マは以下の通りである なおテーマ1,2 は2016 年度 1 学期に学習しており, 今学期はテー マ3,4,5 を扱う 2016 年 1 学期 テーマ1: 女性の生き方 テーマ2: 子どもと教育 2016 年 2 学期 テーマ3: 若者の感性 テーマ4: 仕事への意識 テーマ5: 日本の外国人 表

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第 2 問 A インターネット上に掲載された料理レシピやその写真から料理の特徴の読み取りや推測を通じて, 平易な英語で書かれた短い説明文の概要や要点を捉える力や, 情報を事実と意見に整理する力を問う 問 1 6 イラストを参考にしながら, ネット上のレシピを読んで, その料理がどのような場合に向いて

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2. 国際交流センターの活動 2.1 報告 授業報告 時事問題を通して日本を考える 鈴木恵理子 要旨本稿は, 交換留学生 学部留学生を対象とした日本語 5-Ⅵ(2016)Current Topicsの授業報告である 本活動は 現代日本社会の多様化 を扱った教材から得た情報に基づいて, グループでのディスカッションを通して自分の分析や意見をまとめ, それらを口頭発表やレポートという形で発信する力を身につけることを目的としている 20 名の留学生が, 現代日本の社会状況 社会問題に関する3つのテーマについて資料を読み, 情報や意見をグループで共有したのち, 分析 考察した結果を口頭発表したり, 小論文を書いたりなどの活動を行った 本稿ではこの授業の内容を紹介するとともに, 授業から得られた今後の課題について述べる キーワード : 現代社会, 時事問題, ディスカッション, 共有, 小論文 1. 授業の概要 1.1 到達目標到達目標は以下の3つである (1) 日本の現代社会について, 視点の異なる複数の資料 ( 新聞記事, 統計資料, エッセイなど ) から情報を得て, 話したり書いたりすることができるようになる (2) テーマに関連して同じ語彙 表現に繰り返しふれることで, 語彙を身につけることができる (3) 現代日本の様々なトピックについて知り, 自分の国の状況と比較しながら発表したり, レポートにまとめたりすることができるようになる 1.2 クラスの概要対象 : 秋田大学に所属する留学生期間 :2016 年 10 月 ~2017 年 2 月受講者数 :20 名 ( 中国 10 名, 台湾 1 名, 韓国 9 名 ) 授業回数 :90 分 16 回 1.3 授業内容授業の内容を表 1に示す テキストは 日本への招待 ( 東京大学出版 ) であり, 各テー 25

マは以下の通りである なおテーマ1,2 は2016 年度 1 学期に学習しており, 今学期はテー マ3,4,5 を扱う 2016 年 1 学期 テーマ1: 女性の生き方 テーマ2: 子どもと教育 2016 年 2 学期 テーマ3: 若者の感性 テーマ4: 仕事への意識 テーマ5: 日本の外国人 表 1 日本語 5-Ⅵ 2016 授業の流れ テーマ授業回数活動内容 使用したシート 宿 題 テーマ3 1 回目 オリエンテーション 資料 1を読みグループで討論 発表 3-1-A 3-1-B 3-2-A 3-3-A 2 回目資料 2を読みグループで討論 発表資料 3を読みグループで討論 発表 3-2-B 3-3-B 3-4-A 3 回目資料 4を読みグループで討論 発表課題 1 説明 インストラクション ( アンケート作成 ) 3-4-A 4 回目 課題 1( グループでの準備活動 ) 課題 1 5 回目 課題 1( パワーポイントによる口頭発表 ) 3-5-A 6 回目 資料 5を読みグループで討論 発表 3-5-B 4-1-A,4-1-B, 4-2,3-A テーマ4 7 回目 資料 1を読む ( 解説を聞く ) 4-1-A 4-1-B 4-5-A 4-6-A 8 回目資料 5を読みクラスで共有資料 6を読みクラスで共有課題 2 説明 9 回目下書き1をグループで相互評価課題 2のためのインストラクション ( 比較 対照型小論文の書き方 ) 4-5-A 4-6-A 評価シート 下書き 1 下書き 2 10 回目下書き 2 について教師が個別にフィードバック課題 2 11 回目課題 2 を全員で読み合い相互評価評価シート 5-A テーマ5 12 回目 資料 1~5から一つ選択しクラスで共有 関連資料を読む 秋田県の地域の実例 ( 横手 ) 紹介 5-A 13 回目 課題 3 説明 課題 3のためのインストラクション 14 回目 課題 3 個別相談 課題 3 15 回目 課題 3を全員で読み合い相互に評価 評価シート 16 回目 評価まとめ 以下, 各活動の流れについて説明する 1) 予習用のシートを事前に配布し, 指定されたテキストの資料を読んでシートに必要項目を記入してくる 2) 授業時にグループで共有したあと, グループで1 名 ~2 名が共有した結果を発表する 3) 各テーマに関連した課題について発表, もしくは課題レポートを書く 26

