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ご挨拶 本日は公私ともご多用の中 また遠方よりお越し頂き ありがとうございます 曲目はバッハばかりで馴染みが少ないと思いますが 聴いていて 弾いていて楽しい曲が少なくありません 一般にバッハといえば堅苦しいイメージがありますが決してそうではありません お楽しみ頂けましたら幸いです 2006 年 11 月 19 日角岡繁慶本日はお忙しい中 また遠くからご来場いただきまして ありがとうございます 今日の会場 松風ギャラリーは10 年前 私の最後の発表会となった場所です ここであのベーゼンドルファーを再び弾くことができるなんて 父とピアノを再開したときは 夢にも思いませんでした 発表会を決意し 目標に向かって必死に取り組んで来たことは 私にとって貴重な財産になると思います 私一人の努力だけではなく 父を始め多くの人々に支えて頂いたことに感謝しなければなりません 一生懸命練習してきた成果を 今日ここで発揮出来ればと思います どうぞ最後までお聴き下さいませ 2006 年 11 月 19 日角岡千亜希 発表会までのまでの道程 本日ピアノを弾く娘千亜希のことですが 彼女の高 2の終わり頃から受けたクラスメートのいじめ ( 実際には無視 ) について話さずにはいられません 原因は如何にあろうとも いじめによって千亜希は精神障害を来し 合格した大学の入学辞退 専門学校の強制退学 再度の専門学校の受験失敗など 何一つ生きているという実感がないままに卒業後の3 年間を過ごしてまいりました その間 父親である私は これも病気だからと精神科医とサポートセンター任せの日々を為す術もなく過ごしてしまったのです 一昨年に精神科医を明石から自宅近くの別府に替わり その先生の紹介で別府小学校近くのワークセンターに昨年から通うようになりました 心を通じ合える仲間ができたからでしょうか 笑顔が見られ 病状も少しずつではありますが 回復したように見えました 私は 娘の大学入学願望が強いことから これを期に受験勉強の再開を奨めましたが 参考書を揃えるだけで 勉強はほとんどといっていいほど出来ませんでした 精神障害とは本当に恐ろしいもので 集中力はおろか思考力 記憶力も極端に落ちたまま 何一つ回復はしていなかったのです 私は藁をもすがる思いで 娘のピアノに賭けてみることにしました 古くからあることわざ 芸は身を助ける を信じて挑戦することを決心したのです 楽器の演奏は楽譜がありそれを再現するだけの単純なサイクルですが 私は会社などで用いるPDCAサイクル いわゆるQC 手法を用いてピアノの指導をすることを思い立ちました 千亜希がもっとも好きなピアノを学びながら併せてQC 手法を指導出来るなら社会 1

復帰も早いだろうと考えたわけです 私は娘を呼び 今日からピアノを通じて生きていくための方法論を教える と宣言したのです それは昨年の5 月のことでした ピアノに関しては 千亜希は保育園から中 1まで先生について習っており 高校卒業後も気休めにと 先生に就いて再開しましたが 全て中途であきらめざるを得ませんでした 先生の指示 注意を理解出来るような精神状態ではなかったのです 私は暗中模索のまま ベートーヴェン モーツァルト ショパンなどの小品から教え始めましたが 娘は 音符の長さとリズムは再現するものの 演奏がとても機械的で とても音楽と言える代物ではありませんでした ピアノのタッチ 音力の増減 音色の使い分け テンポの揺れ 間合い どれをとっても千亜希が苦手というより不可能なことばかりだったのです ここで私は千亜希のピアノの弱点を逆に利用出来ないか考えてみたところ バッハが浮かびました 私はバッハの音楽は一種の 構造物 ( コンストラクション ) だというグレン グールドの意見に心酔しておりました ショパンなどの作品は逆に油絵などに例えられかもしれません 私は更にグールドの意見を身近に考えることにしたのです バッハの音符一つ一つは大理石ではなく煉瓦であっても建物はできます 例え色が斑な煉瓦であっても構造物 ( 建造物 ) には違いないのです バッハの音楽は構造的に強固に出来ていて音符を拾うだけで充分音楽になるのです もちろん多彩なタッチ 音色が必要ないということではなく 音符の配列 配置を再現することがバッハの最重点課題だと私は思います 一方 千亜希が小学生の2 年生ころからインヴェンションを弾いていたこともあり バッハについては違和感がありませんでした またバッハを現代に蘇らせたグレン グールドの大ファンでもあり パルティータ第 1 番のメヌエット イタリア協奏曲の第 2 楽章と順調に弾き進めることが出来たのです 何もできなかった千亜希には曲をマスターする喜びは大きく 次から次へと弾いて行きました 昨年末までには イタリア協奏曲の全楽章 イギリス組曲第 2 番の長大なプレリュードをマスターするまでになりました そして今年 1 月 2 日 私と千亜希はバッハのある巨大な作品への挑戦を計画し バッハプロジェクト と名付けて その完成を 2 年後と決めたのです アマチュアにとって夢のような話ですが この巨大な作品に取り組みだしてから千亜希のモチべーションは驚くほどあがりました 私には 千亜希のバッハ指導に関しては 当初から明確な目標があり リパッティのパルティータ第 1 番 グールドのイタリア協奏曲 アルゲリッチのイギリス組曲第 2 番 パルティータ第 2 番 これらを理想に掲げていたのです バッハプロジェクトを進める傍らこれらの曲を1 曲ずつマスターしていきそれぞれの目処がたった時 千亜希に発表の場はないだろうかと今年の3 月から考え始めたのです 幸い私には知り合いのピアノの先生が何人かおり 先生方の教室の発表会に娘を潜り込ませようかと思ったりしましたが 何か違和感があり 依頼しようとも思いませんでした そして千亜希の演奏を何らかの形で公開できる別の方法を模索しているうちに思いついたのが なんと身近にあるではありませんか インターネット上での公開です 2

