平成 26 年度日本の小中学生の食事状況調査結果概要 < 目的 > 日本の小中学生の食事摂取状況をできるだけ正確に記述する < 方法 > 2014 年 11~12 月に食事記録法と食事歴法質問票による食事調査 食生活に関する質問票調査 身体測定を実施 青森 山形 茨城 栃木 富山 滋賀 島根 愛媛 高知 福岡 佐賀 鹿児島の各県より 小学校 3 年生約 30 人 小学校 5 年生約 30 人 中学校 2 年生約 30 人の児童生徒がクラス単位で調査に参加 食事記録: 非連続 3 日間 2 日間は学校給食のある日 1 日間は週末で給食のない日に実施 食事記録を 3 日間分すべて提出した児童生徒 計 910 名 ( 小学 3 年生 309 名 小学 5 年生 320 名 中学 2 年生 281 名 ) を解析対象者とした ( 調査対象クラスの在籍児童数は 1190 名 参加率 76.5%) < 結果 > 1) 解析対象者特性学年性別人数標準平均偏差 身長体重 標準最小値最大値平均最小値最大値偏差 小 3 男子 154 131.6 5.6 116.1 147.5 29.7 6.3 18.8 58.7 女子 155 131.0 5.0 119.9 144.4 28.8 5.7 19.6 48.6 小 5 男子 144 143.1 6.6 128.4 167.2 37.6 8.6 23.4 68.1 女子 176 144.0 6.7 129.2 167.6 37.5 8.1 23.3 65.4 中 2 男子 134 163.7 7.4 145.3 184.2 54.8 11.6 33.4 126.0 女子 147 156.3 5.0 146.1 170.8 48.9 7.7 35.9 82.1 総計 910 - - - - - - - -
2) エネルギー 栄養素の各食事からの摂取割合 (%) 学年 性別ごとに 平日 休日の各食事からのエネルギー 栄養素の摂取割合を記述した 休日は 平日よりも昼食からのエネルギー摂取割合が下がり (28~31% 程度 ) 朝食 夕食 間食からのエネルギー摂取割合が上昇した 特に間食からのエネルギー摂取割合は 平日 7~11% 程度であるのに比較し 休日は 10~14% 程度と割合の増加が大きかった 複数の栄養素において 各食事からの摂取割合が平日と休日で大きく異なっていた 性別 学年区分に関わらず 休日は昼食からの摂取が目立って少なかった栄養素はたんぱく質 脂質 飽和脂肪酸 食物繊維 ビタミン類全般 葉酸 カリウム カルシウム マグネシウム 鉄などであった 平日と休日で各食事からの摂取割合の変化が小さかったのは食塩であった 以下に エネルギー 脂質 食物繊維 食塩 カルシウムについての各食事からの摂取割合を図示した 1 エネルギーの各食事からの摂取割合 平日と休日の比較 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 小 3 男子 平日小 3 男子 休日小 3 女子 平日小 3 女子 休日小 5 男子 平日小 5 男子 休日小 5 女子 平日小 5 女子 休日中 2 男子 平日中 2 男子 休日中 2 女子 平日中 2 女子 休日 20.6 23.3 22.2 23.4 21.7 22.5 21.7 22.9 20.5 21.4 21.6 21.8 34.6 28.2 34.5 29.3 35.1 30.3 35.3 30.4 34.7 31.1 35.9 30.8 33.9 34.0 32.2 33.0 33.6 34.5 32.6 34.9 35.6 36.2 34.7 36.7 11.0 14.5 11.1 14.3 9.6 12.7 10.4 11.8 9.2 11.4 7.8 10.7 2 脂質の各食事からの摂取割合 平日と休日の比較 0% 20% 40% 60% 80% 100% 小 3 男子 平日小 3 男子 休日小 3 女子 平日小 3 女子 休日小 5 男子 平日小 5 男子 休日小 5 女子 平日小 5 女子 休日中 2 男子 平日中 2 男子 休日中 2 女子 平日中 2 女子 休日 19.4 24.2 22.1 25.1 21.7 22.8 21.9 23.1 20.6 20.8 21.0 21.2 35.3 25.8 34.4 26.0 34.7 26.5 34.5 28.1 33.0 28.9 34.1 27.9 33.6 35.7 31.7 34.3 33.3 36.9 32.6 36.7 35.5 38.4 35.7 39.2 11.7 14.3 11.8 14.6 10.2 13.8 11.0 12.1 10.9 11.8 9.2 11.7
