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目次 1. 現状の要件定義の問題 2. 要件定義の問題を解決するには 3.IEEE830-1998 の理解の難しさ 4. 要件定義活動の実践 5. 要件定義活動の成果 6. 参考資料 Page 3

1. 現状の要件定義の問題 上流工程の不具合混入は 数は少ないもののプロジェクトに莫大な手戻り工数を発生莫大な手戻り工数を発生させている 29% 22% 71% 企画 ~ ソフトウェア要求定義 ソフトウェア実装 ~ 総合テスト 企画 ~ ソフトウェア要求定義 ソフトウェア実装 ~ 総合テスト 78% 図 1.1 ソフトウェア不具合原因工程別件数比率 図 1.2 ソフトウェア不具合原因工程別修正工数比率 経済産業省独立行政法人情報処理機構発行 2009 年版組込みソフトウェア産業実態調査 : プロジェクト責任者向け調査 のデータを転用 Page 4

1. 現状の要件定義の問題 ソフトウェア要求仕様書の位置づけ 役割の確認 製品企画製品審査 ユーザー要求仕様書 システム要求分析 システム エンジニアリング プロセス システム方針設計 システム適格性確認テスト システム結合 ソフトウェア エンジニアリング プロセス システム要求仕様書 ソフトウェア要求仕様書 : ソフトウェアの要件を定義した仕様書 図 1.3V 字モデルと開発プロセス Page 5 ソフトウェア要求分析 ソフトウェア方針設計 ソフトウェア詳細設計 コーディング ソフトウェア適格性確認テスト ソフトウェア結合 単体テスト 顧客と開発の合意文書 開発および成果物の源の文書 開発のすべての成果物に影響を及ぼす ソフトウェア要求仕様書は 顧客 開発をはじめ すべての利害関係者のためにある 経済産業省独立行政法人情報処理機構発行組込みソフトウェア向け開発プロセスガイド Ver2.0 図 2.1 V 字モデルと開発プロセス を一部抜粋引用

1. 現状の要件定義の問題 現状のソフトウェア要求仕様書の問題点提示 同一要件について 書き手と読み手の間の解釈が一致しない 全ての条件が要件に記述されているかどうかが確認できない 仕様と制限事項とが混在して書かれている 要求 仕様とその説明とが区別されないで混沌としている 要件の重複がある ( 表と文の重複など ) 場所によって少しずつ異なる表現がされている 違って見える ソフトウェア要求仕様書の全体を読まないと個人の作業がわからない これらの問題はどこから発生しているのか? Page 6

1. 現状の要件定義の問題 現状のソフトウェア要求仕様書の問題点提示 同一要件について 書き手と読み手の間の解釈が一致しない 記述 全ての条件が要件に記述されているかどうかが確認できない 仕様と制限事項とが混在して書かれている 要求 仕様とその説明とが区別されないで混沌としている 要件の重複がある ( 表と文の重複など ) 場所によって少しずつ異なる表現がされている 違って見える ソフトウェア要求仕様書の全体を読まないと個人の作業がわからない 構造 Page 7

2. 要件定義の問題を解決するには ソフトウェア要求仕様書の構造と記述方法に課題があった これらは IEEE830 に書かれているものであった ソフトウェア要求仕様書の文書構造 ソフトウェア要求仕様のあるべき構造を理解してソフトウェア要求仕様書を作成すること IEEE830 の 5.ThepartofanSRS ソフトウェア要求仕様を表現するための適切な記述形式 ソフトウェア要求仕様の情報要素の意味を理解してソフトウェア要求仕様書を作成すること IEEE830 の 4.3 Chara cteris ticsofa goodsrs Page 8

3. IEE830-1998 の理解の難しさ 和訳を試みるが 理解し難い 和訳サイトがあるが 理解し難い 原文に忠実な情報量の和訳に徹している IEEE830-1998 の考え方の提示には踏み込んでいない 情報量が少なく抽象的な表現なのは 一定レベル以上の知識を前提にしている? 原文の 章 節 の名称および内容の直訳の情報で IEEE830-1998 の構造を理解するのは厳しい 理解が断片的 ソフトウェア要求仕様書は以降の工程に影響するため 断片的な 理解では網羅性に影響がある Page 9

