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その最初の日と最後の日を記入して下さい なお 他の施設で上記人工授精を施行し妊娠した方で 自施設で超音波断層法を用いて 妊娠週日を算出した場合は (1) の方法に準じて懐胎時期を推定して下さい (3)(1) にも (2) にも当てはまらない場合 1 会員各自が適切と考えられる方法を用いて各自の裁量の

検査項目情報 1171 一次サンプル採取マニュアル 4. 内分泌学的検査 >> 4F. 性腺 胎盤ホルモンおよび結合蛋白 >> 4F090. トータル HCG-β ( インタクト HCG+ フリー HCG-β サブユニット ) トータル HCG-β ( インタクト HCG+ フリー HCG-β サブ

1 卵胞期ホルモン検査 ホルモン分泌に関して卵巣や脳が正常に機能しているかを知る目的で測定します FSH; 卵胞刺激ホルモン脳の下垂体から分泌されて 卵子を含む卵胞を成長させる作用を持ちます 低いと卵胞の成長がおきませんが 卵巣の予備能力が低下している時には反応性に高くなります LH; 黄体化ホルモ


平成14年度研究報告

材料及び方法 1. 方法発情および発情直後を避けて プロジェステロンとエストロジェン徐放剤 (PRID TEIZO: あすか製薬株式会社 ) を挿入した (0 日目とする ) 4 日目に生理食塩水 ( 大塚生食注 : 大塚製薬株式会社 )50ml を溶媒とした FSH( アントリン R10: 共立製

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検査のタイミング ご自分の生理 ( 月経 ) 周期から換算して 次の生理 ( 月経 ) 開始予定日の 17 日前から検査を 開始してください 検査開始日から 1 日 1 回 毎日ほぼ同じ時間帯に検査してください ( 過去に検査してLHサージがうまく確認できなかった場合や 今回検査をしたところ陽性か陰

甲状腺機能が亢進して体内に甲状腺ホルモンが増えた状態になります TSH レセプター抗体は胎盤を通過して胎児の甲状腺にも影響します 母体の TSH レセプター抗体の量が多いと胎児に甲状腺機能亢進症を引き起こす可能性が高まります その場合 胎児の心拍数が上昇しひどい時には胎児が心不全となったり 胎児の成

体外受精についての同意書 ( 保管用 ) 卵管性 男性 免疫性 原因不明不妊のため 体外受精を施行します 体外受精の具体的な治療法については マニュアルをご参照ください 当施設での体外受精の妊娠率については別刷りの表をご参照ください 1) 現時点では体外受精により出生した児とそれ以外の児との先天異常

ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル

減量・コース投与期間短縮の基準

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針刺し切創発生時の対応

検査項目情報 1174 一次サンプル採取マニュアル 4. 内分泌学的検査 >> 4F. 性腺 胎盤ホルモンおよび結合蛋白 >> 4F090.HCGβ サブユニット (β-hcg) ( 遊離 ) HCGβ サブユニット (β-hcg) ( 遊離 ) Department of Clinical Lab

妊よう性とは 妊よう性とは 妊娠する力 のことを意味します がん治療の影響によって妊よう性が失われたり 低下することがあります 妊よう性を残す方法として 生殖補助医療を用いた妊よう性温存方法があります 目次 はじめにがん治療と妊よう性温存治療抗がん剤治療に伴う卵巣機能低下について妊娠の可能性を残す方

薬株式会社 ) を挿入した (0 日目とする ) 4 日目に生理食塩水 ( 大塚生食注 : 大塚製薬株式会社 )50ml を溶媒とした FSH( アントリン R10: 共立製薬株式会社 ) 20AU を皮下 1 回投与し プロスタグランジン F2α 製剤を同時投与した 前報より ecg( 動物用セロ

シプロフロキサシン錠 100mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにシプロフロキサシン塩酸塩は グラム陽性菌 ( ブドウ球菌 レンサ球菌など ) や緑膿菌を含むグラム陰性菌 ( 大腸菌 肺炎球菌など ) に強い抗菌力を示すように広い抗菌スペクトルを

