1 問題の所在

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第 学年 組 図画工作科学習指導案

項目評価規準評価方法状況 C の生徒への対応 関心意欲態度 1 自の考えを持ち 積極的に交流 討論している 2 自らの言葉で 中学生にかりやすく紹介文を書こうとしている 交流 討論で得た仲間の意見を取り入れて 自らの考えを深めるよう促す 参考例を示したり 書き出しを例示したりして 参考にするように指

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H26関ブロ美術プレ大会学習指導案(完成版)

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7 本時の指導構想 (1) 本時のねらい本時は, 前時までの活動を受けて, 単元テーマ なぜ働くのだろう について, さらに考えを深めるための自己課題を設定させる () 論理の意識化を図る学習活動 に関わって 考えがいのある課題設定 学習課題を 職業調べの自己課題を設定する と設定する ( 学習課題

作品の情景をよりわかりやすく伝える手だてともなる 指導にあたって 1 では まず 俳句は17 音で作ることや季語を入れることと言ったきまりをおさえる そして 教科書の例を読み 想像した情景や作者の思いを想像し 良いと思うところ 工夫されていると思うところを発表できるようにする 2 の俳句を作る場面で

1. 研究主題 学び方を身につけ, 見通しをもって意欲的に学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における算数科授業づくりを通して ~ 2. 主題設定の理由 本校では, 平成 22 年度から平成 24 年度までの3 年間, 生き生きと学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における授業づくり通して~ を研究主題に意欲的

指導に当たっては, 作品に対する解釈は開かれていることから, 子供たちがそこから何を感じどのように考えたか, 子供の思いを大切にしたい そのために, 子供が自分の感じたことを進んで話したり, 友達の思いに興味を持って聞いたりできるような雰囲気づくりに努めることが大切である 自分と異なった捉え方や感じ

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考え 主体的な学び 対話的な学び 問題意識を持つ 多面的 多角的思考 自分自身との関わりで考える 協働 対話 自らを振り返る 学級経営の充実 議論する 主体的に自分との関わりで考え 自分の感じ方 考え方を 明確にする 多様な感じ方 考え方と出会い 交流し 自分の感じ方 考え方を より明確にする 教師

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○年○組 □□科学習指導略案

国語科学習指導案様式(案)

Taro-12事例08.jtd

平成 年度佐賀県教育センタープロジェクト研究小 中学校校内研究の在り方研究委員会 2 研究の実際 (4) 校内研究の推進 充実のための方策の実施 実践 3 教科の枠を越えた協議を目指した授業研究会 C 中学校における実践 C 中学校は 昨年度までの付箋を用いた協議の場においては 意見を出

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第2学年 美術科学習指導案

ICTを軸にした小中連携

指導内容科目国語総合の具体的な指導目標評価の観点 方法 読むこと 書くこと 対象を的確に説明したり描写したりするなど 適切な表現の下かを考えて読む 常用漢字の大体を読み 書くことができ 文や文章の中で使うことができる 与えられた題材に即して 自分が体験したことや考えたこと 身の回りのことなどから 相

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英語科学習指導案 京都教育大学附属桃山中学校 指導者 : 津田優子 1. 指導日時平成 30 年 2 月 2 日 ( 金 ) 公開授業 Ⅱ(10:45~11:35) 2. 指導学級 ( 場所 ) 第 2 学年 3 組 ( 男子 20 名女子 17 名計 37 名 ) 3. 場所京都教育大学附属桃山中

し, 定期的に評価することで 自己の考え を自覚する場面を意図的に設定している 本教材の学習においては, 様々な情報の中から必要な情報を取り出し, 整理 分析し, それに基づいた自分の考えを表現する活動を通して, 自己の考えの深まりや広がり を実感させることによって, 課題改善につなげたいと考えてい

<ICTの活用 > 第 3 時でデジタルカメラを使い子ども達の制作途中の作品を撮影し, 大型テレビを活用して提示する 道具の使い方の工夫を分かりやすく示したり, 作品の面白さを紹介したりすることで 自分の作品にも取り入れてみたい という活動への意欲付けになると考える 2 題材の目標 粘土を切ったりけ

課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

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第 5 学年 社会科学習指導案 1 単元名自動車をつくる工業 2 目標 我が国の自動車工業の様子に関心を持って意欲的に調べ, 働く人々の工夫や努力によって国民生活を支える我が国の工業生産の役割や発展について考えようとしている ( 社会的事象への関心 意欲 態度 ) 我が国の自動車工業について調べた事

第○学年○組 学習指導案

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Ⅰ 評価の基本的な考え方 1 学力のとらえ方 学力については 知識や技能だけでなく 自ら学ぶ意欲や思考力 判断力 表現力などの資質や能力などを含めて基礎 基本ととらえ その基礎 基本の確実な定着を前提に 自ら学び 自ら考える力などの 生きる力 がはぐくまれているかどうかを含めて学力ととらえる必要があ

(3) 指導観公民的分野は地理的分野と歴史的分野の学びの積み重ねによるところが大きい 用語や概念も高度化し 生徒の感想にも 難しい と感じるものが多くなっている そこで その難しいと感じる公民の用語などは積極的に用語集を活用し 難しい言葉に対する抵抗感を少しでも和らげるよう授業でも活用している また

4 本単元と情報リテラシーの関わり 課題設定担任による 説明会におけるデモンストレーションを見ることを通して 本単元を貫く言語活動としての これぞ和の文化! おすすめの 和の文化 を調べて説明会を開こう を知り 見通しを持たせ学校司書による関連図書紹介を通して 和の文化への関心を高め 進んで調べよう

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第 1 学年国語科学習指導案 日時 平成 27 年 11 月 11 日 ( 水 ) 授業 2 場所 八幡平市立西根中学校 1 年 2 組教室 学級 1 年 2 組 ( 男子 17 名女子 13 名計 30 名 ) 授業者佐々木朋子 1 単元名いにしえの心にふれる蓬莱の玉の枝 竹取物語 から 2 単元