3 食物繊維の各食事からの摂取割合 平日と休日の比較 0% 20% 40% 60% 80% 100% 小 3 男子 平日 17.6 42.1 31.9 8.4 小 3 男子 休日 22.9 27.5 37.6 12.0 小 3 女子 平日 19.2 4 32.5 8.3 小 3 女子 休日小 5 男子 平日小 5 男子 休日小 5 女子 平日小 5 女子 休日 22.5 17.9 21.5 17.8 22.2 29.4 42.4 29.6 41.3 29.9 34.5 32.2 37.0 33.4 37.9 13.6 7.5 12.0 7.5 10.1 中 2 男子 平日 16.9 41.7 33.9 7.5 中 2 男子 休日 29.9 40.2 9.8 中 2 女子 平日 18.6 39.8 35.2 6.4 中 2 女子 休日 21.7 28.6 40.8 8.8 4 食塩の各食事からの摂取割合 平日と休日の比較 0% 20% 40% 60% 80% 100% 小 3 男子 平日 21.1 32.2 41.9 4.8 小 3 男子 休日 21.5 34.1 39.8 4.6 小 3 女子 平日 24.3 31.1 40.4 4.2 小 3 女子 休日小 5 男子 平日小 5 男子 休日小 5 女子 平日小 5 女子 休日 22.2 22.8 21.1 23.6 22.6 34.6 33.2 33.8 32.3 34.2 38.5 39.4 40.2 39.9 38.9 4.7 4.5 4.9 4.2 4.3 中 2 男子 平日 22.6 30.5 42.3 4.7 中 2 男子 休日 20.2 37.5 37.2 5.0 中 2 女子 平日 24.3 30.3 42.2 3.2 中 2 女子 休日 20.5 32.8 42.3 4.5 5 カルシウムの各食事からの摂取割合 平日と休日の比較 0% 20% 40% 60% 80% 100% 小 3 男子 平日小 3 男子 休日小 3 女子 平日小 3 女子 休日小 5 男子 平日小 5 男子 休日小 5 女子 平日小 5 女子 休日中 2 男子 平日中 2 男子 休日中 2 女子 平日中 2 女子 休日 18.0 32.5 17.0 29.9 18.4 30.5 17.7 29.3 19.1 28.5 18.0 25.8 54.6 22.6 55.4 24.1 54.5 22.7 53.8 25.1 51.7 26.9 52.8 25.6 30.7 29.1 32.1 33.5 30.8 36.3 19.4 19.4 19.7 20.6 22.2 8.1 14.3 8.2 17.0 7.3 14.6 8.5 12.2 8.7 13.9 7.1 12.3
3) 給食の有無による栄養素摂取状況の違い 解析対象者がそれぞれ推定エネルギー必要量 ( 解析対象者の日齢を考慮 ) に相当するエネルギーを摂取していると考え 各栄養素の摂取量を補正した この補正値を 栄養素ごとに食事摂取基準の指標値と比較した 食事摂取基準を満たさない者の割合を不適合率として算出し 平日 ( 調査第 1 日目のデータのみ使用 ) と休日の比較を図示した 学年は区別せず不適合率を算出したが 比較は男女別に実施した 図は 目標量の定められている栄養素と推定平均必要量の定められている栄養素でそれぞれ作成した 目標量の定められている栄養素については 給食のある日のほうが不適合率は低かったものの その差が小さい ( もしくは給食のある日のほうで不適合率が高い ) 栄養素があり 脂質 食塩などがそれに相当した 推定平均必要量が定められている栄養素については そのほとんどで給食のある日のほうが明らかに不適合率は低かった 本項の比較では単一日の栄養素摂取量についての比較が行われており 習慣的摂取量について検討した場合と比較して 不適合率がかなり高く算出されていることに注意が必要である あくまでも給食のある日とない日の比較を目的とした解析である 習慣的摂取量に基づく不適合率は4) 項に記載した 1 食事摂取基準に適合していない男児の割合 : 平日と休日の比較 ( 図の縦軸は %) 目標量の定めのある栄養素 推定平均必要量の定めのある栄養素 10 9 8 7 6 5 4 3 1 10 9 8 7 6 5 4 3 1 給食あり給食なし 給食あり給食なし
