1) Sato T, Oyake M, Nakamura K, et al. Transgenic mice harboring a full-length human mutant DRPLA gene exhibit age-dependent intergenerational and somatic instabilities of CAG repeats comparable with those in DRPLA patients. Hum. Mol. Genet. 8: 99-106, 1999. 2) Sakai K, Yamada M, Sato T, et al. Neuronal atrophy and synaptic alteration in a mouse model of dentatorubral-pallidoluysian atrophy. Brain 129: 2353-2362, 2006. 3) Sato T, Miura M, Yamada M, et al. Severe neurological phenotypes of Q129 DRPLA transgenic mice serendipitously created by en masse expansion of CAG repeats in Q76 DRPLA mice. Hum. Mol. Genet. 18: 723-736, 2009.
1) Bauer PO, Nukina N. The pathogenic mechanisms of polyglutamine diseases and current therapeutic strategies. J Neurochem. 110:1737-65, 2009. 2) Wong HK et al. Hum Mol Genet 17:3223-35, 2008. 3) Yamanaka T et al. EMBO J 27:827-39, 2008. 4) Bauer PO et al. Nat Biotechnol. 28:256-263, 2010.
1) Furuta M, Kunugi H: Animal models for sdhizophrenia: a brief overview. In: Biomarkers for Psychiatric Disorders (ed. by Turck CW), Springer, New York, pp163-184, 2008.
ENU ミュータジェネシスによる注意欠如 多動性障害 (AD/HD) モデル マウスの開発 理化学研究所バイオリソースセンター マウス表現型解析開発チーム古瀬民生 若菜茂晴 注意欠如多動性障害 (Attention Deficit/Hyperactive Disorder AD/HD は 発達段階に不相応な注意力障害 衝動性 多動性を特徴とする行動障害である この行動障害の発症に関しては 遺伝的要因の強い関与が知られているが その機序に関してはモノアミン系の異常を主とした複数の仮説が提案されているものの現在のところ明らかになっていない また 本障害の遺伝的要因は多因子疾患である事が知られており 多様な遺伝的モデル動物が必要であると考えられる 我々は理研 ENU ミュータジェネシスプログラム 1) において精神疾患 発達障害のモデルマウスとして行動異常を示すモデルマウスのスクリーニングを行うとともに 表現型異常の責任遺伝子の同定を行ってきた さらに我々は プログラムにおいて作出された行動変異体の詳細な表現型解析を行ない 精神疾患および発達障害モデルとしての評価を行なった 本シンポジウムにおいて この 上記の変異マウスの中で AD/HD モデルとなることが期待される変異マウスについて報告する また 一連の ENU ミュータジェネシスで開発した精神疾患モデル候補についても紹介したい 参考文献 1) Furuse T, Wada Y, Hattori K, Yamada I, Kushida T, Shibukawa Y, Masuya H, Kaneda H, Miura I, Seno N, Kanda T, Hirose R, Toki S, Nakanishi K, Kobayashi K, Sezutsu H, Gondo Y, Noda T, Yuasa S, Wakana S. (2010) Phenotypic characterization of a new Grin1 mutant mouse generated by ENU mutagenesis. Eur J Neurosci. 31(7):1281-91, 2010.
1) Nakatani et al, Cell 137:1235-1246, 2009. 2) Takumi. Brain Dev, in press.
統合失調症治療薬の開発と動物モデル 大塚製薬株式会社 Qs 研究所アリピプラゾールグループ廣瀬毅 二村隆史 統合失調症は陽性症状 陰性症状 認知機能障害 感情障害の大きく 4 つの症候論的次元を持つ複雑な精神疾患である 近年の分子生物学的手法や遺伝学の進歩により 病態関連遺伝子候補やその関連酵素などの同定がなされ 分子機構や成因などの解明が進んではいるが どれもが決定的な結論を得ておらず依然として病因は不明である 統合失調症薬物治療の端緒は 1952 年のクロルプロマジンの精神病治療効果の発見であるが その後の治療は現在に至るまでドパミン受容体を中心とした薬物 受容体反応に基づく対症療法に終始してきた 現在臨床使用されている治療薬は殆ど全てドパミン神経伝達を遮断する作用を持っており 陽性症状に対する治療効果を示すことから 神経薬理学的側面においては統合失調症の病因の一部にドパミン神経伝達の異常が関与するという点は現在最も広く受け入れられている理解であろう さて こうした統合失調症を治療する新薬を開発する上で利用される動物モデルとはどのようなものであろうか? 一般的に新薬開発のステップには以下のようなフローが考えられる 1コンセプト決定 ( 作用機序の特定を含む または含まない ) 2コンセプトバリデーション 3 スクリーニングフローの検討 4 化合物のスクリーニング 5 候補化合物選定 6 短期毒性評価 7 前臨床試験 (GLP 毒性試験 代謝試験 製剤検討 ) 8Phase I 試験 ( 安全性評価 : ヒト ) 9Phase II( コンセプトバリデーション : ヒト ) 10Phase III( 大規模検証試験 ) これらのハードルを全てクリアしなければ新薬とはなり得ないが 基礎開発段階でその開発化合物が真に対象疾患に有効かどうかを予測するために しばしば疾患特異的な病態モデルが利用される しかし 統合失調症の病態を反映する疾患特異的な動物モデルは依然として確立されていない 従って 比較的距離が近いと考えられる薬理学的側面での仮説を基にした薬原性統合失調症モデルや 現在判明しつつある遺伝因子の異常を反映した遺伝子改変 ( 又はノックアウト ) 動物モデル もしくは発達障害仮説に基づくモデルなどにおける評価のいずれかを組み合わせて 設定した薬理作用プロフィールで目的の治療効果を発揮するか慎重に見極めて臨床での評価を待つということになる 各種動物モデルの薬効評価における最終的なパラメーターとしては その動物が示す行動異常を評価することが一般的である こうしたモデルを用いた行動評価の手法はその目的に応じて様々に開発されているが 基本的には自発的もしくは課題付加により変容した動物の行動量を指標にしている点は共通している その理由として統合失調症の病態を反映する生化学的マーカーが特定されていないという点がある また 統合失調症との生物学的な相同性を利用したパラメーターを評価する試験法もある 講演では陽性症状 認知機能障害などの各症状に関連した動物モデルの背景と特徴を紹介しながら 治療薬開発との関わりについて言及したい 参考文献 1) Clin Schizophr Relat Psychoses. 4(2): 124-37, 2010. 2) Curr Opin Psychiatry. 22(2): 154-60, 2009. 3) British Journal of Pharmacology 159(2): 285 303, 2010. 4) World J Biol Psychiatry. 10(4 Pt 3): 778-97, 2009. 5) Drug Discov Today. 15(3-4): 137-41, 2010. 6) International Review of 41 Neurobiology 78: 41-68, 2007. 7) Psychopharmacology 206: 551 561, 2009. 8) Schizophrenia Bulletin 35(3): 528 548, 2009. 9) Neuropsychopharmacology. 33(9): 2061 2079, 2008.