製品コード 4403 研究用 Cellulose Cartridge Glycan Preparation Kit 説明書 v201212da
I. 製品説明 Cellulose Cartridge Glycan Preparation Kit は 特別な処理を施した微結晶セルロースが充填されたディスポーザブルカートリッジカラムキットです ヒドラジン分解物 酵素反応物などのサンプルを Cellulose Cartridge にかけることによって サンプルに含まれる糖鎖以外の夾雑物を簡単に取り除くことができます 糖鎖のピリジルアミノ化 (PA 化 ) の前に Cellulose Cartridge による糖鎖精製を行っておくと PA 化後の HPLC による糖鎖分析において PA 化試薬や夾雑物由来のピークが大幅に減少するので タンパク質や細胞のヒドラジン分解物のような夾雑物の多いサンプルの糖鎖分析に特に有効です 標準のプロトコールで精製可能な糖鎖は おおよそ 4 糖 ~ 15 糖が目安です さらに本製品は GlycoTAG によって PA 化した標識オリゴ糖のクリーンアップにも有効です また 糖タンパク質のプロナーゼ消化物等から糖ペプチドを調製するのにも用いることができます II. 原理 ヒドラジン分解物からのアスパラギン結合型糖鎖 (N- グリカン ) 画分の調製には 濾紙によるペーパークロマトグラフィーがおこなわれてきました このペーパークロマトグラフィーで用いられている条件では アミノ酸誘導体などの不純物は移動していきますがオリゴ糖は濾紙 ( セルロース ) と強い相互作用をするため原点にとどまります クロマトグラフィー後 原点周辺を切り取り 水で抽出してオリゴ糖を回収していました 本製品は このペーパークロマトグラフィーの原理をカラムクロマトグラフィーに応用し N- グリカンの調製用に条件を至適化した製品です カラムにした結果 濾紙では数日を要していたオリゴ糖調製のクロマトグラフィーが 1 時間足らずでできるようになりました III. キットの内容 (5 回分 ) Cellulose Cartridge * シリンジ (10 ml) アダプター 5 本 1 本 1 個 *: カートリッジの性状 充填剤 : 微結晶セルロースベッド体積 : 0.5 ml 流速 : 前処理時 毎秒 2 ~ 5 滴サンプル添加 洗浄 溶出時 毎秒 1 ~ 2 滴 IV. 保存 室温 適切に保存し 受取り後 2 年を目途にご使用ください 2
V. 準備 1. 必要な試薬 器具精製水 ( 蒸留水または超純水 ) エタノール ( 特級 ) 1- ブタノール ( 特級 ) プラスチックチューブ (5 ml 容量程度 ) サンプル濃縮装置 ( 遠心濃縮器が望ましい ) 2. 溶媒の調製 (5 サンプル処理分 ) 以下の溶媒は用時調製が望ましいが 保存する場合には 密栓できる容器中で高温を避けて保存する 溶媒 1(Butanol/Ethanol/H2O, 4:1:1) ブタノール 120 ml エタノール 30 ml と精製水 30 ml をメスシリンダーで計量し よく混和する 溶媒 2(Ethanol/H2O, 1:1) エタノール 50 ml と精製水 50 ml をメスシリンダーで計量し よく混和する ( 注 )PA 化後の糖鎖の精製を行なう場合は 溶媒 1 2 の組成が異なります P.11 使用例 (6) 糖鎖のピリジルアミノ化後の残存試薬の除去 をご参照ください 3
VI. 標準プロトコール 操作は室温 (20 ~ 25 ) でおこなってください サンプルについて対象試料 : 未標識 N- グリカンあるいは約 4 糖 ~ 15 糖のオリゴ糖試料の上限 : ヒドラジン分解物 10 mg タンパク質相当オリゴ糖水溶液 酵素反応液 1 mg タンパク質 水溶液 100 μl ( 界面活性剤や高濃度の塩類を含まないこと ) ( 注 )PA 化糖鎖の精製方法は 標準プロトコールとは異なります P.11 使用例 (6) 糖鎖のピリジルアミノ化後の残存試薬の除去 をご覧ください 1. 試料溶液の調製サンプルを濃縮乾固し 400 μl の蒸留水に溶解する 約 5,000 g ( マイクロ遠心機で 10,000 rpm) で 2 分間遠心し 上清を 5 ml 容量程度のガラスあるいはプラスチックチューブに移す さらに エタノール 400 μl ブタノール 1,600 μl を加えよく撹拌する ( 注 ) 1. タンパク質等の沈殿が生じる場合があるが遠心などせず懸濁液のままカラムにアプライする 2. 