(2) リス ( ネズミ目リス科 ) 1 対象種ニホンリス 2 生息情報広い山林のある集落 3 採録した呼び名 一般的な和名リス 4 生息及び呼び名の状況近年では地域での開発が進み, 平野部で見かけることはほとんどないが, 当時は郡内に山林が広がっていたことから大部分の集落に分布し, 山林だけでなく

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7 哺乳類の地方名調査結果 (1) ノウサギ ( ウサギ目ウサギ科 ) 1 対象種ニホンノウサギ 2 生息情報全集落 3 採録した呼び名 生息場所又は見かけられた場所サトウサギ, ヤマウサギ 一般的な和名ノウサギ ウサギ類の総称は, ウサギ, オサギ 4 生息及び呼び名の状況近年では地域での開発が進み, 平野部で見かけることはほとんどないが, 当時は郡内に山林が広がっていたことから市街地を除きほぼ全集落に分布し, 野原等でしばしば見かけられたという 本種の呼び名としては, ヤマウサギ や ノウサギ をはじめ計 3 種を採録した 第一次調査において, 当時, 郡内では主として ヤマウサギ と ノウサギ の 2 種の呼び名がみられたことから, 第二次の調査ではどちらを主たる呼び名として使用したかという観点で聴き取りを行った その結果, 郡内の広い範囲で主として ヤマウサギ と呼ばれたほか, 山林の少ない平野部となると ノウサギ と呼ばれる傾向がみられた また, 集落によっては林地にいるウサギを ヤマウサギ, 野原にいるウサギを ノウサギ と, 見かけた場所により呼び分けされた場合がみられた 5 その他聴き取りから, 多くの高齢者は山や野にいるウサギは家で飼うウサギより耳が短いという認識を持っていた なお, 調査対象としなかったが, ウサギ類の総称としては一般的な和名である ウサギ のほか, その訛りと考えられる オサギ と呼ぶ場合がみられ, また, 家で飼われたウサギは, イエウサギ や ゴマウサギ 等と呼ばれた 主たる呼び名の分布 ヤマウサギ サトウサギ ノウサギ 1

(2) リス ( ネズミ目リス科 ) 1 対象種ニホンリス 2 生息情報広い山林のある集落 3 採録した呼び名 一般的な和名リス 4 生息及び呼び名の状況近年では地域での開発が進み, 平野部で見かけることはほとんどないが, 当時は郡内に山林が広がっていたことから大部分の集落に分布し, 山林だけでなく集落によっては神社等でも見かけられたという 本種の呼び名としては, リス の 1 種を採録した 郡内では一般的な和名である リス と呼ばれ, 他の呼び名はみられなかった なお, 周辺地域として聴き取りを行った鈴鹿山脈を挟んだ西側の甲賀市土山町山中では キネズミ, また伊賀町柘植では ヤマネズミ を採録した 5 その他近年では, 平野部において本種を見かけることはほとんどないようであるが, 山林に入ると地面にリス類の食痕が残るマツボックリを見かける場合があるほか, 関町萩原では今日でも畑を走る姿を目にすることがあるという 生息分布域 2

(3) ムササビ ( ネズミ目リス科 ) 1 対象種ムササビ 2 生息情報広い山林のある集落 3 採録した呼び名 標準和名ムササビ その他マタタビ, シクマタヌキ 4 生息及び呼び名の状況近年では地域での開発が進み, 平野部で見かけることはほとんどないが, 当時は郡内に山林が広がり, また神社等に生息場所となる大木が残されていたことから, 伝聞によるものを含めると半数近くの集落で生息情報が得られた 最も東端では四日市市鹿間町 鈴鹿市下大久保町や庄野町において, また周辺地域として聴き取りを行った鈴鹿市御薗町を含め, 当時は山林や神社等で夕方に飛翔する姿が見かけられたといい, 生息個体数としては多くはないものの平野部でも広い範囲に分布していたことが伺われた 本種の呼び名としては, マタタビ や ムササビ をはじめ計 3 種を採録した 一般的な和名である ムササビ のほか, 郡の広い範囲で マタタビ という呼び名が残り, それは昔から地域で使われてきた呼び名であると考えられる 当時の生息情報に加え マタタビ という呼び名の分布から, かつては郡内のより広い範囲で生息していたが, 大正, 昭和と時代が進むとともに, 郡内での山林の開発や各集落の神社等から大木が失われていくに従い, 平野部から次第に姿を消していったものとみられる 5 その他聴き取りから, かつては多くの集落の神社や寺等に本種やフクロウの住み家となりうる大木があったが, 明治時代の後期以降に伐採されていったという話がみられた なお, 近年では人家のある地域で本種を見かけることはないようであるが, 椿神社 ( 鈴鹿市山本町 ) では現在でも稀であるが本種の飛翔する姿を見かけることがあるという 生息情報と呼び名 マタタビ の分布 マタタビ 目視 伝聞 3