4) 提出された課題を全員で読み合い, 相互に評価する ここで, テーマごとに課した3つの課題について説明する レポートを書く上で重要なのは論理性であり, それには説得力のある根拠が必要である 根拠のリソースとして次の 3 種類が挙げられる 1 知識や事実に基づく根拠 2 統計資料に基づく根拠 3 経験に基づく根拠 授業では1を使ったものとして, テーマに沿ってグループでアンケート調査を行い, 集計 分析 考察を行うという課題 1を課した また2を使ったものとして, 教師が配布したもの, もしくは自身が収集した資料を用い, 分析 考察しレポートにするという課題 2 を課した さらに3を使ったものとして, 自分自身の経験に基づき分析 考察しレポートにするという課題 3を課す予定である (2016 年 1 月現在 ) 課題の説明時には, アンケート用紙の作り方, アンケート依頼時の説明書の書き方, 比較と対照型小論文の構成を意識したレポートの書き方などの指導を行った 2. 活動成果 2.1 課題 1 口頭発表: グループで ( テーマ3 若者の感性 に関連して) テキストP88の調査 若者の友人関係 を秋田で実施する 図表 1~3と同じ項目について, アンケート用紙を作成し, 得られたデータを図表化し, パワーポイントで発表する 各グループのタイトルと内容グループ1 タイトル : 各国の若者の友人関係 内容 : 日本, 韓国, 中国のそれぞれの国々の若者に対してアンケート調査を行い, 友人関係の作り方に三ヵ国でどのような違いがあるのかを明らかにした グループ2 タイトル : 若者の友人関係 内容 : 性別に見た友人関係の違い, 秋田での結果とテキストの資料との比較を行った その結果, 友達を作る時は外面的な要素に関わらず, 思考的, 内面的な要素を中心にして付き合うという点において男女差が見られなかった グループ3 タイトル : 若者と友だちの関係 内容 : テキスト資料と自分たちが収集したデータとの結果の相違について考察した その結果, 秋田での調査では, 友人との付き合い方から見ると, 友達を使い分けていて, 友人関係を広くしようとする傾向があった また, 属性的, 社会 27

的要素を重視する若者が増えた さらに, 真剣に本音を打ち明けられる深い交わりの友人はいない事が想像される一方, 一人のほうが楽で, 友達との関係は深入りしないというような考え方が見られた 要するに, 今回の調査結果からは, 今の若者の友人関係は広いが浅いと言える グループ4 タイトル : 日本の若者の友人関係 内容 : テキスト資料 (2002 年 ) と自分たちが収集したデータ (2016 年 ) を比較した結果, 今も昔も友達との付き合いに関しては変わったことがなかった しかし, 昔の若者が内面的要素と信用的要素さえ合ったら誰とでも友達になれたのに対して, 今の若者は気遣うことなく安心して遊べる人を友達として求めているということが分かった 2.2 課題 2 レポート: 個人で ( テーマ4 仕事への意識 に関連して) 現代社会の 仕事 に関する諸問題について, 次のトピックからひとつ選択し, 自分の国と日本の状況を調べて比較 分析し, それに対する自分の考えやあるべき社会の姿などについてレポートを書く 1 終身雇用 2 成果主義 3 自殺 4 上司とのつきあい 5ブラック企業 6 非正規雇用 7 過労死 8サービス残業 9 家庭と仕事のバランス 10ワーキングプア 11その他 レポートのタイトル (1) 非正規雇用について (4 名 ) 日中非正規雇用の比較 非正規雇用 中国と日本の正規雇用に関する比較分析 中日両国の若者の就業の現状, 原因及び対策の比較 (2) 過労死 過労自殺 自殺について (7 名 ) 過労自殺 をどうすればいいのか 日本と台湾の自殺に関する比較 日本と韓国の過労死に対する考え方の差異 日中の 過労死 の現状について 日本と中国における過労死の社会原因 日中職場での自殺の比較 生きるために仕事をするのに何故仕事のため死ななければならないのでしょう (3) ブラック企業について (3 名 ) ブラック企業 労働者たちの夢を壊す闇の影 28