撹拌した試料溶液が明らかに 2 層分離している場合 溶媒 1 で試料溶液を希釈することで均一化できる場合があるが 溶媒 1 を 5 ml 添加しても 2 層分離する場合は糖鎖以外の夾雑物 特に塩類の濃度がかなり高いと考えられるので 再乾固後 ゲルろ過による脱塩を試みる 2. カートリッジの前処理カートリッジにアダプターを装着する シリンジに精製水を 10 ml 吸入しアダプターに装着してカートリッジを洗浄する ( 送液は毎秒 2 ~ 5 滴ぐらい ) この操作を少なくとも 3 回繰り返す 最後はシリンジで空気を送りカートリッジ内の精製水を押し出す シリンジに溶媒 2 を 10 ml 吸入しアダプターに装着してカートリッジを洗浄する ( 送液は毎秒 2 ~ 5 滴ぐらい ) 最後はシリンジで空気を送りカートリッジ内の溶媒を押し出す シリンジに溶媒 1 を 10 ml 吸入しアダプターに装着してカートリッジを平衡化する ( 送液は毎秒 2 ~ 5 滴ぐらい ) 最後はカートリッジ充填剤の上端に溶媒がわずかに残った状態にしておく 3. 試料溶液のアプライ試料溶液を十分に撹拌し アダプターをはずしたカートリッジシリンダー内に注入する ( 試料溶液の遠心はしない ) アダプター 空気を吸入したシリンジの順に装着し 試料溶液をシリンジの空気でゆっくりと押し出す ( 毎秒 1 滴 ) カートリッジが涸れないように注意しながら試料溶液が充填剤の上端ぎりぎりになったところで止める 4. カートリッジの洗浄シリンジに溶媒 1 を 10 ml 吸入し アダプターに装着して途中カートリッジが涸れないように注意しながらカートリッジを洗浄する ( 送液は毎秒 1 滴ぐらい ) 最後はシリンジで空気を 2 ml 程度送りカートリッジ内の溶媒を押し出す ( 注 ) サンプル溶液量が 2.4 ml( 水 400 μl エタノール 400 μl ブタノール 1,600 μl) を超える場合 サンプル溶液と洗浄液 ( 溶媒 1) の総和が 12.4 ml になるように洗浄液量を調整する 5. 糖鎖の溶出アダプターをはずし シリンダー内に溶媒 2 を 2 ml 注入する アダプター 空気を吸入したシリンジの順に装着し シリンダー内の溶媒をシリンジの空気でゆっくりと押し出し ( 毎秒 1 滴 ) 溶出液を 1.5 ml プラスチックチューブ (1 ml ずつ 2 本に分ける ) または 5 ml 程度の試験管等で回収する 最後は空気でカートリッジ内の溶媒を押し出す 溶出液は遠心濃縮器等を用いて乾固する ( 注 ) このカートリッジは使い捨てです 4
< 更に回収率を上げるためのプロトコール > 標準プロトコールで通常 N- グリカンの 95% 以上が回収されますが以下の操作を加えることにより若干 (1 ~ 2% 程度 ) の収率の向上が期待されます ( 付 1) 試料溶液のアプライ後 試料溶液の入っていた容器を 1 ml の溶媒 1 で 2 回洗い込みアダプターをはずしたカートリッジシリンダー内に注入する 後は標準プロトコール 3 と同じ要領で洗液をカートリッジにアプライし 標準プロトコール 4 の要領で 8 ml の溶媒 1 にてカートリッジを洗浄する ( 付 2) 標準プロトコール 5 の糖鎖溶出操作を再度繰り返す あるいはエタノール / 水 (1 :2) の混合溶媒 (2 ml) を用いて 上記 5 の要領で溶出操作を行う 5
VII. 使用例 (1) ヒドラジン分解物からの N- グリカン回収 ウシフェツイン 10 mg のヒドラジン分解物をキットのプロトコールに従い Cellulose Cartridge にかけ N- グリカンの回収を行った 回収した N- グリカンの一部を GlycoTAG にてピリジルアミノ化 (PA 化 ) し HPLC 分析を行った ( 図 1) 同時にヒドラジン分解物をそのまま PA 化し HPLC にて分析を行った ヒドラジン分解物の分析では 目的とするグリカンのほかにペプチド 試薬由来と思われる夾雑物がかなり含まれていたが Cellulose Cartridge の使用により夾雑物のピークがほとんど見られなくなった また N- グリカンの回収率もほぼ定量的 (97%) であった 図 1. フェツインヒドラジン分解物のプレラベル精製 < HPLC 条件 > Column : PALPAK Type S Solvent A : CH 3CN/500 mm AcOH-Triethylamine (ph7.3), 90/10 (v/v) Solvent B : CH 3CN/500 mm AcOH-Triethylamine (ph7.3)/h 2O, 50/10/40 (v/v/v) Elution : 0-40% Solvent B in 40 min., and 40-100% Solvent B in 120 min. Flow rate : 1 ml/min. Column Temp. : 40 Detection : Fluorescence (Ex. 310 nm, Em. 380 nm) 6
