を形成しないことと うどんこ病発生りんご園に隣接するもも園で特に被害が深刻であること 長野県や福島県など ももとりんごが混在する地域に発生が限られることか 図 2 落花 14~20 日後の暴露により生じた病斑 ( 平成 28 年 5 月 31 日撮影 ( 落花 39 日後 ) 果樹試験場 ) 図 3 収穫前の果実における発病 ( 平成 29 年 7 月 26 日撮影 果樹試験場 ) ら 主要な伝染源はうどんこ病発生りんご樹であると推察される 平成 29 年の試験では うどんこ病発生りんご樹から約 200m の距離まで ももに本症状が発生が認められた 2 防除対策重要防除時期は果実への感染が生じる落花期 ~ 落花 20 日後で 特に落花 10 日後に治療効果の高い殺菌剤を散布すると高い防除効果が得られる 平成 28 29 年の試験の結果 ストロビードライフロアブルとナリア WDG の効果が落花 10 日後 1 回の散布でも十分高かったことから この 2 剤を県防除基準に採用した ストロビードライフロアブルは QoI 剤 (FRAC コード 11) ナリア WDG は QoI 剤と SDHI 剤 (FRAC コード 7) の混合剤である ももの主要病害に対する耐性菌の出現を防ぐために モモうどんこ病対象の QoI 剤の使用は 1 回とし ももの作期を通じて QoI 剤 SDHI 剤の使用は年 2 回以内に留める 前述の通り 本症状の主要な伝染源はうどんこ病発生りんご樹であると考えられることから 本症状の発生が多い地域ではリンゴうどんこ病防除の徹底をお願いしたい 図 1 落花期 ~ 落花 5 日後の暴露により生じた病斑 ( 平成 28 年 5 月 31 日撮影 ( 落花 39 日後 ) 果樹試験場 ) 注 : 記載されている農薬は平成 30 年 2 月 22 日現在の登録条件によるので 使用にあたってはその時点での登録内容を必ず確認して使用する 5

( 第 343 号 ) クビアカツヤカミキリ 病害虫防除所嵯峨裕之クビアカツヤカミキリは中国大陸原産の外来種で ドイツ イタリア 中国 日本 韓国 北朝鮮 モンゴル 台湾 ベトナム等で被害の報告があるようです 中国では 主要な寄主植物としてサクラ属植物 ( モモ アンズ セイヨウスモモ セイヨウミザクラ ) などが記載されています 国内では平成 24 年に初めて愛知県で被害が確認されました 昨年までに7 都府県のサクラ ウメ モモ スモモで被害が確認されています 1 被害と生態長野県での発生は 確認されていませんが ( 平成 29 年 8 月現在 ) 幼虫がサクラ ウメ モモ スモモなどの生木に穿孔 加害し 枯死させます 被害木は次第に樹勢が衰え 枯死にいたるため 果樹農家にとって脅威となります 幼虫は食入口の外に荒挽きの挽肉状につながったフラス ( 木屑と糞が混ざったもの ) を大量に排出するので ( 図 1) 幼虫の加害木を探す時の目印になります コスカシバのフラスはクビアカツヤカミキリのものに比べ量が少ない上 糞の割合が多く 全般に赤黒く見えるので識別は容易です クビアカツヤカミキリの成虫の体長は 約 23~37mm 全体的に光沢のある黒色で 首 ( 前胸背 ) が赤く目立つので 他のカミキリ類との区別は比較的容易です ( 図 2) 2 発生生態 ⑴ 卵幹や主枝の樹皮の割れ目などに産卵されます 色は白色で 形は長径約 6~7 ミリの楕円形です 産卵から8~9 日後にふ化します ⑵ 幼虫 蛹幼虫は 樹木内で2~4 年かけて成長 して蛹になります 関東地方での観察例では夏から秋にかけて老熟幼虫が 脱出孔を作った後で木の内部に蛹室を作り その中で蛹になります ⑶ 成虫蛹になった翌年の6 月中旬 ~8 月上旬頃 成虫が羽化します 成虫の活動は特に午後 活発になることが観察されています 成虫は樹上をすばやく動き 交尾産卵します 3 その他ウメ モモ スモモなどでクビアカツヤカミキリらしい成虫やフラスが出ている木を見つけたら 最寄りの普及センターか病害虫防除所に相談してください なお 農業に悪影響を与える恐れがある国外由来の種であるため 昨年 11 月 21 日に 特定外来生物 に指定されました この昆虫を生きたまま発生場所から移動することはできません 図 1 被害木 ( サクラ ) の根元にたまったフラス図 2 クビアカツヤカミキリ成虫 6

