平成 21 年度から あいち森と緑づくり税 を活用し 森林 里山林 都市の緑の整備 保全等に取り組んできた結果 第 4 章に示したとおり 一定の成果を上げることができました しかしながら 本県の森と緑を健全な状態で将来に引き継ぐためには 依然としてさまざまな課題があります 次ページ以降に 森と緑づく

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中井町緑の基本計画(概要版)


(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

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市町村における住民自治や住民参加、協働に関する取組状況調査

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1 自然に対する関心 (1) 自然に対する関心 平成 24 年 6 月 平成 26 年 7 月 関心がある( 小計 ) 90.4% 89.1% 非常に関心がある 29.5% 21.9%( 減 ) ある程度関心がある 60.9% 67.2%( 増 ) 関心がない( 小計 ) 8.8% 10.5% あま

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H28秋_24地方税財源


資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

PowerPoint プレゼンテーション

1 次期計画の策定の基本的考え方 県民会議は 県民参加による水源環境保全 再生のための新たな仕組みづくり として 設置され 現在まで 3 年にわたり 県民フォーラム等により県民参加を図りながら 各年度の点検を行い 県に報告してきたところである その中において 現行計画の各施策は 水源環境の保全 再生

スライド 1

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24 ごみ減量分野様式 2 ごみゼロをめざすまち 分野目標 1 ごみゼロ都市 なかの を実現するために 区民 事業者 区が連携して3Rの取組みを進め ごみの排出量が減少するまちをめざす 2 循環型社会を実現するために 資源の再使用 再生利用などの資源の有効利用が広がっているまちをめざす 成果指標 区

(2)里山の整備

森林環境税 ( 仮称 ) は国税とし 都市 地方を通じて 国民一人一人が等しく負担を分かち合って 国民皆で 温室効果ガス吸収源等としての重要な役割を担う森林を支える仕組みとして 個人住民税均等割の枠組みを活用し 市町村が個人住民税均等割と併せて賦課徴収を行う 森林環境税 ( 仮称 ) は 地方の固有

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評価項目 評価ポイント 所管部局コメント 評価 国際交流に関する情報の収集及び提供事業国際交流活動への住民の参加促進事業国際理解推進事業在住外国人に対する相談事業在住外国人に対する支援事業 安定 確実な施設運営管理 公正公平な施設使用許可や地域に出向いた活動に取り組むなど新たな利用者の増加に努め 利

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

平成 29 年 12 月 22 日林野庁 平成 30 年度林野庁税制改正事項 新規 拡充事項 森林吸収源対策に係る地方財源を確保するため 次期通常国会における森林関連法令の見直しを踏まえ 森林環境税 ( 仮称 ) 及び森林環境譲与税 ( 仮称 ) を創設する 木質バイオマス発電設備等の再生可能エネル

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1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

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により 都市の魅力や付加価値の向上を図り もって持続可能なグローバル都 市形成に寄与することを目的とする活動を 総合的 戦略的に展開すること とする (2) シティマネジメントの目標とする姿中野駅周辺や西武新宿線沿線のまちづくりという将来に向けた大規模プロジェクトの推進 並びに産業振興 都市観光 地

Ⅳ 第 2 次計画の目標 : 第 2 次計画で新たに設定した項目 府民主体 府民と行政と団体 行政と団体 1 内 容 新 規 栄養バランス等に配慮した食生活を送っている府民の割合 2 朝食欠食率 第 1 次計画策定時 35 現状値 第 2 次計画目標 第 2 次基本計画目標 24% 15% 60%

資料3

Transcription:

第 6 章課題と今後の方向性 < 課題 > < 今後の方向性 > 林(人工林里)山林都市の緑環境活動 学習推進普及啓発 PR 効果の高い施設や用途森 間伐対象森林は依然として多く存在 道路沿いや集落周辺の危険木への対策が必要 流木対策や間伐材の有効活用が必要 高齢化した人工林の若返りが必要 これまでのモデル的な取組を県内各地へと展開 波及が必要 多様なニーズを捉え 県民協働の取組の促進が必要 都市の緑の減少が続いており 都市の緑を守り 増やすことが必要 より多くの県民に緑づくりに関わってもらうことが必要 一層活用され 実施効果を高める検討が必要 環境保全活動等に参加したことのある県民は 1 割 NPO 等の 7 割近くにとって活動資金が課題 地域本来の自然環境を保全 再生してつなげていくことが必要 あいち森と緑づくり事業 の認知度が1 割と低調 伐る 使う 植える 育てる の森林資源の循環の促進が必要 ライフライン確保の観点から道路沿い等の間伐の推進 林業活動では整備が困難な森林 ( 人工林 ) の間伐の推進 間伐材の搬出の推進 植栽 獣害対策の支援 少花粉スギ等への植え替えの促進 地域が主体となった里山林の保全活用に対する重点的な支援 指導者の育成 人材 情報のネットワーク化等 引き続き 都市の緑を守り 育てる取組を推進 緑化イベントの開催など 効果的な普及啓発を実施 都市部に残る樹林地や緑地 ( 農地含む ) について 質への配慮や活用を検討 都市の緑の活動につながる様々な要素 ( 花など ) の取り込み 環境学習施設等による森と緑に関する普及啓発を拡充 多様な主体が行う環境保全活動や環境学習を支援 多様な主体が連携した生態系ネットワークの取組を拡充 効果的な情報発信 普及啓発の実施 63

