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88 日補綴会誌 9 巻 2 号 (2017) 図 2 前歯部で深い被蓋を呈した症例の初診時口腔内写真 ( 義歯撤去時 ) 図 1 上下顎の欠損歯列を, 金属床義歯を用いて補綴処置した1 症例 (a) 義歯装着時の口腔内 (b) 義歯撤去時の口腔内 ; 右側大臼歯部に 1 カ所の咬合支持が残存する. 図 3 前歯部で深い被蓋を呈した症例の初診時口腔内写真 ( 義歯装着時 ) ていく. 1 咬合高径 2 咬合平面 3 咬合支持 4 咬頭嵌合位 5 ガイド本稿では, この中でも特に咬合高径に着目し考察を加えたい. 歯に大きく手を加えることができずに歯冠形態をそのままにせざるを得ない場合も存在する. 新たな顎位を確保するためには, 義歯を装着した際に咬合が挙上される補綴方法を選択する. 人工歯部のみで咬合挙上するのではなく, 残存歯の咬合面にアンレー型のレストを設定するなどして, 咬頭嵌合位や偏心咬合位での咬合接触が人工歯部と残存歯部との間で調和のとれている必要がある. Ⅲ. 欠損補綴治療における咬合高径 1. 残存歯と咬合高径部分欠損歯列においては, 残存歯の咬合接触状態によって最終補綴装置装着時の咬合高径の考え方は大きく異なる. 残存歯によって適正な咬合高径が確保されている場合には, その高径を踏襲して最終補綴装置を製作すれば大きな問題は生じない. しかし, 残存歯によって咬合高径が確保されているが修正が必要な場合や, 残存歯によって咬合高径が確保されていない場合には, 新たな顎位を設定しなくてはならない. このような場合, 多くの症例では, 最終義歯の咬合高径を見越した上で残存歯に対して歯冠修復等の前処置を施し, その高径に合わせて欠損部に義歯を製作する方法が一般的である. 一方において, 症例によっては残存 2. 咬合高径の評価最終義歯を装着するにあたり, 新たに咬合高径を設定しなければならない場合には, 治療を開始する前に既存の咬合高径を評価する必要がある. 成書には無歯顎に準じて咬合高径を評価すると記載されており, 形 1-5) 6-10) 態的方法と機能的方法などによる複数の情報をもとに判断するのが一般的である. しかし, 部分欠損歯列では, 残存する咬合支持数の減少による顎位の変化や残存歯の位置異常など, さまざまな咬合の状況が認められることから, 適正な咬合高径を判断するのに苦慮を要することが多い. たとえ残存歯による咬合接触が残っていても, 果たして本来の咬合高径が確保されているのか, あるいは喪失しているのかを見極めることは非常に難しい. 図 2 に示す症例は, 入れ歯を装着しても食事がう

パーシャルデンチャーで補綴治療を行う際に部分欠損歯列をどう診るか? 89 図 4 側面頭部エックス線規格写真に基づく下顔面高 (Lower Facial Height; LFH) の算出方法 図 5 図 2 で示す症例のセファロ分析画面 LFH は 40.5 度であった. 図 6 治療用義歯装着時の口腔内写真 図 7 健常有歯顎者の側面頭部エックス線規格写真と, それからトレースした模式図 図 8 図 7 の模式図をもとに, 臼歯部咬合支持が喪失し咬合高径が低下した状況をシミュレートした模式図 まくできない ことを主訴に来院した 74 歳男性の初診時口腔内写真である. 前歯部では非常に深い被蓋を呈しており. 上顎欠損部に義歯を装着しても, 下顎前歯切縁が上顎前歯口蓋側歯頚部に強く食い込んでいる状況が認められた ( 図 3). 咬合支持は左側の小臼歯部にのみ残存しているが, 上顎小臼歯の歯冠の崩壊により咬合高径の低下が認められた. 咬合の再構成を行うためには思い切った咬合挙上が必要と判断された. 著者らは, 崩壊した咬合状態を定量的に評価する手法として, 側面頭部エックス線規格写真に基づく矯正学的分析法の応用について検討を加えてきた 11,12). その中で,Ricketts 分析法で用いられる下顔面高 (Lower Facial Height; LFH) は, 咬合高径を評価するための 重要な指標として考えられている 13). これは,ANS ( 前鼻棘 ) と XI( 下顎枝の中心 ),XI と Pm( 頤隆起 ) を結ぶ 2 本の線分のなす角度であり ( 図 4), 年齢による変化はなく一定であると考えられている. 日本人の場合は 48.5±3.2 度 ( 平均値 ± 標準偏差 ) である. したがって, 欠損に伴い咬合高径の低下が予測される症例で LFH が 48.5 度よりも小さければ, 咬合挙上の適用が示唆される. 図 2 に示す症例の LFH は 40.5 度と小さな値を示したため ( 図 5), 治療用義歯による咬合挙上を行う治療方針とした. 図 6 に治療用義歯装着時の口腔内写真を示す. しかし,LFH をさまざまな顎顔面形態の患者に応用するには, 果たして一律に平均値 (48.5 度 ) だけを基準として構わないのかという疑問が残る. 