平成 30 年 3 月 5 日発行 ( 第 343 号 ) 畑わさびの病害虫 畑わさびは 夏に冷涼で湿気の多い畑地で栽培され 県内では長野市西部の西山地域や大北地域において生産振興が図られている品目である マイナー品目であることから 登録農薬が少なく 防除に苦慮する場面もみられる 本稿では 畑わさびの主要病害虫であるナトビハムシと墨入病について紹介する 1 ナトビハムシ ( ハムシ科 ) 野菜花き試験場環境部金子政夫ナトビハムシの幼虫は茎葉部に食入して加害 ( 写真 1) し 成虫は葉を食害するため ( 写真 2) 一旦発生すると被害が甚大となる害虫である ナトビハムシは成虫態で越冬し 成虫は春先と夏の年 2 回発生する 成虫は春先の雪解け後に活動を開始し 花茎や葉柄に産卵するとされる ふ化幼虫は速やかに茎内に食入し 黒色で線状の食害痕が生じるため商品化率が著しく低下する 春先の産卵期 ( 越冬成虫発生期 ) の防除が重要と推測されるが 写真 1 ナトビハムシ幼虫による茎部の食害痕写真 2 ナトビハムシ成虫 ( 体長 3mm 内外 ) と葉の食害痕 成虫の発生期間が長いため 1 回の薬剤散布で被害を完全に抑えることは困難と考えられる 現在 登録薬剤の効果的な散布時期について検討しており 防除適期が明らかとなり次第 情報を提供したい 2 墨入病 野菜花き試験場環境部清水時哉本病は糸状菌による病害で 島根県で初めて発見され 昭和 8 年に病名を墨入病 学名をPhoma wasabiaeと命名されている 病徴と診断 : 葉 葉柄 花軸 根茎 根と病気自体は幅広い部位に発生するが 根茎に発生すると商品価値が著しく低下するため大きな問題となる 根茎では初め表面に不整形の黒色斑点ができ やがて黒変は根茎表面を取り巻く この頃になると黒変は内部の維管束に及ぶため すり下ろすと黒変組織が混ざるために商品価値が低下する 葉では黒褐色の小斑点を形成し 次第に拡大して黒褐色をしたやや丸みを帯びた不整形の病斑となり 多湿時には病斑上に小粒点 ( 柄子殻 ) を形成する 発生生態 : 古くから認められている病害であるが その発生生態は不明な点が多い 水わさび 畑わさびを問わず 全国のわさび栽培圃場ではごく普通に発生していると考えられる 昨年も県内の水わさびで秋に発生が認められた 根部表面に出来た傷口から病原菌は侵入することが多いと考えられ 病斑上に形成された柄子殻から雨水の飛沫等により胞子が飛散し 葉や葉柄にも感染すると考えられている 実生栽培では種子伝染し 株分け苗の場合は 親株から感染することが多い 梅雨期 秋雨期に発生は増加するが 根茎の被害は夏季を経過すると急激に増加することが多い なお 病斑部が墨のように黒変するのは 病原菌が出す酵素により植物組織内にメラニン色素が形成されるためと考えられている 防除 : 畑わさびでは ロブラール水和剤による定植時の苗浸漬で唯一の登録がある 耕種的防除としては 無病の実生苗または培養苗を用いる 株分け苗を用いる場合も 無病の親株から苗を取る 収穫後は発病茎葉等残渣を残さないなどの圃場衛生を徹底する 本病についての詳しい情報は 島根県のホームページ (http://www.pref.shimane.lg.jp/industry/norin/ gijutsu/nougyo_tech/byougaityuu/byougaityuuindex/wasabi/wa099.html) に病徴写真等掲載されているので参照して欲しい 7

( 第 343 号 ) 話題の農薬 畦畔管理に利用できるダイロンゾル + ザクサ液剤 北興化学工業株式会社東京支店技術チーム吉川学 ₅00ml 1 はじめに生産者の高齢化や規模拡大に伴い 畦畔管理の省力化が求められています 本稿では土壌処理除草剤ダイロンゾルと茎葉処理除草剤ザクサ液剤を用いた省力的な畦畔管理技術についてご紹介します 2 ダイロンゾルおよびザクサ液剤の特長 ⑴ ダイロンゾルの特長 土壌表層に処理層を形成し 広葉やイネ科の一年生雑草の発生を長期間抑制します 雑草発生前から雑草発生始期の処理により 高い効果を発揮します ゾル化により水和剤と比較して薬剤の調製が容易になり 