第 2 学年 理科学習指導案 平成 29 年 1 月 1 7 日 ( 火 ) 場所理科室 1 単元名電流とその利用 イ電流と磁界 ( イ ) 磁界中の電流が受ける力 2 単元について ( 1 ) 生徒観略 ( 2 ) 単元観生徒は 小学校第 3 学年で 磁石の性質 第 4 学年で 電気の働き 第 5

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知識・技能を活用して、考えさせる授業モデルの研究

第 2 学年 * 組保健体育科 ( 保健分野 ) 学習指導案 1 単元名生涯の各段階における健康 ( イ ) 結婚生活と健康 指導者間中大介 2 単元の目標 生涯の各段階における健康について, 課題の解決に向けての話し合いや模擬授業, ディベート形式のディスカッションなどの学習活動に意欲的に取り組む

(2) 児童観児童は1 年生 1 月に おはなしをつくろう で 昔話をもとにして 人物と出来事を考えて簡単に物語を書く学習を行っている また 2 年生の1 学期には じゅんじょよく書こう の学習で はじめ 中 おわり の構成を考え 自分の経験を伝える文章を書く学習をしてきている この学習を通して 順

内容 児童 経験したことや調べたことから選んで話す 内容 ( 考え ) を分かりやすく話す はっきりした発音で声の大きさを考えて話す 丁寧な言葉を使って話す 相手の顔を見ながら話す 大事なこと

3 第 3 学年及び第 4 学年の評価規準 集団活動や生活への関心 意欲態度 集団の一員としての思考 判断 実践 学級の生活上の問題に関心 楽しい学級をつくるために を持ち 他の児童と協力して意 話し合い 自己の役割や集団と 欲的に集団活動に取り組もう してよりよい方法について考 としている え 判

教科 : 外国語科目 : コミュニケーション英語 Ⅰ 別紙 1 話すこと 学習指導要領ウ聞いたり読んだりしたこと 学んだことや経験したことに基づき 情報や考えなどについて 話し合ったり意見の交換をしたりする 都立工芸高校学力スタンダード 300~600 語程度の教科書の文章の内容を理解した後に 英語

中学校第 3 学年社会科 ( 公民的分野 ) 単元名 よりよい社会をめざして 1 本単元で人権教育を進めるにあたって 本単元は 持続可能な社会を形成するという観点から 私たちがよりよい社会を築いていくために解決すべき課題を設けて探究し 自分の考えをまとめさせ これらの課題を考え続けていく態度を育てる

6 年 No.12 英語劇をしよう (2/7) 英語での 桃太郎 のお話を理解し 音読する 導 あいさつをす 挨拶の後 Rows and Columns を交え 天気や時 入 候の確認 既習事項の確認をす (T1,T2) ペンマンシップ ペンマンシップ教材を用いて アルファベットの ジングル絵カー

4. 題材の評価規準 題材の評価規準 については, B 日常の食事と調理の基礎 (2),(3), D 身近な消費生活 と環境 (1) の 評価規準に盛り込むべき事項 及び 評価規準の設定例 を参考に設定して いる 家庭生活への関心 意欲 態度 お弁当作りに関心をもち, おか 生活を創意工夫する能力

の 問を提示して定着度を確認していく 1 分けて計算するやり方 70 = =216 2 =6 2 筆算で計算する方法 題材の指導計画 ( 全 10 時間扱い ) ⑴ ⑵ ⑶ 何十 何百 1 位数の計算 1 時間 2 位数 1 位数

Microsoft Word - 社会科

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3 題材の目標 (1) (2) 4 題材の評価規準 ( 指導要録の四つの観点 ( 生活や技術への関心 意欲 態度 ) から題材の学習を通して目指す生徒の姿を示します ) 文章の語尾は 評価規準の作成, 評価方法の工夫改善のための参考資料 ( 中学校技術 家庭 ) 平成 23 年 11 月 ( 国立教

6 年 No.22 my summer vacation. 1/8 単元の目標 主な言語材料 過去の表し方に気付く 夏休みの思い出について, 楽しかったことなどを伝え合う 夏休みの思い出について, 音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現で書かれたものの意味が分かり, 他者に伝えるなどの目的

資料3 道徳科における「主体的・対話的で深い学び」を実現する学習・指導改善について

中学校第 3 学年国語科学習指導案 日時平成 28 年 月 日第 校時対象第 3 学年 組学校名 中学校授業者 1 教材名 故郷 2 単元の目標 情景や人物を描写する語句や表現を読み取り 内容への理解を深めることができる 作品を通して 社会の中での人間の生き方について考え 自分の意見をもつことができ

「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて


平成 30 年 1 月平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果と改善の方向 青森市立大野小学校 1 調査実施日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) 2 実施児童数第 6 学年 92 人 3 平均正答率 (%) 調 査 教 科 本 校 本 県 全 国 全国との差 国語 A( 主として知識

理解させた上で活動させたい 児童たちの意欲を大事にし 自分の思いが自信を持って伝えられ 鑑 賞することの楽しさを十分味わわせたいと考える また お互いの考えを素直に受け入れられるよう な温かい雰囲気の授業にしていきたい (2) 本題材を指導するにあたって本題材は 絵をよく見て 絵について友だちと話し

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トコラージュ というメディアの形態を提案する 本単元では 説明文の 構成メモ をフォトコラージュの形でまとめる このことにより 資料を活用して説明文を書くことが容易になる フォトコラージュとは次に示すように 2 枚以上の写真と それに対する説明文を対応させた情報伝達の形式である 本学級では 社会科の

4 目標及び評価規準 (1) 目標 光源 材料や身近な場所 空間の特徴をもとに 思いついたり つくり方を考えたりして活 動することができる (2) 本題材における [ 共通事項 ] 光と影の効果を試しながら 形や色 奥行きなどの造形的な特徴をとらえ それらをもとに 活動のイメージをもつ (3) 本題

