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146 号 NAV 工 GATION ( 報告 ) 77 報 生口 東京水産大学練習船 海鷹丸 IV 世 武田誠 一 上野公彦 * Research and Training Vessel 乙 MITAKA MAR U of Tokyo Universityof Fisheries SeiichiTAKEDA and Kimihiko UENO 1. はじめに 東京水産大学は明治 21 年に大日本水産会水産伝 習所として創立され, 明治 30 年に農務省 水産講 習所 に, 昭和 22 年に農林省 水産講習所 に改 称, さらに昭和 24 年に 東京水産大学 と改称さ れ, 水産学部を設置, 翌 25 年に文部省の所管とな り現在にいたっている 戦前 戦後の食糧増産時 代から現在に至るまでの 112 年の歴史の中で, 代の要請に応えて, 教育 研究内容も漁業 水産 分野のみならず資源, 環境分野にも対応したもの と移りつつある 東京水産大学は, 世界でもめずらしい単科大学 でもあるが, 水産学と水産にかかわる船舶の運用 に関する, 高度の知識と技術を持つ人材の育成, ならびに, 水産 海洋の総合的な研究方法と観 測 調査の基礎的技術の取得を目的として, 海鷹丸, 神鷹丸, および青鷹丸の 3 隻の練習船を有し ている 本学練習船の中でも最大の船型を有して いる 海鷹丸 m 世 は, 昭和 48 年に竣工し ( 三井 造船藤永田工場 ), その後 28 年の永きに渡り, が国の水産学に関する教育 研究の発展に寄与し てきた その航行海域は, 極寒の南極洋, 酷暑の ペルシャ湾を含む, 太平洋, インド洋, 大西洋等, 世界中の外洋海域であり, 総航海距離数 49 万海里 にも及ぶ実習航海や調査研究などに活躍し, 数々の成果を挙げてきた 一方, この永きの間に船体 時 我 の局所疲労が各所に見られるようになり, また, 外板の傷みも窺えるようになっていた このような背景のもと, 海鷹丸代船建造委員会が平成元年に設置され, 足かけ 3 ケ年に及ぶ新造船建造計画の検討結果を平成 4 年度の概算要求として提出した 以後, 数回にわたる計画の見直しならびに概算要求が行われ, 幸いなことにこれまでの努力が結実し, 平成 1G 年度の補正予算で船舶建造費が認められ, 海鷹丸 IV 世 の建造に至った 2. 基本構想ならびに建造経緯海鷹丸 IV 世は, 海洋環境と水産業の未来を拓く練習船 と位置付けられ, 本学における練習船教育の基本姿勢を実践する場として, さらには水産 海洋研究等において広くその発展を担う人材の育成を目的に計画 建造された 前述のように, 練習船教育の基本姿勢は水産学と水産に関わる船舶の運用に関する, 高度の知識と技術を持った学生の養成を主目的としているが, さらには 21 世紀に向けた海洋生物蛋自資源の有効利用, 地球温暖化, 海洋汚染の深刻化等へ対処するための調査 L 研究分野において主導的な役割を担う人材の養成をも, その範疇に含んでいる 平成 4 年度提出計画では, 2500 トン型, 最大搭載人員 114 名としたが, 各大学 ( 北海道大学水産学部, 東京水産大学水産学部, 長崎大学水産学部, 一正会員東京水産大学海洋生 Pt 学科海洋システム 1 学講座 ( 108 8477 東京都港区港南 4 5 7 ) 鹿児島大学水産学部 ) の専攻科への進学生の減少, 水産業界の衰退, さらに経済の不況による財政事情の見直し等々により, 最終的には 1800 トン型, 最大搭載人員 107 名の提出となった

