大谷ブルーウインズ ディフェンスの基本 2009 年 10 月 この資料の配付は自由にしていただいてかまいませんが 以下のことは守って下さい 営利目的には使用しないこと インターネット上には公開しないこと 一部だけ配布したり 内容を変えないこと( この資料をこのまま全てコピーして配布すること ) 大谷ブルーウインズの作成した資料であることを明確にすること問い合わせ先 :shinya@dodge-y.com 太田伸哉第 1 章個人のディフェンス 1 姿勢 1 足 足は肩幅に開く 足はゆるやかな ハの字 にし ひざの内側に力を入れる ( 軽い内股の状態 ) 右足を靴の半分だけ後ろに引き 左足は足の裏全体 右足は足の前半分が地面につくようにする 右足を引きすぎると左側のボールに対応できなくなるので注意する 2 腰 ひざを曲げ 腰( おしり ) を落として安定した姿勢をとる 腰が落ちずに背中を曲げてしまう選手がいるので 胸のマークが見えるように と助言して姿勢の矯正をする 3 腕 手 わきをしめ 手のひらを上にする 指の形はボールを包み込むような形にする 手のひらの位置は開いたひざの間にくるようにする 4 姿勢の確認 上記の姿勢でスクワットをさせ 素早く 楽にできるかどうか確認する 上記の姿勢で右ひざ 左ひざを交互につかせ 素早くできるかどうか確認する 慣れてくれば 右ひざをつきながら右に 左ひざをつきながら左に大きく動く動作にも挑戦する このとき 上半身をねじれさせず胸が常に正面を向くように注意する これらの確認動作は アップの中にも取り入れていくとよい 2 ターン 1 ターンの動作 どちらかの足を軽くひいて足先で踏ん張り 回転するのがターンの基本となる 止まった状態からターンできる場合( ボールアップからのスタートの場合 相手の攻撃ミスや遅いパスにより止まった場合 ) は 足を引く時間がロスタイムになるので そのまま回転する 回転方向は ボールを見ることのできる方向 となるので ボールが通過する軌道の左右で異なることになる 動きながらのターンでは 足を引いている時間が長くなると遅れにつながるため 軽く足先をつくイメージと ターンの瞬間に体重を前にかけるイメージをもつことが重要となる
2 ターンした後の動き ターンした直後に体が起き 高めのアタックにはじかれるケースが多いため ターンしたらすぐに ( 大股で下がりながら ) 腰を落として上半身を押さえ込むようにする ターンそのものを腰を落としすぎて行うと素早くできないので ターンしたら大股で下がりながらすぐに姿勢を戻すようにする ターンした後 下がる動作については 1 歩の幅が小さくなりすぎないことに気をつける 小股でちょこちょこと歩くような動作にならないよう 腰を落としての後ろ歩きをアップに取り入れる どこまで動いてターンするかについては 歩数 を決めるのではなく 距離 を決めたほうがよい 1 2 3 など一定のリズムで全員が同じ距離に到達できるようにする 3 キャッチング 1 低いボールのキャッチング 正面にきたアタックにはひざをついてキャッチするが 基本的に両ひざではなく右ひざをついてキャッチする このとき左ひざは横に開き 曲げたひざにボールが当たらないようにする 両ひざをつくとクロスアタックに対応できなくなる 自分の向いている方向にストレートなボールがきた場合は両ひざをついてもかまわない 左右にずれたボールの場合はボール側のひざをついてキャッチする 必ず上半身をボールの正面にもっていき 手だけでキャッチしないようにする かまえているときに右足を後ろに引きすぎていると 左側のひざをつくことは難しくなる 2 高いボール ( 腰から胸の高さ ) のキャッチング 正面にきたアタックは体と腕で包みこむようにキャッチする 腕を動かしてキャッチしようとすると手が先に出てはじいてしまうことがあるので 脇を締めたまま胸にボールを当て その瞬間に下から両手でしっかりと押さえるようにする ターンして下がっている途中 高めに強いアタックがくると 体が棒立ちになってしまい 胸でボールをはじくことがある ターンした後の姿勢に気をつけるとともに 足を一歩引く おしりから後ろに転がるなどの方法でボールの勢いを吸収する 左右にずれたボールの場合 ボール側の足を外に動かして上半身を正面にもっていく 上半身をひねるとボールの勢いに腕をもっていかれてしまうので 必ず体ごと移動してキャッチする 体を十分に正面へ動かせない状況の場合 ボールが逃げていく方向の腕を脇から離し ひじの内側でボールを押さえるようにする 3 高いボール ( 肩 顔の高さ ) のキャッチング ドッジング ( かわす動き ) 肩の高さはキャッチできずにはじいてしまう場合が多いため 基本的にはかわすようにする ( 大谷ブルーウインズでは 集団で守備をする場合 基本的に胸の高さより下のボールは全てキャッチするようにしている ) 肩の高さのボールをかわすには 下半身( ひざ ) を使って上半身を垂直に落とすようにする このとき 首や背中を曲げてかわしてしまうと 背中にボールが当たったり 素早くターンができなくなったりするので注意する 肩をねらってくる場合 ターンを遅れさせることが目的である場合が多いため かわす際には必ず片方の足を引き すぐに反転できる状態にする ただし 構えている状態で顔めがけてアタックがきた場合は 立ち上がればちょうど体の正面になることが多いので 思い切ってキャッチにいくようにする