(2) デキストラン加水分解物の回収 表 1. グルコースオリゴマーの回収 デキストランの加水物分解物より調製したグルコースのオリゴマー ( 重合度 2 ~ 15) を Cellulose Cartridge にアプライし キットのプロトコールに従って洗浄 溶出を行ない さらに 2 ml のエタノール / 水 (1:2) および 2 ml の水で順次溶出を行った 洗浄液と溶出液 (3 種 ) を乾固し それぞれを GlycoTAG にて PA 化 500 分の 1 量を HPLC にて分析した 図 2 にそれぞれの洗浄 溶出画分の HPLC 分析プロファイルを 表 1 に 2 ~ 15 mer のそれぞれの画分への回収率を示す デキストラン加水分解物では 2 mer, 3 mer は相当量が洗浄画分に漏出した 4 mer は 7% が洗浄画分に漏出した 5 mer より漏出は起こらなかったが 10 mer 以上になるとエタノール / 水 (1:1) のみの溶出では不十分で さらにエタノール / 水 (1:2) による溶出を行うことで 100% 回収された なお 水溶出画分にはピークは検出されなかった 以上のように 重合度の高いオリゴ糖ほど Cellulose Cartridge に吸着しやすく溶出されにくい傾向がみられた デキストラン加水分解物 (α1,6 グルカン ) の場合は 5 mer ~ 10 mer まではキットのプロトコール通りエタノール / 水 (1:1) で回収可能であるが 10 mer 以上ではさらにエタノール / 水 (1:2) による回収が必要である オリゴ糖の Cellulose Cartridge からの溶出挙動はオリゴ糖の種類や負荷量によって当然異なるので N- グリカン以外のオリゴ糖についてはあらかじめ溶出挙動を調べておく必要があると考えられる 洗浄 E/W 溶出画分 (1:1) E/W(1:2) 水溶出 2 mer 85% 15% 0% 0% 3 mer 30% 70% 0% 0% 4 mer 7% 92% 1% 0% 5 mer 0% 98% 2% 0% 10 mer 0% 92% 8% 0% 15 mer 0% 88% 12% 0% < HPLC 条件 > Column : PALPAK Type S Solvent A : CH 3CN/500 mm AcOH-Triethylamine (ph7.3), 90/10 (v/v) Solvent B : CH 3CN/500 mm AcOH-Triethylamine (ph7.3)/h 2O, 50/10/40 (v/v/v) Elution : 0-100% Solvent B in 30 min., and 100% Solvent B for 10 min. Flow rate : 1 ml/min. Column Temp. : 40 Detection : Fluorescence (Ex. 310 nm, Em. 380 nm) 図 2. グルコースオリゴマーの溶出 ( 全体の 1/500 量を分析 ) 7
(3)Cellulose Cartridge からの溶出物 Cellulose Cartridge の充填材はセルロースであるためクロマト中に充填材からオリゴ糖類が溶出される懸念がある そこで Cellulose Cartridge からの溶出物がその後の分析に影響を及ぼすかどうかを検討するため溶出物を PA 化し HPLC 分析した Cellulose Cartridge にサンプルを何もアプライせずに キットのプロトコールに従って洗浄 溶出操作を行ない さらに 2 ml のエタノール / 水 (1:2) および 2 ml の水で順次溶出を行った 洗浄液と溶出液 (3 種 ) を乾固し それぞれを GlycoTAG にて PA 化 10 分の 1 量を HPLC にて分析した 図 3 にそれぞれの洗浄 溶出画分の HPLC 分析プロファイルを示す 洗浄液 エタノール / 水 (1:1) ではピリジルアミノ化されるようなものはほとんど溶出されなかった エタノール / 水 (1:2) では非常にわずかではあるが溶出物がみられた (PA- ラクトースのピーク面積より 20 pmol/cartridge 以下 ) その後水で溶出を行うと 溶出画分にはセロオリゴ糖と思われるものが見られ その量は PA- ラクトースのピーク面積と比較すると約 1 nmol/cartridge であった キットの通常プロトコールでは PA 化されるようなものはほとんど溶出されなかった エタノール / 水 (1:2) による高回収プロトコールでは わずかな溶出物がみられるが nmol(mg) オーダー以上の糖鎖精製にはあまり影響を与えないレベルである 水溶出では約 1 nmol/cartridge のセロオリゴ糖と思われる溶出物がみられるが μmol(mg) オーダーの糖鎖精製を行う目的であれば水溶出でも可能である 実際の実験にあたっては目的のオリゴ糖の溶出挙動と充填材からの溶出物の量を考慮し 実験の目的 材料 スケールに応じて溶出プロトコールを選択する必要があると考えられる < HPLC 条件 > Column : PALPAK Type S Solvent A : CH 3CN/500 mm AcOH-Triethylamine (ph7.3), 90/10 (v/v) Solvent B : CH 3CN/500 mm AcOH-Triethylamine (ph7.3)/h 2O, 50/10/40 (v/v/v) Elution : 0-100% Solvent B in 30 min., and 100% Solvent B for 10 min. Flow rate : 1 ml/min. Column Temp. : 40 Detection : Fluorescence (Ex. 310 nm, Em. 380 nm) 図 3. 