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資料 3 食品からのカドミウム摂取に係る安全性確保のための取組について 香山先生スライド と記したスライドは 自治医科大学地域医療センター香山不二雄教授のスライドを活用させていただいたものです 厚生労働省医薬食品局食品安全部 食品衛生法 2 目的 ( 第 1 条 ): 食品の安全性の確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより 飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し もって国民の健康の保護を図る 対象 ( 第 5 条 ): 販売 ( 不特定又は多数の者に対する販売以外の授与を含む ) の用に供する食品等を対象

食品衛生法に基づく規格基準 3 食品衛生法に基づき 米 ( 玄米 ) 清涼飲料水及び粉末清涼飲料にカドミウムの基準値を設定米については 基準値は1.0mg/kg 未満とされているが 0.4mg/kg 以上 1.0mg/kg 未満の米については 農林水産省において買い上げが行われており流通しないよう管理 < 食品衛生法に基づくカドミウムの基準値 > 食品基準値 米 ( 玄米 ) 1.0 mg/kg 未満 清涼飲料水 原水 0.01 mg/l 以下 ( ミネラルウォーター類を含む ) 製品 検出してはならない 粉末清涼飲料 検出してはならない 食品中のカドミウムの規格基準の検討経緯 (1) 4 昭和 45 年 7 月米のカドミウムの基準値を 1.0ppm に設定 (0.4 以上 1.0ppm 未満のものについては 農林水産省が非食用として買い上げ ) 平成 15 年 7 月食品からのカドミウム摂取の現状に係る安全性確保について食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼 平成 18 年 7 月コーデックス委員会において米のカドミウムの国際基準を 0.4ppm に決定 平成 20 年 7 月食品安全委員会より カドミウムの耐容週間摂取量を 7μg/kg 体重 / 週とする評価結果を受理薬事 食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会において審議開始 平成 20 年 10 月食品規格部会において審議継続

食品中のカドミウムの規格基準の検討経緯 (2) 5 平成 21 年 1 月食品規格部会において 以下の方針を決定 1 2 3 米中のカドミウムの規格基準の改正 (1.0 0.4ppm) 関係府省と連携した農産物のカドミウム低減対策及び農水産物の含有実態調査の推進関係府省と連携した消費者に対する情報提供 平成 21 年 2 月米のカドミウムの規格基準の改正について食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼 平成 21 年 8 月食品安全委員会より カドミウムの耐容週間摂取量を7μg/kg 体重 / 週とする評価結果を受理 平成 21 年 10 月食品規格部会において審議結果取りまとめ 平成 21 年 12 月食品衛生分科会において審議 平成 22 年 2 月薬事 食品衛生審議会より答申 食品健康影響評価について ( 内閣府食品安全委員会 ) 6

食品健康影響評価の着目点 香山先生スライト 7 食品からの長期 低濃度による経口曝露 腎臓への影響 ( 近位尿細管再吸収機能障害 ) に着目 疫学調査の健康影響評価指標香山先生スライト 8 カドミウム長期摂取 低分子量蛋白質の尿中排泄 ( 影響指標 ) β2- ミクロク ロフ リンク リ (β2-mg) など 吸収 代謝腎臓の近位尿細管に影響

Nogawa ら (1989( 1989 年 ) による疫学調査 香山先生スライト 9 米中カドミウム濃度が比較的高い地域米中カドミウム濃度が低い地域 総カドミウム摂取量が約 2.0g (14.4µg/kg 4µg/kg 体重 / 週 *) β2-mg 尿症の発症頻度に差がない 総カドミウム摂取量 2.0g(14.4µg/kg 体重 / 週 ) 以下であれば ヒトの健康に悪影響を及ぼさない * ( 条件 ) 摂取期間 50 年 日本人男女の平均体重 53.3kg3k ( 計算式 ) 2.0g 50 年 365 日 53.3kg 7 日 =14.4µg/kg 体重 / 週 Horiguchi ら (2004( 2004 年 ) による疫学調査 香山先生スライト 10 日常食べている米のカドミウム濃度 尿中 β2-mg 排泄量等を測定 カドミウムの週間摂取量を推定 週間摂取量と近位尿細管機能障害の発症頻度との関係をみた ( 結果 ) 1 調査対象者の 2~3 割が 7µg/kg 体重 / 週を超えるカドミウムを摂取 2 近位尿細管機能障害の発症頻度は汚染地域 / 非汚染地域で差がない 7µg/kg 体重 / 週程度のカドミウム摂取量は ヒトの健康に悪影響を及ぼさない

