2008 10 31( 金 ) 熊本市立一新小学校 社会科学習指導案 1. 単元名 9 長く続いた戦争と人々のくらし 一新小 6-1 指導者 : 村上浩一 2. 単元の目標 日中戦争から第二次世界大戦 ( 太平洋戦争 ) までの経過を調べ 戦中の生活や多大な被害を理解し 平和を希求する子どもたちに育てる 修学旅行での資料館見学や被爆者の講話を生かし さらに写真や地図 放送メディアを活用して 戦争の広がりや生活 被害状況等々を調べ 戦争の悲惨さと平和の大切さについて考える力を育てる 3. 指導観 本単元は 平和な現代社会を迎える前の時代 すなわち 1931 年の満州事変から 37 年の日中戦争 41 年の太平洋戦争 ( 第 2 次世界大戦 ) 勃発から 45 年の原爆投下 無条件降伏までの時代を学習することになる なぜ 戦争に至ったのか それはどんな経過をたどったのか またその結果 どうなったのか これらのことをしっかり学ぶことで 2 度と繰り返してはならない悲惨な戦争 そして平和の大切さについて 資料等々を通して しっかり学ばせていきたいと考える 本単元では 過去のフィルムが多く残っており NHK のデジタルコンテンツを利用しやすい環境にあり それらを有効に使っていきたいと考える 本学級の児童 ( 男子 17 名 女子 19 名 合計 36 名 ) は すでに 9 月より総合学習において 修学旅行へ向けた平和学習 ( 調べ学習中心 ) を行っており かつ 10 月 22 23 両日における修学旅行を体験してきている 旅行では 原爆資料館を始め 被爆者の方の体験談等々を見聞してきている そこで学んだことを系統的に学習に生かしていきたいと考えている 一方 本学級では 4 月より放送番組やそのコンテンツをどう授業で生かしていくかということで 常時 各単元で放送番組を視聴して 学習に生かしているところである 本学級では 以下のような利用方法をとってきている 1) 放送番組を継続視聴して 学習課題を立てたり 学習内容の理解に役立てたりするまずは 放送番組で全体を把握し 学習課題をたて 各種資料 ( 実物 統計資料 図像 映像等々 ) を利用して 学習内容を理解していく 放送番組は 以下のように単元に組み
込んでいるところである 教材 / 単元小単元例 ( 全 6 時間 ) 第 1 時第 2 時第 3 時第 4 時第 5 時第 6 時 教科書 資料集放送メディアノート 学習シート ( コート 表 ) テスト歴史史料スクラップ 課題設定 内容理解 内容理解 内容理解 内容理解 調べ学習 調べ学習 調べ学習 調べ学習 番組視聴 単元カ イタ ンス クリップ可能 番組視聴 (2 番組ある場合 ) クリップ可能 マイント マッ ノート( プリント資料は貼り付け ) フ で整理 クリップ映像は映像読解シートにて ( 番組読 宿題としての自作模擬テスト 解シート ) 絵画史料 解読 古文書解読 その他実物資料等解読 担任による新聞記事 ( 歴史関係 ) 紹介 児童自身によるスクラップ紹介 児童自身の調べ学習 ( 自学 ) まとめ課題解決マイント マッフ で復習 評価テスト < 放送番組読解コード> 使い方は 中央のアメンボ胴体に番組名を書かせ 周りの4つの赤い空欄にその番組内の重要な歴史用語 ( キーポイント ) を書かせる こうして 子どもたちは 15 分の番組において この4つのキーワードを念頭に視聴して マインドマップ風に関連の重要事項を記入して小単元の全体像を把握していくことになる そして ジョウモン と みらい の会話を参考にしたりして その小単元における自分なりの学習課題を持たせるようにする 最下部には 小単元最後のまとめの時間に 課題に対する答えを 字数制限を設けて解決していくことにしている 2) 個別の歴史事象に対し クリップ映像を使い 学習内容を理解させる NHK のウェブページには 番組を補強するクリップという短編映像がある これを各歴史事象の理解のために 利用していった ただ何となく視聴するのを防止するために 上記と同じようなコードを作成して 学習に生かしていった
< 歴史映像読解コード> クリップ映像は 1 分 ~2 分のショート映像である そこで 上記の放送番組とは違って 短時間に集中して 内容を理解させたいと考える そこで 5W1H に従って その映像に出てくる人物 ( 人間 ) 時 ( 時間 ) 所 ( 空間 ) を把握し その映像制作者がどんな目的でこの映像を作成されたのかを解読していくことで 学習内容に迫らせていった 基本的には文章の解読と同じであり 映像があるか ないかということになる なお 番組における ジョウモン 役の緒形拳氏が他界された 心から冥福を祈ると同時に これまでのお礼としてもしっかりとした授業を展開していきたい 4. 