充填材からの溶出物の分析 ( 全体の 1/10 量を分析 ) 8
(4) 界面活性剤を含んだ酵素反応液からの N- グリカンの回収 糖タンパク質から酵素的に N- グリカンを遊離させるのに Glycopeptidase F( 製品コード 4450) が用いられるが 糖鎖標識の前に反応液中の塩類 界面活性剤を除去する必要がある この前処理に Cellulose Cartridge を用いて標準プロトコールにしたがって処理を行っても 界面活性剤が糖鎖のカートリッジ充填材への吸着を阻害するため糖鎖の回収率が低かった 今回 キットのプロトコールに変更を加えることにより界面活性剤を含む反応液からも糖鎖を回収できるようになった < 変更点 > 溶媒 1 をブタノール / エタノール / 水 (5:1:1) に変更した また これにともない試料溶液の調製法も変更した 実験ヒトトランスフェリン (25 μg) を 0.1% SDS, 1% NP-40 存在下 100 mm Tris- HCl(pH8.6) 緩衝液 25 μl 中 1 mu の Glycopeptidase F にて 37 16 時間消化した 反応液に等量 (25 μl) の 100 mm 酢酸水溶液を加えたのち 水 250 μl( 反応液 酢酸水溶液 水の総和が 300 μl になるようにする ) エタノール 300 μl ブタノール 1.5 ml を加え攪拌後 Cellulose Cartridge にアプライした 洗浄は 10 ml の溶媒 1( ブタノール / エタノール / 水 5:1:1) で行い 2 ml の溶媒 2( エタノール / 水 1:1) で溶出した 溶出画分の一部を GlycoTAG を用いて PA 化し 順相 HPLC にて分析した ( 図 4) 反応液の一部をそのまま PA 化したものと比較すると N- グリカンは溶出画分に定量的に回収されていた なお 洗浄画分への N- グリカンの漏出はみとめられなかった < HPLC 条件 > Column : PALPAK Type S Solvent A : CH 3CN/500 mm AcOH-Triethylamine (ph7.3), 90/10 (v/v) Solvent B : CH 3CN/500 mm AcOH-Triethylamine (ph7.3)/h 2O, 50/10/40 (v/v/v) Elution : 0% Solvent B for 15 min., and 0-100% Solvent B in 30 min. Flow rate : 1 ml/min. Column Temp. : 40 Detection : Fluorescence (Ex. 310 nm, Em. 380 nm) 図 4. Glycopeptidase F 反応液からの N- グリカンの回収 9
(5) 糖タンパク質のプロナーゼ消化物からの糖ペプチドの回収 Cellulose Cartridge は糖鎖のみでなく 糖ペプチドも特異的に吸着する この性質を利用して 糖タンパク質のプロナーゼ消化物から糖ペプチドを簡単に調製することができる 実験ウシフェツイン オボアルブミンそれぞれ 1 mg(10 mg/ml) をプロナーゼで徹底消化した 煮沸により反応を停止した後 Cellulose Cartridge Glycan preparation kit の標準プロトコールにしたがって反応液をアプライし 洗浄後 エタノール / 水 (1 :2) にて溶出を行なった 溶出物は濃縮後 シリカゲル TLC( ブタノール / 酢酸 / 水 2:1:2) にて展開 ニンヒドリン法およびオルシノール 硫酸法でアミノ基および糖を検出した ( 図 5) フェツイン (Fetuin) オボアルブミン (OVA) ともアミノ酸 ( ペプチド ) のほとんどが洗浄画分 (wash) に回収された ( 図 5a) 一方 糖ペプチドは 95% 以上が溶出画分 (EW) に回収されていた ( 図 5b) 溶出画分にはまだ若干のアミノ酸 ペプチド成分が含まれてはいるが Cellulose Cartridge の使用で糖ペプチドがかなり高度に精製できたと考えられ Cellulose Cartridge が糖質関連酵素の基質の調製やアッセイに有用であることが示された (-): wash: 洗浄画分 EW: Cellulose Cartridge アプライ前 Cellulose Cartridge Cellulose Cartridge 溶出画分 ( 各 30 μg タンパク質相当 ) 図 5. プロナーゼ消化物からの糖ペプチドの回収 10