カドミウム曝露と健康影響 香山先生スライト 11 近位尿細細管機能能障害のの程度 ( 尿中 β2-mg G 排泄量 ) 重度 Horiguchi ら (2004) Nogawa ら (1989) 7.0 14.4 健康に悪影響を及ぼさない Cd 週間摂取量 (µg/kg 体重 / 週 ) 食品安全委員会による食品健康影響評価の結論 12 香山先生スライト 耐容週間摂取量カドミウム 7 µg/kg 体重 / 週

食品中のカドミウムの規格基準の一部改正について ( 厚生労働省薬事 食品衛生審議会 ) 13 日本におけるカドミウム摂取量の推移 14 (μg/ 人 / 日 ) 1979 年の摂取量 : 46.0µg/ 人 / 日 50 2007 年の摂取量 : 21.1µg / 人 / 日 (2.8µg/kg 体重 / 週 * ) 40 30 20 10 0 1980 1985 1990 1995 2000 2005 日本におけるトータルダイエット調査 (1978~2007 年 ) ( 年 )

日本人一人当たりの米消費量の推移 15 (kg) (kg) 118.3 118.3 120 111.7 7 110 100 95.1 95.1 90 88.0 90 80 70 70 60 60 50 50 0 88.0 118.3kg/ 年 (1962 年 ) から 61.4kg/ 年 (2005 年 ) へ大幅に減少 78.9 78.9 74.6 74.6 70.0 70.0 67.8 67.8 64.6 64.6 61.4 400 昭和 35 40 45 50 55 60 平成 2 7 12 17 35 40 45 50 55 60 2 7 12 17 農林水産省の食料需給表 ( 平成 16 年度 ) 概要より引用 玄米中のカドミウム含有量 16 30,000000 1997~19981998 年旧食糧庁の全国実態調査結果によれば 日本産のお米 1kg 中に含まれるカドミウム量は平均して 0.06mg(=0.06ppm) 0.4ppmを超えるのは0.3% 25,000 試料数 20,000 15,000 10,000 5,000 0 カドミウム濃度 C(mg/kg)

食品からのカドミウム摂取量の現状 17 7 (µg/kg 体重 / 週 ) 6 5 4 3 2 1 0 1997 年 2002 年 2007 年 飲料水加工食品乳 乳製品肉 卵魚介嗜好品野菜 海藻有色野菜果実豆 豆加工品豆加工品油脂砂糖 菓子雑穀 芋米 食品からのカドミウム摂取量の割合 18 加工食品 35% 3.5% その他 35% 3.5% カドミウムは 米 野菜 果実 肉 魚など多くの食品に含まれて豆 豆加工品 3.5% いるが 我が国においては米から摂取する割合が最も多く 日本人有色野菜 52% 5.2% 雑穀 芋 12.4% 野菜 海草 12.4% 魚介 12.8% 米 46.5% のカドミウムの 1 日摂取量の約 4 割は米から摂取されているものと推定されている 日本におけるトータルダイエット調査 (2005 年 )