且つ除草効果が向上しました ⑵ ザクサ液剤の特長 一年生および多年生の幅広い草種に対して速やかに効果を発揮する茎葉処理除草剤です 雑草の茎葉部から吸収され 根までは枯らさないため 畦畔を崩しにくい除草剤です 速やかに植物体内に移行するので 散布 1 時間後程度であれば降雨があっても除草効果に対する影響はほとんどありません ⑶ 混用散布による相加効果この 2 剤を混用散布することにより 1 度の散布 図 : 混用のイメージ 5L ₅00ml で雑草を速やかに枯らし 長期にわたって雑草の発生を抑制することが出来ます 3 ダイロンゾル + ザクサ液剤のメリットダイロンゾルとザクサ液剤を混用散布することにより以下のようなメリットが期待できます 1 除草作業回数および除草コストの低減ダイロンゾルとザクサ液剤の混用散布により 雑草の発生を長期間抑えることが出来ます その結果 畦畔を管理する上で必要な除草作業回数および除草にかかる労力 費用の大幅な低減が可能です 2 斑点米カメムシ対策にも有効斑点米カメムシ類の主要種となっているアカスジカスミカメやアカヒゲホソミドリカスミカメは 主に水田畦畔のイネ科雑草で増殖し 出穂期以降に成虫が水田内に侵入 加害します 水田畦畔の雑草を除草管理することで 畦畔での斑点米カメムシの増殖を抑制し 水稲の斑点米被害を軽減することができると考えられます 4 長野県での取り組み現在 ダイロンゾルとザクサ液剤の混用散布による省力的な畦畔雑草の管理 および県内ダイズ連作地域で問題となっている帰化アサガオ類防除の普及適用性についても県関係機関で試験していただいております 5 おわりに本技術を通じて畦畔管理の省力化に貢献できれば幸いです 最新の登録内容および詳しい使用方法につきましては弊社ホームページの農薬事業ページをご覧ください ( 下記 URL) (https://www.hokkochem.co.jp/) ザクサ液剤の平成 30 年 1 月末日現在の登録内容 ( 抜粋 ) 使用量 (/10a) 作物名適用場所適用雑草名使用時期薬量希釈水量 収穫 7 日前まで水田作物一年生雑草水田畦畔 ( 雑草生育期 : ( 水田畦畔 ) 多年生雑草草丈 30cm 以下 ) 本剤の使用回数 使用方法 グルホシネート及びグルホシネート P を含む農薬の総使用回数 500~1000ml 100~150L 2 回以内雑草茎葉散布 3 回以内 8

平成 30 年 3 月 5 日発行 ( 第 343 号 ) ダイロンゾルの平成 30 年 1 月末日現在の登録内容 ( 抜粋 ) 作物名適用場所適用雑草名使用時期 雑草発生前水田作物水田畦畔一年生雑草 ~ 生育初期 ( 水田畦畔 ) ( 草丈 15cm以下 ) 使用量 (/10a) 薬量 希釈水量 本剤の使用回数 200~250ml 100L 1 回 使用方法 適用地帯 雑草茎葉散布 全域 又は ( 北海道 全面土壌散布 九州を除く ) DCMU を含む農薬の総使用回数 1 回 ゾーベックエニケード 丸和バイオケミカル アグロ事業部東京第 2 営業所井手上ひろ ゾーベックエニケード ( 有効成分 : オキサチアピプロリン 10.2%) は米国デュポン社が開発した殺菌剤であり 平成 28 年 5 月に発売されたばかりのまだ新しい殺菌剤です 6 作物 ( ばれいしょ トマト きゅうり はくさい レタス ぶどう ) で使用することができます ゾーベックエニケードの持つ特長と使用上のポイントについてご紹介いたします 1 上方移行性ゾーベックエニケードは植物中での上方移行性に優れています 散布時に展開中 あるいは未展開の新葉にも有効成分が行き渡ります 新葉が次々に展開する栄養成長期に本剤を使用することで 新葉を病害から保護しその後の防除に効果的につなげることができます 2 葉面浸透性葉の表に付着した有効成分の一部は葉裏にまで到達し 葉裏に対しても保護作用を発揮します 生育が進み 葉が重なり合って薬液を葉裏まで散布することが困難な状況であっても 浸透性によって散布ムラをカバーすることができます 3 耐雨性散布後 有効成分の大部分は葉の表面のワックス層へ素早く吸収され 優れた耐雨性を発揮します そのため 散布後 ( 約 1 時間以降 ) に降雨があっても 防除効果に影響は出にくく 