演奏を客観的に判断するには そのひとつの方法として録音があります 娘のピアノの音を自覚させる意味で 昨年ポータブルのデジタル録音機を購入しました デジタル録音できますので インターネット上で公開するには技術上の問題は何もありません そこで演奏を公開した感触から 単独の発表会の案が浮かんできたのです 今年 3 月も終わりの頃でした 発表会を10 月下旬 または11 月の中旬 下旬と決め 5 月に松風ギャラリーの予約がとれました 2006 年 11 月 19 日 ( 日 ) に向かって6 月 19 日には加古川市民会館小ホールで スタインウェイでリハーサルを行いました この時の録音をまたインターネットで公開して 決定的な感触を得たのです 3

プログラム覚え書き 本日のプログラムは全てヨハン セバスチャン バッハの作品です タイトルも普段 見たことも聞いたこともないような名前がずらり並んでいます 名前の由来などがわかればより曲に親しみを持っていただけると思いますので少し説明をしておきます パルティータイタリア語で 音楽的にはもともと 変奏 という意味であったらしいのですがバッハは組曲組曲の意味で使っております 組曲バロック時代の組曲は 舞曲を中心として組み合わせたものである アルマンドアルマンド クーラントクーラント サラバンド ジーグジーグの 4 曲を基礎とする また 最初に前奏曲 ( プレリュード ) または序曲 ( オーヴァーチュア ) を加えたり ( この序曲付きの組曲全体が 序曲 と名付けられているものがある ) ジーグの前などに間奏曲や メヌエットなどの他の舞曲を挿入したり ジーグの後にシャコンヌやパッサカリアを置くことも行われました 舞曲舞曲 ( ぶきょく ) とは 舞踏のリズムを取りやすくするなどのために使われる伴奏の音楽 あるいは 舞踏のリズムを取り入れた小規模な楽曲のことである 西洋音楽において 舞曲は単独の作品として作曲される場合と 大規模な作品の一部として使用される場合の 2 つのケースがある なお バレエ音楽は舞踏のための伴奏音楽に違いないが 一般には舞曲に含めない アルマンドアルマンド (allemande: フランス語で ドイツ風 の意 ) は舞曲の一種である バロック音楽の時代に愛用され 組曲の第一曲または 前奏曲に続く第二曲として採用されることが非常に多かった クーラントクーラント ( 仏語 :courante) またはコッレンテ ( 伊語 :corrente) は 2 分の 3 拍子あるいは 4 分の 6 拍子による フランス起源の急速な宮廷舞曲 1600 年ごろにはフランスで音楽的に洗練され その後イタリアのコッレンテへと発展した 元来は活発な雰囲気のダンスではなかったが イタリアで跳躍や駆け足を含むダンスに変化した アルマンド - クーラント というダンスの組み合わせは ルネサンスまで受け継がれてきた パヴァーヌ - ガイヤルド という組み合わせに取って代わった バロック組曲では 前奏曲を除いて 2 曲目に位置することが多いのも そのなごりといってよい サラバンドサラバンド ( 仏語 :sarabande 伊語ではサラバンダ sarabanda ) とは 3 拍子による荘重な舞曲である 小節内部の 2 拍めと 3 拍めがしばしば結合され ( たとえば 4 分の 3 拍子の場合には ) 二分音符の代わりに 付点四分音符と八分音符を組み合わせたリズムが多用されることが特徴的である これは ダンスにおいて引きずるようなステップに対応するのだと言われてきた サラバンドの特徴ある荘重な 1

