DPC データを活用した医療マネジメント 産業医科大学 村松 公衆衛生学教室 圭司
本日の内容 DPC データの活用例 DPC データの概要 DPC データの加工方法
DPC データの活用例 診療プロセスの可視化 自院で最も多く診療が行われている悪性腫瘍は? そのうち手術が行われている症例で より医療資源を投入した者は? その理由は? クリニカル / クリティカルパス (CP) 作成支援 評価 現在の診療プロセスはどうなっているか? CP に沿った診療が行われているか?
DPC データの概要 様式 1 診療録情報 ( いわゆる 退院サマリ ) 様式 3 施設調査票 様式 4 医科保険診療以外のある症例調査票 D ファイル 診断群分類点数表により算定した患者に係る診療報酬請求情報 DPC コードは D ファイルに含まれる E ファイル /F ファイル 医科点数表による出来高情報
DPC データとは何か 分析可能な全国統一形式の患者臨床情報 + 診療行為の電子データセット 患者臨床情報 患者基本情報 病名 術式 各種のスコア ステージ分類 診療行為情報 診療行為 医薬品 医療材料 実施日 回数 数量 診療科 病棟 保険種別 藤森 (2012) 改変 5
DPC データから何が分かるか 患者の臨床情報 ; 全国共通の 簡易退院サマリ いつ 何を どれ程 行ったか ( 誰がオーダ どの診療科 病棟の ) 診療行為を時系列で把握 レセプト情報から自動的 電子化 診療プロセスの可視化 平均像とバラツキ DPC データを用いる際に留意すべき事項 検査結果等は含まれない ( 様式 1 に含まれる内容は除く ) 1 日の中での行為の前後関係は不明 病名の数に制限がある 藤森 (2012) 改変 6
DPC 制度 とは [DPC] という患者分類手法 (casemix 分類 ) DPC = Diagnosis Procedure Combination 分類ごとの資源投入量の分析に基づいて設計される包括支払のルール PDPS = Per Diem Payment System ( 入院 1 日あたり額 日数 調整係数 )+ 出来高払い [DPC 調査 ] で収集される 標準化された診療データ 様式 1 : 退院サマリ= 傷病名 ( 副傷病 ) 入院日数 重傷度 E/Fファイル : 入院中の診療行為 資源投入量 これら 3 つの要素から構成される複合体 (DPC/PDPS) 石川 (2014) 改変 7
各データの関係 D ファイル 様式 1 E ファイル F ファイル 施設コード 施設コード 施設コード 施設コード データ識別番号 データ識別番号 データ識別番号 データ識別番号 退院年月日 退院年月日 退院年月日 退院年月日 入院年月日 入院年月日 入院年月日 入院年月日 データ区分番号 患者属性 データ区分番号 データ区分番号 順序番号 入院情報 順序番号 順序番号 行為点数 診断情報 行為点数 レセプト電算コード 分類番号 手術情報 行為薬剤料 行為明細点数 医療機関係数 診療情報 行為材料料 行為明細薬剤料 行為回数 行為明細材料料 実施年月日 8
DPC データの仕様について 詳細な資料は 各年の DPC 導入の影響評価に係る調査 実施説明資料に記載されています H30 はこちら http://www.prrism.com/dpc/18dpc.html
理想のかたち 様式 1 は一人 1 行 D ファイルは診断群分類番号だけ取ってきたい EF ファイルはくっついていると良い 統合ファイルで OK 様式 1 分類番号 E ファイル F ファイル F ファイル 1 入院 1 行化が必要 1 入院 1 行化が必要 E ファイル F ファイル F ファイル E ファイル F ファイル F ファイル EF 統合が必要 既に各医療機関で作成済と考えられるため作業不要
平成 26 年度以降の様式 1 について データ記録方式の変更 いわゆる 横持ち から 縦持ち へ 改定時の調査項目変更への対応の柔軟性 目視性の良さ データ処理速度などが理由として挙げられる 平成 26 年度 DPC 導入の影響評価に係る調査 DPC 導入の影響評価に係る調査 実施説明資料平成 26 年 5 月 1 日より引用 格納するデータはこれまでと同じ 変更になった調査項目以外 11 1 ( 1 ) 施設コード1 ( 2 ) 診療科コード1 ( 3 ) 統括診療情報番号2 ( 1 ) データ識別番号2 ( 2 ) 性別2 ( 3 ) 生年月日2 ( 4 ) 患者住所地域の郵便番号3 ( 1 ) 入院中の主な診療目的3 ( 2 ) 治験実施の有無3 ( 3 ) 入院年月日3 ( 4 ) 退院年月日3 ( 5 ) 転科の有無409999999 010 0 0000000001 1 19600821 8000215 4 0 20140401 20140421 0 409999999 100 0 0000000002 2 20110421 8030263 4 0 20140402 20140506 0 施設コードデータ識別番号入院年月日回数管理番号統括診療情報番号コードバージョン通番ペイロード1ペイロード2ペイロード3ペイロード4ペイロード5ペイロード6ペイロード7ペイロード8ペイロード9409999999 0000000002 20140402 0 0 A000010 20140401 0 20110421 2 8030263 409999999 0000000002 20140402 0 0 A000020 20140401 0 20140402 1 1 1 310 0 0 患者属性入院情報