農業高校における繁殖指導とミニ講座による畜産教育支援 大津奈央 中島純子 長田宣夫 飯田家畜保健衛生所 1 はじめに 管内の農業高校では 教育の一環とし て 繁殖雌牛4頭を飼育し 生徒が飼養 いた また 授業外に班活動として8名が畜 産部に所属していた 管理を担うとともに 生まれた子牛を県 飼養管理

胎児計測と胎児発育曲線について : 妊娠中の超音波検査には大きく分けて 5 種類の検査があります 1. 妊娠初期の超音波検査 : 妊娠初期に ( 異所性妊娠や流産ではない ) 正常な妊娠であることを診断し 分娩予定日を決定するための検査です 2. 胎児計測 : 妊娠中期から後期に胎児の発育が正常であ

卵管の自然免疫による感染防御機能 Toll 様受容体 (TLR) は微生物成分を認識して サイトカインを発現させて自然免疫応答を誘導し また適応免疫応答にも寄与すると考えられています ニワトリでは TLR-1(type1 と 2) -2(type1 と 2) -3~ の 10

婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告)       M

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特定不妊治療費助成制度 の利用の手引き ( 申請案内 ) 平成 23 年 8 月 1 日から特定不妊治療に対する助成制度を創設しました 富田林市では 不妊治療の経済的負担の軽減を図るため 大阪府及びその他の都道府県 指定都市 中核市 ( 以下 大阪府等 という ) が実施する 特定不妊治療費助成制度

て それ以後は中止してください [ ショート法 ]short 法 月経 周期の1~ 3 日目 から点鼻薬 ( スプレキュア ) を開始する方法で 卵巣機能が低下 ( 卵胞発育不十分 35 歳 ~) の場合にこの方法で行うことがあります スプレー開 始の翌日か翌々日に卵巣刺激の注射 ( hmg 製剤

抑制することが知られている 今回はヒト子宮内膜におけるコレステロール硫酸のプロテ アーゼ活性に対する効果を検討することとした コレステロール硫酸の着床期特異的な発現の機序を解明するために 合成酵素であるコ レステロール硫酸基転移酵素 (SULT2B1b) に着目した ヒト子宮内膜は排卵後 脱落膜 化

2) 飼養管理放牧は 5 月から 11 月の期間中に実施した 超音波検査において受胎が確認された供試牛は 適宜退牧させた 放牧開始時および放牧中 3 週間毎に マダニ駆除剤 ( フルメトリン 1 mg/kg) を塗布した 放牧には 混播永年草地 2 区画 ( 約 2 ha 約 1 ha) を使用し

児に対する母体の甲状腺機能低下症の影響を小さくするためにも 甲状腺機能低下症を甲状腺ホル モン薬の補充でしっかりとコントロールしておくのが無難と考えられます 3) 胎児 新生児の甲状腺機能低下症 胎児の甲状腺が生まれながらに ( 先天的に ) 欠損してしまう病気があります 通常 妊娠 8-10 週頃

全な生殖補助医療を含めて, それぞれの選択肢を示す必要がある. 3 種類の HIV 感染カップルの組み合わせとそれぞれの対応 1. 男性が HIV 陽性で女性が陰性の場合 体外受精この場合, もっとも考慮しなければいけないことは女性への感染予防である. 上記のように陽性である男性がすでに治療を受けて

マイクロボリュームエアクーリング (MVAC) 法によるブタ胚 ( 体内生産胚 ) のガラス化保存方法 - 1 -

ⅱ カフェイン カテキン混合溶液投与実験方法 1 マウスを茶抽出液 2g 3g 4g 相当分の3つの実験群と対照群にわける 各群のマウスは 6 匹ずつとし 合計 24 匹を使用 2 実験前 8 時間絶食させる 3 各マウスの血糖値の初期値を計測する 4 それぞれ茶抽出液 2g 3g 4g 分のカフェ

不妊外来を受診される方へ

Q8. 犬の飼育管理を何人で行っていますか? ( 人数を記入 ) ( ) 人 2. 飼育施設について Q9. 犬舎は主にどこにありますか? ( はあてはまるものすべて ) 1. 人が住む建物の中にある 2. 人が住む家とは別の建物の中にある Q10. 犬舎には 外の光が入るような窓などがありますか?