食品中のカドミウムの国際基準 19 < コーデックス規格 > (CODEX STAN 193-1995, Rev.3-2007) 食品群 基準値 (mg/kg) 備 考 穀類 ( そばを除く ) 0.1 小麦 米を除くふすま 胚芽を除く 小麦 02 0.2 ばれいしょ 0.1 皮を剥いたもの 豆類 0.1 大豆 ( 乾燥したもの ) を除く 根菜 茎菜 01 0.1 セロリアック ばれいしょを除く 葉菜 0.2 その他の野菜 ( 鱗茎類 アブラナ科野菜 ウリ科果菜 その他果菜 ) 0.05 食用キノコ, トマトを除く 精米 0.4 海産二枚貝 2 カキ ホタテを除く 頭足類 ( イカ及びタコ ) 2 内臓を除去したもの アブラナ科野菜 のうち 葉菜で結球しないものは 葉菜 に含まれる 20 食品中の汚染物質のリスク管理 食品中の汚染物質のリスク管理の方法 1 農産物の生産段階での汚染低減対策 2 食品の製造 加工段階での汚染低減対策 3 基準値の設定 食品中の汚染物質に係る規格基準設定の考え方 1 国際基準 ( コーデックス規格 ) を参照 2 国内に流通する食品の汚染実態及び国民の食品摂取量等を踏まえ検討 コーデックス規格採用が困難な場合 3 汚染物質の低減対策に係る技術開発の推進要請 4 ALARAの原則 に基づく適切な基準値又はガイドライン値等の設定 合理的に達成可能な範囲でできる限り低く設定する(As low as reasonably achievable) との考え方

シナリオ基準値設定シナリオ 21 シナリオ 1: いずれの食品についてもカドミウムの基準値を設定しない場合 シナリオ 2: 米のみカドミウム基準値 (0.4mg/kg) g) を設定する場合 シナリオ 3: CODEX 基準値どおり 10 食品に基準値を設定する場合 日本人のカドミウム摂取量分布 22 確率論的曝露評価手法 ( モンテカルロ シミュレーションション ) により推計 データ : 1 国民栄養調査 (1995~2000 年 ) からの食品摂取量 2 農林水産省カドミウム実態調査 (2002~2003 年 ) からの食品別 カドミウム濃度 0.028 シナリオ 2 度数分布 平 均 値 : 3.44µg/kg 体重 / 週 0.021 中 央 値 : 2.92µg/kg 体重 / 週 95パーセンタイル : 7.18µg/kg 体重 / 週 確率 0014 0.014 0.007 0.000 0.53 2.54 4.54 6.55 8.55 摂取量 (μg/kg 体重 / 週 ) 日本人のカドミウム曝露量推計に関する研究より引用

各シナリオのカドミウム曝露分布 23 シナリオ 1 2 3 算術平均値 3.47 3.44 3.33 25 パーセンタイル 2.14 2.14 2.10 50 パーセンタイル 2.93 2.92 2.86 75 パーセンタイル 4.10 4.10 3.97 90 パーセンタイル 5.83 5.76 5.55 95 パーセンタイル 733 7.33 718 7.18 686 6.86 97.5 パーセンタイル 9.09 8.80 8.33 厚生労働省科学研究費補助金 : 日本人のカドミウム暴露推計に関する研究及びカドミウムを含む食品の安全性に関する研究より 食品規格部会結論 (1) 24 米中のカドミウムの規格基準の改正 (1.0 0.4ppm) 0.4ppm) 関係府省と連携した農産物のカドミウム低減対策及び農水産物の含有実態調査の推進 関係府省と連携した消費者に対する情報提供

食品規格部会結論 (2) 25 米以外の品目については 米に比べて摂取寄与が低く 検査に要する労力 時間 コストなどを考慮すると 基準を設定して遵守させることによるカドミウム曝露の低減に大きな効果は期待できない 関係者に対して 引き続き カドミウムの低減対策を講じるよう要請する 一定期間経過後にその実施状況について報告を求め 必要に応じて規格基準の設定等について検討する 参考情報 26 - 厚生労働省ホームページ - 食品に含まれるカドミウムについて http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/cadmium/index.html < 掲載情報 > 食品に含まれるカドミウム に関する Q&A 薬事 食品衛生審議会における検討状況 食品安全委員会における評価状況 食品中のカドミウムに関する研究 ( 厚生労働科学研究 ) 国際的な検討状況 リスク コミュニケーションに関する取組み 関連ホームページ