(2) 計画学習課題 学習内容 時間 連立方程式とその解 二元一次方程式とその解の意味 2 連立方程式とその解の意味 ( 本時 1/2) 連立方程式の解き方 文字の消去の意味 加減法による連立方程式の解き方 5 代入法による連立方程式の解き方 連立方程式の利用 問題を解決するために 2つの文字を使っ

○ ○ 科 学 習 指 導 案

7 児童の実態 書くこと に関わる活動では これまでに 読書生活について考えよう の単元において アンケートを作成して自分が知りたい情報を集め それを整理して表やグラフにして表すとともに 自分の考えや感想を交えて報告書の形に表す活動を行った また 新聞を作ろう の単元では 社会科の学習と関連して ご

○ ○ 科 学 習 指 導 案

あったらいいな ! こんなあそび場 (わたしの町大好き)

6 年 No.8 You can see Daibutsu! 1/7 単元の目標 主な言語材料 できることを紹介する表現や感情を表す表現が分かる 修学旅行でできることについて具体物などを見せながら伝え合う 音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現で書かれたものの意味が分かり できることについ

第 4 学年算数科学習指導案 平成 23 年 10 月 17 日 ( 月 ) 授業者川口雄 1 単元名 面積 2 児童の実態中条小学校の4 年生 (36 名 ) では算数において習熟度別学習を行っている 今回授業を行うのは算数が得意な どんどんコース の26 名である 課題に対して意欲的に取り組むこ

(Microsoft Word - \207U\202P.doc)

平成 30 年度なごや小学校努力点推進計画 1 研究主題なかまとともに感性輝くなごやっ子 (1 年次 ) 2 研究主題について本校では 昨年度までの努力点研究において 道徳や特別活動の時間を中心に 子ども一人一人の成長と互いの認め合いをめざすことで 子ども自らが なごや小でよかった と感じられるよう

H27 国語

4 題材の目標 (1) 歌詞の内容や曲想に関心をもち 音楽表現を工夫して歌う学習に主体的に取り組む ( 音楽への関心 意欲 態度 ) (2) 声部の役割や全体の響きを感じ取って音楽表現を工夫し どのように合わせて歌うかについて思いや意図をもっている ( 音楽表現の創意工夫 ) (3) 歌詞の内容や曲

5 児童の実態と主題に迫るための手だて (1) 児童の実態本学級の児童は明るく 男女の仲もよい いろいろな場面で声を掛け合ったり 仕事を手伝ったりできる児童も多い 話し合い活動では 友達の意見のいいところを取り上げて考えをまとめることができたり 人の意見を聞いて自分の考えを変えることができたりする児

1 高等学校学習指導要領との整合性 高等学校学習指導要領との整合性 ( 試験名 : 実用英語技能検定 ( 英検 )2 級 ) ⅰ) 試験の目的 出題方針について < 目的 > 英検 2 級は 4 技能における英語運用能力 (CEFR の B1 レベル ) を測定するテストである テスト課題においては

北野中学校 30 周年第 1 学年共通道徳学習指導案 人はなぜ働くのか. 日 時 平成 18 年 11 月 24 日 生 徒 札幌市立北野中学校第 1 学年 指導者 教諭 筒井 久保村 石塚 川村 1. 主題名 人はなぜ働くのか 4-(5) 勤労と奉仕の精神 2. 主題設定の理由 人のためにならない

今年度の校内研究について.HP

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5. 単元について本単元は,2 年生 1 学期に学習した ともこさんはどこかな から引き続いての 話す 聞く の学習である ともこさんはどこかな では, 大事なことを落とさずに話したり聞いたりできるようにすることをねらいとして学習してきた 本単元では, これに加えて互いの話をしっかり聞いてやり取りを

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国語科学習指導案 平成 25 年 6 月 25 日 ( 火 ) 5 校時 第 3 学年 A 組 ( 男子 12 名, 女子 15 名計 27 名 ) 授業教室 3A 教室 指導者相田健太郎 (T1) 柿内香予 (T2) 1 単元の学習指導について (1) 単元名 近現代の短歌 俳句 読もう 詠もう短

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瑞浪市調査結果概略(平成19年度全国学力・学習状況調査)

2 単元の目標 廿日市市 についての魅力を目的意識や相手意識を明確にして地域内外に発信することができる 自分たちの住む 廿日市市 に愛着をもつことができる 3 単元の評価規準 学習方法 自分自身 他者や社会 課題発見力 思考力 判断力 表現力 主体性 自らへの自信 対象と積極的にかかわる中で, 課題

伝わっていないと感じられたなら 繰り返し述べたり分かりやすく言い換えたりすればいいこ とも学ばせたい また 聞いて得た情報を整理して組み立てる段階 スピーチメモを作る段階 練習の段階 それぞれの段階で 互いに考えた内容を伝え合い 質問や助言などの意見の交流をすることでよりよいスピーチをめざしたい 発

作中の価値観や人生観がどのように異なっているか または同じところはどこかなどを考えさせる 枕草子 については主に季節感を捉えさせ 自分の季節感を記述し発表したり 互いに鑑賞し合ったりする学習活動としていく さらに 矛盾 では 漢文に慣れるとともに様々な故事成語について知識を深め 我が国の文化に根ざし

(2) 指導の実際 1 話すこと 聞くこと の実践ア協働による教材研究の柱 モデルの提示について対話のためのスキルの定着や対話の深まりを目指し, 教師や代表グループによる対話のモデルを提示し, 気付いたことや発見したことを基に自分たちの対話や話合いの様子を振り返らせ, 学びの充実を図るようにする 共