リズムは 聞き手にとっては非常に再認識しやすい サラバンドが初めて言及されたのは中米において である 1539 年にフェルナンド グスマン メヒアがパナマで書いた詩の中で サラバンダ zarabanda と呼ばれるダンスが言及されている どうやらこのダンスは スペイン植民地で人気があり これが大 わいせつせい西洋を渡ってスペインにもたらされた ( 逆輸入された ) らしい 1583 年になると スペインでは猥褻性を 理由に禁止されたが 同時代の ( 例えばセルバンテスやロペ デ ヴェガら ) の文学作品にはしばしば 言及されている ジーグジグ (jig) は 8 分の 6 拍子または 8 分の 9 拍子の舞曲で イギリスやアイルランドの民俗的な踊りの形式の一つである しばしばジーグ (gigue) とも呼ばれるが これはバロック時代にフランスをはじめとするヨーロッパ各地で流行した際のフランス語風の綴りに由来する バロック組曲の終曲にしばしば置かれ 急速なテンポで演奏される 前奏曲前奏曲 ( ぜんそうきょく ) とは プレリュード フォアシュピールともいい ( 他の楽曲の 大規模な楽曲の ) 前に演奏する楽曲の意味である 普通 声楽を伴わない器楽曲である 似たような楽曲名に序曲 ( オーヴァーチュア ) がある なお 前奏とは ひとつの楽曲の中で 声楽曲ならば声楽が始まるまでの器楽部分 器楽曲ならば主奏者 ( 独奏者 ) が演奏を開始するまでの部分のことである バロック組曲の最初に演奏される曲 バロック組曲では基本の組み合わせが決まっており その組み合わせの前に付け加えられた 序曲 ( オーヴァーチュア ) 序曲 ( じょきょく ) は本来フランス語 Ouverture の訳語で 歌劇や劇付随音楽 古典組曲などの最初に演奏される音楽である 仏 :Ouverture ( ウヴェルテュール ) 英 :Overture ( オーヴァーチュア ) 独 :Ouvertüre ( ウヴェアテューレ ) オペラや劇付随音楽などの劇音楽の序曲と 組曲などの序曲では多少性格を異にするが 前座の音楽という位置づけではなく 全体の開始にふさわしい規模と内容を持つのが一般的である 古典組曲の各楽曲は舞曲を中心に構成されるが 第一曲は舞曲形式ではなく 自由な形式による前奏曲 ( プレリュード ) や フランス風序曲の形式で作曲されることがあった フランス風序曲付きの組曲は 本来組曲全体が 序曲 (Ouverture) と名付けられていた メヌエットメヌエットは (menuet) ヨーロッパの舞曲のひとつ 4 分の 3 拍子で 各小節の 1 拍目にアクセントが置かれる 比較的ゆったりとしたリズムで優雅に踊られる宮廷舞踊である フランスの民俗舞踊に由来する バロック時代に独立した楽曲として また 組曲の 1 曲として数多く作曲された後 交響曲やソナタの楽章 ( 普通は第三楽章 ) に取り入れられた ベートーヴェンによってスケルツォが分派した 2

パスピエフランスのブルターニュ地方が起源の速い舞曲でルイ14 世 (1638-1715) 時代に大変流行した 足運び といった意味で 通常 8 分の3か 8 分の6 拍子 BWV(Bach-Werke-Verzeichnis)( ベーヴェーファオ ) 音楽学者ヴァルフガング シュミーダーによるバッハの作品番号 1958 年に バッハ作品主題目録 として出版.BWV 番号はジャンル毎に整理されている. ただし 現在の研究ではバッハ以外の作品とされるものもかなり含まれている ジャンルカンタータ 1 番から 200 番近辺までが教会カンタータで 200 番近くから 216 番までが世俗カンタータである (BWV は 1 から始まるのでカンタータ 番と BWV 番とは番号が一致 ). ミサ曲, 受難曲 BWV225~231 は無伴奏のモテット.BWV232 は ロ短調ミサ曲.BWV233~242 はキリエとグローリアだけのミサ ブレヴィスや単独に作曲されたサンクトゥス.BWV243 がマニフィカート.BWV244 からは受難曲で 244 は マタイ受難曲,245 は ヨハネ受難曲.248 はクリスマス オラトリオ. その他. 声楽 :250 番 ~438 番はコラール.439 番 ~507 番は シュメッリ歌曲集 と呼ばれる独唱用 歌曲.508 番 ~518 番は アンナ マグダレーナ バッハのための音楽手帳第 2 巻 に含まれる声楽曲. 519 番 ~523 番は 五つの宗教歌曲 ( 偽作の疑い ).BWV524 は クォドリベット と呼ばれる声楽曲 の断片. オルガン曲. BWV525 番から 771 番まで. クラヴィーア曲 :BWV772 から BWV994 番まで. インヴェンションとシンフォニアではじまり, 平均律クラヴィーア曲集, フランス組曲, イギリス組曲, イタリア協奏曲, 運指練習曲など. 室内楽曲 :BWV995 から BWV1040 までは室内楽曲. リュート組曲, 無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータ, オブリガート チェンバロとヴァイオリンのための 6つのソナタ, 無伴奏チェロ組曲, フルートと通奏低音のためのソナタ等. 管弦楽曲 ( 協奏曲も含まれる ) : ヴァイオリン協奏曲が BWV1041~1043, ブランデンブルグ協奏曲が BWV1046~1051, チェンバロ 協奏曲が BWV1051~1065, 管弦楽組曲が BWV1066~1070. カノン, 音楽の捧げもの, フーガの技法 BWV1072~1078 と 1086,1087 は小品のカノンで,BWV1079 が音楽の捧げもの,BWV1080 がフーガの技法である. 3