(6) 糖鎖のピリジルアミノ化後の残存試薬の除去 GlycoTAG や PALSTATION を用いて PA 化を行えば 余剰の試薬の大半がエバポレーションによって除去されるので 順相 HPLC で直接分析する事も可能である しかし 逆相やイオン交換 HPLC では残存試薬由来のピークが分析の妨げになるため 予めゲル濾過や順相 HPLC などで残存試薬を完全に除去しておく必要があった Cellulose Cartridge は PA 化糖鎖も吸着することができるので PA 化後の残存試薬の除去に用いることもできる ただし ピリジルアミノ基の影響により 糖鎖の性質が異なるため プロトコールに若干の変更を加えた < 変更点 > 溶媒 1 をブタノール / エタノール / 0.6 M 酢酸水溶液 (4 :1:1) に変更した また これにともない試料溶液の調製法も変更した 溶媒 2 をエタノール / 75 mm 重炭酸アンモニウム水溶液 (1:2) に変更した 実験ウシフェツインのヒドラジン分解物 (5 mg タンパク質相当 ) を GlycoTAG にて PA 化し 反応残渣を 水 385 μl に溶解した 続いてエタノール 400 μl ブタノール 1.6 ml 酢酸 15 μl を加え 攪拌後 Cellulose Cartridge にアプライした 洗浄は 10 ml の溶媒 1( ブタノール / エタノール / 0.6 M 酢酸水溶液 4: 1:1) で行い 2 ml の溶媒 2( エタノール / 75 mm 重炭酸アンモニウム水溶液 1 :2) で溶出した 溶出画分の一部を順相 逆相 HPLC にて分析した ( 図 6) Cellulose Cartridge の使用によりインジェクション直後にみられる試薬ピークの 95% 以上を除去することができた ( 図 6a) また Cellulose Cartridge でクリーンアップしたサンプルの逆相 HPLC プロファイルは Sephadex G-15 を用いたゲル濾過により試薬を除去したものと差違がなかった ( 図 6b) < HPLC 条件 > a. 順相 HPLC Column : PALPAK Type S Solvent A : CH 3CN/500 mm AcOH-Triethylamine (ph7.3), 90/10 (v/v) Solvent B : CH 3CN/500 mm AcOH-Triethylamine (ph7.3)/h 2O, 50/10/40 (v/v/v) Elution : 0% Solvent B for 15 min., and 0-100% Solvent B in 30 min. Flow rate : 1 ml/min. Column temperature : 40 Detection : Fluorescence (Ex. 310 nm, Em. 380 nm) b. 逆相 HPLC Column : PALPAK Type R Solvent A : 100 mm AcOH-Triethylamine (ph4) Solvent B : 0.5% 1-Butanol in Solvent A Elution : 5-65% Solvent B in 120 min. Flow rate : 1 ml/min. Column temperature : 40 Detection : Fluorescence (Ex. 320 nm, Em. 400 nm) 図 6.PA 化 N- グリカンのクリーンアップ 11
VIII. 参考文献 清水佳隆 黒田泰弘 堤文彦 中田宗宏 水落次男 セルロースカラムを用いた糖蛋白質糖鎖の高純度大量精製 第 70 回日本生化学大会発表抄録集 (1997)p913 IX. 関連製品 Cellulose Cartridge Column Pack( 製品コード 4404) 内容 :Cellulose Cartridge 10 本 X. 注意 本製品は研究用として販売しております ヒト 動物への医療 臨床診断用には使用しないようご注意ください また 食品 化粧品 家庭用品等として使用しないでください タカラバイオの承認を得ずに製品の再販 譲渡 再販 譲渡のための改変 商用製品の製造に使用することは禁止されています ライセンスに関する最新の情報は弊社ウェブカタログをご覧ください 本説明書に記載されている会社名および商品名などは 各社の商号 または登録済みもしくは未登録の商標であり これらは各所有者に帰属します v201212da