人的環境の整備 教師 友達 分かりやすい説明の手本となるように, 話す速さや声の大きさを意識して簡潔に話したり, 話すポイントを視覚的に示したりする 道案内の手順を知ることや説明原稿の作成に時間が掛かった場合は, 教師間で役割分担しながらアドバイスする グループ内での自分の役割が明確になるように,

第 3 学年 学級活動学習指導案 平成 18 年 6 月 30 日 ( 金曜日 ) 第 5 時限指導者二階堂聡 1 題 材 夏休みに向けて1 学期の学習を振り返ろう 2 題材について 生徒にとって, 夏休みの過ごし方はそれぞれである 部活動に熱中する生徒, 夏期 講習に参加し, 学力向上に努める生徒

上に食に関する指導の充実が求められている 食環境の乱れが社会的課題とっている今日 中学生が食生活の自立を目指した学習をすることは大切なことであるので 本時は 自分や家族の食生活の中で見付けた問題点の改善に自主的に取り組むことができるように 指導を進めることにした 指導に当たっては これまでの学習を踏

ている それらを取り入れたルーブリックを生徒に提示することにより 前回の反省点を改善し より具体的な目標を持って今回のパフォーマンスに取り組むことができると考える 同に そのような流れを繰り返すことにより 次回のパフォーマンス評価へとつながっていくものと考えている () 本単元で重点的に育成をめざす

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平成 29 年度 全国学力 学習状況調査結果と対策 1 全国学力調査の結果 ( 校種 検査項目ごとの平均正答率の比較から ) (1) 小学校の結果 会津若松市 国語 A は 全国平均を上回る 国語 B はやや上回る 算数は A B ともに全国平均を上回る 昨年度の国語 A はほぼ同じ 他科目はやや下

2 教科に関する調査の結果 ( 各教科での % ) (1) 小学校 国語 4 年生 5 年生 6 年生 狭山市埼玉県狭山市埼玉県狭山市埼玉県 平領均域正等答別率 話すこと 聞くこと 書くこと

6 年 No.8 You can see Daibutsu! 1/7 単元の目標 主な言語材料 本時の目標 できることを紹介する表現や感情を表す表現が分かる 修学旅行でできることについて具体物などを見せながら伝え合う 音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現で書かれたものの意味が分かり でき

3. ➀ 1 1 ➁ 2 ➀ ➁ /

2、協同的探究学習について

6 指導計画 (7 時間扱い ) (1) 単元の 1: 字手紙 のねらいの確認と受取人決定指導計画 2: 手紙の基本知識の確認と書くことの内容の整理 3: 時候の挨拶作成 ひと文字練習と下書き 4: ひと文字練習と下書き 5: 相互評価 推敲 ( 本時 ) 6: 推敲および清書 7: 清書と宛名書き

た, 導入で扱うイメージキャラクターについて, デザインやネーミングの意図, 理由について疑問や関心を持つことにより, より北広島町に興味を持つことが可能となる その他, 調べる際に新聞記事を利用することにより, 記事をスクラップすることができる 記録性 に優れ, 疑問を解決するための手立て, 情報

Transcription:

美術科学習指導案 思考力 判断力 表現力等の育成と言語活動の充実との関連 4 言語の役割を踏まえた分類主たる分類 (1) イ ⅰ 関係する分類 (2) イ 言語活動の充実に関する指導事例集美術 -1 ( 関連 ) 指導者 松﨑美香 1 題材名絵で語ろう 絵への思いを伝えよう ( 鑑賞 ) ( 中学 2 年 ) 2 題材の目標 作品のよさや美しさを鑑賞する喜びを味わおうとする ( 美術への関心 意欲 態度 ) 自分自身の価値意識をもって作品を鑑賞し 作者や作品に対する考えを説明し合うなどして 感じ取る力や思考する力を養うことができる ( 鑑賞の能力 ) 美術や文化に対する理解を深め 作者の心情や表現の工夫を感じ取り 作品の見方の幅を広げて表現の多様性を理解することができる ( 鑑賞の能力 ) 3 評価規準 ( 評価方法 ) 美術への関心 意欲 態度 形や色彩などの特徴や印象 本質的なよさや美しさ 作者の心情や意図と創造的な表現の工夫などに関心を持ち 主体的に感じとろうとしている ( 観察 ) 級友の感想や意見に耳を傾け 共感や意見 疑問をもって より深く作品について考えようとしている ( 観察 ) 作品の見方や味わい方を学び 造形的なよさや美しさ 作者の心情や多様な表現などについて感じとろうとしている ( 観察 ) 鑑賞の能力 最初の印象や直感を大事にしながら 形や色彩などの特徴や印象などから 全体の感じ 本質的なよさや美しさ 作者の心情や意図と創造的な表現の工夫などを感じ取り 自分の価値意識をもって味わっている ( 観察 ワークシート ) 作品に対する思いや考えを述べ合い 互いの意見を尊重しながら 見方や感じ方を広げている ( 観察 ワークシート ) 造形的なよさや美しさ 作者の心情や主題などについて感じとった考えを言葉でまとめ 表現している ( 観察 ワークシート ) 4 題材について (1) 教科の観点基本的な鑑賞の能力を 作品を広い視野で味わい 自分の意見 感想 作者の表現のねらい等を考える力 として捉え 写真のように上手に絵が描けているかといった価値判断だけにならず 作品鑑賞の視点を多く持ち 幅広いものの見方で味わうことができるようにすることが重要である そのため 絵画表現は実物通りに描く技術以外にも 様々な魅力的な要素があることに注目させ 作品に対する個々の感想 意見 互いの価値観の違い等を意見交換する中で 作品の味わい方の幅を広げ 多様な表現について 理解を深めさせたい この授業では 西洋の近代絵画を比較して鑑賞し 表現方法の違いに気づくとともに 美しさや 1