上記症例では,LFH が平均値よりもマイナス 8 度であるが, 挙上時には不足分をすべて回復すべきなのであろうか. そこで, 健常有歯顎者のセファロからトレースした模式図をもとに ( 図 7),LFH と鼻下点 -オトガイ点間距離 (ANS-PM) との関係を検討した. その結果,LFH が 3 度増加すると ANS-PM は 3 mm 増加し, LFH が 3 度減少すると ANS-PM は 4 mm 減少 ( 図 8) することから,LFH 1 mm の増減に対して鼻下点 - オトガイ点間距離は 1~1.3 mm 変化する状況がうかがわれた. したがって, 本症例において,40.5 度の LFH を 48.5 度にまで挙上すれば, 著しい開口状態となることが予測され, これは妥当ではないと考察される. そこで著者らは, 患者固有の顎顔面形態に即した LFH の算出手法を提案した 14). 矯正歯科治療の既往のない健常有歯顎者 58 名 ( 男性 25 名, 女性 33 名 ; 平均年齢 28.6 歳 ) を対象に側面頭部エックス線規格写真を用いてセファロ分析を行った. 被験者の LFH

90 日補綴会誌 9 巻 2 号 (2017) は 47.9±4.0 度 (Mean±SD) であり前述の日本人の平均値に近似した値となったが, 一方で最小値は 37.3 度, 最大値は 58.7 度であり平均値から大きく逸脱する値が認められた. この結果からも, すべての患者に対して一律に平均値 (48.5 度 ) だけを基準として診断を下すのは妥当ではないことが明確となった. LFH を従属変数とした回帰式を求めるにあたり, セファロ分析項目の中から下顎位が変化しても値の変動しにくい 10 項目を独立変数として選び, 変数増加法により重回帰分析を行った. その結果, 以下のような回帰式が算出された : LFH (degree)= 65.38 + 0.30 (Gonial angle; degree)- 0.49 (SNA; degree)- 0.41 (N-S; mm)+ 0.21 (Go-Me; mm)- 15.45 (Nasal floor to FH; degree)+ 15.22 (Nasal floor to SN; degree)- 15.40 (FH to SN; degree); (r 2 =0.61). 今後さらに年齢層が高い被験者を対象に同様な検討を加えることで, より正確な算出方法が確立されるものと期待される. Ⅳ. 義歯の設計 1. 基本的概念先に述べたように, パーシャルデンチャーでは残存歯との間に調和のとれた咬合関係が必要であり, 口腔健康を維持する上で重要な鍵となる. 特に遊離端欠損症例においては, 咬合時の負荷は被圧変位量の異なる支台歯と顎堤粘膜の両者に対して伝達され, いわゆる歯根膜粘膜支持型の補綴装置であることが特徴となる. 複雑な支持様式であるがゆえに, 義歯を装着したことによってこれらの残存組織が障害され, 結果として義歯自体が不適合になることや, 破損することが少なくない. したがって義歯の設計に際しては, 欠損部分の修復方法を考えると同時に, 残存組織に対する為害作用をいかに少なくするかについても十分に配慮する必要がある. パーシャルデンチャーを設計する際に, 重要となる設計原則は以下の 4 項目に集約される 15). 1 義歯の動揺の最小化 2 予防歯学的配慮 3 破損の防止 4 生体追従性中でも, 義歯の動揺の最小化は, 特に遊離端義歯を設計する際に重要なポイントであり, 本稿ではこの点について考察を加えたい. 2. 義歯の動揺の最小化 1) 支台歯の選択と役割分担義歯に加わる力への対応として, 支持, 把持, 維持の 3 つの作用を義歯の設計に組み込む必要性がある. 支台歯を選択するにあたり, まずその支台歯の負担能力を評価し, 役割分担を決めなければならない. 評価では, 生活歯か否か, 歯周病の罹患状況などをもとに総合的に判断する. 評価の結果, 有効な支台歯となり得ることが判断されれば, 支持, 把持, 維持の3つの作用を期待することができる. しかし, 負担能力が低いにも関わらず支台歯として選択せざるを得ない場合には, 根面板に代表されるように支持作用のみを期待することになる. 歯列内における支台歯の配置に関しては, 欠損部に隣接する歯が主な支台歯となるが, 支台歯の評価を踏まえて追加の支台歯を設定しなければならない. 義歯の動揺を最小にするためには, 欠損部から離れた部位にも支台歯を設定することが必要となってくる. 2) 支持と把持作用による動揺の抑制支持と把持の作用を確実にすることで, 支台歯と支台装置との間に遊びが少ない状況, つまり義歯の連結強度が高まる. 義歯の動揺を抑制するには, 支持と把持の作用を中心に設計するのが基本である. 動揺を抑制するために, 維持作用を中心に設計を行うことは, 支台歯に負担過重を強いることになる. 支持, 把持の作用が十分でないまま, アンダーカット部に設定される機械的な維持作用を高めると, 支台歯の歯根膜組織にとっては耐性の小さい歯冠方向や側方方向への力を常に働かせることになる. 