平成 25 年度までの様式 1 転棟がなければ一人 1 行 複数入力項目 ( 手術や副傷病など ) 以外は分析しやすい 調査項目の変更 追加が難しい 疾患によっては空きフィールドばかりに 横に長くて読みにくい 複数入力項目の分析がしにくい など 12
これまでの様式 1 転棟がなければ一人 1 行 複数入力項目 ( 手術や副傷病など ) 以外は分析しやすい 調査項目の変更 追加が難しい がんの初発 再発 UICC-T UICC-N UICC-M 癌取扱い規約 Stage コード P3 P4 P5 P6 CAN0020 T N M 版 発症前 Rankin Scale UICC の版 24 年度改定で追加 13
これまでの様式 1 転棟がなければ一人 1 行 複数入力項目 ( 手術や副傷病など ) 以外は分析しやすい 複数入力項目の分析がしにくい 入院時併存病名 1 ICD10コード入院時併存病名 2 ICD10コード入院時併存病名 3 通番 コード P2 P9 1 A006040 ICD10 入院時併存病名 2 A006040 ICD10 入院時併存病名 3 A006040 ICD10 入院時併存病名 ICD10 コード 14
新旧様式 1( 例 ) 409999999 010 0 0000000001 1 19600821 8000215 4 0 20140401 20140421 0 1 0 0 101 0 1 2 0 99999999 99999999 1 0 0 20140401 20140421 肺炎, 病原体不詳 J189 肺炎, 病原体不詳 J189 肺炎, 病原体不詳 J189 本態性 ( 原発性 < 一次性 >) 高血圧 ( 症 ) I10 インスリン非依存性糖尿病 <NID DM> 合併症を伴わないもの E119 0 180 80.00 600 0 0 2312132222 2312132222 1 0000005 409999999 0000000001 20140401 0 0 A000010 20140401 0 19600821 1 8000215 409999999 0000000001 20140401 0 0 A000020 20140401 0 20140401 1 0 0 101 0 0 409999999 0000000001 20140401 0 0 A000030 20140401 0 20140421 1 2 0 0 409999999 0000000001 20140401 0 0 A000031 20140401 0 20140401 20140421 409999999 0000000001 20140401 0 0 A000040 20140401 0 010 0 409999999 0000000001 20140401 0 0 A000050 20140401 0 1 0 0 409999999 0000000001 20140401 0 0 A000060 20140401 0 4 0 409999999 0000000001 20140401 0 0 A000070 20140401 0 99999999 99999999 409999999 0000000001 20140401 0 0 A001010 20140401 0 180 80 409999999 0000000001 20140401 0 0 A001020 20140401 0 600 409999999 0000000001 20140401 0 0 A001030 20140401 0 0 0 409999999 0000000001 20140401 0 0 A002010 20140401 0 0 409999999 0000000001 20140401 0 0 A004010 20140401 0 0 409999999 0000000001 20140401 0 0 A006010 20140401 0 J189 肺炎, 病原体不詳 409999999 0000000001 20140401 0 0 A006020 20140401 0 J189 肺炎, 病原体不詳 409999999 0000000001 20140401 0 0 A006030 20140401 0 J189 肺炎, 病原体不詳 409999999 0000000001 20140401 0 0 A006040 20140401 1 I10 本態性 ( 原発性 < 一次性 >) 高血圧 ( 症 ) 409999999 0000000001 20140401 0 0 A006040 20140401 2 E119 インスリン非依存性糖尿病 <NIDDM> 合併症を伴わないもの 