平成 21 年度から あいち森と緑づくり税 を活用し 森林 里山林 都市の緑の整備 保全等に取り組んできた結果 第 4 章に示したとおり 一定の成果を上げることができました しかしながら 本県の森と緑を健全な状態で将来に引き継ぐためには 依然としてさまざまな課題があります 次ページ以降に 森と緑づくりの課題と 今後の方向性をまとめました また 国の森林環境譲与税 ( 仮称 ) が 平成 31 年度より県及び市町村へ譲与されることとなったことから 国が示すガイドラインの内容を踏まえ 国 市町村と調整しながら 本県独自の森と緑づくりにしっかりと取り組む必要があります コラム 森林環境税 ( 仮称 ) 及び 森林環境譲与税 ( 仮称 ) の創設について 平成 30 年度税制改正大綱によると 国では 森林関連法令の見直しを踏まえ 以下のとおりの税を創設することとなりました 林野庁作成資料より引用 64

区分森林(人工林)65 林整備技術者養成区分 奥地 公道 河川沿い 計 事業計画 10,000ha 5,000ha 15,000ha 実績 進捗率 8,176ha 82% 5,039ha 101% 13,216ha 88% 本県の間伐推進に大きく貢献近年では 県全体の間伐面積の 5 割を 本事業が担う 間伐事業地では 下層植生の増加や光環境の改善を確認 9 年間の間伐実績の効果 :205 億円 〇光合成が活発になり残存木の肥大成長に期待 山間地域の道路 電線等のライフライン確保にも貢献 新たな製材工場の稼働 :H30 年 ( 豊田市 ) 森区分 養成者数 計画と実績及び主な成果 事業計画 200 人 実績 進捗率 227 人 114% 受講者の 9 割を占める 202 名が 本事業の作業に従事した経験あり アンケート調査の結果 研修受講者及び受講者が勤務する会社の多くが 現場で役立っている と回答 課題 間伐を必要とする森林 ( スギ ヒノキ人工林 ) が依然として多く存在 4,000ha/ 年の間伐が必要 ( 食と緑の基本計画 2020) 既存施策 ( 造林事業 治山事業等 ) だけでは 間伐の推進が困難 既存施策 ( 造林事業 治山事業等 ) で実施可能な間伐面積は 1,800ha/ 年程度 人工林整備事業により発生した間伐材の利用が進んでいない状況 大雨時の流木被害の軽減等の減災対策や 資源の有効活用のため間伐材の搬出が必要 公道沿い間伐の 1ha あたり間伐材利用量は 3.5m 3 ( 県平均の 1/4 程度 ) 道路沿いや集落周辺には枯損木 老齢木など危険木が存在し 防災 減災の観点から対策が必要 三河山間地域及びその周辺市町村における倒木発生件数 (H29 年 4~10 月 ):494 件 人工林の高齢化が進んでおり 成長力の旺盛な森林へと若返り ( 更新 ) が必要また 県内では新たな製材工場や 木質バイオマス発電所の建設が進んでおり 森林資源の循環の促進が必要 主伐の対象となる 46 年生以上が 78%( 全国平均 :52%) 本事業では 9 年間に 8 件の重大な事故が発生 あいち森と緑づくり事業で発生した事故 公衆損害 : 電線切断 2 件 ガードレール破損 2 件 死亡事故 :4 件 道路沿いの間伐等 高度な技術を有する技術者の確保 育成が必要 本事業の研修受講生のうち事業体を退社した人数 :58 人