作者独自の表現を求める普遍的な心情など その共通性にも目を向け 浮世絵から影響を受けた印象派以降の美術作品のよさや美しさなどを味わわせる さらに 画家があえて抽象的な背景で表した意図や 作品で伝えたかった思いを生徒に想像させ 作者が作品の中に込めた主題 ( 願いや考え ) や表現の工夫 ( 構図 色 技法など ) を考える力を養う (2) 本題材で扱う主な言語活動とその意図本題材では 作品との出会い に重点を置き テーマを設けて尐人数で意見交換する言語活動を行う そして 作品に親しみ 感性を養うと同時に 表現の多様性についての理解を深め 自分の価値意識をもって味わったことを 言葉で表現できるようにする 本題材で言語活動を設定する主な場面は 次の 2つである 1 作品などに対する思いや考えを述べ合う 際に 作品のもつ多様なよさや美しさを味わい 自分の言葉で意見を述べる ( 鑑賞する ) 2 自分の言葉で意見を述べ 意見を整理しながら聞き 話し合うことを通して より様々な観点からの意見と向き合い考えを深め 意見をまとめて発表する ( 鑑賞する共感的に聞く批判的に聞く多面的にみる 多角的にみる ) これらの言語活動を通して 作者や作品の知名度などの知識や先入観に左右されない 率直な感想 意見に耳を傾けさせ 自分の感想と比較することで 作者や作品への興味関心を深め 対象の見方の幅を広げる 意見交換に際し より適切な 深い内容で自分の考えを表現し 共有するため 鑑賞活動で使える美術科特有の語彙 ( 色味や筆づかい 質感 構図 作者の表現意図等の視点に注目した感想を表現する言葉 ) を提示し その活用を図る また 意見交換の際は グループ内で司会等の役割を設け 根拠を明らかにしながらテーマに沿った話合いができるよう支援する (3) (1) と (2) の基盤となる言語環境や継続的な取組全校で取り組んでいる帯学習 書くこと で 美術 の鑑賞に関する内容を取り上げたり 授業内容と関連した掲示物や作品を鑑賞の視点と一緒に校内に掲示したりする 特に 制作主題や作品コンセプトの記述 制作作品の鑑賞会 話合い 発表等では 漠然とした表現の仕方にならないよう 鑑賞の視点や有効な語彙を示し 普段から 日常的 継続的に指導する 特に 作品の制作場面では 自分の作品主題を 言葉を使って具体的に書くことを ワークシート等を利用して重点的 継続的に指導するとともに 記述したワークシート類は 生徒の振り返りの記述と共に 中学校 3 年間を通して生徒個人のクロッキー帳にポートフォリオのように貼りため 必要に応じて見返したり 活用したりできるよう指導している ( 詳細は 8 成果と課題参照 ) 5 生徒の実態 ( 指導の経緯 ) 学校敷地内を題材とした風景画の制作では 見慣れた景色を改めて見直し そこから得た気持ちを自己の主題として表現することに取り組んだ その際 制作前や制作途中で ワークシートに記入した自分の作品構想文を何度も振り返ることで 自己の主題を意識した表現を常に心がけさせた また 浮世絵を題材とした鑑賞学習では 小グループでの話合いを通して 自分の注目した視点と同じだと共感したり 違う視点によって鑑賞した意見から新たなものの見方や感じ方を得たりすることができた 本題材では これらの既習経験を生かし 浮世絵に影響を受けたゴッホ作品 及び 2

ジャポニスムの流れを汲む作品 それ以降の近年の多様な表現の鑑賞学習へと発展させる また 学区には千葉市美術館もあることから 毎年 全学年に 任意の課題として美術館へ出かけ 美術館鑑賞レポートをまとめることを働きかけている 中には都内の美術館にまで足を延ばす生徒もいて 鑑賞への関心は低くない 一方 表現領域については立体が好まれ 特に絵画に対する苦手意識が 全体として 強い傾向にある 6 指導計画 ( 全 3 時間扱い ) 時 学習内容 指導や支援の手だて ( は評価 ) 1 テーマを設けて個々に絵を鑑賞し 感じた印象などを言葉で記述する 作品をみて 友人と感想や意見を出し合い 互いの意見を尊重しながら作品を味わう 作品のよさや美しさを味わい 作者の表現意図や工夫について考え 発見させる 絵をみて感じとったことや絵に対する考えを 自分の言葉で表現できる ( 鑑賞の能力 ) 2 本時 グループ内で 共感的に聞いたり 批判的に聞いたりして意見交換をする 共感度の高かった意見をもとに 各グループでテーマを設けた絵の鑑賞文をまとめる グループごとに テーマを設けた作品の鑑賞文の発表をする 互いの発表を聞きながら 多面的 多角的に作品の見方 味わい方を深める 着目した視点ごとに 既習の語彙をどう活用するかを 机間指導によって助言しながら グループ内発表の意見 感想のまとめを記入させる グループ内で意見をまとめるタイミングを見計らって指示を出し グループ代表に発表準備をさせる 発表の仕方にも注目するよう助言する 鑑賞を通して多様な表現を味わう視点を広く考え 意見 感想をまとめることができる ( 鑑賞の能力 ) 3 各作者の人生の歩みや作品が生まれた背景を大まかに学び 作者の心情や表現意図 表現の多様性などについて理解を深める ワークシートやノートの整理をし まとめと学習の振り返りをする 美術の表現の多様性に気づき 社会における人間と美術の関係について考えることができる ( 関心 意欲 態度 )( 鑑賞の能力 ) ワークシートを整理させ 作品の見方 味わい方に広がりが持てたか振り返らせる 感想の発表をする 7 本時の目標と展開 (1) 本時の目標〇友人の感想や意見を聞いて 共感や疑問を持ちながら 作者の表現意図や心情 多様な表現について考え 味わおうとする ( 関心 意欲 態度 ) 〇自分の意見や感想を持ち グループでの鑑賞活動を通して互いの意見を尊重し 自分の価値意識を持って考えながら作品を味わい 対象の見方や感じ方を広げることができる ( 鑑賞の能力 ) 3

