成田市市営住宅長寿命化計画 計画期間 : 平成 23 年度 ~32 年度 平成 23 年 2 月 ( 平成 28 年 11 月改訂 ) 成田市
目次 1. 市営住宅ストックの状況 1 1) 成田市の概要 1 2) 公営住宅の概況 4 2. 市営住宅長寿命化計画の目的 6 (1) 背景 6 (2) 計画策定の目的 6 3. 長寿命化に関する基本方針 7 1) 基本理念 目標 7 2) ストックの状況の把握及び日常的な維持管理の方針 8 3) 長寿命化及びライフサイクルコスト縮減に関する方針 8 4. 計画期間 8 5. 長寿命化を図るべき公営住宅等 9 6. 市営住宅における建替事業の計画方針 10 (1) 建替時における整備水準の目標 10 7. 長寿命化のための維持管理計画 11 (1) 計画期間内に実施する修繕管理 改善事業の内容 11 (2) 住棟単位の修繕 改善事業一覧 12 8. 長寿命化のための維持管理による効果 13 (1) 長寿命化のための維持管理による効果 13 (2) ライフサイクルコスト (LCC) の改善効果 14 9. 公営住宅の需要量について 16 (1) 公営住宅需要量の推計 16 (2) 公営住宅需要推計結果からみる 本市の市営住宅必要戸数 18 (3) 団地別 住棟別活用計画 19
1. 市営住宅ストックの状況 1) 成田市の概要 (1) 人口 世帯の動向 1 人口 世帯数の推移本市の人口は 131,829 人 世帯数は 58,784 世帯 ( 平成 27 年 ) であり 空港等市内の就業者の増加を背景に着実な増加傾向が続いている 平均世帯人員は 昭和 45 年は 4.36 人 / 世帯であったが年々減少しており 平成 27 年には 2.24 人 / 世帯となっている 2 年齢別人口本市の近年における年齢 3 区分別人口の推移をみると 人口増加とともに各区分の人口も増加しているが 割合でみると 年少人口 (0 ~14 歳 ) はほぼ変化は無いが 生産年齢人口 (15 ~64 歳 ) の割合は減少し 老年人口 (65 歳以上 ) の割合は増加している 老年人口割合は 平成 22 年では 17.3% であったが 平成 27 年では 20.7% となっている 3 世帯人員別世帯数本市の世帯人員別世帯数をみると 1 人及び 2 人世帯が大幅に増加しており 1 人世帯は 平成 7 年では11,333 世帯であったが平成 22 年では 19,527 世帯 2 人世帯は 平成 7 年では 5,711 世帯であったが平成 22 年では 11,886 世帯となっている 一方 5 人以上世帯は 平成 17 年をピークに減少傾向にある 1
4 所有関係別世帯数平成 25 年の所有関係別世帯構成比をみると 持家が 59.4% で最も多く 次いで民営借家が 25.9% となっている 公的借家は 7.8% であり 借家のうちの 19.2% を占めている 平成 20 年に比べて 持家数及び民営借家数がやや増加しているが 公的借家数は若干減少している 資料 : 住宅 土地統計調査 (H25) (2) 住宅事情 1 住宅数本市の住宅総数は 59,360 戸 ( 平成 25 年 ) であり このうち居住世帯がある住宅数は 51,890 戸 居住世帯がない住宅は 7,470 戸である 資料 : 住宅 土地統計調査 (H25) 2 住戸規模借家 ( 専用住宅 ) の住戸規模をみてみると 平成 20 年に比べて29m2以下で大きく増加している 平均をみると 平成 20 年では 44.13 m2 / 戸であったが 平成 25 年では 41.58m2 / 戸と小さくなっている 資料 : 住宅 土地統計調査 (H25) 2
3 借家の建築時期平成 25 年住宅 土地統計調査の結果における借家の建築時期をみると 公営借家及び UR 都市機構 公社借家のほとんどが昭和 55 年以前のものであるが 民営借家 ( 非木造 ) では約半数が平成 13 年以降のものであり 13,319 戸と急激に増加している 4 居住面積水準本市の居住面積水準の状況は 最低居住面積水準未満世帯が 3,150 世帯 (6.1%) となっており 千葉県の 6.4% とほぼ同じである 所有関係別にみてみると 最低居住面積水準未満世帯の割合は 持家は 1.4% であるが 借家は 13.1% となっている また借家を種類別にみてみると 最低居住面積水準未満の割合は 公営借家で 7.4% UR 都市機構 公社借家で 28.7% 民営借家で 12.1% となっている 3