3. IEE830-1998 の理解の難しさ 対策 : 理解を促進するため 潜在している情報を埋める原文の情報量を補足する情報が必要 直訳にこだわらない章 節のシナリオの想定章 節の存在意義を考える和訳したら 前後の章 節のつながりを検証する Page 10

4. 要件仕様書の改善活動 要求仕様書の改善 構造ガイド IEEE830 に基づく構造の考え方を解説する 記述ガイド IEEE830 に基づく記述方法をガイドする ボイラープレート 文章の記述方法を明確にする 仕様書記述トレーニング 上記成果を使用してトレーニングを実施 要求仕様書の質の評価 評価ツール 仕様書の良さ (IEE830 準拠度 ) の評価 Page 11

4. 要件定義活動の実践 ソフトウェア要求仕様書の構造ガイド IEEE830 に基づく構造の考えを伝える 留意点 : 章 節に何を記述するかにだけに特化するのではなく 章 節の存在意義までも説明した 第 1 章はじめにの 目的 には下記を記述する ソフトウェア要求仕様書の存在目的 要求仕様書の存在目的 とは 書き手が要求仕様書をどう位置づけているかを 読み手に伝えるものである 想定するソフトウェア要求仕様書の読み手 想定する要求仕様の読み手 を記載するのは 書き手が誰に向けて要求仕様書を記述するかの宣言である 書き手が 想定する要求仕様の読み手 を意識しながら記述することで 読み手にとってより理解し易い表現になる Page 12

4. 要件定義活動の実践 ソフトウェア要求仕様書の記述ガイド作成 記述レベル向上のポイントを 23 の鉄則にて解説 留意点 : 要件をどう記述するかの鉄則内容に特化するだけではなく 理由付けも付加した 要件を記述する 12 鉄則 1. 一要件一文で記述すること : 12. 参照する範囲を特定すること 要件を整理する 8 鉄則 1. 条件を先ず整理すること : 8. 同じ内容の要件を重複しないこと 要件変更を管理する 3 鉄則 1. 一要件ごとに固有 ID で管理すること : 3. 表の扱いに注意すること Page 13

4. 要件定義活動の実践 ソフトウェア要求仕様書の記述ガイド作成 鉄則 1: 一要件一文で記述すること ポイント : ソフトウェア要求仕様書を管理する要件の単位を決める 要件を表現する場合は 一つの文で一つのを表現する場合は 一つの文で一つの要件要件を表現するように を表現するように 一要件一文一文 を原則として 複数のを原則として 複数の要件要件を表現したい場合は 必ず別々の文として記述する 一つの文に 複数の要件を記述すると 読み手にとって重要だと思える部分のみに焦点が当たったり 記述している内容を正しく解釈できない可能性がある : Page 14

4. 要件定義活動の実践 さらに要件記述の完全性 検証可能性の向上を目的としたボイラープレート ボイラープレート (boilerplate): 必要な情報項目を予め定型フォーマットとして配置し 書き手は項目の情報を埋めることで要件を記述する方法 18~22 の屋内で OS 起動直後に 3 時間以上 ノートパソコンはバッテリーで動作すること 環境の情報 :18~22 の屋内 検証のための情報 :OS 起動直後に 3 時間以上 役割を果たすモノ : ノートパソコン 役割 : バッテリーで動作 < 環境の情報 > で < 検証のための情報 > < 役割を果たすモノ > は < 役割 > すること http://www.ncos.co.jp/products/consulting/colum/colum_f0004.html Page 15

4. 要件定義活動の実践 要件分析技術トレーニング 1. はじめに 2. 導入編要求仕様とは 1. ソフトウェア要求仕様書標準 2. 演習 3. 記述編 1. 要件の記述形式 2. 要件を記述する 12 鉄則演習 3. 要件を整理する 8 鉄則 4. 要件変更を管理する 3 鉄則 5. 演習 4. 構造編 1. 要求仕様の構造 2. 要求仕様書に書くべき項目 3. 演習 5. おわりに Page 16