2 食事摂取基準に適合していない女児の割合 : 平日と休日の比較 ( 図の縦軸は %) 目標量の定めのある栄養素 推定平均必要量の定めのある栄養素 10 9 8 7 6 5 4 3 1 10 9 8 7 6 5 4 3 1 給食あり 給食なし 給食あり 給食なし
4) 習慣的摂取量から見た児童 生徒の栄養摂取に関する問題点 前項で記述のエネルギー調整済み栄養素摂取量を各解析対象者について推定の上 3 日間の調査データを利用し 習慣的摂取量 ( 摂取量の個人内変動を考慮 ) を best-power 法を用いて算出した この習慣的摂取量を 栄養素ごとに食事摂取基準の指標値と比較した 食事摂取基準を満たさない者の割合を不適合率として算出し 学年別 男女別に図示した 単一日の摂取量ではなく習慣的摂取量においても多くの学年 性別で不適合率の高かった栄養素は 目標量については脂質 食物繊維 食塩 推定平均必要量についてはカルシウムと鉄であった 学年 性別では中学 2 年生男子 小学校 3 年生女子で不適合率の高い栄養素が多かった それぞれ 成長段階に見合った栄養摂取ができていない可能性があるが 小児の食事摂取基準指標値は成人の指標値の外挿によって定められており 指標値の検討が必要な可能性もある たとえば 8-9 歳のカルシウムの推定平均必要量は 女児の値のほうが男児の値よりも高く定められている 1 食事摂取基準に適合していない男児の割合 : 習慣的摂取量 ( 図の縦軸は %) 目標量の定めのある栄養素 推定平均必要量の定めのある栄養素 10 9 8 7 6 5 4 3 1 10 9 8 7 6 5 4 3 1 小 3 小 5 中 2 小 3 小 5 中 2
2 食事摂取基準に適合していない女児の割合 : 習慣的摂取量 ( 図の縦軸は %) 目標量の定めのある栄養素 推定平均必要量の定めのある栄養素 10 9 8 7 6 5 4 3 1 10 9 8 7 6 5 4 3 1 小 3 小 5 中 2 小 3 小 5 中 2
5) 栄養素摂取量の適切性と食品摂取量食事摂取基準において 解析対象集団の年代では推定平均必要量は 14 栄養素 目標量は 6 栄養素に対し定められている 3 日間の摂取量の平均値がそれぞれの指標値を満足している栄養素の数で解析対象者を以下の 4 群に分類し 群間の食品摂取量 (g/1000kcal) の違いを検討し 図示した 図中に示した値は摂取量の各群における中央値である 4 群の設定方法 摂取適切群 :EAR を 12 以上 DG を 4 以上の栄養素で満たす 386 人 摂取過剰群 :EAR 12 以上 DG 3 以下 ( 生活習慣病危険群 ) 219 人 摂取不足群 :EAR 11 以下 DG 4 以上 ( ビタミン ミネラル類不足群 ) 71 人 摂取不適切群 :EAR 11 以下 DG 3 以下 ( 過剰 不足ともある群 ) 234 人 豆類 野菜類 果実類 きのこ類 藻類については ほぼ適切群 過剰群 不足群 不適切群の順で摂取量が少なくなった 魚介類 肉類 卵類 乳類については ほとんどが過剰群において摂取量が最も多く ついで摂取量が多いのは適切群である場合が多かった 菓子類 ソフトドリンク類 加工食品類は適切群 過剰群 不足群 不適切群の順で摂取量が多くなるものが多かったが 男児の菓子類摂取量は群間差を認めなかった 女児のソフトドリンク類摂取量は中央値がいずれの群でも 0 であったが 摂取量最大値は不適切群で最も大きかった 1 栄養素摂取量の適切性と豆 野菜 果実 きのこ 海藻の摂取量 縦軸は 1000kcal 摂取あたりの食品摂取量 (g/1000kcal) 図中の値は食品摂取量の群別中央値 男子 女子 14 14 1 1 10 10 8 8 6 6 4 4 豆類野菜類果実類 豆類野菜類果実類 きのこ類 藻類 きのこ類 藻類
2 栄養素摂取量の適切性と魚介 肉 卵 乳の摂取量 縦軸は 1000kcal 摂取あたりの食品摂取量 (g/1000kcal) 図中の値は食品摂取量の群別中央値 男子 女子 1 1 10 10 8 8 6 6 4 4 魚介類肉類卵類乳類 魚介類肉類卵類乳類 3 栄養素摂取量の適切性との摂取量 縦軸は 1000kcal 摂取あたりの食品摂取量 (g/1000kcal) 図中の値は食品摂取量の群別中央値 男子 女子 25.0 25.0 15.0 15.0 1 1 5.0 5.0 菓子類ソフトドリンク加工食品類 菓子類ソフトドリンク加工食品類