2) 公営住宅の概況 (1) 市営住宅入居者の状況 1 概要平成 28 年 9 月現在 全戸数 289 戸 ( 加良部住宅を除く ) に対して入居戸数は 256 戸である 空き家は 33 戸発生しているが このうち 28 戸は政策空き家となっている 団地別住棟別入居状況 1 2 3 団地名 北囲護台 中囲護台 南囲護台 住棟名 戸数 入居戸数 空き家 政策空き家 A 30 30 0 0 B 30 29 1 0 A 12 12 0 0 B 12 11 1 0 A 21 20 1 0 B 21 21 0 0 4 幸町 - 30 24 6 6 5 郷部 - 9 7 2 2 6 宗吾 - 6 5 1 1 7 金堀 - 19 14 5 5 8 飯田町 - 18 13 5 5 9 内野 - 14 7 7 7 木造 8 6 2 2 10 桜川 A 24 22 2 0 B 24 24 0 0 11 名木 - 11 11 0 0 合計 289 256 33 28 100.0% 88.58% 11.42% - 2 世帯主の年齢 65~74 歳が 28.9% で最も多く 次いで 75~84 歳が 21.5% となっている 85 歳以上を加えた 65 歳以上でみると 55.9% となり 世帯主の半数以上が 65 歳以上と高齢化が進展している 3 全入居者の年齢 全入居者の年齢構成をみると 世帯主の年齢と同様に高齢化が進展しており 65 歳以上 の占める割合は 36.6% となっている 入居者全体 4
4 世帯人員 1 人世帯が 46.4% と最も多く 次いで 2 人世帯が 27.0% となっており 1~2 人世帯が 全体の 7 割強を占めており 小世帯化が進んでいる 5 入居年数 10~20 年が 27.1% で最も多く 次いで 30 年以上が 22.3% となっている 入居者全体 6 居住面積水準 市営住宅入居世帯のうち 最低居住面積水準未満世帯の割合は 3.5% となっている (2) 市営住宅の応募状況 市営住宅の募集は 年に 2 回 (6 月 12 月 ) 実施している 年ごとに空き家数は 3~24 戸と ばらつきがあるが 応募件数は年間平均 63.2 件 応募倍率は平均 7.0 倍となっている 注 ) 平成 21 年度及び 23 年度が突出しているが これは名木団地が加わったことと南囲護台団地の中層化による住戸の増加によるためである (3) 他の公的住宅の管理状況 本市には 市営住宅の他に 7 団地 1,158 戸の県営住宅 1 団地 400 戸の公社住宅 5 団地 2,948 戸の UR 賃貸住宅 2 団地 375 戸の雇用促進住宅がある 5
2. 市営住宅長寿命化計画の目的 (1) 背景本市では 平成 28 年 9 月現在 11 団地 289 戸 ( 加良部住宅を除く ) の市営住宅を管理している 市営住宅においては 公営住宅法の法定耐用年限を超過した住宅が 104 戸 (36.0%) と 更新期を迎えた多くの市営住宅をかかえている これまでも 必要に応じて建替や個別改善などの事業を実施しているが 今後とも長期的な視点に立ち 市内の住宅確保要配慮者の状況や 民間賃貸住宅の有効活用などを見据えて 建替や計画的な修繕 改善により長寿命化を図るもの 他団地との統合により用途廃止を行うものなどの判別を行い 市営住宅のストックを効率的かつ効果的に管理していくことが求められている また 厳しい財政状況及び将来的には人口や世帯数が減少する中 既存住宅ストックの有効活用及び適切な維持管理が必要となっている (2) 計画策定の目的真に住宅に困窮する世帯 ( 住宅確保要配慮者など ) の住宅セーフティネットを構築するとともに 良質な住宅供給と良好な住環境の提供が求められる中 