抗菌薬の殺菌作用抗菌薬の殺菌作用には濃度依存性と時間依存性の 2 種類があり 抗菌薬の効果および用法 用量の設定に大きな影響を与えます 濃度依存性タイプでは 濃度を高めると濃度依存的に殺菌作用を示します 濃度依存性タイプの抗菌薬としては キノロン系薬やアミノ配糖体系薬が挙げられます 一方 時間依存性

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これらの検査は 月経周期の中で下記のような時期に行われます ( いつでも検査できるわけではありません ) 図中のグラフは基礎体温の変動を示し 印は月経を示します 月経周期における検査の時期 高温期 低温期 月経 月経 血液検査 LH FSH E2( エストラジオール ) AMH 精液検査 排卵日 血

2. 飼育施設について Q9. 猫舎は主にどこにありますか? ( はあてはまるものすべて ) 1. 人が住む建物の中にある 2. 人が住む家とは別の建物の中にある Q10. 猫舎には 外の光が入るような窓などがありますか? ( は 1 つ ) 1. はい 2. いいえ Q11. 猫舎内の温度を調整す

人工授精について

現在 本事業で分析ができるものは 1 妊娠期間 2 未経産初回授精日齢 3 初産分娩時日齢 / 未経産妊娠時日齢 4 分娩後初回授精日 5 空胎日数 6 初回授精受胎率 7 受胎に要した授精回数 8 分娩間隔 9 供用年数 / 生涯産次 10 各分娩時月齢といった肉用牛繁殖農家にとっては 極めて重要

化を明らかにすることにより 自閉症発症のリスクに関わるメカニズムを明らかにすることが期待されます 本研究成果は 本年 京都において開催される Neuro2013 において 6 月 22 日に発表されます (P ) お問い合わせ先 東北大学大学院医学系研究科 発生発達神経科学分野教授大隅典

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注射すると 1 個だけでなく複数の卵胞が大きくなり 10 日くらいで直径 18 mm前後となります この時期に 卵子の成熟と排卵を促す HCG と呼ばれるもう一つのホルモンを注射します 採卵の直前である HCG 投与後 34 時間から 36 時間ころに卵胞を穿刺し 卵子を採取します これを採卵といい

和歌山県農林水産試験研究機関研究報告第 1 号 20AU を皮下に 1 回投与するワンショット区と生理食塩水に溶解した合計 20AU の FSH を 3 日間にわたり減量投与する減量投与区の 2 区を設定し, 当場で飼養している分娩後 日後の黒毛和種経産牛 3 頭を用いて, 各処理を 3

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凍結胚の融解と胚移植の説明書 平成 27 年 8 月改定版 治療の必要性 / 適応について受精卵 ( 胚 ) の凍結は 体外受精または顕微授精において 以下のような場合に行なわれる治療です 新鮮胚移植後に 妊娠につながる可能性のある受精卵 ( いわゆる余剰胚 ) が残っていた場合 採卵数が多い 血中

妊娠認識および胎盤形成時のウシ子宮におけるI型IFNシグナル調節機構に関する研究 [全文の要約]

別紙 体外受精胚移植 (IVF-ET) の流れ をご参照ください. まず, 実際に IVF-ET を行う前の周期までに, 治療の説明をお聞きいただき, 術前検査として心電図と血液検査 ( 血液型, 感染症, 血液凝固機能等 ) を行います. 後に採卵という手術が必要になりますので, それが安全に行え

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平成 27 年 8 月改定版こともあります [ アンタゴニスト法 ] 月経が開始してから2~3 日目 ( 前の周期に経口避妊薬を使うこともあります ) から卵巣刺激の注射 (hmg 製剤 FSH 製剤 ) を開始します 原則として連日注射し 数日間の注射の後には超音波検査やホルモン測定により 卵巣の

通常 繁殖成績はなかなか乳量という生産性と結びつけて考えることが困難なのですが この平均搾乳日数という概念は このように素直に生産性 ( 儲け ) と結びつけて考えることができます 牛群検定だけでなく色々な場面で非常に良く使われている数値になりますので覚えておくと便利です 注 1: 平均搾乳日数平均

