新潟県の経済動向 ~ 平成 2 年を振り返って ~ 概況 平成 0 年 月 1 2 日新潟県総務管理部統計課 平成 2 年の県内経済を振り返ると 海外経済が緩やかに回復する中 企業活動に改善の動 きがみられるなど 緩やかに持ち直した 1 年であった 年前半は 生産が緩やかに持ち直し 雇用は前年に引き続き有効求人倍率が高水準で推移し たものの 個人消費は弱い動きが続いた 年後半は 設備投資や生産が持ち直し 企業収益や 景況感に改善の動きがみられる中 個人消費は 持ち直しの動きがみられた これを個別にみると 個人消費 物価は 百貨店 スーパー販売額については 年前半は 衣料品で弱い動きが続き 前年を下回ったが 年後半は 食料品の物価上昇などにより 飲 食料品の販売額が増加し 前年を上回って推移した 乗用車新規登録 届出台数は 新車投 入効果などで軽乗用車がけん引し 前年を上回った 物価は 原油価格上昇の影響により ガソリンや灯油価格などが上昇し 前年を上回った 住宅投資は 年前半は 持家と分譲が減少し 年後半は 貸家が前年に相続税対策や住宅 ローン金利の低下で大きく増加していた反動により減少し 通年で弱い動きとなった 設備投資は 製造業は大規模な効率化投資や受注好調に伴う能力増強投資などから増加計 画 非製造業でも新規出店計画の拡大や大規模設備の更新などから増加計画となっており 全産業で前年度を上回る計画となっている 公共投資は 2 年連続で前年を上回ったものの 経済対策の効果が一巡したことから 微 増にとどまった 生産は 年前半は 大型受注があった業種や 海外経済の緩やかな回復を受けた業種が寄 与し 上昇した 年後半は IT や自動車関連などで高い需要を獲得した業種が寄与し 高 水準を維持した 企業動向は 収益については 非製造業では 減益計画となっているものの 製造業では 増益計画であり 全体では 前年を上回る計画である 景況感は 日銀短観については 第 四半期は悪化したものの その後 四半期連続で改善した 企業倒産は 件数は増加した ものの 負債総額は低水準で推移した 雇用面では 有効求人倍率は 年間を通して高い水準で推移した 求人は 製造業や建設 業など多くの業種で増加した 新潟県総務管理部統計課担当 : 調査解析班石山 中澤電話 : 0 2 5-2 8 0-5 1 2 2 ( 内線 2447) ngt01010@pref.niigata.lg.jp - 1 -
個別指標の動向 1 個人消費 物価 ~ 年前半は弱い動きとなったものの 年後半は持ち直しの動きがみられた~ 百貨店 スーパー販売額は 通年では 全店ベースで前年比 0. 増となったが 既存店ベースでは前年比 1.4 減となった 全店ベースでは 第 第 四半期は 衣料品で弱い動きが続き 前年を下回った 第 四半期は 気温が上昇し 飲料やアイスなどの夏物商品が好調であったため 前年を上回った 第 四半期は 食料品の物価上昇や気温の低下により鍋物材料などの季節商品が好調であったことなどから 前年を上回った 1 8.0.0 4.0 2.0-2.0-4.0 -.0-8.0 百貨店 スーパー販売額 ( 前年同期比 ) 新潟県 ( 全店 ) 新潟県 ( 既存店 ) 全国 ( 全店 ) 資料 : 経済産業省 商業動態統計 乗用車新規登録 届出台数は 通年では 前年比 5.8 増となり 年ぶりに前年を上回った 第 四半期は 新車投入効果があった普通乗用車と小型乗用車がプラスに寄与し 前年を上回った 第 第 四半期は 新車投入効果や前年の燃費不正問題の反動増により 軽乗用車が増加し 前年を上回った 第 四半期は 引き続き軽乗用車がプラスに寄与したものの 無資格検査問題の影響による小型乗用車のマイナス寄与が大きかったため 前年を下回った 4 2 1 ポイント 乗用車新規登録 届出台数 ( 前年同期比 ) 軽乗用小型乗用普通乗用全国新潟県 -1-2 資料 : 国土交通省北陸信越運輸局新潟運輸支局注 : 折れ線グラフは前年同期比 棒グラフは対前年同期比における車種別寄与度 - 2 -
