研究報告書レイアウト例(当該年度が最終年度ではない研究班の場合)

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微小粒子状物質曝露影響調査報告書

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No. 1 愛知学院大学 Ⅰ. 緒言 咀嚼行為による自律神経系への活動は 1 咀嚼筋が活動する時の交感神 経の興奮 2 唾液分泌や消化管刺激を生ずる副交感神経の活動 3 味覚や 匂いによる唾液分泌の条件反射があり その複雑性のために咀嚼行為が自 律神経のどの方向に働くかについては 異なった報告がある

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臨床試験の実施計画書作成の手引き

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厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業)

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上原記念生命科学財団研究報告集, 31 (2017)

課題名

要旨健常者では何事もなく日常行われる体位変換動作が 脳血管障害や頸髄損傷においては起立性低血圧などの調節異常を引き起こす 血圧変動を評価するだけではなく簡便かつ有効な手段で自律神経機能を評価することができれば起立性低血圧のリスクをより管理できるのはないかと考えられる 本研究は 立位訓練時の起立性低血

の略語で, 隣り合う RR 間隔の差を 2 乗し, 合計したものを平均し, 平方根化したもので, 隣り合う RR 間隔の差が大きいほど数値は大きくなる 心電図の短時間解析 (shortterm analysis; 5 min) では, SDNN の低下と RMSSD の低下は, 副交感神経活性の低下

ただし 対象となることを希望されないご連絡が 2016 年 5 月 31 日以降にな った場合には 研究に使用される可能性があることをご了承ください 研究期間 研究を行う期間は医学部長承認日より 2019 年 3 月 31 日までです 研究に用いる試料 情報の項目群馬大学医学部附属病院産科婦人科で行

21-23年度厚生労働科学研究報告書.indb

する 研究実施施設の環境 ( プライバシーの保護状態 ) について記載する < 実施方法 > どのような手順で研究を実施するのかを具体的に記載する アンケート等を用いる場合は 事前にそれらに要する時間を測定し 調査による患者への負担の度合いがわかるように記載する 調査手順で担当が複数名いる場合には

< 方法 > 被験者は心身ともに健康で歯科医療関係者以外の歯科受診経験のある成人男女 15 名 ( 男 6 名 女 9 名 22.67±2.89 歳 ) とした 安静な状態で椅子に腰掛け 歯科治療に関する質問紙への回答により歯科受診経験の有無 実験前のカフェインやアルコールの摂取がないことを確認した

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大学通信VOL196

1. はじめに ステージティーエスワンこの文書は Stage Ⅲ 治癒切除胃癌症例における TS-1 術後補助化学療法の予後 予測因子および副作用発現の危険因子についての探索的研究 (JACCRO GC-07AR) という臨床研究について説明したものです この文書と私の説明のな かで わかりにくいと

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康度の評価を実施した また リーグ戦日前後を含む 3 日間における栄養調査を思い出し記述法を用いた調査票を回収した ボウリングプレー時の集中度と全身疲労感の主観的評価は 第 1 タームと第 2 ターム リーグ戦ゲーム前後に毎回測定を実施した 各ターム リーグ戦最終日にはプレー前の安静時において 唾液

( 様式乙 8) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 米田博 藤原眞也 副査副査 教授教授 黒岩敏彦千原精志郎 副査 教授 佐浦隆一 主論文題名 Anhedonia in Japanese patients with Parkinson s disease ( 日本人パー

1. はじめに近年の計算機パワーおよび数理的な解析手法の向上を背景に, 生命現象について, 数理モデルを用いて明らかにする研究の重要性は増している. そのような研究は今後, 医療, 健康管理などにおいてますます必要になると考えられる. そこで, 筆者はこれまでに生体計測 信号処理等工学技術の生活支援

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血液 尿を用いたライソゾーム病のスクリーニング検査法の検討 に関する説明書 一般財団法人脳神経疾患研究所先端医療研究センター 所属長衞藤義勝 この説明書は 血液 尿を用いたライソゾーム病のスクリーニング検査法の検討 の内容について説明したものです この研究についてご理解 ご賛同いただける場合は, 被