(2) 本時の展開 ( 本時 2/3) 時配学習内容指導や支援の手だて は評価 13 〇前時の振り返りを行い 本時の学習の見通し を持つ 作者名 題名が伏せられた掲示 ( 配布 ) 資料を 見て 設定したテーマで鑑賞する 前時に提示し 設定したテーマ 人のいる風景 空の表情 風景の中の時間 心を描いた景色 テーマに基づいて 作品を選び味わおう 鑑賞の視点 ( 色 構図 筆のタッチ 人物や 背景の描写 作者の心情 表現のねらい等 ) を確認し 語彙の活用法を復習する 本時の学習課題と鑑賞の仕方を理解する ねらいと学習の流れワークシートの使い方話合いの約束事 5 つのグループに分かれて 司会進行 記録 者 発表者を決める 17 〇グループごとに作品を鑑賞する グループで決めたテーマで作品を選び 感想 や意見を出し合いワークシートにまとめる 2,3 点の作品を比較して鑑賞する 司会進行のもと 共感的 批判的に感想 意 見を聞き合う 〇作品を味わう視点の例 ( 題材 色 人物描 写の仕方 作者の心情 主題等 ) を示す 何が描かれているか 何をしていると ころか 季節や時刻はいつ 背景の空 や景色の描き方で気がつくところは な ぜ このような色や形で描かれているのか 等 具体的な発問をしながら前時の鑑賞で のテーマや視点を振り返らせ 考えを言葉 で表す時に使う語彙の例を示す 作品鑑賞について関心 意欲を持つことが できたか ( 関心 意欲 態度 ) グループを作る指示を出す 仲間の感想 意見を尊重してきちんと聞く 姿勢を作らせる 〇グループ内感想の中から 最も共感した意 見をもとに グループごとにテーマを設定 させ そのテーマで選んだ作品について話 合いをさせる 設定したテーマの視点で選んだ作品の感想 意見をグループでまとめ 記録者と共に 全員に要点を記録させる 12 3 グループ代表による発表 ( 本時は途中まで ) グループで話し合った作品の鑑賞文を 代表が発表する ( 最低 3グループ 時間による ) 発表を聞きながら 作品を再度味わう 他の人の意見や感想を聞くことで 作品に対する新たな興味 共感 疑問 作者の心情等について多面的 多角的に考えを深める 全体で 作品に対する感想や意見の交換 グループ代表による鑑賞文の発表で 共感したことなどをワークシートに記入する 質問や付け加えの感想を伝え合う グループ内で 最も共感しあえた意見をもとに 代表発表させる 感想がどんな観点に注目し 述べられた意見かを板書で整理する 注目ポイントを持って見てみると より深い味わい方ができることや 作品から伝わる味わいの幅が広がることに気づかせる 自分の初めの感想との変化や 価値意識の深まりについて考えさせ 自分の感じ方の変化に気づかせる 4

5 次回 グループ代表の後半の発表を聞くことを理解し 本時の発表の要点や感想を忘れないよう 記録としての感想をまとめる 自分が特に注目した作品 ( 作者 ) について 作品の特徴や作者の表現意図 ( 作者は何を表そうとしたのか ) について自分の考えをまとめる ( 同じ感想や印象 違う感じ方等 友人の意見と合わせ自分を振り返り 自分の初めの感想との変化や深まりを考える ) 作品には作者のメッセージが込められていることを理解する 互いの意見を尊重し 自分の価値意識を持って考えながら作品を味わい 対象の見方や味わい方の幅を広げて鑑賞することができたか ( 鑑賞の能力 ) 共感や疑問を持ちながら 作品にはいろいろな良さや表現の多様性があることを理解し 作者の表現意図や心情について考えながら味わうことができたか ( 関心 意欲 態度 ) 次回の授業の見通しを伝える (3) 資料 見本等掲示 配付作品資料 ワークシート 鑑賞 2 年組番氏名 絵で語ろう 絵への思いを伝えよう 1. 選んだテーマ 2. 選んだ作品 ( 番号 ) 3. 選んだ作品の感想 そのテーマや作品に注目した理由 4. 小グループごとに 注目作品についての意見交換をしてみよう ( メモはクロッキー帳の右のページに ) 5. グループ内で 作品についての意見 感想で 共感度が高かった作品 ( 及び テーマ ) は? テーマ 作品番号 グループ内で共感度の高かったテーマと作品について 選んだ理由や意見 感想等をまとめよう 6. 自分の感想 意見等と比べながら 各グループの代表による鑑賞意見の発表 を聞いてみよう ( メモはクロッキー帳の右のページに ) 7. もう一度作品全体を見て味わいながら画家たちの生き方や作品に込めた思いを見つめてみよう 作品全体を通して鑑賞し 気づいたこと 感じたことは? これらの作品の魅力は何だろう?( 授業を終えての感想 ) 5

掲示 配付作品資料 ワークシートつづき 8 本実践の成果と課題 (1) 実践を終えて美術科における学力を表現力と捉えると その力が伸び悩む生徒は 明確な主題を持たず漠然と制作していることが多い 仮に 思い はあってもそれを形に表現する力の未熟さによって 作品に表現意図が表れない場合も多いからである そこで 自らの思いをより主体的に表現させるために 作品の主題を言葉に表す学習活動の経験を積ませ どう表現したいから どういう技法を用いるか を考えさせる指導を心がけた また 鑑賞によって 感じたり気づいたりする力が磨かれ感性が養われると 表現力の向上が期待できる そこで 学習の柱を以下の2 点に置き 3 年間を通じた各題材で実践を継続した (Ⅰ) 作品の表現意図を言葉で表す学習活動を意識的 継続的に取り入れ 明確に主題をもって制作する能力を育成する (Ⅱ) 鑑賞の経験を増やし 多様な表現への理解を深める 特に 美術科特有の語彙の活用に習熟させ より適切に考えを述べる力を養う 6