既存の市営住宅ストックを活用して将来にわたり安全で快適な住まいを確保していくため 団地別 住棟別の活用計画を定め 長期的な視点に立った市営住宅等の整備 維持管理を実現することを目的とする このため 本計画では長寿命化を図るべき市営住宅の状態を的確に把握し 予防保全的な観点から適切な修繕 改善の計画を定め 長寿命化のための維持管理による更新コストの削減と事業量の平準化を目指す なお 建替 集約化等を図る必要がある市営住宅については 平成 24 年度実施の 計画見直し基礎調査 及び平成 25 年住宅 土地統計調査の結果を踏まえ検討する < 計画期間 > 平成 23~32 年度 ( 状況に応じて適宜見直しを行う ) < 計画策定の方針 > 1 団地別 住棟別の活用方針に基づく活用計画の策定各団地 各住棟の状況を把握し 住棟ごとの活用方針を定め 改善など適切な事業手法により事業を推進する 2 計画的な修繕や長寿命化型改善等による既存ストックの長寿命化長期間の使用が望まれる耐火構造住宅では 予防保全的な維持管理及び耐久性の向上等を図る長寿命化型改善事業を実施し 既存ストックの長寿命化を図る 6
3. 長寿命化に関する基本方針 1) 基本理念 目標 1 基本理念市営住宅は市民生活のセーフティネットとして機能し 昭和 20 年代から現在に至るまで効果的に機能してきたが 少子高齢化や高齢単身者の増加などによる世帯構成の変化により 福祉のまちづくりやユニバーサルデザインなど だれもが暮らしやすい社会への期待が高まっている この社会情勢の変化や既存市営住宅ストックの老朽化 陳腐化など様々な問題への対応が迫られるなかで これまで果たしてきた役割を維持していくためには 供給量の確保とともに 老朽化した市営住宅を早急に更新し 良質な住宅へと転換しなければならない よって 量 質ともに市営住宅の的確な供給を推進することを基本理念とする 様々なライフステージの市民が 成田市に住み続けられる的確な市営住宅の供給 2 基本目標 ハード ( 建物 敷地 ) の基本目標 木造市営住宅の解体 耐用年限の経過している木造の市営住宅は空家となった段階で解体し 跡地の有効活 用を図る 市営住宅供給量の充足化 建替えや公的賃貸住宅の借上げにより 市営住宅の的確な供給を推進することを目指 す 暮らしやすい市営住宅づくりの推進 市営住宅の建替えの際は 団地の外構 住棟 住戸などあらゆる面においてバリアフ リー化を目指す ライフステージに応じた型別供給の実施 建替による供給時には 高齢単身者 夫婦世帯向け 子育て世帯向けなど世帯構成に 応じた型別供給を実施する 障害のある人が安心して暮らせる住宅の整備 福祉のまちづくりと連携し 障害のある人が安心して暮らせるよう障害者向け住宅を 整備し 公的住宅における障害者の受け入れ体制を強化する 7
ソフト ( 管理 入居者 ) の基本目標 収入超過者 家賃不払者への対応の強化 収入超過者や家賃不払者等の入居し続けることが適当ではない世帯には 厳格に対応 し不公平感が出ないように努める 高齢者や障害者の見守りサービスの推進 市営住宅のコミュニティや福祉のまちづくりとの連携を利用し 単身 夫婦高齢者世 帯や障害者世帯の見守りサービスを推進する 2) ストックの状況の把握及び日常的な維持管理の方針 (1) ストックの状況の把握のための管理データベースの活用市営住宅ストックの長寿命化を図るため 建物の経年劣化による物理的な性能の低下や居住性の低下に対する予防保全的な維持管理計画が必要となっており 建物管理の実態を踏まえた適切な計画となるよう各団地 住棟単位で整備状況及び修繕履歴に係るデータを整理する (2) 日常的な維持管理の方針 今後 日常的な維持管理にあたっては 引き続き定期点検を実施するとともに 予防保 全的な修繕 改善等の維持管理を実施する 3) 長寿命化及びライフサイクルコストの縮減に関する方針 (1) 躯体 設備等の耐久性の向上定期点検や計画的な維持管理及び耐久性の向上等を図る改善を実施することにより 建物の長寿命化を図り かつ 良質なストックの確保に努める なお 長寿命化型改善に用いる仕上げや材料の選定においては