第 2 章 チームでのディフェンス 1 並び順 1 列フォーメーション (+ 状況に応じてパスカット ) の場合 キャッチがうまく なおかつ運動能力 ( 機敏さ ) の高い選手を列の両端におく はじを通してきたボールのキャッチまたはかわす判断を一人で行わなければならないうえ サイド攻撃などの際 移動量が最も多くなるからである 列の中心付近にはキャッチのうまい選手をおく アタックは中心付近に多く集まる傾向があるからである キャッチ能力に差がある場合は キャッチのうまい選手と苦手な選手を交互にはさみこむように配置することが望ましい このとき 極端な身長差が生じないように配慮する 大谷ブルーウインズでは列を左右二つのグループに分けて考えるため 下のような配置にすることが多い ( はキャッチのうまい選手) パスカット 2 人の場合 パスカット左グループ右グループ パスカット パスカット 1 人の場合 左グループ 右グループ パスカット パスカットなしの場合左グループ右グループ 2 大谷ブルーウインズキャッチの 約束 1 キャッチするボールとかわすボールの判断 腰を落としてかまえた状態で 肩より下のラインにボールが全て入るコースにアタックがくれば 基本的に全てキャッチする ( 人と人の間でも ) ( 例外 1) 人と人の間に大きな隙間ができてしまい そこに地面すれすれのアタックがきた場合は無理にとりにいかなくてもよい ( 隙間ができないようにするのが基本 ) ( 例外 2) サイドからの攻撃はかわしたほうが有利な場合も多いため この約束通りではない ( サイドからの攻撃への対応については後述する ) ( 例外 3) はじの選手 パスカットの選手は自分の判断でキャッチ かわすを選択する
2 個人の正面にきたボールのキャッチ 個人の正面にきたボールでもチームでキャッチする姿勢をもつことが基本になる 両隣の選手はキャッチングの邪魔にならない範囲で体を寄せ こぼれ球に対応させる 残りの選手もボールに集中 ( ボールを全員で見て 体をその方向に向ける ) させ アシストやフォローの準備をする 胸より下のアタックは必ずキャッチする というルールがあるため 瞬間の判断で全員がボールに向かうことができる 3 人と人の間にきたボールのキャッチ 人と人の間にきたボールは 左側の選手がキャッチする ( 右膝をついてキャッチしやすいため ) 左側の選手は右側の選手のことは考えず 体全体を大きく右に動かしてキャッチする 右側の選手は左側の選手を後ろから支えるような姿勢をとり こぼれ球に対応する 左右両方の選手が手を出してしまったり どちらがキャッチするのか迷ったりしないようにする 3 大谷ブルーウインズフォーメーションの基本 1 縦攻撃に対するフォーメーション 選手から見た相手選手( ボールを持っている選手 ) の位置によって ラインの向きを調整する 相手と垂直に向き合う ことが基本となる 1 列フォーメーションを構成する全ての選手で 相手と垂直に向き合う ラインを形成すると 以下のようになる しかし このラインでは両端の選手の動きが大きくなるうえに 裏側( 内野なら外野 外野なら内野 ) の相手選手からの距離が近づいてしまう ( 結果 ターンしているうちに隙間が空く ) そこで 大谷ブルーウインズでは 列を左右二つのグループに分けて考える ことで これらの欠点を補うようにしている 相手選手から遠いグループは距離がとれているので あえて 前に出させる ことでアタックに正対させるようにする 相手選手に近いグループは列がななめにならないように( はじの選手が相手から逃げすぎないように ) 気をつける