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

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スライド 1

の種付年より高額の場合 その差額を支払わなければ種付をすることができない 低額の場合 協会には差額支払義務はない 3 当該種牡馬が配置換えにより遠方の種馬場に配置され 種付できないときは 協会は JBC 協会と合意した金額を証書所有者に返還する もしくは他の種牡馬に 変更し種付することができる 種牡

された種牡馬を 証書発行の年の日本における繁殖シーズンにおいて 無償で種付することができる 2 当該種牡馬が死亡又は疾病のため種付できないときは 協会は JBC 協会と合意した金額を証書所有者に返還する もしくは他の種牡馬に変更し種付することができる この場合協会が指定する他の種牡馬の種付年の種付料

別添

3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

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多量の性器出血があったとき 装着後数ヵ月以降に月経時期以外の 発熱をともなう下腹部痛があったとき 性交時にパートナーが子宮口の除去糸に触れ 陰茎痛を訴えたとき 脱出やずれが疑われる * 症状があるとき ( 出血や下腹部の痛み 腰痛の症状が続くなど ) * ご自身で腟内の除去糸を確認して脱出の有無を確

氏名 ( 本籍 ) 鈴木桂子 学位の種類薬 A 子 博士 学位記番号用 下 E コ王 学位授与の日付昭和 54 年 3 月 6 日 学位授与の要件学位規則第 5 条第 2 項該当 学位論文題目 ラット卵巣におけるステロイドホルモン合成に関する研究 ( 主査 ) ー論文審査委員教授近, f~i 雅日

2. 栄養管理計画のすすめ方 給食施設における栄養管理計画は, 提供する食事を中心とした計画と, 対象者を中心とした計画があります 計画を進める際は, それぞれの施設の種類や目的に応じて,PDCA サイクルに基づき行うことが重要です 1. 食事を提供する対象者の特性の把握 ( 個人のアセスメントと栄

晶形成することなく固化 ( ガラス化 ) します この方法は 前核期胚などの早期胚 の凍結に対して高い生存率が多数報告されています また 次に示します vitrification 法に比べて 低濃度の凍結保護剤で済むという利点があります 2) Vitrification( ガラス化保存 ) 法 細胞

日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュールの主な変更点 2014 年 1 月 12 日 1)13 価結合型肺炎球菌ワクチンの追加接種についての記載を訂正 追加しました 2)B 型肝炎母子感染予防のためのワクチン接種時期が 生後 か月 から 生直後 1 6 か月 に変更と なりました (


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ピルシカイニド塩酸塩カプセル 50mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにピルジカイニド塩酸塩水和物は Vaughan Williams らの分類のクラスⅠCに属し 心筋の Na チャンネル抑制作用により抗不整脈作用を示す また 消化管から速やかに

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バンカーシート 利用マニュアル 2017年版(第一版)

種牡馬の種付年の種付料が当該種牡馬の JBC 協会と合意した金額より高額の場 合 その差額を支払わなければ種付をすることができない 低額の場合 協会は 差額を速やかに返還する 3 当該種牡馬が当該年の別紙 1 記載の種牡馬で 不受胎の場合 協会は JBC 協会と合意した金額を証書所有者に返還する 4

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澤香代子 坂本洋一 岡﨑尚之 山本裕美 長谷川清寿 : 経腟採卵と過剰排卵処理の併用による和牛胚の生産効率化に関する検討 ( 第 3 報 ) 実験 1 材料および方法 当センター繋養の黒毛和種経産牛 20 頭を供試し 各供試牛に対して3つの胚生産手法を産次ごとに任 1 3) 意の順序ですべて適用した


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物理的防除および生物的防除資材を・・・(和文表題:15ポイント、強調)

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テイカ製薬株式会社 社内資料

豚丹毒 ( アジュバント加 ) 不活化ワクチン ( シード ) 平成 23 年 2 月 8 日 ( 告示第 358 号 ) 新規追加 1 定義シードロット規格に適合した豚丹毒菌の培養菌液を不活化し アルミニウムゲルアジュバントを添加したワクチンである 2 製法 2.1 製造用株 名称豚丹

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られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規