イニシャルコストとランニングコストの比較や 耐久性の向上等への効果 修繕周期の延長などにも配慮するものとする (2) 予防保全的な維持管理の実施対症療法型の維持管理を改め 予防保全的な維持管理及び耐久性の向上等を図る改善を実施することにより 市営住宅の長寿命化への取組を行い ライフサイクルコストの縮減を図る 計画修繕工事は 修繕周期及び現地での建物状況を踏まえて 修繕が必要な住棟で実施する ただし それぞれの修繕工事において長寿命化型改善が有効な住棟は 長寿命化型改善にて実施し 他の修繕 改善工事との同時実施による事業の合理化に配慮する 4. 計画期間 本計画は 計画期間を平成 23~32 年度の 10 年間とする 次回は平成 30 年住宅 土地統 計調査結果に基づき新たな計画を策定する 8
来的に廃止(104戸)5. 長寿命化を図るべき市営住宅 団地名 住 棟 名 戸数 1 次判定 結果 当初計画 2 次判定 結果 3 次判定 結果 戸数 (H28.4) 平成 28 年度 見直し結果 備考 1 北囲護台 A 30 継続判定修繕対応修繕対応 30 修繕対応 B 30 継続判定修繕対応修繕対応 30 修繕対応 2 中囲護台 A 12 継続判定 B 12 継続判定 個別改善 ( 長寿命化型 ) 個別改善 ( 長寿命化型 ) 個別改善 ( 長寿命化型 ) 個別改善 ( 長寿命化型 ) 12 修繕対応 12 修繕対応 3 南囲護台 A 21 継続判定修繕対応修繕対応 21 修繕対応 B 21 建替判定対象外建替 21 修繕対応 平成 23 年度 建替え完了 4 幸町 - 37 建替判定対象外修繕対応 30 修繕対応将5 郷部 - 13 建替判定対象外修繕対応 9 修繕対応 6 宗吾 - 11 建替 判定対象外 修繕対応 6 修繕対応 7 金堀 - 32 建替 判定対象外 修繕対応 19 修繕対応 8 飯田町 - 19 建替 判定対象外 修繕対応 18 修繕対応 9 内野 - 18 建替 判定対象外 修繕対応 14 修繕対応 桜川木 10 建替判定対象外修繕対応 8 修繕対応 10 桜川 A 24 継続判定修繕対応修繕対応 24 修繕対応 B 24 継続判定修繕対応修繕対応 24 修繕対応 11 名木 - 11 継続判定判定対象外修繕対応 11 修繕対応 12 加良部 - 12 判定対象外 12 一般市営住宅化 A (25) 建替廃止予定 13 団地跡地 B (25) 建替 UR 賃貸住宅 14 借上住宅 (50) の借上げ 不動ヶ岡跡地含む不動ヶ岡跡地含む H 29 年度 15 戸 9
6. 市営住宅における建替事業の計画方針 (1) 建替時における整備水準の目標 市営住宅の建替に際しては 以下の整備水準を目指すものとする 敷地の有効活用現状戸数以上を確保することを目標とし 敷地の有効活用 高度利用を実施する なお 大規模な造成が必要となる場合は 環境に配慮した計画とする 外構の街並みへの寄与とバリアフリー化積極的に緑化を実施し 豊かな外部空間を形成するとともに 建物のデザインを周辺環境に調和させることにより 環境の改善 向上を図る 敷地に大きな高低差がある場合を除き 住棟へのアプローチ等をバリアフリー化する また 身体障害者向け住戸を整備する場合は 駐車場や点字ブロック 標識など住戸以外の部分を積極的にユニバーサルデザイン化する 安全性の向上耐震性 防火など防災性とともに 防犯性の向上も図る また 高齢者や身体障害者が安心して暮らせるよう団地内のコミュニティや福祉のまちづくりと連携したサービスを実現する 適正な型別供給の実施戻り入居世帯数の把握とともに 市全体の型別供給比率を勘案し 適正な型別供給を実施する 必要に応じ身体障害者向けの住戸を整備する 設備水準の向上 3 点給湯や情報化対応 緊急通報システムへの対応を図り 設備水準の向上に努める 10
