第一週 マンション役員のための標準管理規約一問一答 今週よりマンション標準管理規約の理解を深めてもらうため マンション管理士試験の過去に出題された 問題を掲載し役員皆様のお役にたてればと思っております マンション管理規約 ( 単棟型 ) に関する次の記述のうち 適切なものに を 適切でないものには をつけてください ( マンション管理士過去問より出題 ) イ 特定の区分所有者が専用使用権を有するバルコニーの清掃に要する費用については 管理費から支出することができる ロ 管理費は 共用部分の設備と構造上一体となった専有部分の設備の管理を共用部分の管理と一体として行う必要がある場合であっても 専有部分の管理に要する経費に充てることができない ハ 共用部分である排水管の清掃について 専有部分の枝管の清掃費用相当部分は 規約で定めれば管理費から支出することができる ニ 漏水事故があった場合に 事故の原因箇所と思われる専有部分への立ち入りを求めることは 管理組合の業務となる ホ 区分所有権の対象となる専有部分は 住戸番号を付した住戸とする イ バルコニー等の管理の内 通常の使用に伴うものについては 専用使用権を有する者がその責任と負担において行わなければならない バルコニーの清掃は通常の使用に伴う管理といえるから その費用は専用使用権を有する者が負担すべきであり 管理費から支出することはできない ( 標準管理規約 21 条 1 項但し書き ) ロ 共用部分と構造上一体となった専有部分の設備管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは 管理組合がその専有部分の管理も行う この場合 専有部分の管理に要する費用についても管理費から充当できる ( 同規約 21 条 2 項 ) ハ このような配管の清掃に要する費用については 共用設備の保守維持費 として管理費を充当することが可能とされている ( 同規約 21 条関係コメント5) また その方法としては総会の決議によるほか 規約の定めによることもできる ニ 管理組合は漏水事故があった場合等には 管理に必要な範囲で専有部分への立入りを求めることができる ( 同規約 23 条 1 項 ) ホ 対象物件のうち区分所有権の対照となる専有部部分は 住戸番号を付した住戸とする という規定がある ( 同規約 7 条 1 項 )
第二週 マンション管理規約 ( 単棟型 ) に関する次の記述のうち 適切なものに を 適切でないものには をつ けてください ( マンション管理士過去問より出題 ) 区分所有者は その専有部分を専ら住宅として使用するものとし 他の用途に供してはならない 区分所有者が その所有する専有部分を 第三者に譲渡又は貸与したときは その区分所有者の駐車場使用契約は効力を失う 多額の管理費等を滞納した場合には 滞納者に係る駐車場使用契約を解除することができる 管理費の負担割合は 各区分所有者の共用部分の共有持分割合のほか 区分所有者間の利害の衡平が図られるよう共用部分の使用頻度を勘案して定める必要がある 建替えに関する合意形成に必要となる事項に係る調査費用は 通常の管理費に要する費用なので 管理費から支出しなければならない イ 当該規約は 住宅専用のマンションを前提としている ( 同規約 12 条 ) ロ 駐車場が不足ぎみのマンションが多いため 区分所有者が その所有する専有部分を 他の区分所有者又は第三者に譲渡又は貸与したときは その区分所有者の駐車場使用契約は効力を失うとされている ( 同規約 15 条 3 項 ) ハ 駐車場使用細則 駐車場使用契約等に 管理費 修繕積立金の滞納等の規約違反を行った場合は契約を解除できる 又は次回の選定時の参加資格をはく奪することができる旨の規定を定めることもできる ( 同規約 15 条コメント ) ニ 管理費の負担割合は 各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出される そして 管理費 の負担割合を定めるにあたっては 使用頻度は勘案しないものとされている ( 同規約 25 条コ メント1) ホ 建替えに関する合意形成に必要となる事項に係る調査費用は 敷地および共用部分の通常の管理 に要する費用ではない ( 同規約 27 条 12 号 28 条 4 号 )
第三週 マンション管理規約 ( 単棟型 ) に関する次の記述のうち 適切なものに を 適切でないものには をつけてください ( マンション管理士過去問より出題 ) イ区分所有者から水道管の枝管の取替え工事につき承認申請があった場合には 理事長は自らの判断でその承認をすることができる ロ区分所有者が専有部分の修繕等につき理事長に承認を申請した場合において これを承認するかどうかの調査に特別な費用を要するときは 理事長は 区分所有者にその費用を負担させることができる ハ区分所有者が理事長の承認を得ないで専有部分の修繕等の工事を行った場合には 理事長は その工事の差止め又は原状回復のために必要な処置をとることができる ニエレベーターの保守点検に要する費用は 修繕積立金から支出するものとされている ホ自治会費は地域コミュニティの維持及び育成のため居住者が任意で負担する者であるから 管理費とは別ものである イ 修繕等の承認申請があった場合 理事長は理事会の決議を経て 承認するかしないかを決定しな