殿塚勲 藤原祥史 吉田政春 を観察しながら各面の色の塗り分けをしてゆくと, 色の塗り分けの全体像が理解しやすく, 色の種類の最小解にたどりつくことが分かった この方法によればグローバルな見地から色の塗り分けができ, かつ色の種類が最小であることの見通しを直観的に理解できることがよい点である ここで得

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広島工業大学紀要研究編第 44 巻 (2010)pp.259-267 論文 準正多面体の構成と色の塗り分け 殿塚勲 * 藤原祥史 * 吉田政春 * Construction and Coloring of Semi-Regular Polyhedrons ( 平成 21 年 10 月 27 日受理 ) Isao TONOZUKA, Yoshifumi FUJIWARA and Masaharu YOSHIDA (Received Oct. 27, 2009) Abstract This paper deals with the coloring of semi-regular polyhedrons. The famous four-color theorem comes into effect for this type of polyhedrons as well as the 2-dimensional maps. The semi-regular polyhedrons are constructed from regular polyhedrons by means of such operations as truncation. In the cource of the constructions of semi-regular polyhedrons from regular polyhedrons, a careful observation leads us a finding of coloring of the semi-regular polyhedrons by use of minimum kind of colors. This method is global, whereas our proposal in the previous report is local. Key Words: semi regular polyhedron, global coloring, four-color theorem, regular polyhedron 1 はじめに前回の報告 [1] では正多面体の塗り分けを, 隣の面同士が同じ色にならないように色を選ぶことを試みた この際, 有名な4 色定理 [2] により多くとも4 色で塗り分けができることを前提とし, 使われる色の種類が最小になるように決めた その結果 の段階になって4 色以内で塗り分けが不可能になったり, あるいは更によい解の存在を知る場合もある ここでは準正多面体の塗り分けを取り上げる 準正多面体はアルキメデスの多面体とも呼ばれ [5] (ⅰ) 有限個の多角形で囲まれた凸多面体である (ⅱ) 各面はすべて辺の長さが等しい正多角形から成る ただし正多面体は除く 正 4 面体正 6 面体正 8 面体正 12 面体正 20 面体 4 色 3 色 2 色 4 色 3 色 (ⅲ) 各頂点での多角錐はすべて, 合同である の条件を満たす 準正多面体を構成するにはすべて正多面体から出発する 正多面体から準正多面体を得るには [5] (1) 切隅 が塗り分けの最小の色の種類であることを示した そこでは隣同士の面が同じ色にならないように塗り分けるアルゴリズムを提案したが, それはある面の色を仮定して隣の面同士が異なるように順々に決めて全体の面の色を決めてゆくもので, いわば局所的な ( ローカルな ) 色の塗り分け方法である したがって順々に色を決めてゆき最後 (2) 中央切り (3) 二重切り (4) 削辺 (5) 捩り切りの5 種類の操作をしながら構成してゆく 上の操作をしながら準正多面体を構成するその途中過程 *** 広島工業大学情報学部知的情報システム学科 259