平成 28 年 4 月版 別紙様式 3 研究に係る利益相反状況申告書 Q&A Q1. 学内研究分担者等の氏名 Q1-1 Q1-2 Q1-3 Q1-4 質問学外の研究分担者名を記載しなくてもよいのですか? 学内研究分担者等 というのは どのような人をいうのですか? モニタリング 監査とはどのようなもの

別紙様式 (Ⅴ)-1-3で補足説明している 掲載雑誌は 著者等との間に利益相反による問題が否定できる 最終製品に関する研究レビュー 機能性関与成分に関する研究レビュー ( サプリメント形状の加工食品の場合 ) 摂取量を踏まえた臨床試験で肯定的な結果が得られている ( その他加工食品及び生鮮食品の場合

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修士論文中間発表(要旨)

研究課題名 臨床研究実施計画書 研究責任者 : 独立行政法人地域医療推進機構群馬中央病院 群馬県前橋市紅雲町 1 丁目 7 番 13 号 Tel: ( 内線 )Fax: 臨床研究期間 : 年月 ~ 年月 作成日 : 年月日 ( 第 版

臨床研究許可申請書の提出に際しての留意事項

要望番号 ;Ⅱ 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 1) 1. 要望内容に関連する事項 要望 者 ( 該当するものにチェックする ) 優先順位 学会 ( 学会名 ; 日本ペインクリニック学会 ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 2 位 ( 全 4 要望中 )

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

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帯振動を伴う有声音であり 多くの場合 母音 /a/ が含まれる周期的に発声音が繰り返される しかし 同図 (b) の会話音声の中でも音節の間隔のバラツキが小さい場合 笑いと誤識別される 日常生活下での口腔咽喉音には両方が混在することから 本研究では 会話と笑いを識別するために この有声音である特徴を

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博士論文 考え続ける義務感と反復思考の役割に注目した 診断横断的なメタ認知モデルの構築 ( 要約 ) 平成 30 年 3 月 広島大学大学院総合科学研究科 向井秀文

図 1. 心電図の波形 ( 出典 : 引用文献 11) 心電図のR 波ピーク毎の間隔 (R-R 間隔 ) を計測し 心拍変動 (Heat Rate Variability) スペクトルを解析することにより自律神経活動の情報を得ることができ 12-13) 心拍変動のパワースペクトル密度関数は 一般的に

第43号(2013.5)

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北里大学病院モニタリング 監査 調査の受け入れ標準業務手順 ( 製造販売後臨床試験 ) 第 1 条 ( 目的 ) 本手順書は 北里大学病院において製造販売後臨床試験 ( 以下 試験とする ) 依頼者 ( 試験依頼者が業務を委託した者を含む 以下同じ ) が実施する直接閲覧を伴うモニタリング ( 以下


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新規文書1

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2. 転倒危険者を察知する ナースの直感 の分析研究の説明書 研究実施説明書もの忘れ外来に通院されている 患者様を対象に 転倒を察知する看護師の洞察力に関する研究のご説明を開始いたします 転倒は太ももの付け根 ( 大腿骨頸部 ) 骨折 手首の骨折の 80% 以上の原因です 大腿骨頸部骨折も手首の骨折

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インプラント周囲炎を惹起してから 1 ヶ月毎に 4 ヶ月間 放射線学的周囲骨レベル probing depth clinical attachment level modified gingival index を測定した 実験 2: インプラント周囲炎の進行状況の評価結紮線によってインプラント周囲

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診療情報を利用した臨床研究について 虎の門病院肝臓内科では 以下の臨床研究を実施しております この研究は 通常の診療で得られた記録をまとめるものです この案内をお読みになり ご自身がこの研究の対象者にあたると思われる方の中で ご質問がある場合 またはこの研究に 自分の診療情報を使ってほしくない とお

障害者に対する歯科診療が自律神経機能に及ぼす影響 : 心拍変動解析を用いた評価

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2. 研究の目的及び意義について目的 : 手根管症候群の臨床的な重症度と腱鞘滑膜に発現する炎症性のサイトカインやAGEsの関連を検討する事です 意義 : 手根管症候群の重症度と周囲組織の炎症の相関が明らかになれば 抗炎症作用を持つ薬剤が手根管症候群の治療に有用となる理由がより明らかとなると考えられま