支持と把持の作用を高めることによって, 強い維持作用を求めることなく義歯の動揺を抑制することが望ましい. そのためには, 以下の要件が重要となる. (1) 効果的なレストの配置連結強度を高めても, レストを中心とした義歯の回転運動を避けることは難しい. レストを配置するにあたり考慮すべきことは,1レストを介して咬合圧が歯軸方向に伝達されること,2 歯列内に適切なレストの配置を行い, 支台歯の受ける機能圧負担を制御する, の 2 点である. a) 機能圧負担からみたレストの配置欠損部に隣接する支台歯に設定するのが原則であるが, 支台歯の受ける機能圧負担の観点から, 欠損様式によってレストの設定部位に対する配慮が必要となる. 遊離端欠損の場合には, 支台歯の負担軽減のため, レストは欠損に隣接する支台歯の非欠損側に設定するのが第一選択である. ただし, 欠損歯数が多い場合に

パーシャルデンチャーで補綴治療を行う際に部分欠損歯列をどう診るか? 91 図 9 隣接面板と小連結子の歯面接触によって, 義歯の着脱方向が限定され義歯はこの方向以外には浮上 離脱しにくくなる.( 文献 15,16 原図改変 ) 図 10 支台歯と義歯との連結に関する模式図 ( 文献 16 原図改変 ) (a) 支台装置が支台歯上でどの程度変位しやすいかを示す連結強度 (b) 支台装置と義歯床との間における可動部の有無 はレストの配置の違いによる圧負担の様相に大差はなくなる. b) 義歯の動揺の抑制からみたレストの配置欠損に隣接する支台歯から離れた歯にもレストを配置し, 予想される義歯の動きを抑制する. レストを相互に結んだ支台歯間線と呼ばれる仮想線の走行を想定し, この線の本数が複数となるよう, さらに線で囲まれる範囲が広くなるよう工夫を加える. (2) 支台歯の軸面と義歯構造体との接触を利用した把持作用を活用する支台歯の欠損側隣接面に誘導面を設け, 義歯の隣接面板と接触させること, また小連結子を残存歯軸面に沿うように接触させることにより, 義歯の着脱方向が限定され義歯はこの方向以外には浮上 離脱しにくくなる 15,16) ( 図 9). 着脱方向に平行な軸面接触をいかに複数箇所設定するかが, 把持作用を高める鍵となる. 3) 支台歯に対する維持作用の設定パーシャルデンチャーの設計では, まず支台歯のアンダーカット領域を探して, そこに適合する形態のクラスプを選択する方法がいまだに散見される. これは, 義歯の動揺を維持作用で抑制するという考えに他ならない. 義歯の動揺を抑制するために, 維持作用を優先して設計を行うことは, 支台歯に負担過重を強いることになる. 支持と把持の作用を中心に義歯の動揺の抑制をはかれば, 必要最小限の維持作用を支台歯に負担させるだけで義歯の脱離を抑制することができる. 維持力が弱くても構わないというのではなく, アンダーカット部に多くの機械的な維持力を求めなくても, 十分な維持作用が期待できることを指している. 義歯の設計は, 上述のように支持と把持を最初に設 定することが要件であり, 維持鉤腕の設定は設計の最終ステップで検討される. 具体的な設定部位に関しては, 原則的には欠損部位に近接した支台歯を中心に選択することにより, 少ない維持力で作用を期待することができる. すでに設計の済んでいる隣接面板, 床や大連結子の外形との兼ね合いで鉤体の起始部の位置が決められ, アンダーカット領域の分布に応じて維持鉤腕の走行が決まることになる. 4) 支台歯と義歯との連結に対する考え方 (1) 連結強度と可動性人工歯部に作用する力は, 義歯床を介して顎堤粘膜に伝達されると同時に, 大小の連結子および支台装置を介して支台歯へ伝達される. 支台歯へ伝達される力の程度は, 支台歯と義歯との連結の仕方によってさまざまに変化するため, この連結の仕組みを十分に理解することは義歯の設計において大切な要件である. 支台歯と義歯との連結の仕組みは,1 支台装置が支台歯上でどの程度変位しやすいかを示す連結強度 ( 図 10-a) と,2 支台装置と義歯床との間における可動部 ( 図 10-b) の有無の 2 つで決められる. 義歯の動揺の最小化をはかるためには, 連結強度を高め, 可動部を設けない設計にすることが原則となる. 連結強度はその強さによって, リジッド コネクション (rigid connection) とフレキシブル コネクション (flexible connection) に大別される. テレスコープや精密性アタッチメントの多くが前者であるのに対して, 支台歯上での変位を許容する緩圧型支台装置は後者の典型例である. 日常的に用いられているクラスプによる支台装置では, 支持と把持の両作用を十分に確保することで連結強度の向上をはかり, リジッド コ