(Ⅰ) の考察 1 自分の表現のねらいや主題を言葉に表し明確にさせたことで表現意欲が高まり 主体的な活動が促された 具体的な質問項目を設けるよう書式を工夫し 表現意図を文章で書かせることによって 漠然と描くのではなく 季節感や色合いなどをどう描きたいのか を考え 意識しながら描くように 取組姿勢が変わった 学習の記録 ( クロッキー帳にて ) 図 1: 思考操作が言語化されたものの例 身近な風景 を描く水彩画の制作における自分の主題について記入 実際に外に出て描く場所を散策して決め 授業で 2 回 (2 時間 ) 下絵を描き 次週から着色していくという段階で図 1の12 を記入させた また 作品が仕上がった時に 制作中に考えていたことがこのワークシートの欄に記入できるようにと毎時間声をかけた 制作中の授業の出だしでは 何度もこのワークシート ( クロッキー帳に貼ってある ) を振り返らせ テーマをもって作品を描くように指導した ただ漠然と風景を描くのではなく どこをどんな風に描きたいかという意思をもって制作するという意識づけに効果があった 2 具体的な表現力を身につけるために 評価の観点と目標を明記し 課題意識をもって作業させるとともに基礎的な表現技術の指導を行いながら よりよい表現方法を考えさせる場を設定した 題材ごとに作品コンセプトや自分の感想を表すための語彙の指導をした上で 自己表現について振り返り 言葉で記録 ( 図 2) を書かせた 生徒は自分の表現のねらいに対し 制作した作品はどうだったかを見直すことで 表現力向上のヒントを自分自身で見いだすことができた 7

図 2 思考操作が言語化されたものの例 自己表現につい て振り返り 言 葉で記録 また 題材ごとに制作のまとめを行い 学んだ内容の定着 ( 図 3) を図った この場面の鑑賞では よいと思う作品を選ぶ よいと感じる理由を考える 他の作品と比較して それぞれに違う魅力を感じ取る よいと感じさせる作品の共通点を見いだす 等の思考操作を自然に行っている あくまでも自分で色々な作品を鑑賞した中から 発見する ことを大切に扱い なんとなく思うこと を より具体的な自分の気づき ( 視点 ) とするために 言語活動が活用された 図 3: 思考操作が言語化されたものの例 鑑賞にて 学んだ内容の定着のための記録 また 評価の観点を 身につけたいポイントとして各制作段階での指導に活用した 評価の観点をあらかじめ伝えることで 評価に関する説明や規準をはっきり示して制作させることができた 生徒にとっては どのような点を努力したらよいのかを具体的に知る手立てとなり 意識して作業する姿が見られるようになったので 結果的に表現力の向上に効果があったと思われる 8

(Ⅱ) の考察 1 表現への関心を高め 鑑賞力を向上させるために 作者の主題や表現の多様性を理解させる鑑賞授業を増やした 作品についての意見や感想を語り合う場を多く設定した 鑑賞を通して表現の工夫や多様性を学び 自分の考えを言葉に表す訓練をした ( 図 4) 図 4: 表現の多様性を学び 自分の考えをめぐらす思考操作としての鑑賞の場面 及び そのために活用された言語活動多版多色刷り木版画の技法で制作段階に合わせて色を塗り 作品の感想をまとめるなどして活用したもの 2 作品についての意見や感想を語り合う場を多く設定した 鑑賞の学習において 作品についての意見や感想を述べる時に有効な美術科特有の語彙を提示し 活用できるよう意識的 継続的に指導した また 自分の言葉で考えを述べ 意見を整理しながら聞き 話し合う学習の場を多く設け 自分の考えを言葉に表す訓練をした ( 本指導案の重点実践 ) 意見交換や発表 美術館鑑賞レポートまとめ等の場では 言語活動を具体的な手段とし 鑑賞する 説明する 共感的に聞く 批判的に聞く 多面的にみる 多角的にみる 等の力を重点的に養った 題材ごとにコンセプトや自分の感想を表すための語彙や鑑賞の視点を指導 ( 図 5 6) した 3 (2) の考察としての授業の実践を終えて題材 :2 年 作品との出会い Part 1 ~ 浮世絵鑑賞 ( 神奈川沖浪裏 他 )~ Part 2 ~ 絵で語ろう ( ジャポニスム以降の近代西洋絵画 )~ 作品との出会いに重点を置き 知識や先入観に左右されずに率直な意見 感想を述べ合い 作品に対する興味を深めさせる 自分の言葉で思いを述べる力を養い 作品の味わい方の幅を広げさせた ア学習の中で言語活動を活用し 思考 操作を促す場面 作品について自分が注目した点とその感想を 小グループ内で意見交換し 作品の注目要素を広げた 意見発表時は 小グループごとに司会をたて 全員が発言した 複数の意見を集約 ( 図 7) するトレーニングを行い それをグループ代表が発表し 全員がメモをとった ここでの活動ポイントは 以下の 2 点である 一人一人が自分の考えを持ち 他者の考えとの共通点や相違点を意識しながら考えを深める場面の設定 自分でまとめた意見等の事柄について説明したり 相手の感想や考えを尊重したり 批評し合うことで 多角的な視野でとらえ 考えを深める場面の設定 9