消費者物価指数 ( 生鮮食品を除く総合 ) は 前年比 0. 上昇し 2 年ぶりに前年を 上回った 原油価格上昇の影響により ガソリンや灯油 電気代などが年間を通して 上昇したことにより 前年を上回って推移した 105 104 10 102 101 100 8 7 5 消費者物価指数 資料 : 県統計課 新潟市消費者物価指数 生鮮食品を除く総合 ( 前年同期比 右目盛 ) 生鮮食品を除く総合総合 食料 エネルギーを除く総合 H27=100 4.0.0 2.0 1.0-1.0-2.0 -.0-4.0 2 住宅投資 ~ 貸家が減少し 弱い動きとなった~ 新設住宅着工戸数は 通年では 前年比 8. 減となり 年ぶりに前年を下回った 年前半は 持家と分譲がマイナスに寄与したことにより 減少した 年後半は 前年同期に相続税対策や住宅ローン金利の低下などで大きく増加していたことの反動により 貸家がマイナスに大きく寄与し 減少した 5 4 2 1-1 -2 - -4 ポイント 新設住宅着工戸数 ( 前年同期比 ) 持家 給与住宅 新潟県 資料 : 国土交通省 建築動態統計調査 注 : 折れ線グラフは前年同期比 棒グラフは対前年同期比における利用関係別寄与度 貸家 分譲住宅 全国 - -
設備投資 ~ 設備投資額が増加計画となり 持ち直した~ 建築着工床面積 ( 非居住用 ) は 通年では 前年比. 減となり 5 年連続で前年を下回った 年前半は 医療 福祉用 運輸業などがプラスに寄与したことにより 前年を上回った 年後半は 件数が減少したことに加えて 大型案件が減少したことにより 前年を下回った 10 8 4 2-2 -4 - -8-10 建築着工床面積 ( 非居住用 )( 前年同期比 ) 建築着工床面積 ( 実数 右目盛 ) 新潟県全国 万m2 0 50 40 0 20 10 0 資料 : 国土交通省 建築動態統計調査 日銀短観の設備投資額の平成 2 年度計画は 全産業では前年度を 4. 上回る計画である 製造業は 大規模な効率化投資や受注好調に伴う能力増強投資などがあり 前年度を上回る計画である 非製造業では 新規出店計画の拡大や大規模設備の更新などがあり 前年度を上回る計画である 4 2 1 日銀短観設備投資額 ( 前年度比 ) -1-2 - 全産業 製造業 非製造業 資料 : 日本銀行新潟支店 企業短期経済観測調査 注 1:2 年度は 月調査時点の計画値注 2:25 年度実績まで旧ベース 2 年度実績からは新ベースのため 新旧ベースは接続しない 年度 - 4 -
4 公共投資 ~2 年連続で前年を上回ったものの 微増にとどまった ~ 公共工事請負金額は 通年で前年比 0.1 増と 2 年連続で前年を上回ったものの 経済対策の効果が一巡したことから 微増にとどまった 第 四半期は 県の農地部 の件数が増加したことにより 前年を上回ったものの 第 四半期は 大型工事が減 少したことにより 前年を下回った 第 四半期は 上越市の水族館などの大型工事 があったことにより 前年を上回った 第 四半期は 件数は増加したものの 大型 工事が減少したことにより 前年を下回った 5 4 2 1-1 -2 - -4 ポイント 公共工事請負金額 ( 前年同期比 ) 国独立行政法人等県市町村その他新潟県全国 資料 : 東日本建設業保証株式会社新潟支店注 : 折れ線グラフは前年同期比 棒グラフは対前年同期比における発注者別寄与度 5 生産 ~ 年前半に上昇し 年後半は高水準を維持するなど 持ち直した ~ 鉱工業指数 ( 季節調整値 ) の推移をみると 生産指数は 年前半は はん用 生産 用 業務用機械工業で大型受注があったことや 海外経済の緩やかな回復を受けて 電子部品 デバイス工業や鉄鋼業で上昇した 年後半は IT や自動車関連などで高 い需要を獲得した業種が寄与し 高水準を維持するなど 持ち直した 出荷指数は 生産指数とほぼ同じ動きで推移した 在庫指数は 生産が持ち直したことにより上昇 傾向で推移したものの 第 四半期は設備点検等により 生産水準が下がった業種が あったことから低下した 0 115 H22=100 鉱工業指数 ( 季節調整値 ) 5 75 生産出荷在庫 ( 右目盛 ) 生産 ( 全国 ) 150 140 110 10 105 0 100 110 5 100 0 0 資料 : 県統計課 新潟県鉱工業指数 注 : 在庫指数の値は期末値 - 5 -