78 NAVIGATION 平成 12 年 12 月 建造に際しての基本姿勢は, である 来るべ き 21 世紀の専攻科教育を実施するに 相応しい練習船であること その 母体である学部教育にも十二分に対応 できる練習船であること 漁業の新技術, 新漁場の開発に必要な機器 を備えた練習船であること 海洋構造 環境の究明等のための科学調査 計測機器を備えた練習船であること 他大学との共同利用にも供することが可能 な練習船であること 開発途上国等の水産教育 t 練習船教育の模 範となれるような国際的な練習船であること 乗船希望者として増加する女子学生の専用 施設, 特に衛生設備が確保された, 船内生活 に支障のない練習船であること 平成 11 年 1 月 21 日に入札公告 ( 官報掲載 ), 2 月 1 日入札説明会実施, 3 月 10 日請負会社が三井 造船株式会社に決定, 契約となった 以後, 3 月 29 日起工 ( 三井造船玉野艦船工場 ), 平成 12 年 3 月 1 日進水, 同年 6 月 30 日竣工に至った 3. 新海鷹丸 概要 13 主要目 船 船 資 型 質 格 航行区域 全 長 登録長 垂線間長 幅 ( 型 ) 深さ ( 型 ) 満載喫水 ( 型 ) 総トン数 ( 登録 ) 総トン数 ( 国際 ) 純トン数 速力 試運転最大速力 航海速力 航続距離 船首楼付全通二層甲板船 鋼 第 3 種漁船 遠洋区域 ( 国際 ) 93.00m85.50m83.00m14.90m8.90m5.95m1,886 トン 3,391 トン 1,017 トン 18.9 ノット 17.4 ノット ( 常用出力,15% シーマージン ) 約 12, 900 浬 主機関 連続最大出力 常用出力 中速ディーゼル 6,000kW 520rpm 1 基 5,100kW 493rpm 推進器 4 翼ハ イスキュー可変 ピッチプロペ ラ 1 基 発電機 600kW,450V,60Hz 3 基 軸発電機 バウスラスター 舵 フィンスタビライザ 減揺タンク 定員 職員 部員 研究員 学生 燃料油タン 清水タンク バラス ク ト水タンク 魚倉 ( ベール ) 保冷庫 凍結庫 準備室 900kVA 1 基 推力 8 トン 1 基 フラップ舵 1 基非格納型 1 基 可変周期型 計 107 名 18 名 21 名 8 名 60 名 777.23m3 206.54m3 344,72m3 なお, 一般配置図を図 1 に, 海上公試運転中の 全景を写真 1 に示す 3.2 特徴 海鷹丸 IV 世 は, 二十数年後においても誇れ るような, 将来の教育 研究環境を見越した設備 の導入はもとより, 長期航海に対する船内環境の 改善ならびに海洋環境に優 i しい船の実現化を目指 して建造された 図 2 に海鷹丸の特徴的部分を示 すとともに, 以下に主たる内容を記す 3.2,1 全制御型船橋 航海 機関など運航に関する制御を統合して行 う全制御型船橋を採用してい る 船橋内は, 操舵 区画, 海図区画, 機関制御区画, 観測区画, およ び無線区画が設けられ, 各区画に電子航法総合装 置, 複合測位システム, 船体運動解析装置, 機関 統合制御システム, 計量魚群探知機, 深海用精密音響測深機,GMDSS 装置等々の装置が装備され ている これらの装置は, 船橋における運航管理 システムの一元化による安全運航の徹底化, 運航 の効率化, ならびに学生への教育効果を目的とし たものである 55.20rn3 30.OOm3 22.50m3 写真 2,3 に航海区画ならびに機

JapanInstitute Institute of ofnavigation Navigation 146e Mrt)t<mart\wtefi,.LFtancJtLrvttr1 79 CAPTAINDECK NAV,BRieGE DECK COMPASSFLAT :eki--in=-:' ----..BOATDEcX w ECK n----t"-klt--- -i,a- T.OECK ECrto nec"} espmenae -" -.t u, ----- M -.,n '=-:,zao-tl - /- --J -'- 1-- 'EH-ge.edw-'--Rllptp 2NDOECK pa1tzmea-fi.p:utereec NII-Electronic Library Service

80 NAVIGATION 平成 12 年 12 月 写真 1 海鷹丸全景 毒 丶 k 最新鋭の観瀾 研究設備 1 靉糶驛 けねぐなma ウインチ覦 钁纛鑼 5) その他研窯用囎 t 黷 茜 匣 丶 ビ 下丁 { 全制御型操舵室 1) 撮舵区西 / 海圃区蕗 / 団関制御区画ノおノ讐 撫 畠 1 へ o ゴ尸 :1 購鑛嬲 1 饗鑼鑼 暴 1 二 ヒギァ tt 1 議 E 1 /,, ili. 1 ド田 1 /M 鰹皿 2 胴甲臥 戸. 1. い 1ttゴ ゴ 臘響繋難, 綴. 隅啜糶鑼鑼 騨糶 1 蠻飜灘辮麟鑼貘撃 1 ガ P ド略 広い船内と静寂な居住性 1 全通 2 厨甲板保用 2) 防振型機閲 + ノンキャピプロベラ 謡 繦蘓 メヂ 靉 1 峠 F ゴ砒 t t lt, 埠 懸 ドゴ 図 2 海鷹丸概説 関制御区画を示す 3.2.2 動揺対策主要目にあるように, 本船は全通二層甲板型を採用している このために得られた船内の余裕空 問により, 快適な居住空間を得ることが可能となった また, 学生の教育, 乗組員の諸勤務および船内生活の円滑化をもたらす居住配置としている また, アンチローリングタンクならびに, フィン