7. 長寿命化のための維持管理計画 (1) 計画期間内に実施する修繕管理 改善事業の内容 団地別 住棟別活用計画において 修繕対応 改善予定 と判定した住棟について 計画期間内に実施する修繕 改善事業に関する実施方針及びその内容を以下に示す 1 修繕対応標準修繕周期を踏まえて 定期的な点検を行い 適切な時期に予防保全的な修繕を行うことで 居住性 安全性等の維持 向上を図り 長期的に活用する 実施内容 定期点検の充実 標準周期を踏まえた経常修繕の実施等 2 長寿命化型一定の居住性や安全性等が確保されており 長期的な活用を図るべき住棟においては 耐久性の向上や 躯体への影響の低減 維持管理の容易性向上の観点から予防保全的な改善を行う 実施内容 屋根 外壁の耐久性向上( バルコニーの防水性向上を含む ) 11
(2) 住棟単位の修繕 改善事業一覧 様式 1 修繕 改善に係る事業予定一覧 団地名 住棟名現管 理戸 数 構造 建設 年度 修繕 改善事業の内容 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 LCC 縮減効果 ( 千円 棟 ) 1 北囲護台 A 30 耐 5 H7 B 30 耐 5 H7 2 中囲護台 A 12 耐 3 S57 屋根 外壁改 260 修修 B 12 耐 3 S57 ( 長寿命化 ) 260 3 南囲護台 A 21 耐 3 H22 南囲護台 B 21 耐 3 H23 4 幸町 - 30 木 5 郷部 - 9 木 S29 ~31 S30 ~31 6 宗吾 - 6 木 S31 7 金堀 - 19 木 S36 ~37 8 飯田町 - 18 木 S35 9 内野 - 14 木 S40-8 木 S36 10 桜川 A 24 耐 4 S46 B 24 耐 4 S46 11 名木 - 11 木 S63 ~H1 - 加良部 - 12 準耐 2 H22 様式 2 建替に係る事業予定一覧 団地名住棟名戸数構造 建設 年度 次期定期 点検時期 建替予定 年度 備考 廃止予定団地跡地 A 25 耐 3 平成 34 年度以降 平成 32 年度基本 実施設計着手 廃止予定団地跡地 B 25 耐 3 平成 34 年度以降 平成 32 年度基本 実施設計着手 様式 3 共同施設部分に係る事業予定一覧 本計画内における事業予定は無い 様式 4 公営住宅借上に係る事業予定 平成 29 年度から平成 35 年度にかけて 公営住宅を 50 戸借上げる 12
8. 長寿命化のための維持管理による効果 (1) 長寿命化のための維持管理による効果 長寿命化のための維持管理による効果としては 次のことがあげられる 緊急修繕等の対処療法的な維持管理から 予防保全的な修繕や耐久性の向上に資する改善等を計画的に実施することで 市営住宅の長寿命化が図られ ライフサイクルコスト ( 以下 LCC という ) が縮減する 定期点検により現状を把握しながら 適切な修繕及び改善を実施することで 市営住宅の安全が確保される 市営住宅の建設年度や状態等を踏まえ 重要度に応じた維持管理を実施することで 限られた予算の中で効率的な維持管理を実施することができる 計画が明確になることで きめ細かな維持保全が可能になる 市営住宅の LCC 縮減により想定される効果 建替時期の延長による建設コストの縮減 維持管理の手間の減少と効果 住宅を長期間に利用でき 建替コストが減少することで 総合的な維持管理コストが縮減する 予防的な改修 計画的な改修の取組みが拡充し 応急的修繕が減ることで予算の確保がしやすくなる 長寿命化改善により 躯体や設備の耐久性能が向上することで 緊急修繕の頻度が減り 日常管理の負担が縮減する このことにより きめ細かな維持保全の取り組みが可能になる また 予防的修繕や 計画的な修繕に取り組むことが可能になる 長寿命化改善のイメージ 長寿命化による 耐久性 居住性等向上 建設当初の性能 日常修繕 長寿命化改善を行わない場合の老朽化の進行 長寿命改善を行った場合の老朽化の進行 通常の場合の 使用限界 長寿命化改善による使用限界建物の使用限界 ( 老朽化 陳腐化等 ) 新築 30 年目 50 年目 70 年目 長寿命化改善による 使用期間の延伸効果 13