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研究計画書 1. 研究の名称 便中ヒトヘモグロビン分析装置 HM-JACKarc マイナーチェンジ機の性能評価 2. 研究組織について 研究責任者 : 研究実施者 : 奈良豊 ( 埼玉医科大学総合医療センター中央検査部臨床検査技師係長 ) 島田崇史 ( 埼玉医科大学総合医療センター中央検査部臨床検査

群馬大学人を対象とする医学系研究倫理審査委員会 _ 情報公開 通知文書 人を対象とする医学系研究についての 情報公開文書 研究課題名 : がんサバイバーの出産の実際調査 はじめに近年 がん治療の進歩によりがん治療後に長期間生存できる いわゆる若年のがんサバイバーが増加しています これらのがんサバイバ

群馬大学 人を対象とする医学系研究倫理審査委員会 _ 情報公開 通知文書 人を対象とする医学系研究についての 情報公開文書 研究課題名 : COPD を有する手術実施患者の術前評価と手術後に発症した呼吸器合併症の状況からの後方視的な検討 はじめに COPD は Chronic Obstructive

高齢者の筋肉内への脂肪蓄積はサルコペニアと運動機能低下に関係する ポイント 高齢者の筋肉内に霜降り状に蓄積する脂肪 ( 筋内脂肪 ) を超音波画像を使って計測し, 高齢者の運動機能や体組成などの因子と関係するのかについて検討しました 高齢男性の筋内脂肪は,1) 筋肉の量,2) 脚の筋力指標となる椅子

第57巻2号/投稿規定・目次・表2・奥付・背

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Ⅱ 方法 1 対象 施設入居者 16 名を対象とした 年齢 85.7±4.3 歳 ( 平均値 ± 標準偏差 以下同じ ) 身長 151±7cm 体重 51.8±10.6kg BMI22.5±3.6 であった 入居期間は 42±25 か月であった 入居施設は生活面を 重視した環境設定を行い 高い満足度

3. 本事業の詳細 3.1. 運営形態手術 治療に関する情報の登録は, 本事業に参加する施設の診療科でおこなわれます. 登録されたデータは一般社団法人 National Clinical Database ( 以下,NCD) 図 1 参照 がとりまとめます.NCD は下記の学会 専門医制度と連携して


運動負荷試験としての 6 分間歩行試験の特徴 和賀大 坂本はるか < 要約 > 6 分間歩行試験 (6-minute walk test; 6MWT) は,COPD 患者において, 一定の速度で歩く定量負荷試験であり, この歩行試験の負荷量は最大負荷量の約 90% に相当すると報告されている. そこ

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4 身体活動量カロリズム内に記憶されているデータを表計算ソフトに入力し, 身体活動量の分析を行った 身体活動量の測定結果から, 連続した 7 日間の平均, 学校に通っている平日平均, 学校が休みである土日平均について, 総エネルギー消費量, 活動エネルギー量, 歩数, エクササイズ量から分析を行った

を対象とした 通常血液透析と間歇補液血液透析を実施し クリットラインモニタ (CRIT-LINE Ⅲ JMS 社製 ) で透析中の循環血液量を観察した また 通常血液透析と間歇補液血液透析で除水量の差異が少なかった (300ml 以内 )3 名で クリットラインモニタから得られたデータを平均して治療

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癒し技法としてのタッチの受け者と施行者における効果に関する研究 Research on the effects of the touch as a healing technique on the receiver and the giver : 本研究の目的は 癒し技法としてのタッチが タッチ受け

臨床研究実施計画書

( 委員以外の者の出席 ) 第 5 条委員長は 必要に応じ当該研究に必要な知見及び専門知識を持つ教員 産業医または看護師等を委員会の同意を得て出席させ 意見を聴くことができる ただし 上記の者の出席が困難な場合は 委員長又は委員長が指名した者が口頭等で意見を聴取し 委員会で報告することができる (

6. 研究対象者として選定された理由 当科を受診された各種慢性肝疾患の方が研究対象者に含まれます 7. 研究対象者に生じる利益 負担および予想されるリスクノベルジン錠の国内臨床試験に置ける安全性評価対象例 74 例中 23 例 (31.1%) に副作用が認められ 主な自覚症状では悪心 4 例 (5.