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(10) 氏名 ( 本 ( 国 ) 籍 ) 三浦亮太朗 ( 静岡県 ) 主指導教員氏名 帯広畜産大学准教授松井基純 学位の種類 博士 ( 獣医学 ) 学位記番号 獣医博甲第 440 号 学位授与年月日 平成 27 年 3 月 13 日 学位授与の要件 学位規則第 3 条第 2 項該当 研究科及び専攻

国土技術政策総合研究所 研究資料

配偶子凍結終了時 妊孕能温存施設より直接 妊孕能温存支援施設 ( がん治療施設 ) へ連絡がん治療担当医の先生へ妊孕能温存施設より妊孕能温存治療の終了報告 治療内容をご連絡します 次回がん治療の為の患者受診日が未定の場合は受診日を御指示下さい 原疾患治療期間中 妊孕能温存施設より患者の方々へ連絡 定

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実施前検査の結果により 治療が中止になることがあります 卵巣刺激法性周期が正常であれば 自然周期では通常 1~2 個の卵子が排卵します しかし 当院で体外受精 胚移植をお受けいただく治療周期には 複数の卵子が得られるよう薬 ( 排卵誘発剤 ) を使い卵巣刺激を行ないます 体外受精の治療をご希望される

ロタウイルスワクチンは初回接種を1 価で始めた場合は 1 価の2 回接種 5 価で始めた場合は 5 価の3 回接種 となります 母子感染予防の場合のスケジュール案を示す 母子感染予防以外の目的で受ける場合は 4 週間の間隔をあけて2 回接種し 1 回目 の接種から20~24 週あけて3 回目を接種生

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妊婦の推定感染経路 2 番目は 妊婦さんの推定感染経路です 2011 年は中国 ベトナムなど海外で感染した夫や本人です 海外からの感染に注意が必要でした ところが 2012 年は夫 同僚から妊婦さんへの感染が認められたので 同居家族 同僚のワクチン接種を勧めるよう喚起しました さらに 2013 年に

参考1中酪(H23.11)

2016 年 12 月 7 日放送 HTLV-1 母子感染予防に関する最近の話題 富山大学産科婦人科教授齋藤滋はじめにヒト T リンパ向性ウイルスⅠ 型 (Human T-lymphotropic virus type 1) いわゆる HTLV-1 は T リンパ球に感染するレトロウイルスで 感染者

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1. 繁殖牝馬の交配管理 1) 交配に向けた馬体管理 分娩後 3 ヶ月間は 養分要求量が最大となる BCS は 9 段階に区分され 5.0 が 普通 である 分娩前には BCS を 5.5~6.0 に維持する 妊娠馬のエネルギー要求量 ( 可消化エネルギー : DE) および胎子体重の推移妊娠馬は分娩後に BCS が 0.5 程度低下し 授乳前期 ( 分娩後 3 ヶ月間 ) に栄養分の要求量が最大となる このため 妊娠後期の繁殖牝馬の BCS は最低でも 5.5 以上 理想的には 6.0( 多少肉付きがよい程度 ) にコントロールされることが望ましい 分娩後の BCS が 5.0 以下の場合 授乳前期に適正な BCS に回復させることは困難であるため 注意が必要である ボディコンディションスコア (BCS) は 馬のコンディション ( 脂肪のつき具合 ) を指数化したものであり スコアは 1.0( 極度のやせ細った状態 )~9.0 ( 非常に太っている ) までの 9 段階に区分されている スコア =5.0 は太り過ぎず 痩せ過ぎず 普通 の状態である BCS が適切な繁殖牝馬は 発情周期が遅延することなく 受胎率も良好である 一方 BCS の低いそれは シーズン最初の発情や発情周期の遅延 受胎率の低下傾向が認められる また 妊娠 40 日前までに起こる 早期胚死滅 には 受胎前後の栄養摂取状態の関与が指摘されている 3