撒き直しの必要はありません 4 既存殺菌剤の耐性菌に対しても有効 ゾーベックエニケードは これまでの殺菌剤とは病原菌に対する作用機構と作用部位が全く異なる有効成分であるため 既存殺菌剤との交差耐性はありません FRAC コードは 49 です 5 適用作物に対する安全性これまでの委託試験や社内試験 現場での実際の使用においても 薬害が認められた事例は無く 適用作物に対する安全性は高いと考えております 6 生物 周辺環境に対する安全性ゾーベックエニケードは哺乳類 鳥類 魚類に対する毒性は低いことが確かめられています また ハチ等の有用昆虫に対する安全性も高く 周辺環境に及ぼす影響は少ないと考えております 使用上のポイントゾーベックエニケードの使用すべきタイミングは作物の種類及び作期により個別に判断する必要があります しかし 共通しているのは気象条件 ( 気温 降雨 ) 等の関係で疫病 べと病の発生が予想される時期や 初期感染が懸念される時期に早めに ( 病徴が発現する前に ) ご使用いただくことが重要なポイントであるということです ゾーベックエニケードの有効成分は病原菌への活性が非常に高いので 感染前や感染初期のうちに使用することで植物中や圃場全体の菌密度を低い状態に抑えることができます 加えて 先にも述べたような上方移行性や葉面浸透性などの優れた性質によって植物が保護されるため 菌密度が低いままそれ以降の防除につなげることができます このような理由からゾーベックエニケードは病気の発生前に予防的に使用することを推奨しています そして 本剤は疫病 べと病以外の病害には効果がありませんので 同時期にその他の病害も防除する場合は他の有効薬剤と組み合わせて使用して下さい また ゾーベックエニケードを優れた疫病 べと病殺菌剤として末永くご活用いただくために 耐性菌管理という観点を踏まえた使用が非常に重要になります 耐性菌管理方針として次の 4 つをお願いしております ラベル記載の薬量 ( 希釈倍率 ) を守り 推奨する散布間隔 (7~10 日 ) を守って使用してください 栽培期間の序盤に使用することで本剤による保護 9

( 第 343 号 ) 効果を高めつつ病原菌が薬剤に暴露される機会を制限することができます 異なる作用機構を持つ疫病 べと病殺菌剤と体系で使用してください 病徴が発現する前に予防的に使用して下さい ( 病徴が発現してからの散布は 十分な効果が得られないばかりか 耐性菌発現のリスクが急激に高まります ) 2018 年 2 月現在 適用オキサチアピプロリン作物名希釈倍数使用液量使用時期本剤の使用回数使用方法病害虫名を含む農薬の総使用回数ばれいしょ収穫 7 日前まで疫病トマトきゅうり 100~300L/10a 5000 倍収穫前日まで 2 回以内散布 2 回以内はくさいベと病レタスぶどう 200~700L/10a 収穫 14 日前まで 植防短信 長野県農薬卸商業協同組合総会開催される 長野県農薬卸商業協同組合平成 30 年度 ( 第 72 期 ) 通常総会が 2 月 22 日長野市鶴賀のメルパルク NAGANO に於いて会員 賛助会員及び来賓を迎え盛大に開催されました 総会に先立ち 長野県農業試験場の上杉壽和場長により これからの長野県農業 と題して解りやすく興味のある講演があり 引き続き総会が開催され 平成 29 年度事業報告並びに決算の承認 平成 30 年度事業計画並びに収支予算等が承認されました その後 総務委員を 18 年間務められた北村泰三氏と 事務局長を 16 年間務められ昨年 3 月に退職された浜田俊郎氏に対し 理事長感謝状を海野安彦理事長から授与されました 総会終了後 信州の農業 600 号発刊記念祝賀会を開催し 50 年間に亘る発刊を祝いました ( 長野県農薬卸商業協同組合近藤弘利 ) 落葉果樹 寒冷地果樹研究会に出席しました ( 国研 ) 農研機構果樹茶業部門主催の落葉果樹研究会と寒冷地果樹研究会に出席しました 果樹は落葉果樹 寒冷地果樹 常緑果樹の 3 つに区分され 落葉果樹はぶどう もも 日本なし かき等 寒冷地果樹はりんご おうとう 西洋なし等が該当します それぞれの研究会で さらに栽培分科会 病害分科会 虫害分科会 土壌肥料分科会に分かれ 病害 虫害分科会ではシンポジウム形式の公開会議と 