4. 要件定義活動の実践 ソフトウェア要求仕様書の評価 構造検証レポート 3. 要求仕様 章別網羅度 1. はじめに 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 章別網羅度 2. 要求概要 1 35 30 35 25 30 20 25 15 20 10 15 5 10 0 5 0 動作の否定表現動作の否定表現 2.1. システム構成 条件の否定表現条件の否定表現 2.2. 環境条件 注釈記号注釈記号 2. 要求概要 の節ごとの網羅度曖昧カテゴリにおけるルール別検出数曖昧カテゴリにおけるルール別検出数 曖昧語句検出曖昧語句検出 2.3. 機能概要 曖昧比喩表現検出曖昧比喩表現検出 曖昧比喩否定表現検出曖昧比喩否定表現検出 2.4. ユーザー特性 イベント欠落表現検出イベント欠落表現検出 イベントがタイムアウト発イベントがタイムアウト発生であることを見落としやすい表現検出 2.5. 制約 生であることを見落としやすい表現検出 時間幅のある語句検出時間幅のある語句検出 2.6. 仮定 2. 要求概要 の節ごとの網羅度曖昧カテゴリにおけるルール別検出数曖昧カテゴリにおけるルール別検出数 幅のない検証値検出幅のない検証値検出 図検出図検出 2.7. 先送りの可能性のある要求 表検出表検出 IEE830 が示すソフトウェア要求仕様書のあるべき姿の構造と現行の要求仕様書の構造を比較し 各章ごとの充足度を提示します 静的検証レポート 複数仕様の単数化 複数条件あり オブジェクトテキスト判定におけるカテゴリ別検出数 未凍結 抜け道 曖昧 10 80 60 40 20 0 階層 一貫性 受身 オブジェクトテキスト判定におけるカテゴリ別検出数 オブジェクト区切り不適当 35 30 35 25 30 35 20 25 30 15 20 25 10 15 20 510 15 05 10 05 0 曖昧カテゴリにおけるルール別検出数曖昧カテゴリにおけるルール別検出数曖昧カテゴリにおけるルール別検出数 動作の否定表現動作の否定表現動作の否定表現条件の否定表現条件の否定表現条件の否定表現注釈記号注釈記号注釈記号曖昧語句検出曖昧語句検出曖昧語句検出曖昧比喩表現検出曖昧比喩表現検出曖昧比喩表現検出曖昧比喩否定表現検出曖昧比喩否定表現検出曖昧比喩否定表現検出イベント欠落表現検出イベント欠落表現検出イベント欠落表現検出イベントがタイムアウト発イベントがタイムアウト発生であることを見落としやイベントがタイムアウト発生であることを見落としやすい表現検出生であることを見落としやすい表現検出すい表現検出時間幅のある語句検出時間幅のある語句検出時間幅のある語句検出幅のない検証値検出幅のない検証値検出幅のない検証値検出図検出図検出図検出表検出表検出表検出 曖昧カテゴリにおけるルール別検出数曖昧カテゴリにおけるルール別検出数曖昧カテゴリにおけるルール別検出数 現行のソフトウェア要求仕様書の記述表現上の課題を 9 のカテゴリに分類し 各カテゴリの内訳を提示します Page 17

5. 要件定義活動の成果 現在 本手法の使用方法を社内外へトレーニング中である 具体的な数値成果はまだあがってきていないが 以下の反響を得ており近日中にその具体的効果を発表できるものと考えている 94% のトレーニング受講者から 業務への貢献に役立つ と評価を得た 構造課題 記述課題の把握ができ 改善に役立つ 要件定義ツール導入事前知識の把握ができた また ソフトウェア要求仕様書の評価モデルにより ソフトウェア要求仕様書の構造評価 課題のある記述表現の認識 ができ 課題の定量化が可能 今後の活動 社内外にトレーニングを拡大する トレーニング適用効果をデータで確認する Page 18

6. 参考資料 参考文書 IEEEStd830-1998(Revisionof IEEEStd830-1993) 組込みソフトウェア向け開発プロセスガイド Ver2.0 独立行政法人情報処理推進機構ソフトウェア エンジニアリング センター 参考サイト 第 3 回要求仕様 NTT データ山本修一郎氏 http://www.bcm.co.jp/site/2004/ 2004Dec/04-youkyuu-kougaku- 12/04-youkyuu-kougaku-12.htm ソフトウェア要求仕様書の書き方 メタボリックス山田正樹氏 http://www.metabolics.co.jp/mmw/executable-knowledge /projectmanagement/ieee830-1998/ 2009 年版組込みソフトウェア産業実態調査報告書 http://sec.ipa.go.jp/reports/2009 0807.html Page 19

NEC グループビジョン 2017 人と地球にやさしい情報社会をイノベーションで実現するグローバルリーディングカンパニー Page 20

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