会社人 ではありません 社会贄 です 日本と韓国のブラック企業に関する比較分析 (4) 家庭と仕事のバランスについて (2 名 ) 家庭と仕事のバランス 家庭と職場のバランス (5) 終身雇用について (1 名 ) 日本の終身雇用と中国の固定工制度の比較 (6) 上司とのつきあいについて (1 名 ) 上司はいない方が良い? 上司がいなければ, どうなる? (7) その他 (2 名 ) 公務員についてどう思っている? 日本の若者と中国の若者の比較 海外の会社で働いている外国人たち 2.3 課題 3 2017 年 1 月現在, まだ実施していない (1 月 18 日出題予定 ) 予定は以下の通りである レポート: 個人で ( テーマ5 日本の外国人 に関連して) これまでの日本での留学生活で経験したことをもとにレポートを書く テーマ: 日本に留学したわたしからの提言 ( 自国への提言, 日本への提言のどちらでも可 ) 3. 今後の課題 3.1 時事問題の理解について授業を通して日本の現代社会についての理解が進むよう, テキスト以外の資料を配布し説明を加えたり, それについて学生の意見を出させたりした レポート執筆に役立つと教師が判断し紹介した書籍を学生たちが自発的に借りて読んでレポート執筆に活用するなど, 積極的な取り組みが見られた 特に過労死や自殺に関しては自国でも問題となっていることや自身がこれから社会人として働く立場であることなどから, 他人ごとではないものとして取り組んだようだった 一方, 学生によっては文献をまとめたのみで, 自分の考察が十分なされないものも見られたが, 個別相談の時間が足りず, 内容面を深く掘り下げる余裕がなかった この点について今後の改善の余地があると感じた 3.2 小論文の書き方指導について課題 2は2つの国についての比較であったため, 課題説明時に, 論理性 構成に重点を置いた比較 対照型小論文の書き方指導を行った クラスには, 実は今までレポートというものを書いたことがないという学生がいたが,2 年前担当した上級レベルのクラスでも, 同様の学生が数名いた 2 年前のクラスでは書き方指導ができず, 提出されたレポートの中には構成 論理性に関して未熟なものがいくつか見られた それに比べて今回提出されたレポートを見ると, 構成がよく, 論理的で読みやすいものが多く見られた 統計的に確 29

かなことは言えないものの, 書き方指導は有効であるとの感触を得た 今後は事前の書き方指導のみならず, 下書き段階での振り返り時に, さらに有用なフィードバックができるよう準備していきたい 3.3 共有の仕方について授業では各資料について事前にシートの設問に記入してくることで資料の内容を理解できるようにした 授業のグループ活動でそれらを共有する際に, 教師がどのように介入したらいいのか最初よくわからず戸惑った 各グループを回りながら, 教師から質問したり, 参考になるような提案をしたりしたものの, グループによっては議論が深まらないケースも見られた グループを作る際には国籍, 性別などを考慮したが, ディスカッションが不得手でなかなか発言できないでいる学生が見られた一方, 授業が終了しても議論を続けるグループも見られた グループ活動が活発に進むような教師の介入の仕方について, 改善の必要を感じた 3.4 シートの記入について予習のためのシートに, 学生は丁寧に書いてきていたが, 時として要点を得ず, 冗長な記載が見られた 回収した全員のシートに目を通し, 修正やコメントを加えるなど個別の対応はしたが, 要点をとらえた簡潔な書き方の指導を全体でするべきであったと感じた 改善が必要と感じた項目については, 臨機応変に対処するようなやり方をすべきだったと思う 今後は, 全体に向けての指導と, 個別への細かいチェックの2つが必要であることを念頭におき, 臨機応変なクラス運営をしていきたい 3.5 テキスト選択について今回使用したテキストは, 適切なテーマ設定がなされており, 使いやすい内容であると感じた しかし問題は資料の古さである 時事問題は日々変化するものであり, できればもっと新しい資料があればよかったと思う 必要に応じて教師が資料を準備して配布したが, やはり新しい資料を使っているテキストがあれば教師の負担が軽くなるのでありがたい 今後はテキストの選択にもさらに留意したい 3.6 学生による相互評価の仕方について課題提出後, 全員の課題を配布し読み合い, シートに簡単なコメントを書いてもらった 評価を行う前に, 論理性, 構成, 表現などの評価のポイントを簡単に説明した 的確に簡潔にまとめられた評価コメントがある一方,1 行だけの短い評価コメントも見られた 事前にもう少し丁寧な書き方指導をすべきだったかもしれない 評価後に学生に感想を聞いたところ, 自分以外の学生のレポートを読んだことで, 自分のレポートの振り返りができたようだった 人の評価をすることで自分のレポートを客観的に見る目が養われると思われる 評価自体も重要な活動と捉え, 適切にコメントが書けるよう働きかけていきたい 30