2) ライトコントロールによる排卵促進処置 空胎馬は冬至(12 月 20 日 ) 頃から 出産予定日が 1 ~2 月の馬は予定日の 1~1.5 ヶ月前から ライトコントロール (100W 電球 ) を実施する 卵巣静止 排卵遅延の予防に有効 受胎後の黄体機能を高めるため 3 月中 ~ 下旬までライトコンロールを継続する 馬は 日照時間が長くなることによって発情期が出現する 長日性季節繁殖動物 に属する この特性を利用し 馬房内に電灯を点灯して人工的に明期を延長することにより 排卵を誘発させる処置が ライトコントロール である 12 月中旬からのライトコントロールの実施により 初回排卵は 2 月下旬までに 70% 3 月下旬までに 90% 認められ 無処置例に比較して初回排卵が約 1.5~2 ヶ月早期化する また その後の発情周期は正常であり 受胎率も高く 効率的な繁殖管理が可能となる トの白色電球 ( 蛍光灯でも可 ) を馬房天井の中央付近に設置する 高さは 2.5-3.0m である 点灯および消灯はタイマーで作動させ 開始および終了時刻を正確に設定する 2 夜間は可能な限り暗くする 24 時間の照明は逆効果であり 一定時間の 夜 が必要である すなわち 明るい時間と暗い時間の明確な区分が重要である 3 飼付けなどのため 短時間の馬房や厩舎電灯の点灯は問題ない 一方 馬房や厩舎の廊下の長時間にわたる点灯や 馬房の窓から薄明かりが入る環境では効果が減少する 4 適切な栄養管理は ライトコントロール効果に影響を及ぼすことから BCS は 5.5~6.0 に維持する 5 ライトコントロールにより 黄体機能が賦活化される このため 受胎の確認後も 妊娠の維持を目的として 3 月中旬 ~ 下旬まで継続することが推奨される ライトコントロールにより 性腺機能が賦活化される ライトコントロール処置による月別初回排卵の割合 ライトコントロールの方法 1 12 月 20 日 ( 冬至付近 ) から 昼 14.5 時間 夜 9.5 時間の環境を設定する すなわち 早朝は 5 時 30 分から 7 時 30 分まで点灯し 収牧後は 15 時 30 分から 20 時まで点灯する 照明は 60-100 ワッ 4

3) 未経産馬 ( 上がり馬 ) の管理 未経産馬の管理 種付けを実施する前年 10 月までには 繋養を開始する 妊娠後期の妊娠馬に対する感染源になる可能性がある このため 新たに未経産馬を生産牧場に入厩させる際は 妊娠馬と隔離する必要がある また ワクチンの接種によってウイルスの増殖を防止する BCS を 5.5~6.0 に維持する ライトコントロールを実施する 馬鼻肺炎の発生予防のため 妊娠馬と隔離する 繁殖牝馬として繋養を開始する時期は 現役の引退時期に関係するが 10 月までには馬産地に繋養することが望ましい これは 北海道の気温が著しく低下する前に 気候や飼育環境に馴化させておくことが ストレスを最小限に留め 精神を安定させるからである 繁殖シーズンの開始までに BCS を 5.5~6.0 に維持するため 前年秋から適切な栄養管理を開始する 交配の直前になって飼養管理を変更しても 厳冬期の 1~2 月に適正な BCS を維持することは困難である また 当然のことながら 急激な体重の増加や減少は回避するべきである 繁殖シーズン前に BCS を 5.5~6.0 に維持しておく 未経産馬は 遅くとも 3 月後半までに 安定した発情周期が得られる管理が必要である このためには ライトコントロールの実施が推奨される 一方 未経産馬は環境変化などのストレス負荷により 流産を引き起こす馬鼻肺炎を発症しやすく 5