森林(人工林)66 今後の方向性 森林整備技術者養成 ライフライン確保の観点から 道路への倒木や 電線の切断等の危険性が高い箇所の間伐を優先する必要があります また 道路沿いや集落周辺では 必要に応じて広葉樹林も一体的に整備する必要があります 森林の公益的機能の発揮のため 引き続き 林業活動では整備が困難な森林 ( スギ ヒノキ人工林 ) について 県が森林所有者に代わって 間伐を実施する必要があります 近年 記録的豪雨による災害が頻繁に発生し ひとたび山崩れが発生すると 大量の流木が被害を拡大しており 減災対策の観点や 資源の有効活用の観点から 森林整備により発生した間伐材の搬出の推進が必要です CO 2 の吸収能力が高く多面的機能を十分に発揮する森林を次世代に引き継ぐためには 伐る 使う 植える 育てる の森林資源の循環を促進し 高齢化した森林の若返りが必要です そのため 伐採跡地での植栽や徹底した獣害対策の支援や 花粉の少ないスギや広葉樹への植え替え等の促進が必要です 道路沿い等の間伐は 高度な技術を要するため 引き続き 技術者の確保 育成が必要です

区分里山林67 市緑化区分 県里山林再生整備 市提案型里山林整備町村里山林健全化整備 計 計画と実績及び主な成果 事業計画 63 箇所 50 箇所 79 箇所 192 箇所 実績 進捗率 61 箇所 97% 35 箇所 70% 78 箇所 99% 174 箇所 91% 38 件 ( 事業開始前の H20 年度は 17 件 ) 都 里山林の保全 活用に取り組む活動団 体 及び活動への参加者数が年々増加 し 8 年間で延べ8 万人が参加 区分 事業計画 実績 進捗率 身近な緑づくり 124 箇所 114 箇所 事業 92% 緑の街並み推進 1,000 件 879 件 事業 88% 美しい並木道再生 145 箇所 136 箇所 事業 94% 県民参加緑づくり 780 回 854 回 事業 110% 計 2,049 1,983 97% 8 年間で約 82ha の緑を保全 創出し 67km の並木道を再生 8 年間で延べ 16 万人の県民が県民参加緑づくり事業に参加 8 年間で県民参加緑づくり事業の参加者へのアンケートでは 68% が 森や緑の関心が高まった と 85% が 今後も参加したい と回答 課題 森林を有する 35 市町村の 2/3 で モデル的な里山林整備や 里山林の再生の取組を実施 今後は こうした取組を県内各地へ広げていくことが必要 里山林整備事業実施市町村 :23 市町村 事業を実施した里山林で活動する団体 :35 団体 (H28 年度 ) 放置された里山林の保全を進めるためには 県民や地域の多様なニーズを捉え 県民協働の取組の促進が必要 里山林整備の相談件数 : 直近 5 箇年の平均 本県では 都市の緑の減少が続いている中で あいち森と緑づくり事業では年平均で約 10ha の都市の緑を保全 創出し 一定の役割を果たしてきたが その減少面積と比べると十分とは言えない状況にある 都市の緑づくり とりわけ市街地の過半を占める民有地の緑化を進めるためには より多くの県民に緑への関心や関わりを持ってもらうことが有効となる また 森と緑づくり事業に関する県民意識については 県民アンケートで 事業の認知度 が低い結果となるなど 十分とは言えない状況である 都市緑化推進事業の認知度 :18.6%( 県民アンケート ) 森と緑づくり事業が より一層活用され また実施効果を高める検討が十分とは言えない状況である

里山林68 今後の方向性 市緑化 自然とのふれ合い 生物多様性の保全 風致の保全等 里山林に対する県民や地域の多様なニーズに応えるため 市町村 地域住民 NPO 等の協働による里山林の保全活用の取組に対する重点的な支援が必要です 多くの県民が 活動に参加できる仕組みづくりが必要です そのため 里山林の保全活用の指導者の育成や 人材や情報のネットワーク化が必要です ( 県民協働の取組の拡大イメージ ) 都市の緑の減少が続いていることから 引き続き 都市の緑を守り増やす事業に取り組んでいくことが必要です 県民の都市の緑に関する理解 意識の向上を図り より多くの人に緑づくりに参加していただくことが都市の緑化につながるため 緑の良さや森と緑づくり事業を知ってもらうための情報発信 多くの人が楽しみながら緑に触れることができる緑化イベントの開催など 効果的な普及啓発を行うことが必要です その上で 今後の方向性として以下の点にも配慮していくことが必要です 都市部に残る樹林地や緑地( 農地含む ) については 量の確保に加え 自然環境 景観といった質に配慮した保全や 緑の効用をより享受するための 活用 を考えていくことが重要都 緑 だけでなく 生産量日本一でもある 花 の効果など 都市の緑の活動につながる様々な要素の取り込みを模索していくことが重要 より効果的で使いやすいものとなるよう事業要件等の見直しを求める声があることから これについても検討を進めることが重要