殿塚勲 藤原祥史 吉田政春 を観察しながら各面の色の塗り分けをしてゆくと, 色の塗り分けの全体像が理解しやすく, 色の種類の最小解にたどりつくことが分かった この方法によればグローバルな見地から色の塗り分けができ, かつ色の種類が最小であることの見通しを直観的に理解できることがよい点である ここで得られた塗り分けが色の種類の最小解であるかどうかを判断することは一般には難しい ここでは, 準正多面体に含まれる頂点や辺, 多角形の関係が図 14 の6 種類のどのタイプを含むかにより塗り分けの色の最小種類を判別した なお多面体の名称であるが, 頂点の回りをどのような正多角形で構成しているか, により名づけることにする 例えば正 6 面体の1つの頂点は3つの正四角形でできているので正 6 面体は 444 である 正多面体はすべてこのような表記の仕方が可能であり正 4 面体は 333, 正 8 面体は 3333, 正 12 面体は 555, 正 20 面体は 33333 である 準正多面体もこのような表記法が可能であり, それは準正多面体の条件 (ⅲ) による 例えば 388,566,3434 等がある なお正多面体は5 種類であり, 準正多面体の種類は 13 である 但し異性体を入れると 16 種類という見方もあるがここでは基本的な 13 種類の準正多面体をとりあげる 2 正多面体から準正多面体を作る過程 2.1 切隅 操作による準正多面体の構成正多面体の各辺上に2 点を選び, 各面が正多角形になるようにして残りの隅の部分を切りとることにより多面体を作る 出発点としては5 種類すべての正多面体を選ぶことができる 例として立方体 444 から出発して準正多面体 388 を構成する過程を図 1(1)(2)(3)(4) に示す 2.1.1 正 6 面体の 切隅操作 による準正多面体 388 の形成 (444==>( 切隅 )==>388) 正 6 面体 ( 立方体 ) の1つの面の各辺に2 点づつ点を選び, これらを結ぶと正 8 角形になるように点を決める ( 図 1(1)) これを各面について行い6つの正 8 角形の色を正 6 面体の塗り分けを行ったと同様に行うと3 色で可能である ( 図 1(2)) 余った8つの頂点部分の切隅をするとその切り口は正 3 角形であり, これら8つの正 3 角形を第 4 色で塗れば ( 図 1(3)),6つの正 8 角形と8つの正 3 角形とは隣同士には同じ色は現れず, しかもこれが最小の種類の色による塗り分けとなる ( 図 1(4)) 388 の塗り分けには4 色必要 図 1(5) は 388 を2 次元に射影した図 [1] であり, 立体の裏も見え, かつ隣同士の色が異なることが見てとれるが, 面の数は射影のために 1 面だけ少ない 388 の塗り分けに4 色が必要であることは, 図 14(4) タイプ D との比較からこれが最低の色の数であることが分かる 2.1.2 正 6 面体以外の正多面体の 切隅操作 による準正多面体の形成 333==>366 図 2(1) は正四面体から切隅操作で 366 を作った結果であり, 正四面体自身の塗り分けには4 色必要であり, 2 次元射影図の図 2(2) からわかるように 366 でも4 色となる 3333==>466 図 3(1) は正八面体から切隅操作で 466 を作った結果である 正八面体は2 色で塗り分けができるが, 切隅操作で切り口はその2 色とは異なる色が必要なので,466 では3 色が図 3(2) 必要となり, 図 14(1) タイプ A または図 14(5) タイプ E よりこれが最小の色の種類である 555==>31010 正 12 面体の塗り分けにはもともと4 色が必要であり, 切隅操作してできた 31010 でも4 色を要する ( 図 4 (1), 図 4(2)) 図 14(4) タイプ D より4 色が最小である 33333==>566 正 20 面体の塗り分けは3 色でできるが, 切隅操作してできた切り口は3 色すべてと面が隣り合わせになるので,4 色が必要となる ( 図 5(1), 図 5(2)) 4 色は図 14(6) タイプ F より最小である 2.2 中央切り 操作による準正多面体の構成切隅では1 辺を3つの部分に分割しているが, さらに切り込みを深くして各辺の中点を結んだ線を結ぶ 444==>3434 正方形の各辺の中点を結ぶと, 各面には面積が半分で 45 度回転した正方形が現れる これらの面は点以外では接していないので同じ色で塗りつぶすことができる ( 図 6(1), 図 6(2)) 切隅された残りの断面は3 角形であり, これも第二の色で塗りつぶすと 3434 は2 色で塗り分けが可能である ( 図 6(3), 図 6(4)) 実際, 各頂点は図 14(2) タイプ B だけから成り立つ 図 6(5) は 3434 の2 次元射影図である 555==>3535 図 7(1) は正 12 面体 (555) から中央切りにより作った 3535 である その作り方は上の 3434 とほぼ同様であ 260