パルティータについて パルティータパルティータ第 1 番変ロ長調 BWV825 バッハ (1685-1750) の生涯は通常 4つの時期に分けられます 第 1 期は1 708 年 23 才でワイマール ( ヴァイマル ) の宮廷に仕えるまでの形成期 第 2 期はそれから10 年間のいわゆるワイマール時代 (1708-1717) 第 3 期はそれに続く5 年余りのケーテン時代 (1717 1723) そして第 4 期がライプツィッヒの聖トマス教会で仕事をしたライプツィッヒ時代 (1723-1734) であります パルティータは最後のライプツィッヒ時代に全 4 部のクラヴィアクラヴィア練習曲練習曲の第 1 部として出版されました ちなみに 各部の構成は以下のようになっています 第 1 部 6 曲のパルティータ (BWV835 835-830 830) 第 2 部パルティータロ短調 BWV 831 第 3 部前奏曲とフーガ変ホ長調 (BWV BWV552 552) コラール前奏曲 (BWV BWV669 669-689 689) 4 曲の二重箏曲 (BWV BWV802 802-805 805) 第 4 部ゴールドベルグ変奏曲 BWV 988 作品番号からもわかるように前奏曲とフーガ変ホ長調とコラール前奏曲はオルガン曲ではありますが他は全てクラヴィア ( チェンバロ クラヴィコードなど ) 曲であります バッハの前の聖トマス教会のカントル ( 合唱長 ) であったクーナウ (1660 1722) は 1689 年と1 895 年に クラヴィア練習曲集 の名で7 曲ずつのパルティエ (Partie)( パルティータと同義 ) を出版していましたが それにならって6 曲のパルティータを 練習曲 の名で出版したものと思われます クラヴィア練習曲の第 1 部 (6 曲のパルティータ ) の初版のタイトルには次のように書かれておりました 4

前奏曲 アルマンド クーラント サラバンド ジーグ メヌエット及びその他の愛らしい小曲からなり 愛好家に楽しい気分をもたらすクラヴィア練習曲 パルティータ第 1 番変ロ長調は6 曲のうちでも比較的規模が小さく イタリア風な明るい内容を持っています この第 1 番は単独で 1726 年 9 月 12 日に生まれたケーテンの公子エマヌエル ルートヴィッヒに捧げられております ケーテン侯レオポルトとバッハはバッハがケーテンを去ってからも互いに心を通わせてあっており バッハはレオポルトの世継ぎに祝意をこめてこの曲を贈ったものを思われます イタリア協奏曲ヘ長調 BWV971 1735 年ニュールンベルクで出版された クラヴィアクラヴィア練習曲集第 2 部 で この曲集は当時ドイツよりも音楽先進国であったイタリアとフランスに範をとり イタリアの代表的な音楽形式 協奏曲 フランスの代表的な音楽形式 序曲 ( 組曲 ) で書かれています イタリア協奏曲はバッハ自身によりますと イタリア趣味によって 作曲されています バッハは当時のイタリア音楽を研究していてヴィヴァルディの作品を編曲などもおこなっています 独奏曲でありながら 協奏曲 というのは リトルネロ形式 ( 注 ) ノコンチェルト グロッソ ( 合奏協奏曲 ) を模倣しているからであります バッハの作品にしては 珍しくフォルテ (forte) とピアノ (piano) が綿密に楽譜に書き込まれており それぞれトゥッティ ( 総奏 ) とソロ ( 独奏 ) の効果をひきだすようになっております 注 ) リトルネロ形式バロック時代の協奏曲に多く見られた形式で ロンド形式と類似しているが ロンドの場合にロンド主題が毎回同じ調 ( 主調 ) で奏されるのに対し リトルネロ ritornare( 再帰 ) では 楽曲の最初と最後以外は主調以外の調で奏される また協奏曲では リトルネロを全合奏で リトルネロに挟まれた部分を独奏楽器 ( 群 ) が奏する ヨハン セバスティアン バッハの イタリア協奏曲 は鍵盤楽器曲でありながら 協奏曲 と名付けられていますが ここでいう 協奏曲 はこのリトルネロ形式から来ているということができます パルティータ第 2 番ハ短調 BWV826 よりシンフォニア今回の発表会では パルティータ第 2 番ハ短調からはシンフォニア ( 序曲 ) だけを取りあげております ここではシンフォニアは前奏曲と同じ意味で使われておりますが 短いながらも3 部作の構成なっており わずか7 小節ではありますが 分厚い響きと鋭いリズムのグラーヴェ アダージョ ( 重々し 5