4) 交配適期 発情期 ( 発情行動時期 ) は 交配適期に一致しない 排卵時期に近い交配は 受胎率が高い 発情行動は排卵後 24 時間まで持続し 排卵後の交配でも受胎可能である 5) 発情検査 試情検査 ( あて馬 ) 発情期の牝馬における牡馬の許容程度から交配適期を判断する方法としては 獣医師の診断に依存しない試情検査 ( あて馬 ) が知られている 試情検査は 牡馬 ( あて馬 ) と牝馬の間に試情板を挟み 牝馬の背部の におい をあて馬に嗅がせた際 以下の行動を観察する 1 あて馬に対する攻撃姿勢 2 尾の挙上 3 陰唇下部の開口 ( ライトニング ) 4 排尿姿勢 尿あるいは粘調液の排出 軽種馬生産では 一回の交配での受胎精度を高めるため 適切な交配時期を判断する必要がある 子宮 卵管内における精子の生存時間は 48~72 時間であることから 交配適期は排卵前 48 時間から排卵後 12 時間以内である 馬の排卵は 発情行動が終了する 24 時間前に起こり 排卵時期は超音波検査 膣検査および直腸検査によって予測される 排卵が起こる状態は 以下の所見によって推測できる 1 試情が良好であり 40mm を超える卵胞 ( 軽種馬 ) が確認できる 2 排卵窩側の触診に対し 馬が敏感に反応する また 排卵窩が開存している 3 超音波検査により 卵胞の形状が円形から楕円形 あるいは洋梨状に変化している しかし 1の卵胞の大きさは馬の個体差や季節への依存度が高く 2および3の変化は必ずしもすべての個体に発現する変化ではないため 慎重な診断が必要となる 試情 ( あて馬 ) 検査の様子 ( 日本軽種馬協会静内種馬場 ) 非発情時の牝馬は 牡馬の接近に対して試情板を激しく蹴り上げ 牡馬を受け入れない また 産後間もない仔馬連れの牝馬は 母性本能が極めて強く 発情徴候が隠蔽される場合がある 馬の発情期間は 1 週間から 10 日間に及ぶ場合もあるため 発情期が交配適期に一致していないことも 念頭におく必要がある 6

6) 獣医師による主な交配前検査 獣医師による発情の確認検査 超音波検査( エコー検査 ) 膣検査これらの検査により 交配適期に関する一定の診断が可能となる 獣医師による早期診断が不可欠である 超音波検査 ( エコー ) 現在 エコー検査は最も一般的な交配適期の判定方法である 直腸検査と併用して実施され 超音波断層装置によって卵巣および子宮の断面像が描出される 発情時の卵胞の大きさ 形状および排卵の確認 黄体の有無 発情状態にある子宮および子宮内の貯留液の観察 高齢馬の子宮内シストの確認などに有用である 膣検査 直腸検査直腸検査は 直腸壁を介して卵巣や子宮などの生殖器を触診する方法である 卵巣の大きさ 卵胞の大きさと波動感 子宮の大きさ 貯留感および硬度などを総合的に判断し 交配適期を決定する 左 : 発情子宮の超音波エコー像 ( 特徴的なレモンの輪切り像 ) 右 : 排卵前の卵胞 ( 直径 4cm) の超音波エコー像 膣検査膣検査は膣鏡を陰門から挿入し 膣粘液の量 膣壁の充血程度 子宮頸管の形状などを把握する視診法である 繁殖シーズンの移行期には 大型卵胞が触診されるにも拘らず しばしば試情を示さないことがある このような場合は 膣検査が極めて重要であり 超音波検査との併用によって交配適期の診断が可能となる 7

7) 排卵誘発処置 排卵誘発処置は 排卵時期を人為的に管理し 1 回発情周期当りの交配回数を減少させる 排卵誘発処置は双胎率を上昇させるため 獣医師による適期の妊娠鑑定が必要となる の有無に拘らず 交配 6 時間前の 5ml( ブセレリンとして 20μg) の投与が推奨されている 投与から 24 時間後に排卵していない場合は 5ml を再投与する 近年 効率的な交配適期の管理を目的として 排卵誘発処置が実施されている この処置によって排卵時期を人為的に管理することにより 発情周期当りの交配回数を減少させることが可能になった 人絨毛性性腺刺激ホルモン (hcg) 人絨毛性性腺刺激ホルモン (hcg) は 馬の排卵を直接的に誘発する黄体形成ホルモン (LH) 様の作用を有するため ある程度排卵時期をコントロールできる hcg1,500~3,000iu の静脈内投与により 投与後 24~48 時間内の排卵確率が高くなる このため 交配の前日の投与は受胎率を増加させる しかし hcg は馬にとって 異物 であり 免疫反応によって 抗体 が産生されるため 複数回の投与では効果が減少する可能性がある したがって 1 シーズンでの使用回数には注意が必要である 排卵誘発剤である酢酸ブセレリン 排卵誘発剤として最も一般的に使用されている hcg 酢酸ブセレリン hcg は馬の排卵を直接的に誘発する黄体形成ホルモン (LH) 様の作用をもつが 酢酸ブセレリンはゴナドトロピン放出ホルモン (GnRH) 作用を有している この GnRH 作用によって LH の放出が促され 排卵が誘発される 酢酸ブセレリンは hcg 投与 8