小グループでの話合い活動は 全体の場で個々に発言させるより 気楽に述べ合える利点がある しかし 話合いの仕方によっては内容が深まらない可能性もある あらかじめ司会者などの役割を決めておき 感想を引き出す発言や 意見の集約ができるよう司会の発言の仕方をよく指導しておく ( 例 : 下記点線枠 ) ことが大事である 具体的には グループ内で端から順番に言わせるのみならず 以下のような意見の出させ方を日頃から訓練しておきたい なお 話合いをする小グループの人数は 今回は多様な視点を重視し 6 人組としたが 一人ずつの発言の機会や内容の深まりを重視する場合は 3~4 人組と人数を尐なくしてもよい なぜ そう思ったのですか? ( 思考操作に関わる言語 : 原因 ) 同じ考えをもった人はいませんか?( 違うとらえ方をした人はいませんか?) ( 分類 ) その点を比べてみたら どうですか? ( 比較 ) 付け足しで感想はありませんか? ( 共通 区別 ) 人の意見を聞いて 感じ方に変化があった人はいませんか? ( 変容 ) など 図 5 クロッキー帳のメモの抜粋作品 ( 絵画 ) 鑑賞の視点の指導と グループ活動による感想 意見交換の記録 図 6 鑑賞の時に心がけるよう投げかけたキーワード ( 予想 疑問 特徴をつかむ ) 図 7 他人まかせになるので記録係は決めず 要点だけでよい と限定して 全員に簡単なメモを速記させる 生徒は そのメモを見て 自分の感想とじっくり比べて考えを深めることができていた このような具体的な思考 操作の作業を取り入れることで 共感的に聞く 批判的に聞く 多面的にみる 多角的にみる といった学習活動が効果的になった ただし あくまでも美術の鑑賞という学習の場であり 上手に文章を書くことが第一目標に ならないよう気をつけたい いろいろな受け止め方 感じ方を共に語り合う中で 美術作品に 対する興味 関心を高め 感受性が豊かになるよう目指すことが大切である 10

イ本授業 ( 絵で語ろう Part 2 ) における生徒の反応と 鑑賞内容の変容 時間 をテーマに対話が進んだ時は この絵は朝か夕方か? と 違う 感想や受け止め方で 話題が広がった 空 をテーマに対話が進んだ時は 作者の内面やねらいを想像した発言が多く出て 作品の主題にせまる話題が深まった ( 実際の生徒の発表内容の抜粋 ) 左 : 色はきれいな青い空だが 楽しい感じではない 手前の木と背景の家々と空の組み合わせの構図が大胆である 右 : 夕方の空だと思う 手前の人の心を空が表しているような気がする 不安な感じがする 初めに絵画作品を鑑賞する時の目の付け所についてふれておいた成果として 個人の感想は様々な観点で具体的に出てきた ( 例 : 色について 作者の思いについて想像したこと 絵に対する疑問など ) また 感想を語り合う視点としてテーマを設けたことで 同じ作品に対しても 違う見方や受け止め方が出てきて 意見を比較しやすくなった 人それぞれに 違う感じ方やとらえ方があることが理解され 作品の見方を広げることができた また 作者の制作意図を想像するという新たな鑑賞の観点にふれ 知識や先入観 技術の優劣等にとらわれない純粋な感想が多く出され 表現の多様性について学ぶことができた ( 図 8: 鑑賞授業 絵で語ろう での板書 ) 絵で語ろう絵への思いを伝えようテーマに基づいて作品を味わおう作品 ( 絵画 ) を味わう時の注目ポイント ( 視点 ) 色色彩色合い構図筆づかい筆のタッチ何が描かれているか何処を描いているか主役の描き方背景の描写作者心情表現のねらい ( 伝えたい思い ) 想像してみよう etc 4つのテーマから選ぼう人のいる風景空の表情風景の中の時間心の中の景色 グループで話題になった感想 意見の報告グループで選んだテーマ共感度の高かった感想 意見比較した感想 意見 (2) 日常的な取組 1 日頃から言語活動を活用した実践例として生徒の書いたものを美術室前に掲示し ( 図 9) どんな言葉を使って意見 感想が述べられているかを日常的に目にして 語彙の活用を生徒同士で学べるようにした 図 9: 廊下の掲示物 自分の制作主題 表現意図に関わるもの 題材ごとの振り返りや 作品鑑賞会で書いたもの 様々な鑑賞授業のワークシートなど 11

2 朝の学活前の 10 分間を 読書活動以外に 9 教科が交代で それぞれの教科の学習内容に即したテーマで 記述訓練を実施している 美術科では 水彩画の主題 ( 図 10) や ピトグラムに対する意見 といった内容の記述を 全校生徒に行った 回数を重ねた生徒 また 学年が上がった生徒ほど 書くことに慣れてきたせいか しっかりと論点を押さえて美術的な意見 感想が書けるように変容してきた 図 10: 日常の言語活動のトレーニング ( 実施後 クロッキー帳に貼付 時期をみて再活用 ) (3) 実践のまとめ 1 成果ア自分の言葉で意見を述べることや 人の意見を聞き合うトレーニングをしたことにより 幅広い視点で鑑賞する力を養うことができた イ自分の表現意図や主題について言葉で表す作業を取り入れたことは 自分の制作意図が明確になり 制作に主体性を持たせることにつながった ウ表現力を向上させ 制作活動に達成感を持たせるためには 意欲の喚起と技能の習得が不可欠であり 両面に手応えを持つ生徒が増えた 2 課題ア鑑賞で提示する資料として 画集等のカラーコピーを活用したが 本物の作品の筆のタッチや迫力 作品の実際の大きさにせまることは到底できず 作品資料の 写真 の感想にすぎない 今回の授業では 本物の作品をいつか見てみたいという思いを持たせるきっかけとしてカラーコピーを使ったが 鑑賞授業の資料としての適性には 疑問が残る イ鑑賞で使う語彙が尐なく 感想の伝え方がまだ十分とは言えないので 引き続き 興味 感受 思考 表現技能 鑑賞 が連携して培われるような題材配列を検討したい ウ鑑賞活動において 元々の言語力のみに頼ることなく 教科として身につけさせたい言語表現を整理して 題材ごとに指導に取り入れることや 発問の仕方を検討する必要がある エ個性や学習のねらいをふまえた努力等を認めつつ 客観性をもった評価の工夫を要する 12