409999999 0000000001 20140401 0 0 A008010 20140401 0 0 409999999 0000000001 20140401 0 0 ADL0010 20140401 0 2312132222 409999999 0000000001 20140401 0 0 ADL0020 20140401 0 2312132222 409999999 0000000001 20140401 0 0 JCS0010 20140401 0 0 409999999 0000000001 20140401 0 0 JCS0020 20140401 0 0 409999999 0000000001 20140401 0 0 M040010 20140401 0 1 409999999 0000000001 20140401 0 0 M040020 20140401 0 0000005 15
現場からの意見 これまでの分析手法で引き続き分析したい! 新旧様式 1 の期間をまたいだ分析は? 急場をしのぐ ために 縦持ち様式 1 を横持ち化して分析 今回はこちら 横持ち様式 1 の縦持ち化 縦持ちのまま分析 将来的にはこちら 分析手法に正解はありません 自分で理解でき 相手に説明できる手法が最良 16
様式 1 退化 ツール 縦持ち様式 1( エラーチェック前 ) を横持ち化します https://sites.google.com/site/pmchuoeh/files/dpcfilesから入手可能 Access2007 以降もしくはAccess Runtime( 無料 ) で使用可能 2x 系 3x 系 FF1degene_v2_H28.accdr H26/H28に追加された項目は削除 H24 様式 1と同様に取り扱い可能なフォーマット FF1degene_v3_H28.accdr H26/H28に追加された項目はH24の項目の後ろに格納 副傷病の傷病名コード 修飾語コードは削除
様式 1 退化 ツール 使用方法 2 クリック 1 クリック 2x 系を用いて使用方法を解説しています 3x 系も使用方法は同じです
様式 1 退化 ツール 使用方法 3 読み込む様式 1 を選択 5 クリック 4 クリック 2x 系を用いて使用方法を解説しています 3x 系も使用方法は同じです
様式 1 退化 ツール 使用方法 6 クリック 7 書き出すフォルダを選択 2x 系を用いて使用方法を解説しています 3x 系も使用方法は同じです
D ファイルから診断群分類番号を持ってくる Excel で実施する方法 D ファイルのテキストデータを読み込む 数字として認識されないように注意しましょう フィルタ機能で絞り込む 退院日が 00000000 でないレコード 診断群分類番号が空ではないレコード 重複を省く 機能で一意にする Access で実施する方法 D ファイルのテキストデータを読み込む ( 必要な列のみ ) データ型に注意しましょう クエリで絞り込みと重複を省く作業を同時に行う
データの取得
D ファイルの読み込み
D ファイルの読み込み ( 完了 )
退院年月日 診断群分類番号の絞り込み
重複の削除
重複の削除
D ファイルから診断群分類番号を持ってくる Excel で実施する方法 D ファイルのテキストデータを読み込む 数字として認識されないように注意しましょう フィルタ機能で絞り込む 退院日が 99999999 でないレコード 診断群分類番号が空ではないレコード 重複を省く 機能で一意にする Access で実施する方法 D ファイルのテキストデータを読み込む ( 必要な列のみ ) データ型に注意しましょう クエリで絞り込みと重複を省く作業を同時に行う
Access の起動
D ファイルの取り込み
D ファイルの取り込み
D ファイルの取り込み
テキストインポートウィザード
クエリの作成
クエリの作成
クエリの作成
クエリの作成
エクスポート
エクスポート
エクスポート
材料が揃ったら データを連結する 可視化する ビジネス インテリジェンス (BI) ツールを用いて省力化する 変数名 ( 列名 ) が同じものを自動で結合する 絞り込みを連動させる 表やグラフを簡便に作成する等の機能がある BI ツール利用料簡単さ無料版でのファイル共有 OS Microsoft Power BI 無料 Windows Qlikview 無料 Windows Qlik Sense 無料 Windows 64bit Tableau 試用版あり Windows/Mac
まとめ DPCデータは データに基づくマネジメントに有用である 全国統一形式 あまり加工せずに分析できる DPCデータを自分で加工できるツールがある 既に持っているもの Excel( 及びAccess) 無料で手に入るもの 様式 1 退化ツール BIツール DPCデータを加工する方法は確立されている 1 入院 1 行の様式 1( とDPCコード )+ EFファイル DPCデータを分析 加工する際に有用な参考情報が入手可能である DPC 導入の影響評価に係る調査 実施説明資料 診療報酬情報提供サービス