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表1最大酸素摂取量 最大心拍数 最大血中乳酸濃度 VOm mm m ± HRm m L m mm ± ± 平均値±標準偏差 表2ロープトレーニング中の生理学的反応 開始前 休憩 休憩 休憩 休憩 休憩 休憩 休憩 経過時間 VO mm m ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± 終了後 HR m L mm ± ± ± ± ± 平均値±標準偏差

対応のある 検定で比較したところVO とL にて統計学的な有意差が認められ た 表 %HRm さらに 各測定値の最大値に対するロープトレーニング中測定値の割合 %VOm %L m を算出した 表 図 は %から 目終了時点で最大の %となり その後はほぼ変動がな 表 より %VOm くプロトコル終了時では %となった%HRm は開始直後の %から多少増減しながらも漸増 していき の %を最大とした%L m は %から 終了後にはほぼ最大値の %となり 終了時点には最大値を超える %となったそして 終了後には %に低下 した 表3各生理学的指標の最大値とロープトレーニング中における最大値の比較 VOm mm m ± HRm m L m mm ± ± 平均値±標準偏差 表4各測定値の最大値に対するロープトレーニング中測定値の割合 開始前 休憩 休憩 休憩 休憩 休憩 休憩 休憩 経過時間 %VOm %HRm %L m 終了後

図1% VOmの経時的変化 図2%HRmの経時的変化 図3%Lmの経時的変化

Ⅳ考察 結果よりVOm に対してロープトレーニングの VOは有意に低いことが明らかとなった 表 ま た %VOm の最大値は 目終了後の %であった 表 有酸素持久能力向上プログラムでは %VOm 程度の運動負荷で実施されている ことや 小澤ら が柔道競技の練習強度を%VOm で 測定し %と報告していることから ロープトレーニングはエネルギー供給機構の つである酸化機構に トレーニング効果を発揮するのに十分な負荷はかけられていないと考えられる HRm とロープトレーニング中の HRには有意差はなかった 表 また %HRm は開始直後の %から の %と増加し トレーニング中を通して常に最大に近い値で推移した 表 さらに %HRm に達したとし ロープトレーニングには循環器系に 先行研究によると柔道競技の練習中は 柔道競技中と同程度の負荷をかけることができると考えられる L m に対し ロープトレーニング中の L は有意に高いことが明らかとなった 表 また %L m は 終了後に % 終了後に仮定された最大値を超える mm となり 分間以上試合を行った場合における試合終了後の血中乳酸濃度 %となった松坂らは女子柔道選手が mm とし OBLAをやや上 は mm と報告している高橋らは 乱取練習中の血中乳酸濃度を 回るレベルであると述べているOBLAは血中乳酸の産生と除去のバランスが崩れて継続的な乳酸の蓄積 が始まる強度とされているしたがって ロープトレーニングは解糖系に大きな負荷をかけていると推 測され さらに 柔道競技者が最高のパフォーマンス発揮を目指す 試合 を上回る血中乳酸濃度である ことからロープトレーニングは柔道競技者の試合を超える負荷をあたえるトレーニングとして有効である と考えられる 本研究において自転車エルゴメータで測定した血中乳酸濃度に比べ ロープトレーニングで測定した血 中乳酸濃度の値が有意に大きくなったこれは 自転車エルゴメータで使用される下肢筋群より ロープト レーニングで用いられる上肢筋群及び体幹筋群の方が筋量が多いことや本動作方法のロープトレーニング では下肢筋群もプロトコル中に多少使用されていることが原因であると推測されるつまり 最大血中乳 酸濃度を測定する場合 一般的である自転車ペダリング運動を用いるよりもロープトレーニングの方が適 正であると考えられる少なくとも 柔道競技者では競技中に上肢を多く用いるという競技特性によって 測定はロープトレーニングの方が適正だと本研究の結果から推測される本研究で最大値と仮定したペダ リング運動による L を超える値が柔道競技の試合後 に報告されていることもこれに裏付けされる 時の負荷 本研究で模倣した T P は厳密な最大酸素摂取量測定から推定される % VOm で行われ段階的に酸素摂取量を最大値に達しせしめる事が可能であるしかし ロープトレーニングで は初期の負荷設定が困難であるため 競技力強化の現場としてはその場の最大努力で行わせる方法がほと VOm 程度と少なかったしかし 乳酸に関 んどであるそのため実際の結果としても VOは しては仮定した最大値を超える % L m もの高い値を記録したつまり ロープトレーニングは解 糖系に最大の負荷をかけているにもかかわらず 酸化機構には最大の半分程度の負荷しかけることができ の ないということになるこれは 上肢などの局所筋に乳酸などの代謝産物が増加し 筋小胞体からC 放出や取り込みが抑制され筋疲労が惹起されることで酸化機構への負荷が十分に高まる前にオールアウト したことが原因であると考えられる 今回の研究により 試合中に上肢が疲労困憊になり それが原因でパフォーマンスが低下してしまうよ うな選手には局所筋の解糖系能力向上を目的にロープトレーニングを行うことは有効である可能性が示唆

された 今後は 本研究で用いたプロトコルでのロープトレーニングでは大きく負荷をかけられなかった酸化機 構に最大の負荷をかけられるようなトレーニングプロトコルを探索していくことも1つの課題である Ⅴ結論 本研究で用いたプロトコルでのロープトレーニングは酸化機構には半分程度の負荷しかかけることがで きなかったが エネルギー供給系では解糖系に 心拍数を主要とした循環器系には最大の負荷で行えるこ とが明らかとなった以上によりロープトレーニングは上肢無酸素性パワーが重要な柔道競技に有効なト レーニング方法であることが示唆された Ⅵ謝辞 本研究の被験者として協力を快諾くださった了德寺大学柔道部の方々に深謝致します 文献 田畑泉 無酸素性トレーニング T P とは体育の科学 田畑泉 高強度間欠的トレーニング HI Tの理論的背景体育の科学 z M E m T I N m K K m VO m M S S E M m T I I wk K z M M S S E 中道泰宏 岡田弘隆 林弘典ほか 柔道競技者における間欠的な筋力発揮能力に関する研究 R B 楢崎教子 高松薫 中村勇 女子柔道競技者における上肢の間欠的な無気的パワーの発揮特性 R B 橋本亜季 中村夏実 高井洋平ほか 大学カヌースプリント競技カヤック選手の形態的特徴 および力発揮能力と競漕タイムとの関係スポーツトレーニング科学 平山祐 山本正嘉 日本における男子一流カナディアンレーシングカヌー選手の体力特性ス ポーツトレーニング科学 カヌー競技における高校生期の競技力向上の問題点とその解決策ス 岩本はるみ 山本正嘉 ポーツトレーニング科学 高木英樹 水球競技の体力化学筑波大学体育科学系紀要 原朗 日本代表水球選手の脚および腕の無酸素性パワー経営情報科学 東章弘 川上英樹 前澤勝之 車椅子を使用している進行性筋ジストロフィー患者に対する肥 満解消を目的とした運動指導の一例 腕エルゴメータ作業による有酸素性トレーニングの実践体育 学研究 高橋哲也 S J 安達仁ら 肺気腫患者のための上肢運動負荷試験THE LUNG 巻

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