く ゆるやかに ) アルマンド風で流麗なアンダンテ 2 声のフーガで構成されているアレグロで最後を受け持ちます 第 1 部のグラーベ アダージョからして当時しては異例なほどロマン的なパッションが感じられます 発表会の機会が今後ありましたら是非パルティータ第 2 番全曲を取りあげたいと考えております イギリス組曲組曲について イギリスイギリス組曲第 2 番イ短調 BWV807 まず イギリス組曲 という名前はバッハ自身がつけたものではなく いつ どこで 誰が初めてこの名を用いたかは現在でもわかりません 一説にはイギリス人のために書かれたといわれ あるいはイギリスで活躍していたフランスの作曲家デュパール (Charles Di eupart)(?-1740) の書いた組曲のジーグの主題がイギリス組曲第 1 番の前奏曲に借用されていること ヘンデル (1685-1759) が17 20 年に書いた組曲にバッハが影響されて書いたともいわれております イギリス組曲はアルマンド クーラント サラバンド ジーグの 4つの舞曲を根幹にして ブーレ ガヴォット メヌエット パスピエが付加されております なおドゥーブル (Double) というのがありますが これは先行する曲の変奏であります イギリス組曲ではバッハ全 6 曲に大規模な前奏曲 Prelude を置いています ほとんどが極めて充実した内容を備え 時には幻想的な雰囲気を持ちながら 即興的な広がりも見せ 組曲中もっとも重量感のあるものになっています 後続する舞曲群のいくつかは形式も簡素で 比較的軽い内容に対して前奏曲はそれ自体で独立するほどの規模と内容を持ち 前奏曲を第 1 部と続く舞曲群を第 2 部とみなすこともできると思います 6

使用したした楽譜 バッハ作品集井口基成編春秋社 パルティータパルティータ第 1 番変ロ長調 BWV825 パルティータパルティータ第 1 番ハ短調 BWV826 井口基成さんは桐朋音楽大学の創設者 並びに戦後ピアノ界の重鎮としてピアノを弾く人なら知らない人はいないと思われるくらい有名な方です この春秋社の楽譜は音符の玉が大きくまた小節数もゆったりとってあるので非常に見やすい モルデント トリルなどの装飾音は具体的な奏法指示がなされていて 運指もきめ細かく振られていて学習者には大いに助かります 日本人ということで外国人のような大きな手を想定していないので 極めて実用的な運指だと思います ただエディションとしては古く 原典版が容易に入手出来る現在では ベーレンライター版 ヘンレ版などを手許に置く必要があると思います 全音ピアノピアノピースピース イタリアイタリア協奏曲ヘ長調 BWV971 何とも古めかしい楽譜ですね 1970 年頃に購入した楽譜です 価格はなんと 120 円でした 実用版ですので たくさんの発想記号が見られます バッハ自身は一切発想記号を書いておりません 但し総奏 ソロを意味する forte piano の書き込みはオリジナルにあります 音の誤植もあり さらに決して妥当とも思われない運指も多く見受けられません トリル モルデントなどの実奏譜もありません ここでも原典版が必要なことは申すまでもありません 校訂者の名前はありません 独習者には絶対お勧め出来ない楽譜のひとつです このような楽譜を使用したのは私なりの意図があります 楽譜に必要な条件を千亜希と一緒に学ぶために敢えて使用に踏み切ったのです イタリア協奏曲としては上記の春秋社版に掲載されており こちらの運指も参考にしました 全音ピアノライブラリピアノライブラリー イギリスイギリス組曲第 2 番イ短調 BWV807 イタリア協奏曲と同様に多くの発想記号が見られます 校訂者の名前はありません ここでも装飾音の実奏譜はありません また多くのオリジナルにはない発想記号が見られます ここでも原典版が必要なことは同じです イギリス組曲だけでなく バッハを弾く場合 まず装飾音 ( モルデント トリルなど ) など具体的な実奏譜がありませんと独習者などは途方にくれてしまいます また無意味な発想記号が書かれていますので音楽的にも正しい音はこれでは出せません バッハの具体的な装飾音の奏法譜はハンス カン編集のバッハ小プレリュード & 小フーガ集 ( 日本版は全音 ) に具体的な指示があります バッハを指導する場合極めて重要な事項ですので 後述する CD などで 具体的に奏法を確認する必要があります 今日では原典版も輸入楽譜に頼らなくてもウイーン原典版 ( 音楽の友社 ) ベーレンライターの日本版 ( 全音 ) などがありますので こちらを使用することをお勧めします 装飾音の奏法 版による音の違いなど極めて詳細な解説があります 7