各県の試験成績を検討する非公開会議があります 落葉果樹研究会は 1 月 30~31 日につくば市で開催 されました 病害分科会には 38 都府県が参加し 公開会議では 果樹病害における殺菌剤耐性の現状と対策 と題し 本県を含む 5 県から話題提供がありました 虫害分科会では 最近の果樹害虫の発生と研究動向 と題し 各県で問題となっている害虫や研究の状況が紹介されました 寒冷地果樹試研究会は 2 月 6~7 日に盛岡市で開催されました 病害分科会には 16 道県が参加し 最近発生動向が気になるリンゴ病害と防除対応 と題し 黒星病とうどんこ病を中心に本県を含む 4 道県から話題提供がありました 虫害分科会では 寒冷地果樹害虫研究の現状と今後の研究方向 と題し 本県を含む 6 県から害虫防除の状況や天敵利用の研究について紹介がありました この研究会は他県で問題となっている病害虫や対応に向けたアプローチ 研究手法などの情報収集だけでなく 県をまたいで相互に助言や意見交換がなされる場となっています ( 果樹試験場江口直樹 ) 防除技術基礎研修会開催について 長野県農協生産資材事業推進協議会肥料農薬専門部会が主催する 防除技術基礎研修会 が 去る 1 月 11 日に協友アグリ株式会社長野工場において開催され 県下 JA より総勢 31 名が参加した まずは 世界の農薬情勢や国内の農薬流通情勢 JA グループが取り組むコスト低減策などの農薬事業に関わる項目や農薬による防除の基礎的な技術について 座学による研修を行った 参加者は 特に普段なかなか聞くことが無い農薬業界に関わる話やジェネリック農薬に関わる話に興味深い様子であった 午後には長野市富竹にある協友アグリ株式会社の工場や研究所 さらに同社の子会社となる株式会社エスコの施設見学を行った 参加者からは工場や 10

平成 30 年 3 月 5 日発行 ( 第 343 号 ) 研究所 株式会社エスコの分析機器などの見学が印象に残ったとの意見が多く出された また 見学の際に説明された 農薬の開発や登録に関わる分析やデータの蓄積に多くのコストと時間を要することへの驚きの声が多かった この研修会全体を通して参加者からは概ね好評を得ることができた 今後も農薬の適正使用や職員の農薬に関わる知識向上に貢献するべく 引き続き来年度もこの研修会を開催していく (JA 全農長野生産資材課橋爪真一 ) 地域情報 環境にやさしい農産物 ( 特別栽培米 ) の生産販売研修会を開催 持続可能な農業生産に取り組む米生産者や希望者を対象に 1 月 10 日大町合同庁舎講堂にて 環境にやさしい農産物 ( 特別栽培米 ) の生産販売研修会を開催しました 大北地域は県内でも有数の稲作地帯で 現在需要に応じた生産を進める一方で 特別栽培米として付加価値の高い商品を生産する動きもあります そこで 普及センターでは今後の米情勢を踏まえて 長野県原産地呼称管理制度や信州の環境にやさしい農産物認証制度への取組の一層の推進と 付加価値の高い米を求める消費動向を理解し販売に向けた知識向上を図ることを目的に本研修会を開催し 当日は約 40 名の出席がありました 研修会では始めに 長野県原産地呼称管理制度認定米の品質評価と販売への活かし方 と題して 当制度米官能審査委員長を務める 米匠 ( 長野市 ) の小宮山浩志社長に講演して頂きました 米の生産から乾燥調製 保管 精米に至るまで留意すべきポイントや主食用米の需給動向や産地としての取組について学ぶことができました その後 普及センターから信州の環境にやさしい 農産物認証制度等の県内外の取組事例の紹介を行い 地域振興局からは長野県原産地呼称管理制度や信州の環境にやさしい農産物認証制度について説明を行いました 今回の研修会を通じて 大北地域の米生産者が 高品質の米生産に取り組むとともに 特別栽培米等特徴ある米作りを一層進めていただければと期待しています ( 北アルプス農業改良普及センター井ノ口和人 ) 須高アスパラガスセミナー平成 29 年度の活動を振り返って 1 月 31 日 平成 29 年度の須高アスパラガスセミナーが修了しました 今年度の受講生は 7 名で 定年後の生業に農業を選んだ方や果樹との複合経営を考える方 新規就農を目指して里親の下で研修をしている若者等 