環境活動 学習69 普及啓発区分 環境活動 学習推進事業 計画と実績及び主な成果 事業計画 900 件 実績 進捗率 849 件 94% 延べ 52 万人が環境活動等に参加 参加者の 9 割以上が森や緑の重要性に対する理解が 深まった と回答 生態系ネットワーク形成の取組が県全域で展開 区分 事業計画 実績 進捗率 木の香る学校づくり推進事業 70,000 セット 81,051 セット 116% ( 机 椅子 ) 木の香る学校づくり推進事業 1,640 台 1,838 台 112% ( 下駄箱等 ) 愛知県産木材利活用推進事業 80 件 62 件 78% 県内市町村の半数が 小中学校に県産木材を使用した机 椅子等を導入 市町村の机 椅子等導入校は 未導入校に比べ 今後も 導入したい と回答した割合が 2 倍程度高い 本事業により間伐材搬出量が 3 割増加 課題 森と緑の公益的機能について より一層 県民への十分な理解の浸透が必要 森と緑の公益的機能の認知度 :72%( 県民アンケート ) 県民の 41.3% が自然環境の保全活動や自然観察会等の活動に参加したいと思う一方 実際に自然観察会や自然保護活動に参加した県民は少なく 活動実践に繋げる施策が必要 自然観察会や自然保護活動に実際に参加した県民 :9.9%(H28 県政世論調査 ) 森と緑の保全活動は 多様な主体が長期間にわたって継続的に実施することが重要であるが 地域団体 NPO 等の中には組織や財政基盤が脆弱な団体が多い 活動継続の課題として 活動資金 と回答した割合 :67%( 事業実施団体アンケート ) 〇県内各地域の生態系を回復 維持していくためには 長期的な視点の下で 森から都市の緑までその地域本来の自然環境を保全 再生してつなげていくことが必要 地球温暖化の防止や循環型社会づくりにつなげる上でも 未利用間伐材を始めとする木質資源を 再生可能エネルギーとしてもできる限り有効に活用していくことが必要 木質バイオマスのエネルギー利用への補助を実施中または推進する市町村 :10 市町村 あいち森と緑づくり税 の継続に多くの県民が賛成する一方 その認知度は低調 県民全体で森と緑を支えていくことの普及啓発が必要 税の継続に賛成 :86%( 県民アンケート ) 認知度 :9%( 県民アンケート ) 県内の人工林の多くが木材として利用可能な時期を迎えており 伐る 使う 植える 育てる の森林資源の循環サイクルの促進が必要 46 年生以上の人工林の割合 :78% 木の香る学校づくり推進事業については 実施市町村からの要望が多い一方で 県内市町村の約半数が未実施 H29 年度までの実施市町村 :29 市町村 木製ベンチを導入する市町村が伸び悩み 3か年で 12 市町村 ( 県内市町村の約 2 割 )

今後の方向性 森と緑の重要性を広く県民に理解していただき 社会全体で支える機運を醸成するため 県の環境学習施設などを活用した普及啓発を拡充する必要があります 森と緑を健全に維持していくためには 将来にわたってその担い手となる人づくりが非常に重要であり NPO や市町村など多様な主体が行う自発的な森と緑の環境保全活動や 活動のきっかけとなる環境学習を一層促進するための支援を充実 強化する必要があります 〇 2010 年の COP10 の開催県として 生物多様性の世界目標である 愛知目標 の達成に向けて貢献していくため 県内 9 地域で設立した 生態系ネットワーク協議会 を中心に ビオトープの創設を始め 生態系のモニタリングや生態系ネットワークに関する計画の見直しなど 地域の多様な主体が連携した取組をさらに深化 拡充させ 県全域にわたって生きものの生息生育空間のつながりを強化 ( 保全 再生 創出 ) していく必要があります 地球温暖化防止や循環型社会形成の観点から 森林 里山林 都市の緑の整備により発生する未利用間伐材を始めとした木質資源を 幅広く活用するような取組を支援する必要があります 山から街まで緑豊かな愛知 を実現し 次世代に引き継ぐためには 現状の森と緑は まだ十分な状態とは言えません 引き続き 森林 里山林 都市の緑の整備 保全を進めていくためには 県民の皆様の理解や参加が不可欠であり 教育機関との連携や ロゴマークの作成活用等 効果的な情報発信や普及啓発等が必要です 木材を利用することは 森林整備を推進するだけでなく CO 2 を固定し地球温暖化防止にも貢献します 本県では 2019 年春季に全国植樹祭を愛知県森林公園で開催することから その開催理念を継承して 木材の利用を山村 ( やま ) と都市 ( まち ) をつなぐ架け橋とし 健全で活力のある 森林 ( もり ) づくり と 都市 ( まち ) づくり を進めることが大切です そのため PR 効果の高い施設や用途への県産木材の利用を積極的に進める必要があります 国では 森林環境税 ( 仮称 ) 及び森林環境譲与税 ( 仮称 ) を創設することとしており 本県の取組について県民から理解が得られるよう 事業のすみ分けや一層の普及啓発が必要です 70