参考にしたにしたピアニストピアニスト 鍵盤奏者 グレン グールドグールド 参考 CD LD DVD ディヌ リパッティ 参考 CD アナトリー ヴェデルニコフ 参考 CD ウラディーミル フェルツマフェルツマン 参考 CD マルタ アルゲリッチ 参考 CD イーヴォ ポゴレリッチ 参考 DVD アルトゥール ベネデッティベネデッティ ミケランジェミケランジェリ参考 CD ヘルムート ヴァルヒャ ( 鍵盤奏者 ) 参考 CD 注 )LDはレーザーディスク 参考にした CD LD DVD グレン グールド CD パルティータ全曲 56DC178~9 CBS SONY 孤高の天才グールドはバッハの革新的なピアノ演奏によってバッハ演奏にレ ネッサンスをもたらしました テンポ 装飾法 リズムどれをとってもバッハ をあらゆる意味で現代に蘇らせた功績は歴史的な記録として演奏史に永遠に語り継がれるでしょう グレン グールド CD イタリア協奏曲 未完のイタリアアルバム スカルラッティのソナタ エマヌエル バッハのソナタなどグールドにしては珍しいレパートリーが含まれています メインはイタリア協奏曲およびマルチェルロのオーボエ協奏曲をバッハ自身がクラヴィア用に編曲した協奏曲です イタリア協奏曲の第 1 楽章の躍動感 運動性 第 2 楽章の深く沈み込んだ歌 第 3 楽章の疾走など一度聴けば他は聴けなくなるほど印象が強く 装飾音 ダイナミックスの扱いなど学習者には大いに参考になることでしょう グレン グールド CD イギリス組曲全曲 56DC 148-9 CBS SONY テンポ リズム 装飾法 アーティキュレーション どれをとってもグールドの個性に満ちあふれ バッハの音楽の構造を見事に再現しています 8

グレン グールド LD オフ ザ レコード オン ザ レコード 若きグールドの記録 CDV-51 フィリップス日本フォノグラム 私ども親娘が初めて見たグールドの映像です 27 才頃のグールドの 普段の生活 ( オフ ザ レコード ) 及びイタリア協奏曲の録音現場のドキュメント ( オン ザ レコード ) です オフ ザ レコードではパルティータ第 2 番シンフォニアの練習風景が収録されており 当時 6 才の千亜希がもっとも鋭く反応したシーンです イタリア協奏曲の録音現場では演奏法など多くの発見がありました グレン グールド LD グレン グールドコレクションゴールドベルグ変奏曲 楽器の問題 ( バッハをピアノで演奏することについて ) SRLM 1082-3 SONY CLASSICAL メインはゴールドベルグ変奏曲ですが グールドのしなやかな指の動きを余すところなく伝えています バッハを演奏する上での 運指 は多くの示唆に富んでいます 楽器の問題では バッハの音楽を構造的なものとして捉え 特定の楽器の響きの制約されないバッハ音楽の特徴をバッハ自身の編曲作品を例にとりながら グールドが語ります グレン グールド DVD パルティータ第 6 番等 TOBW 93017 EMI 輸入盤 メインはバッハのパルティータ第 6 番の全曲演奏です その革新的な演奏に 体が固まってしまうほどですが ゴールドベルグ変奏曲と同様 グールドの 演奏法 特に運指を研究するために何度も見ています ディヌ リパッティパルティータ第 1 番 CD グレート レコード オブ ザ センチュリー MONO CDH 7 69800 2 EMI 録音は古いですが さわやかで 颯爽とした演奏です パルティータ第 1 番 9

の CD では 絶対にはずせない演奏です テンポ リズム アーティキュレーションにとどまらず 学 習者にはひとつの理想とも思えるくらいの内容を持っています グールドとはまた違う天才の演奏です アナトリー ヴェデルニコフ CD パルティータ全曲 BVCX-37001-2 BMGジャパン ( メロディア原盤 ) とき これまたはずせない演奏です グールド リパッティとも違うタイプのこれまた天才の演奏です 明解なダ イナミックスを有しており 堅固な音楽を構成します パルティータを語る アナトリー ヴェデルニコフ CD イギリス組曲全曲 BVCX-37003-4 BMGジャパン ( メロディア原盤 ) パルティータ同様 これまた堅固な構成力をもった演奏です イギリス組曲 の代表的な名盤だと思います ウラディーミル フェルツマン CD パルティータ全曲 CMCD-15042~3 カメラータ トウキョウ 現役のピアニストです 大胆な装飾法が特徴で 驚くべき構成力を発揮しま す マルタ アルゲリッチ CD パルティータ第 2 番 イギリス組曲第 2 番 F28G 22068 ドイツ グラモフォンポリドール 千亜希がもっとも好きな演奏で お手本にしています ジャズでいうところ のスイングしているような躍動感があります 10