8) 分娩後の初回発情での交配 分娩後の初回発情での交配におけるデメリット 受胎率が低い(46%: 初回発情以外は 65%) 受胎後の早期胚死滅率が高い(15%: 初回発情以外は 4%) 馬運車による長時間輸送により 仔馬には強いストレスが負荷される 多くの牝馬 ( 約 90%) は 分娩後 5~12 日の間に発情行動を発現し 平均 10.2 日で排卵する 分娩後の初回発情時に交配した場合の受胎率は46% であり この値は2 回目以降の発情時に交配した場合の受胎率 (65%) に比較し 明らかに低い 特に 加齢とともに分娩後の初回発情時の受胎率は低下し 16~18 歳では36.8% に留まる この低い受胎率の原因は 卵巣機能障害による子宮機能の回復遅延と考えられている この他 分娩後の初回発情での交配におけるデメリットとしては 早期胚死滅率が15%( 初回発情以外は4%) と高率であること 種馬場までの長時間輸送により 仔馬には強いストレスが負荷されることがあげられる 2~5はいずれも子宮機能の回復に関連している事項であるため これらの条件をすべて満たしていれば ある程度の高い受胎率を期待できる しかし すべてを満たしていない場合 受胎率は著しく低下する 子宮機能の完全回復は最低 16 日とされていることから 受精後の胚の子宮への移動を交配後 5~6 日目として逆算した場合 特に4の分娩後 10 日目以降の交配条件が重要である 受胎する可能性が低い無駄な交配は 経済的な損失および種牡馬の負担を考慮して回避するべきである 細菌検査のための子宮頚管スワブの採取 ( 分娩後の初回発情時の交配判断には 細菌検査が必要である ) ( クールモアスタッド ) 分娩後の初回発情時の交配率および受胎率 (904 例 ) ( 日高軽種馬防疫推進協議会による調査 ) やむを得ない事情により 初回発情時の交配を実施する必要がある場合の実施基準を以下に示す 1 牝馬の年齢が 12 歳以下 2 胎盤の排出時間が 1 時間以内 3 胎盤重量が 8kg 以下 4 交配が分娩後 10 日目以降 5 子宮頚管スワブの細菌検査が陰性 9) 分娩後の初回排卵後の発情周期の短縮 9

プロスタグランジン (PGF2α) の投与によって黄体を退行させることにより 発情休止期の短縮が可能になる すなわち 発情の発現を早期化できる 初回発情時の交配の見送りが 推奨されている 一方 1 年 1 産を前提として 分娩後の可能な限り早期に受胎させるためには 発情休止期間を短縮させる黄体退行処置を実施する プロスタグランジン (PGF2α) の効果発情休止期は 子宮から分泌されるプロスタグランジン (PGF2α) が黄体を退行させることによって終了する このため 黄体機能がピークを迎え 黄体から分泌されるプロジェステロンの血中濃度が最高値に達する排卵後 7~9 日目に PGF2α 製剤 10mg を投与する この処置によって卵胞が発育し 3~5 日以内に発情が発現する この処置が効果的に機能するためには 卵巣内に黄体が存在していることが前提となる このため 処置前には必ず超音波検査によって黄体が存在していること あるいは血液検査によって血中プロジェステロン濃度が 1ng/ml 以上であることを確認する必要がある PGF2α の投与により 非発情期を短縮できる PGF2αによる発情周期の短縮方法分娩後の初回排卵から7 日目に 超音波検査によって黄体を確認してPGF2α 製剤 10mgを投与する 投与から3~5 日以内に発情が発現して卵胞が発育し さらに軟化して35mmを超えた後に 排卵誘発処置を実施して翌日に交配する この方法による分娩から交配までの日数は最短 20 日 平均 24 日程度である すなわち 黄体退行処置を実施しない場合に比較し 7 日程度の短縮が可能である 10