92 日補綴会誌 9 巻 2 号 (2017) できるなどのメリットがある. しかし, 支台歯に大きな負担を強いることになり, すべての欠損様式に適用できる概念ではないことを認識する必要がある 18). なお, リジッド サポートが成立する臨床的状況として以下の項目があげられる. 1 長い遊離端欠損 ( 図 11) 2 顎堤粘膜の変位量が少ないこと 3 支台歯の歯列内配置が対称的あるいは対角線的ではないこと 4 支台歯の歯周組織に異常がないこと. Ⅴ. まとめ 図 11 粘膜の変位量が同じであれば, 義歯床の長い方 (b) が傾斜回転による支台歯への影響は少ないため, リジッド サポートの適用となる.( 文献 18 原図改変 ) ネクションに近い状況を目標とするのが好ましい. 連結強度を高めるためには維持作用を高めるのではなく, まずは支持と把持の効果を高めることを優先させるべきである. 支台装置と義歯床との間における可動部とは, 蝶番などの可動性を有する緩圧性アタッチメントや連結子に緩圧作用を持たせたスプリットバーなどが代表例としてあげられる. このような緩圧の概念は, かつて支台歯の負担軽減の目的から積極的に導入された時期もあった. 支台歯へ加わる圧を軽減する分だけ, 機能圧は主に顎堤粘膜での負担となり, 義歯の動揺の最小化という観点からは相反する概念である. 支台歯との連結の仕方に問題があると判断された場合にのみ適用すべきであり, 用いるにしても可動域の限られた機構の選択が望ましい. (2) リジッド サポートの概念連結強度をリジッド コネクションとし, 可動部がない義歯設計を行うことで, 支台歯と義歯とを強固に連結する設計が可能となる. これは, 歯根膜支持を主体として義歯床の動揺を積極的に抑制しようという考え方であり, リジッド サポートと呼ばれる 17). 通常の義歯設計においても, 義歯の動揺の最小化をはかるためには, 同様の設計を原則とすることは上述したが, コーヌステレスコープ義歯に代表される強固な連結を行った場合に特に用いられる用語である. リジッド サポートの概念で設計された義歯では, 支台歯への機能力の負荷方向は歯軸方向が主体となり安定した機能の場を確保できること, 支台歯の二次固定効果が期待 欠損歯列に対して咬合崩壊の進行を食い止めるために用いられる補綴装置は. 固定性と可撤性のものに大別される. 後者の代表例であるパーシャルデンチャーは, 被圧変位量の大きく異なる歯根膜と粘膜の両者に負荷が伝達される複雑な支持様式であり, 義歯を装着したことによってこれらの残存組織が障害されることは可及的に避けなければならない. したがって義歯の設計に際しては, 欠損部分の回復方法を考えると同時に, 残存組織に対する為害作用をいかに少なくするかについて十分に配慮する必要がある. 本稿で強調したいのは, 術前に咬合状態の把握を十分に行い, 前処置の段階から安定した咬合を確立すること, そして, 義歯の動揺の最小化を目指して支持と把持を主体とした適切な義歯設計を行うことに集約される. 文 1) Willis FM. Esthetics of full denture construction. J Am Dent Assoc 1930; 17: 636 642. 2) McGee GF. Use of facial measurement in determining vertical dimension. J Am Dent Assoc 1947; 35: 342 350. 3) McGrane HF. Five basic principle of the McGrane full denture procedure. J Florida Dent Soc 1949; 20: 5 8. 4) Watt DM, MacGregor AR. Designing complete dentures, 2nd ed. Bristol: Wright; 1986, 166 175. 5) Zarb GA, Bolender CL, Hickey JC, Carlsson GE. Boucher s prosthodontic treatment for edentulous patients 10th ed. St Louis: CV Mosby Co; 1990, 272 281. 6) Niswonger ME. The rest position of the mandible and the centric relation. J Am Dent Assoc 1934; 21: 1572 1582. 7) Boos RH. Intermaxillary relation established by biting power. J Am Dent Assoc 1940; 27: 1192 1199. 8) Silverman MM. The speaking method in measuring vertical dimension. J Prosthet Dent 1953; 3: 193 199. 献

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