イーヴォ ポゴレリッチ DVD イギリス組曲第 2 番 00440 073 4045 ドイツ グラモフォン輸入盤 非常に大胆なテンポ設定で力強い推進力を見せます イギリス組曲第 2 番の 運指は大いに参考になりました アルトゥール ベネデッティ ミケランジェリ 10 枚組 CD イタリア協奏曲 223042 321 メンブラン (Mombran) 輸入盤 ています 美しい演奏です ここに出てくるのが不思議ですが ライブでイタリア協奏曲の録音が残っ ヘルムート ヴァルヒャ CD ヘルムート ヴァルヒャの芸術パルティータ全曲イギリス組曲全曲イタリア協奏曲 TOCE-6887-99 東芝 EMI バッハのオルガン以外の鍵盤曲をほとんど収録しています チェンバロは歴史的楽器ではなく アンマー社のモダンチェンバロを用いて演奏しています 私はチェンバロの演奏は好きではありませんが 装飾法 レジストレーションなど勉強になることが多い演奏です 同梱されている解説もバッハの鍵盤曲の概観を知る上で大変重宝しています 参考にしたにした書籍 非常に多く選ぶのが困難ですが1 冊だけ紹介いたします 新潮文庫で カラー版作曲の生涯 バッハ というのがあります 豊富な写真を用いて バッハの生涯を辿ります 巻末にバッハのバイオグラフィ ( 生涯年譜 ) および作品一覧が掲載されており ちょっとしたバッハ事典になっています 演奏のイマジネーションを膨らませるうえで 伝記を知ることは重要なことではないでしょうか 11

千亜希のピアノレッスンピアノレッスンについて 毎日の練習練習スケジュール 基本的なタイムテーブルは以下の通りですが 私の仕事の関係上 土日はレッスンしていません 平日朝の練習 7 時 45 分 ~9 時半 技術練習 昼の練習 15 時 45 分 ~17 時 30 分 レパートリーのレッスン 夜の練習 19 時 ~21 時 レパートリーの練習と修正 土 日 祝祭日朝の練習 7 時 45 分 ~9 時半 技術練習 10 時 ~12 時 レパートリーの練習 昼の練習 13 時 ~18 時 レパートリーの練習 夜の練習 19 時 ~21 時 レパートリーの練習と修正 凄い練習時間だと思われるかもしれませんが 休憩が結構入っていますので連続して以上 2 時間弾き続 けることはありません 夜の練習時間ですが 私が居る時は CD を聴いたり 音楽史の講義 楽典など を一緒にやります ピアノ練習練習の心構心構え 音階 アルペジオの練習であっても美しい音で歌う 適度の休息をとる いつも誰かに聴いてもらっている という意識を持つ 楽譜からから音楽音楽を創るために 正確な譜読み 表情記号の再現 指定のテンポ 理想のテンポ 絶えず美しい変化を求める 美しいしい音を奏でるために 事前の指の配置 叩かずに押させる 暗譜 = 指先に全神経を集中するために 上記のようなことは 音楽をやる上で当然のことですが 今では千亜希はこれらのことを相当意識して練習していますが 昨年 (2005 年 )5 月時点では これらの内容についても細かい説明が必要だったのです 美しい音とはどのような音か? 千亜希の音は何故美しくないか を具体例で示してあ 12

げなければならなかったのです これはいくら CDを聴かせてもダメで 目の前のピアノで示さなくてはなりません なおかつ 千亜希が今 ( 当時 ) 出している音を私が再現して いかに美しくないかを説明しなければなりませんでした 当たり前のこと当たり前に証明することがいかに難しいかをこの時痛感しました これは音楽センスには関係なく普通に感じる美しさでこれですから 音楽的美感なんて 当時は遙か彼方のお話しでした 本人のたゆまぬ努力により 今では音楽的美感も相当判断できるようになりましたが私が手を抜けばそれでストップします 指導するといっても私自身の音楽センスが問われているのです 指導方法もそうです 音の間違いには細心の注意が必要ですし 装飾音記号の読み方 特殊な音符の記譜のリズム処理 代替運指 ( 楽譜の運指はあくまで一つの提案です ) など 指導が問われている場面は多くあります さらには私の指導のバックボーン ( どのような資料に基づくものなのか ) までも問われる場面もままあります 千亜希にピアノの指導をし始めて ほぼ 1 年以上になりますが 注意してもすぐ修正できない これは技術の問題なのですが 千亜希の場合はもっと初歩的な 間違いと認識する 正しく弾くにはどうしたらよいか 何故間違うのか このあたりまで言及しないと修正できなかった ( 今もそうですが ) のです 品質管理の手法 PDCAサイクルの話もしました 知識としては理解できてもピアノではその方法を用いることができないのです その最たるものが間違いの原因分析です コンサートでのミスは許されますが 練習でのミスは恐ろしくモチベーションを下げます ( これには異論があると思いますが私のポリシーです ) レッスンは 楽しく 明るく がモットーですが 娘千亜希にとってこの 1 年は私の厳しい指導に耐えた1 年だったと思います 私も何度も 何故もっと優しく教えてやれないの と叱責するもう一人の自分との戦いでもありました 毎日の技術練習技術練習について私は千亜希には特別な技術練習はやらせておりません 音階もアルペジオもカデンツもやりません もちろんチェルニーその他の練習曲も一切やらせておりません 多年の音楽経験から これらのことは数学でいうところの十分条件ではあるが 必要条件ではないと考えているからです 私の考えをもう少し披瀝いたしますと いくら技術的に難しい曲であっても最終的に出てくる音楽が美しくなければ 人間の脳は極めて低い学習能力しか発揮しないようです チェルニーに 特別な恨みはありませんが カデンツを少しばかり発展させた和声展開とありきたりの旋律線では 指は反応しても心は反応しないのです 要するにときめきを感じないものには機械的に指は動いても 音楽的には指は動かないのです これは確固たる根拠は今のところはありません しかしながら 優秀な心理学者 解剖学者が 将来必ず解明してくれるものと信じています 私は技術練習として2つの曲を用意しました バッハの 無伴奏ヴァイオリンソナタの第 1 番ト短調の第 4 楽章プレスト とショパンの エチュードイ短調作品 10-2 です プレストについてはヴァイオリン曲そのままではなく ブラームスが左手と右手のためにそれぞれ対旋律を書いたエチュードです 目的はそれぞれあり 以下にそれぞれの目的 目標を列記してみます プレスト ( バッハ = ブラームス ) 指の練習 ( ヴァイオリンが弾く速度をピアノで弾くには相当な練習量が必要です ) タッチの修正 ( いわゆる ハイフィンガー の修正が目的です ) レガート奏法の修得 バッハの音楽の基本構造を知る ( プレストはリズムも音の配列は一見シンプルですが その和声 13