146 号東京水産大学練習船 海鷹丸 N 世 81 写真 2 船橋操舵区画 写真 4 第一教室 写真 3 船橋機関制御区画 写真 5 第二教室 ( 操船シミュレータ ) スタビライザを搭載しており, 揺れの小さい練習船として初心者教育に効果が期待される これらの減孺装置は, 生活環境の向上にとどまらず, 操業時の安全性を高めるほか, 天候に左右されてい 海上における安全運航 遭難に関する教育を可能 としている 写真 4,5 に第一学生教室および, 第二学生教室を示す 3.2.4 推進装置 た海洋観測 調査の範囲を広げることも可能とし 本船は, 良好な推進性能および耐航性能を得る ており, その波及効果は大きい なお, 当然のこ とながら機関室周囲等に対する騒音 振動対策も 他, 船首部での泡の発生 混入を押さえた船型を 採用している これは, 船底部に各種の精密音響 施されてい るが, 海上公試運転結果も十二分に満 機器を装備しているためで, 前述した機関室周囲 足する値を示している 等の騒音 振動対策と相まっ て, 水中放射雑音の 3.2.3 教育設備 本船の練習船とい う使命からも教育設備は重要 低減化を図っている さらに, ディーゼル機関の 他に, 推進電動機による電気推進を装備し, 観測 な要素となる 特に海技教育においては反復訓練 中の水中放射雑音の低減化を一層推し進めている による教育効果を無視することは出来ない 運航 なお, 電気推進時において 10 ノッ ト以上の速力を 関係機器, 漁労関係機器 装置類, 機関制御機器 ならびに海洋観測 研究関係機器に加えて, 本船 内に,GMDSS シミュレータ, 操船シミュレータ, 確保してい る 3.2.5 漁労設備, 観測 研究設備 本船で可能な操業は, トロール漁業 ( 底曳網, 主機関シミュレータを搭載している これらの装 中層曳網 ), まぐろ延縄漁業, いか釣漁業, なら 置は航海中の情報を取り込み, 停泊中に同様の状 態を再現可能なものとなっており, 実際に即した, びに底釣漁業である これらの操業を安全かつ効 率よく行うための装置や, 曳航式スキャニングソ

Japan Institute エ of Navigation 82 NAVIGATION 平成 12 年 12 月 3.2.6 船内データ処理システム 船上において取得される航海系統を始めとする各種観測データをリアルタ一イムで収集し, 括管 理する船内データ処理システムを搭載している 本システムは, 複合測位装置, 映像処理システム, 制御解析装置, データ通信装置等を船内 LAN シ ステムで統合し, 各シス テムで取得されたデータ を表示 保存, および各種画像処理, さらには陸 写真 6 船尾甲板 上との通信までを行う統合システムとなっている 扱うデータは, 多種にわたっているが, 船内各所の約 65カ所のデータコンセントにパーソナルコンピータュを接続することで, 誰でも簡単に船内情 報を得ることが可能である 写真 7 トロール操業 ナー等の機器類を装備してい る 船尾部分には起 倒式スリップウェイを装備する他, クレーン 4 基 を配置することにより漁労作業の利便性を確保し ている さらに, 一層の安全性の向上のために, 作業甲板となる後部甲板を広くとるべく, 各種ウィンチは船内に格納 配備するとともに, トロー ル操業時以外にはオッ される ターボードをも船内に格納 後部甲板ならびにトロール操業時の様子 を写真 6,7 に示す 観測 研究装置においても, CTD 嵌脱装置, ウィンチ巻き込み自動停止装置等, 作業の自動化 省力化, 精度の向上を考えた装置を搭載する他, 最新の観測装置, 解析機器類を多数船内に装備し, 乗船学生に対する最先端の機器の取扱い の実習を 可能とし, またデータ解析等を通じた教育 研究 4, おわりに 海鷹丸 IV 世の海上試運転は, 本年 6 月に実施さ れた 起工から竣工まで約 15 ケ月という短期間の 工期に加えて, 艤装密度の非常に高い練習船にも かかわらず, 当初計画された機能を十二分に発揮 できることが確認された 竣工, 引き渡しにい るまで, 終始誠意に満ちた対応であっ た た三井造船 関係者を始め, 各メーカのご尽力, また, 佐藤要 建造委員長ならびに設計 監督業務に携われた社 団法人漁船協会等々, 本船に関わられた方々のご 苦労ならびに, ご努力は想像に余りあるほど大変 なものであったと思われる 本船引き渡し後の現 在 ( 平成 12 年 9 月 ), すでに学部 3 年生の 1 ケ月 にわたる乗船漁業実習 ( 平成 12 年 7 月 11 日 8 月 11 日 ) が実施され, その後, 専攻科学生を対象とした 7 ケ月の乗船漁業実習 ( 平成 12 年 8 月 22 日 平成 13 年 3 月 22 日 ) が実施中である 今後, の乗船実習教育を始め調査 学生 研究等のさらなる充 実など, 海鷹丸 IV 世が果たすべき使命は今まで以 上に大きく, 広く水産 海洋の分野で世界に貢献 できる練習船として活躍が期待される おわりに, 海鷹丸建造に際し, ご助力, ご指導を賜っ た全て の方々に感謝ならびに, 御礼申し上げる次第であ る 参考 資料 佐藤要 : 海洋環境と水産業の未来を拓く練習船, 水産世界,Vol,49,No.7,pp 52 56,(20GO), 佐藤要 : 東京水産大学練習船 海鷹丸, 漁船,No,349, pp,1 20 (2000). の資質向上を図っている NII-Electronic N 工工一 Eleotronio Library Service