2 サイドへの投げ込みに対するフォーメーション 相手が外野サイドに投げ込んだボールに対しては 1 列のままだと下図のような動きになる この場合 はじに近い選手の動きが大きすぎて 相手からの距離が十分にとれない また はじの選手が相手内野に近くなるため 内野にボールを戻されてアタックを打たれやすい 内野にボールを戻されると 列が反対サイドに偏ることが多い そこで 大谷ブルーウインズでは左右二つのグループを活用して以下のような動きをとっている はじに近い選手の動きが最小限ですむ 後列のはじの選手の位置がほとんどかわらないため 内野にボールを戻されても列が偏りにくい 前列は隙間を空けさせ 後列は隙間をつめさせる 前列がアタックをかわせばほとんどボールデッドになる 後列がかわすと反対側のサイドにボールが通ってしまうため 後列は必ずキャッチする ( 後列は距離がとれているためキャッチしやすい ) このフォーメーションでも サイドに近い選手( はじから2~3 名 ) は移動量が大きく 隙を突かれることも多いため 次のようなことに注意する 1 内野選手は 常に相手外野選手 ( 特にアタッカー ) のポジションに気を配り 声を掛け合う パスカットポジションにいる選手は全体を見やすいため この役割に適している 2サイドにボールが出された場合 最初の2~3 歩は前にダッシュする 通常のターンのように 反転してから後ろ歩きをしていると遅れてしまうため 前を向いて内野側に走る イメージで動き始める サイドに出されるボールを目で追いかけることにより 自然と首が動き その首の動きに引っ張られるように体は自然と回転することになる ( ただし 動き出しが速すぎるとフェイントで内野からアタックを打たれることがあるので気をつける ) 3 縦からのアタックをかわすことが少ないのは 反対側にいる選手にボールが通ってアタックを打たれるからである このフォーメーションではサイドからの攻撃を前列がかわしたボールはほとんどボールデッドのコースになるため 正面以外のボールを無理にキャッチする必要はない 4かわすことが多く 動きも速く 大きくするために 腰を高くして動く 縦攻撃の場合のように腰を落とす必要はない ( ただし 後列はしっかりと腰を落とす ) 5 後列のはじになる選手 ( 図では の選手 ) の横を通されると外野同士でボールを渡されてしまうため できるだけ横に動いてキャッチする
3 サイドへの走り込みに対するフォーメーション 外野選手がボールを持ってサイドに走り込んだ場合 大谷ブルーウインズでは次のような動きをとっている サイドへの走り込みから相手が展開してくる攻撃は主に次の3 種類である 1 内野に戻してアタッカーから折り返しアタック 2 内野に戻して逆サイドに出し そこからアタック 3サイドからのフェイントアタック このフォーメーションでは 主に12のケースにおいて とても有効的である 1については 相手内野から遠く 動く距離も小さいため 折り返しアタックをキャッチしやすい 2については 逆サイドのはじの選手が規準となる位置に戻っているため 偏りにくい 3のケースにおいては 列が重なっているため前列がかわして後列が当たるという危険性があるが 前列がキャッチすることを基本として練習を重ねることで対応できるようになる 4 ライン制御 1 相手チームの特徴によるライン制御 試合開始時のライン位置( 外野のどの位置で守るか ) については 相手のエースアタッカーが内野 外野のどちらにいるのか また そのアタッカーの力( 球の速さ ) はどのぐらいか によって決める 選手の判断で決めるのは難しいため重要なベンチワークのひとつとなる 近年のドッジではエースアタッカーを内野に配置するチームが多いこと また 外野からのアタックは ( 走り込めないため ) 威力が落ちる場合が多いことから 試合開始時は若干外野よりのラインをとることが多い 試合開始時は相手外野が1 人のことが多く 内野からのアウトも外野からのアウトも ( 外野が戻れないため ) 同じ意味をもつことも理由の一つである 内野エースからラインを下げてキャッチを続けると 冷静なアタッカー( およびベンチ ) では外野からのアタックを増やしてくる これに対しては次のような方法で対応する 1 相手が外野にパスを出すということは エースがアタックをあきらめた ということなのでこちらの勝ち という意識をもたせておく 2 外野からのアタックはクイックで打たれることが多いため クイックのアタックは手投げなので威力がなく怖くない という暗示 ( 半分暗示 半分事実 ) をかけておく また クイックのアタックに対する ボールを置いていく練習 ( キャッチできなくてもよい ) を繰り返しておく 3 外野エースにパスカットをつかせ 外野が自由なポジションでプレーできなくする この場合 パスをカットすることが目的ではないので 無理をさせることはない 2 試合展開によるライン制御 ドッジボールは 外野からアウトをとれば 2 点差をつめられる スポーツである このことを考えると リードしてむかえた試合後半 に外野からアウトにならないことがどれだけ重要なのかがわかる 残り時間と点差の関係 ベンチからの指示によってライン位置を細かく制御できるように練習する 特に サイドからもしっかりと下がれるよう徹底的に練習する必要がある 絶対的なエースアタッカーを外野に出した場合 試合途中でも ラインを外野から下げることが必要になる場合もある