準正多面体の構成と色の塗り分け る 各頂点は図 14(2) タイプ B だけから成り立ち, 2 色で塗り分けが可能である 図 7(2) は 3535 の2 次元射影図 2.3 二重切り 操作による準正多面体の構成 444==>468 立方体 (444) の各面に元の面の2 倍の角の正多角形を描く 立方体 (444) から出発するので各面に8 角形が 6 個できるが, 隣の面との間で出来る平行部分が正方形になるように各辺の切り込みを調節し, 同時に立方体の頂点を切り込んでその断面が正 6 角形にすることができる ( 図 8(1) 図 8(2) 図 8(3)) こうして6 面の8 角形を第 1 色, 立方体の辺と同じ個数の 12 面の正方形を第 2 色, 立方体の頂点と同じ枚数の正 6 角形は第 3 色で塗りつぶせば, それらの面は接していないので,3 色で塗り分けができる ( 図 8 (4)) 各頂点は図 14(1) タイプ A または図 14(5) タイプ E から成り立つので最小種類は3 色となる 図 8(5) は 468 の2 次元射影図 555==>4610 正 12 面体の5 角形の各面内に正 10 角形を描き, 隣の面の5 角形との平行線が正方形になるようにする 同時に正 12 面体の各頂点の切り口が正 6 角形になるようにすると準正多面体 4610 ができる 色の塗り分けは上の 468 と同様に3 色でできる 図 9 (1) 図 9(2) は 4610 の2 次元射影図 2.4 削辺 操作による準正多面体の構成 444==>3444 立方体 (444) の各面に元の面よりも小さい面 ( 正方形 ) を描き第 1 色で塗りつぶす 図 10(1), 図 10(2) その大きさは隣の面上の正方形との間でできる平行線で囲われた部分が正方形になるように選ぶ こうして辺を削除してできた正方形には第 2 色を塗る 図 10 (3) 残りは立方体の頂点を切隅した3 角形部分が8 個できるがこれは辺を削除してできた正方形と隣どうしではあるが, はじめに描いた平行線とは隣接していないので, 第 1 色で塗りつぶす 図 10(4) 図 10(5) は 3444 の2 次元射影図 各頂点は図 14(2) タイプ B から成り立ち2 色で塗りつぶしが可能である 555==>3454 正 12 面体の5 角形の各面内により小さな正 5 角形を描き, 第 1 色で塗りつぶす 隣接する5 角形の平行線 で囲われた部分は正方形になるようにしてこれには第 2 色を塗る 正 12 面体の 20 個の頂点を切隅してできた3 角形部分ははじめの正 5 角形とは隣接していないのでこれと同じ第 1 色で塗りつぶす 図 11(1) 3444 と同様に各頂点は図 14(2) タイプ B から成り立ち2 色で塗りつぶしが可能である 図 11(2) は 3454 の2 次元射影図 2.5 捩り切り 操作による準正多面体の構成 444==>33334 立方体の各面内により小さな正方形を捩って配置する [5][6] その配置はその正方形の回りに2つの正三角形を通じて隣の正方形につながるように位置を決める 結果的には正方形の隅の周りに4つの正三角形が回り込むように配置される 各頂点は図 14(3) タイプ C から成り立ち3 色で塗りつぶしが可能である 捩り切りは5 種類の操作の中で最も複雑である 図 12(5) は 33334 の2 次元射影図 555 ==> 33335 正 12 面体 555 の正 5 角形の各面上に小さな5 角形を配置し, その正 5 角形の隅の周りに4つの正三角形が回り込むように配置される 33334 と同様に各頂点は図 14(3) タイプ C から成り立ち3 色で塗りつぶしが可能である 図 13(2) は 33335 の2 次元射影図 3 終わりに 13 種類の準正多面体のすべてに対し最小の色の数での塗り分けを行った [1] とは異なり, 見通しよくグローバルに面の色を決めることができた さらに得られた結果が最小の色の数であるということは頂点や多角形の構造から図 14 のタイプ A,B,C,D,E,F などに分けた各タイプにあてはめて確認ができた すべての準正多面体は Zalgaller の多面体 [3] と呼ばれる 92 種類の多面体に含まれ, その頂点座標などのデータは [4] により計算され公開されている ここでは 13 種類の準正多面体の頂点座標などのデータはこれによらず, ここで述べたような正多面体からの構成により求めたものである 我々は準正多面体を正多面体から構成する過程をすべて 3 次元グラフィックスで作成したが, これは準正多面体の構造を学ぶためのよい教育用教材になると考えている 参考文献 [1] 殿塚勲 村上智秋, 多面体の塗り分け, 広島工業大学紀要, 第 43 巻 pp331 337(2009) 261

殿塚勲 藤原祥史 吉田政春 [2] ロビン ウィルソン, 茂木健一郎訳, 四色問題, 新潮社 (2004.11) [3] 関口次郎, 多面体の数理とグラフィックス, 牧野書店 (1996.2) [4] 小林光夫 鈴木卓治 正多角形を面にもつすべての凸 多面体の頂点座標の計算 電気通信大学紀要, 第 5 巻 (1992),p147 184 [5] 一松信, 正多面体を解く, 東海大学出版会 (1983.6) [6] 阿原一志, 数理科学,NO.362,pp54 59(1993), NO.363,pp59 65(1993) 262

準正多面体の構成と色の塗り分け 切隅操作による準正多面体の構成 444 ==>388 図 1 1 図 1 2 図 1 3 333==>366 図 1 4 388 図 1 5 388 の 2 次元射影図 図 2 1 366 図 2 2 366 の 2 次元射影図 3333==>466 図 3 1 466 図 3 2 466 の 2 次元射影図 263

殿塚勲 藤原祥史 吉田政春 555==>31010 図 4 1 31010 図 4 2 31010 の 2 次元射影図 33333==>566 図 5 1 566 図 5 2 566 の 2 次元図 中央切操作による準正多面体の構成 444==>3434 図 6 1 図 6 2 図 6 3 図 6 4 図 6 5 264

準正多面体の構成と色の塗り分け 555==>3535 図 7 1 3535 図 7 2 3535 の 2 次元射影図 2 重切り操作による準正多面体の構成 444==>468 図 8 1 図 8 2 図 8 3 555==>4610 図 8 4 図 8 5 図 9 1 4610 図 9 2 4610 の 2 次元射影図 265

殿塚勲 藤原祥史 吉田政春 削辺操作による準正多面体の構成 444==>3444 図 10 1 図 10 2 図 10 3 555==>3454 図 1 0 4 図 1 0 5 図 11 1 3454 図 11 2 3454 の 2 次元射影図 捩り切り操作による準正多面体の構成 444==>33334 3454 図 12 1 図 12 2 図 12 3 266

準正多面体の構成と色の塗り分け 555==>33335 図 12 4 図 12 5 図 13 1 33335 図 13 2 33335 の 2 次元射影図 図 14 1 タイプ 図 14 2 タイプ 図 14 3 タイプ 図 14 4 タイプ 図 14 5 タイプ 図 14 6 タイプ 267