第 109 回 火山噴火予知連絡会資料 2008 年 2 月 15 日 東北大学大学院理学研究科

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(127) 神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要第 2 巻第 1 号 2008 研究論文 漸増負荷 Stroop color word conflict test が心臓自律神経系活動に及ぼす影響 Effect of incremental Stroop color word conflict

疫学研究の病院HPによる情報公開 様式の作成について

Transcription:

長寿医療研究開発費平成 25 年度総括研究報告 心拍変動解析を用いた運動療法の効果と自律神経機能の回復度の関係性についての研究 (25-28) 主任研究者小林信国立長寿医療研究センター麻酔科 ( 医長 ) 研究要旨心拍変動解析を用いて高齢者の理学療法の効果を各運動能力の指数のみでなく 自律神経機能の回復の観点からも評価することができるかを確かめる 平成 25 年度はそのための情報収集と予備的データ収集 および本格的データ収集およびリアルタイム解析のための機器類の整備を行った 主任研究者小林信国立長寿医療研究センター麻酔科 ( 医長 ) 分担研究者近藤和泉国立長寿医療研究センター機能回復診療部 ( 部長 ) A. 研究目的本研究の目的は 国立長寿医療研究センターのリハビリテーション部で運動療法を受ける65 歳以上の高齢者を対象とし 心拍変動解析を用いて高齢者の理学療法の効果を各運動能力の指数のみでなく 自律神経機能の回復の観点からも評価することができるかを確かめることである B. 研究方法まず 心拍変動解析についての簡便な説明を記す 専用の高精度な心拍計一つでもデータ収集可能なほど単純な非侵襲的手法であり 交感神経 副交感神経といった自律神経活動の指標となる 心拍変動の検討には 全心拍変動の評価と 心拍の周期変動の周波数成分をパワースペクトル解析する操作が含まれる 心拍変動のパワースペクトル解析は いくつかの周波数領域に分けられるが そのなかの LF 成分 : 低周波数成分 (0.04-0.15Hz) と HF 成分 : 高周波数成分 (0.15-0.40Hz) に注目する LF 成分は交感神経と副交感神経活動の双方によって影響を受けることがわかっているが なかでも交感神経系活動をおも 1

に反映しているといわれている いっぽう HF 成分は呼吸変動及び副交感神経系の活動をおもに反映していると考えられている そこで HF 成分がおもに副交感神経系活動の指標 また LF/HF の値 (LF HF 比 ) が交感神経機能の指標として用いられる リハビリテーション開始前に 自動血圧計ならびに心拍変動解析システム (GMS 社製ワイヤレス生体センサー RF-ECG2 より取得した心電図波形をパソコン上の心拍変動リアルタイム解析プログラム Bonaly/Light にて解析する ) を用いて 約 6 分間座位で 理学療法前の血圧 脈拍数の測定と心拍変動解析を行う 理学療法中も心拍の測定記録は継続し 理学療法終了後被験者を座位とし 再び血圧 脈拍数の測定と心拍変動解析を行う 同時に各種運動能力の指数も記録する 退院までこれらの観察 計測を継続し それぞれの経時的変化を比較することで リハビリテーションによる恒常性維持機能の回復度モニターとしての心拍変動解析の相関を検討する ( 倫理面への配慮 ) 事前に当センターの倫理 利益相反審査委員会で本研究に対する承認を得た後 すべての被験者より書面による同意を得る C. 研究結果ヘルペス脳炎後遺症患者 1 症例のみであるが 長寿医療研究開発費 23-16 心拍変動解析を用いた高齢者の術後回復度評価 において購入した GMS 社製生体センサー LRR-03より取得した心電図波形をパソコン上の心拍変動リアルタイム解析プログラム Bonaly/LightおよびMemcalc/Chiramを用いて解析することにより 当センターリハビリテーション部において運動療法の効果と自律神経機能の関係性について心拍変動解析を用いた詳細な検討を行っており 下記のグラフに示した結果より 運動療法の効果と運動療法後のLF 成分 (0.04-0.15Hz: 心拍変動解析において主に交感神経系の緊張度を反映するといわれる周波数成分 ) の間に正の相関が示唆された 本症例においては運動療法が自律神経機能の向上に影響を及ぼすと考えられた また 快適歩行速度とLF 成分の継時的な比較を行ってみると単純に 活動量が増加したために交感神経系が活性化している だけでは説明しきれない点があり 一部の運動能力の向上が頭打ちになっている場合でも心拍変動解析の数値は向上する患者がみられる 一見 運動能力は固定しているように見えても自律神経機能の回復の点からリハビリテーションを継続する意義はあるかもしれない という仮説が導ける 2