ければならない 水道管の枝管の取替え工事も修繕等に当たるから 理事長は自らの判断でその 承認をすることはできない ( 同規約 17 条 3 項 ) ロ 修繕等につき承認の申請がなされた場合 承認の判断に際して調査等により特別に費用がかかる場合には 理事長は その費用を申請者に負担させることができる ( 同規約 17 条コメント6) ハ 理事長の承認を得ないで専有部分の工事を行った場合は 理事長は その工事の差止め 排除又は原状回復のために必要に処置をとることができる ( 同規約 17 条コメント9) ニ エレベーター保守点検費用は 共用設備の保守維持費及び運転費に該当するから 管理費から支 出される ( 同規約 27 条 ) ホ 管理費等とは 建物共用部分 敷地及び付属施設の通常の管理を行うための費用に充てるための費用である ( 同規約 27 条 ) したがって 地域コミュニティの維持及び育成のために居住者が任意に負担する自治会費は 管理費等とは別ものである ( 同規約 27 条コメント2)
第四週 マンション管理規約 ( 単棟型 ) に関する次の記述のうち 適切なものに を 適切でないものには をつ けてください ( マンション管理士過去問より出題 ) 各組合員の議決権は 過半数で決する事項については 1 住戸 1 議決権とし それ以外の時効については共用部分の共有持分の割合によるものとすることができる 住戸と地階にある倉庫を共に所有する区分所有者が 倉庫のみを分離して他の区分所有者及び専有部分の賃借人に譲渡することができる 専用使用権が設定されていなかった屋上テラスに面する住戸の区分所有者に 屋上テラスの専用使用権を認め 専用使用料を徴収するものとすることができる 高木になり日章障害となった樹木の伐採等 日常生活のトラブルの対応に関する重要な事項は 総会の決議事項とすることができる 揚水ポンプのオーバーホール代は 修繕積立金から支出すべきであって 管理費会計から支出するのは誤りである イ 各組合員の議決権について 住戸の数を基準とする議決権 (1 住戸 1 議決権 ) と専有面積を基準とする議決権 ( 専有部分の床面積の割合により定める共用部分の持分を基準とする議決権 ) を併用することができる ( 標準管理規約 46 条関係コメント2) ロ この倉庫は専有部分であり 専有部分は 区分所有法に別段の定めがある場合を除いて 共有持 分と分離して処分することができない ( 区分所有法 15 条 2 項 ) したがって 倉庫のみを分離 して他の区分所有者や専有部分の賃借人に譲渡することはできない ハ 屋上テラスについて専用使用権がみとめられている ( 標準管理規約 14 条 1 項 ) また 屋上テラスの専用使用料の徴収については規定されていないが ( 同規約 14 条 2 項 ) 屋上テラスがすべての住戸に付属しているのでない場合には 専用使用料の徴収について規定することができる ( 同規約 14 条関係コメント3) ニ 日照障害となった樹木の伐採等 日常生活のトラブルへの対応は 組合員の共同の利益を増進し 良好な住環境を確保するために必要な業務であり 管理組合の業務に含まれるので ( 同規約 32 条 17 号 ) これを総会の決議事項とすることができる ホ 修繕積立金は一定の特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができると される さらに修繕については一定の年数の経過ごとに計画的に行う修繕と 不測の事故その他 特別の事由により必要となる修繕に限定される したがって揚水ポンプのオーバーホールといっ た経常的な保守整備に近い修繕に要する費用について管理費から支出するのは正しい ( 同規約 27 条 28 条 )
第五週 マンション管理規約 ( 単棟型 ) に関する次の記述のうち 適切なものに を 適切でないものには をつ けてください ( マンション管理士過去問より出題 ) 修繕積立金については 管理費とは区分して経理しなければならないこととされている 駐車場使用料の余剰は 修繕積立金として積み立てるほか 管理組合全体の管理費の不足に充当することとされている 排水管の一部の修繕が必要であることが判明した場合 総会の決議を経れば その修繕費用を修繕積立金から支出することができる 一部の区分所有者について専有部分の枝管の取替えが必要であることが判明した場合 その取替え費用を修繕積立金より支出することができる 専有部分の賃借人に対して 規約を遵守するよう申し入れすることは 管理組合の業務となる イ 修繕積立金については 管理費と区分して経理しなければならないとされている ( 同規約 28 条 4 項 ) ロ 駐車場使用料その他の敷地及び共用部分等に係る使用料は それらの管理に要する費用に充てる ほか 修繕積立金として積み立てるとされ 管理費の不足分に充当する旨の規定はない ( 同規約 27 条 ) ハ 排水管の一部に発見された修繕必要箇所の修繕費用は 経常的な補修費または日常的な管理に要する費用には該当せず 特別の管理に要する費用であり 修繕積立金から支出することができる ( 同規約 28 条 ) ニ 配管の取替えに要する費用のうち専有部分に係るものについては 各区分所有者が実費に応じて 負担すべきものとされている ( 同規約 27 条関係コメント ) ホ 占有者は 対象物件使用方法につき 区分所有者と同一の規約上の義務を負う ( 同規約 5 条 2 項 ) ので 管理組合は専有部分の賃借人に対して 規約を遵守するよう申し入れすることができる ( 同規約 32 条 17 号 )