(4) ネズミ類 ( ネズミ目ネズミ科 ) ネズミ類は, 聴き取り調査を進めていく中で, 大きさや形態が似ていることから種毎の呼び名があ まりみられず, 生息場所又は見かけられた場所に由来する呼び名が数多くみられたことから, 次の 5 種類の区分により呼び名等の聴き取りを行い, その整理を行った 1 家にいるネズミ ( 総称 ) 2 家にいる小型ネズミ 3 溝にいる大型ネズミ 4 田畑等にいるネズミ 5 ネズミの幼体 1 家にいるネズミ ( 総称 ) a) 対象種クマネズミ, ドブネズミ, ハツカネズミ b) 生息情報全集落 c) 採録した呼び名ア家イエネズミ, ウチネズミ, ヤシキネズミイ天井エンマネズミ, テンジョウネズミウ他チュウネズミ, ドクネズミ d) 生息及び呼び名の状況家にいるネズミ類は郡内全集落に分布し, 昔から家内を荒らすやっかいものであった 呼び名としては, ウチネズミ や エンマネズミ をはじめ計 7 種を採録した 戸外にいるネズミ類と区別し, 人家にいることや天井裏といった暗闇の中にいること等に由来する呼び名がみられたが, こうした呼び名は採録した集落も少なく, かつよく使われた呼び名ではなかったという ア家にいること ウチネズミ や ヤシキネズミ をはじめ計 3 種を採録した 家のことをよく ウチ や ヤシキ と呼ぶことに由来する呼び名である イ天井にいること エンマネズミ と テンジョウネズミ の計 2 種を採録した 屋根裏という暗い所にいることに由来すると考えられる エンマネズミ が関町近隣でみられたほか, テンジョウネズミ と呼ぶ集落もみられた ウその他ネズミとしては中型であることから チュウネズミ, また毒を持っているとして ドクネズミ と呼ぶ集落がみられた 家にいるネズミの総称の分布 ウチネズミ ヤシキネズミ イエネズミ 4

2 家にいる小型ネズミ a) 対象種ハツカネズミ b) 生息情報全集落 c) 採録した呼び名 小さいことコネズミ その他コギ, コギシロ, コゲシ, コゲシロ, コニシロ, コノシロ, ホッポネズミ ( 標準和名ハツカネズミ ) d) 生息及び呼び名の状況主として人家に生息し, 郡内全集落に分布するとともに, 近年でも農家等でしばしば見かける小型のネズミである 本種の呼び名としては, コギシロ や コノシロ をはじめ計 8 種を採録した 郡内の広い範囲で コギシロ と呼ばれたほか, 加太地区では コノシロ, 南小松では コゲシロ と呼ばれた その他, コニシロ, コノシロ, また小さいことから コネズミ と呼ぶ集落が数少ないながら散在してみられた なお, 標準和名である ハツカネズミ は主として飼いネズミの呼び名として当時既に使われるとともに学校教育等で広まりつつあったようであるが, 地方名として一般的であったのは コギシロ を中心とした呼び名であったことから採録しなかった e) その他当時, 人家に生息又は侵入するものとしては数種類のネズミがいたようであるが, 近年見かけるのは本種が多いという 主な呼び名の分布コニシロコゲシ ( ロ ) ホッポネズミコノシロ コギシロ コノシロ 5

3 溝にいる大型ネズミ a) 対象種ドブネズミ b) 生息情報全集落 c) 採録した呼び名 生息場所又は見かけられた場所カワネズミ, ミゾネズミ 大きいことオオネズミ 標準和名ドブネズミ その他ブブネズミ d) 生息及び呼び名の状況主として人家近くの溝川等で見かけられ, 人家にもよく入ってきたという大型ネズミである 当時は郡内全集落に分布したが, 近年では人家やその周辺の環境が昔と大きく変わったこと等から見かけることはほとんどないという 本種の呼び名としては, ドブネズミ や カワネズミ をはじめ計 5 種を採録した 生息場所である水辺に関係した呼び名がみられ, 郡内では広い範囲で標準和名である ドブネズミ と呼ばれたほか, 溝川 と呼んだ水路で見かけられることに由来し椿地区や深伊澤地区では主として カワネズミ と呼ばれた また, 同様に ミゾネズミ と呼ぶ集落が散在してみられた なお, 本種を カワネズミ と呼んだ椿地区等では, 主として河川上流部の淵等に生息するモグラ目のカワネズミについては認識されておらず, 当時のその生息状況は不明であるが, カワネズミ はそれを含めた呼び名でもあると考えられる e) その他聴き取りでは, ネズミの大きさについても尋ねつつ整理を進めたが, カワネズミ という呼び名が本種かモグラ類のカワネズミ等かは被聴き取り者の認識による部分が大きく, 集落や人によっては混同の可能性がある 主な呼び名の分布 カワネズミ ミゾネズミ カワネズミ ドブネズミ 6