雇用 ~ 製造業や建設業など多くの業種で求人が増加し 改善した~ 有効求人倍率 ( 全数 季節調整値 ) は 第 四半期から第 四半期までは求人が製造業や建設業など多くの業種で増加したことに加え 求職が減少 ( プラスに寄与 ) したことにより上昇した 第 四半期は 求職が増加 ( マイナスに寄与 ) したものの 製造業 卸売業 小売業など多くの業種で求人が増加したことにより上昇した 平成 2 年平均の有効求人倍率は 1.50 倍 ( 原数値 ) で 平成 4 年 (1.51 倍 ) 以来 25 年ぶりの高い水準となった 1.0 倍 有効求人倍率 ( 季節調整値 ) ポイント 0.15 1.40 0.10 1.20 新潟県 5 1.00 0.80 全国 0-5 0.0 0.40 求職者数要因 ( 右目盛 ) 求人数要因 ( 右目盛 ) 資料 : 新潟労働局職業安定部 労働市場月報 注 1: 新卒を除きパートタイムを含む全数注 2: 折れ線グラフは有効求人倍率 棒グラフは有効求人倍率の推移における要因 -0.10-0.15 7 企業 ~ 経常利益は増益計画となり 企業の景況感も改善した~ 日銀短観の経常利益の平成 2 年度計画は 全産業では前年度を 1. 上回る計画である 製造業では ITや自動車関連需要の獲得などから 増益計画である 非製造業では 建設工事受注の減少懸念などから 減益計画である 5 4 2 1-1 -2 - -4-5 日銀短観経常利益 ( 前年度比 ) 全産業 製造業 非製造業 資料 : 日本銀行新潟支店 企業短期経済観測調査 注 1:2 年度は 月調査時点の計画値注 2:25 年度実績まで旧ベース 2 年度実績からは新ベースのため 新旧ベースは接続しない 年度 - -
企業の倒産件数 ( 負債総額 1 千万円以上 ) は 年間で 108 件と前年の 件から 件増加し 前年比で.1 増となり 4 年ぶりに 100 件を上回った 年間の負債総額は前年を上回ったものの 10 億円以上の大型倒産は1 件と前年の 件から減少し 1 件当たりの負債総額は前年を下回るなど 小口倒産が主体である 金融機関が融資先からの返済条件の変更要請に対し柔軟に応じており 企業倒産は抑制された状態が続いている 50 45 40 5 0 25 20 15 10 5 0 倒産件数と1 件当たり負債総額件億円 10 倒産件数 8 7 1 件当たり負債総額 ( 右目盛 ) 5 4 2 1 0 資料 : 東京商工リサーチ新潟支店 新潟県内企業整理 倒産状況 企業の景況感をみると 日銀短観の業況判断 D.I. は 月調査で非製造業が競争激化に伴う販売不振などにより悪化し 全体で 悪い 超幅が小幅拡大したものの 月調査では 製造業がITや自動車関連の旺盛な海外需要の獲得から改善し 悪い 超が大幅縮小した 続く 月調査では 良い 超に転化し 月調査では 良い 超幅が拡大し 四半期連続で改善した 中小企業業況判断 D.I.( 新潟県中小企業団体中央会 ) は 第 四半期は 商店街の不調などから悪化したものの 第 第 四半期は一般機器の受注が好調であったことなどから 2 四半期連続で大幅に改善した 第 四半期は人手不足の影響などから悪化した ポイント業況判断 D.I. 2 日銀短観全国 1-1 -2 全国 新潟 - -4 中小企業業況判断 DI 新潟 -5 年 年 調査月 期 資料 : 日本銀行新潟支店 企業短期経済観測調査 新潟県中小企業団体中央会注 : 日銀短観は 平成 2 年 月調査までは旧ベース 月調査は新旧ベース 平成 27 年 月調査から新ベースのため 新旧ベースは接続しない - 7 -