第六週 マンション標準管理規約 ( 単棟型 ) に関する次の記述のうち 適切なものに を 適切でないものには をつけてください ( マンション管理士過去問より出題 ) 規約により駐車が禁止されている敷地内に駐車されている場合に その自動車をレッカー車で移動することは 管理組合の業務である 修繕等の履歴情報の整理及び管理等は管理組合の業務とされていない 居住者間の紛争の解決は管理組合の業務とされていない 官公署 町内会等との渉外業務は管理組合の業務とされていない 地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティの形成は管理組合の業務とされていない イ 規約により駐車が禁止されている敷地内に駐車されている場合に その自動車をレッカー車で移動することは管理組合の業務とはいえない ロ マンション標準管理規約に定められている ( 同規約 32 条 1 項 6 号 ) ハ 居住者間の紛争は それら居住者の個人的な問題であり 居住者同士で解決すべきものである ニ マンション標準管理規約に定められている ( 同規約 31 条 1 項 11 号 ) ホ マンション標準管理規約に定められている ( 同規約 31 条 1 項 15 号 )
第 7 週 マンション標準管理規約 ( 単棟型 ) に関する次の記述のうち 適切なものに を 適切でないものには をつけてください ( マンション管理士過去問より出題 ) 立候補した区分所有者を 理事に選任することはできない 法人名義のマンションの 1 室を社宅として使用している従業員を 理事に選任することはできない 理事の 1 人が専有部分を売却したため理事の定数に欠員が生じたので 補欠の理事を選任することは 理事会の権限で行うことができる 理事長は総会で選任しなければならない 理事長が病気なので その同居の配偶者が議長を務めた イ 理事は組合員であれば足りるので 立候補した区分所有者を理事に選任することができる ( 同規約 35 条 2 項 ) ロ 理事や監事は組合員のなかから選任する 本問の従業員は 区分所有者でないから 理事や監事に選任することはできない ( 同規約 35 条 2 項 ) 法人所有のマンションに関しては標準管理規約コメント 35 条関係 3を参考に 規約や細則を定めておくことが望ましい ハ 役員は組合員でなくなれば その地位を失うので 理事の 1 人がその専有部分を売却すると理事に欠員が生じる しかし その場合でも 新たに理事を選任できるのは総会であって 理事会が補欠の理事を選任することはできない ( 同規約 35 条 2 項 ) 但し 標準管理規約コメント 36 条関係 3によると 死亡 転出等により役員に欠員が生じた場合 補欠の役員を理事会で選任することができると 規約に規定することもできる ニ 理事長は理事の互選により選任される ( 同規約 35 条 3 項 ) ホ 副理事長は 理事長を補佐し 理事長に事故あるときは その職務を代理し 理事長が欠けたときは その職務を行う ( 同規約 39 条 ) したがって 副理事長が議長を務めるべきであり 理 事長の配偶者が議長を務めるのは適切でない
第 8 週 マンション標準管理規約 ( 単棟型 ) に関する次の記述のうち 適切なものに を 適切でないものには をつけてください ( マンション管理士過去問より出題 ) 理事会において 規約に違反している理事に対し 理事長がその是正等のため必要な勧告を行う旨の決議をする場合には 当該理事は議決権を行使することができない 組合員 Eは 総会開始直前に会場に現れ 理事長を代理人とする委任状を提出して帰ったので 総会当日 急病のため欠席した理事長の代わりに議長を務めた副理事長は そのまま この委任状に基づき議決権を行使した 理事会において 理事に事故があり 理事会に出席できない場合には その配偶者又は一親等の親族に限り これを代理させ 議決権を行使させることができる 管理費等の収納 保管 運用 支出等の会計業務は 監事が担当する 総会の議事に法律上の利害関係を有する組合員以外の者の傍聴を認めた イ 理事会は 規約違反者に対し是正等のために必要な勧告を行う旨の決議をすることができる ( 同規約 54 条 6 号 ) その場合 義務違反者が理事であったとしても その理事がこの決議にお いて議決権を行使できないという規定はない ( 同規約 53 条 1 項 ) ロ 組合員 Eは あくまで 理事長 を代理人としたのである にもかかわらず 組合員 Eの承諾を得ずに 副理事長 がそのまま議決権を行使することは適切でない ハ 理事に事故があり 理事会に出席できない場合は その配偶者又は一親等の親族に限り 代理出席を認める旨を規約に定めることができる ( 同規約 53 条関係コメント ) ニ 管理費等の収納 運用 支出等の会計業務は 会計担当理事が行う 監事はそれを監査する立場である ( 同規約 40 条 2 項 41 条 1 項 ) ホ 組合員以外の者であっても 理事会が必要と認めたものは 総会に出席できる ( 同規約 45 条 1 項 )