運動療法後の心拍変動解析におけるパワーの自然対数値 loge(lf) およびloge(HF) と歩行データとの相関係数 (loge(lf) loge(hf)) は 6 分間歩行距離 (0.52 0.08) 快適歩行速度 (0.54-0.10) 歩行率 (0.67-0.34) であった 本対象者において 運動療法の効果と運動療法後の交感神経活動指標 loge(lf) との間に正の相関が示唆されたが 副交感神経活動指標と考えられるloge(HF) との相関は見られなかった 本対象者に心拍変動解析が介入したのは150 病日を経過したのちであり すでにいくらかの自律神経活動の回復が見られていた時点からの解析だったことが強く疑われる 上記の結果を踏まえ 複数症例での検討を行うべく研究申請を行い 2013 年 12 月に国立長寿医療研究センター倫理委員会の承認を得た 2014 年 4 月時点での進捗状況は機材の整備段階である D. 考察と結論ヘルペス脳炎後の1 症例において運動療法の効果と運動療法後の LF 成分 (0.04-0.15Hz: 心拍変動解析において主に交感神経系の緊張度を反映するといわれる周波数成分 ) の間に正の相関が示唆された 本症例においては運動療法が自律神経機能の向上に影響を及ぼすと考えられた これが単純に 活動量が増加したために交感神経系が活性化している だけで説明できるものであるか否かは今後複数症例で検討する必要がある 3

と考えられる E. 健康危険情報 : 該当なし F. 研究発表 1. 論文発表 : なし 2. 学会発表 1)1.The association between heart rate variability and postoperative memory impairment in elderly patients Makoto Kobayashi, M.D.1, Toru Komatsu, M.D.2, Hiroyuki Kinoshita, M.D.,Ph.D.2, Yoshihiro Fujiwara, M.D.,M.B.A.2. 1Department of Anesthesiology, National Center for Geriatrics and Gerontology, Obu, Japan, 2Department of Anesthesiology, Aichi Medical University School of Medicine,Nagakute, Japan. アメリカ麻酔学会 [Anesthesiology 2013 in San Francisco on October 12-16, 2013 American Society of Anesthesiologists] 2) 高齢者社会における頭頸部癌手術の適応と留意点 - 高齢者の呼吸器循環管理小林信 第 23 回日本頭頸部外科学会総会 2013.1 鹿児島 3) ヘルペス脳炎後遺症患者一症例における運動療法の効果と自律神経機能の関係性について - 心拍変動解析を用いて- 飯田圭紀 1 伊藤直樹 1 相本啓太 1 小林信 2 1 国立長寿医療研究センター病院機能回復診療部 2 国立長寿医療研究センター病院麻酔科第 67 回国立病院総合医学会 2013.11.9 金沢市 4) デスフルラン麻酔を選択する意味- 短期術後回復の観点から- 演者 : 藤原祥裕 ( 愛知医科大学麻酔科主任教授 ) 小林信はデータ提供者として口頭による紹介のみ日本臨床麻酔学会第 33 回大会ランチョンセミナー 4 2013.11.1 金沢市 5) 高齢者における麻酔後認知機能と心拍変動との関連 安藤一雄 1 松永絵里 1 小林信 2 藤原祥裕 1 1 愛知医科大学麻酔科 2 国立長寿医療センター麻酔科第 14 回麻酔科学ウィンターセミナー 2014.2.8-10 ニセコ 6) 高齢者における全身麻酔後の心拍変動回復 4

演者 : 堀田蘭 ( 愛知医科大学麻酔科 ) 小林信はデータ収集および解析の担当者としてプレゼン資料にて紹介スープレンフォーラム in 名古屋 2014.4.12 名古屋市 7) 周術期の循環管理と心拍変動解析 演者 : 藤原祥裕 ( 愛知医科大学麻酔科主任教授 ) 小林信はデータ提供者として紹介日本麻酔科学会第 61 回学術集会ランチョンセミナー L22 2014.5.16 横浜市 G. 知的財産権の出願 登録状況 1. 特許取得 : なし 2. 実用新案登録 : なし 3. その他 : なし 5