4 田畑等にいるネズミ a) 対象種アカネズミ, カヤネズミ, ハタネズミ, ヒメネズミ等 ( ジネズミ : モグラ類 ) b) 生息情報全集落 c) 採録した呼び名ア田畑や野にいること ( 総称を含む ) ツチネズミ, ドネズミ, ノーネズミ, ノネズミ, ノラネズミ, ハタケネズミ, ヤソウイ川の土手にいることカワネズミウ水戸近くにいることミトネズミエ山にいることヤマネズミオ小型ネズミであること ( ハツカネズミとの混称 ) コギシロ, コネズミ d) 生息及び呼び名の状況田畑等の野外には数種類の小型のネズミ類が見られ, 郡内全集落に分布した 呼び名としては, ハタケネズミ や ヤマネズミ をはじめ計 12 種採録した 総称としての ノネズミ のほか, ミトネズミ 等生息場所又は見かけられた場所に由来した呼び名が数種みられたため, 採録した呼び名を場所等により区分して整理した なお, 野外には小型のネズミが多く, ハツカネズミと混同等され コギシロ 等とも呼ばれた 田畑や野にいるネズミは郡内の広い範囲で ハタケネズミ 等と呼ばれたほか, 安楽川沿いの集落を中心に ツチネズミ と呼ばれた また ドネズミ も広い範囲でみられたが, ド という語は悪く呼ぶ場合や土に関係した場合があり, 集落や人によっても異なるようであった なお, ツチネズミ や ドネズミ はモグラの穴を利用し畑に現れるという話が一部にみられ, 集落によってはジネズミ ( モグラ類 ) も含んだ呼び名の可能性がある 川の土手にいるネズミは カワネズミ と呼ばれた 河川中流域の集落での呼び名であり, 土手のヨシ原等に巣を作るという話から, 主としてカヤネズミと考えられる その他, 水戸近くにいるネズミは ミトネズミ, 山にいるネズミは ヤマネズミ と呼ばれる場合がみられた e) その他聴き取りから, かつては稲刈り後の田んぼに乾かした稲穂でよく すずみ が作られ, その中でたくさんの小さなネズミが冬を越したという話がみられた 呼び名 ハタケネズミ と ツチネズミ の分布 ツチネズミ ハタケネズミ 7

5 ネズミの幼体 a) 対象種主としてカヤネズミ, ハタネズミ等 b) 生息情報全集落 c) 採録した呼び名 体色アカゴ, アカドンビン, アカネズミ ネズミの幼体を示すコギシロノコ, ネズミノコ, ノネズミノコ その他ドンビ, ドンビン, ドンピン, ドンビンゴ d) 生息及び呼び名の状況ネズミの幼体は, 郡内全集落において稲穂や野原等に掛けられた巣の中でしばしば見かけられたという 呼び名としては, アカゴ や ドンビン をはじめ計 10 種を採録した 郡内の広い範囲で ドンビ, ドンビン と呼ばれたが, それは形態がはっきりしない丸味を帯びた生き物を指す言葉でもあり, 孵化後間もない鳥類の雛や血を吸って大きくなったヒル等を形容する言葉としても使われた カヤネズミ ( ネズミ目ネズミ科 ) について本種については, 成体を見かけることは多くなかったようであるが, 稲穂やヨシ等にかけられた小さな巣は数多く見かけられよく認識されていた 当初, 本種としての呼び名の聴き取りを行ったが, 固有の呼び名はみられず見かけられた場所等により他の小型ネズミとともに様々な呼び名がみられた 田畑等で見かけられた場合は ハタケネズミ, ノネズミ 等と野外のネズミ類の総称で呼ばれたほか, 小型のネズミであることから人や集落によってはハツカネズミと混同されたり混称となり, コギシロ 等とも呼ばれた また, 川の土手で見かけられた場合は カワネズミ, 水戸近くの場合は ミトネズミ と呼ぶ集落が見られ, これらは本種が主となった呼び名と考えられる なお, ネズミの幼体については ドンビ, ドンビンゴ 等と郡内の多くの集落で呼ばれたが, それが見かけられたのは稲穂等にかけられた巣の中にいる場合が多く, 本種の幼体を指す場合が多かったものと考えられる 呼び名 コギシロ, コニシロ 等について聴き取りから, コギシロ, コニシロ 及び コノシロ は人家に生息する小型のハツカズネミを意味する言葉であり, 田畑等に生息するノネズミ類を指す言葉ではないという話がいくつかの集落でみられた 一方, 呼び名としての実態は田畑等の野外で見かけられるカヤネズミやヒメネズミ等もハツカネズミと同様に小型で似ていることから, 数多く人や集落から同様に コギシロ 等と呼ばれていた 本来, 人家に生息するハツカネズミを意味する呼び名が小型のネズミ類の総称としても使われたものであろうと考えられる 8