(2) ライフサイクルコスト (LCC) の改善効果 1 効果測定の考え方長寿命化型改善を実施する住棟について 本計画に基づく長寿命化型改善を実施する場合と実施しない場合のそれぞれについて 建設時点から次回の建替までに要するコストを算出し 住棟単位で年当たりのコスト比較を行う 2 試算の手順 公営住宅等長寿命化計画策定指針 (H21.3 国土交通省住宅局 ) の算定方法に基づき 算出を行う < 計画前モデル> 1 使用年数中層耐火住宅の本市の実態に合わせ 50 年と設定する 2 累積修繕費修繕費 = 建替工事費 修繕費乗率 指針における修繕項目 修繕費乗率 修繕周期に基づき 建設時点から上記使用年数経過時点までの修繕費を累積した費用とする 3 建替工事費既存事例等を参考に 1,500 万円 / 戸と設定する 4 計画前 LCC 計画前 LCC=(3 建替工事費 +2 累積修繕費 ) 使用年数 [ 単位 : 円 / 戸 年 ] < 計画後モデル> 5 使用年数計画前モデルから20 年プラスし 70 年と設定する 6 累積修繕費 2に準じ 建設時点から上記 5 使用年数 経過時点までの修繕費を累積した費用とする 7 長寿命化型改善工事費実施周期 ( 目安 ) を踏まえ 今回工事から耐用年限までに再度実施することが考えられる場合は その費用も見込むものとする 8 建替工事費 3と同様とする 9 計画後 LCC 計画後 LCC=(8 建替工事費 +7 長寿命化型改善工事費 +6 累積修繕費 ) 5 使用年数 [ 単位 : 円 / 戸 年 ] <LCC 改善効果 > 10 年平均改善額上記 4 9より 年平均改善額 =9 計画前 LCC-4 計画後 LCC 11 累積改善費上記 10 年平均改善額について 将来コストを社会的割引率 4%/ 年により現在価値化し 上記 5 使用年数期間の累積改善額を算出する 現在価値化のための算出式は 以下の通りとする 築後経過年数 a 年における年平均改善額 bの現在価値 =b c a: 築後経過年数 b: 上記 10 年平均改善額 c: 現在価値化係数 c=1 (1+d) a d: 社会的割引率 0.04(4%) 12 年平均改善額 ( 現在価値化 ) 上記 5 11より 年平均改善額 ( 現在価値化 ) =11 累積改善額 5 使用年数 [ 単位 : 円 / 戸 年 ] 以上より 求めた戸当たり年平均改善額 ( 現在価値化 ) を 当該住棟の住戸数分を積算して 住棟当たりの年平均改善額を算出する 14
3 算定結果 算出結果は 長寿命化型改善を実施する住棟については いずれも年平均改善額がプ ラスであり LCC 縮減効果があると判断できる LCC 試算結果 < 計画前モデル> 項目 費用等 備考 1 使用年数 50 年 中層耐火住宅の本市の実態に合わせ 50 年と設定 2 累積修繕費 7,519,080 円 / 戸 修繕費 = 建替工事費 修繕費乗率 修繕費乗率は 公営住宅等長寿命化計画策定指針の条件設定に基づくものとし 修繕項目 修繕費乗率 修繕周期より 建設時点から上記 1 使用年数 の 50 年経過時点までの修繕費を累積した費用 3 建替工事費 15,000,000 円 / 戸 既存事例等を参考に設定 ( 戸あたり ) 4 LCC ( 計画前 ) 450,382 円 / 戸 年 計画前 LCC=(3+2)/1 使用年数 < 計画後モデル> 項目 費用等 備考 5 使用年数 70 年 計画前モデルから20 年プラスし 70 年と設定 6 累積修繕費 10,569,435 円 / 戸 修繕費 = 建替工事費 修繕費乗率 修繕費乗率は 公営住宅等長寿命化計画策定指針の条件設定に基づくものとし 修繕項目 修繕費乗率 修繕周期より 建設時点から上記 5 使用年数 の 70 年経過時点までの修繕費を累積した費用 7 長寿命化型改善工事費 1,416,666 円 / 戸 実施周期を踏まえ 今回工事から耐用年限までに再度実施する場合はその費用も含む 8 建替工事費 15,000,000 円 / 戸 既存事例等を参考に設定 ( 戸あたり ) 9 LCC ( 計画後 ) 385,516 円 / 戸 年 計画後 LCC=(8+7+6)/5 使用年数 <LCC 改善効果 > 項目 費用等 備考 10 年平均改善額 64,866 円 / 戸 年 年平均改善額 = 計画前 LCC- 計画後 LCC 11 累積改善額 (70 年現在価値化 ) 1,517,506 円 / 戸 上記年平均改善額について 将来コストを社会的割引率 4% で現在価値化し 使用年数期間の累積額を算出 12 年平均改善額 21,679 円 / 戸 年 年平均改善額 =11/5 使用年数 ( 現在価値化 ) 15