単元の指導計画 ( 全 6 時間 ) 時 学習活動 資料 主な発問 指示 1 1) 放送番組を見て 全体を把握する ( 右の発問は 番組を見ての問いである ) 年表で 学習する時代を確認する 2) 学習課題を持つ 修学旅行や総合学習を振り返る < 放送番組 戦争を生きた人々 太平洋戦争 原爆模造図 > ❶ 広島と長崎の原爆犠牲者はそれぞれ何人ですか また 戦争による全犠牲者は何人ですか ❷ 昭和初期の日本の社会は どんな状況にありましたか ❸ 原爆ドームの記念碑には 何と書いてありましたか 2 1) 日中戦争の原因 経過 結果を理解する 2) 年表と地図を利用して 整理していくようにする < 白地図 年表 資料集 クリップ 勤労動員 > ❶なぜ 日本は中国を攻撃したのですか ❷なぜ これらをとめることができなかったのでしょうか 3 第 2 次世界大戦 ( 太平洋戦争 ) について理解する <クリップ 第二次世界大戦 太平洋戦争 東京大空襲 銃弾 > ❶なぜ ヒトラーは 周辺国を侵略したのですか ❷なぜ 日本は真珠湾を攻撃したのですか
4 戦時中のくらしについて理解する <クリップ 戦時下の生活 空襲警報サイレン音 防空頭巾 食糧切符 軍票 赤紙 > 5 原爆の投下と戦争の終結について理解する 本 <クリップ 原爆投下 文書資料 > 時 6 まとめと評価 ❶ 資料集や教科書を見て 人々の戦時中のくらしを 10 個 箇条書きにしなさい ❷クリップ番組を見て シートをまとめなさい ❶ 原爆は 日本人の命を救った に賛成ですか 反対ですか ❷ 誰が 過ちは繰り返しませぬから なのですか 5. 本時学習にあたって (1) 目標 原子爆弾投下までの経緯を知り 原爆は日本人の命を救った という論調に対する自分の意見を持ち 戦争の悲惨さ 平和の大切さを理解していくことができる (2) 活用するメディア NHK ビデオクリップ 原爆投下 (3) 本時指導におけるメディア活用のねらい このクリップは 原爆投下前のポツダム宣言から構成されており 受諾を黙殺した日本に対し アメリカが原爆を投下し その原爆の被害がコンパクトに収められている そこで 授業後半の 原爆は 日本人の命を救った に賛成ですか 反対ですか 理由もノートに書きなさい という 発問 3 を考える資料とする 6. 本時展開 (5/6) 過程 学習活動 発問 指示 説明 備考 導入 3 分 1. 前時までの復習 ( ウオーミングアップ ) をする 歴史学習の重要語句をフラッシュカードにて振り返らせる パソコンにて 年表の復習もする フラッシュカード デジタルフラッシュ 展開 2. 大統領への 例の赤ん 45 年の 7 月 17 日 日本の降伏を決める パソコン 3 分 坊が生まれた という電 ポツダム会談直前に トルーマン大統領に で資料提示 報の意味を理解する 電報が入るシーンから授業に入る 例の赤ん坊が生まれた!
発問 1 例の赤ん坊 とは 何のこ とですか 10 3.NHK のクリップ 原爆 原爆であることを告げる NHK の 分 5 分 20 分 投下 (2:00) を視聴する 4. 原爆投下シーンを機長 大統領 牧師の3 者の発言から知る 5. 原爆投下の問題について考えを深め 自分なりの意見を持つ ( 討論かディベートを行う ) 指示 1 今から 原爆投下 という映像を 2 回見せます 映像内容をシートに記入していきなさい 歴史映像読解コードに内容を整理させる 簡単な質問で 理解度を確認する 犠牲者数 ポツダム宣言 原爆の被害 アメリカの狙い 発問 2 原爆を投下した人々は どんなことを考えていたでしょうか 三者三様の言葉を知り 映像にあった原爆の被害と重ね合わせさせる 発問 3 原爆は 日本人の命を救った に賛成ですか 反対ですか 理由もノートに書きなさい 賛成派と反対派に分かれて 討論をする その中で 原爆 戦争の悲惨さ 平和の大切さを考えていくようにする 特選映像シアター による コード表 出典は 巻末の通り 原爆投下の理由は何ですか 等々 授業や児童の進展 理解具合で変更予定 整理 4 分 6. 広島平和記念公園にある石碑の主語を考えることで 平和の大切さを理解する 最後のまとめには 公園にある石碑の主語を補うことで まとめとしていく 発問 4 誰が 過ちは繰り返しませぬから というのでしょうか ノートに誰と書きなさい 我々世界人類 が戦争という過ちを犯さず 平和な世の中を希求しているということをおさえていく ザベルカ神父の言葉 < 資料出典 > スウイーニー発言 : 私はヒロシマ ナガサキに原爆を投下した ( スウイーニー著原 書房 ) トルーマン声明 : 同書 08 年 8 月 4 日 熊本日日新聞 島根日日新聞 牧師の祈り : エノラ ゲイ (TBS ブリタニカ ) ポールチベッツ発言 :83 年 8 月 9 日 熊本日日新聞 社会科教え方細案 7 ( 明治図書 所収 拙著論文による ) ザベルカ神父発言 :84 年 7 月 30 日 熊本日日新聞 同