構造の推移は驚異的な美しさです ) エチュードイ短調 ( ショパン ) 右手の各指の分離 独立 ( 特に3 中指,4 薬指 5 小指 ) 逆指奏法の修得 手首の回転の修得 ( 逆指奏法は手首の回転の助けがなければ弾けません ) タッチの修正 ( いわゆる ハイフィンガー の修正が目的です この曲は基本的にハイフィンガーで弾くことが不可能です ) まずプレストはオリジナルが美しいので 毎日弾いても飽きません これはとても重要なことです この曲には ヴァージョン1とヴァージョン2があり 1は右手がバッハのオリジナル 左手がブラームスの対旋律 2は左手がオリジナル 右手がブラームスの対旋律です ブラームスが美しい対旋律を書いていますので 片手ずつの練習であっても音楽的刺激は十分にあります また両手をマスターすることによってポリフォニーの耳を育てます 半音階のエチュードであるイ短調は なにやら逆説的ではありますが バッハを弾くのにとても役立ちます それほど バッハの作品には逆指奏法が少なくありません ロマン派のエチュードをバロックの曲を弾くために練習するのは 理にかなっていないようにみえますが 見違えるような練習効果があります ショパンが旅先にもバッハの平均律クラヴィア曲集を携えて コンサートの準備をしていたことを知ればバッハとショパンの結びつきも意外ではありません ( ショパンのプレリュード集は平均律クラヴィア曲集がお手本です ) いずれにしましても プレストもエチュードもそんなに簡単に弾ける曲ではありませんので 1 年以上の長きに亘って練習していても飽きるところがありません 14

謝意 今回の発表会を開くにあたっては多くの方々の支援 応援を頂きました ここにご紹介することで謝意を表したいと思います 心のワークセンタワークセンタのスタッフスタッフおよびおよびメンバーメンバーの皆様 ( 千亜希が現在通っているところです ) 応援してくださったネット上の方々 http://blog.livedoor.jp/hirokoelsch/ みぃちゃんこと織田寛子織田寛子さん http://blog.goo.ne.jp/romani1988/ romani さん http://dokuoh.blog35.fc2.com/ dokuoh さん http://blog.goo.ne.jp/emipi_2005/ emi さん http://blog.goo.ne.jp/konstanze/ 樹衣子さん本日の発表会に東京からお三方が来場されております 本名はもちろん会ったこともない人々から今回の発表会 並びに私たち親子は大きな支援を頂きました 彼らの励ましがなければ発表会を決意することもなかったと思います 千亜希のピアノの先生波来加代先生保育園から中学 1 年生までお世話になりました 大西陽子先生波来先生のお産のお休みの時や 千亜希のピアノ再開後何かとお世話になりました 折りにふれて千亜希の技術上の問題を指摘していただきました 寺村久美子先生千亜希は直接レッスンを受けていないのですが 私 ( 繁慶 ) が千亜希の指導をするように提案してくださいました またリハーサルの場をご提供頂きました お世話になっているピアノの調律師さん加藤和行さん YAMAHAにお勤めの 専門家の間では定評のある優れた調律師さんです オーディオクラブの仲間オーディオクラブ 響 ( ひびき ) の皆さん 皆様ありがとうございました 2006 年 11 月 19 日 角岡繁慶 15