9. 公営住宅の需要量について (1) 公営住宅需要量の推計 < 推計方法 > STEP1 設定した将来世帯数 (H34 年度末 ) について 借家世帯数を算出する 算出に際し 公営住宅入居者数 公社 UR 賃貸入居者数は現在 (H25 住調 ) と同じままとする ( 世帯増加は民間借家 給与住宅のみとする ) 借家世帯数は 世帯人数別 収入階級別に分ける STEP2 世帯人数別に公営住宅入居資格に必要な年収を算出する ( 控除を除いた年収であり 一般階層を 25% 裁量階層を 40% とする ) STEP3 公営住宅入居資格世帯として以下の世帯を別途算出する 単独世帯における 60 歳以上の割合 ( 裁量世帯として 60 歳単身世帯を含める ) 夫婦のみ世帯における60 歳以上の割合 ( 裁量世帯として 60 歳以上夫婦のみ世帯を含める ) 子育て世帯の割合 ( 裁量世帯として 6 歳未満の親族がいる世帯を含める ) STEP4 STEP2 STEP3より公営住宅入居資格世帯数を算出する ( 借家世帯における収入条件から見た公営住宅の需要層 ) STPE5 公営住宅を必要とする世帯を見極めるため そのため 最低居住面積水準と家賃負担率を指標した4つのカテゴリーに分け 公営住宅要支援世帯数を算出する < 推計フロー図 > STEP1 1 将来世帯数 (H34 年度末 ) の算出 2 基準年 (H34 年度末 ) における借家世帯数の算出 STEP2 STEP3 3 公営住宅入居資格に必要な年収の算出 一般階層, 裁量階層 4 公営住宅入居資格世帯数算出に向けた各種指標の設定 A) 単独世帯における 60 歳以上の割合 B) 夫婦のみ世帯における 60 歳以上世帯の割合 C) 子育て (6 歳未満の親族がいる ) 世帯の割合 STEP4 STEP5 5 公営住宅入居資格世帯数の算出 6 公営住宅要支援世帯数算出に向けた各種指標の設定 A) 最低居住面積水準 B) 家賃負担率 C) 適正家賃負担必要年収 D) 最低居住面積水準未満世帯割合 7 公営住宅要支援世帯数の算出 16
< 推計結果 > STEP 1 将来世帯数 持ち家率から借家世帯を推計 公営借家と公社借家は増加しないものとし 増加分は全て民借と給与とする 世帯人員と収入階級は H25 と同じ割合とする 借家世帯 24,968(H34 年度末 ) うち公営 1,080 公社 2,890 民借 16,599 給与 4,399 これらを所有関係別世帯人員別収入階級別に区分 借家世帯 20,630(H25 住調 ) うち公営 1,080 公社 2,890 民借 13,170 給与 3,490 これらを所有関係別世帯人員別収入階級別に区分 STEP 2 入居基準年収 ( 原則階層 15.8 万円 / 月 裁量階層 21.4 万円 / 月 ) から世帯人 員別に対象者を算出 (1 人 297 万円以下 2 人 351 万円以下等 ) STEP 3 1 人世帯は 60 歳以上のみ 裁量 2 人世帯は 60 歳以上夫婦のみ 裁量 2 人以上世帯は 6 歳未満の子育て世帯のみ STEP 4 公営住宅入居資格世帯 6,414 原則階層 5,649 裁量階層 765 STEP 5 家賃負担率が高いかどうか 最低居住面積水準未満かどうか A: 最低居住面積水準未満かつ家賃負担率が高い世帯 540 B: 最低居住面積水準以上かつ家賃負担率が高い世帯 3,404 C: 最低居住面積水準未満かつ家賃負担率が低い世帯 365 D: 最低居住面積水準以上かつ家賃負担率が低い世帯 2,104 17