(5) モグラ類 ( トガリネズミ目モグラ科 ) 1 対象種コウベモグラ, アズマモグラ, ヒミズ等 2 生息情報全集落 3 採録した呼び名 地面に潜ることモグリ, モグロ その他イゴロ, ウグロ, ウゴロ, ウンゴロ ( ツチネズミ, ドネズミ ) 4 生息及び呼び名の状況郡内に生息するモグラ類はコウベモグラやヒミコウベモグラズをはじめいくつかの種類があり, 全集落に分布し畑の野菜類を荒らす有害な生き物として認識されていた 本種の呼び名としては, ウグロ や ウゴロ をはじめ計 6 種を採録した 郡内では広い範囲で ウグロ と呼ばれたほか, 加太地区では イゴロ, 坂下地区, 関地区から中ノ川沿いに明地区 ( 河芸郡 ), 昼生地区にかけては ウンゴロ 又は ウゴロ と呼ばれた また, 周辺地域として聴き取りを行った甲賀市土山町山中では イゴロ ( モチ ), 柘植町では オゴロ を採録した こうした呼び名は, 基本的には 1 系統のものが地域により少しずつ異なる形で呼ばれたものと考えられる 一方, 地面に潜ることに由来する モグリ, モグロ という呼び名も一部の集落にみられたが, よく使われたものではなかったという なお, 田畑等にいるネズミ類の呼び名の聴き取りの中で, 一部の集落で ツチネズミ や ドネズミ と呼ばれるモグラの穴を利用するネズミの話がみられたが, モグラ類の一種であるジネズミ等である可能性も考えられる 5 その他聴き取りから, 当時の子ども達は モグラ落とし でモグラを捕まえその皮を売っていたという話がみられた 主な呼び名の分布 ウグロ ウゴロ イゴロ ウンゴロ 9

(6) カワネズミ ( トガリネズミ目トガリネズミ科 ) 1 対象種ニホンカワネズミ 2 生息情報河川中上流域の集落 3 採録した呼び名 一般的な和名等カワネズミ その他ネズミ 4 生息及び呼び名の状況主として河川上流部に生息する生き物であるが, 近年では見かけることほとんどない 当時は鈴鹿川及び中ノ川の本支流の上流部において川の流れにより掘れ込んだ所 (= 通称 ゴラ ) や淵の部分で見かけられるとともに, 鈴鹿川中流域では谷間から流れる小支流においても見かけられたという 本種の呼び名としては, カワネズミ と ネズミ の計 2 種を採録した 川の上流部という本種の主な生息地に近い集落を中心として, 一般的な和名であるとともに川に生息しネズミによく似た形態であることに由来し カワネズミ と呼ばれたほか, 単に ネズミ と呼ばれた 5 その他聴き取りから, 本種はドブネズミと比べ小型で色がきれい又は白く見えるという話がみられた 当初, 本種を調査対象としていなかったが, 河川の上流域の集落での聴き取りにおいて川の淵に生息するネズミに関する話がしばしばみられたため, 調査対象に加え聴き取りを行った 調査は河川上流域の集落を中心に行うとともに, 集落によってはドブネズミも本種と同様に カワネズミ と呼ばれたことから, そうした点に留意しつつ川の淵等に生息するネズミ類の有無とその呼び名について聴き取りを行った 呼び名 カワネズミ ( 同名の他種は除く ) の分布 呼び名 カワネズミ について聴き取りから, カワネズミ は地域や集落により示す内容が異なり,1 主として川の上流部に生息するモグラ類のカワネズミを指す場合,2 ドブネズミを指す場合,3 川の土手に生息する ( 小型 ) ネズミを指す場合, また 4 カワウソを指す場合がみられた なお,1 と 2( 場合によっては 3) については混同の可能性もあると考えられたが, 本調査では被聴き取り者の認識に従って整理を行った 10