それぞれアスパラガス栽培に魅力を感じた方々に熱心に受講していただきました セミナーは今年で 7 年目 講義と実習を交えて毎年 3 月に開講し 種まきから秋の茎枯病防除対策として栽培床の表面を炎で焼く ( バーナー処理 ) まで一連の作業について 全 8 回講義を行いました 本セミナーは 修了生で組織する 須高アスパラガスセミナー修了生の会 も合同で研修会を実施しており そこで地域のモデル農家の技術や経営も学びました その結果 今年は受講生を含む 7 名が雨除けハウスを導入することになり モデル農家を講師に雨除けハウスの建設講習会も開催しました 雨除けハウスは 本セミナーで取り上げてきた 茎枯病 の防除には欠かせません このような活動が実り セミナーの修了生 受講生が栽培するアスパラガスの面積は合計 110a となり 着実に生産量も伸びています 1 人でも多くアスパラガス栽培を始めてもらうことを目的に セミナーは今後も毎年開催する予定です また 10a3 トンの収穫出荷ができる農家の育成も視野に入れ 関係者と手を携えて活動を継続していきたいと思います ( 長野農業改良普及センター森野林太郎 ) 11

( 第 343 号 ) カブリダニの定着状況とアザミウマ類の発生量を調査しました その結果 いずれの生産者の施設でも カブリダニ放飼区で 調査期間を通じて植物体上でカブリダニ類が観察され アザミウマ類は 青色粘着板への捕殺数及び花中の虫数が無放飼区より少なく カブリダニ放飼の効果が確認されました 平成 28 年は 1 名の施設で試験を実施し ほぼ同様の結果を得ました これらの結果から カラーピーマン研究会では スワルスキーカブリダニ製剤の価格は高いものの その効果は十分と考え 平成 29 年度からは全施設に導入し アザミウマ類の防除を行っています ( 北信農業改良普及センター若林秀忠 ) 天敵利用によるカラーピーマンのアザミウマ類の防除 中野市のカラーピーマン研究会では 平成 26 年度から アザミウマ類の天敵 スワルスキーカブリダニ を利用した殺虫剤の使用回数の削減に取り組んでいます 平成 26 年度は 1 名の方が試験的に導入し 結果が良かったため 平成 27 年度に 県専門技術員の指導を受け JA の協力のもと 2 名の生産者の施設で試験を実施しました 試験は殺虫剤の使用回数を削減した 2 施設のうち 一方にスワルスキーカブリダニ ( 商品名 スワルスキー ) を規定量放飼し 協会だより 平成 30 年版 長野県農作物病害虫 雑草防除基準 の販売 安全 確実な防除のための 1 冊 価格 : 700 円 ( 消費税込み 送料別途 ) 薬剤抵抗性 ( 耐性 ) の発達を防止するためには異なる作用機構の農薬を選択し いくつか組み合わせてローテーション使用することが必須です 本防除基準には FRAC( 殺菌剤耐性菌対策委員会 ) および IRAC( 殺虫剤抵抗性対策委員会 ) が定める作用機構による分類コード (FRAC コード IRAC コード ) の情報を農薬ごとにわかりやすく記載しました 同じコードは 同じ作用機構を示すので 生産現場で抵抗性対策に向けた防除薬剤の選択に大いに役立ちます 防除基準をぜひ活用してください 問い合わせ ご注文は ( 一社 ) 長野県植物防疫協会事務局電話 026(235)3510 FAX 026(235)3583 または最寄りの農業改良普及センターまでお願いします 行事 1 月 16 日日植防シンポジウム ( 東京都 ) 1 月 22~23 日試験研究推進会議病虫部会 ( 長野市 ) 1 月 25 26 日農薬管理指導士更新研修会 ( 塩尻市 長野市 ) 1 月 30~31 日試験研究推進会議作物部会 ( 長野市 ) 2 月 6 日 30 年度農薬展示ほ設置打合せ会議 ( 長野市 ) 2 月 13~14 日農薬管理指導士養成研修会 ( 安曇野市 ) 2 月 21 日 GLP 作物残留試験推進会議 ( 東京都 ) 2 月 22 日農薬卸商業協同組合総会 ( 長野市 ) 2 月 23 日病害虫防除研修会 ( 塩尻市 ) 2 月 28 日第 2 回普及技術検討会 ( 長野市 ) はホームページでもご覧になれます URL は http://www.nagano-ppa.jp/ です 12