(2) 公営住宅需要推計結果からみる 本市の市営住宅必要戸数本市には 平成 28 年 4 月 1 日現在 市営住宅が 289 戸 県営住宅が 1,158 戸の計 1,447 戸の公営住宅がある このうち 公募対象団地は 市営住宅が 185 戸 県営住宅が 1,038 戸 ( 用途廃止が予定されている成田第 3を除く ) の計 1,223 戸である 近年 本市における市営住宅の空き家率は 5.19% であることから 今後 10 年間においても市営住宅及び県営住宅の空き家率は5.19% とすると 1,223 戸 5.19%=63.47 戸 / 年の空き家が発生するため 10 年間では63.47 戸 / 年 10 年 =634 戸の空き家が発生する そのため 10 年間の空き家数 634 戸 > 下図 A540 世帯となり 最も優先度が高く全ての世帯を対象とすべき世帯に対しては 10 年間での対応は可能であると考えられる しかしながら 県営住宅も一部団地を用途廃止し 他団地へ移転する方針が出されていることから 実質的には県営住宅の空き家は移転入居者が使用する可能性があり 空き家の発生は少なくなるものと考えられる また 現在保有している木造戸建の市営住宅は老朽化が著しく 退去者が出た段階で入居募集は行っておらず 今後 10 年から 15 年で約 100 戸の住宅が用途廃止となることが想定される このようななか ここ数年の応募倍率は平均で 5 倍を超えている現状に鑑み 今後は用途廃止が想定されている約 100 戸の供給を図ることとする 供給方法については建替えと公的賃貸住宅等の借上げにより対応していくこととする 公営住宅入居資格世帯数と要支援世帯数の区分 公営住宅入居資格世帯数の算出 6,414 世帯 (H34 年の推計値 ) 年収 公営住宅入居基準年収 C 最低居住面積水準未満かつ適正家賃負担必要年収以上世帯 365 世帯 A 最低居住面積水準未満かつ適正家賃負担必要年収未満世帯 540 世帯 D 最低居住面積水準以上かつ適正家賃負担必要年収以上世帯 2,104 世帯 B 最低居住面積水準以上かつ適正家賃負担必要年収未満世帯 3,404 世帯 適正家賃負担年収 最低居住面積水準 最も優先度が高く 全ての世帯を対象とすべき (100% 原則 ) 居住面積水準 現在の公募対象団地のみで対応が可能 18
(3) 団地別 住棟別活用計画 市営住宅ストックの活用手法別戸数 ( 平成 28 年 10 月時点 ) 対象 合計 市営住宅管理戸数 ( 現況 ) 289 戸 市営住宅管理戸数 ( 活用後 ) 285 戸 維持管理予定戸数 185 戸 うち修繕対応戸数 161 戸 うち改善予定戸数 24 戸 建替予定戸数 50 戸 公営住宅借上予定戸数 50 戸 用途廃止予定戸数 104 戸 < 北囲護台 南囲護台 桜川 RC 名木 > 引続き定期的な点検と修繕を実施し 適正な維持管理を行う また 本計画期間終了時 ( 平成 32 年度 ) には 名木団地の耐用年数が経過することから 今後の活用方針を検討する < 中囲護台 > 外壁の劣化が進んでいるため 長寿命化型改善にて外壁及び屋上防水改修 (24 戸 ) を 行う < 幸町 郷部 宗吾 金堀 飯田町 内野 桜川 ( 木造 )> 各建物の状況に応じて修繕を実施し 適正な維持管理を行う また 空き家となった 住宅は順次用途廃止することとする < 加良部 > 建替を検討するなかで 仮移転先としての必要性を検討する その後 仮移転先とし て使用しない場合は 一般市営住宅への転用を図る < 旧不動ヶ岡 > H20 年 3 月に用途廃止した跡地であるが ここに市営住宅を建設する場合には 入居者の移転を考慮する必要がないことから 他の団地の建替用地として検討する また 使用しないことが確定した場合は その段階で普通財産とし 所管替えの手続きを進める < 借上公営住宅 > 需要推計で懸念している 県営住宅の空き家の発生が少なくなること 及び木造戸建ての市営住宅については H28 年度だけでも 21 棟解体することに鑑み 本市の必要戸数の確保が困難な場合や 住戸規模と世帯規模のミスマッチを解消するための対応策として 早期に公的賃貸住宅の借上げを検討する 19